説明

巾広極薄テープの接合構造と溶着装置

【課題】
従来の接合方法は、テープの重なり部Rを面接着させているから開束時にカッター、ハサミなどの刃物が必要で、梱包物の開束時に指先でテープを剥離・開束出来ない。
本発明は、巾広極薄の合成樹脂単層テープ又は貼り合せテープを用いて十分な結束力が得られ、指先の力でも容易に開束できるテープ接合構造と剥離し易い溶着接合装置を提供する。
【手段】
テープ重合部Rに挿入される熱板30に対面するプレスブロック15の上面16の一部に頂面18の巾約1mmの細巾加圧体17を直接又はクッション材19と共にテープ巾方向に1個以上突設した加圧接合装置をテープ梱包機に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、極薄・巾広テープの熱融着による接合構造と加圧溶着接合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
厚さ0.1〜0.2mm、巾3cm以上の極薄巾広フィルムテープは、梱包物に柔らかく捲着して結束できる他、テープが透明体であれば梱包物表面や内部の状態を視認できるので便利であり、更に必要ならフィルム面にフェルトペンなどで筆記が可能であることからハガキその他の郵便物の梱包に採用されている。
極薄テープ梱包機は、特許文献1によって公知であるが、この接合は、従来のバンド梱包機の接合と同様の装置によって重なり接合面を全面接着するものであったから熱板を小さくすることが出来ず特許文献2の第2欄に記されているような種々の不都合があった。
【0003】
この他、接合温度を低くした高価な三層貼り合せテープを使用して外部加熱により強力に接合することも行われている。
【0004】

【特許文献1】特開平10−211902公報
【特許文献2】特公昭54−3437公報(第3図、第6図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の接合方法は、接合強度を上げることに主眼があり、強力に接合させているから開束時にはカッター、ハサミなどの刃物が必要になる。しかし、梱包物の開束時又は郵便物の取扱い現場では指先でテープを剥離・開束したい場合が多い。
本発明は、安価なポリプロピレンなどの熱融着性延伸単層テープ(厚さ約0.15mm)又は貼り合せテープを用いて十分な結束力を得られる反面、指先の力でも容易に開束できるテープ接合構造と剥離し易い溶着接合装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明テープ接合構造は、巾広極薄単層テープ又は貼り合せテープの重合部間に、細巾接合部とこれに隣接する1以上の非接合部の組が1列又は複数列としてテープ巾方向に配設されてなるものであり、また、点状接合部が所定間隔の非接合部を介して連設された組がテープ巾方向に線状又は並列して配設されてなるものであって、非接合部は少なくともテープの1側縁又は両側縁に形成されるように配設することが好ましい。
複数列配設の場合、組のパターンを換えて様々な組合せが可能になる。
【0007】
上記接合構造を提供する梱包機は、巾広極薄単層テープ又は貼り合せテープの重合部間に挿入される熱板に対面するプレスブロックの上面の一部に1以上の細巾加圧体がテープ巾方向に突設された溶着装置を備えている。細巾加圧体が長手方向に分割されて設けてもよく、更に細巾加圧体の底面にクッション材を設けてプレスブロック上面に埋設固定してもよい。 上記いずれの場合も細巾加圧体の長さは、テープ巾長以下とする。
この他、テープ重合部に挿入される熱板に対面するプレスブロックの上面にテープ巾方向に突設された1以上の細巾加圧体に対応させてシーラテーブル面に圧力解放孔を列設しても同様の接合構造を得ることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明テープ接合構造は、テープ重合部の側縁に非接合部が位置しているからテープを分離し又は開束するに際してカッターその他の開梱用器具が不要であって、結束郵便物の開束の他、飲料容器或いは車内弁当などの開梱が容易に行える。
更に、上記テープ接合構造は、従来機のプレスブロック又はシーラテーブルを交換するだけで実現できるので経済的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1において、1は極薄テープ梱包機、2はアーチフレーム、3はシーラユニット、3Aはカム軸モータ、4は、テープの走行を安定にするガイドシュータ、5は正逆転フィードローラ、6は従動ローラである。
7は、テープを滞留させるプールボックス、8はテープリールであって回転支持軸9に装着されてテープの引張り力で自由に回転する。 10はテープ引取りガイドローラである。
図2において、11は駆動カム軸、12、13、14はカムによる押上桿であってその概要構成及び作用は従来装置と同様である。 15は、熱板下面に対面する押上桿13の先端に固設したプレスブロックであって上面16の一部に下面テープFBと直角、即ち熱板の長手方向に沿って細巾の加圧体17が突設されている。 16Aは、つまみシロであり、この側面に図示しないテープカッタが固定されている。 つまみシロは、結束テープの端部に指掛け部を形成するものであり、その長さは、任意に調節できる。
30は熱板、31はシーラテーブル、32はテーブル下面のテープ先端ストッパ、33、34は上下テープの巾ズレを防止する規制片である。
【0010】
加圧体17の一例は、図3のように構成され、頂面部18の長さはテープ巾より小さく、巾は約1mmであってプレスブロックの上面16より0.5mmの高さで突出している。
加圧体は、プレスブロック上面16に直接形成し又は固定してもよいが、テープとの接触圧を平均化させるため底面にポリウレタン製の薄いクッション材19を貼着して嵌合溝20内に嵌着させるのがよい。
また、頂面部のテープに対する位置は、テープの全巾でなく一端又は両端に非接合部が形成されるようにするのがよい。
【0011】
シーラテーブル下面において、上下テープFA、FB間に熱板30が前進して挿入され、プレスブロック15が上昇して加圧体の頂面部18が下面テープFBを加圧すると同時に熱板が後退する。 テープ重なり部Rには、加圧体頂面部の局部加圧によって巾1.5〜2mmの線状の接合部Mが形成される。
【0012】
本発明によるテープ接合構造は、従来の如くテープ重なり部Rの全面又は全巾で接合されるのではなく、例えば図4、図5の如く、接合部Mがテープ巾方向に線条又は点状の部分接合であって、加圧面積が小さいので接合部が均等に加熱加圧でき、クッション材を用いる場合は、更に均一性が向上し、小面積接合であっても結束に十分な強度が得られる。
その反面、テープ側縁の一方又は双方に非接合部Sが位置するように形成されているのでつまみシロによる指掛け効果と相俟って比較的弱い力でも容易にテープを剥離して開束できる。
【0013】
図6は、上記接合構造を実施するための加圧体の変形例であって、合成樹脂製クッション薄板19の片面に巾1mm、高さ0.5mmの金属チップ22を所定間隔で焼付け固定したものである。 図7は、図3のような細巾加圧体に対面するシーラテーブル面に圧力解放孔23を列設したものであって同様な効果が得られる、この場合の細巾加圧体は、テープ巾以下である必要はないこと勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】フィルム結束機の全体正面図
【図2】シーラ部の拡大図
【図3】加圧体と重なりテープの関係を示す斜視図
【図4】テープの接合形態の他の例を示す平面図
【図5】更に他の接合形態を示す平面図
【図6】加圧体の他の実施例斜視図
【図7】穴開きシーラーテーブルの実施例斜視図
【符号の説明】
【0015】
13 押上桿
15 プレスブロック
16 上面
16A 指掛けつまみシロ
17 細巾加圧体
18 頂面
19 クッション材
22 金属チップ
23 圧力解放孔
30 熱板
31 シーラテーブル
FA 上面テープ
FB 下面テープ
R 重なり部
M 接合部
S 非接合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被梱包物に捲着した巾広極薄単層テープ又は貼り合せテープの重合部に細巾接合部とこれに隣接する1以上の非接合部の組が1列又は複数列でテープ巾方向に配設され、前記非接合部がテープ側縁に位置して形成されてなるテープ接合構造。
【請求項2】
被梱包物に捲着した巾広極薄単層テープ又は貼り合せテープの重合部に点状接合部が所定間隔の非接合部を介して連設された組がテープ巾方向に線状又は並列して配設され、前記非接合部がテープ側縁に位置して形成されてなるテープ接合構造。
【請求項3】
巾広極薄テープ梱包機において、テープ重合部間に挿入される熱板に対面して昇降するプレスブロックと、該ブロック上面に1以上の細巾加圧体がテープ巾方向に突設され、前記細巾加圧体がテープ巾長以下に形成されてなる溶着接合装置。
【請求項4】
細巾加圧体が長手方向に分割されて形成された請求項3記載の溶着接合装置。
【請求項5】
細巾加圧体の底面にクッション材が設けられてプレスブロック上面に固定されてなる請求項3又は4記載の溶着接合装置。
【請求項6】
巾広極薄テープ梱包機において、テープ重合部間に挿入される熱板に対面するプレスブロックの上面にテープ巾方向に突設された1以上の細巾加圧体に対応するシーラテーブル面に圧力解放孔が列設されてなる溶着接合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−96391(P2006−96391A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−284989(P2004−284989)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000110398)ナイガイ株式会社 (2)
【Fターム(参考)】