説明

布片取込装置、及び布片取込方法

【課題】 既に普及している袋詰装置に取付けるだけで、同装置に布片を供給するペースを向上させ、しかもオペレータの熟練度によらず、上記のペースを一様に保てる布片取込装置、及び布片取込方法を提供する。
【解決手段】 布片取込装置1は、一端2及び他端3を有する掛持バー4を水平姿勢にして、この掛持バー4の一端2を駆動手段5に接続し、駆動手段5によって掛持バー4を昇降、又は矢印Xで指した横行き方向に移動させる吊持装置6と、支持体7に掛持バー4が通過できる開口8を形成した載置手段9と、支持体7の開口8から横行き方向に隔たる位置に設けられ、矢印Tで指した方向の牽引力を発生するコンベヤ10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
両端を有する方形又は帯形の布片を、その両端の間で2つ折りにし、該布片を搬送する布片取込装置、及び布片取込方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、飲食店で来客に提供される所謂おしぼりは、水分を含浸させた布片を袋詰めして、これを程好く加熱したものが知られる。来客に一旦提供された布片は、その後回収され、洗濯及び殺菌の工程を経て、再び袋詰めされることにより、おしぼりとして改めて利用することができる。
【0003】
上記のように布片を袋詰めするには、従来から普及している袋詰装置が用いられることが多い。当該装置は、その本体の一方に布片を搬入するための搬入コンベヤを設けており、オペレータが手作業で2つ折りにした布片を、上記の搬入コンベヤに載せる作業を行えば、本体の内部で、2つ折りの布片を更に細かく折り畳み袋詰めした後、本体の他方に設けた搬出口から、袋詰めされた布片を搬出するものである。この他、特許文献1,2には、布片の折畳みを行う装置がそれぞれ開示されている。
【特許文献1】特開2004−182459号公報
【特許文献2】特開2002−321869号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来から普及している袋詰装置に布片を搬入させるに際して、布片を2つ折りにする手作業は著しい雑作ではない。しかしながら、数千枚の布片をオペレータが繰り返し袋詰装置に供給する場合には、上記の手作業を逐一行うことに起因して、袋詰装置に布片を搬入するペースが低下する。言い換えると、所定時間当りに袋詰装置に搬入できる布片の枚数が減少する。また、オペレータが熟練者であるか否かによっても、上記のペースに個人差が生じるという不都合がある。
【0005】
また、特許文献1,2に開示されている装置を用いて布片の折畳みを行えば、オペレータが布片を2つ折りにする手間を省くことはできる。しかしながら、特許文献1,2に開示されている装置は、その構造が複雑で高価なものであるため、このような装置と従来から普及している袋詰装置とを入替えるには、高額な出費を避けられない。
【0006】
そこで、本発明の目的とするところは、既に普及している袋詰装置に取付けるだけで、同装置に布片を搬入するペースを向上させ、しかもオペレータの熟練度によらず、上記のペースを一様に保てる布片取込装置、及び布片取込方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る布片取込装置は、一端及び他端を有する掛持バーを水平姿勢に保ち、該掛持バーの一端を駆動手段に接続し、該駆動手段によって前記掛持バーを昇降、又は水平方向に移動させる吊持装置と、布片が平面状に展開した状態で載せられる支持体を有し、該支持体の前記布片の両端の間に対応する位置に、前記掛持バーが通過できる開口を形成した載置手段と、前記載置手段から水平方向に隔たる位置に設けられ、前記掛持バーの一端から他端に向う方向の牽引力を発生するコンベヤとを備え、前記駆動手段は、前記掛持バーを前記支持体の開口を通過するよう上昇させる動作と、前記掛持バーを前記コンベヤの上方を水平方向へ移動し且つ前記コンベヤの高さ付近まで下降させる動作を順に実行し、前記掛持バーが前記コンベヤの高さ付近まで降下したときに、前記コンベヤが牽引力を発生することを特徴とする。
【0008】
更に、本発明に係る布片取込装置は、前記布片に周面を転がり接触させるローラを備え、前記周面に粘着層を形成したことを特徴とする。
【0009】
更に、本発明に係る布片取込装置は、前記支持体が、複数の前記ローラを互いに近接するよう配置して成ることを特徴とする。
【0010】
更に、本発明に係る布片取込装置は、前記布片を負圧にて前記支持体に引き寄せる吸引手段を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、両端を有する布片を前記両端の間で2つ折りにし、該布片を搬送する布片取込方法に係るものであって、一端及び他端を有する掛持バーを水平姿勢に保ち、該掛持バーの一端を駆動手段に接続し、該駆動手段によって前記掛持バーを昇降、又は水平方向に移動させる吊持装置と、前記載置手段から水平方向に隔たる位置に設けられ、前記掛持バーの一端から他端に向う方向の牽引力を発生するコンベヤとを準備し、前記掛持バーが上昇する行程で、前記布片の両端の間を前記掛持バーが吊上げることにより、前記布片を、その両端が前記掛持バーから垂れ下がる状態の2つ折りにし、前記掛持バーが、前記コンベヤの上方を水平方向へ移動し且つ前記コンベヤの高さ付近まで下降する行程で、前記2つ折りの布片の両端を前記コンベヤに受け止めさせ、前記掛持バーが前記コンベヤの高さ付近まで降下したときに、前記2つ折りの布片を前記コンベヤ上に伏せさせ、前記コンベヤに、前記牽引力を発生させることにより、前記2つ折りの布片を、前記掛持バーの他端から抜き出して搬送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る布片取込装置を使用するとき、例えばオペレータは、おしぼり等の布片を、平面状に展開した状態で支持体に載せ、吊持装置の駆動手段を起動させる。これにより、駆動手段が掛持バーを上昇させると、支持体の開口を通過する掛持バーにて、支持体に載せられた布片の両端の間が吊上げられる。以上の動作だけで、直ちに布片をその両端が掛持バーから垂れ下がる状態にできるので、従来のような複雑で高価な装置を適用するまでもなく、布片の2つ折りを簡単に実行することができる。
【0013】
更に、掛持バーが、コンベヤの上方を水平方向へ移動し且つ下降すると、先ずは、2つ折りにされた布片の両端がコンベヤに受け止められる。続いて、掛持バーがコンベヤの高さ付近まで降下したところで、2つ折りにされた布片がコンベヤ上に伏せることになる。この状態で、コンベヤに接触している2つ折りの布片に、コンベヤが発生する牽引力が加わると、2つ折りの布片は、コンベヤによって掛持バーの一端から他端へ向う方向へ搬送されるので、2つ折りの布片が、掛持バーの他端から抜き取られ、そのままコンベヤによって搬送される。
【0014】
従って、本発明によれば、平面状に展開した布片を支持体に載せるという極めて単純な作業をオペレータが行うだけで、布片を2つ折りにして取込んだ後、このまま布片を所望の場所まで搬送することができる。このため、従来から普及しているおしぼり等の袋詰装置に布片を搬入する例のように、布片を2つ折りすることが求められる場合でも、オペレータの手作業による手間を省き、布片の搬入を手際良く行うことができる。
【0015】
以上の効果は、1日当り数千枚から1万枚に及ぶ布片をオペレータが繰り返し袋詰装置に供給する場合には、特に顕著なものとなる。また、オペレータの熟練度に関わり無く、布片の供給を一様なペースで行うとができる。
【0016】
また、本発明に係る布片取込装置が、布片に転がり接触する周面に粘着層を形成したローラを備えるならば、例えば頭髪、体毛、金属等の破片、又は塵等の異物が布片に付着していても、これらをローラの粘着層に粘着させて布片から除去することができる。或いは、当該布片取込装置が、布片を負圧により吸引する吸引手段を備えるならば、布片を透過する空気が吸引手段へ吸い込まれるときに、この空気に伴なわせて上記の異物を布片から除去することができる。ここに述べたローラと吸引手段を併用すれば、上記の異物の除去を一層確実にすることができる。
【0017】
また、支持体が複数のローラを互いに近接するよう配置して成るものであれば、平面状に展開した布片を支持体に載せた時点で、布片が複数のローラに接触する。この状態で、駆動手段が掛持バーを上昇させるときに、布片にローラの周面が転がり接触することになる。これにより、上記の異物をローラの周面の粘着層に粘着させて布片から除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、両端を有する布片Pを両端の間で2つ折りにし、布片Pを搬送する布片取込装置1の概略を示している。布片取込装置1は、一端2及び他端3を有する掛持バー4を水平姿勢にして、この掛持バー4の一端2を駆動手段5に接続し、駆動手段5によって掛持バー4を昇降、又は矢印Xで指した横行き方向に移動させる吊持装置6と、支持体7に掛持バー4が通過できる開口8を形成した載置手段9と、支持体7の開口8から横行き方向に隔たる位置に設けられ、矢印Tで指した方向の牽引力を発生するコンベヤ10とを備える。
【0019】
駆動手段5は、掛持バー4を図中のポイントαからβへ向って移動させることにより、掛持バー4を支持体7の開口8を通過するよう上昇させる動作と、掛持バー4を更にポイントβからγへ向って移動させることにより、掛持バー4をコンベヤ10の高さ付近まで下降する動作とを順に実行する。コンベヤ10は、掛持バー4がポイントγまで降下した時点で始動する。
【0020】
上記の矢印Tで指した方向は、掛持バー4の一端2から他端3に向う方向である。また、上記の横行き方向の移動とは、掛持バー4が円周Oに沿って移動することに限らず、掛持バー4が直線的に昇降又は水平方向へ移動することも包括する。詳しくは、以下の実施例で述べる。
【実施例1】
【0021】
図2に示すように、布片取込装置1は、吊持装置6と、載置手段9と、コンベヤ10と、一対のローラ11,12とを備える。特に断らない限り、吊持装置6又はコンベヤ10のそれぞれの動作は、プログラマブルコントローラ、又はマイクロコンピュータ等の制御装置によって為されるとする。このような制御装置やセンサ類の他、周知の技術については図示を省略する。
【0022】
駆動手段5は、回転機51の水平軸52に、これに直交する向きに延出する旋回腕53を接合したものである。吊持装置6は、2本の掛持バー4,4’を水平軸52の長手方向(矢印Tで指した方向)に沿う姿勢にして、2本の掛持バー4,4’のそれぞれの一端2を、旋回腕53の両端部に各々固定したものである。回転機51はパルスモータであり、水平軸52は、パルスモータの出力軸、又はパルスモータに取付けた減速機の出力軸である。円周Oは水平軸52を中心に描いた仮想円である。
【0023】
載置手段9は、板状の支持体7を、円周Oを横切る位置に水平姿勢で配置したものである。支持体7は、これに平面状に展開した状態で載せられた布片Pの両端の間に対応する位置に、切込み状の開口8を形成している。支持体7の下面には、回転機51が取付けられ、開口8から水平軸52までの距離と、掛持バー4の一端2から水平軸52までの距離とは、互いに等しく設定されている。
【0024】
支持体7の上方には、一対のローラ11,12が、図示を省略したブラケットを介して回転自在に支持されている。一対のローラ11,12は互いに近接しているが、一対のローラ11,12のうち上側のローラ11は、その軸受部に上下方向の遊びが設けられている。この遊びは、上側のローラ11が下側のローラ12から約10〜15mmの高さまで浮き上がれることを企図したものである。
【0025】
コンベヤ10は、円周Oの内側に位置するように支持体7の上面に固定されており、互いに矢印Tで指した方向に隔たる複数の回転輪13に無端状のベルト14を巻掛けしたベルトコンベヤである。この他、コンベヤ10としてローラコンベヤ、又はチェーンコンベヤ等を適用しても良い。符号15は、従来技術として述べた袋詰装置の本体に、布片Pを搬入するための搬入コンベヤを指している。
【0026】
図3に示すように、布片取込装置1を既存の袋詰装置16に取付けるには、搬入コンベヤ15の上にコンベヤ10が重なるように、布片取込装置1を袋詰装置16に対して位置決めし、搬入コンベヤ15のフレーム17に支持体7を固定する。このとき、フレーム17に孔を形成する程度の簡単な後加工を施すだけで、取付金具又はボルト等を用いて、支持体7をフレーム17に固定することができる。
【0027】
次に、布片取込装置1を用いた布片取込方法を説明する。以下の文頭に付した英文字は布片取込装置1の動作の工程を区分する指標である。また、図中において布片Pが移動又は変形する順を示す数字を、その符号の後に添えるが、文中では「P」で一貫する。
【0028】
A:図2は、動作前に待機する布片取込装置1を表している。即ち、布片取込装置1は、2本の掛持バー4,4’のうち一方の掛持バー4を、支持体7の開口8の直下付近で静止させている。また、オペレータは、適当な枚数の布片Pを準備してフレーム17の側方に立ちながら、その中の1枚の布片Pを平面状に展開した状態で支持体7の上面に載せる。同時に、オペレータは、布片Pの両端の間を2等分する位置の真下に開口8が合致するように、支持体7の上面に布片Pを位置決めする。このための目標となる合マーク等を支持体7の上面に予め付しておいても良い。
【0029】
B:オペレータが、制御装置の動作スイッチ等をONにすると、回転機51が起動し、水平軸52の周りに、旋回腕53と共に2本の掛持バー4,4’が矢印Cwで指した時計回りに旋回を開始する。この時点でコンベヤ10は停止している。
【0030】
C:一方の掛持バー4に注目すると、図4に示すように、掛持バー4が円周Oに沿って矢印Cwで指した方向へ上昇する行程で、掛持バー4は支持体7の開口8を通過する。そして、支持体7に載せられた布片Pの両端の間を、掛持バー4が吊上げることにより、布片Pはその両端が掛持バー4から垂れ下がる。以上の動作だけで、直ちに布片Pをその両端が掛持バー4から垂れ下がる状態にできるので、従来のような複雑で高価な装置を適用するまでもなく、布片Pの2つ折りを簡単に実行することができる。
【0031】
D:図5に示すように、掛持バー4が更に矢印Cwで指した方向へ旋回すると、布片Pを伴なった掛持バー4が、上側のローラ11を押上げて下側のローラ12から浮き上がらせる。この工程で、布片Pに転がり接触する一対のローラ11,12のそれぞれの周面に粘着層Adを形成しておけば、例えば頭髪、体毛、金属等の破片、又は砂塵等の異物が布片Pに付着していても、これらを粘着層Adに粘着させて布片Pから除去することができる。また、布片Pを伴なった掛持バー4が、一対のローラ11,12の間を通り抜ける間、2つ折りの布片Pは、上側のローラ11の重さを受けて絞られる。これにより、2つ折りの布片Pを薄く折り畳むことができる。
【0032】
E:掛持バー4が一対のローラ11,12の間を通り抜けると、布片Pの両端は、再び掛持バー4から垂れ下がり、コンベヤ10のベルト14に接触する。そして、掛持バー4が円周Oに沿って下降する行程で、2つ折りの布片Pの両端から内方の部分が徐々にベルト14によって受け止められ、遂には、布片Pの掛持バー4で吊上げられた付近の部位を除き、2つ折りの布片Pの大部分がコンベヤ10に伏せることになる。
【0033】
F:2つ折りの布片Pが伏せたところで、上記のように降下し続けた掛持バー4は、ベルト14よりも少し高い位置に達して停止する。つまり、掛持バー4は、図2に表した位置から180度旋回したところに設定された停止位置にて停止する。同時に、この停止位置に掛持バー4が達したことを、支持体7の適所に設けた近接センサが検出して検出信号を送出する。検出信号に基づき、制御手段は、上記C〜Fの工程で停止していたコンベヤ10を始動させる。この時点でベルト14が矢印Tで指した方向へ駆動する。
【0034】
G:ベルト14が駆動すると、図6(a)〜(c)に示すように、コンベヤ10に伏せた状態でベルト14に接触している2つ折りの布片Pに、ベルト14に発生する牽引力が加わり、2つ折りの布片Pが矢印Tで指した方向へ搬送される。そして、2つ折りの布片Pは掛持バー4の他端3から抜き取られることになる。このままコンベヤ10にて搬送される2つ折りの布片Pは、コンベヤ10の終端から搬入コンベヤ15へ乗り移ることができる。布片Pの乗り移りが完了した時点でコンベヤ10は停止する。
【0035】
以上のように、布片取込装置1によれば、平面状に展開した布片Pを支持体7に載せるという極めて単純な作業をオペレータが行うだけで、布片Pを2つ折りにして取込んだ後、このまま布片Pを袋詰装置16の搬入コンベヤ15まで搬送することができる。このため、オペレータの手作業による手間が省け、布片Pの袋詰装置16への搬入を手際良く行うことができる。
【0036】
上記C〜Fの工程で、図2に表した他方の掛持バー4’は、同図に表した一方の掛持バー4の位置まで移動する。つまり、2本の掛持バー4,4’はそれぞれの位置が互いに入れ替わることになる。この状態で、オペレータが新たな布片Pを平面状に展開して支持体7の上面に載せれば、上記C以降の工程を繰り返すことができる。
【0037】
上記Gの工程で、少なくとも2つ折りの布片Pが掛持バー4の他端3から抜き取られるまでの間は、回転機51が停止し続けるよう数秒のインターバルが設定されている。これは、布片Pを掛持バー4からコンベヤ10へ確実に載り移らせることに加え、上記Hの工程でオペレータが新たな布片Pを支持体7に載せるための時間的余裕を確保するためである。
【0038】
また、コンベヤ10が電動機で駆動する仕様であれば、その電動機が始動と停止とを繰り返した末に発熱することがある。これを避けるために、例えば、電動機が発生する回転力を機械的に切断又は接続できるクラッチを介して、コンベヤ10の回転輪13に電動機を接続する。この場合、電動機を逐一停止させなくても、クラッチを切断するだけでコンベヤ10を適時に停止させられる。
【実施例2】
【0039】
図7は、周面に粘着層Adを形成した複数のローラ18を互いに近接するよう配置して成る載置手段9を示している。本実施例では、既述の支持体7に代えて、複数のローラ18を回転自在に支持する枠体19を適用する。枠体19は、図3に表した搬入コンベヤ15のフレーム17に既述の要領で固定される。また、複数のローラ18は水平面に沿うよう並べても良いが、図7に示すように、枠体19を上方へ突出する円弧状に湾曲させ、枠体19の湾曲に沿わせて、複数のローラ18を、それぞれの高さを違えて配置することが望ましい。これは次の理由による。
【0040】
即ち、上記Cの工程において上昇する掛持バー4は、ローラ18の間に確保された開口8を通過する。そして、掛持バー4は、複数のローラ18に載せられた布片Pの両端の間を吊上げながら更に上昇する。この過程で、布片Pの両端は徐々に開口8へ向って引き寄せられるので、布片Pは全体として山形になろうとする。この点を考慮して、複数のローラ18のうち開口8付近のローラ18を最も高く配置し、開口8から離れるに従ってローラ18を順に低くすれば、山形の布片Pに総てのローラ18を良好に密接させることができる。
【0041】
また、複数のローラ18を布片Pに密接させることで布片Pに付着した異物を除去する点は、上記Dの工程で述べた通りである。上記Dの工程では、図5に表した一対のローラ11,12が2つ折の布片Pの外側の面にだけに接触するのに対して、複数のローラ18と一対のローラ11,12とを併用すれば、布片Pの全面から異物を確実に除去できるという利点がある。
【0042】
更に、布片Pを負圧により吸引する吸引手段20を開口8の近傍に設けても良い。吸引手段20は、真空ポンプ等に接続された吸気ポートとして図示している。吸引手段20が、その上端から空気を吸引するので、掛持バー4が布片Pを吊上げる過程で、布片Pが開口8付近のローラ18から不用意に離脱するのを予防できる。しかも、布片Pを透過する空気が吸引手段20へ吸い込まれるときに、この空気に伴なわせて異物を布片Pから除去することができる。
【0043】
尚、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様で実施できるものである。
【0044】
例えば、既述の支持体7に代えて、図8に示すようなローラコンベヤ21を適用しても良い。この場合、オペレータがローラコンベヤ21の始端22の付近に、平面状に展開した布片Pを置けば、布片Pをローラコンベヤ21によってその終端23の付近の開口8に重なる位置まで搬送できる。この搬送の過程で、ローラコンベヤ21の途中に設けた一対のローラ11,12の間を布片Pが通過するよう構成すれば、布片Pの全面から異物を除去できるという利点がある。
【0045】
また、以上の説明では、吊持装置6が2本の掛持バー4,4’を同時に移動させる構成を述べたが、掛持バー4は1本又は3本以上であっても良い。また、駆動手段5は、掛持バー4を自在に移動できる多関節アームを備えるロボットであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係る布片取込装置を用いて布片を2つ折りにすること、更には2つ折にしたまま布片を他所へ搬送することは、バスタオル、フェースタオル、バスマット等のあらゆる布片についても上記と同様に行える。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施形態に係る布片取込装置の斜視図。
【図2】本発明の実施例1に係る布片取込装置の斜視図。
【図3】本発明の実施例1に係る布片取込装置の設置手順を示す斜視図。
【図4】本発明の実施例1に係る布片取込装置に適用した吊持装置の前半の動作を説明する側面図。
【図5】本発明の実施例1に係る布片取込装置に適用した吊持装置の後半の動作を説明する側面図。
【図6】本発明の実施例1に係る布片取込装置に適用したコンベヤの動作を(a),(b),(c)の順に示す斜視図。
【図7】本発明の実施例2に係る布片取込装置の要部の側面図。
【図8】本発明の実施形態に係る布片取込装置の要部の変形例を示す側面図。
【符号の説明】
【0048】
1:布片取込装置
2:一端
3:他端
4:掛持バー
5:駆動手段
6:吊持装置
7:支持体
8:開口
9:載置手段
10:コンベヤ
11,12,18:ローラ
20:吸引手段
Ad:粘着層
P:布片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端及び他端を有する掛持バーを水平姿勢に保ち、該掛持バーの一端を駆動手段に接続し、該駆動手段によって前記掛持バーを昇降、又は水平方向に移動させる吊持装置と、
布片が平面状に展開した状態で載せられる支持体を有し、該支持体の前記布片の両端の間に対応する位置に、前記掛持バーが通過できる開口を形成した載置手段と、
前記載置手段から水平方向に隔たる位置に設けられ、前記掛持バーの一端から他端に向う方向の牽引力を発生するコンベヤとを備え、
前記駆動手段は、前記掛持バーを前記支持体の開口を通過するよう上昇させる動作と、前記掛持バーを前記コンベヤの上方を水平方向へ移動し且つ前記コンベヤの高さ付近まで下降させる動作を順に実行し、前記掛持バーが前記コンベヤの高さ付近まで降下したときに、前記コンベヤが牽引力を発生することを特徴とする布片取込装置。
【請求項2】
前記布片に周面を転がり接触させるローラを備え、前記周面に粘着層を形成したことを特徴とする請求項1に記載の布片取込装置。
【請求項3】
前記支持体が、複数の前記ローラを互いに近接するよう配置して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の布片取込装置。
【請求項4】
前記布片を負圧にて前記支持体に引き寄せる吸引手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の布片取込装置。
【請求項5】
両端を有する布片を前記両端の間で2つ折りにし、該布片を搬送する布片取込方法であって、
一端及び他端を有する掛持バーを水平姿勢に保ち、該掛持バーの一端を駆動手段に接続し、該駆動手段によって前記掛持バーを昇降、又は水平方向に移動させる吊持装置と、
前記載置手段から水平方向に隔たる位置に設けられ、前記掛持バーの一端から他端に向う方向の牽引力を発生するコンベヤとを準備し、
前記掛持バーが上昇する行程で、前記布片の両端の間を前記掛持バーが吊上げることにより、前記布片を、その両端が前記掛持バーから垂れ下がる状態の2つ折りにし、
前記掛持バーが、前記コンベヤの上方を水平方向へ移動し且つ前記コンベヤの高さ付近まで下降する行程で、前記2つ折りの布片の両端を前記コンベヤに受け止めさせ、前記掛持バーが前記コンベヤの高さ付近まで降下したときに、前記2つ折りの布片を前記コンベヤ上に伏せさせ、前記コンベヤに、前記牽引力を発生させることにより、前記2つ折りの布片を、前記掛持バーの他端から抜き出して搬送することを特徴とする布片取込方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−62886(P2007−62886A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−248751(P2005−248751)
【出願日】平成17年8月30日(2005.8.30)
【出願人】(505327697)有限会社ラブ・グリーン (4)
【Fターム(参考)】