説明

布類供給装置および方法

【課題】布類に生じた皺等を除去し、該布類をコンベヤへ受け渡す際に生じる落下や布類先端部の折れ曲がり等の問題を解決することで、従来よりも品質を向上することができる布類供給装置および方法の提供。
【解決手段】投入装置により布類をレールまで上方に移送し、受渡機構により布類を受け取り、布類を幅方向に展張すると共に、受渡機構に保持された布類を、受渡機構の下方に設けられた広げ部材により幅方向に展張し、且つ、広げ部材の下方に設けられたバキューム機構の有する吸気流路に吸い込んで下方に展張し、該布類をコンベヤに供給する布類の供給方法において、前記バキューム機構に、広げベルトに吸引力を作用させる第1ファンと、第1ファンと直列に配設された吸気流路に吸引力を作用させる第2ファンとを設け、第1ファンと第2ファンとを協働して広げベルトに吸引力を作用させることを特徴とする布類供給方法およびその装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス機や折畳み機等の次工程装置に布類を供給する布類供給装置および方法に関するものである。なお、本明細書における布類とは、シーツ、包布、タオル等の方形の布類をいう。
【背景技術】
【0002】
多量の布類を洗濯する場合には、洗濯済みのものを一定のラインに沿って搬送しながら脱水、乾燥、プレス、折り畳み等の処理を行なうこととなる。特にプレスを行う際には、布類を予め展張させた状態でラインへ投入する必要があるが、大型の布類を拡げて乱れなく投入することは困難であり、人手で行うには身体的負荷が大きかった。例えば、ロール仕上機に洗濯物を供給する際には、折目状皺がロール仕上機処理の際に形成されないように洗濯物を広げて平滑化することが重要である。
【0003】
供給装置に洗濯物を供給する装置としては、例えば、供給方向に見て供給方向に対して任意の角度に洗濯物の後縁が引き伸ばされている状態で前記洗濯物が供給される搬送面と、前記後縁を供給方向に対して所定の角度に整合する整合手段とを具備し、供給方向に対して横方向に前記後縁に沿って複数の位置において前記後縁の位置を検出する検出装置を前記整合手段が有する供給装置において、供給方向に対して所定の角度をなす直線に沿って洗濯物を制動する制動装置を前記整合手段が更に有し、前記後縁が前記直線を通過する際に前記洗濯物の前記後縁を制動するために前記制動装置が作動させられるように前記検出装置と前記制動装置とが共働することを特徴とする、洗濯物処理装置へ洗濯物を供給する装置が提言されている(特許文献1)。
【0004】
洗濯物を特許文献1に記載の装置に送り込む装置としては、最初に、洗濯物の前面縁端の伸長部分を把持し、次に、該最先の前面縁部が送り込み装置を向いた状態で洗濯物を送り込み装置内に搬送し得るようにしたコンベヤと、2つの拡げローラ部材と、送り込み方向に見て、コンベヤの前面に設けられ、その目的を果たし得るようにした制御手段によって送り込み方向に関して洗濯物が右方向に、又は左方向に案内されるような方法にて洗濯物が拡げ部材の各々に摩擦状態に接触可能にする手段とを備える、略矩形の洗濯物を送り込み装置内に挿入する装置にして、拡げローラ部材と洗濯物とを摩擦状態に接触させる前記手段が設けられ、拡げローラ部材の表面に孔が形成され、洗濯物が吸引されて前記拡げローラ部材と係合するように、該拡げローラ部材内に負圧を発生させる手段が設けられることを特徴とする挿入装置がある(特許文献2)。
【0005】
コンベヤベルトにその側部から直交して布を供給する装置としては、出願人が提言した、前後方向に移動自在なる移動体と、該移動体に設けられていて、方形状布類の1つの角部と該角部に連続する縁部の一部を掴持し得る掴持手段と、前記移動体を移動せしめる移動体駆動装置と、前記掴持手段の高さ位置より低位置にあって該掴持手段が方形状布類を掴持した状態で移動体が後退したときに、該方形状布類を下方から支持し得る載置台と、該載置台の前縁部における、前記掴持手段の中間位置の移動体移動方向延長線の直下位置にあって前方に向けて突出する如く形成した布類拡張部、とを備えたことを特徴とする方形状布類の縁出し装置や(特許文献3)、シーツのような大面積の布類の一辺の両端角部を保持して所定高位置まで吊上げ、その吊上げ布類の両端角部をそれぞれチャックで保持して左右に離間・展張させ、その上辺部展張布類の下部側を送込みローラにより吸引装置の吸引ボックス内に送込み、該吸引ボックス内を下方に吸引して布類をきれいに展張させるようにした布類展張機であって、前記送込みローラは、吸引ボックスの前壁の上端部において上下動可能に設置しているとともに、前記送込みローラを上下動させる上下動装置を備えた、ことを特徴とする布類展張機(特許文献4)がある。
【0006】
また、コンベヤベルトを横断して往復運動する横行部を備え、横行部の有する掴持手段により布類を把持しながら横行部の両側面に布類が略逆U字形状となるよう垂れ下げた状態とし、近接する上方コンベヤおよび下方コンベヤからなる折り部に横行部に垂れ下げられた布類の片側を二つ折りとして受け渡す公知の装置がある(非特許文献1)。
【特許文献1】特許第3839076号公報
【特許文献2】特開平08−168598号公報
【特許文献3】特公平06−049119号公報
【特許文献4】特開2004−169201号公報
【非特許文献1】JENSEN社発売の「EXTREME FEEDER」に添付の操作マニュアル
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本体の幅方向に配設されたレールと、投入された布類をレールまで上方に移送する投入装置と、レール上を移動自在に構成された横行部を有し、投入装置から布類を受け取り、布類を幅方向に展張し、後方へ移送する受渡機構を備える布類供給装置としては、特許文献1〜4および非特許文献1に記載されるものがある。
例えば、非特許文献1に記載されるものは、図13に示すように、横行部10に垂れ下がる布類を、折り部20で受け、チャック13,13に受け渡され、チャック13,13が離間方向に移動することで展張され、ブロー管16によりエアブローされて、移送コンベヤ25へ受け渡す構成である。
【0008】
また、特許文献4に記載される装置は、受渡機構の下方に設けられ、受渡機構の保持する布類を吸気流路に吸い込んで下方に展張するバキューム機構を備えている。
しかしながら、図5に示すごとく、吸気流路41に進入した布類101は、バキュームボックス42の底部に張り付き、布類の下方部分は充分な展張がなされないことがあり、品質の低下を招いていた。特にシーツなどの大型の布類においては、この問題が顕著であった。
【0009】
また、受渡機構が保持する布類をコンベヤへ受け渡す際に、折れ曲がり等により布類の上端部が搬送方向と直交して載置されない場合があり、ときにはコンベヤから布類が落下してしまうことがあった。
【0010】
本発明は、受渡機構が保持する布類に生じた皺等を除去し、該布類をコンベヤへ受け渡す際に生じる落下や布類先端部の折れ曲がり等の問題を解決することで、従来よりも品質を向上することができる布類供給装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明者は、バキュームボックスの吸気のメカニズムを工夫すること、および、ブロー管に対向する特別な形状の整流板を設けることにより、上記課題を解決することを可能とした。
【0012】
すなわち、第1の発明は、本体の幅方向に配設されたレールと、投入された布類をレールまで上方に移送する投入装置と、レール上を移動自在に構成された横行部を有し、投入装置から布類を受け取り、布類を幅方向に展張し、後方へ移送する受渡機構と、受渡機構の下方に設けられ、受渡機構の保持する布類を幅方向に展張する複数の広げ部材と、広げ部材の下方に設けられ、受渡機構の保持する布類を吸気流路に吸い込んで下方に展張するバキューム機構と、受渡機構から布類を受け取ってレールと直交する方向に布類を搬送するコンベヤとを備える布類供給装置において、前記バキューム機構は、広げ部材に吸引力を作用させる広げバキュームファンと、広げバキュームファンと直列に配設された吸気流路に吸引力を作用させる本体バキュームファンとを備え、広げバキュームファンと本体バキュームファンとが協働して広げ部材に吸引力を作用させることが可能であることを特徴とする布類供給装置である。
第2の発明は、第1の発明において、前記バキューム機構は、吸気流路に作用させる吸引力の強弱を調整可能とする複数のダンパを備えることを特徴とする。
第3の発明は、本体の幅方向に配設されたレールと、投入された布類をレールまで上方に移送する投入装置と、レール上を移動自在に構成された横行部を有し、投入装置から布類を受け取り、布類を幅方向に展張し、後方へ移送する受渡機構と、受渡機構の下方に設けられ、受渡機構の保持する布類を吸気流路に吸い込んで下方に展張するバキューム機構と、受渡機構から布類を受け取ってレールと直交する方向に布類を搬送するコンベヤとを備える布類供給装置において、前記バキューム機構は、吸気流路の入口部分の前壁と離間する第1の位置と、吸気流路の入口部分の前壁と衝合する第2の位置とを有するフラップを備え、該フラップを第1または第2の位置に移動することにより、吸気流路に流入する空気の経路を切り替え可能であることを特徴とする。
第4の発明は、第3の発明において、前記吸気流路の入口部分の前壁には、前記フラップと衝合し、前記コンベヤと直交する方向に回動する広げブラシを備えることを特徴とする。
第5の発明は、本体の幅方向に配設されたレールと、投入された布類をレールまで上方に移送する投入装置と、レール上を移動自在に構成された横行部を有し、投入装置から布類を受け取り、布類を幅方向に展張し、後方へ移送する受渡機構と、ブロー管と、ブロー管からのエアブローにより、受渡機構から布類を受け取ってレールと直交する方向に布類を搬送するコンベヤとを備える布類供給装置において、前記コンベヤの上方に前記ブロー管と対向して配設され、ダウンブローを生じさせる整流板を備えることを特徴とする布類供給装置である。
第6の発明は、第5の発明において、前記整流板は、前方斜面と、前記ブロー管からのエアを逃がす貫通孔が設けられた本体部とから構成されることを特徴とする。
第7の発明は、第1ないし6のいずれかの発明において、前記投入装置は、本体の両側部に設けられた2台の投入装置であることを特徴とする。
【0013】
第8の発明は、投入装置に投入された布類を幅方向に配設されたレールまで上方に移送し、掴持手段を有し、レール上を移動自在に構成された横行部を備える受渡機構により布類を受け取り、布類を幅方向に展張すると共に、受渡機構に保持された布類を、受渡機構の下方に設けられた広げ部材により幅方向に展張し、且つ、広げ部材の下方に設けられたバキューム機構の有する吸気流路に吸い込んで下方に展張し、該布類をレールと直交する方向に布類を搬送するコンベヤに供給する布類の供給方法において、前記バキューム機構に、広げ部材に吸引力を作用させる広げバキュームファンと、広げバキュームファンと直列に配設された吸気流路に吸引力を作用させる本体バキュームファンとを設け、広げバキュームファンと本体バキュームファンとを協働して広げ部材に吸引力を作用させることを特徴とする布類供給方法である。
第9の発明は、投入装置に投入された布類を幅方向に配設されたレールまで上方に移送し、掴持手段を有し、レール上を移動自在に構成された横行部を備える受渡機構により布類を受け取り、布類を幅方向に展張し、且つ、受渡機構に保持された布類を、受渡機構の下方に設けられたバキューム機構の有する吸気流路に吸い込んで下方に展張し、該布類をレールと直交する方向に布類を搬送するコンベヤに供給する布類の供給方法において、前記バキューム機構に、吸気流路に作用させる吸引力の強弱を調整可能とする複数のダンパと、吸気流路の入口部分の前壁と離間する第1の位置と、吸気流路の入口部分の前壁と衝合する第2の位置とを有するフラップとを設け、前記フラップを第1の位置として、本体バキュームファンによる吸引力を吸気流路に作用させることで吸気流路内に布類を進入させる第1工程、前記フラップを第2の位置とすると共に吸気流路に作用させる吸引力を弱める第2工程、吸気流路への吸引力の作用を停止し、広げ部材に広げバキュームファンと本体バキュームファンからの吸引力を作用させる第3工程とを有することを特徴とする布類供給方法である。
第10の発明は、第9の発明において、前記吸気流路の入口部分の前壁に、前記フラップと衝合し、幅方向に回動する複数の広げブラシを設け、該広げブラシと前記フラップに挟まれた布類を展張することを特徴とする。
第11の発明は、投入装置に投入された布類を幅方向に配設されたレールまで上方に移送し、掴持手段を有し、レール上を移動自在に構成された横行部を備える受渡機構により布類を受け取り、布類を幅方向に展張し、該布類をブロー管からのエアブローによりレールと直交する方向に布類を搬送するコンベヤに供給する布類の供給方法において、前記コンベヤの上方に前記ブロー管と対向する整流板を設け、前記ブロー管からのエアブローによりダウンブローを生じさせて、前記受渡機構から前記コンベヤ上に布類を供給することを特徴とする布類供給方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、受渡機構が保持する布類に生じた皺等を除去し、該布類をコンベヤへ受け渡す際に生じる落下や布類先端部の折れ曲がり等の問題を解決することで、従来よりも品質を向上することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を実施するための最良の形態の布類供給装置は、本体1の幅方向に配設されたレール9と、端辺が投入された布類101をレール9まで上方に移送する公知の投入装置2と、投入装置2から布類101を受け取る掴持手段11を有し、その両側部から布類101の端辺が垂れ下がった状態で布類101を保持し、レール9に沿って移動可能な横行部10と、横行部10が保持する布類101の投入装置側の端辺を検知するセンサ群と、本体の幅方向に設けられた複数組の対向するローラ31,32から構成され、横行部10が保持する布類101の投入装置側の垂れ下がり部分をローラ31,32で狭んで布類を下方へ移動して垂れ下がり位置を整合する整合機構30と、上方コンベヤ21および下方コンベヤ22からなり、それらの間隙に投入された布類101を二つ折り状態で排出する折り部20と、折り部20から布類101を受け取ってその上方部分展張する一対のスプレッドチャック13,13と、スプレッドチャック13,13が把持する布類101の下方部分を展張するバキューム機構40と、スプレッドチャック13,13から布類を受け取ってレール9と直交する方向に布類101を搬送する搬送装置である移送コンベヤ25および排出コンベヤ26とを備える。
【0016】
大きさの異なる布類に対応するためには、ローラ31,32の組数は4以上であることが好ましいが、これに限定されない。また、ローラ31,32の組ごとに、異なる速度で回転可能な構成とすることで、よりきめ細かな整合が可能となる。
一対のスプレッドチャック13,13は、サーボモータ等の公知の駆動源により往復動可能であり、布類101を把持する際は両者の距離を縮め、布類101を展帳する際は両者を離間するよう作用する力が与えられる。
スプレッドチャック13,13に把持された布類は、ブロー管16からのエアブローと同時に可動ローラ38が前進位置へ移動して、移送コンベヤ25へ受け渡される。
移送コンベヤ25の上方のブロー管16との対向位置には、整流板60を設けるのが好ましい。整流板60によりダウンブローを生じさせることで、布類101を確実に移送コンベヤ25への受渡を行うことができる。
【0017】
バキューム機構40は、布類101を吸引して引き込む吸気流路41と、吸引力を生じさせるファン類を備えるバキュームボックス42と、広げブラシ51と、吸気流路への空気流入経路を切り替えるフラップ52とを備える。
バキュームボックス42は、広げバキュームファン44と、本体バキュームファン46とを備え、広げダンパ47により広げバキュームファン44の吸引力をON/OFFし、本体ダンパ小48および本体ダンパ大49により本体バキュームファン46の吸引力の強弱およびON/OFFを制御可能に構成される。広げバキュームファン44と本体バキュームファン46とは直列に配置されており、本体ダンパ小48および本体ダンパ大49が閉じた状態においては、広げバキュームファン44の吸引力が作用する広げ用流路43に本体バキュームファン46の吸引力が作用するよう構成されている。
本体バキュームファン46による吸引力の強弱を調整可能とし、また、空気流入経路を切替可能に構成したことにより、布類101のバキュームボックス42の底部への貼り付きを解消することが可能となった。
【0018】
フラップ52は、吸気流路41への空気の流入経路を変える蓋体であって、公知の駆動手段により開閉自在に構成されている。フラップ52は、閉位置において広げブラシ51と衝合し、これらに挟まれた布類101の表面を幅方向に展張することが可能である。広げブラシ51は、モータ等の公知の駆動源により布類を幅方向に広げるよう回動される。
広げブラシ51により展張された布類101は、その上方にある広げ部材28により裏面が幅方向に展張される。広げ部材28は回動自在に構成されたベルトやブラシ等からなり、その背面に接続された広げ用流路43から吸引力が作用する。そして、全面が展張された皺の無い状態で、移送コンベヤ25へ載置され、排出コンベヤ26により次工程に搬出される。
【0019】
なお、本発明は、上記の構成に限定されず、搬送装置の進行方向と直交する方向から布類101を供給する構成の布類供給装置であれば実施可能である。例えば、折り部20と整合機構30の代わりに、移送コンベヤ25の搬送方向と同一方向に水平往復動する受渡し装置(特許文献4参照)を備える布類供給装置であってもよい。
【0020】
以下では、本発明を実施するための最良の形態を実施例により説明するが、本発明は何ら実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0021】
図1は、本実施例の布類供給装置を上方から見た図面である。
本実施例の布類供給装置は、フロントパネル4の両端に投入装置2a、2bを有しており、本体1への布類の供給を2台の投入装置2a、2bから並行して作業することができる。投入装置2a、2bは、特許文献2に示されるような公知の構造をしており、投入装置2の有する上下のコンベヤベルトで布類101を挟持してレール9まで搬送する。ここで、投入装置2に布類101を投入する際には、投入する布類101の端辺の中央部が投入装置2の中央部と重なるように投入するのが好ましいのは先に述べたとおりである。このように布類101の中央部が投入装置2の中央部と重なるよう投入されると、布類101の位置を整合しなくとも、図13に示すように、横行部10に垂れ下がる布類101の端辺の水平位置がほぼ同じ状態となるからである。
【0022】
フロントパネル4の奥には、幅方向にレール9が配設されており、このレール9上を横行部10が往復運動する。横行部10は、略二等辺三角形の形状をした一対の掴持手段11を備えており、二等辺の頂点を始点に掴持手段11をシーソー動させることで投入装置2a、2bの夫々から受け渡される布類101の端辺を掴持(把持)することができる。投入装置2a、2bにより搬送された布類は、投入された側の端辺が横行部10の掴持手段11と対向するよう投入装置2a、2bの終端位置で回転される。レール9の端部で投入装置2a、2bから布類101を受け取った横行部10は、横行部10の両側部から布類101の端辺が垂れ下がった状態で布類101の中央部が本体1の中央部Pと重なるまでレール9上を移動する。
【0023】
図2は、実施例に係る布類供給装置を透過的に示した側面図である。以下では、説明の便宜上、図2の左側を上流といい、右側を下流という場合がある。
レール9の下流側には上方コンベヤ21と下方コンベヤ22が設けられており、上方コンベヤ21と下方コンベヤ22の上流側の間隙に投入された布類は、二つ折りにされて排出され、スプレッドチャック13a,13bに受け渡される。図13を参酌しながら、具体的に説明する。図13(a)に示すように、横行部10に保持された布類101は、投入者側に設けられた公知の整形ブラシ14により皺を伸ばされ、ブロー管15からのエアブローにより折り部20に送出される。図13(b)に示すように、ブロー管15からのエアブローにより布類101の折り部側がCの位置で二つ折りとされ、折り部20を構成する上方コンベヤ21と下方コンベヤ22の間隙に投入される。下方コンベヤ22を搬送される布類101の形状は、端辺Aが後端部となり、Cが先端部となる。下方コンベヤ22の後端部から布類101が排出されると、図示しないセンサが先端部Cを検知する。そして、二枚重ねの部分の終端部(端辺B)を検知するとスプレッドチャック13を前進移動させ、図13(c)に示すように、布類101の端辺Aを把持させる。
このように、投入者側の整形された端辺Aがスプレッドチャック13a,13bにより把持される。
【0024】
スプレッドチャック13a,13bにより把持された布類101は、ブロー管16からのエアブローにより移送コンベヤ25上に載置される。ブロー管16からのエアブロー時には、可動ローラ38は前進位置に移動し、布類101の受渡をより確実なものとする。
ブロー管16の対向位置には、ブロー管からの気流を整流する船底型の板状体である整流板60が配設されている。図10は、ブロー管16からのエアブローにより、布類101が移送コンベヤ25上に載置される際の、布類101の上端部の位置変化のイメージを示したものである。整流板60が設けられていない場合には、ブロー管16からのエアブローの気流が整流されず、めくれ上がりや折れ曲がりなどが生じ、布類101の上端辺が移送コンベヤ25の搬送方向に直交して整列された状態とならない。
整流板60は、図11および図12に示すような構造を有しており、長手方向に複数の空気を逃がすための貫通孔64が形成されている。図12(b)は、図12(a)のA−A’線断面図である。図12(b)に示すように、整流板60は、前方面61と、底面62と、後方面63とから構成される。前方面61は、上方から下方に向かって斜面を形成しており、対向部61にぶつかったブロー管16からの気流が、布類101を移送コンベヤ25へ押しつけるダウンフローを生じさせる。一方で、発生したダウンフローをうまく逃がしてやらないと、めくれ上がりなどの原因となる場合があるため、貫通孔64および後方面63から空気を逃がし、乱流の発生を防いでいる。小さな複数の貫通孔64を設ける構成としたのは、構造力学上、充分な強度を維持するためである。
なお、整流板60の形状は、必ずしも図示したものに限定されず、ダウンフローを生じさせる面と空気を逃がす構造を備えるものであればよく、機械の内部構成に応じて適宜最適な構造設計がなされる。
【0025】
図3は、実施例に係る布類供給装置の要部を透過的に示した正面図である。本体1の中央部を挟んで、広げ部材28,28および広げブラシ51が線対称に配置される。広げ部材28は、吸気用の孔が設けられたベルトにより構成され、図示しないモータ等の駆動源により回動される。広げブラシ51は、輪形状のブラシにより構成され、公知の駆動源であるブラシ用モータ54により回動される。
図4は、実施例に係る布類供給装置の要部を透過的に示した背面図である。本体1の中央部を挟んで、広げバキュームファン44,44および本体バキュームファン46,46が線対称に配置される。本体バキュームファン46は、吸気流路41と連通されるのみならず、広げバキュームファン44を介して広げ用流路43とも連通して配置される。すなわち、図9に示すような空気流路が構成される。
【0026】
端辺Aを把持したスプレッドチャック13a,13bは、布類101を離間展張する。端辺Aの下方部分の展張は、広げ部材28,28およびバキュームボックス42により行われるが、その処理は図7および図8に示す手順で行われる。
まず、図7(a)に示すごとく、スプレッドチャック13a,13bに離間展張された布類101は、ブロー管16からのエアブローにより移送コンベヤ25上に載置される。この際、広げダンパ47および開閉部材24は開状態にあり、広げバキュームファン44および本体バキュームファン46とからの吸気により、移送コンベヤ25の裏側から吸引力が作用している。次に、図7(b)に示すごとく、本体ダンパ小48および本体ダンパ大49が開き、吸気流路41に吸引力が作用すると、フラップ52と吸気流路41の入口部分の前壁53との間隙に空気が流入して吸引力が生じ、また、広げ部材28に作用した吸引力により、布類101が引き寄せられる。続いて、図7(c)に示すごとく、布類101が吸気流路41内に引き込まれ、バキュームボックス42の底部に吸着される。
【0027】
バキュームボックス42の底部に布類101の下端部およびその周辺が吸着した状態では、布類101の展張は充分に行われない。そこで、図8の手順により、仕上げの高品質化をはかる。
図8(a)に示すごとく、フラップ52を閉じ、吸気流路41にはその入口部分の下流側から空気が流入するようになると、下流側から布類101の背面に空気が流入することとなる。加えて、本体ダンパ大49を閉じることにより、吸気流路41に生じる吸引力が弱めることで、バキュームボックス42の底部から布類101は速やかに離間する。ここで、フラップ52は、その下端部近傍が屈曲した略「く」の字形状に構成されており、該屈曲面と対向する位置に広げブラシ51が設けられている。布類101は、移送コンベヤ25の回転により、垂れ下がった部分が上昇するが、上昇過程においてフラップ52と広げブラシ51に挟まれた部分の皺が伸ばされ、次いで広げ部材28により再び展張され、スプレッドチャック13a,13bに展張された上端部およびその近傍のみならず、全面が展張された高品質な仕上がりを実現することができる。
【0028】
布類101が、図8(b)の位置まで上昇した際には、本体ダンパ小48も閉じられる。この際、本体バキュームファン46は、大型のためその回転が停止されることは無いが、そうすると利用されない吸引力が生じてしまうこととなる。そこで、本実施例では、本体バキュームファン46と広げバキュームファン44を直列に配置し、本体バキュームファン46の吸引力を広げ流路56に作用させることで、エネルギーの効率化を図り、広げバキュームファンの小型化を可能とした。また、開閉部材24も閉状態にあり、広げ部材28にのみ吸引力が作用することとなるため、図8(b)の状態では、広げ部材28に強力な吸引力が作用する。
【0029】
図8(c)に示すごとく、布類101が広げ部材28を通過すると、ダンパ47〜49は全て閉じた状態となる。
皺が除去され、展張された状態で移送コンベヤ25上に載置された布類101は、移送コンベヤ25の下流に設けられた排出コンベヤ26(図1参照)によりプレス機や折畳み機等の次工程へ搬送される。
【0030】
以上のように、本実施例の布類供給装置によれば、布類に生じた皺等を除去して次工程に受け渡すことが可能となり、また、コンベヤへの受け渡し時に生ずる布類の落下等の問題を解消することができるのであって、品質および生産性の向上に寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施例に係る布類供給装置の平面図である。
【図2】実施例に係る布類供給装置の要部を透過的に示した側面図である。
【図3】実施例に係る布類供給装置の要部を透過的に示した正面図である。
【図4】実施例に係る布類供給装置の要部を透過的に示した背面図である。
【図5】従来の布類供給装置のバキューム機構を示した側面図である。
【図6】実施例に係る布類供給装置のバキューム機構を示した側面図である。
【図7】実施例に係る布類供給装置のバキューム機構の作動を示した側面図(1/2)である。
【図8】実施例に係る布類供給装置のバキューム機構の作動を示した側面図(2/2)である。
【図9】実施例に係る布類供給装置における空気経路を説明する図面である。
【図10】実施例に係る整流板の作用を説明するための要部拡大側面図である。
【図11】実施例に係る整流板の斜視図である。
【図12】実施例に係る整流板の(a)平面図および(b)A−A’断面図である。
【図13】横行部に垂れ下がった布類の次工程への受け渡し処理を示す図面である。
【符号の説明】
【0032】
1 本体
2 投入装置
4 フロントパネル
5 センサ群
7,8 支持梁
9 レール
10 横行部
11 掴持手段
12 サーボモータ(スプレッドチャック用)
13 スプレッドチャック
14 整形ブラシ
15,16 ブロー管
17,18 伸縮シリンダ
19 サーボモータ(整形ブラシ用)
20 折り部
21 上方コンベヤ
22 下方コンベヤ
24 開閉部材
25 移送コンベヤ
28 広げ部材
30 整合機構
31 可動ローラ
32 固定ローラ
34〜37 送りローラ
38 可動ローラ
40 バキューム機構
41 吸気流路
42 吸気ボックス
43 広げ用流路
44 広げバキュームファン
45 切替ダンパ
46 本体バキュームファン
47 広げダンパ
48 本体ダンパ(小)
49 本体ダンパ(大)
51 ブラシ
52 フラップ
53 前壁
54 ブラシ用モータ
60 整流板
61 前方面
62 底面
63 後方面
64 貫通孔
101,102 布類

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体の幅方向に配設されたレールと、投入された布類をレールまで上方に移送する投入装置と、レール上を移動自在に構成された横行部を有し、投入装置から布類を受け取り、布類を幅方向に展張し、後方へ移送する受渡機構と、受渡機構の下方に設けられ、受渡機構の保持する布類を幅方向に展張する複数の広げ部材と、広げ部材の下方に設けられ、受渡機構の保持する布類を吸気流路に吸い込んで下方に展張するバキューム機構と、受渡機構から布類を受け取ってレールと直交する方向に布類を搬送するコンベヤとを備える布類供給装置において、
前記バキューム機構は、広げ部材に吸引力を作用させる広げバキュームファンと、広げバキュームファンと直列に配設された吸気流路に吸引力を作用させる本体バキュームファンとを備え、
広げバキュームファンと本体バキュームファンとが協働して広げ部材に吸引力を作用させることが可能であることを特徴とする布類供給装置。
【請求項2】
前記バキューム機構は、吸気流路に作用させる吸引力の強弱を調整可能とする複数のダンパを備えることを特徴とする請求項1の布類供給装置。
【請求項3】
本体の幅方向に配設されたレールと、投入された布類をレールまで上方に移送する投入装置と、レール上を移動自在に構成された横行部を有し、投入装置から布類を受け取り、布類を幅方向に展張し、後方へ移送する受渡機構と、受渡機構の下方に設けられ、受渡機構の保持する布類を吸気流路に吸い込んで下方に展張するバキューム機構と、受渡機構から布類を受け取ってレールと直交する方向に布類を搬送するコンベヤとを備える布類供給装置において、
前記バキューム機構は、吸気流路の入口部分の前壁と離間する第1の位置と、吸気流路の入口部分の前壁と衝合する第2の位置とを有するフラップを備え、該フラップを第1または第2の位置に移動することにより、吸気流路に流入する空気の経路を切り替え可能であることを特徴とする布類供給装置。
【請求項4】
前記吸気流路の入口部分の前壁には、前記フラップと衝合し、前記コンベヤと直交する方向に回動する広げブラシを備えることを特徴とする請求項3の布類供給装置。
【請求項5】
本体の幅方向に配設されたレールと、投入された布類をレールまで上方に移送する投入装置と、レール上を移動自在に構成された横行部を有し、投入装置から布類を受け取り、布類を幅方向に展張し、後方へ移送する受渡機構と、ブロー管と、ブロー管からのエアブローにより、受渡機構から布類を受け取ってレールと直交する方向に布類を搬送するコンベヤとを備える布類供給装置において、
前記コンベヤの上方に前記ブロー管と対向して配設され、ダウンブローを生じさせる整流板を備えることを特徴とする布類供給装置。
【請求項6】
前記整流板は、前方斜面と、前記ブロー管からのエアを逃がす貫通孔が設けられた本体部とから構成されることを特徴とする請求項5の布類供給装置。
【請求項7】
前記投入装置は、本体の両側部に設けられた2台の投入装置であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかの布類供給装置。
【請求項8】
投入装置に投入された布類を幅方向に配設されたレールまで上方に移送し、掴持手段を有し、レール上を移動自在に構成された横行部を備える受渡機構により布類を受け取り、布類を幅方向に展張すると共に、受渡機構に保持された布類を、受渡機構の下方に設けられた広げ部材により幅方向に展張し、且つ、広げ部材の下方に設けられたバキューム機構の有する吸気流路に吸い込んで下方に展張し、該布類をレールと直交する方向に布類を搬送するコンベヤに供給する布類の供給方法において、
前記バキューム機構に、広げ部材に吸引力を作用させる広げバキュームファンと、広げバキュームファンと直列に配設された吸気流路に吸引力を作用させる本体バキュームファンとを設け、
広げバキュームファンと本体バキュームファンとを協働して広げ部材に吸引力を作用させることを特徴とする布類供給方法。
【請求項9】
投入装置に投入された布類を幅方向に配設されたレールまで上方に移送し、掴持手段を有し、レール上を移動自在に構成された横行部を備える受渡機構により布類を受け取り、布類を幅方向に展張し、且つ、受渡機構に保持された布類を、受渡機構の下方に設けられたバキューム機構の有する吸気流路に吸い込んで下方に展張し、該布類をレールと直交する方向に布類を搬送するコンベヤに供給する布類の供給方法において、
前記バキューム機構に、吸気流路に作用させる吸引力の強弱を調整可能とする複数のダンパと、吸気流路の入口部分の前壁と離間する第1の位置と、吸気流路の入口部分の前壁と衝合する第2の位置とを有するフラップとを設け、
前記フラップを第1の位置として、本体バキュームファンによる吸引力を吸気流路に作用させることで吸気流路内に布類を進入させる第1工程、
前記フラップを第2の位置とすると共に吸気流路に作用させる吸引力を弱める第2工程、
吸気流路への吸引力の作用を停止し、広げ部材に広げバキュームファンと本体バキュームファンからの吸引力を作用させる第3工程とを有することを特徴とする布類供給方法。
【請求項10】
前記吸気流路の入口部分の前壁に、前記フラップと衝合し、幅方向に回動する複数の広げブラシを設け、該広げブラシと前記フラップに挟まれた布類を展張することを特徴とする請求項9の布類供給方法。
【請求項11】
投入装置に投入された布類を幅方向に配設されたレールまで上方に移送し、掴持手段を有し、レール上を移動自在に構成された横行部を備える受渡機構により布類を受け取り、布類を幅方向に展張し、該布類をブロー管からのエアブローによりレールと直交する方向に布類を搬送するコンベヤに供給する布類の供給方法において、
前記コンベヤの上方に前記ブロー管と対向する整流板を設け、前記ブロー管からのエアブローによりダウンブローを生じさせて、前記受渡機構から前記コンベヤ上に布類を供給することを特徴とする布類供給方法。

【図9】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−308782(P2008−308782A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−156886(P2007−156886)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【出願人】(502407130)株式会社プレックス (75)
【Fターム(参考)】