説明

希ガス蛍光ランプ及び光源装置

【課題】 全周方向から光出力を得る希ガス蛍光ランプにおいて、放射される可視光の輝度が高くバックライト用光源として好適な希ガス蛍光ランプを提供すること。更に、光源として実質的に水銀を使用しない希ガス蛍光ランプを用いて、高輝度かつ輝度ムラを少なくできる、液晶表示装置のバックライトに好適な光源装置を提供すること。
【解決手段】 希ガス蛍光ランプにおいて、蛍光体層は発光管の全周に亘って形成されてなり、当該蛍光体層を構成する蛍光体の平均粒子径が4〜6μmであると共に、その厚みが10〜20μmであることを特徴とする。更に、光源装置においては、発光管の内表面上に全周に亘って蛍光体層が形成され、蛍光体の平均粒子径が4〜6μmであると共にその厚みが10〜20μmである希ガス蛍光ランプと;投光開口を備えた筐体と;投光開口に配設された光出射面を有する光拡散板と;を具備していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示体などのバックライト装置の光源に関し、特に、外部電極型の希ガス蛍光ランプ及び光源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示体などのバックライト装置に使用されるランプは、細長いガラス管からなる発光管内に水銀及び希ガスが封入され、内面に蛍光体が塗布されたものであり、発光管の両端に一対の内部電極を具備した、いわゆる低圧水銀ランプである。かかるランプは、低圧水銀蒸気放電によって得られる254nmの紫外線で蛍光体を励起し、可視光を得るものである。このような水銀を用いるランプは低温時の光束立ち上がり特性が悪く、また、環境負荷の大きな水銀を用いることから、最近では、このような問題のない、環境負荷の低いランプへの代替が検討、模索されている。
【0003】
一方、従来から原稿照明用光源として好適に使用されている希ガス蛍光ランプは、水銀を用いず、主として、5〜10kPa程度の低圧のXeガス放電からの波長172nmの発光で蛍光体を励起し、発光するランプであり、特許文献1などに開示されるよう蛍光体層の一部に蛍光体の非形成部を形成して開口、すなわち、アパーチャを設けたものである。
【0004】
図7は、かかる原稿照明用の希ガス蛍光ランプの管軸に垂直方向断面の概略構成図である。
発光管11における対向面に配置された外部電極12a,12bに電圧が印加されると、発光管11内に誘電体を介在させた放電が励起され、発生した真空紫外光が蛍光体膜を照射する。蛍光体層13にアパーチャ14が形成されており、この部分が光取り出し部となる。真空紫外光が蛍光体により変換され放射した可視光は、蛍光体層13で反射され、最終的にアパーチャ14から出射される。
【0005】
このようなアパーチャを有する希ガス蛍光ランプにおいては、蛍光体層における反射性を高く設定することで、アパーチャからの出力を高くすることができる。しかしながら、安易に蛍光体層の厚みを増しても経済性を伴わないものとなり、また発光管からの剥離し易さが増してくるため、蛍光体層の原料となる蛍光体を平均粒径が小さいものを使用することで反射性を高め、これにより蛍光体層の厚みを小さくすることが行われている(特許文献1)。
よって、原稿照明用の希ガス蛍光ランプにおいて、蛍光体の平均粒子径は1〜3μmの範囲のものが好適に使用され、その厚みは、発光管と蛍光体層の間に反射層を設けるか否かによって変位するが、大よそ30〜50μm程度である。
【0006】
このような希ガス蛍光ランプは、立ち上がり特性が良好であり、低圧水銀ランプとは異なり水銀を用いていないため、環境負荷の面からも好適と考えられる。また、ランプ構造上も、水銀を使用していないので、発光管を構成するガラスのアルカリ成分と水銀とが反応する恐れがなく、発光管内面に保護膜を形成する必要も無い。よって生産性の点においても好都合である。このような事情から、希ガス蛍光ランプをバックライト用光源や一般照明用に用いることが検討されている。
【特許文献1】特開平11−288697号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかして、上述のバックライト用光源においては、光出射面において輝度のムラを抑える必要があり、拡散光源であることが望まれる。従って現状の希ガス蛍光ランプをそのまま採用することは不可であり、指向性のためのアパーチャは形成せず、発光管の全周方向から光を取り出すのが好適と考えられる。
【0008】
一般に、蛍光ランプの輝度と蛍光体層の膜厚との間には相対関係があることは知られている。よって、アパーチャが形成されておらず、可視光を蛍光体層に透過させて発光管外部に放射させるランプにおいても、蛍光体層で可視光に変換される効率と蛍光体層の透過性のバランスをはかり、最適な厚みを設定することが必要である。
【0009】
しかしながら、単なる膜厚の設計のみでは高い照度を得るにも限界があり、十分な輝度が得られないことが、本発明者らの検討によって判明した。
そこで本発明は、全周方向から光出力を得る希ガス蛍光ランプにおいて、放射される可視光の輝度が高く、バックライト用光源として好適な、希ガス蛍光ランプを提供することを目的とする。
また更なる目的は、光源として実質的に水銀を使用しない希ガス蛍光ランプを用い、十分な輝度を有し、かつ、輝度ムラを少なくできる、液晶表示装置用のバックライトに好適な、光源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明に係る希ガス蛍光ランプは、希ガスが封入され、内面に蛍光体層を形成した直管状の発光管を有し、
該発光管の外面に、その長手方向に亘って一方の電極を形成すると共に、他方の電極を一方の電極と該他方の電極の間に誘電体を介在させて形成し、一方と他方の電極の間で誘電体を介して放電させることにより、前記発光管内でエキシマ発光させる希ガス蛍光ランプにおいて、
蛍光体層は発光管の全周に亘って形成されてなり、当該蛍光体層を構成する蛍光体の平均粒子径が4〜6μmであると共に、その厚みが10〜20μmであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る光源装置は、希ガスが封入された直管状の発光管と、該発光管の外面に、その長手方向に亘って形成された一方の電極及び該一方の電極との間に誘電体を介在させて形成された他方の電極と、前記発光管の内表面上に全周に亘って、形成され、蛍光体の平均粒子径が4〜6μmであると共に、その厚みが10〜20μmである蛍光体層とを備えてなる希ガス蛍光ランプと;
内部に前記希ガス蛍光ランプを収容し、投光開口を備えた筐体と;
該筐体の投光開口に配設された光出射面を有する光拡散板と;
を具備していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、蛍光体層の層みを10〜20μmとし、かつ、蛍光体の平均粒子径を4〜6μmとすることにより、アパーチャのない希ガス蛍光ランプにおいて、発光効率を高くすることができ、液晶表示装置における直下型のバックライト用光源として好適な希ガス蛍光ランプを提供できるようになる。
また、本発明に係る光源装置によれば、発光管内に実質的に水銀を封入していない希ガス蛍光ランプを用いているため、低温時においても光束立ち上がり特性が良好で、環境負荷も低く、しかも、高い輝度が得られる、液晶表示用のバックライト装置として好適な、光源装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は本発明の実施例の希ガス蛍光ランプの構成を示す図であり、同図(a)は本発明の実施例の希ガス蛍光ランプの斜視図、同図(b)は希ガス蛍光ランプを管軸に垂直な平面で切った断面図を示している。
発光管11は透光性のガラスよりなり、その材質としては例えばソーダ石灰ガラス、アルミノ珪酸ガラス、硼珪酸ガラス、バリウムガラスなどを挙げることができる。発光管11の外表面上には一対の帯状の電極12a,12bが、当該発光管11の長さ方向に伸びるように配置されている。これら電極12a,12bは、図1(b)に示す管軸に垂直な断面図において、互いに対向するよう配置されている。
外部電極12a,12bは、材質としては導電性のものであれば特に制限されるものではなく、例えば、金、銀、ニッケル、カーボン、金パラジウム、銀パラジウム、白金などを好適に用いることができ、発光管10の外表面にテープ状金属を貼付したり、導電性ペーストをスクリーン印刷して焼成したりすることにより、実現する。
【0014】
発光管11の内部には、例えばXe(キセノン)ガス、或は、Xeを含む希ガスの混合ガスが全封入圧5〜100kPaの範囲で封入されている。発光管11に同図に示す点灯電源20より高周波電圧が印加されると、外部電極12a,12bの間に誘電体を介在させた放電が発生し、この放電によりキセノンによるエキシマ分子発光が発生する。
【0015】
発光管の内表面には、全周に亘って蛍光体層13が形成されている。蛍光体は、赤色蛍光体がユーロピウム付活酸化イットリウム蛍光体(Y:Eu)、緑色蛍光体がセリウム・テルビウム付活リン酸ランタン蛍光体(LaPO:Ce,Tb)、青色の蛍光体がユーロピウム付活アルミン酸バリウム・マグネシウム蛍光体(BaMgAl1017:Eu)である。これら以外にも、真空紫外光により励起される蛍光体として、赤色蛍光体としてはY(V,P)O:Eu、(Y,Gd)BO:Euなど、緑色蛍光体としてはZnSiO:Mn、YSiO:Tb、(Y,Gd)BO:Tbなどを用いることができる。
【0016】
上記希ガス蛍光ランプに同図に示す点灯電源20より高周波電圧が印加されると、外部電極12a,12bの間に誘電体を介在させた放電が発生し、この放電によりキセノンによるエキシマ分子発光が発生する。点灯方式としては、電圧波形が矩形波で、高電圧(〜3000Vp−p)を印加する方式を主とする。無論この方式に限定されず、高圧のパルス状の電圧によっても同様の効果を得ることができる。
エキシマ発光で得られた波長172nmの真空紫外光が蛍光体層13における蛍光体を照射して励起し、可視光が放射される。可視光の多数は蛍光体層13で反射されて、反射光が対向部の蛍光体層13をある確率で透過し、発光管11の外部に出射される。
【0017】
上記構成に係る希ガス蛍光ランプにおいて、蛍光体層を構成する蛍光体の平均粒子径は4〜6μmであり、平均粒子径をこのように設定することで、高い輝度が得られる希ガス蛍光ランプを提供することができる。また、蛍光体層の膜厚を10〜20μmとすることで、高い発光効率を実現することができる。
以下、この根拠について説明する。
【0018】
〔蛍光体層の膜厚の検討1〕
〔実験例1〕
蛍光ランプの輝度と蛍光体層の膜厚との間には相対関係があることは既知である。しかしながら、アパーチャが形成されていない希ガス蛍光ランプにおいては検討されていない。本発明者らはアパーチャが形成されていない希ガス蛍光ランプにおいて蛍光体層の膜厚と発光効率の関係を調査した。
先ず、図2に示すグラフ図中、点線で示す曲線は、本発明者らが最適な蛍光体層の膜厚を検討するために得た実験データである。なお、このデータは、従来技術に係る希ガス蛍光ランプにおいて、アパーチャを形成せず、すなわち、発光管の全周に亘って蛍光体層を形成した希ガス蛍光ランプについてのものである。
なお、実験例1に用いた希ガス蛍光ランプは、発光管は外径φ8mm(内径φ7.2mm)、全長700mmであり、その内部に、キセノン80%、ネオン20%の混合ガスを、10kPa(25℃換算)封入し、その外表面上に、幅1mm、長さ680mm、厚さ10μmのアルミニウム製の電極を添設したものである。
蛍光体層は、発光管内表面上に全周に亘って形成し、具体的には、平均粒径が1〜3μmの赤色蛍光体(Y:Eu)、青色蛍光体(BaMgAl1017:Eu)及び緑色蛍光体(LaPO:Ce,Tb)を混合して塗布用の懸濁液を調製し、これを発光管内表面上に塗布して乾燥、焼成することにより、形成した。かかる蛍光体層の膜厚を8〜34μmの間で変化させて、蛍光体層の厚さが異なる多数のランプを作製し、それぞれ点灯して発光効率を測定した。
図2において、縦軸は発光効率の相対値であり最大値を1として示す。横軸は蛍光体層の膜厚(μm)を示す。なお、点灯条件は、室温で、ランプ入力8Wであった。
【0019】
この図のように蛍光体の平均粒子径が1〜3μmのランプにおいては、発光効率は膜厚10〜20μmにおいてピークとなり、13μm近傍において最大となる。膜厚が20μmを超えると、発光効率は常に、膜厚10〜20μmの範囲よりも下回り、高い効率が得られなくなる。
従って、バックライト光源用の希ガス蛍光ランプ(すなわち、アパーチャがない希ガス光源ランプ)においては、蛍光体層の膜厚が約10〜20μmの範囲に最適値があると考えられる。
【0020】
〔蛍光体平均粒径の検討1〕
本発明者らは更に高い発光効率を実現するため、蛍光体の平均粒子径と照度について調査した。
【0021】
〔実験例2−1〕
図1に示す液晶表示装置のバックライト用希ガス蛍光ランプ(1)を下記の仕様により作製した。
発光管の材質はバリウムガラスであり、管の外径φ8mm(内径φ7.2mm)、全長700mmであった。その内表面の全周に亘って、平均粒子径が、2μm、4μm、5μm、6.5μm、8μmの青色蛍光体;BaMgAl1017:Euを、それぞれ塗布した。この膜厚は15μmであった。発光管の内部には、キセノン80%、ネオン20%の混合ガスを、10kPa(25℃換算)封入し、外表面上に一対の外部電極を形成した。外部電極は材質がAl(アルミニウム)であり、幅1mm、長さ680mm、厚さ10μmであった。ガラス管内にガスを封入して端部を封止し、金属シートよりなる電極を管の対向位置に貼り付けて形成した。なお電極には、ランプの片側に端子を形成して給電部を形成し、上述した条件で電圧を印加してランプを点灯し、輝度を測定した。なお、発光管の材質は、蛍光体粒子径や膜厚の相対的な関係について、影響を与えないので、他の材質のガラス、例えば、ソーダ石灰ガラス、アルミノ珪酸ガラス、硼珪酸ガラスなどを使用しても、最適な粒子径や膜厚の範囲は、変わらない。
【0022】
図3に上記実験結果を、白抜きの三角形及び実線で示す。なおグラフは、縦軸が輝度の相対値であり、横軸が蛍光体の平均粒子径(μm)である。
【0023】
〔実験例2−2〕
上記実験例2−1とは、蛍光体層の膜厚を20μmとしたことを除いて、同仕様の希ガス蛍光ランプを作製した。
更に、点灯条件も同様にしてランプを点灯して輝度を測定した。
この結果を前図、図3に、黒塗りの四角及び点線で合わせて掲載する。
【0024】
以上の実験例2−1〜2−2の結果、従来技術に係る蛍光体の平均粒子径が1〜3μmのものに比較し、平均粒子径が4〜6μmの範囲のもので蛍光体層を形成すると、輝度が高くなる。また、平均粒子径約5μmにおいて最大の輝度が得られるとわかった。
【0025】
〔実験例3−1〕
上記実施例2−1とは、蛍光体層を構成する蛍光体を緑色蛍光体であるLaPO,Ce,Tb(G)に変更したことを除いて、同様の仕様として種々の希ガス蛍光ランプを作製した。蛍光体の平均粒径を、2μm、3μm、5.5μm、6.5μmと種々変更して、それぞれ、膜厚が15μmの蛍光体層ガラス管の内周面の全周に亘って形成した。
【0026】
図4は、上記実験結果を示す図であり、白抜きの三角形と実線で示す。なおグラフにおける縦軸は輝度の相対値、横軸は蛍光体の平均粒子径である。
【0027】
〔実施例3−2〕
上記実施例3−1とは、蛍光体層の膜厚を20μmとしたことを除いて、同仕様の希ガス蛍光ランプを作製した。
更に、点灯条件も同様にしてランプを点灯して輝度を測定した。
この結果を前図、図4に黒塗りの四角形及び点線で示す。
【0028】
以上の実験例3−1、3−2の結果、従来技術に係る蛍光体の平均粒子径が1〜3μmのものに比較し、平均粒子径が4〜6μmの範囲のもので蛍光体層を形成すると、輝度が高くなる。また、平均粒子径約5μmにおいて最大の輝度が得られるとわかった。
【0029】
なお、比較のために蛍光体の材質を赤色蛍光体であるユーロピウム付活酸化イットリウム蛍光体(Y2:Eu)を用い、その平均粒子径を2〜8μmの範囲で変えて、平均粒子径が異なる蛍光体を用いて種々の希ガス蛍光ランプを作製したところ、上記実験例と同様、5μmにおいて最大輝度が得られ、4〜6μmの範囲の蛍光体を選択すると、蛍光体の平均粒子径が3μm以下のものに比較して、高い輝度を得ることができるとわかった。
また、この実験結果と実験例2−1〜3−2の結果も合わせて考察すると、蛍光体の材質によらず、平均粒子径が4〜6μmである場合には、高い輝度を得ることができるとわかった。
【0030】
〔蛍光体層の膜厚の検討2〕
以上の結果を考慮し、蛍光体の平均粒子径が4〜6μmである蛍光体(赤色蛍光体、青色蛍光体、緑色蛍光体の混合)を用いて、〔実験例1〕と同仕様の希ガス蛍光ランプを作製し、発光効率を測定した。この結果を、図2に実線で示す。
【0031】
図2に示すように、蛍光体の平均粒子径が4〜6μmのランプにおいては、平均粒子径1〜3μmとした実験例1に係るランプに比較し、高い発光効率を得ることができるとわかった。
また、膜厚が10〜20μmにおいてピークとなり、15μm近傍において最大となる。膜厚が20μmを超えると、発光効率は常に、膜厚10〜20μmの範囲よりも下回り、高い効率が得られなくなる。すなわち膜厚と発光効率の相関については、蛍光体の平均粒子径の大小によらず、同様の傾向を示すことがわかった。
【0032】
このように、従来の原稿照明用の希ガス蛍光ランプに比較し、平均粒子径が大きい、平均粒子径が4〜6μmの蛍光体を用いることにより、高い発光効率が得られるようになる。
この理由は下記のように考えられる。
図5は、発光管11と蛍光体層12を拡大して示す拡大図であり、(a)は本発明に係る希ガス蛍光ランプの拡大図、(b)は従来技術に係る希ガス蛍光ランプの拡大図である。キセノンの分子発光により放射された真空紫外光が、蛍光体の表面において可視光に変換され、変換された可視光が蛍光体の粒子の間を通過して、発光管の外部に放射される。可視光は、蛍光体層を通過する間、蛍光体表面で反射を繰り返すが、(a)で示すように蛍光体が比較的大きい場合、発光管11の内面に到着するまで蛍光体と衝突(反射)する回数は比較的少なく、よって、蛍光体に吸収される光が少なく、すなわち、光学的な効率が高くなって、光出力がより大きくなる。一方、(b)のように蛍光体の粒子径が小さい場合、蛍光体と衝突(反射)する回数が多くなって光の減衰が大きくなるため、光出力が小さくなる、と推測される。
一方、蛍光体の平均粒子径が大きくなると、蛍光体の対比表面積が減少するため真空紫外光から可視光に変換される効率が低下する。蛍光体の平均粒子径が6μmを超えて大きくなると、蛍光体層を透過して可視光が発光管外部に放射される効率よりも、発光管内で発生する可視光量の低下が影響し、発光管外部に放射される光出力が低下し、輝度が減少していくと考えられる。
【0033】
上記構成に係る希ガス蛍光ランプによれば、蛍光体層を構成する蛍光体の平均粒子径を4〜6μmとすることにより、高い輝度が得られる希ガス蛍光ランプを提供することができる。また、蛍光体層の膜厚を10〜20μmとすることで、高い発光効率を実現することができる。
【0034】
このような本発明に係る希ガス蛍光ランプによれば、液晶表示装置のバックライト用光源装置として好適に利用することができる。
図6は、本発明に係る希ガス蛍光ランプを複数本用いて、液晶表示装置におけるバックライト用の光源装置を構成した図である。
図6において、希ガス蛍光ランプ10は、同一平面上に、各ランプの管軸が互いに平行になるよう配置されている。複数のランプ10を取り囲む箱状の筐体31は、外周部分311が例えば鋼板よりなり、その内部に白色のポリカーボネイト製の反射成形体312が嵌め込まれている。
筐体31上部には、投光開口32が形成され、これを覆うように拡散シート33、指向性制御シート34が積層状態に配設されており、最外部に配置された拡散シート33から光が放出され、ここから出た光が液晶パネル(不図示)を照射する。
このような光源装置30によれば、光源である希ガス蛍光ランプ10は立ち上がりが速く拡散光を放射するものであるうえ輝度が高く、液晶表示用のバックライト用として好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施例の希ガス蛍光ランプの構成を示す図であり、同図(a)は本発明の実施例の希ガス蛍光ランプの斜視図、同図(b)は希ガス蛍光ランプを管軸に垂直な平面で切った断面図である
【図2】ランプの発光効率相対値と蛍光体層の膜厚(μm)の関係を示す図である。
【図3】実験結果を示す図であり、輝度と蛍光体の平均粒子径の関係を示す図である。
【図4】実験結果を示す図であり、輝度と蛍光体の平均粒子径の関係を示す図である。
【図5】発光管と蛍光体層を拡大して示す説明用断面図であり、(a)は本発明に係る希ガス蛍光ランプの図、(b)は従来技術に係る希ガス蛍光ランプの図である。
【図6】液晶表示装置におけるバックライト用の光源装置を構成した図である。
【図7】従来技術にかかる原稿照明用の希ガス蛍光ランプの管軸に垂直方向断面の概略構成図である。
【符号の説明】
【0036】
10 希ガス蛍光ランプ
11 発光管
12a,12b 外部電極
13 蛍光体層
14 アパーチャ
20 点灯電源
30 光源装置
31 筐体
32 光投射口
33 拡散シート
34 指向性制御シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
希ガスが封入され、内面に蛍光体層を形成した直管状の発光管を有し、
該発光管の外面に、その長手方向に亘って一方の電極を形成すると共に、他方の電極を一方の電極と該他方の電極の間に誘電体を介在させて形成し、一方と他方の電極の間で誘電体を介して放電させることにより、前記発光管内でエキシマ発光させる希ガス蛍光ランプにおいて、
蛍光体層は発光管の全周に亘って形成されてなり、当該蛍光体層を構成する蛍光体の平均粒子径が4〜6μmであると共に、その厚みが10〜20μmであることを特徴とする希ガス蛍光ランプ。
【請求項2】
希ガスが封入された直管状の発光管と、該発光管の外面に、その長手方向に亘って形成された一方の電極及び該一方の電極との間に誘電体を介在させて形成された他方の電極と、前記発光管の内表面上に全周に亘って、形成され、蛍光体の平均粒子径が4〜6μmであると共に、その厚みが10〜20μmである蛍光体層とを備えてなる希ガス蛍光ランプと;
内部に前記希ガス蛍光ランプを収容し、投光開口を備えた筐体と;
該筐体の投光開口に配設された光出射面を有する光拡散板と;
を具備していることを特徴とする光源装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−134059(P2007−134059A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−323305(P2005−323305)
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】