説明

希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体の製造方法

【課題】感度、及び鮮鋭度、粒状性で表わされる画像特性に優れた希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体の製造方法の提供。
【解決手段】下記工程を含む一般式Ba1−xxFI:yM,zLnで表わされる輝尽性蛍光体の製造方法。(1)M及びMのハロゲン化物を含み、BaI濃度が2N以上の水溶液を調整する工程(2)上記水溶液を50℃以上に維持しながら、これに濃度5N以上の無機弗化物水溶液とLnのハロゲン化物の水溶液を添加して前駆体結晶の沈殿物を得る工程(3)沈殿物を分離する工程(4)分離した沈殿物を焼成する行程(M:Sr及びCaより選ばれるアルカリ土類金属、M:Li,Na,K,Rb及びCsより選ばれるアルカリ金属、Ln:Ce,Pr,Sm,Eu,Gd,Tb,Tm及びYbより選ばれる希土類元素、x,y及びzは、0≦x≦0.5,0≦y≦0.05,0<z≦0.2)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の放射線写真法に代わる方法として、たとえば特開昭55−12145号公報に記載されているような輝尽性蛍光体を用いる放射線像記録再生方法が知られている。この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放射線像変換パネル(蓄積性蛍光体シート)を利用するもので、被写体を透過した、あるいは被検体から発せられた放射線を該パネルの輝尽性蛍光体に吸収させ、そののちに輝尽性蛍光体を可視光線、赤外線などの電磁波(励起光)で時系列的に励起することにより、該輝尽性蛍光体中に蓄積されている放射線エネルギーを蛍光(輝尽発光光)として放出させ、この蛍光を光電的に読み取って電気信号を得、次いで得られた電気信号に基づいて被写体あるいは被検体の放射線画像を可視像として再生するものである。読み取りを終えた該パネルは、残存する画像の消去が行なわれた後、次の撮影のために備えられる。すなわち、放射線像変換パネルは繰り返し使用することができる。
【0003】
上記の放射線像記録再生方法によれば、従来の放射線写真フィルムと増感紙との組合せを用いる放射線写真法による場合に比較して、はるかに少ない被曝線量で情報量の豊富な放射線画像を得ることができるという利点がある。さらに、従来の放射線写真法では一回の撮影ごとに放射線写真フィルムを消費するのに対して、この放射線像変換方法では放射線像変換パネルを繰り返し使用するので、資源保護、経済効率の面からも有利である。
【0004】
輝尽性蛍光体は、放射線を照射した後、励起光を照射すると輝尽発光を示す蛍光体であるが、実用上では、波長が400〜900nmの範囲にある励起光によって300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す蛍光体が一般的に利用される。
【0005】
放射線像記録再生方法に用いられる放射線像変換パネルは、基本構造として、支持体とその表面に設けられた蛍光体層(輝尽性蛍光体層)からなるものである。ただし、蛍光体層が自己支持性である場合には必ずしも支持体を必要としない。輝尽性蛍光体層は、通常は輝尽性蛍光体とこれを分散状態で含有支持する結合剤とからなる。ただし、輝尽性蛍光体層としては、蒸着法や焼結法によって形成される結合剤を含まないで輝尽性蛍光体の凝集体のみから構成されるものが知られている。
【0006】
また、輝尽性蛍光体の凝集体の間隙の高分子物質が含浸されている輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネルも知られている。これらのいずれの蛍光体層でも、輝尽性蛍光体はX線などの放射線を吸収したのち励起光の照射を受けると輝尽発光を示す性質を有するものであるから、被写体を透過したあるいは被検体から発せられた放射線は、その放射線量に比例して放射線像変換パネルの輝尽性蛍光体層に吸収され、パネルには被写体あるいは被検体の放射線像が放射線エネルギーの蓄積像として形成される。この蓄積像は、上記励起光を照射することにより輝尽発光光として放出させることができ、この輝尽発光光を光電的に読み取って電気信号に変換することにより放射線エネルギーの蓄積像を画像化することが可能となる。
【0007】
なお、輝尽性蛍光体層の表面(支持体に面していない側の表面)には通常、ポリマーフィルムあるいは無機物の蒸着膜などからなる保護膜が設けられていて、蛍光体層を化学的な変質あるいは物理的な衝撃から保護している。
【0008】
従来より放射線像変換パネルに用いられてきた輝尽性蛍光体の例としては、(1)特開昭55−12145号公報に記載されている(Ba1−X,M2+X)FX:yA(ただし、M2+はMg、Ca、Sr、ZnおよびCdのうちの少なくとも一つ、XはCl、Br、およびIのうち少なくとも一つ、AはEu、Tb、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、およびErのうちの少なくとも一つ、そしてxは、0≦x≦0.6、yは、0≦y≦0.2である)の組成式で表わされる希土類元素付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物蛍光体;
【0009】
また、この蛍光体には以下のような添加物が含まれていてもよい:
特開昭56−74175号公報に記載されている、X′、BeX′′、MX′′′(ただし、X′、X′′、およびX′′′はそれぞれCl、BrおよびIのうち少なくとも一種であり、Mは三価金属である);
特開昭55−160078号公報に記載されているBeO、BgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、Al、Y、La、In、SiO、TiO、ZrO、GeO、SnO、Nb、TaおよびThOなどの金属酸化物;
【0010】
特開昭56−116777号公報に記載されているZr、Sc;
特開昭57−23673号公報に記載されているB;
特開昭57−23675号公報に記載されているAs、Si;
特開昭58−206678号公報に記載されているM・L(ただし、MはLi、Na、K、Rb、およびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;LはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga、In、およびTlからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属である);
【0011】
特開昭59−27980号公報に記載されているテトラフルオロホウ酸化合物の焼成物;
特開昭59−27289号公報に記載されているヘキサフルオロケイ酸、ヘキサフルオロチタン酸およびヘキサフルオロジルコニム酸の一価もしくは二価金属の塩の焼成物
;特開昭59−56479号公報に記載されているNaX′(ただし、X′はCl、BrおよびIのうちの少なくとも一種である);
特開昭59−56480号公報に記載されているV、Cr、Mn、Fe、CoおよびNiなどの遷移金属;
【0012】
特開昭59−75200号公報に記載されているMX′、M′X′′、MX′′′、A(ただし、MはLi、Na、K、Rb、およびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、M′はBeおよびMgからなる群より選ばれる少なくとも一種の二価金属であり;MはAl、Ga、In、およびTlからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり;Aは金属酸化物であり;X′、X′′およびX′′′はそれぞれF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである);
【0013】
特開昭60−101173号公報に記載されているMX′(ただし、MはRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;X′はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである);
特開昭61−23679号公報に記載されているM′X′・M′X′′(ただし、M′はBa、SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;X′およびX′はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつX′≠X′′である);および
【0014】
特願昭60−106752号明細書に記載されているLnX′′(ただし、LnはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;X′′はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである);
(2)特開昭60−84381号公報に記載されているM・aM:xEu2+(ただし、MはBa、SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XおよびX′はCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつX≠X′であり;そしてaは0.1≦a≦0.0、xは0<x≦0.2である)の組成式で表わされる二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロゲン化物蛍光体;
【0015】
また、この蛍光体には以下のような添加物が含まれていてもよい;
特開昭60−166379号公報に記載されているM X′′(ただし、MはRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;X′′はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである);
特開昭60−221483号公報に記載されているKX′′、MgX′′′、M X′′′′(ただし、MはSc、Y、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり;X′′、X′′′およびX′′′′はいずれもF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである);
【0016】
特開昭60−228592号公報に記載されているB;
特開昭60−228593号公報に記載されているSiO、P等の酸化物;
特開昭61−120882号公報に記載されているLiX′′、NaX′′(ただし、X′′はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである);
特開昭61−120883号公報に記載されているSiO;
特開昭61−120885号公報に記載されているSnX′′(ただし、X′′はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである);
【0017】
特開昭61−235486号公報に記載されているCsX′′、SnX′′′(ただし、X′′およびX′′′はそれぞれF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである);および
特開昭61−235487号公報に記載されているCsX′′、Ln3+(ただし、X′′はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;LnはSc、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素である);
【0018】
(3)特開昭55−12144号公報に記載されているLnOX:xA(ただし、LnはLa、Y、Gd、およびLuのうち少なくとも一つ;XはCl、Br、およびIのうち少なくとも一つ;AはCeおよびTbのうち少なくとも一つ;そして、xは、0<x<0.1である)の組成式で表わされる希土類元素付活希土類オキシハライド蛍光体;
【0019】
(4)特開昭58−69281号公報に記載されているMOX:xCe(ただし、MはPr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化金属であり;XはCl、Br、およびIのうち少なくとも一つであり;xは0<x<0.1である)の組成式で表わされるセリウム付活三価金属オキシハライド蛍光体;
【0020】
(5)特願昭60−70484号明細書に記載されているMX:xBi(ただし、MはRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてxは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表わされるビスマス付活アルカリ金属ハロゲン化物蛍光体;
【0021】
(6)特開昭60−141783号公報に記載されているM(POx:xEu2+(ただし、MはCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表わされる二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロリン酸塩蛍光体;
【0022】
(7)特開昭60−157099号公報に記載されているMBOX:xEu2+(ただし、MはCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表わされる二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロホウ酸塩蛍光体;
【0023】
(8)特開昭60−157100号公報に記載されているMPOX:xEu2+(ただし、MはCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表わされる二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロリン酸塩蛍光体;
【0024】
(9)特開昭60−217354号公報に記載されているMHX:xEu2+(ただし、MはCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表わされる二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属水素化ハロゲン化物蛍光体;
【0025】
(10)特開昭61−21173号公報に記載されているLnX・aLn′X′:xCe3+(ただし、LnおよびLn′はそれぞれY、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;XおよびX′はそれぞれF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつX≠X′であり;そしてaは0.1<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表わされるセリウム付活希土類複合ハロゲン化物蛍光体;
【0026】
(11)特開昭61−21182号公報に記載されているLnX・aMX′:xCe3+(ただし、LnおよびLn′はそれぞれY、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;M1はLi、Na、K、CsおよびRbからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;XおよびX′はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表わされるセリウム付活希土類複合ハロゲン化物系蛍光体;
【0027】
(12)特開昭61−40390号公報に記載されているLnPO・aLnX:xCe3+(ただし、LnはY、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;XはF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0.1≦a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表わされるセリウム付活希土類ハロ燐酸塩蛍光体;
【0028】
(13)特願昭60−78151号明細書に記載されているCsX:aRbX′:xEu2+(ただし、XおよびX′はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表わされる二価ユーロピウム付活ハロゲン化セシウム・ルビジウム蛍光体;および
【0029】
(14)特願昭60−78153号明細書に記載されているM・aMX′:xEu2+(ただし、MはBa、SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;MはLi、RbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;XおよびX′はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0.1≦a≦20.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表わされる二価ユーロピウム付活複合ハロゲン化物蛍光体;を挙げることができる。
(15)上記の他、下記特許文献1及び特許文献2に記載のものも知られている。
【0030】
上記の輝尽性蛍光体のうちで、ヨウ素を含有する二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体、ヨウ素を含有する二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体、ヨウ素を含有する希土類元素付活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、およびヨウ素を含有するビスマス付活アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体は高輝度の輝尽発光を示す。
【0031】
これら従来より知られている輝尽性蛍光体の製造法は固相法、あるいは焼結法と呼ばれるものであるが、焼成後の粉砕が必須であり、感度、画像性能に影響する粒子形状の制御が難しいという問題がある。
【特許文献1】特開平7−233369号
【特許文献1】特開昭55−160078号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
本発明は希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体の製造方法に関するものであり、特に感度、及び鮮鋭度、粒状性で表わされる画像特性が共に優れた希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0033】
上記課題を解決する本発明は下記構成を有する。
1. 一般式(1) Ba1−xxFI:yM,zLn
:Sr及びCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属
:Li,Na,K,Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属
Ln:Ce,Pr,Sm,Eu,Gd,Tb,Tm及びYbからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素
x,y及びzは、それぞれ0≦x≦0.5,0≦y≦0.05,0<z≦0.2
で表わされる希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体を製造するための下記の工程を有する希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体の製造方法。
【0034】
一般式(1)のxが0でない場合には、Mのハロゲン化物を、そしてyが0でない場合には更にMのハロゲン化物を含み、BaI濃度が2N以上の水溶液を調製する工程;
上記の水溶液を50℃以上の温度に維持しながら、これに濃度5N以上の無機弗化物の水溶液とLnのハロゲン化物の水溶液を添加して希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の沈澱物を得る工程;
上記の前駆体結晶の沈澱物を水溶液から分離する工程;
そして、分離した前駆体結晶の沈澱物を焼成する工程。
【0035】
2.前記無機弗化物は、弗化アンモニウムもしくはアルカリ金属の弗化物であることを特徴とする前記1に記載の希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体の製造方法。
【0036】
3.前記沈殿物を焼成する工程において、前記沈殿物の焼結を避けながら焼成することを特徴とする前記1又は2に記載の希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体の製造方法。
【0037】
本発明の参考例として、下記を挙げることができる。
(1) 一般式(1) Ba1−xxFI:yM,zLn
:Sr及びCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属
:Li,Na,K,Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属
Ln:Ce,Pr,Sm,Eu,Gd,Tb,Tm及びYbからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素
x,y及びzは、それぞれ0≦x≦0.5,0≦y≦0.05,0<z≦0.2
で表わされる希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体を製造するための下記の工程を有する希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体の製造方法。
【0038】
BaIとLnのハロゲン化物とを含み、そして一般式(1)のxが0でない場合には更に、Mのハロゲン化物を、そしてyが0でない場合には更にMのハロゲン化物を含み、BaI濃度が2N以上の水溶液を調製する工程;
上記の水溶液を50℃以上の温度に維持しながら、これに濃度5N以上の無機弗化物の水溶液を添加して希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の沈澱物を得る工程;
上記の前駆体結晶の沈澱物を水溶液から分離する工程;
そして、分離した前駆体結晶の沈澱物を焼成する工程。
【0039】
(2)一般式(1)で表される希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体を製造するための下記の工程を有する希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体の製造方法。
【0040】
ハロゲン化アンモニウムとLnのハロゲン化物とを含み、そして一般式(1)のxが0でない場合には更に、Mのハロゲン化物を、そしてyが0でない場合には更にMのハロゲン化物を含み、ハロゲン化アンモニウム濃度が3N以上の水溶液を調製する工程;
上記の水溶液を50℃以上の温度に維持しながら、これに濃度5N以上の無機弗化物の水溶液とBaI2の水溶液とを添加して希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の沈澱物を得る工程;
上記の前駆体結晶の沈澱物を水溶液から分離する工程;
そして、分離した前駆体結晶の沈澱物を焼成する工程。
【0041】
(3)前記沈殿物を得る工程において、前記無機弗化物の水溶液の弗素と前記BaIの水溶液のBaとの比率を一定にしながら、無機弗化物水溶液とBaIの水溶液とを添加することを特徴とする前記(2)記載の希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体の製造方法。
【0042】
(4)一般式(1)で表される希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体を製造するための下記の工程を有する希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体の製造方法。
【0043】
一般式(1)のxが0でない場合には、Mのハロゲン化物を、そしてyが0でない場合には更にMのハロゲン化物を含み、ハロゲン化アンモニウム濃度が3N以上の水溶液を調製する工程;
上記の水溶液を50℃以上の温度に維持しながら、これに濃度5N以上の無機弗化物の水溶液、BaIの水溶液、及びとLnのハロゲン化物の水溶液を添加して希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の沈澱物を得る工程;
上記の前駆体結晶の沈澱物を水溶液から分離する工程;
そして、分離した前駆体結晶の沈澱物を焼成する工程。
【0044】
(5)前記沈殿物を得る工程において、前記無機弗化物の水溶液の弗素と前記BaIの水溶液のBaと前記Lnのハロゲン化物の水溶液のLnとの比率を一定にしながら、前記無機弗化物の水溶液と前記BaIの水溶液とを添加することを特徴とする前記(4)記載の希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体の製造方法。
【0045】
(6)前記一般式(1)で表される希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体を製造するための下記の工程を有する希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体の製造方法。
【0046】
ハロゲン化アンモニウムを含み、そして一般式(1)のxが0でない場合には更に、Mのハロゲン化物を、そしてyが0でない場合には更にMのハロゲン化物を含み、ハロゲン化アンモニウム濃度が3N以上の水溶液を調製する工程;
上記の水溶液を50℃以上の温度に維持しながら、これに濃度5N以上の無機弗化物水溶液、BaIの水溶液を添加してアルカリ土類金属弗化ヨウ化物の沈澱物を得る工程;
上記の沈澱物を水溶液から分離する工程;
そして、分離した沈澱物とLnのハロゲン化物を混合後、焼成する工程。
【0047】
(7)前記(1)〜(6)のいずれかに記載の希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体の製造方法により製造された希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体を含有する蛍光体層を有することを特徴とする放射線画像変換パネル。
【発明の効果】
【0048】
本発明によれば、感度、鮮鋭度及び粒状性で表される画像特性が全て優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下に輝尽性蛍光体の製造法の詳細について説明する。
(前駆体結晶の沈澱物の作成、輝尽性蛍光体作成)
前駆体結晶の沈澱物の製造方法1、2について説明する。
【0050】
製造法1:
BaIを、そして必要により更にMのハロゲン化物、そして更にMのハロゲン化物を水系媒体中に入れ充分混合し、溶解させて、それらが溶解した水溶液を調製する。ただし、BaI濃度が2N以上、好ましくは2.7N以上となるようにBaI濃度と水系溶媒との量比を調整しておく。このとき、所望により、少量の酸、アンモニア、アルコール、水溶性高分子ポリマー、水不溶性金属酸化物微粒子粉体などを添加してもよい。
【0051】
この水溶液は50℃以上、好ましくは80℃以上に維持される。次いで該温度で撹拌されている該水溶液に濃度5N以上、好ましくは8N以上の無機弗化物(弗化アンモニウムもしくはアルカリ金属の弗化物)の水溶液を添加して希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の沈澱物を得る。無機弗化物(弗化アンモニウム、アルカリ金属の弗化物など)の水溶液の添加はポンプ付きのパイプなどを用いて行う尚、Lnのハロゲン化物の添加時期は問わず、添加開始時にあらかじめ母液等の中にあってもよく、無機弗化物と同時又は後で添加してもよい。また、焼成前の前駆体結晶沈澱物とLnのハロゲン化物を混合しても良い。
【0052】
製造法2(参考例):
母液がハロゲン化アンモニウムを含み、一般式(1)のxが0でない場合には更に、Mのハロゲン化物を、そしてyが0でない場合には更にMのハロゲン化物を含み、それらが溶解したのち、ハロゲン化アンモニウム濃度が3N以上、好ましくは4N以上の水溶液を調製する。
【0053】
上記の水溶液を50℃以上、好ましくは80℃以上の温度に維持される。次いで該温度で撹拌されている該水溶液に濃度5N以上、好ましくは8N以上の無機弗化物(弗化アンモニウムもしくはアルカリ金属の弗化物)の水溶液とBaIの水溶液とを前者の弗素と後者のBaとの比率を一定に維持しながら連続的もしくは間欠的に添加して希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の沈澱物を得る。弗素とBa、あるいは弗素とBaとLnの添加量の比率を一定にすることにより、深さ方向に対して均一な元素組成を持つ結晶を得る。前記結晶を焼成することにより性能のばらつきの少ない蛍光体を得る。
【0054】
尚、Lnのハロゲン化物の添加時期は問わず、添加開始時にあらかじめ母液等の中にあってもよく、無機弗化物及びBaIの水溶液と同時又は後で添加してもよい。また、焼成前の前駆体結晶沈澱物とLnのハロゲン化物を混合しても良い。
【0055】
次に、上記の蛍光体前駆体結晶を、濾過、遠心分離などによって溶液から分離し、メタノールなどによって充分に洗浄し、乾燥する。
【0056】
付活剤の均一な還元反応を達成するためには焼結を避けながら行うことが好ましい。焼成時の焼結を避けるために、この乾燥蛍光体前駆体結晶に、アルミナ微粉末、シリカ微粉末などの焼結防止剤を添加、混合し、結晶表面に焼結防止剤微粉末を均一に付着させる。なお、焼成条件を選ぶことによって焼結防止剤の添加を省略することも可能である。
【0057】
次に、蛍光体前駆体の結晶を、石英ポート、アルミナルツボ、石英ルツボなどの耐熱性容器に充填し、電気炉の炉心に入れて焼成を行なう。焼成温度は400〜1300℃の範囲が適当であって、500〜1000℃の範囲が好ましい。焼成時間は蛍光体原料混合物の充填量、焼成温度および炉からの取出し温度などによっても異なるが、一般には0.5〜12時間が適当である。
【0058】
焼成雰囲気としては、窒素ガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気等の中性雰囲気、あるいは少量の水素ガスを含有する窒素ガス雰囲気、一酸化炭素を含有する二酸化炭素雰囲気などの弱還元性雰囲気、あるいは微量酸素導入雰囲気が利用される。
【0059】
上記の焼成によって目的の希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体が得られる。得られた蛍光体は、例えば、
BaFI:0.005Eu,
BaFI:0.001Eu,
Ba0.97Sr0.03FI:0.0001K,0.013Eu,
BaFI:0.0002K,0.005Eu,
Ba0.998Ca0.002FI:0.005Eu,
BaFI:0.005Ce,
Ba0.99Ca0.01FI:0.0002K,0.005Eu,
BaFI:0.0001Ce,0.0001Tb
である。
【0060】
尚、本発明に係る粒子(結晶)は単分散性のものが好ましく、平均粒径の分布(%)が20%以下のものが好ましく、特に15%以下のものが良い。
【0061】
(パネル作成、蛍光体層、塗布工程、支持体、保護層)
本発明の放射線画像変換パネルにおいて用いられる支持体としては各種高分子材料、ガラス、金属等が用いられる。特に情報記録材料としての取り扱い上可撓性のあるシートあるいはウェブに加工できるものが好適であり、この点からいえばセルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルム、アルミニウム、鉄、銅、クロム等の金属シートあるいは該金属酸化物の被覆層を有する金属シートが好ましい。
【0062】
また、これら支持体の層厚は用いる支持体の材質等によって異なるが、一般的には20μm〜1000μmであり、取り扱い上の点から、さらに好ましくは20μm〜500μmである。
【0063】
これらの支持体の表面は滑面であってもよいし、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的でマット面としてもよい。
【0064】
さらに、これら支持体は、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的で輝尽性蛍光体層が設けられる面に下引層を設けてもよい。
【0065】
本発明において輝尽性蛍光体層に用いられる結合剤の例としては、ゼラチン等の蛋白質、デキストラン等のポリサッカライド、またはアラビアゴムのような天然高分子物質;および、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ビニリデン・塩化ビニルコポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリレート、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルアルコール、線状ポリエステルなどのような合成高分子物質などにより代表される結合剤を挙げることができる。
【0066】
このような結合剤の中で特に好ましいものは、ニトロセルロース、線状ポリエステル、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ニトロセルロースと線状ポリエステルとの混合物、ニトロセルロースとポリアルキル(メタ)アクリレートとの混合物およびポリウレタンとポリビニルブチラールとの混合物である。なお、これらの結合剤は架橋剤によって架橋されたものであってもよい。輝尽性蛍光体層は、例えば、次のような方法により下塗層上に形成することができる。
【0067】
まず、ヨウ素含有輝尽性蛍光体、上記黄変防止のための亜燐酸エステル等の化合物および結合剤を適当な溶剤に添加し、これらを充分に混合して結合剤溶液中に蛍光体粒子および該化合物の粒子が均一に分散した塗布液を調製する。
【0068】
本発明に用いられる結合剤としては、前記造膜性の結着剤が使用され、一般に結着剤は輝尽性蛍光体1重量部に対して0.01乃至1重量部の範囲で使用される。しかしながら得られる放射線画像変換パネルの感度と鮮鋭性の点では結着剤は少ない方が好ましく、塗布の容易さとの兼合いから0.03乃至0.2重量部の範囲がより好ましい。
【0069】
塗布液における結合剤と輝尽性蛍光体との混合比(ただし、結合剤全部がエポキシ基含有化合物である場合には該化合物と蛍光体との比率に等しい)は、目的とする放射線像変換パネルの特性、蛍光体の種類、エポキシ基含有化合物の添加量などによって異なるが、一般には結合塗布液調製用の溶剤の例としては、メタノール、エノタール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノールなどの低級アルコール;メチレンクロライド、エチレンクロライドなどの塩素原子含有炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル;ジオキサン、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル;トルエン;そして、それらの混合物を挙げることができる。
【0070】
輝尽性蛍光体層用塗布液の調製に用いられる溶剤の例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等の低級アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等の低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル、トリオール、キシロールなどの芳香族化合物、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどのハロゲン化炭化水素およびそれらの混合物などが挙げられる。
【0071】
なお、塗布液には、該塗布液中における蛍光体の分散性を向上させるための分散剤、また、形成後の輝尽性蛍光体層中における結合剤と蛍光体との間の結合力を向上させるための可塑剤などの種々の添加剤が混合されていてもよい。そのような目的に用いられる分散剤の例としては、フタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などを挙げることができる。そして可塑剤の例としては、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸ジフェニルなどの燐酸エステル;フタル酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチル等のフタル酸エステル;グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコール酸ブチルフタリルブチルなどのグリコール酸エステル;そして、トリエチレングリコールとアジピン酸とのポリエステル、ジエチレングリコールとコハク酸とのポリエステルなどのポリエチレングリコールと脂肪族二塩基酸とのポリエステルなどを挙げることができる。
【0072】
なお、輝尽性蛍光体層用塗布液中に、輝尽性蛍光体層蛍光体粒子の分散性を向上させる目的で、ステアリン酸、フタル酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などの分散剤を混合してもよい。また必要に応じて結着剤に対する可塑剤を添加してもよい。前記可塑剤の例としては、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチルなどのフタル酸エステル、コハク酸ジイソデシル、アジピン酸ジオクチル等の脂肪族二塩基酸エステル、グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコール酸ブチルフタリルブチルなどのグリコール酸エステル等が挙げられる。
【0073】
上記のようにして調製された塗布液を、次に下塗層の表面に均一に塗布することにより塗布液の塗膜を形成する。この塗布操作は、通常の塗布手段、例えば、ドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーターなどを用いることにより行なうことができる。
【0074】
次いで、形成された塗膜を徐々に加熱することにより乾燥して、下塗層上への輝尽性蛍光体層の形成を完了する。輝尽性蛍光体層の層厚は、目的とする放射線像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体の種類、結合剤と蛍光体との混合比などによって異なるが、通常は20μm乃至1000μmとする。ただし、この層厚は20乃至500μmとするのが好ましい。
【0075】
輝尽性蛍光体層用塗布液の調製は、ボールミル、サンドミル、アトライター、三本ロールミル、高速インペラー分散機、Kadyミル、および超音波分散機などの分散装置を用いて行なわれる。調製された塗布液をドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーターなどの塗布液を用いて支持体上に塗布し、乾燥することにより輝尽性蛍光体層が形成される。前記塗布液を保護層上に塗布し、乾燥した後に輝尽性蛍光体層と支持体とを接着してもよい。
【0076】
本発明の放射線画像変換パネルの輝尽性蛍光体層の膜厚は目的とする放射線画像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体の種類、結着剤と輝尽性蛍光体との混合比等によって異なるが、20μm〜1000μmの範囲から選ばれるのが好ましく、20μm〜500μmの範囲から選ばれるのがより好ましい。
【実施例】
【0077】
以下、実施例を挙げて本発明を例証する。
実施例1
ユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、BaI水溶液(3.5N)2500mlとEuI水溶液(0.1N)80mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を攪拌しながら83℃で保温した。NHF水溶液(8N)250mlを反応母液中にローラーポンプを用いて注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と攪拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム(BaFI:0.004Eu)の結晶を得た。焼成時の焼結により粒子形状の変化、粒子間融着による粒子サイズ分布の変化を防止するために、アルミナの超微粒子粉体を1重量%添加し、ミキサーで充分攪拌して、結晶表面にアルミナの超微粒子粉体を均一に付着させた。これを石英ボートに充填して、チューブ炉を用いて水素ガス雰囲気中、850℃で2時間焼成してユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム蛍光体粒子を得た。
【0078】
次に放射線像変換パネルの製造例を示す。蛍光体層形成材料として、上記で得たユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム蛍光体427g、ポリウレタン樹脂(住友バイエルウレタン社製、デスモラック4125)15.8g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂2.0gをメチルエチルケトン−トルエン(1:1)混合溶媒に添加し、プロペラミキサーによって分散し、粘度25〜30PSの塗布液を調製した。この塗布液をドクターブレードを用いて下塗付きポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布したのち、100℃で15分間乾燥させて、種々の厚さの蛍光体層を形成した。
【0079】
次に、保護膜形成材料として、フッ素系樹脂:フルオロオレフィン−ビニルエーテル共重合体(旭硝子社製ルミフロンLF100)70g、架橋剤:イソシアネート(住友バイエルウレタン社製デスモジュールZ4370)25g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂5g、およびシリコーン樹脂微粉末(KMP−590、信越化学工業社製、粒子径1〜2μm)10gをトルエン−イソプロピルアルコール(1:1)混合溶媒に添加し、塗布液を作った。この塗布液を上記のようにして予め形成しておいた蛍光体層上にドクターブレードを用いて塗布し、次に120℃で30分間熱処理して熱硬化させるとともに乾燥し、厚さ10μmの保護膜を設けた。以上の方法により、種々の厚さの輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネルを得た。
【0080】
参考例1
NH4I水溶液(4.5N)2500mlとEuI水溶液(0.1N)80mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を攪拌しながら83℃で保温した。NHF水溶液(8N)250mlとBaI水溶液(3.5N)2500mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて流量制御を行ないながら注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と攪拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム(BaFI:0.004Eu)の結晶を得た。上記の結晶を用いて、実施例1に記載の方法によりパネルを作成した。
【0081】
実施例2
BaI水溶液(3.5N)2500mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を攪拌しながら83℃で保温した。NHF水溶液(8N)250mlとEuI水溶液(0.1N)80mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて流量制御を行ないながら注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と攪拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム(BaFI:0.004Eu)の結晶を得た。上記の結晶を用いて、実施例1に記載の方法によりパネルを作成した。
【0082】
参考例2
NHI水溶液(4.5N)2500mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を攪拌しながら83℃で保温した。NHF水溶液(8N)250mlとBaI水溶液(3.5N)2500ml及びEuI水溶液(0.1N)80mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて流量制御を行ないながら注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と攪拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム(BaFI:0.004Eu)の結晶を得た。上記の結晶を用いて、実施例1に記載の方法によりパネルを作成した。
【0083】
実施例3
BaI水溶液(3.5N)2500mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を攪拌しながら83℃で保温した。NHF水溶液(8N)250mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて流量制御を行ないながら注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と攪拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。上記の結晶とEuI 4.26gを混合後、石英ボートに充填して、チューブ炉を用いて水素ガス雰囲気中、850℃で2時間焼成してユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム蛍光体粒子(BaFI:0.004Eu)を得た。上記の結晶を用いて、実施例1に記載の方法によりパネルを作成した。
【0084】
実施例4
BaI水溶液(3.5N)2500mlとEuBr水溶液(0.2N)125mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を攪拌しながら83℃で保温した。NHF水溶液(8N)250mlを反応母液中にローラーポンプを用いて注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と攪拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム(BaFI:0.013Eu)の結晶を得た。上記の結晶を用いて、実施例1に記載の方法によりパネルを作成した。
【0085】
参考例3
NHI水溶液(4.5N)2500mlとEuBr水溶液(0.2N)125mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を攪拌しながら83℃で保温した。NHF水溶液(8N)250mlとBaI水溶液(3.5N)2500mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて流量制御を行ないながら注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と攪拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム(BaFI:0.013Eu)の結晶を得た。上記の結晶を用いて、実施例1に記載の方法によりパネルを作成した。
【0086】
実施例5
BaI水溶液(3.5N)2500mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を攪拌しながら83℃で保温した。NHF水溶液(8N)250mlとEuBr水溶液(0.2N)125mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて流量制御を行ないながら注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と攪拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム(BaFI:0.013Eu)の結晶を得た。上記の結晶を用いて、実施例1に記載の方法によりパネルを作成した。
【0087】
参考例4
NHI水溶液(4.5N)2500mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を攪拌しながら83℃で保温した。NHF水溶液(8N)250mlとBaI水溶液(3.5N)2500ml及びEuBr水溶液(0.2N)125mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて流量制御を行ないながら注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と攪拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム(BaFI:0.013Eu)の結晶を得た。上記の結晶を用いて、実施例1に記載の方法によりパネルを作成した。
【0088】
実施例6
BaI水溶液(3.5N)2500mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を攪拌しながら83℃で保温した。NHF水溶液(8N)250mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて流量制御を行ないながら注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と攪拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。上記の結晶とEuBr10.17gを混合後、石英ボートに充填して、チューブ炉を用いて水素ガス雰囲気中、850℃で2時間焼成して、ユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム蛍光体粒子(BaFI:0.013Eu)を得た。上記の結晶を用いて、実施例1に記載の方法によりパネルを作成した。
【0089】
実施例7
BaI水溶液(3.5N)2500mlとEuI水溶液(0.1N)80mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を攪拌しながら83℃で保温した。KF水溶液(8N)250mlを反応母液中にローラーポンプを用いて注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と攪拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム(BaFI:0.004Eu)の結晶を得た。上記の結晶を用いて、実施例1に記載の方法によりパネルを作成した。
【0090】
実施例8
BaI水溶液(3.5N)2500ml、EuI水溶液(0.1N)80ml、SrI 20.5g、及びKI 0.03gを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を攪拌しながら83℃で保温した。NHF水溶液(8N)250mlを反応母液中にローラーポンプを用いて注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と攪拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてストロンチューム・カリウム添加ユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム(BaFI:0.0001K,0.03Sr,0.004Eu)の結晶を得た。上記の結晶を用いて、実施例1に記載の方法によりパネルを作成した。
【0091】
比較例1
BaI水溶液(1.5N)5800mlとEuI水溶液(0.1N)80mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を攪拌しながら83℃で保温した。NHF水溶液(8N)250mlを反応母液中にローラーポンプを用いて注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と攪拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム(BaFI:0.004Eu)の結晶を得た。上記の結晶を用いて、実施例1に記載の方法によりパネルを作成した。
【0092】
比較例2
BaI水溶液(3.5N)2500mlとEuI水溶液(0.1N)80mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を攪拌しながら83℃で保温した。NHF水溶液(4N)500mlを反応母液中にローラーポンプを用いて注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と攪拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム(BaFI:0.004Eu)の結晶を得た。上記の結晶を用いて、実施例1に記載の方法によりパネルを作成した。
【0093】
比較例3
BaI水溶液(3.5N)2500mlとEuI水溶液(0.1N)80mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を攪拌しながら25℃で保温した。NHF水溶液(8N)250mlを反応母液中にローラーポンプを用いて注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と攪拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム(BaFI:0.004Eu)の結晶を得た。上記の結晶を用いて、実施例1に記載の方法によりパネルを作成した。
【0094】
比較例4
NHI水溶液(4.5N)2500mlとEuI水溶液(0.1N)80mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を攪拌しながら83℃で保温した。NHF水溶液(8N)250mlとヨウ化バリウム水溶液(1.5N)5800mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて流量制御を行ないながら注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と攪拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム(BaFI:0.004Eu)の結晶を得た。上記の結晶を用いて、実施例1に記載の方法によりパネルを作成した。
【0095】
比較例5
NHI水溶液(4.5N)2500mlとEuI水溶液(0.1N)80mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を攪拌しながら83℃で保温した。NHF水溶液(4N)500mlとヨウ化バリウム水溶液(3.5N)2500mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて流量制御を行ないながら注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と攪拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム(BaFI:0.004Eu)の結晶を得た。上記の結晶を用いて、実施例1に記載の方法によりパネルを作成した。
【0096】
比較例6
NHI水溶液(2.5N)2500mlとEuI水溶液(0.1N)80mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を攪拌しながら83℃で保温した。NHF水溶液(8N)250mlとヨウ化バリウム水溶液(3.5N)2500mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて流量制御を行ないながら注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と攪拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム(BaFI:0.004Eu)の結晶を得た。上記の結晶を用いて、実施例1に記載の方法によりパネルを作成した。
【0097】
比較例7
NHI水溶液(4.5N)2500mlとEuI水溶液(0.1N)80mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を攪拌しながら25℃で保温した。NHF水溶液(8N)250mlとヨウ化バリウム水溶液(3.5N)2500mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて流量制御を行ないながら注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と攪拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム(BaFI:0.004Eu)の結晶を得た。上記の結晶を用いて、実施例1に記載の方法によりパネルを作成した。
【0098】
比較例8
BaI水溶液(1N)8750mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を攪拌しながら83℃で保温した。NHF水溶液(8N)250mlとEuI水溶液(0.1N)80mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて流量制御を行ないながら注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と攪拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム(BaFI:0.004Eu)の結晶を得た。上記の結晶を用いて、実施例1に記載の方法によりパネルを作成した。
【0099】
比較例9
BaI水溶液(3.5N)2500mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を攪拌しながら83℃で保温した。NHF水溶液(4N)500mlとEuI水溶液(0.1N)80mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて流量制御を行ないながら注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と攪拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム(BaFI:0.004Eu)の結晶を得た。上記の結晶を用いて、実施例1に記載の方法によりパネルを作成した。
【0100】
比較例10
BaI水溶液(3.5N)2500mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を攪拌しながら25℃で保温した。NHF水溶液(8N)250mlとEuI水溶液(0.1N)80mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて流量制御を行ないながら注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と攪拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム(BaFI:0.004Eu)の結晶を得た。上記の結晶を用いて、実施例1に記載の方法によりパネルを作成した。
【0101】
比較例11
NHI水溶液(4.5N)2500mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を攪拌しながら83℃で保温した。NHF水溶液(8N)250ml、EuI水溶液(0.1N)80ml、及びBaI水溶液(1.5N)5800mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて流量制御を行ないながら注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と攪拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム(BaFI:0.004Eu)の結晶を得た。上記の結晶を用いて、実施例1に記載の方法によりパネルを作成した。
【0102】
比較例12
NHI水溶液(4.5N)2500mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を攪拌しながら83℃で保温した。NHF水溶液(4N)500ml、EuI水溶液(0.1N)80ml、及びBaI水溶液(3.5N)2500mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて流量制御を行ないながら注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と攪拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム(BaFI:0.004Eu)の結晶を得た。上記の結晶を用いて、実施例1に記載の方法によりパネルを作成した。
【0103】
比較例13
NHI水溶液(2.5N)2500mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を攪拌しながら83℃で保温した。NHF水溶液(8N)250ml、EuI水溶液(0.1N)80ml、及びBaI水溶液(3.5N)2500mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて流量制御を行ないながら注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と攪拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム(BaFI:0.004Eu)の結晶を得た。上記の結晶を用いて、実施例1に記載の方法によりパネルを作成した。
【0104】
比較例14
NHI水溶液(4.5N)2500mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を攪拌しながら25℃で保温した。NHF水溶液(8N)250ml、EuI水溶液(0.1N)80ml、及びBaI水溶液(3.5N)2500mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて流量制御を行ないながら注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と攪拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム(BaFI:0.004Eu)の結晶を得た。上記の結晶を用いて、実施例1に記載の方法によりパネルを作成した。
【0105】
比較例15
BaI水溶液(1.5N)5800mlとEuI水溶液(0.1N)80mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を攪拌しながら25℃で保温した。NHF水溶液(4N)500mlを反応母液中にローラーポンプを用いて注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と攪拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム(BaFI:0.004Eu)の結晶を得た。上記の結晶を用いて、実施例1に記載の方法によりパネルを作成した。
【0106】
比較例16
BaI水溶液(3.5N)2500mlとEuBr水溶液(0.2N)125mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を攪拌しながら25℃で保温した。NHF水溶液(8N)250mlを反応母液中にローラーポンプを用いて注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と攪拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム(BaFI:0.013Eu)の結晶を得た。上記の結晶を用いて、実施例1に記載の方法によりパネルを作成した。
【0107】
比較例17
BaI水溶液(1N)3500mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を攪拌しながら83℃で保温した。NHF水溶液(8N)1000mlとEuBr水溶液(0.2N)50mlを反応母液中に高送給精度シリンダポンプを用いて流量制御を行ないながら注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と攪拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、メタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム(BaFI:0.013Eu)の結晶を得た。上記の結晶を用いて、実施例1に記載の方法によりパネルを作成した。
【0108】
(放射線像変換パネルの評価)
感度については、放射線像変換パネルに管電圧80KVpのX線を照射した後、パネルをHe−Neレーザー光(633nm)で操作して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を受光器(分光感度S−5の光電子像倍管)で受光してその強度を測定した。下記の表において感度は相対値で示されている。
【0109】
鮮鋭度については、放射線像変換パネルに鉛製のMTFチャートを通して管電圧80KVpのX線を照射した後パネルHe−Neレーザー光で操作して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を上記と同じ受光器で受光して電気信号に変換し、これをアナログ/デジタル変換して磁気テープに記録し、磁気テープをコンピューターで分析して磁気テープに記録されているX線像の変調伝達関数(MTF)を調べた。下記の表には空間周波数2サイクル/mmにおけるMTF値(%)が示されている。
【0110】
また粒状性については、放射線像変換パネルに管電圧80KVpのX線を照射した後パネルをHe−Neレーザー光で操作して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を上記と同じ受光器で受光して電気信号に変換し、これをフィルムスキャナーによって通常の写真フィルムに記録し、得られた画像の粒状性を目視で評価した。なお下記の表において粒状性は増感紙(コニカ社製SRO−250)とX線写真フィルム(コニカ社製SR−G)を使用した従来実用のX線写真撮影によって得た画像の粒状性と比較して示されている。○印は前記の増感紙とフィルムを使用したX線写真撮影によって得た画像と同等の粒状性を意味し、◎印はそれよりも良好な粒状性を意味する。また△印はX線写真撮影によって得た画像よりもやや荒い粒状性を意味し、×印はそれよりも著しく荒い粒状性を意味する。
【0111】
【表1】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1) Ba1−xxFI:yM,zLn
:Sr及びCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属
:Li,Na,K,Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属
Ln:Ce,Pr,Sm,Eu,Gd,Tb,Tm及びYbからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素
x,y及びzは、それぞれ0≦x≦0.5,0≦y≦0.05,0<z≦0.2
で表わされる希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体を製造するための下記の工程を有する希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体の製造方法。
一般式(1)のxが0でない場合には、Mのハロゲン化物を、そしてyが0でない場合には更にMのハロゲン化物を含み、BaI濃度が2N以上の水溶液を調製する工程;
上記の水溶液を50℃以上の温度に維持しながら、これに濃度5N以上の無機弗化物の水溶液とLnのハロゲン化物の水溶液を添加して希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の沈澱物を得る工程;
上記の前駆体結晶の沈澱物を水溶液から分離する工程;
そして、分離した前駆体結晶の沈澱物を焼成する工程。
【請求項2】
前記無機弗化物は、弗化アンモニウムもしくはアルカリ金属の弗化物であることを特徴とする請求項1に記載の希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体の製造方法。
【請求項3】
前記沈殿物を焼成する工程において、前記沈殿物の焼結を避けながら焼成することを特徴とする請求項1又は2に記載の希土類付活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体の製造方法。

【公開番号】特開2006−193750(P2006−193750A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−70123(P2006−70123)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【分割の表示】特願平9−268072の分割
【原出願日】平成9年9月12日(1997.9.12)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】