希土類活性化アルミニウム窒化物粉末およびその製造方法
希土類活性化アルミニウム窒化物粉末が溶液をベースとした方法で作製され、アルミニウムと希土類金属の混合水酸化物が形成され、前記混合水酸化物は、フッ化金属アンモニウム、好ましくは希土類で置換された6フッ化アルミニウムアンモニウム((NH4)3Al1-xRExF6)に変換され、高温でのフッ化金属アンモニウムのアンモニア分解によって最終的に前記希土類活性化アルミニウム窒化物が形成される。本工程におけるフッ化物前駆体の使用により、窒化物粉末合成における欠陥の主な要因である最終のアンモニア分解段階での酸素源を避けることができる。さらには、アルミニウム窒化物は混合水酸化物の共沈物から形成されるため、前記粉末中のドーパントの分布は粒子内において非常に均一である
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光ダイオード(LED)、より具体的には白色光発光ダイオードに関わるものである。
【0002】
関連出願の相互参照
本願は、2006年1月31日出願の米国仮出願番号60/763,689の利益を請求する。本願は、2005年8月2日出願の同時継続出願である米国出願第11/161、403号の一部継続出願であり、その出願は、2004年8月13日出願の米国出願第60/601,382号の非仮出願である。これらの内容は、本願に参照をもって開示されたものとする。
【0003】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
本発明は、DOEによって授与されたDE−FC26−04NT42274のもとでの政府支援によって成された。
【0004】
技術の分野
本発明は発光ダイオード(LED)、より具体的には白色光発光する発光ダイオードに関する。
【0005】
発明の背景
固体照明は白色光の生成にいくつかの方法を使用する。混色法では、赤色、緑色、青色の単色LEDからの発光を組み合わせて白色光を生成している。各単色LED光源は高い内部量子効率を有しているため、そのような素子では比較的高いルーメンパーワットの白色光が生成される。しかしながら、3つのLEDに必要とされる空間が厄介であり、それらを一緒に設置するようにパッケージングすることは煩わしい。波長変換法は、紫外(UV)発光LEDを使用し、UV光(一般的に約380nmから420nm)を生成しており、その光はUV光によって励起される3色混合の蛍光体システムを用いて白色光に変換される。これは既知の水銀放電蛍光灯内で白色光を生成する様式と類似している。しかしながら、多くの従来のフォトルミネッセンス蛍光体は、水銀の放電で発光する254nmの放射光による励起用に最適化され、LEDの長い波長のUV放射光用には最適化されていない。UV発光LEDを使用するためのすべての領域の蛍光体を開発するには、さらなる取り組みが必要である。3番目の方法は、青色発光がGaInN LEDによって得られ、青色発光の一部分が蛍光体によって相補発光に変換される混合型である。本設計に基づく白色光源は、広帯域発光体、特にセリウム活性化イットリウム・アルミニウム・ガーネット、Y3Al5O12:Ce3+ (YAG:Ce3+)を用いて開発されている。本設計では、380nmでの高エネルギーUVフォトンが、可視フォトンに変換されることに関連する、大きなストークスシフトが避けられる。受動層として知られる第二の半導体層を用いた類似の設計が提案されており、それは部分的に450nmのInGaNの発光をInGaP合金により620nm付近の赤色フォトンに変換する。これは本質的には、活性層としてのInGaNと受動層としてのInGaPとの2層ヘテロ接合構造であり、InGaPは蛍光体として働く。
【0006】
発光素子中の蛍光体には、安定性のなさ、エポキシドーム内での劣化、塗布の均一性、可視光の散乱など、様々な技術的問題があり、これらの全ては発光素子が蛍光体を含まなければ避けられるものである。本願で用いる場合に、蛍光体とは、フォトルミネッセンス材料、すなわち、あるエネルギーのフォトンを異なるエネルギーに変換する材料のことを指している。
【0007】
発明の概要
好ましい実施態様において、米国特許出願公開番号2005/0253162に、窒化物ベースの発光ダイオード(LED)を用いた白色光の生成方法が記載されており、ここでは1つあるいは複数の窒化物ベースの層に、適したルミネッセントイオンがドープされる。そのような固体光源では、順方向バイアス下で本領域に導入された電子とホールの再結合によって生成された光を変換するために蛍光体の外部塗布を必要としない。さらには、フォトンの放射効率は蛍光体を用いたバンド端発光の白色光への変換と比べて高く、その理由は活性化イオンでの電子-ホール(e−h)対の再結合で放出されたフォトンが著しくストークスシフトしているためである。それらのフォトンの有するエネルギーは、吸収係数の低いホスト材料のバンドギャップよりも遙かに低い。窒化物内で生成されたフォトンは、材料の誘電率が高く、内部で全反射するために、材料内での閉じこめ時間が長い。バンド端付近で発光が生じるとき、励起子あるいはホスト発光の場合のように、発光されたフォトンのごく一部だけが、再吸収によって窒化物ホストを抜け出せる。これは、励起子あるいはホスト発光によって窒化物層で発光されたフォトンの抽出係数が低いことの原因と考えられている。しかしながら、希土類元素イオンからの発光は、バンドギャップよりも遙かに低いエネルギーで起きる可能性がある。ゆえに、内部での全反射による残留時間の長さにもかかわらず、それらのフォトンは素子から抜け出す可能性が高く、固体光源の全体としての効率は向上すると考えられる。
【0008】
そのような無蛍光体の固体光源を設計するには、白色光生成のための高い効率と演色評価数を得るように組成を最適化する必要がある。これは、バンド端発光を蛍光体イオンの励起ピークと一致させるよう調節することで実現すると予想される。活性化イオンの励起ピークが窒化物母材の中で決定されれば、バンド端発光は窒化物合金の組成を変化させることで調節できる。活性化イオンからの蛍光がホストからのエネルギー移動に依存するため、活性化イオンの濃度も、全体での蛍光効率を向上させるように調節できる。
【0009】
アルミニウム窒化物は、エネルギーギャップが大きいので(6.2eV)、その励起特性に基づいて希土類イオンドーパントを予備選択するのに適したホストである。しかしながら、過去には酸化物前駆体がGaとInの窒化物を合成するのに使われていたものの、アルミニウム酸化物を前駆体として高純度のアルミニウム窒化物を作製するのはほぼ不可能である。その代わりに、我々はアルミニウムと希土類金属の混合水酸化物を形成し、次いで前記の混合水酸化物はアンモニウム金属フッ化物、好ましくは希土類置換された6フッ化アルミニウムアンモニウム((NH4)3Al1-xRExF6) に変換し、その後、最終的には高温でのアンモニウム金属フッ化物のアンモニア分解によって窒化物に変換する、溶液をベースとした手法を発見した。
前記方法におけるフッ化物前駆体の使用により、窒化物粉末合成において欠陥の主な要因である最終のアンモニア分解段階での酸素源を避けることができる。さらには、アルミニウム窒化物は混合水酸化物の共沈物から形成されるため、表面のドーパント濃度のほうが高いと考えられるAlN薄膜のドーピングのためのイオン注入と比べて、前記粉末中のドーパントの分布は粒子内において実質的に均一である。
【0010】
本発明の一側面によれば、
(a) アルミニウムと希土類金属を含有する水性混合物を形成し、
(b) アルミニウムと前記希土類金属の混合水酸化物を沈殿させ、
(c) 前記混合水酸化物とフッ化アンモニウムとを反応させてアルミニウムと希土類金属のフッ化物化合物を形成し、
(d) 前記フッ化物化合物を乾燥させ、
(e) 前記の乾燥させたフッ化物化合物とアンモニアガスとを反応させて前記希土類活性化アルミニウム窒化物を形成させることを含む方法が提供される。
【0011】
前記製造方法で用いられる前記の希土類金属は、好ましくはDy、Tb、Eu、Tm、Ho、Sm、Er、Nd、Pr、Gdおよびそれらの組み合わせから選択され、より好ましくは、Tb、Eu、Tm、Dyおよびそれらの組み合わせから選択される。好ましい実施態様においては、前記の水性混合物がアルミニウム硝酸塩と希土類金属の硝酸塩の溶解によって形成される。
【0012】
本発明の他の側面によれば、
希土類のドーパントが各粒子内に実質的に均一に分布しているアルミニウム窒化物の粒子を含む希土類活性化アルミニウム窒化物粉末が提供される。好ましくは、希土類ドーパントはDy、Tb、Eu、Tm、Ho、Sm、Er、Nd、Pr、Gdおよびそれらの組み合わせから選択される。より好ましくは、前記希土類ドーパントはTb、Eu、Tm、Dyおよびそれらの組み合わせから選択される。前記材料群は、フォトルミネッセンス特性を示し、窒化物ベースのLEDの製造、好ましくは白色光の生成に用いられてもよい。
【0013】
図面の概要
図1はノンドープAlNと比較したAlN:Dyの室温フォトルミネッセンス(PL)スペクトルである。
【0014】
図2は発光波長を575nmに固定したAlNでのDy3+ 4F9/2-6H13/2遷移の室温フォトルミネッセンス励起(PLE)スペクトルである。
【0015】
図3はノンドープAlNと比較したAlN:Tmの室温PLスペクトルである。
【0016】
図4は発光波長を792nmに固定したAlNでのTm3+ 4G1-3H5遷移の室温PLEスペクトルである。
【0017】
図5は波長領域300から600nmでのAlN:Tbの室温PLスペクトルである。
【0018】
図6は発光波長を542nmに固定したAlNでのTb3+ 5D4-7F5遷移の室温PLEスペクトルである。
【0019】
図7は波長領域300から600nmで、ノンドープAlNと比較したAlN:Tb,Euの室温PLスペクトルである。
【0020】
図8は波長領域580から750nmで、ノンドープAlNと比較したAlN:Tb,Euの室温PLスペクトルである。
【0021】
図9は発光波長を610nmに固定したAlN:Tb,EuでのEu3+ 5D0-7F2遷移の室温PLEスペクトルである。
【0022】
図10は250と446nmでの励起のAlN:Euの室温PLスペクトルである。
【0023】
図11は発光波長を610nmに固定したAlN:Euの室温PLEスペクトルである。
【0024】
本発明の詳細な説明
本発明を、その更なる他の目的、利点および特性と共により良く理解するために、以下の開示及び特許請求の範囲を、前記の図面と一緒に参照されたい。
【0025】
希土類イオンを用いた、大きなバンドギャップを有するAlNのような窒化物へのドーピング用の希土類イオン候補は、蛍光分光法を用いて励起状態特性を探ることで、決定できると考えられる。特に、広いバンドギャップ(6.2eV)を有するアルミニウム窒化物では、窒化物ホストの中で一義的に励起ピークを決定できる。窒化物ホスト内に置換して入っている希土類イオンは窒素原子に対して四面体配位であるため、吸収あるいは励起ピークはAl、Ga及びInの窒化物もしくはそれらの合金に対して大きく変化しない。
【0026】
粉末化された材料は、散乱のために粉末試料内での単一フォトンの残留時間が単結晶もしくは薄膜内よりも長いので、薄膜もしくは単結晶より好ましい。従って、弱い吸収もしくは発光プロセスが著しく強化され、バンド端発光、欠陥による発光、パリティ禁制f−to−fバンド間遷移での励起および発光のような、基礎となるルミセッセンスプロセスを完全に調査することができる。
【0027】
適切に選択された希土類イオンによって活性化された窒化物半導体を合成および最適化するための新規の方法が開発された。ホスト格子内での電子-ホール対を可視光に変換する能力に基づいて、活性化剤が選択される。前記の活性化イオンは複数のタイプのイオンから構成されていてもよく、それぞれの個別の活性化イオンからの発光スペクトルの重ね合わせにより高い効率と演色評価指数の白色発光が得られる。
【0028】
好ましい合成方法は、下記の段階によって進められる。第一の段階では(式1)、アルミニウムならびに希土類イオンの硝酸塩を、脱イオン水中に溶解する。所要量の水酸化アンモニウムを添加し、アルミニウムと希土類水酸化物が結合した半固形のゲルを形成させ、濾過によって分離する。前記の水酸化物を、次いで前記濾液のpHに変化がなくなるまで脱イオン水によりすすぐ。
【0029】
【化1】
【0030】
第二の段階では、前記の洗浄された水酸化物を、濃縮されたフッ化アンモニウム溶液と約80℃で反応させ、反応式は下記の通りである。
【0031】
【化2】
【0032】
第二の段階でのフッ化物生成物を、加熱炉に入れ、200℃で12時間乾燥させる。フッ化生成物、(NH4)3Al1-xRExF6が乾燥したら、高温の超高純度アンモニア雰囲気中で熱処理し(好ましくは900℃で2.5時間)、フッ化物を窒化物に完全に変換させる。この段階は、下記のように表される。
【0033】
【化3】
【0034】
前記の最終の生成物である合金の組成AlxRE1-xN、ならびに希土類ドーパントの濃度は、第一の段階で用いられる種々の硝酸塩の量によって制御される。
【0035】
前記の第二の段階の最後の生成物は、6フッ化物、(NH4)3AlxRE1-xF6のほかに、4フッ化物、(NH4)AlxRE1-xF6を含んでいてもよい。通常、6フッ化アルミニウムアンモニウムは、GaとInのフッ化物に対して水性であるが、第二の段階の最後に常に白い残渣が残る。この残渣の組成分析により、これはごく微量の酸素が示され、それはアンモニア分解の段階で除去するのは困難であることがわかっている。高純度のAlNを作製するためには、第二の段階の最後で酸素源を取り除くことが必要である。これは、化学量論的な量を超えて水性のフッ化アンモニウムの量を増やすことと、反応温度を上げて反応速度を加速することで実現される。両方の手法は、式2が完了の方向に反応を移行する助けになる。続いて行われた第3の段階の終わりでの組成分析では、最終生成物に、より少ない酸素の含有量がみられ、いかなる二次的な相もみられなかった。
【0036】
上記に示される方法で、種々の希土類イオンにより活性化された窒化物半導体が合成される。以下の例において、AlN:Dyからの黄色発光、AlN:Tmからの青色発光、AlN:Tb、AlN:Eu及び、AlN:Tb,Euからの緑色および赤色発光が実証される。これらの結果は、適切なイオンを選択し、濃度を制御すれば、高い効率と演色評価指数を有する白色発光が得られることを示している。さらに、Tb3+はEu3+イオンの増感剤として機能しうることも示される。これは特に白色発光材料の設計に重要である。なぜならば、活性層への電子-ホール対の注入によって、励起される適切に選択された増感剤イオンに対して、前記の合金の組成を最適化する必要がある一方で、この活性化イオンによって他の希土類イオンが増感されるからである。この点から、Tb3+イオンによるEu3+イオンの増感化は活性層の設計において重要な発見であり、窒化物ホスト内では初めて観察された。
【0037】
AlN:Dy
AlN:Dy (Dy 1原子濃度)粉末試料を下記の工程によって合成した。第一の段階では(式4)、アルミニウムとジスプロシウムの硝酸塩を脱イオン水に溶解する。次いで、そこに所要量の水酸化アンモニウムを添加し、アルミニウム-ジスプロシウムの水酸化物から成る半固形のゲルが形成させ、それを濾過によって分離する。前記の水酸化物を、次に前記濾液のpHに変化がなくなるまで脱イオン水ですすぐ。
【0038】
【化4】
【0039】
第二の段階では、前記の洗浄された水酸化物を、以下の反応式に従って、濃縮されたフッ化アンモニウム溶液と反応させる。
【0040】
【化5】
【0041】
前記フッ化物生成物を次に加熱炉に入れ、200℃で12時間乾燥させる。前記生成物、(NH4)3Al0.99Dy0.01F6が乾燥したら、高温の超高純度アンモニア雰囲気中で加熱し(900℃で2.5時間)、フッ化物を窒化物に完全に変換させる。この段階は、下記のように表される。
【0042】
【化6】
【0043】
図1は前記と同様の方法によって合成された、ノンドープAlNと比較したAlN:Dy試料の室温フォトルミネッセンス(PL)スペクトルである。励起波長は250nmである。図1に示されるように、Dy3+イオンに関連するf−f内部配向遷移が観察され、同定された。これらの結果は、合成された粉末試料内で、Dyドーパントが3価の状態で光学的に活性であることを示している。ノンドープのAlNのPLスペクトルは、500nm付近にピークがある欠陥に関連する広い発光ピークが占めている。DyドープのAlN試料では、欠陥による発光は効果的に消滅されている。
【0044】
図1のPLスペクトルは、本製造方法によって合成されたAlN:Dyが575nmに最も強い放射発光(4F9/2-6H13/2)を有する黄色蛍光体であることを示している。AlN内でDy3+ 4F9/2-6H13/2遷移に至る励起プロセスを特定するために、発光波長を575nmに固定して、UV可視励起スペクトルを測定し、一方で励起波長を200nmから560nmまでスキャンした。得られたフォトルミネッセンス励起(PLE)スペクトルを図2に示す。
【0045】
図2のPLEスペクトルは、3つの異なる励起メカニズムを明確に示している:(1) バンドギャップより高いエネルギー、hν< 230nmのフォトンは、伝導帯と価電子帯で電子とホールを生成しながらそれぞれAlNホストに吸収され、そのあとにDy3+イオンへの非放射性のエネルギー移動によって内部4f殻遷移が励起され、(2) 250nmに最大値を持ち、230から300nmにわたる広帯域は、酸素に伴う欠陥に関連する遷移の結果とみられ、(3) 300から500nmの間の弱く、鋭いピークは、Dy3+イオンの内部配向遷移によるものである。Dy3+遷移の特定は、YAl3(BO3)4:Dyに関する文献(G.Dominiak−Dzik Radiation Measurements 38,557(2004))のデータとの対比によって行われた。
【0046】
AlN内におけるDy3+遷移波長特性とその特定を表1にまとめる。
【0047】
【表1】
【0048】
AlN:Tm
上記で論じられたAlN:Dy試料と同様に、AlN:Tm粉末試料を合成した。ツリウム窒化物、Tm(NO3)3をDy(NO3)3の代わりに用いた。図3に、同様の方法により製造した、ノンドープAlNと比較したAlN:Tm試料の室温PLスペクトルを示す。励起波長は250nmである。図3に示されるように、Tm3+の光学遷移が明確に観察される。Tm3+遷移の特定は、薄膜AlN:Tmに関する文献(J.B.Gruber, U.Vetter, H.Hofsaess, B Zandi, and M.F.Reid, Phys.Rev.B.70,245108(2004))と、YVO4:Tm(H.Zhang, Solid State Commun. 132,527(2004))粉末試料のデータとの対比によって行われた。これらの結果は、合成された粉末試料において、Tmドーパントが3価の状態で光学的に活性であることを示している。TmドープのAlN試料では、ノンドープのAlNと比較して、欠陥による発光は効果的に消滅されていることは注目されるべきである。
【0049】
前記のPLスペクトルは、Tm3+の内部配向f−f殻遷移によって決定される。ピーク波長792nmの最も強い発光は、Tm3+の3H4-3H6遷移によるものである。1G4-3H6遷移による481nm付近の青色発光は、固体光源における青色発光体としての前記材料を適用するのに有用であろう。
【0050】
AlNにおけるTm3+ 3H4-3H6遷移に至る励起プロセスを特定するために、発光波長を792nmに固定して、UV可視励起スペクトルを測定し、一方で励起波長を200nmから700nmまでスキャンした。PLEスペクトルを図4に示す。
【0051】
図4のPLEスペクトルは、3つの異なる励起メカニズムを明確に示している: (1) バンドギャップのエネルギーより高い、hν< 230nmのフォトンは、伝導帯と価電子帯で電子とホールを生成しながらそれぞれAlNホストに吸収され、そのあとに電子-ホール対からTm3+イオンへの非放射性のエネルギー移動によって内部4f殻遷移が励起され、(2) 250nmに最大値を持ち、230から300nmにわたる広帯域は欠陥に関連する遷移の結果とみられ、(3) 300から500nmの間の弱く、鋭いピークは、Tm3+イオンの内部配向遷移によるものである。
【0052】
AlN内におけるTm3+遷移波長特性とその特定を表2にまとめる。
【0053】
【表2】
【0054】
AlN:Tb
上記で論じられたAlN:Dy試料と同様に、AlN:Tb粉末試料を合成した。テルビウム窒化物、Tb(NO3)3をDy(NO3)3の代わりに用いた。
【0055】
図5に波長領域270から800nmでのAlN:Tbの室温PLスペクトルを示す。励起波長は250nmである。図5に示されるように、Tb3+に関連する光学遷移が明確に観察される。前記の270から800nmの間のスペクトルは、Tb3+の内部配向f−f殻遷移によって決定される。Tb3+遷移の特定は、薄膜AlN:Tbに関する文献(W.M.Jadwisienczak, H.Z.Lozykowski, F.Perjeru, H.Chen, M.Kordesch,and I.G.Brown,Appl. Phys. Lett. 76,3376(2000))のデータとの対比によって行われた。これらの結果は、合成された粉末試料において、Tbドーパントが3価の状態で光学的に活性であることを示している。5D4-7F5 f−f遷移による542nm付近の発光は、固体光源用途における黄緑色発光体として前記材料を適用するのに有用であろう。
【0056】
AlNにおけるTb3+ 5D4-7F5遷移に至る励起プロセスを特定するために、発光波長を542nmに固定して、UV可視励起スペクトルを測定し、一方で励起波長を200nmから525nmまでスキャンした。得られたPLEスペクトルを図6に示す。
【0057】
図6のPLEスペクトルは、3つの異なる励起メカニズムを明確に示している: (1) バンドギャップより高いエネルギー、hν< 230nmのフォトンは、伝導帯と価電子帯で電子とホールを生成しながらそれぞれAlNホストに吸収され、そのあとに電子-ホール対からTb3+イオンへの非放射性のエネルギー移動によって内部4f殻遷移が励起され、(2) 300nmに最大値を持ち、230から500nmにわたる広帯域は、ここでは決定されず、(3) 300から525nmの間の弱く、鋭いピークは、Tb3+イオンの内部配向遷移によるものである。
【0058】
AlN内におけるTb3+遷移波長特性とその特定を表3にまとめる。
【0059】
【表3】
【0060】
AlN:Tb,Eu
a) Tbに関連する発光
図7は同様の方法で作製されたノンドープAlNと比較した波長領域300から600nmでのAlN:Tb,Euの室温PLスペクトルを示す。励起波長は250nmである。図7に示されるように、Tb3+に関連する光学遷移が明確に観察される。前記の300から600nmの間のスペクトルは、Tb3+の内部配向f−f殻遷移によって決定される。TbドープのAlN試料では、ノンドープのAlNと比較して、欠陥による発光は効果的に消滅されていることは注目されるべきである。
【0061】
b) Euに関連する発光
AlN:Tb,Euでは、Eu3+イオンの強いルミネッセンス特性も観察される。図8は同様の方法で作製されたノンドープAlNと比較した波長領域580から750nmでのAlN:Tb,Eu試料の室温PLスペクトルを示す。励起波長は250nmである。図8に示されるように、Eu3+に関連する光学遷移が明確に観察される。Eu3+遷移の特定は、LaF3:Eu単結晶に関する文献(W.T.Carnall, G.L.Goodman, K.Rajnak, and R.S.Rana, J.Chem.Phys. 90,3443 (1989))のデータとの対比によって行われた。Euイオンは3価の状態で光学的に活性である。ノンドープのAlNと比較して、欠陥による発光は効果的に消滅されていることは注目されるべきである。5D0-7F2 f−f遷移による610nm付近の赤色発光は、固体光源用途における赤色発光体として前記材料を適用するのに有用であろう。
【0062】
AlNにおけるEu3+ 5D0-7F2遷移に至る励起プロセスを特定するために、発光波長を610nmに固定して、UV可視励起スペクトルを測定し、一方で励起波長を200nmから525nmまでスキャンした。得られたPLEスペクトルを図9に示す。
【0063】
図9のPLEスペクトルは、4つの異なる励起メカニズムを明確に示している: (1) バンドギャップより高いエネルギーのフォトンは、伝導帯と価電子帯で電子とホールを生成しながらそれぞれAlNホストに吸収され、そのあとに電子-ホール対からEu3+イオンへの非放射性のエネルギー移動によって内部4f殻遷移が励起され、(2) 240nmと280nmに最大値を持つ広帯域の原因は、ここでは決定されず、(3) 300から525nmの間の弱く、鋭いピークは、Eu3+イオンの内部配向遷移によるものであり、(Eu3+遷移の特定は、Eu+ドープのフッ化ガラスに関する文献(M.Deneka, E.Snitzer, and R.E.Riman, J.Lumin. 65,227 (1995)のデータとの対比によって行われた)、(4) 487nmの弱く、鋭いピークは、Tb3+ 7F6-5D4遷移によるものである。Tb3+からEu3+へのエネルギーの移動は、Eu3+とTb3+が共にドープされたCaWO4で既に観察されている(M.V.Nazarov, D.Y.Jeon, J.H.Kang, E.G.Popovici, L.E.Muresan,M.V.Zamoryanskaya, B.S.Tsukerblat, Solid State Communications 131,307 (2004))。Eu3+励起のプロセスは、5D4(Tb3+)+7F0(Eu3+) → 7F5(Tb3+)+5D1(Eu3+)によるものである。
【0064】
AlN内におけるEu3+遷移波長特性とその特定を表4にまとめる。
【0065】
【表4】
【0066】
AlN:Eu
図10にAlN:Eu粉末試料の室温PLスペクトルを示す。励起波長は250nm(実線)と464nm(破線)に固定された。議論された他の試料と対比して、欠陥状態からの発光が250nm励起で極めて強く現れている。それにもかかわらず、550nmから700nmのスペクトル領域で、f−マニフォールド内での鋭い多重項遷移が観察される。基底準位7F0から励起準位5D2への転移に対応する464nmでのEu3+の直接励起では、AlN内のEu3+のわかりやすく明確なスペクトルが、欠陥による発光がほとんどない状態で得られる。
【0067】
Eu3+の内部配向F-F殻遷移に至る励起プロセスを特定するために、発光波長を610nm(5D0から7F2への遷移に対応する)に固定して、UV可視励起スペクトルを測定した。得られたPLEスペクトル(図11)は、類似の励起プロセスを示している。即ち、300nmから600nmの間の欠陥を介した励起、250nm付近のホストからのエネルギー移動による励起、そしてfN−マニフォールド内におけるそれ自身の励起された状態準位を介した直接的な励起である。しかしながら、Tm3+とTb3+の場合ほど、250nm付近の広帯域は顕著ではない。
【0068】
観察されたAlNにおけるDy3+、Tm3+、Tb3+、Eu3+からの発光は、固体デバイスにおいて黄色、青色、緑色、赤色発光用に最適化されてもよい。これらすべての希土類イオンは、ホストの窒化物格子、および非放射性エネルギー遷移プロセスによる欠陥からの発光によって増感化されることが示されている。また、Tb3+を、窒化物ホストにおいてEu3+のための増感剤として使用できることが示された。
【0069】
現段階で本発明の好ましい実施態様であると考えられるものが示され記載されているが、当事者には、本願において、特許請求の範囲によって定義される発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更および改変が可能であることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】ノンドープAlNと比較したAlN:Dyの室温フォトルミネッセンス(PL)スペクトルを示す図である。
【図2】発光波長を575nmに固定したAlNでのDy3+ 4F9/2-6H13/2遷移の室温フォトルミネッセンス励起(PLE)スペクトルを示す図である。
【図3】ノンドープAlNと比較したAlN:Tmの室温PLスペクトルを示す図である。
【図4】発光波長を792nmに固定したAlNでのTm3+ 4G1-3H5遷移の室温PLEスペクトルを示す図である。
【図5】波長領域270から800nmでのAlN:Tbの室温PLスペクトルである。
【図6】発光波長を542nmに固定したAlNでのTb3+ 5D4-7F5遷移の室温PLEスペクトルを示す図である。
【図7】波長領域300から600nmで、ノンドープAlNと比較したAlN:Tb,Euの室温PLスペクトルを示す図である。
【図8】波長領域580から750nmで、ノンドープAlNと比較したAlN:Tb,Euの室温PLスペクトルを示す図である。
【図9】発光波長を610nmに固定したAlN:Tb,EuでのEu3+ 5D0-7F2遷移の室温PLEスペクトルを示す図である。
【図10】250と446nmでの励起のAlN:Euの室温PLスペクトルを示す図である。
【図11】発光波長を610nmに固定したAlN:Euの室温PLEスペクトルを示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は発光ダイオード(LED)、より具体的には白色光発光ダイオードに関わるものである。
【0002】
関連出願の相互参照
本願は、2006年1月31日出願の米国仮出願番号60/763,689の利益を請求する。本願は、2005年8月2日出願の同時継続出願である米国出願第11/161、403号の一部継続出願であり、その出願は、2004年8月13日出願の米国出願第60/601,382号の非仮出願である。これらの内容は、本願に参照をもって開示されたものとする。
【0003】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
本発明は、DOEによって授与されたDE−FC26−04NT42274のもとでの政府支援によって成された。
【0004】
技術の分野
本発明は発光ダイオード(LED)、より具体的には白色光発光する発光ダイオードに関する。
【0005】
発明の背景
固体照明は白色光の生成にいくつかの方法を使用する。混色法では、赤色、緑色、青色の単色LEDからの発光を組み合わせて白色光を生成している。各単色LED光源は高い内部量子効率を有しているため、そのような素子では比較的高いルーメンパーワットの白色光が生成される。しかしながら、3つのLEDに必要とされる空間が厄介であり、それらを一緒に設置するようにパッケージングすることは煩わしい。波長変換法は、紫外(UV)発光LEDを使用し、UV光(一般的に約380nmから420nm)を生成しており、その光はUV光によって励起される3色混合の蛍光体システムを用いて白色光に変換される。これは既知の水銀放電蛍光灯内で白色光を生成する様式と類似している。しかしながら、多くの従来のフォトルミネッセンス蛍光体は、水銀の放電で発光する254nmの放射光による励起用に最適化され、LEDの長い波長のUV放射光用には最適化されていない。UV発光LEDを使用するためのすべての領域の蛍光体を開発するには、さらなる取り組みが必要である。3番目の方法は、青色発光がGaInN LEDによって得られ、青色発光の一部分が蛍光体によって相補発光に変換される混合型である。本設計に基づく白色光源は、広帯域発光体、特にセリウム活性化イットリウム・アルミニウム・ガーネット、Y3Al5O12:Ce3+ (YAG:Ce3+)を用いて開発されている。本設計では、380nmでの高エネルギーUVフォトンが、可視フォトンに変換されることに関連する、大きなストークスシフトが避けられる。受動層として知られる第二の半導体層を用いた類似の設計が提案されており、それは部分的に450nmのInGaNの発光をInGaP合金により620nm付近の赤色フォトンに変換する。これは本質的には、活性層としてのInGaNと受動層としてのInGaPとの2層ヘテロ接合構造であり、InGaPは蛍光体として働く。
【0006】
発光素子中の蛍光体には、安定性のなさ、エポキシドーム内での劣化、塗布の均一性、可視光の散乱など、様々な技術的問題があり、これらの全ては発光素子が蛍光体を含まなければ避けられるものである。本願で用いる場合に、蛍光体とは、フォトルミネッセンス材料、すなわち、あるエネルギーのフォトンを異なるエネルギーに変換する材料のことを指している。
【0007】
発明の概要
好ましい実施態様において、米国特許出願公開番号2005/0253162に、窒化物ベースの発光ダイオード(LED)を用いた白色光の生成方法が記載されており、ここでは1つあるいは複数の窒化物ベースの層に、適したルミネッセントイオンがドープされる。そのような固体光源では、順方向バイアス下で本領域に導入された電子とホールの再結合によって生成された光を変換するために蛍光体の外部塗布を必要としない。さらには、フォトンの放射効率は蛍光体を用いたバンド端発光の白色光への変換と比べて高く、その理由は活性化イオンでの電子-ホール(e−h)対の再結合で放出されたフォトンが著しくストークスシフトしているためである。それらのフォトンの有するエネルギーは、吸収係数の低いホスト材料のバンドギャップよりも遙かに低い。窒化物内で生成されたフォトンは、材料の誘電率が高く、内部で全反射するために、材料内での閉じこめ時間が長い。バンド端付近で発光が生じるとき、励起子あるいはホスト発光の場合のように、発光されたフォトンのごく一部だけが、再吸収によって窒化物ホストを抜け出せる。これは、励起子あるいはホスト発光によって窒化物層で発光されたフォトンの抽出係数が低いことの原因と考えられている。しかしながら、希土類元素イオンからの発光は、バンドギャップよりも遙かに低いエネルギーで起きる可能性がある。ゆえに、内部での全反射による残留時間の長さにもかかわらず、それらのフォトンは素子から抜け出す可能性が高く、固体光源の全体としての効率は向上すると考えられる。
【0008】
そのような無蛍光体の固体光源を設計するには、白色光生成のための高い効率と演色評価数を得るように組成を最適化する必要がある。これは、バンド端発光を蛍光体イオンの励起ピークと一致させるよう調節することで実現すると予想される。活性化イオンの励起ピークが窒化物母材の中で決定されれば、バンド端発光は窒化物合金の組成を変化させることで調節できる。活性化イオンからの蛍光がホストからのエネルギー移動に依存するため、活性化イオンの濃度も、全体での蛍光効率を向上させるように調節できる。
【0009】
アルミニウム窒化物は、エネルギーギャップが大きいので(6.2eV)、その励起特性に基づいて希土類イオンドーパントを予備選択するのに適したホストである。しかしながら、過去には酸化物前駆体がGaとInの窒化物を合成するのに使われていたものの、アルミニウム酸化物を前駆体として高純度のアルミニウム窒化物を作製するのはほぼ不可能である。その代わりに、我々はアルミニウムと希土類金属の混合水酸化物を形成し、次いで前記の混合水酸化物はアンモニウム金属フッ化物、好ましくは希土類置換された6フッ化アルミニウムアンモニウム((NH4)3Al1-xRExF6) に変換し、その後、最終的には高温でのアンモニウム金属フッ化物のアンモニア分解によって窒化物に変換する、溶液をベースとした手法を発見した。
前記方法におけるフッ化物前駆体の使用により、窒化物粉末合成において欠陥の主な要因である最終のアンモニア分解段階での酸素源を避けることができる。さらには、アルミニウム窒化物は混合水酸化物の共沈物から形成されるため、表面のドーパント濃度のほうが高いと考えられるAlN薄膜のドーピングのためのイオン注入と比べて、前記粉末中のドーパントの分布は粒子内において実質的に均一である。
【0010】
本発明の一側面によれば、
(a) アルミニウムと希土類金属を含有する水性混合物を形成し、
(b) アルミニウムと前記希土類金属の混合水酸化物を沈殿させ、
(c) 前記混合水酸化物とフッ化アンモニウムとを反応させてアルミニウムと希土類金属のフッ化物化合物を形成し、
(d) 前記フッ化物化合物を乾燥させ、
(e) 前記の乾燥させたフッ化物化合物とアンモニアガスとを反応させて前記希土類活性化アルミニウム窒化物を形成させることを含む方法が提供される。
【0011】
前記製造方法で用いられる前記の希土類金属は、好ましくはDy、Tb、Eu、Tm、Ho、Sm、Er、Nd、Pr、Gdおよびそれらの組み合わせから選択され、より好ましくは、Tb、Eu、Tm、Dyおよびそれらの組み合わせから選択される。好ましい実施態様においては、前記の水性混合物がアルミニウム硝酸塩と希土類金属の硝酸塩の溶解によって形成される。
【0012】
本発明の他の側面によれば、
希土類のドーパントが各粒子内に実質的に均一に分布しているアルミニウム窒化物の粒子を含む希土類活性化アルミニウム窒化物粉末が提供される。好ましくは、希土類ドーパントはDy、Tb、Eu、Tm、Ho、Sm、Er、Nd、Pr、Gdおよびそれらの組み合わせから選択される。より好ましくは、前記希土類ドーパントはTb、Eu、Tm、Dyおよびそれらの組み合わせから選択される。前記材料群は、フォトルミネッセンス特性を示し、窒化物ベースのLEDの製造、好ましくは白色光の生成に用いられてもよい。
【0013】
図面の概要
図1はノンドープAlNと比較したAlN:Dyの室温フォトルミネッセンス(PL)スペクトルである。
【0014】
図2は発光波長を575nmに固定したAlNでのDy3+ 4F9/2-6H13/2遷移の室温フォトルミネッセンス励起(PLE)スペクトルである。
【0015】
図3はノンドープAlNと比較したAlN:Tmの室温PLスペクトルである。
【0016】
図4は発光波長を792nmに固定したAlNでのTm3+ 4G1-3H5遷移の室温PLEスペクトルである。
【0017】
図5は波長領域300から600nmでのAlN:Tbの室温PLスペクトルである。
【0018】
図6は発光波長を542nmに固定したAlNでのTb3+ 5D4-7F5遷移の室温PLEスペクトルである。
【0019】
図7は波長領域300から600nmで、ノンドープAlNと比較したAlN:Tb,Euの室温PLスペクトルである。
【0020】
図8は波長領域580から750nmで、ノンドープAlNと比較したAlN:Tb,Euの室温PLスペクトルである。
【0021】
図9は発光波長を610nmに固定したAlN:Tb,EuでのEu3+ 5D0-7F2遷移の室温PLEスペクトルである。
【0022】
図10は250と446nmでの励起のAlN:Euの室温PLスペクトルである。
【0023】
図11は発光波長を610nmに固定したAlN:Euの室温PLEスペクトルである。
【0024】
本発明の詳細な説明
本発明を、その更なる他の目的、利点および特性と共により良く理解するために、以下の開示及び特許請求の範囲を、前記の図面と一緒に参照されたい。
【0025】
希土類イオンを用いた、大きなバンドギャップを有するAlNのような窒化物へのドーピング用の希土類イオン候補は、蛍光分光法を用いて励起状態特性を探ることで、決定できると考えられる。特に、広いバンドギャップ(6.2eV)を有するアルミニウム窒化物では、窒化物ホストの中で一義的に励起ピークを決定できる。窒化物ホスト内に置換して入っている希土類イオンは窒素原子に対して四面体配位であるため、吸収あるいは励起ピークはAl、Ga及びInの窒化物もしくはそれらの合金に対して大きく変化しない。
【0026】
粉末化された材料は、散乱のために粉末試料内での単一フォトンの残留時間が単結晶もしくは薄膜内よりも長いので、薄膜もしくは単結晶より好ましい。従って、弱い吸収もしくは発光プロセスが著しく強化され、バンド端発光、欠陥による発光、パリティ禁制f−to−fバンド間遷移での励起および発光のような、基礎となるルミセッセンスプロセスを完全に調査することができる。
【0027】
適切に選択された希土類イオンによって活性化された窒化物半導体を合成および最適化するための新規の方法が開発された。ホスト格子内での電子-ホール対を可視光に変換する能力に基づいて、活性化剤が選択される。前記の活性化イオンは複数のタイプのイオンから構成されていてもよく、それぞれの個別の活性化イオンからの発光スペクトルの重ね合わせにより高い効率と演色評価指数の白色発光が得られる。
【0028】
好ましい合成方法は、下記の段階によって進められる。第一の段階では(式1)、アルミニウムならびに希土類イオンの硝酸塩を、脱イオン水中に溶解する。所要量の水酸化アンモニウムを添加し、アルミニウムと希土類水酸化物が結合した半固形のゲルを形成させ、濾過によって分離する。前記の水酸化物を、次いで前記濾液のpHに変化がなくなるまで脱イオン水によりすすぐ。
【0029】
【化1】
【0030】
第二の段階では、前記の洗浄された水酸化物を、濃縮されたフッ化アンモニウム溶液と約80℃で反応させ、反応式は下記の通りである。
【0031】
【化2】
【0032】
第二の段階でのフッ化物生成物を、加熱炉に入れ、200℃で12時間乾燥させる。フッ化生成物、(NH4)3Al1-xRExF6が乾燥したら、高温の超高純度アンモニア雰囲気中で熱処理し(好ましくは900℃で2.5時間)、フッ化物を窒化物に完全に変換させる。この段階は、下記のように表される。
【0033】
【化3】
【0034】
前記の最終の生成物である合金の組成AlxRE1-xN、ならびに希土類ドーパントの濃度は、第一の段階で用いられる種々の硝酸塩の量によって制御される。
【0035】
前記の第二の段階の最後の生成物は、6フッ化物、(NH4)3AlxRE1-xF6のほかに、4フッ化物、(NH4)AlxRE1-xF6を含んでいてもよい。通常、6フッ化アルミニウムアンモニウムは、GaとInのフッ化物に対して水性であるが、第二の段階の最後に常に白い残渣が残る。この残渣の組成分析により、これはごく微量の酸素が示され、それはアンモニア分解の段階で除去するのは困難であることがわかっている。高純度のAlNを作製するためには、第二の段階の最後で酸素源を取り除くことが必要である。これは、化学量論的な量を超えて水性のフッ化アンモニウムの量を増やすことと、反応温度を上げて反応速度を加速することで実現される。両方の手法は、式2が完了の方向に反応を移行する助けになる。続いて行われた第3の段階の終わりでの組成分析では、最終生成物に、より少ない酸素の含有量がみられ、いかなる二次的な相もみられなかった。
【0036】
上記に示される方法で、種々の希土類イオンにより活性化された窒化物半導体が合成される。以下の例において、AlN:Dyからの黄色発光、AlN:Tmからの青色発光、AlN:Tb、AlN:Eu及び、AlN:Tb,Euからの緑色および赤色発光が実証される。これらの結果は、適切なイオンを選択し、濃度を制御すれば、高い効率と演色評価指数を有する白色発光が得られることを示している。さらに、Tb3+はEu3+イオンの増感剤として機能しうることも示される。これは特に白色発光材料の設計に重要である。なぜならば、活性層への電子-ホール対の注入によって、励起される適切に選択された増感剤イオンに対して、前記の合金の組成を最適化する必要がある一方で、この活性化イオンによって他の希土類イオンが増感されるからである。この点から、Tb3+イオンによるEu3+イオンの増感化は活性層の設計において重要な発見であり、窒化物ホスト内では初めて観察された。
【0037】
AlN:Dy
AlN:Dy (Dy 1原子濃度)粉末試料を下記の工程によって合成した。第一の段階では(式4)、アルミニウムとジスプロシウムの硝酸塩を脱イオン水に溶解する。次いで、そこに所要量の水酸化アンモニウムを添加し、アルミニウム-ジスプロシウムの水酸化物から成る半固形のゲルが形成させ、それを濾過によって分離する。前記の水酸化物を、次に前記濾液のpHに変化がなくなるまで脱イオン水ですすぐ。
【0038】
【化4】
【0039】
第二の段階では、前記の洗浄された水酸化物を、以下の反応式に従って、濃縮されたフッ化アンモニウム溶液と反応させる。
【0040】
【化5】
【0041】
前記フッ化物生成物を次に加熱炉に入れ、200℃で12時間乾燥させる。前記生成物、(NH4)3Al0.99Dy0.01F6が乾燥したら、高温の超高純度アンモニア雰囲気中で加熱し(900℃で2.5時間)、フッ化物を窒化物に完全に変換させる。この段階は、下記のように表される。
【0042】
【化6】
【0043】
図1は前記と同様の方法によって合成された、ノンドープAlNと比較したAlN:Dy試料の室温フォトルミネッセンス(PL)スペクトルである。励起波長は250nmである。図1に示されるように、Dy3+イオンに関連するf−f内部配向遷移が観察され、同定された。これらの結果は、合成された粉末試料内で、Dyドーパントが3価の状態で光学的に活性であることを示している。ノンドープのAlNのPLスペクトルは、500nm付近にピークがある欠陥に関連する広い発光ピークが占めている。DyドープのAlN試料では、欠陥による発光は効果的に消滅されている。
【0044】
図1のPLスペクトルは、本製造方法によって合成されたAlN:Dyが575nmに最も強い放射発光(4F9/2-6H13/2)を有する黄色蛍光体であることを示している。AlN内でDy3+ 4F9/2-6H13/2遷移に至る励起プロセスを特定するために、発光波長を575nmに固定して、UV可視励起スペクトルを測定し、一方で励起波長を200nmから560nmまでスキャンした。得られたフォトルミネッセンス励起(PLE)スペクトルを図2に示す。
【0045】
図2のPLEスペクトルは、3つの異なる励起メカニズムを明確に示している:(1) バンドギャップより高いエネルギー、hν< 230nmのフォトンは、伝導帯と価電子帯で電子とホールを生成しながらそれぞれAlNホストに吸収され、そのあとにDy3+イオンへの非放射性のエネルギー移動によって内部4f殻遷移が励起され、(2) 250nmに最大値を持ち、230から300nmにわたる広帯域は、酸素に伴う欠陥に関連する遷移の結果とみられ、(3) 300から500nmの間の弱く、鋭いピークは、Dy3+イオンの内部配向遷移によるものである。Dy3+遷移の特定は、YAl3(BO3)4:Dyに関する文献(G.Dominiak−Dzik Radiation Measurements 38,557(2004))のデータとの対比によって行われた。
【0046】
AlN内におけるDy3+遷移波長特性とその特定を表1にまとめる。
【0047】
【表1】
【0048】
AlN:Tm
上記で論じられたAlN:Dy試料と同様に、AlN:Tm粉末試料を合成した。ツリウム窒化物、Tm(NO3)3をDy(NO3)3の代わりに用いた。図3に、同様の方法により製造した、ノンドープAlNと比較したAlN:Tm試料の室温PLスペクトルを示す。励起波長は250nmである。図3に示されるように、Tm3+の光学遷移が明確に観察される。Tm3+遷移の特定は、薄膜AlN:Tmに関する文献(J.B.Gruber, U.Vetter, H.Hofsaess, B Zandi, and M.F.Reid, Phys.Rev.B.70,245108(2004))と、YVO4:Tm(H.Zhang, Solid State Commun. 132,527(2004))粉末試料のデータとの対比によって行われた。これらの結果は、合成された粉末試料において、Tmドーパントが3価の状態で光学的に活性であることを示している。TmドープのAlN試料では、ノンドープのAlNと比較して、欠陥による発光は効果的に消滅されていることは注目されるべきである。
【0049】
前記のPLスペクトルは、Tm3+の内部配向f−f殻遷移によって決定される。ピーク波長792nmの最も強い発光は、Tm3+の3H4-3H6遷移によるものである。1G4-3H6遷移による481nm付近の青色発光は、固体光源における青色発光体としての前記材料を適用するのに有用であろう。
【0050】
AlNにおけるTm3+ 3H4-3H6遷移に至る励起プロセスを特定するために、発光波長を792nmに固定して、UV可視励起スペクトルを測定し、一方で励起波長を200nmから700nmまでスキャンした。PLEスペクトルを図4に示す。
【0051】
図4のPLEスペクトルは、3つの異なる励起メカニズムを明確に示している: (1) バンドギャップのエネルギーより高い、hν< 230nmのフォトンは、伝導帯と価電子帯で電子とホールを生成しながらそれぞれAlNホストに吸収され、そのあとに電子-ホール対からTm3+イオンへの非放射性のエネルギー移動によって内部4f殻遷移が励起され、(2) 250nmに最大値を持ち、230から300nmにわたる広帯域は欠陥に関連する遷移の結果とみられ、(3) 300から500nmの間の弱く、鋭いピークは、Tm3+イオンの内部配向遷移によるものである。
【0052】
AlN内におけるTm3+遷移波長特性とその特定を表2にまとめる。
【0053】
【表2】
【0054】
AlN:Tb
上記で論じられたAlN:Dy試料と同様に、AlN:Tb粉末試料を合成した。テルビウム窒化物、Tb(NO3)3をDy(NO3)3の代わりに用いた。
【0055】
図5に波長領域270から800nmでのAlN:Tbの室温PLスペクトルを示す。励起波長は250nmである。図5に示されるように、Tb3+に関連する光学遷移が明確に観察される。前記の270から800nmの間のスペクトルは、Tb3+の内部配向f−f殻遷移によって決定される。Tb3+遷移の特定は、薄膜AlN:Tbに関する文献(W.M.Jadwisienczak, H.Z.Lozykowski, F.Perjeru, H.Chen, M.Kordesch,and I.G.Brown,Appl. Phys. Lett. 76,3376(2000))のデータとの対比によって行われた。これらの結果は、合成された粉末試料において、Tbドーパントが3価の状態で光学的に活性であることを示している。5D4-7F5 f−f遷移による542nm付近の発光は、固体光源用途における黄緑色発光体として前記材料を適用するのに有用であろう。
【0056】
AlNにおけるTb3+ 5D4-7F5遷移に至る励起プロセスを特定するために、発光波長を542nmに固定して、UV可視励起スペクトルを測定し、一方で励起波長を200nmから525nmまでスキャンした。得られたPLEスペクトルを図6に示す。
【0057】
図6のPLEスペクトルは、3つの異なる励起メカニズムを明確に示している: (1) バンドギャップより高いエネルギー、hν< 230nmのフォトンは、伝導帯と価電子帯で電子とホールを生成しながらそれぞれAlNホストに吸収され、そのあとに電子-ホール対からTb3+イオンへの非放射性のエネルギー移動によって内部4f殻遷移が励起され、(2) 300nmに最大値を持ち、230から500nmにわたる広帯域は、ここでは決定されず、(3) 300から525nmの間の弱く、鋭いピークは、Tb3+イオンの内部配向遷移によるものである。
【0058】
AlN内におけるTb3+遷移波長特性とその特定を表3にまとめる。
【0059】
【表3】
【0060】
AlN:Tb,Eu
a) Tbに関連する発光
図7は同様の方法で作製されたノンドープAlNと比較した波長領域300から600nmでのAlN:Tb,Euの室温PLスペクトルを示す。励起波長は250nmである。図7に示されるように、Tb3+に関連する光学遷移が明確に観察される。前記の300から600nmの間のスペクトルは、Tb3+の内部配向f−f殻遷移によって決定される。TbドープのAlN試料では、ノンドープのAlNと比較して、欠陥による発光は効果的に消滅されていることは注目されるべきである。
【0061】
b) Euに関連する発光
AlN:Tb,Euでは、Eu3+イオンの強いルミネッセンス特性も観察される。図8は同様の方法で作製されたノンドープAlNと比較した波長領域580から750nmでのAlN:Tb,Eu試料の室温PLスペクトルを示す。励起波長は250nmである。図8に示されるように、Eu3+に関連する光学遷移が明確に観察される。Eu3+遷移の特定は、LaF3:Eu単結晶に関する文献(W.T.Carnall, G.L.Goodman, K.Rajnak, and R.S.Rana, J.Chem.Phys. 90,3443 (1989))のデータとの対比によって行われた。Euイオンは3価の状態で光学的に活性である。ノンドープのAlNと比較して、欠陥による発光は効果的に消滅されていることは注目されるべきである。5D0-7F2 f−f遷移による610nm付近の赤色発光は、固体光源用途における赤色発光体として前記材料を適用するのに有用であろう。
【0062】
AlNにおけるEu3+ 5D0-7F2遷移に至る励起プロセスを特定するために、発光波長を610nmに固定して、UV可視励起スペクトルを測定し、一方で励起波長を200nmから525nmまでスキャンした。得られたPLEスペクトルを図9に示す。
【0063】
図9のPLEスペクトルは、4つの異なる励起メカニズムを明確に示している: (1) バンドギャップより高いエネルギーのフォトンは、伝導帯と価電子帯で電子とホールを生成しながらそれぞれAlNホストに吸収され、そのあとに電子-ホール対からEu3+イオンへの非放射性のエネルギー移動によって内部4f殻遷移が励起され、(2) 240nmと280nmに最大値を持つ広帯域の原因は、ここでは決定されず、(3) 300から525nmの間の弱く、鋭いピークは、Eu3+イオンの内部配向遷移によるものであり、(Eu3+遷移の特定は、Eu+ドープのフッ化ガラスに関する文献(M.Deneka, E.Snitzer, and R.E.Riman, J.Lumin. 65,227 (1995)のデータとの対比によって行われた)、(4) 487nmの弱く、鋭いピークは、Tb3+ 7F6-5D4遷移によるものである。Tb3+からEu3+へのエネルギーの移動は、Eu3+とTb3+が共にドープされたCaWO4で既に観察されている(M.V.Nazarov, D.Y.Jeon, J.H.Kang, E.G.Popovici, L.E.Muresan,M.V.Zamoryanskaya, B.S.Tsukerblat, Solid State Communications 131,307 (2004))。Eu3+励起のプロセスは、5D4(Tb3+)+7F0(Eu3+) → 7F5(Tb3+)+5D1(Eu3+)によるものである。
【0064】
AlN内におけるEu3+遷移波長特性とその特定を表4にまとめる。
【0065】
【表4】
【0066】
AlN:Eu
図10にAlN:Eu粉末試料の室温PLスペクトルを示す。励起波長は250nm(実線)と464nm(破線)に固定された。議論された他の試料と対比して、欠陥状態からの発光が250nm励起で極めて強く現れている。それにもかかわらず、550nmから700nmのスペクトル領域で、f−マニフォールド内での鋭い多重項遷移が観察される。基底準位7F0から励起準位5D2への転移に対応する464nmでのEu3+の直接励起では、AlN内のEu3+のわかりやすく明確なスペクトルが、欠陥による発光がほとんどない状態で得られる。
【0067】
Eu3+の内部配向F-F殻遷移に至る励起プロセスを特定するために、発光波長を610nm(5D0から7F2への遷移に対応する)に固定して、UV可視励起スペクトルを測定した。得られたPLEスペクトル(図11)は、類似の励起プロセスを示している。即ち、300nmから600nmの間の欠陥を介した励起、250nm付近のホストからのエネルギー移動による励起、そしてfN−マニフォールド内におけるそれ自身の励起された状態準位を介した直接的な励起である。しかしながら、Tm3+とTb3+の場合ほど、250nm付近の広帯域は顕著ではない。
【0068】
観察されたAlNにおけるDy3+、Tm3+、Tb3+、Eu3+からの発光は、固体デバイスにおいて黄色、青色、緑色、赤色発光用に最適化されてもよい。これらすべての希土類イオンは、ホストの窒化物格子、および非放射性エネルギー遷移プロセスによる欠陥からの発光によって増感化されることが示されている。また、Tb3+を、窒化物ホストにおいてEu3+のための増感剤として使用できることが示された。
【0069】
現段階で本発明の好ましい実施態様であると考えられるものが示され記載されているが、当事者には、本願において、特許請求の範囲によって定義される発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更および改変が可能であることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】ノンドープAlNと比較したAlN:Dyの室温フォトルミネッセンス(PL)スペクトルを示す図である。
【図2】発光波長を575nmに固定したAlNでのDy3+ 4F9/2-6H13/2遷移の室温フォトルミネッセンス励起(PLE)スペクトルを示す図である。
【図3】ノンドープAlNと比較したAlN:Tmの室温PLスペクトルを示す図である。
【図4】発光波長を792nmに固定したAlNでのTm3+ 4G1-3H5遷移の室温PLEスペクトルを示す図である。
【図5】波長領域270から800nmでのAlN:Tbの室温PLスペクトルである。
【図6】発光波長を542nmに固定したAlNでのTb3+ 5D4-7F5遷移の室温PLEスペクトルを示す図である。
【図7】波長領域300から600nmで、ノンドープAlNと比較したAlN:Tb,Euの室温PLスペクトルを示す図である。
【図8】波長領域580から750nmで、ノンドープAlNと比較したAlN:Tb,Euの室温PLスペクトルを示す図である。
【図9】発光波長を610nmに固定したAlN:Tb,EuでのEu3+ 5D0-7F2遷移の室温PLEスペクトルを示す図である。
【図10】250と446nmでの励起のAlN:Euの室温PLスペクトルを示す図である。
【図11】発光波長を610nmに固定したAlN:Euの室温PLEスペクトルを示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
希土類活性化アルミニウム窒化物の製造方法において、
(a) アルミニウムと希土類金属を含有する水性混合物を形成し、
(b) アルミニウムと前記希土類金属の混合水酸化物を沈殿させ、
(c) 前記混合水酸化物とフッ化アンモニウムとを反応させてアルミニウムと希土類金属のフッ化物化合物を形成させ、
(D) 前記フッ化物化合物を乾燥し、
(e) 前記の乾燥されたフッ化物化合物とアンモニアガスとを反応させて前記希土類活性化アルミニウム窒化物を形成させることを含む方法。
【請求項2】
希土類金属がDy、Tb、Eu、Tm、Ho、Sm、Er、Nd、Pr、Gdおよびそれらの組み合わせから選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
希土類金属がDy、Tb、Eu、Tmおよびそれらの組み合わせから選択される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
水性混合物がアルミニウム硝酸塩と希土類金属の硝酸塩の溶解によって形成される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
混合水酸化物を、水酸化アンモニウムの水性混合物への添加により沈殿させる請求項1に記載の方法。
【請求項6】
混合水酸化物を、約80℃で化学量論的過剰なフッ化アンモニウムと反応させる請求項1に記載の方法。
【請求項7】
フッ化物化合物を約900℃でアンモニアガスと反応させる請求項1に記載の方法。
【請求項8】
フッ化物化合物が6フッ化物化合物である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
混合水酸化物を、濾過して濾液を生成し、前記濾液のpHに変化がなくなるまですすぐ請求項1に記載の方法。
【請求項10】
希土類活性化アルミニウム窒化物の製造方法において、
(a) アルミニウム硝酸塩と希土類金属の硝酸塩の溶解によって水性混合物を形成させ、
(b) 水酸化アンモニウムの前記水性混合物への添加によって、アルミニウムと希土類金属の混合水酸化物を沈殿させ、
(c) 高められた温度で、前記混合水酸化物と化学量論的過剰なフッ化アンモニウムとを反応させて、アルミニウムと希土類金属の6フッ化物化合物を形成させ
(D) 前記6フッ化物を乾燥させ、
(e) 前記の乾燥させた6フッ化物化合物とアンモニアガスとを反応させて、前記希土類活性化アルミニウム窒化物を形成させることを含む方法。
【請求項11】
希土類金属がDy、Tb、Eu、Tm、Ho、Sm、Er、Nd、Pr、Gdおよびそれらの組み合わせから選択される請求項10に記載の方法。
【請求項12】
希土類金属がDy、Tb、Eu、Tmおよびそれらの組み合わせから選択される請求項10に記載の方法。
【請求項13】
6フッ化物化合物を約900℃でアンモニアガスと反応させる請求項10に記載の方法。
【請求項14】
混合水酸化物を過剰なフッ化アンモニウムと約80℃で反応させる請求項13に記載の方法。
【請求項15】
希土類金属が、Dy、Tb、Eu、Tmおよびそれらの組み合わせから選択される請求項14に記載の方法。
【請求項16】
混合水酸化物を濾過して濾液を生成させ、そして濾液のpHに変化がなくなるまですすぐ請求項10に記載の方法。
【請求項17】
希土類のドーパントが粒子内に実質的に均一に分布しているアルミニウム窒化物の粒子を含む希土類活性化アルミニウム窒化物粉末。
【請求項18】
希土類ドーパントがDy、Tb、Eu、Tm、Ho、Sm、Er、Nd、Pr、Gdおよびそれらの組み合わせから選択される、請求項17に記載の希土類活性化アルミニウム窒化物粉末。
【請求項19】
希土類ドーパントがDy、Tb、Eu、Tmおよびそれらの組み合わせから選択される、請求項17に記載の希土類活性化アルミニウム窒化物粉末。
【請求項1】
希土類活性化アルミニウム窒化物の製造方法において、
(a) アルミニウムと希土類金属を含有する水性混合物を形成し、
(b) アルミニウムと前記希土類金属の混合水酸化物を沈殿させ、
(c) 前記混合水酸化物とフッ化アンモニウムとを反応させてアルミニウムと希土類金属のフッ化物化合物を形成させ、
(D) 前記フッ化物化合物を乾燥し、
(e) 前記の乾燥されたフッ化物化合物とアンモニアガスとを反応させて前記希土類活性化アルミニウム窒化物を形成させることを含む方法。
【請求項2】
希土類金属がDy、Tb、Eu、Tm、Ho、Sm、Er、Nd、Pr、Gdおよびそれらの組み合わせから選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
希土類金属がDy、Tb、Eu、Tmおよびそれらの組み合わせから選択される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
水性混合物がアルミニウム硝酸塩と希土類金属の硝酸塩の溶解によって形成される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
混合水酸化物を、水酸化アンモニウムの水性混合物への添加により沈殿させる請求項1に記載の方法。
【請求項6】
混合水酸化物を、約80℃で化学量論的過剰なフッ化アンモニウムと反応させる請求項1に記載の方法。
【請求項7】
フッ化物化合物を約900℃でアンモニアガスと反応させる請求項1に記載の方法。
【請求項8】
フッ化物化合物が6フッ化物化合物である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
混合水酸化物を、濾過して濾液を生成し、前記濾液のpHに変化がなくなるまですすぐ請求項1に記載の方法。
【請求項10】
希土類活性化アルミニウム窒化物の製造方法において、
(a) アルミニウム硝酸塩と希土類金属の硝酸塩の溶解によって水性混合物を形成させ、
(b) 水酸化アンモニウムの前記水性混合物への添加によって、アルミニウムと希土類金属の混合水酸化物を沈殿させ、
(c) 高められた温度で、前記混合水酸化物と化学量論的過剰なフッ化アンモニウムとを反応させて、アルミニウムと希土類金属の6フッ化物化合物を形成させ
(D) 前記6フッ化物を乾燥させ、
(e) 前記の乾燥させた6フッ化物化合物とアンモニアガスとを反応させて、前記希土類活性化アルミニウム窒化物を形成させることを含む方法。
【請求項11】
希土類金属がDy、Tb、Eu、Tm、Ho、Sm、Er、Nd、Pr、Gdおよびそれらの組み合わせから選択される請求項10に記載の方法。
【請求項12】
希土類金属がDy、Tb、Eu、Tmおよびそれらの組み合わせから選択される請求項10に記載の方法。
【請求項13】
6フッ化物化合物を約900℃でアンモニアガスと反応させる請求項10に記載の方法。
【請求項14】
混合水酸化物を過剰なフッ化アンモニウムと約80℃で反応させる請求項13に記載の方法。
【請求項15】
希土類金属が、Dy、Tb、Eu、Tmおよびそれらの組み合わせから選択される請求項14に記載の方法。
【請求項16】
混合水酸化物を濾過して濾液を生成させ、そして濾液のpHに変化がなくなるまですすぐ請求項10に記載の方法。
【請求項17】
希土類のドーパントが粒子内に実質的に均一に分布しているアルミニウム窒化物の粒子を含む希土類活性化アルミニウム窒化物粉末。
【請求項18】
希土類ドーパントがDy、Tb、Eu、Tm、Ho、Sm、Er、Nd、Pr、Gdおよびそれらの組み合わせから選択される、請求項17に記載の希土類活性化アルミニウム窒化物粉末。
【請求項19】
希土類ドーパントがDy、Tb、Eu、Tmおよびそれらの組み合わせから選択される、請求項17に記載の希土類活性化アルミニウム窒化物粉末。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2009−525254(P2009−525254A)
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553239(P2008−553239)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/062368
【国際公開番号】WO2007/089371
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(596104131)オスラム シルヴェニア インコーポレイテッド (72)
【氏名又は名称原語表記】OSRAM SYLVANIA Inc.
【住所又は居所原語表記】100 Endicott Street, Danvers, Massachusetts 01923, USA
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/062368
【国際公開番号】WO2007/089371
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(596104131)オスラム シルヴェニア インコーポレイテッド (72)
【氏名又は名称原語表記】OSRAM SYLVANIA Inc.
【住所又は居所原語表記】100 Endicott Street, Danvers, Massachusetts 01923, USA
【Fターム(参考)】
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