帯域割当方法、光端局装置及びPONシステム
【課題】本発明は、PONの上り帯域を動的に割り当てるときに、高い帯域利用効率を維持するために、ONUのバッファ蓄積量を基にQSを算出する際の複数の方法の解釈をOLTがONUごとに判別した結果に基づき帯域を割り当てる帯域割当方法、光端局装置及びこれを実施したPONシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、各ONUからOLT1に各ONUの送信要求量を通知されるフォーマットに関する通知フォーマット情報を作成し保持している識別テーブル14と、各ONUの送信要求量に関する送信要求量情報(REPORTフレーム)を各ONUから受信する識別部13と、識別部13が受信した送信要求量情報(REPORTフレーム)及び識別テーブル14が保持している通知フォーマット情報に基づいて、各ONUの送信許可量を設定する送信許可算出部16と、を備えることを特徴とするOLT1である。
【解決手段】本発明は、各ONUからOLT1に各ONUの送信要求量を通知されるフォーマットに関する通知フォーマット情報を作成し保持している識別テーブル14と、各ONUの送信要求量に関する送信要求量情報(REPORTフレーム)を各ONUから受信する識別部13と、識別部13が受信した送信要求量情報(REPORTフレーム)及び識別テーブル14が保持している通知フォーマット情報に基づいて、各ONUの送信許可量を設定する送信許可算出部16と、を備えることを特徴とするOLT1である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PONシステムにおける上り通信の通信時間(帯域)を動的に割り当てる帯域割当方法、光端局装置及びこれを実施したPONシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
PON(Passive Optical Network:受動光通信網)は、通信事業者局に設置されるOLT(Optical Line Terminal:光端局装置)と、ユーザ宅に設置されるONU(Optical Network Unit:光加入者装置)とからなるFTTH(Fiber To The Home)の一形態である。PONは、OLTと複数のONUとを、光ファイバや受動光スプリッタ等の光伝送路を介して接続した光ネットワークであり、その経済的優位性により広く利用されている。
【0003】
OLTとONUとがイーサネット(登録商標)フレームにより通信を行うEPON(Ethernet(登録商標) PON)の中で、伝送速度が1GbpsであるGE−PON(Gigabit Ethernet(登録商標) PON)は、高速かつ安価なFTTHサービスを提供することができるため、特に国内では広く用いられている。また、最近では、伝送速度を10Gbpsに高速化した10G−EPONの標準仕様が検討されている。10G−EPONの標準仕様では、図1に示すように10Gbpsと1Gbpsの異なる伝送速度のONUを、OLTに混在して接続することが考慮されている。
【0004】
一般に、PONにおいては、OLTからONUへの通信の方向を下り方向と呼び、これと反対方向を上り方向と呼ぶ。GE−PONを始めとする多くのPONでは、上り方向の通信は時分割多元接続によって行われる。OLTにより、それぞれのONUの送信タイミングを制御することで、複数のONUがOLTと時分割通信できるようにしている。
【0005】
10G−EPONの上り通信も同様に時分割多元接続により行われる。10G−EPONでは、1台のOLTに、上り伝送速度が異なる複数のONUが接続できる方式が検討されている。このとき、異なる速度のONUとの間であっても、時分割多元接続により上り通信を実現する。
【0006】
上り方向の通信が時分割多元接続によって行われる多くのPONにおいて、効率的に上り帯域を使用するには、それぞれのONUに対して上り通信を許可する時間の長さを、通信の状況に応じて動的に変更することによる、動的帯域割当が重要である。ここで、帯域は、各ONUに対して送信許可量を算出し、その送信時間帯を排他的に確保することにより、割り当てられる。
【0007】
EPONには、MPCP(Multi Point−Control Protocol)と呼ばれる、複数のONUの送信タイミングを制御するプロトコルが定められている。OLTはMPCPを用いて動的帯域割当を実行する。
【0008】
ONUは、上りの送信要求量をOLTに通知するための送信要求信号(REPORT)をOLTに送信する。図2(REPORTフォーマット)にIEEE802.3ah及びIEEE802.3avにて規定されているREPORTのフォーマットを示す。REPORTは、1つのフレームの中に1又は複数のQueue Set(以下、QS)を持ち、複数の送信要求量をOLTに通知することが出来る。1つのQueue Setの中には、さらに1又は複数の優先度キュー毎の蓄積量(Queue Report:以下、QR)を記載することが出来る。ONUは上りのバッファ蓄積量を基にQS及びQRを算出する。
【0009】
OLTは、REPORTを受信し、そこに記載された送信要求量を参照し、ONUごとに送信を許可する量と送信開始時刻とを算出し、これらを送信許可信号(GATE)に記載して各ONUに送信する。その際、それぞれのONUの送信信号が時間的に重複しないように制御する。ONUは受信したGATEに従い、指定された送信開始時刻から送信を開始し、上りバッファに蓄積していた信号を、指定された送信許可量の時間だけ送信する。
【0010】
動的帯域割当の方法は、PONシステムの性能を決定する上で重要である。PONシステムの性能は、帯域利用効率や、遅延時間などを指標に評価することができる。動的帯域割当においては、高い帯域利用効率を保ちつつ、低遅延でデータを送信することが重要である。PONシステムにおいては、上り帯域利用効率が高い方が、高性能であるといえる。
【0011】
高い帯域利用効率で動的帯域割当を実現するためには、ONUが上りバッファ蓄積量を基にQS及びQRを算出する方法をONUとOLTとで一致させることが必要である。
【0012】
ONUが上りバッファ蓄積量を基にQSを算出する方法について、図3の例を用いて説明する。図3はONUの上り送信バッファに上りデータが蓄積している様子を表している。ここでは複数の方法を説明する。まず、各QSが示すバッファ蓄積量が、何を起算としているかである。これをQS起算と表記する。QS起算には、2種類がある。1つは、バッファ先頭を起算とするもので、もう1つは、前QSの末尾を起算とするもので、すなわち、QSごとの差分をQSの値とするものである。
【0013】
QS起算とは別に、REPORTフレームに記載される各QSを、バッファ先頭からのしきい値に対して、昇順で記載するか、降順で記載するか、という2種類の方法がある。これをQS順とする。
【0014】
図3には、ONUの上りバッファが単一のQueueのみを持つときの、QS起算、QS順のそれぞれの場合のQSの値がどのようになるか、という例を示している。ここでは、ONU3には、それぞれQSを算出する際に用いるしきい値を2つ備えるものとし、それぞれをTh1、Th2とし、Th1<Th2とする。
【0015】
図3のONU3−1〜3−4に示すようにQS起算とQS順との組み合わせにより、4つの方法が存在しうる。各方法間ではQSの値は異なる。
【0016】
これに加えて、QSの算出方法として、送信要求量に送信許可済みでかつ送信待ちのデータフレーム量を含むか、含まないか、がある。これを送信許可済み量とする。QSの算出方法は、QS起算とQS順と送信許可済み量との組み合わせにより、8つの方法がある。
【0017】
動的帯域割当の方法として、ONUはOLTにバッファ蓄積量または閾値以下のフレーム蓄積量を送信要求量としてREPORTにより通知し、OLTはONUからREPORTにより通知されたいずれかの送信要求量と一致させた送信許可量をGATEにより通知する方法がある。
【0018】
非特許文献1には、各ONUは送信要求量をOLTに通知し、OLTは通知された送信要求量と一致した量の送信を許可することで、余剰帯域を無くし帯域利用効率を向上させる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Interleaved polling with adaptive cycle time (IPACT):a dynamic bandwidth distribution scheme in an optical access network (Glen Kramer et al.,Photonic Network Communications,vol.4,no.1,pp.89−107,Aug.2002)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかし、前述した従来の方法では、以下の2点が課題として挙げられる。課題1として、ONUが上りバッファ蓄積量を基にQSを算出する方法がONUとOLTとで異なった場合に、ONUからの送信要求量とOLTが許可する送信許可量とを一致させることが出来ず、帯域利用効率が低下するという点がある。また、課題2として、OLTに、上りバッファ蓄積量を基にQSを算出する方法が異なる複数のONUが接続されたときに、送信要求量と送信許可量を一致させることが出来ず、帯域利用効率が低下するという点がある。
【0021】
非特許文献1では、ONUが上りバッファ蓄積量を基にQSを算出する方法を判別するステップを持たずに、それぞれを予めどちらかに決定しておいた上で動的帯域割当を行うので、OLTとONUとでONUが上りバッファ蓄積量を基にQSを算出する方法の解釈が異なる場合、帯域利用効率が低下する。また、OLTにONUが上りバッファ蓄積量を基にQSを算出する方法が異なる複数のONUに対して公平に帯域を割り当てるためのステップを持たないため、OLTに、上りバッファ蓄積量を基にQSを算出する方法が異なる複数のONUが接続されたときに、送信要求量と送信許可量を全て一致させることが出来ないため、帯域利用効率が低下するという点がある。
【0022】
そこで、前記課題を解決するために、本発明は、PONの上り帯域を動的に割り当てるときに、高い帯域利用効率を維持するために、ONUのバッファ蓄積量を基にQSを算出する際の複数の方法の解釈をOLTがONUごとに判別した結果に基づき帯域を割り当てる帯域割当方法、光端局装置及びこれを実施したPONシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記目的を達成するために、光端局装置は、送信要求量を通知するフォーマットに関する通知フォーマット情報を、QSを算出する方法に関する情報として保持しており、及び各光加入者装置の送信要求量に関する送信要求量情報を各光加入者装置から受信する。そして、光端局装置は、受信した送信要求量情報及び保持している通知フォーマット情報に基づいて、各光加入者装置の送信許可量を設定するようにした。
【0024】
具体的には、本発明は、光端局装置と複数の光加入者装置とが光伝送路を介して接続されるPONシステムに適用され、前記光端局装置が前記複数の光加入者装置に帯域を割り当てる帯域割当方法であって、前記光端局装置が、前記各光加入者装置から前記光端局装置に前記各光加入者装置の送信要求量を通知されるフォーマットに関する通知フォーマット情報を作成し保持しており、及び前記各光加入者装置の送信要求量に関する送信要求量情報を前記各光加入者装置から受信する帯域割当準備ステップと、前記光端局装置が、受信した前記送信要求量情報及び保持している前記通知フォーマット情報に基づいて、前記各光加入者装置の送信許可量を設定する送信許可量設定ステップと、を順に備えることを特徴とする帯域割当方法である。
【0025】
この構成によれば、複数の光加入者装置が、送信要求量を通知する方法を異にしていても、光端局装置は、各光加入者装置毎の送信要求量を通知する方法を判別することができ、判別結果に基づいて帯域を割り当て高い帯域利用効率を維持することができる。
【0026】
また、本発明は、前記帯域割当準備ステップでは、前記光端局装置が、受信した前記送信要求量情報に基づいて、前記通知フォーマット情報を作成することを特徴とする帯域割当方法である。
【0027】
この構成によれば、光端局装置は、各光加入者装置からの送信要求量情報に基づいて、各光加入者装置毎の送信要求量を通知する方法を判別することができる。
【0028】
また、本発明は、前記帯域割当準備ステップでは、前記光端局装置が、前記各光加入者装置に対して過去に設定した前記各光加入者装置の送信許可量、及び前記各光加入者装置から受信したデータの容量に基づいて、前記通知フォーマット情報を作成することを特徴とする帯域割当方法である。
【0029】
この構成によれば、光端局装置は、各光加入者装置の送信許可量及び各光加入者装置からのデータの容量に基づいて、各光加入者装置毎の送信要求量を通知する方法を判別することができる。
【0030】
また、本発明は、前記送信許可量設定ステップでは、前記光端局装置が、受信した前記送信要求量情報及び保持している前記通知フォーマット情報に基づいて、前記各光加入者装置の送信要求量を読み出し、前記複数の光加入者装置の送信許可量の和が前記光端局装置の受信上限量を超えない限度において、読み出した前記各光加入者装置の送信要求量を前記各光加入者装置の送信許可量として設定することを特徴とする帯域割当方法である。
【0031】
この構成によれば、光端局装置は、受信上限量を超えないように、各光加入者装置の送信要求量に基づいて、各光加入者装置の送信許可量を設定することができる。
【0032】
また、本発明は、前記フォーマットは、前記各加入者装置の送信要求量の候補が複数あるときに、前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補を列挙して通知する列挙通知フォーマットと、前記各加入者装置の送信要求量の候補が複数あるときに、前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち最小の送信要求量の候補及び前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち大小の順序が隣接する送信要求量の候補の差分を通知する差分通知フォーマットと、のうちいずれかであることを特徴とする帯域割当方法である。
【0033】
この構成によれば、各光加入者装置は、列挙通知フォーマットに記載した値を以って、送信要求量の候補とすることができ、差分通知フォーマットに記載した値の和を以って、送信要求量の候補とすることもできる。
【0034】
また、本発明は、前記フォーマットが前記列挙通知フォーマットであり前記差分通知フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記列挙通知フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記差分通知フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記通知フォーマット情報として前記列挙通知フォーマットの情報が保持されており、前記フォーマットが前記差分通知フォーマットであり前記列挙通知フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記差分通知フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記列挙通知フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記通知フォーマット情報として前記差分通知フォーマットの情報が保持されていることを特徴とする帯域割当方法である。
【0035】
この構成によれば、光端局装置は、確定的に又は高い蓋然性を以って、各光加入者装置毎の送信要求量を通知する方法が、列挙通知フォーマット及び差分通知フォーマットに係る方法のうちいずれであるかを判別することができる。
【0036】
また、本発明は、前記各光加入者装置は、前記光端局装置に送信するデータをFIFOに格納しており、前記列挙通知フォーマットは、前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補を昇順で列挙する昇順列挙フォーマットと、前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補を降順で列挙する降順列挙フォーマットと、のうちいずれかであり、前記差分通知フォーマットは、前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち最小の送信要求量の候補、及び前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち大小の順序が隣接する送信要求量の候補の差分を、前記FIFOの出力側から起算して近い順序で列挙する出力順列挙フォーマットと、前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち最小の送信要求量の候補、及び前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち大小の順序が隣接する送信要求量の候補の差分を、前記FIFOの入力側から起算して近い順序で列挙する入力順列挙フォーマットと、のうちいずれかであることを特徴とする帯域割当方法である。
【0037】
この構成によれば、各光加入者装置は、フォーマットに記載する値として、FIFOの出力側に近い場所に格納されているデータの容量値を最初に記載することができ、FIFOの入力側に近い場所に格納されているデータの容量値を最初に記載することもできる。
【0038】
また、本発明は、前記フォーマットが前記昇順列挙フォーマットであり前記降順列挙フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記昇順列挙フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記降順列挙フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記通知フォーマット情報として前記昇順列挙フォーマットの情報が保持されており、前記フォーマットが前記降順列挙フォーマットであり前記昇順列挙フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記降順列挙フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記昇順列挙フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記通知フォーマット情報として前記降順列挙フォーマットの情報が保持されており、前記フォーマットが前記出力順列挙フォーマットであり前記入力順列挙フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記出力順列挙フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記入力順列挙フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記通知フォーマット情報として前記出力順列挙フォーマットの情報が保持されており、前記フォーマットが前記入力順列挙フォーマットであり前記出力順列挙フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記入力順列挙フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記出力順列挙フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記通知フォーマット情報として前記入力順列挙フォーマットの情報が保持されていることを特徴とする帯域割当方法である。
【0039】
この構成によれば、光端局装置は、確定的に又は高い蓋然性を以って、各光加入者装置毎の送信要求量を通知する方法が、昇順列挙フォーマット、降順列挙フォーマット、出力順列挙フォーマット及び入力順列挙フォーマットに係る方法のうちいずれであるかを判別することができる。
【0040】
また、本発明は、前記フォーマットは、前記各光加入者装置の送信要求量の候補に係るデータが、既に前記光端局装置から送信許可されているデータを含む送信許可包含フォーマットと、前記各光加入者装置の送信要求量の候補に係るデータが、既に前記光端局装置から送信許可されているデータを含まない送信許可非包含フォーマットと、のうちいずれかであることを特徴とする帯域割当方法である。
【0041】
この構成によれば、各光加入者装置は、フォーマットに記載する値として、既に光端局装置から送信許可されているデータの容量値を記載することができ、既に光端局装置から送信許可されているデータの容量値を記載しないこともできる。
【0042】
また、本発明は、前記フォーマットが前記送信許可包含フォーマットであり前記送信許可非包含フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記送信許可包含フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記送信許可非包含フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記通知フォーマット情報として前記送信許可包含フォーマットの情報が保持されており、前記フォーマットが前記送信許可非包含フォーマットであり前記送信許可包含フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記送信許可非包含フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記送信許可包含フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記通知フォーマット情報として前記送信許可非包含フォーマットの情報が保持されていることを特徴とする帯域割当方法である。
【0043】
この構成によれば、光端局装置は、確定的に又は高い蓋然性を以って、各光加入者装置毎の送信要求量を通知する方法が、送信許可包含フォーマット及び送信許可非包含フォーマットに係る方法のうちいずれであるかを判別することができる。
【0044】
また、本発明は、前記各光加入者装置の送信要求量の候補は、前記通知フォーマット情報のうち、1又は複数のキューセット、又は前記各キューセットが含む1又は複数のキューレポートに記載されることを特徴とする帯域割当方法である。
【0045】
この構成によれば、IEEE802.3ah及びIEEE802.3avにて規定されているREPORTのフォーマットを利用するときに、本発明を適用することができる。
【0046】
また、本発明は、光端局装置と複数の光加入者装置とが光伝送路を介して接続されるPONシステムに適用され、前記複数の光加入者装置に帯域を割り当てる光端局装置であって、前記各光加入者装置から前記光端局装置に前記各光加入者装置の送信要求量を通知されるフォーマットに関する通知フォーマット情報を作成し保持しており、及び前記各光加入者装置の送信要求量に関する送信要求量情報を前記各光加入者装置から受信する帯域割当準備部と、前記帯域割当準備部が受信した前記送信要求量情報及び前記帯域割当準備部が保持している前記通知フォーマット情報に基づいて、前記各光加入者装置の送信許可量を設定する送信許可量設定部と、を備えることを特徴とする光端局装置である。
【0047】
この構成によれば、複数の光加入者装置が、送信要求量を通知する方法を異にしていても、光端局装置は、各光加入者装置毎の送信要求量を通知する方法を判別することができ、判別結果に基づいて帯域を割り当て高い帯域利用効率を維持することができる。
【0048】
また、本発明は、前記帯域割当準備部は、受信した前記送信要求量情報に基づいて、前記通知フォーマット情報を作成することを特徴とする光端局装置である。
【0049】
この構成によれば、光端局装置は、各光加入者装置からの送信要求量情報に基づいて、各光加入者装置毎の送信要求量を通知する方法を判別することができる。
【0050】
また、本発明は、前記帯域割当準備部は、前記各光加入者装置に対して過去に設定された前記各光加入者装置の送信許可量、及び前記各光加入者装置から受信されたデータの容量に基づいて、前記通知フォーマット情報を作成することを特徴とする光端局装置である。
【0051】
この構成によれば、光端局装置は、各光加入者装置の送信許可量及び各光加入者装置からのデータの容量に基づいて、各光加入者装置毎の送信要求量を通知する方法を判別することができる。
【0052】
また、本発明は、前記送信許可量設定部は、前記帯域割当準備部が受信した前記送信要求量情報及び前記帯域割当準備部が保持している前記通知フォーマット情報に基づいて、前記各光加入者装置の送信要求量を読み出し、前記複数の光加入者装置の送信許可量の和が前記光端局装置の受信上限量を超えない限度において、読み出した前記各光加入者装置の送信要求量を前記各光加入者装置の送信許可量として設定することを特徴とする光端局装置である。
【0053】
この構成によれば、光端局装置は、受信上限量を超えないように、各光加入者装置の送信要求量に基づいて、各光加入者装置の送信許可量を設定することができる。
【0054】
また、本発明は、前記フォーマットは、前記各加入者装置の送信要求量の候補が複数あるときに、前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補を列挙して通知する列挙通知フォーマットと、前記各加入者装置の送信要求量の候補が複数あるときに、前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち最小の送信要求量の候補及び前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち大小の順序が隣接する送信要求量の候補の差分を通知する差分通知フォーマットと、のうちいずれかであることを特徴とする光端局装置である。
【0055】
この構成によれば、各光加入者装置は、列挙通知フォーマットに記載した値を以って、送信要求量の候補とすることができ、差分通知フォーマットに記載した値の和を以って、送信要求量の候補とすることもできる。
【0056】
また、本発明は、前記フォーマットが前記列挙通知フォーマットであり前記差分通知フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記列挙通知フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記差分通知フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記帯域割当準備部は、前記通知フォーマット情報として前記列挙通知フォーマットの情報を保持しており、前記フォーマットが前記差分通知フォーマットであり前記列挙通知フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記差分通知フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記列挙通知フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記帯域割当準備部は、前記通知フォーマット情報として前記差分通知フォーマットの情報を保持していることを特徴とする光端局装置である。
【0057】
この構成によれば、光端局装置は、確定的に又は高い蓋然性を以って、各光加入者装置毎の送信要求量を通知する方法が、列挙通知フォーマット及び差分通知フォーマットに係る方法のうちいずれであるかを判別することができる。
【0058】
また、本発明は、前記各光加入者装置は、前記光端局装置に送信するデータをFIFOに格納しており、前記列挙通知フォーマットは、前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補を昇順で列挙する昇順列挙フォーマットと、前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補を降順で列挙する降順列挙フォーマットと、のうちいずれかであり、前記差分通知フォーマットは、前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち最小の送信要求量の候補、及び前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち大小の順序が隣接する送信要求量の候補の差分を、前記FIFOの出力側から起算して近い順序で列挙する出力順列挙フォーマットと、前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち最小の送信要求量の候補、及び前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち大小の順序が隣接する送信要求量の候補の差分を、前記FIFOの入力側から起算して近い順序で列挙する入力順列挙フォーマットと、のうちいずれかであることを特徴とする光端局装置である。
【0059】
この構成によれば、各光加入者装置は、フォーマットに記載する値として、FIFOの出力側に近い場所に格納されているデータの容量値を最初に記載することができ、FIFOの入力側に近い場所に格納されているデータの容量値を最初に記載することもできる。
【0060】
また、本発明は、前記フォーマットが前記昇順列挙フォーマットであり前記降順列挙フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記昇順列挙フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記降順列挙フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記帯域割当準備部は、前記通知フォーマット情報として前記昇順列挙フォーマットの情報を保持しており、前記フォーマットが前記降順列挙フォーマットであり前記昇順列挙フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記降順列挙フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記昇順列挙フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記帯域割当準備部は、前記通知フォーマット情報として前記降順列挙フォーマットの情報を保持しており、前記フォーマットが前記出力順列挙フォーマットであり前記入力順列挙フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記出力順列挙フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記入力順列挙フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記帯域割当準備部は、前記通知フォーマット情報として前記出力順列挙フォーマットの情報を保持しており、前記フォーマットが前記入力順列挙フォーマットであり前記出力順列挙フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記入力順列挙フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記出力順列挙フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記帯域割当準備部は、前記通知フォーマット情報として前記入力順列挙フォーマットの情報を保持していることを特徴とする光端局装置である。
【0061】
この構成によれば、光端局装置は、確定的に又は高い蓋然性を以って、各光加入者装置毎の送信要求量を通知する方法が、昇順列挙フォーマット、降順列挙フォーマット、出力順列挙フォーマット及び入力順列挙フォーマットに係る方法のうちいずれであるかを判別することができる。
【0062】
また、本発明は、前記フォーマットは、前記各光加入者装置の送信要求量の候補に係るデータが、既に前記光端局装置から送信許可されているデータを含む送信許可包含フォーマットと、前記各光加入者装置の送信要求量の候補に係るデータが、既に前記光端局装置から送信許可されているデータを含まない送信許可非包含フォーマットと、のうちいずれかであることを特徴とする光端局装置である。
【0063】
この構成によれば、各光加入者装置は、フォーマットに記載する値として、既に光端局装置から送信許可されているデータの容量値を記載することができ、既に光端局装置から送信許可されているデータの容量値を記載しないこともできる。
【0064】
また、本発明は、前記フォーマットが前記送信許可包含フォーマットであり前記送信許可非包含フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記送信許可包含フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記送信許可非包含フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記帯域割当準備部は、前記通知フォーマット情報として前記送信許可包含フォーマットの情報を保持しており、前記フォーマットが前記送信許可非包含フォーマットであり前記送信許可包含フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記送信許可非包含フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記送信許可包含フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記帯域割当準備部は、前記通知フォーマット情報として前記送信許可非包含フォーマットの情報を保持していることを特徴とする光端局装置である。
【0065】
この構成によれば、光端局装置は、確定的に又は高い蓋然性を以って、各光加入者装置毎の送信要求量を通知する方法が、送信許可包含フォーマット及び送信許可非包含フォーマットに係る方法のうちいずれであるかを判別することができる。
【0066】
また、本発明は、前記各光加入者装置の送信要求量の候補は、前記通知フォーマット情報のうち、1又は複数のキューセット、又は前記各キューセットが含む1又は複数のキューレポートに記載されることを特徴とする光端局装置である。
【0067】
この構成によれば、IEEE802.3ah及びIEEE802.3avにて規定されているREPORTのフォーマットを利用するときに、本発明を適用することができる。
【0068】
また、本発明は、光端局装置と、前記光端局装置と光伝送路を介して接続され、前記送信要求量情報を前記光端局装置に送信する複数の光加入者装置と、を備えることを特徴とするPONシステムである。
【0069】
この構成によれば、複数の光加入者装置が、送信要求量を通知する方法を異にしていても、光端局装置は、各光加入者装置毎の送信要求量を通知する方法を判別することができ、判別結果に基づいて帯域を割り当て高い帯域利用効率を維持することができる。
【発明の効果】
【0070】
本発明は、PONの上り帯域を動的に割り当てるときに、高い帯域利用効率を維持するために、ONUのバッファ蓄積量を基にQSを算出する際の複数の方法の解釈をOLTがONUごとに判別した結果に基づき帯域を割り当てる帯域割当方法、光端局装置及びこれを実施したPONシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】PONシステムの全体構成を示す図である。
【図2】REPORTフォーマットを示す図である。
【図3】QSを算出する方法を示す図である。
【図4】上り送信制御シーケンスを示す図である。
【図5】本発明のOLTの構成を示す図である。
【図6】実施形態1の識別テーブルを示す図である。
【図7】実施形態1の識別手順の概略を示す図である。
【図8】実施形態1の第1の識別手順の詳細を示す図である。
【図9】実施形態1の第2の識別手順の詳細を示す図である。
【図10】実施形態1の第3の識別手順の詳細を示す図である。
【図11】実施形態1の第4の識別手順の詳細を示す図である。
【図12】実施形態1の送信許可手順の概要を示す図である。
【図13】実施形態1の割当候補の算出手順の詳細を示す図である。
【図14】実施形態1の送信許可量の算出手順の詳細を示す図である。
【図15】実施形態1の送信許可時刻の算出手順の詳細を示す図である。
【図16】実施形態2の識別テーブルを示す図である。
【図17】実施形態2の識別手順の概略を示す図である。
【図18】実施形態2の第5の識別手順の詳細を示す図である。
【図19】実施形態2の第6の識別手順の詳細を示す図である。
【図20】実施形態2の割当候補の算出手順の詳細を示す図である。
【図21】実施形態3のREPORTフォーマットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施の例であり、本発明は以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0073】
本発明における対象のPONシステムは、上り方向の通信がTDM(時分割多元接続)で実現されるシステムとし、OLTには複数のONUが接続されていることとする。ONUは、OLTからの送信許可(送信許可量と送信タイミング)に従ってのみ上りデータを送信する。
【0074】
(実施形態1)
{実施形態1の概要}
本発明における実施形態1について、以下に説明する。PONシステムの全体構成を図1に示す。光端局装置(以下、OLT)1には、光通信路2を介して、複数の光加入者装置(以下、ONU)3−1〜3−4が接続される。なお、ここでは4つのONUのみがOLT1に接続されているものとするが、本発明において、ONUの台数に制限は無い。他の実施形態についても同様である。
【0075】
下位ネットワーク4−1〜4−4は、それぞれ対応するONU3に接続され、OLT1は上位ネットワーク5に接続されている。下位ネットワーク4と上位ネットワーク5とは、OLT1、光通信路2、ONU3を介して情報の授受を行う。
【0076】
OLT1には複数のONU3が接続されているため、ONU3からOLT1へ向かう(上り方向)データ信号の送信は、OLT1により制御される。具体的には、OLT1はONU3ごとに上り信号の送信許可を与え、ONU3は与えられた送信許可に従い上りデータ信号を送信する。上りデータ信号は、可変長のイーサネット(登録商標)形式のフレームとして送信される。以後、上りデータフレームと記載する。
【0077】
OLT1はIEEE802.3ahによりMPCPとして定義されたプロトコルを備え、与える送信許可は、ONU3が上り送信を開始する上り送信時刻と、送信を許可された送信許可量とを含む。これらの送信許可に関わる情報は、GATEと呼ばれるフレーム形式の信号に搭載され、OLT1から各ONU3に送信される。
【0078】
一方、上りデータフレームは、OLT1から送信許可を与えられるまで、ONU3がそれぞれ備える上りバッファに蓄積される。送信許可を与えられたら、送信許可量の範囲内で、蓄積していた上りデータフレームをOLT1に送信する。ここで、上りバッファが、FIFOに相当する。
【0079】
また、ONU3は、上りバッファに蓄積している上りデータフレームの蓄積量を送信要求信号によりOLT1に通知する。送信要求信号は、上記のMPCPとして定義されている、REPORTと呼ばれるフレーム形式の信号により構成される。
【0080】
REPORTフレームは、1つのフレームの中に1つ又は複数のキューセット(以下、QS)を持ち、複数の送信要求量をOLTに通知することが出来る。1つのキューセットの中には、さらに1つ又は複数の優先度キュー毎の蓄積量を記載することが出来る。図2にREPORTフォーマットを示す。この例においては、1つのREPORTフレームにはQS(1)〜QS(3)の3つのQSが格納されることとしており、QS数は3である。本発明においては、QS数により限定されない。
【0081】
また、本実施形態においては、各ONU3が備える優先度キューは1つのみとする。すなわち、全てのトラヒックを同一の優先度で取り扱うこととする。
【0082】
次に、ONU3がQSを算出する際の複数の方法について、図3を用いて説明する。複数の方法を整理する。まず、各QSが示すバッファ蓄積量が、何を起算としているかである。これをQS起算と表記する。QS起算には、2種類がある。1つは、バッファ先頭を起算とするもので、もう1つは、前QSの末尾を記載とするもので、すなわち、QSごとの差分をQSの値とするものである。ここでは、それぞれを、QS起算=「先頭」、QS起算=「差分」、と表すこととする。ここで、QS起算=「先頭」が、列挙通知フォーマットに相当し、QS起算=「差分」が、差分通知フォーマットに相当する。
【0083】
QS起算とは別に、REPORTフレームに記載される各QSを、バッファ先頭からのしきい値に対して、昇順で記載するか、降順で記載するか、という2種類の方法がある。ここでは、それぞれを、QS順=「昇順」、QS順=「降順」と表すこととする。ここで、QS起算=「先頭」及びQS順=「昇順」が、昇順列挙フォーマットに相当し、QS起算=「先頭」及びQS順=「降順」が、降順列挙フォーマットに相当する。そして、QS起算=「差分」及びQS順=「昇順」が、出力順列挙フォーマットに相当し、QS起算=「差分」及びQS順=「降順」が、入力順列挙フォーマットに相当する。
【0084】
図3には、QS起算、QS順のそれぞれの場合のQSの値がどのようになるか、例を示している。ここでは、ONU3には、それぞれQSを算出する際に用いるしきい値を2つ備えるものとし、それぞれをTh1、Th2とし、Th1<Th2とする。
【0085】
ここでは、各ONU3は、図3に示す同様のバッファ状態であったとする。上りバッファには、フレーム長がそれぞれ、300、500、400、900、200のフレームがバッファ先頭から順に蓄積されていたものとする。また、しきい値は、Th1=1000、Th2=2000とする。
【0086】
ONU3−1では、QS起算=「先頭」、QS順=「昇順」とする。このとき、ONU3−1では、各QSに記載する蓄積量を以下のように算出する。QS(1)には、バッファ先頭からTh1以下で最大の上りデータフレーム端までの蓄積量を記載する。このとき、QS(1)=800である。QS(2)には、バッファ先頭からTh2以下で最大の上りデータフレーム端までの蓄積量を記載する。このとき、QS(2)=1200である。QS(3)には、全体の蓄積量を記載する。このとき、QS(3)=2300である。
【0087】
ONU3−2では、QS起算=「先頭」、QS順=「降順」とする。このとき、ONU3−2では、各QSに記載する蓄積量を以下のように算出する。QS(1)には、上記ONU3−1におけるQS(3)を記載する。このとき、QS(1)=2300である。QS(2)には、上記ONU3−1におけるQS(2)を記載する。このとき、QS(2)=1200である。QS(3)には、上記ONU3−1におけるQS(1)を記載する。このとき、QS(3)=800である。
【0088】
一方で、ONU3−3では、QS起算=「差分」、QS順=「昇順」とする。このとき、ONU3−3では、各QSに記載する蓄積量を以下のように算出する。QS(1)には、バッファ先頭からTh1以下で最大の上りデータフレーム端までの蓄積量を記載する。このとき、QS(1)=800である。QS(2)には、QS(1)に含まれない上りデータフレームを先頭として、ΔTh=Th2−Th1以下で最大の上りデータフレーム端までの蓄積量を記載する。このとき、QS(2)=400である。QS(3)には、QS(1)、QS(2)に含まれない上りデータフレームを先頭として、最終の上りデータフレーム端までの蓄積量を記載する。このとき、QS(3)=1100である。
【0089】
また、ONU3−4では、QS起算=「差分」、QS順=「降順」とする。このとき、ONU3−4では、各QSに記載する蓄積量を以下のように算出する。QS(1)には、上記ONU3−3におけるQS(3)を記載する。このとき、QS(1)=1100である。QS(2)には、上記ONU3−3におけるQS(2)を記載する。このとき、QS(2)=400である。QS(3)には、上記ONU3−3におけるQS(1)を記載する。このとき、QS(3)=800である。
【0090】
本実施形態において、各ONU3は、これらのQSの値を記載したREPORTフレームをOLT1に送信する。
【0091】
一方、OLT1は、受信したREPORTフレームから各ONU3における上りデータフレームの蓄積状態を把握し、それぞれのONU3への上り送信許可を与える。ここで、本実施形態におけるOLT1は、各ONU3が送信し、OLT1が受信したREPORTフレームが示す各QSの値が、いずれの方法により算出されたものであるかを、当初は把握していないものとする。すなわち、あらかじめ運用者からONUごとの算出方法の情報を提供されることもなく、また,ONU自身から、算出方法の申告を受けることも、OLTから算出方法の申告を指示することもない。いずれの方法とは、上記のQS起算、QS順を意味する。
【0092】
次に,図4に上り送信制御シーケンスを示す。図4は時間経過に対するOLT、ONU間でのメッセージの授受を示している。1501をOLTの時間軸とし、1502をあるONUの時間軸とする。1501の上段に記される矩形は、OLTが受信した上りフレーム、上りトラヒックを表し、下段に記される矩形は、OLTが送信した下りフレーム、下りトラヒックを表す。1502の上段に記される矩形は、ONUが送信した上りフレーム、上りトラヒックを表し、下段に記される矩形は、ONUが受信した下りフレーム、下りトラヒックを表す。矩形中に「R」と記載されたものはREPORTフレームを表し、「G」と記載されたものは送信許可フレームを表す。「D」と記されたものは、データフレームのトラヒックを表す。
【0093】
まず、ONUがREPORTフレーム1511を送信すると、OLT−ONU間の距離に応じた伝搬時間が経過した後、OLTはREPORTフレーム1511を受信する。このREPORTフレーム1511に基づき、OLTはGATEフレーム1512を送信し、上り送信を許可する。このGATEフレーム1512による送信許可に基づき、ONUは次のREPORTフレーム1521と、データトラヒック1523とを送信する。
【0094】
REPORTフレーム1521に応じて、OLTはGATEフレーム1522を送信するが、ONUがデータトラヒック1523を送信している最中に、このGATEフレーム1522がONUに到着することもありえる。いずれにせよ、上記の手順を繰り返し、上り送信は制御される。
【0095】
ここで、本実施形態におけるONUごとのQSの算出手順を識別することを考えてみる。今、まさにOLTが識別を実施するところであるとし、図4中の「現時刻」と記された時刻であるとする。すなわち、REPORTフレーム1531を受信した後の時刻であるとする。このとき、図中のREPORTフレーム1511に記されていたQSは、2周期前のp2QSである。同様に、GATEフレーム1512による送信許可量は、2周期前のp2Gである。また、GATEフレーム1512の送信許可により、ONUが送信するデータトラヒックは、データトラヒック1523であり、これを受信したOLTでの受信量をTxとしている。さらに、図中のREPORTフレーム1521に記されていたQSは、1周期前のpQSである。同様に、GATEフレーム1522による送信許可量は、1周期前のpGである。
【0096】
本実施形態におけるOLT1の構成を図5に示す。各ONU3が送信し、光通信路2を経てOLT1に到達した上りフレームは、送受信部11により受信される。その後、受信量測定部12により、受信量を測定される。受信量測定部12では、ONU3ごとに、かつ、上りデータフレームと、REPORTフレームとを区別した上で、上りデータフレームのみの受信量を測定する。さらに、受信した上りデータフレームに対し、イーサネット(登録商標)形式でのフレーム送信に必要なオーバヘッド(プリアンブル:8バイト、最小フレーム間ギャップ:12バイト、など)を加算した値を受信量として把握する。これは、送信許可量との整合を取るためであり、誤り訂正符号を用いる場合には、付与されるパリティ長も考慮する。受信量測定部12は、測定した受信量を記憶部17に記録する。
【0097】
その後、上りデータフレームは、IF部15を経由して上位ネットワーク5へ転送される。一方、REPORTフレームは、識別部13へ転送される。識別部13では、受信したREPORTフレームに基づいて、各ONU3のQSの算出方法を識別する。QSの算出方法とは、すなわち、QS起算、QS順である。識別した結果は、識別テーブル14に記録するとともに、識別時に参照する。また、記憶部17に記録された結果も参照する。ここで、識別部13及び識別テーブル14が、帯域割当準備部に相当する。
【0098】
REPORTフレームはその後、送信許可算出部16に転送される。送信許可算出部16では、受信したREPORTフレームと、識別テーブル14とに基づいて、各ONU3への送信許可量、送信許可時刻を算出し、これらを記載したGATEフレームを生成し、送信する。その後、GATEフレームは、上位ネットワーク5からIF部15を経由して転送されてきた下りデータフレームと多重され、送受信部11を経て光通信路2へと送信される。また、送信許可算出部16は、受信したREPORTフレームに含まれていた各QSの値、算出した送信許可量を記憶部17に記録する。ここで、送信許可算出部16が、送信許可量設定部に相当する。
【0099】
識別テーブル14の詳細を図6に示す。識別テーブル14は、ONU3ごとにQSの算出方法の識別結果を持つ。具体的には、QS起算とQS順とのそれぞれについて、値と状態とを持つ。QS起算の値は「先頭」及び「差分」、QS順の値は「昇順」及び「降順」を取りうる。また、状態は、「確定」及び「未確定」を取りうる。状態は、識別した結果に対する確実性を意味し、例えば、確実にQS起算が「先頭」であれば、QS起算の状態を「確定」とし、一方で、不明であるか、蓋然性は高いが確実ではない場合には、「未確定」とする。図6に記載されている値と状態は、例であり、識別部13の識別結果に応じてこれらは更新される。
【0100】
ONU3が初めてOLT1に接続した際には、識別テーブル14の該当するONU3について、QS起算、QS順の両者の状態を「未確定」とする。値については特に制限されないが、ここでは、それぞれを「先頭」及び「昇順」とする。ただし、QSの算出方法の情報を事前に与えられるなど、QS起算、QS順が特定されているONUについては、識別テーブル14のQS起算、QS順の状態を「確定」とし、値はそれぞれ特定されている値に設定しておく。
【0101】
{実施形態1の識別手順}
次に、図7を用いて、実施形態1の識別手順の概略を説明する。識別手順のおおまかな流れは、以下の通りである。まず、QS起算を確定的に識別する(第1の識別:ステップS602)。次に、蓋然性の高いQS起算を識別する(第2の識別:ステップS604)。次に、QS順を確定的に識別する(第3の識別:ステップS610)。次に、蓋然性の高いQS順を識別する(第4の識別:ステップS612)。ここで、識別手順が、帯域割当準備ステップに相当する。
【0102】
この識別はONU3ごとに実施される。ただし、識別を開始する契機は特に制限されない。REPORTフレームを受信するごとに、当該REPORTフレームを送信したONU3に対して実施しても良いし、受信したREPORTフレームを記憶しておき、複数のONU3から受信した後にまとめてONU3ごとに繰り返し実施しても良い。いずれにしても、識別するために参照するREPORTフレームさえあれば、いずれの契機にも実施することが可能である。
【0103】
以下に、識別手順の概略を説明する。まず、識別テーブル14を参照し、識別対象のONU3のQS起算の状態を確認する(ステップS601)。ステップS602〜S608はQS起算を識別するため、ステップS601によりすでに「確定」していることが確認できれば、これらのステップをスキップし、ステップS609に遷移する。一方、「未確定」であれば、第1の識別を行う(ステップS602)。
【0104】
次に、ステップS603では、第1の識別(ステップS602)の結果を参照し、第1の識別結果(状態)が「未確定」であれば第2の識別(ステップS604)を実施し、「確定」していれば識別テーブル14のQS起算の状態を「確定」(ステップS606)、値を第1の識別結果(値)に更新する(ステップS607)。これは、第1の識別(ステップS602)では、確定的なQS起算の識別を行ったためである。
【0105】
一方、第2の識別(ステップS604)の結果を参照し(ステップS605)、第2の識別結果(状態)が「確定」であれば、識別テーブル14のQS起算の値を第2の識別結果(値)に更新する(ステップS608)。ただし、QS起算の状態は、「未確定」のまま更新しない。これは、第2の識別(ステップS604)により識別されたQS起算は、蓋然性が高いに過ぎず、確定的に識別したものではないためである。
【0106】
次に、ステップS609〜S617により、QS順の識別を行う。まず、識別テーブル14のQS順の状態を参照し(ステップS609)、すでに「確定」しているのであれば、識別を終了する。一方、「未確定」であるならば、第3の識別を実施する(ステップS610)。第3の識別では、確定的なQS順の識別を行う。
【0107】
第3の識別の結果を参照し(ステップS611)、第3の識別結果(状態)が「確定」で、かつ、すでにQS起算は「確定」している(ステップS614)のであれば、識別テーブル14のQS順の状態も「確定」とし(ステップS615)、QS順の値も第3の識別結果(値)に更新する(ステップS616)。これにより、当該ONU3のQSの算出方法は確定的に識別されたことになる。一方、ステップS614でQS起算は「未確定」であるならば、識別テーブル14のQS順の状態は「未確定」のままとし、QS順の値のみを更新する(ステップS616)。これは、第3の識別(ステップS610)によるQS順の識別は、QS起算が確定している場合にのみ、QS順も確定できる条件で識別しているためである。
【0108】
第3の識別結果(状態)が「未確定」であった場合、第4の識別(ステップS612)を実施する。第4の識別では、蓋然性の高いQS順の識別を行う。
【0109】
第4の識別結果を参照し(ステップS613)、第4の識別結果(状態)が「確定」であれば、識別テーブル14のQS順の値を、第4の識別結果(値)に更新する(ステップS617)。ここでも、第2の識別と同様に、第4の識別も確定的な識別を行うものではないので、識別テーブル14のQS順の状態は「未確定」のままで更新しない。
【0110】
以上の手順により、QS起算、QS順の識別を行う。確定的な識別が可能な条件であれば、QS起算、QS順を確定させ、可能な条件でなければ、なるべく蓋然性の高いQS起算、QS順に更新する。第1〜第4の識別全てで「未確定」であれば、識別テーブル14を更新せず、前回のままにしておく。
【0111】
次に、第1〜第4の識別の手順について、詳細な説明を行う。
【0112】
図8に実施形態1の第1の識別手順(ステップS602)の詳細を示す。第1の識別では、QS起算の確定的な識別を行う。まず、初期化処理として、第1の識別結果(状態)を「未確定」とする(ステップS701)。次に、QS起算を確定的に「先頭」と識別できるか、判断する。具体的には、条件A−1に合致するかを判断する(ステップS702)。条件A−1とは、式a−1、式a−2のうち、少なくとも1つの式を満たすことを条件とする。これは、これらの式を満たす場合、確定的にQS起算は「先頭」であると識別できるものである。すなわち、QS起算が「差分」であるONUでは、決してこれらの式を満たすREPORTを送信してこない、ことを意味している。
【0113】
式a−1、式a−2は、次式のようになる。
式a−1:QS(1)>0∧QS(2)>0∧QS(1)+QS(2)<Th1
式a−2:QS(M)>0∧QS(M−1)>0∧QS(M)+QS(M−1)<Th1
【0114】
式a−1は、QS(1)、QS(2)ともに蓄積量があり(ゼロより大)、かつ、両者の和が、しきい値Th1より小さい場合を指す。また、式a−2は、QS数をMとするとき、同様に、QS(M)、QS(M−1)ともに蓄積量があり、かつ、両者の和が、しきい値Th1より小さい場合を指す。これらは、QS起算が「先頭」でかつ、蓄積量が少ない場合に起こりうる。一方、QS起算が「差分」の場合には、蓄積量に関わらず、決して起こりえない。また、ここでは識別しないが、式a−1はQS順が「昇順」の場合、式a−2はQS順が「降順」の場合である。例えば、Th1=1000で、300のデータフレーム1つを蓄積していたとすると、QS起算が「先頭」であれば、QS(1)(もしくはQS(M))=300、QS(2)(もしくはQS(M−1))=300であり、式a−1もしくは式a−2を満たす。しかし、QS起算が「差分」であれば、QS(1)(もしくはQS(M))=300、QS(2)(もしくはQS(M−1))=0となり、式a−1、式a−2は満たさない。
【0115】
さて、ステップS702にて条件A−1に合致した場合には、第1の識別結果(値)を「先頭」とし、第1の識別結果(状態)を「確定」とし(ステップS704)、第1の識別を終了する。
【0116】
一方、合致しなかった場合には、QS起算を確定的に「差分」と識別できるか、判断する。具体的には、条件A−2に合致するかを判断する(ステップS703)。条件A−2とは、式a−3〜式a−7のうち、少なくとも1つの式を満たすことを条件とする。これは、これらの式を満たす場合、確定的にQS起算は「差分」であることを識別できるものである。すなわち、QS起算が「先頭」であるONUでは、決してこれらの式を満たすREPORTを送信してこない、ことを意味している。
【0117】
式a−3〜式a−7は、次式のようになる。
式a−3:QS(k)>0∧QS(j|j≠k)=0なるj、kが存在する。
式a−4:QS(k)>QS(k+1)∧QS(k+1)<QS(k+2)なるkが存在する。
式a−5:QS(k)<QS(k+1)∧QS(k+1)>QS(k+2)なるkが存在する。
式a−6:pQS(k)>pQS(k+1)∧QS(k)<QS(k+1)なるkが存在する。
式a−7:pQS(k)<pQS(k+1)∧QS(k)>QS(k+1)なるkが存在する。
【0118】
これらの式では、QS数をMとするとき、k、jを1以上M以下である値としている。式a−3は、いずれかのQSに蓄積量がある(ゼロより大)であるにも関わらず、他のQSにゼロのものがある、という条件式である。これは、QS起算が「差分」の場合には起こりうるが、QS起算が「先頭」の場合には、決して起こりえない。
【0119】
式a−4、式a−5は、不等号の向きこそ異なるが、両者とも、3つのQSの値が「昇順」にも「降順」にもなっていないことを表している。これは、QS起算が「先頭」の場合には決して起こりえないので、式a−4あるいは式a−5を満たすのであればQS起算は「差分」であると確定的に識別することができる。
【0120】
式a−6、式a−7では、pQS(k)を、当該ONUから前周期に受信したREPORTに含まれていたQS(k)とする。式a−6、式a−7は、前周期に受信したREPORTのQS順と、今周期に受信したREPORTのQS順が異なることを表している。これは、QS起算が「先頭」の場合には決して起こりえないので、式a−6あるいは式a−7を満たすのであればQS起算は「差分」であると確定的に識別することができる。
【0121】
さて、ステップS703にて条件A−2に合致した場合には、第1の識別結果(値)を「差分」とし、第1の識別結果(状態)を「確定」とし(ステップS705)、第1の識別を終了する。
【0122】
一方、合致しなかった場合には、QS起算を「先頭」とも「差分」とも確定的に識別できなかったことを意味するので、第1の識別結果(状態)は「未確定」のまま、終了する。
【0123】
次に、図9に実施形態1の第2の識別手順(ステップS604)の詳細を示す。上述の通り、第2の識別では、蓋然性の高いQS起算を識別する。まず、初期化処理として、第2の識別結果(状態)を「未確定」とする(ステップS801)。次に、QS起算は「先頭」である蓋然性が高いか、識別する。具体的には、条件B−1に合致するか、判断する(ステップS802)。条件B−1は、式b−1〜式b−3のうち、少なくとも1つの式を満たすことを条件とする。これは、これらの式を満たす場合、QS起算は「先頭」である蓋然性が高いと識別できるものである。すなわち、QS起算が「差分」であるONUからは、これらの式を満たすREPORTを送信する蓋然性が低いことを意味している。
【0124】
式b−1〜式b−3は、次式のようになる。
式b−1:M≧3のとき、1≦k≦M−1の範囲のすべてのkにおいて、QS(k)≧QS(k+1)>0
式b−2:M≧3のとき、1≦k≦M−1の範囲のすべてのkにおいて、0<QS(k)≦QS(k+1)
式b−3:すべてのkについて、QS(k)>0∧QS(k)=C
ただし、MはQS数であり、kは1≦k≦Mの整数であり、Cは定数である。
【0125】
式b−1、式b−2は、全てのQSの値が「昇順」もしくは「降順」であることを意味する。これらは、QS起算が「先頭」でかつ、蓄積量が多い場合には容易に起こりうる。一方、QS起算が「差分」の場合には、蓄積しているデータフレームの長さの組み合わせによっては、式b−1もしくは式b−2を満たすこともありうるが、蓋然性が高いとは言えない。
【0126】
また、式b−3は、全てのQSの値がゼロより大でかつ等しいことを意味する。これは、QS起算が「先頭」でかつ、蓄積量がしきい値Th1より少量である場合には、容易に起こりうる。また、QS起算が「差分」の場合にも、式2−3を満たすこともありうるが、蓋然性が高いとは言えない。
【0127】
さて、ステップS802にて条件B−1に合致した場合には、第2の識別結果(値)を「先頭」とし、第2の識別結果(状態)を「確定」とし(ステップS804)、第2の識別を終了する。
【0128】
一方、合致しなかった場合には、QS起算が「差分」である蓋然性が高いと識別できるか、判断する。具体的には、条件B−2に合致するかを判断する(ステップS803)。条件B−2とは、式b−4〜式b−7のうち、少なくとも1つの式を満たすことを条件とする。これは、これらの式を満たす場合、QS起算が「差分」であることの蓋然性が高いといえるものである。すなわち、QS起算が「先頭」であるONUでは、これらの式を満たすREPORTを送信してくる確率が低いことを意味している。
【0129】
式b−4〜式b−7は、次式のようになる。
式b−4:p2G=p2QS(2)∧p2G>0∧Tx≠p2G
式b−5:p2G=p2QS(M−1)∧p2G>0∧Tx≠p2G
式b−6:p2G=p2QS(1)+p2QS(2)∧p2G>0∧Tx=p2G
式b−7:p2G=p2QS(M)+p2QS(M−1)∧p2G>0∧Tx=p2G
【0130】
これらの式では、QS数をMとしている。p2Gは、2周期前における、当該ONU3へのオーバヘッドを除く送信許可量とし、p2QSは2周期前に受信したREPORTに含まれていたQSの値とする。また、Txは、上述の2周期前における送信許可に対し、当該ONU3が送信し、OLT1が受信し、受信量測定部12により測定された受信データ量(フレームごとのプリアンブル、最小IFGを含む)とする。これらの値は、記憶部17により記録されており、それを識別部13は参照し、識別に用いる。
【0131】
式b−4、式b−5は、2周期前に、QS(2)(もしくはQS(M−1))と等しい送信許可量を与えていた場合に、それにも関わらずOLT1にて受信したデータ量がQS(2)(もしくはQS(M−1))とは異なることを意味する。これは、QS起算が「先頭」であれば、容易には起こりえず、QS起算が「差分」である蓋然性が高いといえる。
【0132】
式b−6、式b−7は、2周期前に、QS(1)とQS(2)との和(もしくは、QS(M)とQS(M−1)との和)と等しい送信許可量を与えていた場合に、OLT1にて受信したデータ量が送信許可量と等しい値であったことを意味する。これは、QS起算が「差分」であれば、容易に起こりうるが、QS起算が「先頭」では確率が低い。そのため、これらの式を満たす場合には、QS起算が「差分」である蓋然性が高いといえる。
【0133】
さて、ステップS803にて条件B−2に合致した場合には、第2の識別結果(値)を「差分」とし、第2の識別結果(状態)を「確定」とし(ステップS805)、第2の識別を終了する。
【0134】
一方、合致しなかった場合には、蓋然性の高いQS起算を識別できなかったことを意味するので、第2の識別結果(状態)は「未確定」のまま、終了する。
【0135】
次に、図10に実施形態1の第3の識別手順(ステップS610)の詳細を示す。上述の通り、第3の識別では、QS順を確定的に識別する。まず、初期化処理として、第3の識別結果(状態)を「未確定」とする(ステップS901)。以降はQS起算が「先頭」である場合と「差分」である場合とで、分岐する(ステップS902)。
【0136】
QS起算が「先頭」である場合には、QS順が「昇順」であるか(ステップS903)、「降順」であるか(ステップS904)を識別する。具体的には、ステップS903では、QS順が「昇順」であるか識別するため、条件C−1に合致するか判断する。条件C−1は,式c−1を満たすことを条件とする.これは,QS起算が「先頭」の場合に,式c−1を満たせば,確定的にQS順は「昇順」と識別できることを意味する.
【0137】
式c−1は、次式のようになる。
式c−1:QS(k)<QS(k+1)なるkが存在する。
ただし、MはQS数であり、kは1≦k≦Mの整数である。
【0138】
ステップS903において条件C−1と合致した場合、第3の識別結果(値)を「昇順」とし、第3の識別結果(状態)を「確定」とし(ステップS907)、第3の識別を終了する。
【0139】
合致しない場合には、QS順が確定的に「降順」であるかの識別を行う。具体的には、条件C−2に合致するか判断する(ステップS904)。条件C−2は、式c−2を満たすことを条件とする。これは、QS起算が「先頭」の場合に、式c−2を満たせば、確定的にQS順は「降順」と識別できることを意味する。
【0140】
式c−2は、次式のようになる。
式c−2:QS(k)>QS(k+1)なるkが存在する。
ただし、MはQS数であり、kは1≦k≦Mの整数である。
【0141】
ステップS904において条件C−2と合致した場合、第3の識別結果(値)を「降順」とし、第3の識別結果(状態)を「確定」とし(ステップS908)、第3の識別を終了する。
【0142】
一方、QS起算が「差分」であった場合も上記と同様に、QS順を識別する。まず、QS順が確定的に「昇順」であるかの識別を行う。具体的には、条件C−3に合致するか判断する(ステップS905)。条件C−3は、式c−3を満たすことを条件とする。これは、QS起算が「差分」である場合、式c−3を満たせば、確定的にQS順は「昇順」と識別できることを意味する。
【0143】
式c−3は、次式のようになる。
式c−3:QS(1)>0∧QS(M)=0
ただし、MはQS数である。
【0144】
ステップS905において条件C−3と合致した場合、第3の識別結果(値)を「昇順」とし、第3の識別結果(状態)を「確定」とし(ステップS907)、第3の識別を終了する。
【0145】
次に、QS順が確定的に「降順」であるかの識別を行う。具体的には、条件C−4に合致するか判断する(ステップS906)。条件C−4は、式c−4を満たすことを条件とする。これは、QS起算が「差分」である場合、式c−4を満たせば、確定的にQS順は「降順」と識別できることを意味する。
【0146】
式c−4は、次式のようになる。
式c−4:QS(M)>0∧QS(1)=0
ただし、MはQS数である。
【0147】
ステップS906において条件C−4と合致した場合、第3の識別結果(値)を「降順」とし、第3の識別結果(状態)を「確定」とし(ステップS908)、第3の識別を終了する。
【0148】
次に、図11に実施形態1の第4の識別手順(ステップS612)の詳細を示す。第4の識別では、第3の識別によってもQS順を識別できなかった場合に、蓋然性の高いQS順を識別する。
【0149】
まず、初期化処理として、第4の識別結果(状態)を「未確定」とする(ステップS1001)。次に、QS起算が「先頭」であるか、「差分」であるか、により分岐する(ステップS1002)。QS起算が「先頭」である場合、第4の識別を終了する。これは、QS起算が「先頭」の場合に、第3の識別によってQS順を確定的に識別できなかった場合には、蓋然性の高いQS順も識別できないためである。すなわち、前述の条件C−1、条件C−2のいずれも満たしていない、ということは、全てのQSが同値であることを意味する。このときは、QS順が「昇順」であるか、「降順」であるか、まったく識別することができないためである。
【0150】
一方、QS起算が「差分」である場合には、蓋然性の高いQS順の識別を行う。まず、QS順は「昇順」である蓋然性が高いか、識別する。具体的には、条件D−3に合致するか、判断する(ステップS1003)。条件D−3は、式d−3を満たすことを条件とする。これは、QS起算が「差分」である場合、式d−3を満たせば、QS順は「昇順」である蓋然性が高いと識別できることを意味する。
【0151】
式d−3は、次式のようになる。
式d−3:p2G=p2QS(1)+p2QS(2)∧p2G>0∧Tx=p2G∧M>2
【0152】
ステップS1003において条件D−3と合致した場合、第4の識別結果(値)を「昇順」とし、第4の識別結果(状態)を「確定」とし(ステップS1005)、第4の識別を終了する。
【0153】
次に、QS順は「降順」である蓋然性が高いか、識別する。具体的には、条件D−4に合致するか、判断する(ステップS1004)。条件D−4は、式d−4を満たすことを条件とする。これは、QS起算が「差分」である場合、式d−4を満たせば、QS順は「降順」である蓋然性が高いと識別できることを意味する。
【0154】
式d−4は、次式のようになる。
式d−4:p2G=p2QS(M)+p2QS(M−1)∧p2G>0∧Tx=p2G∧M>2
【0155】
ステップS1004において条件D−4と合致した場合、第4の識別結果(値)を「降順」とし、第4の識別結果(状態)を「確定」とし(ステップS1006)、第4の識別を終了する。
【0156】
これらの式では、QS数をMとしている。p2Gは、2周期前における、当該ONU3へのオーバヘッドを除く送信許可量とし、p2QSは2周期前に受信したREPORTに含まれていたQSの値とする。また、Txは、上述の2周期前における送信許可に対し、当該ONU3が送信し、OLT1が受信し、受信量測定部12により測定された受信データ量(フレームごとのプリアンブル、最小IFGを含む)とする。これらの値は、記憶部17により記録されており、それを識別部13は参照し、識別に用いる。
【0157】
以上の手順により、識別部13はONU3ごとのQS起算、QS順を識別し、識別テーブル14を更新する。
【0158】
{実施形態1の送信許可手順}
次に、送信許可算出部16による、送信許可の算出について説明する。送信許可算出部16は、識別テーブル14を参照し、識別部13から転送されるREPORTフレームに応じて、各ONU3への送信許可を算出する。送信許可算出部16による送信許可の算出は、各ONU3が送信したREPORTが全て受信されてから実施する。ここで、送信許可手順が、送信許可量設定ステップに相当する。
【0159】
実施形態1の送信許可手順の概要を図12に示す。まず、識別テーブル14と識別部13から転送されたREPORTフレームに基づいて、統一された割り当て候補となる量をONUごとに算出する(ステップS1101)。次に、ONUごとに送信許可量を算出する(ステップS1102)。最後に、送信許可時刻を算出する(ステップS1103)。
【0160】
次に、実施形態1の割当候補の算出手順の詳細を図13に示す。本手順により、ONUごとのQSの算出方法に応じて、統一的な、すなわち、共通の、割り当て候補となる量を、ONUごと、候補ごとに算出する。ONU(i)の第j候補をR(i,j)とする。候補の数は、ONUごとのQS数のうち、最大のQS数と同数とする。ここでは、ONU(i)のQS数をm(i)、最大のQS数をMmaxとする。また、ONU(i)のQS(j)を、qs(i,j)と表す。
【0161】
ここでは、R(i,j)の値は、QS起算が「先頭」、QS順が「昇順」のONUのQSと同等の値となるように算出する。例えば、ONU(k)のQS数m(k)=Mmaxであったとして、QS起算が「先頭」、QS順が「昇順」であったとすると、R(k,j)=qs(k,j)となる。QS起算、QS順が異なる場合や、QS数が少ない場合には、図13に示す手順により、それぞれ算出される。
【0162】
まず、ONUごとのQS数m(i)のうち、最大のQS数Mmaxを算出する(ステップS1201)。以降の処理をONUごとに繰り返す(ステップS1202)。ここで、Nは接続ONUの台数とし、iはONUごとの識別子である。まず、算出を簡単にするため、QS数の差分Y(i)をY(i)=Mmax−m(i)として算出する(ステップS1203)。次に、以降の処理を割り当て候補ごとに繰り返す(ステップS1204)。jは、割り当て候補ごとの識別子である。
【0163】
jとY(i)とを比較し(ステップS1205)、j≦Y(i)であれば、割り当て候補となる量R(i,j)をゼロにする(ステップS1206)。これはすなわち、QS数が少ないONUは、割り当て候補によってはゼロであることを意味する。例えば、ONU(k)のQS数はm(k)=3であったとし、最大のQS数はMmax=5であったとする。このとき、ONU(k)からのQSは3つしか無いため、候補も3つしか算出し得ない。そこで、R(k,1)、R(k,2)はゼロにし、R(k,3)、R(k,4)、R(k,5)は、ONU(k)からの送信要求に応じた値を算出する。
【0164】
次に、ステップS1205にて、j>Y(i)であった場合、すなわち、候補となる値がありうる場合、識別テーブル14を参照し、QS起算、QS順の値に応じて(ステップS1207、S1208、S1211)、それぞれの算出を行う。
【0165】
まず,QS起算が「先頭」でQS順が「昇順」である場合、R(i,j)=qs(i,j−Y(i))とする(ステップS1209)。これは、QS数と最大のQS数との差分だけQSをシフトして割り当て候補とすることを意味する。上記の例と同様に、Mmax=5、m(i)=3であれば、ONU(i)のR(i,j)は以下のようになる。 R(i,1)=0、R(i,2)=0、R(i,3)=qs(i,1)、
R(i,4)=qs(i,2)、R(i,5)=qs(i,3)
【0166】
一方、QS起算が「先頭」でQS順が「降順」である場合、R(i,j)=qs(i,Mmax−j−1)とする(ステップS1210)。これは、割り当て候補の後方の値としてQSの前方の値を割り当てることを意味する。上記と同様の例であれば、以下のようになる。
R(i,1)=0、R(i,2)=0、R(i,3)=qs(i,3)、
R(i,4)=qs(i,2)、R(i,5)=qs(i,1)
【0167】
また、QS起算が「差分」でQS順が「昇順」である場合、R(i,j)=Σqs(i,k)とする(ステップS1212)。和の範囲は、k=1〜j−Y(i)である。これは、QSを昇順で累積的に加算していくことを意味する。上記と同様の例であれば、以下のようになる。
R(i,1)=0、R(i,2)=0、R(i,3)=qs(i,1)、
R(i,4)=qs(i,1)+qs(i,2)、
R(i,5)=qs(i,1)+qs(i,2)+qs(i,3)
【0168】
最後に、QS起算が「差分」でQS順が「降順」である場合、R(i,j)=Σqs(i,k)とする(ステップS1213)。和の範囲は、k=Mmax−j+1〜m(i)である。これは、QSを降順で累積的に加算していくことを意味する。上記と同様の例であれば、以下のようになる。
R(i,1)=0、R(i,2)=0、R(i,3)=qs(i,3)
R(i,4)=qs(i,2)+qs(i,3)、
R(i,5)=qs(i,1)+qs(i,2)+qs(i,3)
【0169】
以上の手順により、QS起算、QS順、QS数によらず、ONU間で共通の割り当て候補となる量を算出することができる。
【0170】
次に、実施形態1の送信許可量の算出手順の詳細を図14に示す。図14における各変数は以下を意味する。
s:割り当て可能サイズを表す変数
Cy:1周期の割り当て可能サイズ
i,j,k:インデックス用変数
N:接続ONU台数
G(i):ONU(i)への送信許可量
M:割り当て候補の種類数
LG:ONUの送信許可優先順位リスト
LG(i,j):割り当て候補(j)における、優先順位第i位のONUの識別子
R(k,j):ONU(k)における割り当て候補(j)
【0171】
なお、ここでは説明の簡単化のため、上りバースト送信に伴うオーバヘッド分の扱いは省略する。
【0172】
まず、初期化処理として、割り当て可能サイズsを、1周期の割り当て可能サイズCyとし(ステップS1301)、各ONU3の送信許可量G(i)をゼロにする(ステップS1302、S1303)。
【0173】
次に、各ONU3への送信許可量G(i)を算出する。算出は、割り当て候補となる量をONUごとに繰り返し送信許可量G(i)に加算し、ONUへの送信許可量の合計が1周期の割り当て可能サイズCyを超過しない程度まで繰り返す。
【0174】
具体的には、まず、ONUの送信許可優先順位リストLGを参照し、今回の算出対象のONU3の識別子を得る(ステップS1306)。次に、このONU3に、送信許可量として算出済みであったG(k)を、割り当て可能サイズsに戻す(ステップS1307)。その上で、今回の対象となる割り当て候補R(k,j)を、対象のONU3に送信許可量として確保できるか判断する(ステップS1308)。確保できるようであれば、送信許可量G(k)として、割り当て候補R(k,j)を確保し、その分を割り当て可能サイズsから減ずる(ステップS1309)。これを繰り返し行う(ステップS1304、S1305)。ただし、ステップS1308にて、割り当て可能サイズsが残り少なく、割り当て候補R(k,j)を確保できないようであれば、送信許可量G(k)には、残りの割り当て可能サイズsを全て確保し(ステップS1310)、送信許可量の算出手順を終了する。
【0175】
次に、実施形態1の送信許可時刻の算出手順の詳細を図15に示す。図15における各変数は以下を意味する。
st:送信許可時刻を表す変数
S:今周期の先頭の送信許可時刻
i,j:インデックス用変数
N:接続ONU台数
G(i):ONU(i)への送信許可量
LS:ONUの送信許可時刻リスト
LS(i):リストのi番目のONUの識別子
GST(j):ONU(j)における送信許可時刻
【0176】
なお、ここでは説明を簡単化するため、送信許可量の単位と、送信許可時刻の単位とが同一と見なせることとしている。すなわち、送信許可量が10だけあるとすると、この送信許可量を送信するのに必要な時間も10であることを指す。
【0177】
ただし、これらの単位が同一と見なせない場合には、同一と見なせるよう変換する。例えば、10だけ送信するのに1の時間が必要であれば、図中の送信許可量G(j)を、1/10に変換して扱う。
【0178】
送信許可時刻の算出においては、まず、初期化処理として、今周期の先頭の送信許可時刻Sを、送信許可時刻を表す変数stにセットする(ステップS1401)。
【0179】
次に、各ONUに対し、送信許可時刻GST(j)を繰り返し算出する(ステップS1402)。具体的には、まず、ONUの送信許可時刻リストLSを参照し、今回の算出対象のONU3の識別子を得る(ステップS1403)。次に、このONUへの送信許可があるか、すなわち、G(j)がゼロより大であるかを判断する(ステップS1404)。送信許可がある場合には、当該ONUの送信許可時刻GST(j)を、送信許可時刻stとし、stをG(j)だけ進める(ステップS1405)。一方、送信許可が無い場合には、次のONUへの送信許可時刻を算出する。
【0180】
以上の一連の手順により、ONUごとのQSを算出する方法を識別し、その結果に基づいて、各ONUへの適当な送信許可を算出することができる。
【0181】
(実施形態2)
{実施形態2の概要}
次に、本発明における実施形態2について説明する。実施形態2においては、ONU3のQSを算出する方法として、送信要求量に送信許可済みでかつ送信待ちのデータフレーム量を含むか、含まないか、をさらに識別する。実施形態2は、実施形態1とほとんど同様であるが、以下の3点が異なる。(1)図6に示した識別テーブル14の替わりに、図16に示す識別テーブル24を用いる。(2)識別手順は、図7に示した手順に加えて図17に示す手順を用いる。(3)割り当て候補の算出手順は、図13に示した手順に加えて図20に示す手順を用いる。以下に詳細を記す。ここで、送信要求量に送信許可済みでかつ送信待ちのデータフレーム量を含む方法が、送信許可包含フォーマットに相当し、送信要求量に送信許可済みでかつ送信待ちのデータフレーム量を含まない方法が、送信許可非包含フォーマットに相当する。
【0182】
本実施形態においては、OLT1は図16に示す識別テーブル24を備え、識別部13はこの識別テーブル24を参照してONUごとのQSを算出する方法の識別を行う。識別テーブル24は、ONUごとのQS起算、QS順のほかに、送信許可済み量の情報を持つ。送信許可済み量の情報は、値として、「含む」、「含まない」の2値をとり、状態は他と同様に「確定」、「未確定」の2つを取る。送信許可済み量の値が「含む」であれば、当該ONUが送信するREPORTフレームには、送信許可済みでかつ送信待ちのデータフレーム量も含んだ送信要求であることを意味する。「含まない」であれば、新たな送信許可を与えられない限りは送信することのできないデータフレームについてのみ、その蓄積量をREPORTフレームに記していることを意味する。また、他のパラメータと同様に、状態が「確定」であれば、確定的に識別されていることを意味する。
【0183】
{実施形態2の識別手順}
本実施形態においては、識別部13は図17に示す識別手順により、各ONUのQSを算出する方法を識別する。以下に詳細を記す。
【0184】
まず、実施形態1における識別手順(図7)と同様の手順により、QS起算とQS順の識別を行う。次に、送信許可済み量の識別を行う。ここでは、まず、識別テーブル24を参照し、送信許可済み量の状態が「確定」であれば、すでに確定的な識別は完了しているので、本識別を終了する(ステップS1701)。一方、「未確定」であれば、第5の識別を行う(ステップS1702)。第5の識別では、確定的な送信許可済み量の識別を行う。第5の識別結果を参照し(ステップS1703)、確定的に識別された場合には識別テーブル24を更新する。具体的には、QS起算、QS順の両者の状態がすでに「確定」であれば(ステップS1706)、識別テーブル24の送信許可済み量の状態も「確定」とする(ステップS1707)。一方、いずれか、もしくは両者ともに「未確定」であれば、送信許可済み量の状態は更新しない(「未確定」のまま)。識別テーブル24の送信許可済み量の値は、第5の識別結果の値に更新し(ステップS1708)、終了する。
【0185】
一方、第5の識別においては「未確定」であった場合、第6の識別を行う(ステップS1704)。第6の識別では、送信許可済み量について、蓋然性の高いものを識別する。第6の識別結果を参照し(ステップS1705)、「確定」であれば、識別テーブル24の送信許可済み量の値は第6の識別結果の値に更新し(ステップS1709)、終了する。「未確定」であれば、識別テーブル24は更新せずに終了する。
【0186】
次に、実施形態2の第5の識別手順の詳細を図18に示す。上述の通り、第5の識別では、送信許可済み量を確定的に識別する。まず、初期化処理として、第5の識別結果(状態)を「未確定」とする(ステップS1801)。
【0187】
次に、送信許可済み量を確定的に「含まない」と識別できるか(ステップS1802)、「含む」と識別できるか(ステップS1803)、判断する。具体的には、ステップS1802では、送信許可済み量を「含まない」か識別するため、条件E−1に合致するか判断する。条件E−1は、式e−1を満たすことを条件とする。これは、式e−1を満たせば、確定的に送信許可済み量を「含まない」、と識別できることを意味する。
【0188】
式e−1は、次式のようになる。
式e−1:すべてのkにおいて、p2G>F∧pQS(k)=0∧Tx>0
ただし、MはQS数であり、kは1≦k≦Mの整数であり、Fは最大フレーム長である。
【0189】
式e−1は、2周期前の送信許可量p2Gが最大フレーム長Fより大であり、実際にデータトラヒックを送信してきた(Tx>0)にも関わらず、その送信したデータトラヒックがバッファ中にまだ存在していた時点での送信要求が無かった(pQS(k)=0)、ことを意味する。この場合、確定的に送信許可済み量を「含まない」、と識別できる。
【0190】
ステップS1802において条件E−1と合致した場合、第5の識別結果(値)を「含まない」とし、第5の識別結果(状態)を「確定」とし(ステップS1804)、第5の識別を終了する。
【0191】
合致しない場合には、送信許可済み量を確定的に含むかの識別を行う。具体的には、条件E−2に合致するか判断する(ステップS1803)。条件E−2は、式e−2を満たすことを条件とする。これは、式e−2を満たせば、確定的に送信許可済み量を「含む」と識別できることを意味する。
【0192】
式e−2は、次式のようになる。
式e−2:p2QS(k)>0∧p2G>F∧Tx=0なるkが存在する。
ただし、MはQS数であり、kは1≦k≦Mの整数であり、Fは最大フレーム長である。
【0193】
式e−2は、2周期前に送信要求があり(p2QS(k)>0)、その要求に対し最大フレーム長より大きい送信許可を与えた(p2G>F)にも関わらず、その送信許可に対して全くデータトラヒックを送信してこなかった(Tx=0)ことを意味する。つまり、2周期前の送信要求は、既に送信許可を与えられていたデータフレーム量が反映されたに過ぎない。この場合、確定的に送信許可済み量を「含む」と識別できる。
【0194】
ステップS1803において条件E−2と合致した場合、第5の識別結果(値)を「含む」とし、第5の識別結果(状態)を「確定」とし(ステップS1805)、第5の識別を終了する。
【0195】
次に,実施形態2の第6の識別手順の詳細を図19に示す。第6の識別では、第5の識別によっても送信許可済み量を識別できなかった場合に、蓋然性の高い送信許可済み量を識別する。
【0196】
まず、初期化処理として、第6の識別結果(状態)を「未確定」とする(ステップS1901)。次に、QS起算が「先頭」であるか、「差分」であるか、により分岐する(ステップS1902)。
【0197】
QS起算が「先頭」である場合、蓋然性の高い送信許可済み量の識別を行う。まず、送信許可済み量は「含まない」である蓋然性が高いか、識別する。具体的には、条件F−1に合致するか、判断する(ステップS1903)。条件F−1は、式f−1を満たすことを条件とする。
【0198】
式f−1は、次式のようになる。
式f−1:p2QS(k)>0∧p2G=p2QS(k)∧Tx=p2Gなるkが存在する。
ただし、MはQS数であり、kは1≦k≦Mの整数である。
【0199】
式f−1は、2周期前に送信要求があり(p2QS(k)>0)、その要求と同等の送信許可を与え(p2G=p2QS(k))、その送信許可に応じて実際に送信したデータフレームの量も同等であった(Tx=p2G)ことを意味する。これは、QS起算が「先頭」である場合、式f−1を満たせば、送信許可済み量は「含まない」である蓋然性が高いと識別できることを意味する。
【0200】
ステップS1903において条件F−1と合致した場合、第6の識別結果(値)を「含まない」とし、第6の識別結果(状態)を「確定」とし(ステップS1907)、第6の識別を終了する。
【0201】
次に、送信許可済み量は「含む」である蓋然性が高いか、識別する。具体的には、条件F−2に合致するか、判断する(ステップS1904)。条件F−2は。式f−2を満たすことを条件とする。
【0202】
式f−2は、次式のようになる。
式f−2:p2QS(k)>0∧p2G=p2QS(k)∧Tx≠p2Gなるkが存在する。
ただし、MはQS数であり、kは1≦k≦Mの整数である。
【0203】
式f−2は、式f−1と異なり、2周期前に送信要求があり(p2QS(k)>0)、その要求と同等の送信許可を与えた(p2G=p2QS(k))にも関わらず、その送信許可に応じて実際に送信したデータフレームの量が送信許可量とは異なっていた(Tx≠p2G)ことを意味する。これは、QS起算が「先頭」である場合、式f−2を満たせば、送信許可済み量は「含む」である蓋然性が高いと識別できることを意味する。
【0204】
ステップS1904において条件F−2と合致した場合、第6の識別結果(値)を「含む」とし、第6の識別結果(状態)を「確定」とし(ステップS1908)、第6の識別を終了する。
【0205】
一方、QS起算が「差分」である場合も、同様に蓋然性の高い送信許可済み量の識別を行う。まず、送信許可済み量は「含まない」である蓋然性が高いか,識別する。具体的には、条件F−3に合致するか、判断する(ステップS1905)。条件F−3は、式f−3、式f−4のうち、少なくとも1つの式を満たすことを条件とする。
【0206】
式f−3、式f−4は、次式のようになる。
式f−3:p2QS(1)>0∧p2G=p2QS(1)∧Tx=p2G
式f−4:p2QS(M)>0∧p2G=p2QS(M)∧Tx=p2G
ただし、MはQS数である。
【0207】
式f−3、式f−4はいずれも、2周期前に送信要求があり(p2QS(1)>0、p2QS(M)>0)、先頭のQSが示す要求と同等の送信許可を与え(p2G=p2QS(1)、p2G=p2QS(M))、その送信許可に応じて実際に送信したデータフレームの量も同等であった(Tx=p2G)ことを意味する。これは、QS起算が「差分」である場合、式f−3もしくは式f−4を満たせば、送信許可済み量は「含まない」である蓋然性が高いと識別できることを意味する。
【0208】
ステップS1905において条件F−3と合致した場合、第6の識別結果(値)を「含まない」とし、第6の識別結果(状態)を「確定」とし(ステップS1907)、第6の識別を終了する。
【0209】
次に、送信許可済み量は「含む」である蓋然性が高いか、識別する。具体的には、条件F−4に合致するか、判断する(ステップS1906)。条件F−4は、式f−5、式f−6のうち、少なくとも1つの式を満たすことを条件とする。
【0210】
式f−5、式f−6は、次式のようになる。
式f−5:p2QS(1)>0∧p2G=p2QS(1)∧Tx≠p2G
式f−6:p2QS(M)>0∧p2G=p2QS(M)∧Tx≠p2G
ただし、MはQS数である。
【0211】
式f−5、式f−6はいずれも、2周期前に送信要求があり(p2QS(1)>0、p2QS(M)>0)、先頭のQSが示す要求と同等の送信許可を与えた(p2G=p2QS(1)、p2G=p2QS(M))にも関わらず、その送信許可に応じて実際に送信したデータフレームの量は異なっていた(Tx≠p2G)ことを意味する。これは、QS起算が「差分」である場合、式f−5もしくは式f−6を満たせば、送信許可済み量は「含む」である蓋然性が高いと識別できることを意味する。
【0212】
ステップS1906において条件F−4と合致した場合、第6の識別結果(値)を「含む」とし、第6の識別結果(状態)を「確定」とし(ステップS1908)、第6の識別を終了する。
【0213】
{実施形態2の送信許可手順}
次に、送信許可算出部16による、送信許可の算出について説明する。本実施形態においては、実施形態1とほとんど同様の手順により送信許可の算出を行うが、識別テーブル14の替わりに識別テーブル24を参照する点、割り当て候補となる量の算出を図13の手順に加えて図20に示す手順を用いる点で異なる。
【0214】
実施形態2の割当候補の算出手順の詳細を図20に示す。本手順は、まず、図13に示した実施形態1における手順と同様の手順(ステップS1201〜ステップS1213)を経て、割り当て候補となる量R(i,j)を算出する。
【0215】
次に、本実施形態においては、送信許可済み量を「含む」か「含まない」かに応じた算出をさらに行う。算出はONUごとに行う(ステップS2001)。まず、識別テーブル24を参照し、当該ONUの送信許可済み量の値が「含む」であるか判断する(ステップS2002)。「含まない」である場合、当該ONUについては算出を終了する。
【0216】
当該ONUの送信許可済み量の値が「含む」である場合、割り当て候補となる量の各候補について(ステップS2003)、送信許可済み量を減じる。具体的には、割り当て候補となる量が前周期の送信許可量以下(R(i,j)≦pG(i))である場合(ステップS2004)、送信要求といえども実際には全て送信許可済みのフレーム量を示しているので、新たに送信許可を与える必要はなく、R(i,j)=0とする(ステップS2005)。一方、前周期の送信許可量より割り当て候補となる量が大きい場合には、候補はまだ送信許可を与えられていないフレーム量を含んでいることになるため、候補から前周期の送信許可量を減ずる(ステップS2006)。
【0217】
以上の手順により、QS起算、QS順、送信許可済み量、QS数によらず、ONU間で共通の割り当て候補となる量を算出することができる。
【0218】
(実施形態3)
次に、本発明における実施形態3について説明する。実施形態3は、ほとんど実施形態1及び実施形態2と同様であるが、ONUが送信するREPORTフレームのQSに複数のQRが含まれる点で異なる。このとき、ONUは図21に示すようなREPORTフレームをOLTに送信する。図21の例では、ONUは各QSに#0のキューの蓄積量を示すQR#0と、#4のキューの蓄積量を示すQR#4との2つを含めるものとしている。
【0219】
本実施形態においては、OLT1が備える識別部13は、受信したREPORTフレームから、当該QSに含まれるQRの和をQS(k)の値として用いる。すなわち、第kQSの#iキューのQRをQR(k,i)と表すと、QS(k)=ΣQR(k,i)である。
【産業上の利用可能性】
【0220】
本発明に係る帯域割当方法、光端局装置及びPONシステムは、PONの上り帯域を動的に割り当てるときに、高い帯域利用効率を維持する場合に適用することができる。
【符号の説明】
【0221】
1:OLT
2:光通信路
3、3−1〜3−4:ONU
4:下位ネットワーク
5:上位ネットワーク
11:送受信部
12:受信量測定部
13:識別部
14:識別テーブル
15:IF部
16:送信許可算出部
17:記憶部
24:識別テーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、PONシステムにおける上り通信の通信時間(帯域)を動的に割り当てる帯域割当方法、光端局装置及びこれを実施したPONシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
PON(Passive Optical Network:受動光通信網)は、通信事業者局に設置されるOLT(Optical Line Terminal:光端局装置)と、ユーザ宅に設置されるONU(Optical Network Unit:光加入者装置)とからなるFTTH(Fiber To The Home)の一形態である。PONは、OLTと複数のONUとを、光ファイバや受動光スプリッタ等の光伝送路を介して接続した光ネットワークであり、その経済的優位性により広く利用されている。
【0003】
OLTとONUとがイーサネット(登録商標)フレームにより通信を行うEPON(Ethernet(登録商標) PON)の中で、伝送速度が1GbpsであるGE−PON(Gigabit Ethernet(登録商標) PON)は、高速かつ安価なFTTHサービスを提供することができるため、特に国内では広く用いられている。また、最近では、伝送速度を10Gbpsに高速化した10G−EPONの標準仕様が検討されている。10G−EPONの標準仕様では、図1に示すように10Gbpsと1Gbpsの異なる伝送速度のONUを、OLTに混在して接続することが考慮されている。
【0004】
一般に、PONにおいては、OLTからONUへの通信の方向を下り方向と呼び、これと反対方向を上り方向と呼ぶ。GE−PONを始めとする多くのPONでは、上り方向の通信は時分割多元接続によって行われる。OLTにより、それぞれのONUの送信タイミングを制御することで、複数のONUがOLTと時分割通信できるようにしている。
【0005】
10G−EPONの上り通信も同様に時分割多元接続により行われる。10G−EPONでは、1台のOLTに、上り伝送速度が異なる複数のONUが接続できる方式が検討されている。このとき、異なる速度のONUとの間であっても、時分割多元接続により上り通信を実現する。
【0006】
上り方向の通信が時分割多元接続によって行われる多くのPONにおいて、効率的に上り帯域を使用するには、それぞれのONUに対して上り通信を許可する時間の長さを、通信の状況に応じて動的に変更することによる、動的帯域割当が重要である。ここで、帯域は、各ONUに対して送信許可量を算出し、その送信時間帯を排他的に確保することにより、割り当てられる。
【0007】
EPONには、MPCP(Multi Point−Control Protocol)と呼ばれる、複数のONUの送信タイミングを制御するプロトコルが定められている。OLTはMPCPを用いて動的帯域割当を実行する。
【0008】
ONUは、上りの送信要求量をOLTに通知するための送信要求信号(REPORT)をOLTに送信する。図2(REPORTフォーマット)にIEEE802.3ah及びIEEE802.3avにて規定されているREPORTのフォーマットを示す。REPORTは、1つのフレームの中に1又は複数のQueue Set(以下、QS)を持ち、複数の送信要求量をOLTに通知することが出来る。1つのQueue Setの中には、さらに1又は複数の優先度キュー毎の蓄積量(Queue Report:以下、QR)を記載することが出来る。ONUは上りのバッファ蓄積量を基にQS及びQRを算出する。
【0009】
OLTは、REPORTを受信し、そこに記載された送信要求量を参照し、ONUごとに送信を許可する量と送信開始時刻とを算出し、これらを送信許可信号(GATE)に記載して各ONUに送信する。その際、それぞれのONUの送信信号が時間的に重複しないように制御する。ONUは受信したGATEに従い、指定された送信開始時刻から送信を開始し、上りバッファに蓄積していた信号を、指定された送信許可量の時間だけ送信する。
【0010】
動的帯域割当の方法は、PONシステムの性能を決定する上で重要である。PONシステムの性能は、帯域利用効率や、遅延時間などを指標に評価することができる。動的帯域割当においては、高い帯域利用効率を保ちつつ、低遅延でデータを送信することが重要である。PONシステムにおいては、上り帯域利用効率が高い方が、高性能であるといえる。
【0011】
高い帯域利用効率で動的帯域割当を実現するためには、ONUが上りバッファ蓄積量を基にQS及びQRを算出する方法をONUとOLTとで一致させることが必要である。
【0012】
ONUが上りバッファ蓄積量を基にQSを算出する方法について、図3の例を用いて説明する。図3はONUの上り送信バッファに上りデータが蓄積している様子を表している。ここでは複数の方法を説明する。まず、各QSが示すバッファ蓄積量が、何を起算としているかである。これをQS起算と表記する。QS起算には、2種類がある。1つは、バッファ先頭を起算とするもので、もう1つは、前QSの末尾を起算とするもので、すなわち、QSごとの差分をQSの値とするものである。
【0013】
QS起算とは別に、REPORTフレームに記載される各QSを、バッファ先頭からのしきい値に対して、昇順で記載するか、降順で記載するか、という2種類の方法がある。これをQS順とする。
【0014】
図3には、ONUの上りバッファが単一のQueueのみを持つときの、QS起算、QS順のそれぞれの場合のQSの値がどのようになるか、という例を示している。ここでは、ONU3には、それぞれQSを算出する際に用いるしきい値を2つ備えるものとし、それぞれをTh1、Th2とし、Th1<Th2とする。
【0015】
図3のONU3−1〜3−4に示すようにQS起算とQS順との組み合わせにより、4つの方法が存在しうる。各方法間ではQSの値は異なる。
【0016】
これに加えて、QSの算出方法として、送信要求量に送信許可済みでかつ送信待ちのデータフレーム量を含むか、含まないか、がある。これを送信許可済み量とする。QSの算出方法は、QS起算とQS順と送信許可済み量との組み合わせにより、8つの方法がある。
【0017】
動的帯域割当の方法として、ONUはOLTにバッファ蓄積量または閾値以下のフレーム蓄積量を送信要求量としてREPORTにより通知し、OLTはONUからREPORTにより通知されたいずれかの送信要求量と一致させた送信許可量をGATEにより通知する方法がある。
【0018】
非特許文献1には、各ONUは送信要求量をOLTに通知し、OLTは通知された送信要求量と一致した量の送信を許可することで、余剰帯域を無くし帯域利用効率を向上させる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Interleaved polling with adaptive cycle time (IPACT):a dynamic bandwidth distribution scheme in an optical access network (Glen Kramer et al.,Photonic Network Communications,vol.4,no.1,pp.89−107,Aug.2002)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかし、前述した従来の方法では、以下の2点が課題として挙げられる。課題1として、ONUが上りバッファ蓄積量を基にQSを算出する方法がONUとOLTとで異なった場合に、ONUからの送信要求量とOLTが許可する送信許可量とを一致させることが出来ず、帯域利用効率が低下するという点がある。また、課題2として、OLTに、上りバッファ蓄積量を基にQSを算出する方法が異なる複数のONUが接続されたときに、送信要求量と送信許可量を一致させることが出来ず、帯域利用効率が低下するという点がある。
【0021】
非特許文献1では、ONUが上りバッファ蓄積量を基にQSを算出する方法を判別するステップを持たずに、それぞれを予めどちらかに決定しておいた上で動的帯域割当を行うので、OLTとONUとでONUが上りバッファ蓄積量を基にQSを算出する方法の解釈が異なる場合、帯域利用効率が低下する。また、OLTにONUが上りバッファ蓄積量を基にQSを算出する方法が異なる複数のONUに対して公平に帯域を割り当てるためのステップを持たないため、OLTに、上りバッファ蓄積量を基にQSを算出する方法が異なる複数のONUが接続されたときに、送信要求量と送信許可量を全て一致させることが出来ないため、帯域利用効率が低下するという点がある。
【0022】
そこで、前記課題を解決するために、本発明は、PONの上り帯域を動的に割り当てるときに、高い帯域利用効率を維持するために、ONUのバッファ蓄積量を基にQSを算出する際の複数の方法の解釈をOLTがONUごとに判別した結果に基づき帯域を割り当てる帯域割当方法、光端局装置及びこれを実施したPONシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記目的を達成するために、光端局装置は、送信要求量を通知するフォーマットに関する通知フォーマット情報を、QSを算出する方法に関する情報として保持しており、及び各光加入者装置の送信要求量に関する送信要求量情報を各光加入者装置から受信する。そして、光端局装置は、受信した送信要求量情報及び保持している通知フォーマット情報に基づいて、各光加入者装置の送信許可量を設定するようにした。
【0024】
具体的には、本発明は、光端局装置と複数の光加入者装置とが光伝送路を介して接続されるPONシステムに適用され、前記光端局装置が前記複数の光加入者装置に帯域を割り当てる帯域割当方法であって、前記光端局装置が、前記各光加入者装置から前記光端局装置に前記各光加入者装置の送信要求量を通知されるフォーマットに関する通知フォーマット情報を作成し保持しており、及び前記各光加入者装置の送信要求量に関する送信要求量情報を前記各光加入者装置から受信する帯域割当準備ステップと、前記光端局装置が、受信した前記送信要求量情報及び保持している前記通知フォーマット情報に基づいて、前記各光加入者装置の送信許可量を設定する送信許可量設定ステップと、を順に備えることを特徴とする帯域割当方法である。
【0025】
この構成によれば、複数の光加入者装置が、送信要求量を通知する方法を異にしていても、光端局装置は、各光加入者装置毎の送信要求量を通知する方法を判別することができ、判別結果に基づいて帯域を割り当て高い帯域利用効率を維持することができる。
【0026】
また、本発明は、前記帯域割当準備ステップでは、前記光端局装置が、受信した前記送信要求量情報に基づいて、前記通知フォーマット情報を作成することを特徴とする帯域割当方法である。
【0027】
この構成によれば、光端局装置は、各光加入者装置からの送信要求量情報に基づいて、各光加入者装置毎の送信要求量を通知する方法を判別することができる。
【0028】
また、本発明は、前記帯域割当準備ステップでは、前記光端局装置が、前記各光加入者装置に対して過去に設定した前記各光加入者装置の送信許可量、及び前記各光加入者装置から受信したデータの容量に基づいて、前記通知フォーマット情報を作成することを特徴とする帯域割当方法である。
【0029】
この構成によれば、光端局装置は、各光加入者装置の送信許可量及び各光加入者装置からのデータの容量に基づいて、各光加入者装置毎の送信要求量を通知する方法を判別することができる。
【0030】
また、本発明は、前記送信許可量設定ステップでは、前記光端局装置が、受信した前記送信要求量情報及び保持している前記通知フォーマット情報に基づいて、前記各光加入者装置の送信要求量を読み出し、前記複数の光加入者装置の送信許可量の和が前記光端局装置の受信上限量を超えない限度において、読み出した前記各光加入者装置の送信要求量を前記各光加入者装置の送信許可量として設定することを特徴とする帯域割当方法である。
【0031】
この構成によれば、光端局装置は、受信上限量を超えないように、各光加入者装置の送信要求量に基づいて、各光加入者装置の送信許可量を設定することができる。
【0032】
また、本発明は、前記フォーマットは、前記各加入者装置の送信要求量の候補が複数あるときに、前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補を列挙して通知する列挙通知フォーマットと、前記各加入者装置の送信要求量の候補が複数あるときに、前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち最小の送信要求量の候補及び前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち大小の順序が隣接する送信要求量の候補の差分を通知する差分通知フォーマットと、のうちいずれかであることを特徴とする帯域割当方法である。
【0033】
この構成によれば、各光加入者装置は、列挙通知フォーマットに記載した値を以って、送信要求量の候補とすることができ、差分通知フォーマットに記載した値の和を以って、送信要求量の候補とすることもできる。
【0034】
また、本発明は、前記フォーマットが前記列挙通知フォーマットであり前記差分通知フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記列挙通知フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記差分通知フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記通知フォーマット情報として前記列挙通知フォーマットの情報が保持されており、前記フォーマットが前記差分通知フォーマットであり前記列挙通知フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記差分通知フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記列挙通知フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記通知フォーマット情報として前記差分通知フォーマットの情報が保持されていることを特徴とする帯域割当方法である。
【0035】
この構成によれば、光端局装置は、確定的に又は高い蓋然性を以って、各光加入者装置毎の送信要求量を通知する方法が、列挙通知フォーマット及び差分通知フォーマットに係る方法のうちいずれであるかを判別することができる。
【0036】
また、本発明は、前記各光加入者装置は、前記光端局装置に送信するデータをFIFOに格納しており、前記列挙通知フォーマットは、前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補を昇順で列挙する昇順列挙フォーマットと、前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補を降順で列挙する降順列挙フォーマットと、のうちいずれかであり、前記差分通知フォーマットは、前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち最小の送信要求量の候補、及び前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち大小の順序が隣接する送信要求量の候補の差分を、前記FIFOの出力側から起算して近い順序で列挙する出力順列挙フォーマットと、前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち最小の送信要求量の候補、及び前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち大小の順序が隣接する送信要求量の候補の差分を、前記FIFOの入力側から起算して近い順序で列挙する入力順列挙フォーマットと、のうちいずれかであることを特徴とする帯域割当方法である。
【0037】
この構成によれば、各光加入者装置は、フォーマットに記載する値として、FIFOの出力側に近い場所に格納されているデータの容量値を最初に記載することができ、FIFOの入力側に近い場所に格納されているデータの容量値を最初に記載することもできる。
【0038】
また、本発明は、前記フォーマットが前記昇順列挙フォーマットであり前記降順列挙フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記昇順列挙フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記降順列挙フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記通知フォーマット情報として前記昇順列挙フォーマットの情報が保持されており、前記フォーマットが前記降順列挙フォーマットであり前記昇順列挙フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記降順列挙フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記昇順列挙フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記通知フォーマット情報として前記降順列挙フォーマットの情報が保持されており、前記フォーマットが前記出力順列挙フォーマットであり前記入力順列挙フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記出力順列挙フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記入力順列挙フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記通知フォーマット情報として前記出力順列挙フォーマットの情報が保持されており、前記フォーマットが前記入力順列挙フォーマットであり前記出力順列挙フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記入力順列挙フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記出力順列挙フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記通知フォーマット情報として前記入力順列挙フォーマットの情報が保持されていることを特徴とする帯域割当方法である。
【0039】
この構成によれば、光端局装置は、確定的に又は高い蓋然性を以って、各光加入者装置毎の送信要求量を通知する方法が、昇順列挙フォーマット、降順列挙フォーマット、出力順列挙フォーマット及び入力順列挙フォーマットに係る方法のうちいずれであるかを判別することができる。
【0040】
また、本発明は、前記フォーマットは、前記各光加入者装置の送信要求量の候補に係るデータが、既に前記光端局装置から送信許可されているデータを含む送信許可包含フォーマットと、前記各光加入者装置の送信要求量の候補に係るデータが、既に前記光端局装置から送信許可されているデータを含まない送信許可非包含フォーマットと、のうちいずれかであることを特徴とする帯域割当方法である。
【0041】
この構成によれば、各光加入者装置は、フォーマットに記載する値として、既に光端局装置から送信許可されているデータの容量値を記載することができ、既に光端局装置から送信許可されているデータの容量値を記載しないこともできる。
【0042】
また、本発明は、前記フォーマットが前記送信許可包含フォーマットであり前記送信許可非包含フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記送信許可包含フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記送信許可非包含フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記通知フォーマット情報として前記送信許可包含フォーマットの情報が保持されており、前記フォーマットが前記送信許可非包含フォーマットであり前記送信許可包含フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記送信許可非包含フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記送信許可包含フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記通知フォーマット情報として前記送信許可非包含フォーマットの情報が保持されていることを特徴とする帯域割当方法である。
【0043】
この構成によれば、光端局装置は、確定的に又は高い蓋然性を以って、各光加入者装置毎の送信要求量を通知する方法が、送信許可包含フォーマット及び送信許可非包含フォーマットに係る方法のうちいずれであるかを判別することができる。
【0044】
また、本発明は、前記各光加入者装置の送信要求量の候補は、前記通知フォーマット情報のうち、1又は複数のキューセット、又は前記各キューセットが含む1又は複数のキューレポートに記載されることを特徴とする帯域割当方法である。
【0045】
この構成によれば、IEEE802.3ah及びIEEE802.3avにて規定されているREPORTのフォーマットを利用するときに、本発明を適用することができる。
【0046】
また、本発明は、光端局装置と複数の光加入者装置とが光伝送路を介して接続されるPONシステムに適用され、前記複数の光加入者装置に帯域を割り当てる光端局装置であって、前記各光加入者装置から前記光端局装置に前記各光加入者装置の送信要求量を通知されるフォーマットに関する通知フォーマット情報を作成し保持しており、及び前記各光加入者装置の送信要求量に関する送信要求量情報を前記各光加入者装置から受信する帯域割当準備部と、前記帯域割当準備部が受信した前記送信要求量情報及び前記帯域割当準備部が保持している前記通知フォーマット情報に基づいて、前記各光加入者装置の送信許可量を設定する送信許可量設定部と、を備えることを特徴とする光端局装置である。
【0047】
この構成によれば、複数の光加入者装置が、送信要求量を通知する方法を異にしていても、光端局装置は、各光加入者装置毎の送信要求量を通知する方法を判別することができ、判別結果に基づいて帯域を割り当て高い帯域利用効率を維持することができる。
【0048】
また、本発明は、前記帯域割当準備部は、受信した前記送信要求量情報に基づいて、前記通知フォーマット情報を作成することを特徴とする光端局装置である。
【0049】
この構成によれば、光端局装置は、各光加入者装置からの送信要求量情報に基づいて、各光加入者装置毎の送信要求量を通知する方法を判別することができる。
【0050】
また、本発明は、前記帯域割当準備部は、前記各光加入者装置に対して過去に設定された前記各光加入者装置の送信許可量、及び前記各光加入者装置から受信されたデータの容量に基づいて、前記通知フォーマット情報を作成することを特徴とする光端局装置である。
【0051】
この構成によれば、光端局装置は、各光加入者装置の送信許可量及び各光加入者装置からのデータの容量に基づいて、各光加入者装置毎の送信要求量を通知する方法を判別することができる。
【0052】
また、本発明は、前記送信許可量設定部は、前記帯域割当準備部が受信した前記送信要求量情報及び前記帯域割当準備部が保持している前記通知フォーマット情報に基づいて、前記各光加入者装置の送信要求量を読み出し、前記複数の光加入者装置の送信許可量の和が前記光端局装置の受信上限量を超えない限度において、読み出した前記各光加入者装置の送信要求量を前記各光加入者装置の送信許可量として設定することを特徴とする光端局装置である。
【0053】
この構成によれば、光端局装置は、受信上限量を超えないように、各光加入者装置の送信要求量に基づいて、各光加入者装置の送信許可量を設定することができる。
【0054】
また、本発明は、前記フォーマットは、前記各加入者装置の送信要求量の候補が複数あるときに、前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補を列挙して通知する列挙通知フォーマットと、前記各加入者装置の送信要求量の候補が複数あるときに、前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち最小の送信要求量の候補及び前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち大小の順序が隣接する送信要求量の候補の差分を通知する差分通知フォーマットと、のうちいずれかであることを特徴とする光端局装置である。
【0055】
この構成によれば、各光加入者装置は、列挙通知フォーマットに記載した値を以って、送信要求量の候補とすることができ、差分通知フォーマットに記載した値の和を以って、送信要求量の候補とすることもできる。
【0056】
また、本発明は、前記フォーマットが前記列挙通知フォーマットであり前記差分通知フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記列挙通知フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記差分通知フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記帯域割当準備部は、前記通知フォーマット情報として前記列挙通知フォーマットの情報を保持しており、前記フォーマットが前記差分通知フォーマットであり前記列挙通知フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記差分通知フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記列挙通知フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記帯域割当準備部は、前記通知フォーマット情報として前記差分通知フォーマットの情報を保持していることを特徴とする光端局装置である。
【0057】
この構成によれば、光端局装置は、確定的に又は高い蓋然性を以って、各光加入者装置毎の送信要求量を通知する方法が、列挙通知フォーマット及び差分通知フォーマットに係る方法のうちいずれであるかを判別することができる。
【0058】
また、本発明は、前記各光加入者装置は、前記光端局装置に送信するデータをFIFOに格納しており、前記列挙通知フォーマットは、前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補を昇順で列挙する昇順列挙フォーマットと、前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補を降順で列挙する降順列挙フォーマットと、のうちいずれかであり、前記差分通知フォーマットは、前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち最小の送信要求量の候補、及び前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち大小の順序が隣接する送信要求量の候補の差分を、前記FIFOの出力側から起算して近い順序で列挙する出力順列挙フォーマットと、前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち最小の送信要求量の候補、及び前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち大小の順序が隣接する送信要求量の候補の差分を、前記FIFOの入力側から起算して近い順序で列挙する入力順列挙フォーマットと、のうちいずれかであることを特徴とする光端局装置である。
【0059】
この構成によれば、各光加入者装置は、フォーマットに記載する値として、FIFOの出力側に近い場所に格納されているデータの容量値を最初に記載することができ、FIFOの入力側に近い場所に格納されているデータの容量値を最初に記載することもできる。
【0060】
また、本発明は、前記フォーマットが前記昇順列挙フォーマットであり前記降順列挙フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記昇順列挙フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記降順列挙フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記帯域割当準備部は、前記通知フォーマット情報として前記昇順列挙フォーマットの情報を保持しており、前記フォーマットが前記降順列挙フォーマットであり前記昇順列挙フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記降順列挙フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記昇順列挙フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記帯域割当準備部は、前記通知フォーマット情報として前記降順列挙フォーマットの情報を保持しており、前記フォーマットが前記出力順列挙フォーマットであり前記入力順列挙フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記出力順列挙フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記入力順列挙フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記帯域割当準備部は、前記通知フォーマット情報として前記出力順列挙フォーマットの情報を保持しており、前記フォーマットが前記入力順列挙フォーマットであり前記出力順列挙フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記入力順列挙フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記出力順列挙フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記帯域割当準備部は、前記通知フォーマット情報として前記入力順列挙フォーマットの情報を保持していることを特徴とする光端局装置である。
【0061】
この構成によれば、光端局装置は、確定的に又は高い蓋然性を以って、各光加入者装置毎の送信要求量を通知する方法が、昇順列挙フォーマット、降順列挙フォーマット、出力順列挙フォーマット及び入力順列挙フォーマットに係る方法のうちいずれであるかを判別することができる。
【0062】
また、本発明は、前記フォーマットは、前記各光加入者装置の送信要求量の候補に係るデータが、既に前記光端局装置から送信許可されているデータを含む送信許可包含フォーマットと、前記各光加入者装置の送信要求量の候補に係るデータが、既に前記光端局装置から送信許可されているデータを含まない送信許可非包含フォーマットと、のうちいずれかであることを特徴とする光端局装置である。
【0063】
この構成によれば、各光加入者装置は、フォーマットに記載する値として、既に光端局装置から送信許可されているデータの容量値を記載することができ、既に光端局装置から送信許可されているデータの容量値を記載しないこともできる。
【0064】
また、本発明は、前記フォーマットが前記送信許可包含フォーマットであり前記送信許可非包含フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記送信許可包含フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記送信許可非包含フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記帯域割当準備部は、前記通知フォーマット情報として前記送信許可包含フォーマットの情報を保持しており、前記フォーマットが前記送信許可非包含フォーマットであり前記送信許可包含フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記送信許可非包含フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記送信許可包含フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記帯域割当準備部は、前記通知フォーマット情報として前記送信許可非包含フォーマットの情報を保持していることを特徴とする光端局装置である。
【0065】
この構成によれば、光端局装置は、確定的に又は高い蓋然性を以って、各光加入者装置毎の送信要求量を通知する方法が、送信許可包含フォーマット及び送信許可非包含フォーマットに係る方法のうちいずれであるかを判別することができる。
【0066】
また、本発明は、前記各光加入者装置の送信要求量の候補は、前記通知フォーマット情報のうち、1又は複数のキューセット、又は前記各キューセットが含む1又は複数のキューレポートに記載されることを特徴とする光端局装置である。
【0067】
この構成によれば、IEEE802.3ah及びIEEE802.3avにて規定されているREPORTのフォーマットを利用するときに、本発明を適用することができる。
【0068】
また、本発明は、光端局装置と、前記光端局装置と光伝送路を介して接続され、前記送信要求量情報を前記光端局装置に送信する複数の光加入者装置と、を備えることを特徴とするPONシステムである。
【0069】
この構成によれば、複数の光加入者装置が、送信要求量を通知する方法を異にしていても、光端局装置は、各光加入者装置毎の送信要求量を通知する方法を判別することができ、判別結果に基づいて帯域を割り当て高い帯域利用効率を維持することができる。
【発明の効果】
【0070】
本発明は、PONの上り帯域を動的に割り当てるときに、高い帯域利用効率を維持するために、ONUのバッファ蓄積量を基にQSを算出する際の複数の方法の解釈をOLTがONUごとに判別した結果に基づき帯域を割り当てる帯域割当方法、光端局装置及びこれを実施したPONシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】PONシステムの全体構成を示す図である。
【図2】REPORTフォーマットを示す図である。
【図3】QSを算出する方法を示す図である。
【図4】上り送信制御シーケンスを示す図である。
【図5】本発明のOLTの構成を示す図である。
【図6】実施形態1の識別テーブルを示す図である。
【図7】実施形態1の識別手順の概略を示す図である。
【図8】実施形態1の第1の識別手順の詳細を示す図である。
【図9】実施形態1の第2の識別手順の詳細を示す図である。
【図10】実施形態1の第3の識別手順の詳細を示す図である。
【図11】実施形態1の第4の識別手順の詳細を示す図である。
【図12】実施形態1の送信許可手順の概要を示す図である。
【図13】実施形態1の割当候補の算出手順の詳細を示す図である。
【図14】実施形態1の送信許可量の算出手順の詳細を示す図である。
【図15】実施形態1の送信許可時刻の算出手順の詳細を示す図である。
【図16】実施形態2の識別テーブルを示す図である。
【図17】実施形態2の識別手順の概略を示す図である。
【図18】実施形態2の第5の識別手順の詳細を示す図である。
【図19】実施形態2の第6の識別手順の詳細を示す図である。
【図20】実施形態2の割当候補の算出手順の詳細を示す図である。
【図21】実施形態3のREPORTフォーマットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施の例であり、本発明は以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0073】
本発明における対象のPONシステムは、上り方向の通信がTDM(時分割多元接続)で実現されるシステムとし、OLTには複数のONUが接続されていることとする。ONUは、OLTからの送信許可(送信許可量と送信タイミング)に従ってのみ上りデータを送信する。
【0074】
(実施形態1)
{実施形態1の概要}
本発明における実施形態1について、以下に説明する。PONシステムの全体構成を図1に示す。光端局装置(以下、OLT)1には、光通信路2を介して、複数の光加入者装置(以下、ONU)3−1〜3−4が接続される。なお、ここでは4つのONUのみがOLT1に接続されているものとするが、本発明において、ONUの台数に制限は無い。他の実施形態についても同様である。
【0075】
下位ネットワーク4−1〜4−4は、それぞれ対応するONU3に接続され、OLT1は上位ネットワーク5に接続されている。下位ネットワーク4と上位ネットワーク5とは、OLT1、光通信路2、ONU3を介して情報の授受を行う。
【0076】
OLT1には複数のONU3が接続されているため、ONU3からOLT1へ向かう(上り方向)データ信号の送信は、OLT1により制御される。具体的には、OLT1はONU3ごとに上り信号の送信許可を与え、ONU3は与えられた送信許可に従い上りデータ信号を送信する。上りデータ信号は、可変長のイーサネット(登録商標)形式のフレームとして送信される。以後、上りデータフレームと記載する。
【0077】
OLT1はIEEE802.3ahによりMPCPとして定義されたプロトコルを備え、与える送信許可は、ONU3が上り送信を開始する上り送信時刻と、送信を許可された送信許可量とを含む。これらの送信許可に関わる情報は、GATEと呼ばれるフレーム形式の信号に搭載され、OLT1から各ONU3に送信される。
【0078】
一方、上りデータフレームは、OLT1から送信許可を与えられるまで、ONU3がそれぞれ備える上りバッファに蓄積される。送信許可を与えられたら、送信許可量の範囲内で、蓄積していた上りデータフレームをOLT1に送信する。ここで、上りバッファが、FIFOに相当する。
【0079】
また、ONU3は、上りバッファに蓄積している上りデータフレームの蓄積量を送信要求信号によりOLT1に通知する。送信要求信号は、上記のMPCPとして定義されている、REPORTと呼ばれるフレーム形式の信号により構成される。
【0080】
REPORTフレームは、1つのフレームの中に1つ又は複数のキューセット(以下、QS)を持ち、複数の送信要求量をOLTに通知することが出来る。1つのキューセットの中には、さらに1つ又は複数の優先度キュー毎の蓄積量を記載することが出来る。図2にREPORTフォーマットを示す。この例においては、1つのREPORTフレームにはQS(1)〜QS(3)の3つのQSが格納されることとしており、QS数は3である。本発明においては、QS数により限定されない。
【0081】
また、本実施形態においては、各ONU3が備える優先度キューは1つのみとする。すなわち、全てのトラヒックを同一の優先度で取り扱うこととする。
【0082】
次に、ONU3がQSを算出する際の複数の方法について、図3を用いて説明する。複数の方法を整理する。まず、各QSが示すバッファ蓄積量が、何を起算としているかである。これをQS起算と表記する。QS起算には、2種類がある。1つは、バッファ先頭を起算とするもので、もう1つは、前QSの末尾を記載とするもので、すなわち、QSごとの差分をQSの値とするものである。ここでは、それぞれを、QS起算=「先頭」、QS起算=「差分」、と表すこととする。ここで、QS起算=「先頭」が、列挙通知フォーマットに相当し、QS起算=「差分」が、差分通知フォーマットに相当する。
【0083】
QS起算とは別に、REPORTフレームに記載される各QSを、バッファ先頭からのしきい値に対して、昇順で記載するか、降順で記載するか、という2種類の方法がある。ここでは、それぞれを、QS順=「昇順」、QS順=「降順」と表すこととする。ここで、QS起算=「先頭」及びQS順=「昇順」が、昇順列挙フォーマットに相当し、QS起算=「先頭」及びQS順=「降順」が、降順列挙フォーマットに相当する。そして、QS起算=「差分」及びQS順=「昇順」が、出力順列挙フォーマットに相当し、QS起算=「差分」及びQS順=「降順」が、入力順列挙フォーマットに相当する。
【0084】
図3には、QS起算、QS順のそれぞれの場合のQSの値がどのようになるか、例を示している。ここでは、ONU3には、それぞれQSを算出する際に用いるしきい値を2つ備えるものとし、それぞれをTh1、Th2とし、Th1<Th2とする。
【0085】
ここでは、各ONU3は、図3に示す同様のバッファ状態であったとする。上りバッファには、フレーム長がそれぞれ、300、500、400、900、200のフレームがバッファ先頭から順に蓄積されていたものとする。また、しきい値は、Th1=1000、Th2=2000とする。
【0086】
ONU3−1では、QS起算=「先頭」、QS順=「昇順」とする。このとき、ONU3−1では、各QSに記載する蓄積量を以下のように算出する。QS(1)には、バッファ先頭からTh1以下で最大の上りデータフレーム端までの蓄積量を記載する。このとき、QS(1)=800である。QS(2)には、バッファ先頭からTh2以下で最大の上りデータフレーム端までの蓄積量を記載する。このとき、QS(2)=1200である。QS(3)には、全体の蓄積量を記載する。このとき、QS(3)=2300である。
【0087】
ONU3−2では、QS起算=「先頭」、QS順=「降順」とする。このとき、ONU3−2では、各QSに記載する蓄積量を以下のように算出する。QS(1)には、上記ONU3−1におけるQS(3)を記載する。このとき、QS(1)=2300である。QS(2)には、上記ONU3−1におけるQS(2)を記載する。このとき、QS(2)=1200である。QS(3)には、上記ONU3−1におけるQS(1)を記載する。このとき、QS(3)=800である。
【0088】
一方で、ONU3−3では、QS起算=「差分」、QS順=「昇順」とする。このとき、ONU3−3では、各QSに記載する蓄積量を以下のように算出する。QS(1)には、バッファ先頭からTh1以下で最大の上りデータフレーム端までの蓄積量を記載する。このとき、QS(1)=800である。QS(2)には、QS(1)に含まれない上りデータフレームを先頭として、ΔTh=Th2−Th1以下で最大の上りデータフレーム端までの蓄積量を記載する。このとき、QS(2)=400である。QS(3)には、QS(1)、QS(2)に含まれない上りデータフレームを先頭として、最終の上りデータフレーム端までの蓄積量を記載する。このとき、QS(3)=1100である。
【0089】
また、ONU3−4では、QS起算=「差分」、QS順=「降順」とする。このとき、ONU3−4では、各QSに記載する蓄積量を以下のように算出する。QS(1)には、上記ONU3−3におけるQS(3)を記載する。このとき、QS(1)=1100である。QS(2)には、上記ONU3−3におけるQS(2)を記載する。このとき、QS(2)=400である。QS(3)には、上記ONU3−3におけるQS(1)を記載する。このとき、QS(3)=800である。
【0090】
本実施形態において、各ONU3は、これらのQSの値を記載したREPORTフレームをOLT1に送信する。
【0091】
一方、OLT1は、受信したREPORTフレームから各ONU3における上りデータフレームの蓄積状態を把握し、それぞれのONU3への上り送信許可を与える。ここで、本実施形態におけるOLT1は、各ONU3が送信し、OLT1が受信したREPORTフレームが示す各QSの値が、いずれの方法により算出されたものであるかを、当初は把握していないものとする。すなわち、あらかじめ運用者からONUごとの算出方法の情報を提供されることもなく、また,ONU自身から、算出方法の申告を受けることも、OLTから算出方法の申告を指示することもない。いずれの方法とは、上記のQS起算、QS順を意味する。
【0092】
次に,図4に上り送信制御シーケンスを示す。図4は時間経過に対するOLT、ONU間でのメッセージの授受を示している。1501をOLTの時間軸とし、1502をあるONUの時間軸とする。1501の上段に記される矩形は、OLTが受信した上りフレーム、上りトラヒックを表し、下段に記される矩形は、OLTが送信した下りフレーム、下りトラヒックを表す。1502の上段に記される矩形は、ONUが送信した上りフレーム、上りトラヒックを表し、下段に記される矩形は、ONUが受信した下りフレーム、下りトラヒックを表す。矩形中に「R」と記載されたものはREPORTフレームを表し、「G」と記載されたものは送信許可フレームを表す。「D」と記されたものは、データフレームのトラヒックを表す。
【0093】
まず、ONUがREPORTフレーム1511を送信すると、OLT−ONU間の距離に応じた伝搬時間が経過した後、OLTはREPORTフレーム1511を受信する。このREPORTフレーム1511に基づき、OLTはGATEフレーム1512を送信し、上り送信を許可する。このGATEフレーム1512による送信許可に基づき、ONUは次のREPORTフレーム1521と、データトラヒック1523とを送信する。
【0094】
REPORTフレーム1521に応じて、OLTはGATEフレーム1522を送信するが、ONUがデータトラヒック1523を送信している最中に、このGATEフレーム1522がONUに到着することもありえる。いずれにせよ、上記の手順を繰り返し、上り送信は制御される。
【0095】
ここで、本実施形態におけるONUごとのQSの算出手順を識別することを考えてみる。今、まさにOLTが識別を実施するところであるとし、図4中の「現時刻」と記された時刻であるとする。すなわち、REPORTフレーム1531を受信した後の時刻であるとする。このとき、図中のREPORTフレーム1511に記されていたQSは、2周期前のp2QSである。同様に、GATEフレーム1512による送信許可量は、2周期前のp2Gである。また、GATEフレーム1512の送信許可により、ONUが送信するデータトラヒックは、データトラヒック1523であり、これを受信したOLTでの受信量をTxとしている。さらに、図中のREPORTフレーム1521に記されていたQSは、1周期前のpQSである。同様に、GATEフレーム1522による送信許可量は、1周期前のpGである。
【0096】
本実施形態におけるOLT1の構成を図5に示す。各ONU3が送信し、光通信路2を経てOLT1に到達した上りフレームは、送受信部11により受信される。その後、受信量測定部12により、受信量を測定される。受信量測定部12では、ONU3ごとに、かつ、上りデータフレームと、REPORTフレームとを区別した上で、上りデータフレームのみの受信量を測定する。さらに、受信した上りデータフレームに対し、イーサネット(登録商標)形式でのフレーム送信に必要なオーバヘッド(プリアンブル:8バイト、最小フレーム間ギャップ:12バイト、など)を加算した値を受信量として把握する。これは、送信許可量との整合を取るためであり、誤り訂正符号を用いる場合には、付与されるパリティ長も考慮する。受信量測定部12は、測定した受信量を記憶部17に記録する。
【0097】
その後、上りデータフレームは、IF部15を経由して上位ネットワーク5へ転送される。一方、REPORTフレームは、識別部13へ転送される。識別部13では、受信したREPORTフレームに基づいて、各ONU3のQSの算出方法を識別する。QSの算出方法とは、すなわち、QS起算、QS順である。識別した結果は、識別テーブル14に記録するとともに、識別時に参照する。また、記憶部17に記録された結果も参照する。ここで、識別部13及び識別テーブル14が、帯域割当準備部に相当する。
【0098】
REPORTフレームはその後、送信許可算出部16に転送される。送信許可算出部16では、受信したREPORTフレームと、識別テーブル14とに基づいて、各ONU3への送信許可量、送信許可時刻を算出し、これらを記載したGATEフレームを生成し、送信する。その後、GATEフレームは、上位ネットワーク5からIF部15を経由して転送されてきた下りデータフレームと多重され、送受信部11を経て光通信路2へと送信される。また、送信許可算出部16は、受信したREPORTフレームに含まれていた各QSの値、算出した送信許可量を記憶部17に記録する。ここで、送信許可算出部16が、送信許可量設定部に相当する。
【0099】
識別テーブル14の詳細を図6に示す。識別テーブル14は、ONU3ごとにQSの算出方法の識別結果を持つ。具体的には、QS起算とQS順とのそれぞれについて、値と状態とを持つ。QS起算の値は「先頭」及び「差分」、QS順の値は「昇順」及び「降順」を取りうる。また、状態は、「確定」及び「未確定」を取りうる。状態は、識別した結果に対する確実性を意味し、例えば、確実にQS起算が「先頭」であれば、QS起算の状態を「確定」とし、一方で、不明であるか、蓋然性は高いが確実ではない場合には、「未確定」とする。図6に記載されている値と状態は、例であり、識別部13の識別結果に応じてこれらは更新される。
【0100】
ONU3が初めてOLT1に接続した際には、識別テーブル14の該当するONU3について、QS起算、QS順の両者の状態を「未確定」とする。値については特に制限されないが、ここでは、それぞれを「先頭」及び「昇順」とする。ただし、QSの算出方法の情報を事前に与えられるなど、QS起算、QS順が特定されているONUについては、識別テーブル14のQS起算、QS順の状態を「確定」とし、値はそれぞれ特定されている値に設定しておく。
【0101】
{実施形態1の識別手順}
次に、図7を用いて、実施形態1の識別手順の概略を説明する。識別手順のおおまかな流れは、以下の通りである。まず、QS起算を確定的に識別する(第1の識別:ステップS602)。次に、蓋然性の高いQS起算を識別する(第2の識別:ステップS604)。次に、QS順を確定的に識別する(第3の識別:ステップS610)。次に、蓋然性の高いQS順を識別する(第4の識別:ステップS612)。ここで、識別手順が、帯域割当準備ステップに相当する。
【0102】
この識別はONU3ごとに実施される。ただし、識別を開始する契機は特に制限されない。REPORTフレームを受信するごとに、当該REPORTフレームを送信したONU3に対して実施しても良いし、受信したREPORTフレームを記憶しておき、複数のONU3から受信した後にまとめてONU3ごとに繰り返し実施しても良い。いずれにしても、識別するために参照するREPORTフレームさえあれば、いずれの契機にも実施することが可能である。
【0103】
以下に、識別手順の概略を説明する。まず、識別テーブル14を参照し、識別対象のONU3のQS起算の状態を確認する(ステップS601)。ステップS602〜S608はQS起算を識別するため、ステップS601によりすでに「確定」していることが確認できれば、これらのステップをスキップし、ステップS609に遷移する。一方、「未確定」であれば、第1の識別を行う(ステップS602)。
【0104】
次に、ステップS603では、第1の識別(ステップS602)の結果を参照し、第1の識別結果(状態)が「未確定」であれば第2の識別(ステップS604)を実施し、「確定」していれば識別テーブル14のQS起算の状態を「確定」(ステップS606)、値を第1の識別結果(値)に更新する(ステップS607)。これは、第1の識別(ステップS602)では、確定的なQS起算の識別を行ったためである。
【0105】
一方、第2の識別(ステップS604)の結果を参照し(ステップS605)、第2の識別結果(状態)が「確定」であれば、識別テーブル14のQS起算の値を第2の識別結果(値)に更新する(ステップS608)。ただし、QS起算の状態は、「未確定」のまま更新しない。これは、第2の識別(ステップS604)により識別されたQS起算は、蓋然性が高いに過ぎず、確定的に識別したものではないためである。
【0106】
次に、ステップS609〜S617により、QS順の識別を行う。まず、識別テーブル14のQS順の状態を参照し(ステップS609)、すでに「確定」しているのであれば、識別を終了する。一方、「未確定」であるならば、第3の識別を実施する(ステップS610)。第3の識別では、確定的なQS順の識別を行う。
【0107】
第3の識別の結果を参照し(ステップS611)、第3の識別結果(状態)が「確定」で、かつ、すでにQS起算は「確定」している(ステップS614)のであれば、識別テーブル14のQS順の状態も「確定」とし(ステップS615)、QS順の値も第3の識別結果(値)に更新する(ステップS616)。これにより、当該ONU3のQSの算出方法は確定的に識別されたことになる。一方、ステップS614でQS起算は「未確定」であるならば、識別テーブル14のQS順の状態は「未確定」のままとし、QS順の値のみを更新する(ステップS616)。これは、第3の識別(ステップS610)によるQS順の識別は、QS起算が確定している場合にのみ、QS順も確定できる条件で識別しているためである。
【0108】
第3の識別結果(状態)が「未確定」であった場合、第4の識別(ステップS612)を実施する。第4の識別では、蓋然性の高いQS順の識別を行う。
【0109】
第4の識別結果を参照し(ステップS613)、第4の識別結果(状態)が「確定」であれば、識別テーブル14のQS順の値を、第4の識別結果(値)に更新する(ステップS617)。ここでも、第2の識別と同様に、第4の識別も確定的な識別を行うものではないので、識別テーブル14のQS順の状態は「未確定」のままで更新しない。
【0110】
以上の手順により、QS起算、QS順の識別を行う。確定的な識別が可能な条件であれば、QS起算、QS順を確定させ、可能な条件でなければ、なるべく蓋然性の高いQS起算、QS順に更新する。第1〜第4の識別全てで「未確定」であれば、識別テーブル14を更新せず、前回のままにしておく。
【0111】
次に、第1〜第4の識別の手順について、詳細な説明を行う。
【0112】
図8に実施形態1の第1の識別手順(ステップS602)の詳細を示す。第1の識別では、QS起算の確定的な識別を行う。まず、初期化処理として、第1の識別結果(状態)を「未確定」とする(ステップS701)。次に、QS起算を確定的に「先頭」と識別できるか、判断する。具体的には、条件A−1に合致するかを判断する(ステップS702)。条件A−1とは、式a−1、式a−2のうち、少なくとも1つの式を満たすことを条件とする。これは、これらの式を満たす場合、確定的にQS起算は「先頭」であると識別できるものである。すなわち、QS起算が「差分」であるONUでは、決してこれらの式を満たすREPORTを送信してこない、ことを意味している。
【0113】
式a−1、式a−2は、次式のようになる。
式a−1:QS(1)>0∧QS(2)>0∧QS(1)+QS(2)<Th1
式a−2:QS(M)>0∧QS(M−1)>0∧QS(M)+QS(M−1)<Th1
【0114】
式a−1は、QS(1)、QS(2)ともに蓄積量があり(ゼロより大)、かつ、両者の和が、しきい値Th1より小さい場合を指す。また、式a−2は、QS数をMとするとき、同様に、QS(M)、QS(M−1)ともに蓄積量があり、かつ、両者の和が、しきい値Th1より小さい場合を指す。これらは、QS起算が「先頭」でかつ、蓄積量が少ない場合に起こりうる。一方、QS起算が「差分」の場合には、蓄積量に関わらず、決して起こりえない。また、ここでは識別しないが、式a−1はQS順が「昇順」の場合、式a−2はQS順が「降順」の場合である。例えば、Th1=1000で、300のデータフレーム1つを蓄積していたとすると、QS起算が「先頭」であれば、QS(1)(もしくはQS(M))=300、QS(2)(もしくはQS(M−1))=300であり、式a−1もしくは式a−2を満たす。しかし、QS起算が「差分」であれば、QS(1)(もしくはQS(M))=300、QS(2)(もしくはQS(M−1))=0となり、式a−1、式a−2は満たさない。
【0115】
さて、ステップS702にて条件A−1に合致した場合には、第1の識別結果(値)を「先頭」とし、第1の識別結果(状態)を「確定」とし(ステップS704)、第1の識別を終了する。
【0116】
一方、合致しなかった場合には、QS起算を確定的に「差分」と識別できるか、判断する。具体的には、条件A−2に合致するかを判断する(ステップS703)。条件A−2とは、式a−3〜式a−7のうち、少なくとも1つの式を満たすことを条件とする。これは、これらの式を満たす場合、確定的にQS起算は「差分」であることを識別できるものである。すなわち、QS起算が「先頭」であるONUでは、決してこれらの式を満たすREPORTを送信してこない、ことを意味している。
【0117】
式a−3〜式a−7は、次式のようになる。
式a−3:QS(k)>0∧QS(j|j≠k)=0なるj、kが存在する。
式a−4:QS(k)>QS(k+1)∧QS(k+1)<QS(k+2)なるkが存在する。
式a−5:QS(k)<QS(k+1)∧QS(k+1)>QS(k+2)なるkが存在する。
式a−6:pQS(k)>pQS(k+1)∧QS(k)<QS(k+1)なるkが存在する。
式a−7:pQS(k)<pQS(k+1)∧QS(k)>QS(k+1)なるkが存在する。
【0118】
これらの式では、QS数をMとするとき、k、jを1以上M以下である値としている。式a−3は、いずれかのQSに蓄積量がある(ゼロより大)であるにも関わらず、他のQSにゼロのものがある、という条件式である。これは、QS起算が「差分」の場合には起こりうるが、QS起算が「先頭」の場合には、決して起こりえない。
【0119】
式a−4、式a−5は、不等号の向きこそ異なるが、両者とも、3つのQSの値が「昇順」にも「降順」にもなっていないことを表している。これは、QS起算が「先頭」の場合には決して起こりえないので、式a−4あるいは式a−5を満たすのであればQS起算は「差分」であると確定的に識別することができる。
【0120】
式a−6、式a−7では、pQS(k)を、当該ONUから前周期に受信したREPORTに含まれていたQS(k)とする。式a−6、式a−7は、前周期に受信したREPORTのQS順と、今周期に受信したREPORTのQS順が異なることを表している。これは、QS起算が「先頭」の場合には決して起こりえないので、式a−6あるいは式a−7を満たすのであればQS起算は「差分」であると確定的に識別することができる。
【0121】
さて、ステップS703にて条件A−2に合致した場合には、第1の識別結果(値)を「差分」とし、第1の識別結果(状態)を「確定」とし(ステップS705)、第1の識別を終了する。
【0122】
一方、合致しなかった場合には、QS起算を「先頭」とも「差分」とも確定的に識別できなかったことを意味するので、第1の識別結果(状態)は「未確定」のまま、終了する。
【0123】
次に、図9に実施形態1の第2の識別手順(ステップS604)の詳細を示す。上述の通り、第2の識別では、蓋然性の高いQS起算を識別する。まず、初期化処理として、第2の識別結果(状態)を「未確定」とする(ステップS801)。次に、QS起算は「先頭」である蓋然性が高いか、識別する。具体的には、条件B−1に合致するか、判断する(ステップS802)。条件B−1は、式b−1〜式b−3のうち、少なくとも1つの式を満たすことを条件とする。これは、これらの式を満たす場合、QS起算は「先頭」である蓋然性が高いと識別できるものである。すなわち、QS起算が「差分」であるONUからは、これらの式を満たすREPORTを送信する蓋然性が低いことを意味している。
【0124】
式b−1〜式b−3は、次式のようになる。
式b−1:M≧3のとき、1≦k≦M−1の範囲のすべてのkにおいて、QS(k)≧QS(k+1)>0
式b−2:M≧3のとき、1≦k≦M−1の範囲のすべてのkにおいて、0<QS(k)≦QS(k+1)
式b−3:すべてのkについて、QS(k)>0∧QS(k)=C
ただし、MはQS数であり、kは1≦k≦Mの整数であり、Cは定数である。
【0125】
式b−1、式b−2は、全てのQSの値が「昇順」もしくは「降順」であることを意味する。これらは、QS起算が「先頭」でかつ、蓄積量が多い場合には容易に起こりうる。一方、QS起算が「差分」の場合には、蓄積しているデータフレームの長さの組み合わせによっては、式b−1もしくは式b−2を満たすこともありうるが、蓋然性が高いとは言えない。
【0126】
また、式b−3は、全てのQSの値がゼロより大でかつ等しいことを意味する。これは、QS起算が「先頭」でかつ、蓄積量がしきい値Th1より少量である場合には、容易に起こりうる。また、QS起算が「差分」の場合にも、式2−3を満たすこともありうるが、蓋然性が高いとは言えない。
【0127】
さて、ステップS802にて条件B−1に合致した場合には、第2の識別結果(値)を「先頭」とし、第2の識別結果(状態)を「確定」とし(ステップS804)、第2の識別を終了する。
【0128】
一方、合致しなかった場合には、QS起算が「差分」である蓋然性が高いと識別できるか、判断する。具体的には、条件B−2に合致するかを判断する(ステップS803)。条件B−2とは、式b−4〜式b−7のうち、少なくとも1つの式を満たすことを条件とする。これは、これらの式を満たす場合、QS起算が「差分」であることの蓋然性が高いといえるものである。すなわち、QS起算が「先頭」であるONUでは、これらの式を満たすREPORTを送信してくる確率が低いことを意味している。
【0129】
式b−4〜式b−7は、次式のようになる。
式b−4:p2G=p2QS(2)∧p2G>0∧Tx≠p2G
式b−5:p2G=p2QS(M−1)∧p2G>0∧Tx≠p2G
式b−6:p2G=p2QS(1)+p2QS(2)∧p2G>0∧Tx=p2G
式b−7:p2G=p2QS(M)+p2QS(M−1)∧p2G>0∧Tx=p2G
【0130】
これらの式では、QS数をMとしている。p2Gは、2周期前における、当該ONU3へのオーバヘッドを除く送信許可量とし、p2QSは2周期前に受信したREPORTに含まれていたQSの値とする。また、Txは、上述の2周期前における送信許可に対し、当該ONU3が送信し、OLT1が受信し、受信量測定部12により測定された受信データ量(フレームごとのプリアンブル、最小IFGを含む)とする。これらの値は、記憶部17により記録されており、それを識別部13は参照し、識別に用いる。
【0131】
式b−4、式b−5は、2周期前に、QS(2)(もしくはQS(M−1))と等しい送信許可量を与えていた場合に、それにも関わらずOLT1にて受信したデータ量がQS(2)(もしくはQS(M−1))とは異なることを意味する。これは、QS起算が「先頭」であれば、容易には起こりえず、QS起算が「差分」である蓋然性が高いといえる。
【0132】
式b−6、式b−7は、2周期前に、QS(1)とQS(2)との和(もしくは、QS(M)とQS(M−1)との和)と等しい送信許可量を与えていた場合に、OLT1にて受信したデータ量が送信許可量と等しい値であったことを意味する。これは、QS起算が「差分」であれば、容易に起こりうるが、QS起算が「先頭」では確率が低い。そのため、これらの式を満たす場合には、QS起算が「差分」である蓋然性が高いといえる。
【0133】
さて、ステップS803にて条件B−2に合致した場合には、第2の識別結果(値)を「差分」とし、第2の識別結果(状態)を「確定」とし(ステップS805)、第2の識別を終了する。
【0134】
一方、合致しなかった場合には、蓋然性の高いQS起算を識別できなかったことを意味するので、第2の識別結果(状態)は「未確定」のまま、終了する。
【0135】
次に、図10に実施形態1の第3の識別手順(ステップS610)の詳細を示す。上述の通り、第3の識別では、QS順を確定的に識別する。まず、初期化処理として、第3の識別結果(状態)を「未確定」とする(ステップS901)。以降はQS起算が「先頭」である場合と「差分」である場合とで、分岐する(ステップS902)。
【0136】
QS起算が「先頭」である場合には、QS順が「昇順」であるか(ステップS903)、「降順」であるか(ステップS904)を識別する。具体的には、ステップS903では、QS順が「昇順」であるか識別するため、条件C−1に合致するか判断する。条件C−1は,式c−1を満たすことを条件とする.これは,QS起算が「先頭」の場合に,式c−1を満たせば,確定的にQS順は「昇順」と識別できることを意味する.
【0137】
式c−1は、次式のようになる。
式c−1:QS(k)<QS(k+1)なるkが存在する。
ただし、MはQS数であり、kは1≦k≦Mの整数である。
【0138】
ステップS903において条件C−1と合致した場合、第3の識別結果(値)を「昇順」とし、第3の識別結果(状態)を「確定」とし(ステップS907)、第3の識別を終了する。
【0139】
合致しない場合には、QS順が確定的に「降順」であるかの識別を行う。具体的には、条件C−2に合致するか判断する(ステップS904)。条件C−2は、式c−2を満たすことを条件とする。これは、QS起算が「先頭」の場合に、式c−2を満たせば、確定的にQS順は「降順」と識別できることを意味する。
【0140】
式c−2は、次式のようになる。
式c−2:QS(k)>QS(k+1)なるkが存在する。
ただし、MはQS数であり、kは1≦k≦Mの整数である。
【0141】
ステップS904において条件C−2と合致した場合、第3の識別結果(値)を「降順」とし、第3の識別結果(状態)を「確定」とし(ステップS908)、第3の識別を終了する。
【0142】
一方、QS起算が「差分」であった場合も上記と同様に、QS順を識別する。まず、QS順が確定的に「昇順」であるかの識別を行う。具体的には、条件C−3に合致するか判断する(ステップS905)。条件C−3は、式c−3を満たすことを条件とする。これは、QS起算が「差分」である場合、式c−3を満たせば、確定的にQS順は「昇順」と識別できることを意味する。
【0143】
式c−3は、次式のようになる。
式c−3:QS(1)>0∧QS(M)=0
ただし、MはQS数である。
【0144】
ステップS905において条件C−3と合致した場合、第3の識別結果(値)を「昇順」とし、第3の識別結果(状態)を「確定」とし(ステップS907)、第3の識別を終了する。
【0145】
次に、QS順が確定的に「降順」であるかの識別を行う。具体的には、条件C−4に合致するか判断する(ステップS906)。条件C−4は、式c−4を満たすことを条件とする。これは、QS起算が「差分」である場合、式c−4を満たせば、確定的にQS順は「降順」と識別できることを意味する。
【0146】
式c−4は、次式のようになる。
式c−4:QS(M)>0∧QS(1)=0
ただし、MはQS数である。
【0147】
ステップS906において条件C−4と合致した場合、第3の識別結果(値)を「降順」とし、第3の識別結果(状態)を「確定」とし(ステップS908)、第3の識別を終了する。
【0148】
次に、図11に実施形態1の第4の識別手順(ステップS612)の詳細を示す。第4の識別では、第3の識別によってもQS順を識別できなかった場合に、蓋然性の高いQS順を識別する。
【0149】
まず、初期化処理として、第4の識別結果(状態)を「未確定」とする(ステップS1001)。次に、QS起算が「先頭」であるか、「差分」であるか、により分岐する(ステップS1002)。QS起算が「先頭」である場合、第4の識別を終了する。これは、QS起算が「先頭」の場合に、第3の識別によってQS順を確定的に識別できなかった場合には、蓋然性の高いQS順も識別できないためである。すなわち、前述の条件C−1、条件C−2のいずれも満たしていない、ということは、全てのQSが同値であることを意味する。このときは、QS順が「昇順」であるか、「降順」であるか、まったく識別することができないためである。
【0150】
一方、QS起算が「差分」である場合には、蓋然性の高いQS順の識別を行う。まず、QS順は「昇順」である蓋然性が高いか、識別する。具体的には、条件D−3に合致するか、判断する(ステップS1003)。条件D−3は、式d−3を満たすことを条件とする。これは、QS起算が「差分」である場合、式d−3を満たせば、QS順は「昇順」である蓋然性が高いと識別できることを意味する。
【0151】
式d−3は、次式のようになる。
式d−3:p2G=p2QS(1)+p2QS(2)∧p2G>0∧Tx=p2G∧M>2
【0152】
ステップS1003において条件D−3と合致した場合、第4の識別結果(値)を「昇順」とし、第4の識別結果(状態)を「確定」とし(ステップS1005)、第4の識別を終了する。
【0153】
次に、QS順は「降順」である蓋然性が高いか、識別する。具体的には、条件D−4に合致するか、判断する(ステップS1004)。条件D−4は、式d−4を満たすことを条件とする。これは、QS起算が「差分」である場合、式d−4を満たせば、QS順は「降順」である蓋然性が高いと識別できることを意味する。
【0154】
式d−4は、次式のようになる。
式d−4:p2G=p2QS(M)+p2QS(M−1)∧p2G>0∧Tx=p2G∧M>2
【0155】
ステップS1004において条件D−4と合致した場合、第4の識別結果(値)を「降順」とし、第4の識別結果(状態)を「確定」とし(ステップS1006)、第4の識別を終了する。
【0156】
これらの式では、QS数をMとしている。p2Gは、2周期前における、当該ONU3へのオーバヘッドを除く送信許可量とし、p2QSは2周期前に受信したREPORTに含まれていたQSの値とする。また、Txは、上述の2周期前における送信許可に対し、当該ONU3が送信し、OLT1が受信し、受信量測定部12により測定された受信データ量(フレームごとのプリアンブル、最小IFGを含む)とする。これらの値は、記憶部17により記録されており、それを識別部13は参照し、識別に用いる。
【0157】
以上の手順により、識別部13はONU3ごとのQS起算、QS順を識別し、識別テーブル14を更新する。
【0158】
{実施形態1の送信許可手順}
次に、送信許可算出部16による、送信許可の算出について説明する。送信許可算出部16は、識別テーブル14を参照し、識別部13から転送されるREPORTフレームに応じて、各ONU3への送信許可を算出する。送信許可算出部16による送信許可の算出は、各ONU3が送信したREPORTが全て受信されてから実施する。ここで、送信許可手順が、送信許可量設定ステップに相当する。
【0159】
実施形態1の送信許可手順の概要を図12に示す。まず、識別テーブル14と識別部13から転送されたREPORTフレームに基づいて、統一された割り当て候補となる量をONUごとに算出する(ステップS1101)。次に、ONUごとに送信許可量を算出する(ステップS1102)。最後に、送信許可時刻を算出する(ステップS1103)。
【0160】
次に、実施形態1の割当候補の算出手順の詳細を図13に示す。本手順により、ONUごとのQSの算出方法に応じて、統一的な、すなわち、共通の、割り当て候補となる量を、ONUごと、候補ごとに算出する。ONU(i)の第j候補をR(i,j)とする。候補の数は、ONUごとのQS数のうち、最大のQS数と同数とする。ここでは、ONU(i)のQS数をm(i)、最大のQS数をMmaxとする。また、ONU(i)のQS(j)を、qs(i,j)と表す。
【0161】
ここでは、R(i,j)の値は、QS起算が「先頭」、QS順が「昇順」のONUのQSと同等の値となるように算出する。例えば、ONU(k)のQS数m(k)=Mmaxであったとして、QS起算が「先頭」、QS順が「昇順」であったとすると、R(k,j)=qs(k,j)となる。QS起算、QS順が異なる場合や、QS数が少ない場合には、図13に示す手順により、それぞれ算出される。
【0162】
まず、ONUごとのQS数m(i)のうち、最大のQS数Mmaxを算出する(ステップS1201)。以降の処理をONUごとに繰り返す(ステップS1202)。ここで、Nは接続ONUの台数とし、iはONUごとの識別子である。まず、算出を簡単にするため、QS数の差分Y(i)をY(i)=Mmax−m(i)として算出する(ステップS1203)。次に、以降の処理を割り当て候補ごとに繰り返す(ステップS1204)。jは、割り当て候補ごとの識別子である。
【0163】
jとY(i)とを比較し(ステップS1205)、j≦Y(i)であれば、割り当て候補となる量R(i,j)をゼロにする(ステップS1206)。これはすなわち、QS数が少ないONUは、割り当て候補によってはゼロであることを意味する。例えば、ONU(k)のQS数はm(k)=3であったとし、最大のQS数はMmax=5であったとする。このとき、ONU(k)からのQSは3つしか無いため、候補も3つしか算出し得ない。そこで、R(k,1)、R(k,2)はゼロにし、R(k,3)、R(k,4)、R(k,5)は、ONU(k)からの送信要求に応じた値を算出する。
【0164】
次に、ステップS1205にて、j>Y(i)であった場合、すなわち、候補となる値がありうる場合、識別テーブル14を参照し、QS起算、QS順の値に応じて(ステップS1207、S1208、S1211)、それぞれの算出を行う。
【0165】
まず,QS起算が「先頭」でQS順が「昇順」である場合、R(i,j)=qs(i,j−Y(i))とする(ステップS1209)。これは、QS数と最大のQS数との差分だけQSをシフトして割り当て候補とすることを意味する。上記の例と同様に、Mmax=5、m(i)=3であれば、ONU(i)のR(i,j)は以下のようになる。 R(i,1)=0、R(i,2)=0、R(i,3)=qs(i,1)、
R(i,4)=qs(i,2)、R(i,5)=qs(i,3)
【0166】
一方、QS起算が「先頭」でQS順が「降順」である場合、R(i,j)=qs(i,Mmax−j−1)とする(ステップS1210)。これは、割り当て候補の後方の値としてQSの前方の値を割り当てることを意味する。上記と同様の例であれば、以下のようになる。
R(i,1)=0、R(i,2)=0、R(i,3)=qs(i,3)、
R(i,4)=qs(i,2)、R(i,5)=qs(i,1)
【0167】
また、QS起算が「差分」でQS順が「昇順」である場合、R(i,j)=Σqs(i,k)とする(ステップS1212)。和の範囲は、k=1〜j−Y(i)である。これは、QSを昇順で累積的に加算していくことを意味する。上記と同様の例であれば、以下のようになる。
R(i,1)=0、R(i,2)=0、R(i,3)=qs(i,1)、
R(i,4)=qs(i,1)+qs(i,2)、
R(i,5)=qs(i,1)+qs(i,2)+qs(i,3)
【0168】
最後に、QS起算が「差分」でQS順が「降順」である場合、R(i,j)=Σqs(i,k)とする(ステップS1213)。和の範囲は、k=Mmax−j+1〜m(i)である。これは、QSを降順で累積的に加算していくことを意味する。上記と同様の例であれば、以下のようになる。
R(i,1)=0、R(i,2)=0、R(i,3)=qs(i,3)
R(i,4)=qs(i,2)+qs(i,3)、
R(i,5)=qs(i,1)+qs(i,2)+qs(i,3)
【0169】
以上の手順により、QS起算、QS順、QS数によらず、ONU間で共通の割り当て候補となる量を算出することができる。
【0170】
次に、実施形態1の送信許可量の算出手順の詳細を図14に示す。図14における各変数は以下を意味する。
s:割り当て可能サイズを表す変数
Cy:1周期の割り当て可能サイズ
i,j,k:インデックス用変数
N:接続ONU台数
G(i):ONU(i)への送信許可量
M:割り当て候補の種類数
LG:ONUの送信許可優先順位リスト
LG(i,j):割り当て候補(j)における、優先順位第i位のONUの識別子
R(k,j):ONU(k)における割り当て候補(j)
【0171】
なお、ここでは説明の簡単化のため、上りバースト送信に伴うオーバヘッド分の扱いは省略する。
【0172】
まず、初期化処理として、割り当て可能サイズsを、1周期の割り当て可能サイズCyとし(ステップS1301)、各ONU3の送信許可量G(i)をゼロにする(ステップS1302、S1303)。
【0173】
次に、各ONU3への送信許可量G(i)を算出する。算出は、割り当て候補となる量をONUごとに繰り返し送信許可量G(i)に加算し、ONUへの送信許可量の合計が1周期の割り当て可能サイズCyを超過しない程度まで繰り返す。
【0174】
具体的には、まず、ONUの送信許可優先順位リストLGを参照し、今回の算出対象のONU3の識別子を得る(ステップS1306)。次に、このONU3に、送信許可量として算出済みであったG(k)を、割り当て可能サイズsに戻す(ステップS1307)。その上で、今回の対象となる割り当て候補R(k,j)を、対象のONU3に送信許可量として確保できるか判断する(ステップS1308)。確保できるようであれば、送信許可量G(k)として、割り当て候補R(k,j)を確保し、その分を割り当て可能サイズsから減ずる(ステップS1309)。これを繰り返し行う(ステップS1304、S1305)。ただし、ステップS1308にて、割り当て可能サイズsが残り少なく、割り当て候補R(k,j)を確保できないようであれば、送信許可量G(k)には、残りの割り当て可能サイズsを全て確保し(ステップS1310)、送信許可量の算出手順を終了する。
【0175】
次に、実施形態1の送信許可時刻の算出手順の詳細を図15に示す。図15における各変数は以下を意味する。
st:送信許可時刻を表す変数
S:今周期の先頭の送信許可時刻
i,j:インデックス用変数
N:接続ONU台数
G(i):ONU(i)への送信許可量
LS:ONUの送信許可時刻リスト
LS(i):リストのi番目のONUの識別子
GST(j):ONU(j)における送信許可時刻
【0176】
なお、ここでは説明を簡単化するため、送信許可量の単位と、送信許可時刻の単位とが同一と見なせることとしている。すなわち、送信許可量が10だけあるとすると、この送信許可量を送信するのに必要な時間も10であることを指す。
【0177】
ただし、これらの単位が同一と見なせない場合には、同一と見なせるよう変換する。例えば、10だけ送信するのに1の時間が必要であれば、図中の送信許可量G(j)を、1/10に変換して扱う。
【0178】
送信許可時刻の算出においては、まず、初期化処理として、今周期の先頭の送信許可時刻Sを、送信許可時刻を表す変数stにセットする(ステップS1401)。
【0179】
次に、各ONUに対し、送信許可時刻GST(j)を繰り返し算出する(ステップS1402)。具体的には、まず、ONUの送信許可時刻リストLSを参照し、今回の算出対象のONU3の識別子を得る(ステップS1403)。次に、このONUへの送信許可があるか、すなわち、G(j)がゼロより大であるかを判断する(ステップS1404)。送信許可がある場合には、当該ONUの送信許可時刻GST(j)を、送信許可時刻stとし、stをG(j)だけ進める(ステップS1405)。一方、送信許可が無い場合には、次のONUへの送信許可時刻を算出する。
【0180】
以上の一連の手順により、ONUごとのQSを算出する方法を識別し、その結果に基づいて、各ONUへの適当な送信許可を算出することができる。
【0181】
(実施形態2)
{実施形態2の概要}
次に、本発明における実施形態2について説明する。実施形態2においては、ONU3のQSを算出する方法として、送信要求量に送信許可済みでかつ送信待ちのデータフレーム量を含むか、含まないか、をさらに識別する。実施形態2は、実施形態1とほとんど同様であるが、以下の3点が異なる。(1)図6に示した識別テーブル14の替わりに、図16に示す識別テーブル24を用いる。(2)識別手順は、図7に示した手順に加えて図17に示す手順を用いる。(3)割り当て候補の算出手順は、図13に示した手順に加えて図20に示す手順を用いる。以下に詳細を記す。ここで、送信要求量に送信許可済みでかつ送信待ちのデータフレーム量を含む方法が、送信許可包含フォーマットに相当し、送信要求量に送信許可済みでかつ送信待ちのデータフレーム量を含まない方法が、送信許可非包含フォーマットに相当する。
【0182】
本実施形態においては、OLT1は図16に示す識別テーブル24を備え、識別部13はこの識別テーブル24を参照してONUごとのQSを算出する方法の識別を行う。識別テーブル24は、ONUごとのQS起算、QS順のほかに、送信許可済み量の情報を持つ。送信許可済み量の情報は、値として、「含む」、「含まない」の2値をとり、状態は他と同様に「確定」、「未確定」の2つを取る。送信許可済み量の値が「含む」であれば、当該ONUが送信するREPORTフレームには、送信許可済みでかつ送信待ちのデータフレーム量も含んだ送信要求であることを意味する。「含まない」であれば、新たな送信許可を与えられない限りは送信することのできないデータフレームについてのみ、その蓄積量をREPORTフレームに記していることを意味する。また、他のパラメータと同様に、状態が「確定」であれば、確定的に識別されていることを意味する。
【0183】
{実施形態2の識別手順}
本実施形態においては、識別部13は図17に示す識別手順により、各ONUのQSを算出する方法を識別する。以下に詳細を記す。
【0184】
まず、実施形態1における識別手順(図7)と同様の手順により、QS起算とQS順の識別を行う。次に、送信許可済み量の識別を行う。ここでは、まず、識別テーブル24を参照し、送信許可済み量の状態が「確定」であれば、すでに確定的な識別は完了しているので、本識別を終了する(ステップS1701)。一方、「未確定」であれば、第5の識別を行う(ステップS1702)。第5の識別では、確定的な送信許可済み量の識別を行う。第5の識別結果を参照し(ステップS1703)、確定的に識別された場合には識別テーブル24を更新する。具体的には、QS起算、QS順の両者の状態がすでに「確定」であれば(ステップS1706)、識別テーブル24の送信許可済み量の状態も「確定」とする(ステップS1707)。一方、いずれか、もしくは両者ともに「未確定」であれば、送信許可済み量の状態は更新しない(「未確定」のまま)。識別テーブル24の送信許可済み量の値は、第5の識別結果の値に更新し(ステップS1708)、終了する。
【0185】
一方、第5の識別においては「未確定」であった場合、第6の識別を行う(ステップS1704)。第6の識別では、送信許可済み量について、蓋然性の高いものを識別する。第6の識別結果を参照し(ステップS1705)、「確定」であれば、識別テーブル24の送信許可済み量の値は第6の識別結果の値に更新し(ステップS1709)、終了する。「未確定」であれば、識別テーブル24は更新せずに終了する。
【0186】
次に、実施形態2の第5の識別手順の詳細を図18に示す。上述の通り、第5の識別では、送信許可済み量を確定的に識別する。まず、初期化処理として、第5の識別結果(状態)を「未確定」とする(ステップS1801)。
【0187】
次に、送信許可済み量を確定的に「含まない」と識別できるか(ステップS1802)、「含む」と識別できるか(ステップS1803)、判断する。具体的には、ステップS1802では、送信許可済み量を「含まない」か識別するため、条件E−1に合致するか判断する。条件E−1は、式e−1を満たすことを条件とする。これは、式e−1を満たせば、確定的に送信許可済み量を「含まない」、と識別できることを意味する。
【0188】
式e−1は、次式のようになる。
式e−1:すべてのkにおいて、p2G>F∧pQS(k)=0∧Tx>0
ただし、MはQS数であり、kは1≦k≦Mの整数であり、Fは最大フレーム長である。
【0189】
式e−1は、2周期前の送信許可量p2Gが最大フレーム長Fより大であり、実際にデータトラヒックを送信してきた(Tx>0)にも関わらず、その送信したデータトラヒックがバッファ中にまだ存在していた時点での送信要求が無かった(pQS(k)=0)、ことを意味する。この場合、確定的に送信許可済み量を「含まない」、と識別できる。
【0190】
ステップS1802において条件E−1と合致した場合、第5の識別結果(値)を「含まない」とし、第5の識別結果(状態)を「確定」とし(ステップS1804)、第5の識別を終了する。
【0191】
合致しない場合には、送信許可済み量を確定的に含むかの識別を行う。具体的には、条件E−2に合致するか判断する(ステップS1803)。条件E−2は、式e−2を満たすことを条件とする。これは、式e−2を満たせば、確定的に送信許可済み量を「含む」と識別できることを意味する。
【0192】
式e−2は、次式のようになる。
式e−2:p2QS(k)>0∧p2G>F∧Tx=0なるkが存在する。
ただし、MはQS数であり、kは1≦k≦Mの整数であり、Fは最大フレーム長である。
【0193】
式e−2は、2周期前に送信要求があり(p2QS(k)>0)、その要求に対し最大フレーム長より大きい送信許可を与えた(p2G>F)にも関わらず、その送信許可に対して全くデータトラヒックを送信してこなかった(Tx=0)ことを意味する。つまり、2周期前の送信要求は、既に送信許可を与えられていたデータフレーム量が反映されたに過ぎない。この場合、確定的に送信許可済み量を「含む」と識別できる。
【0194】
ステップS1803において条件E−2と合致した場合、第5の識別結果(値)を「含む」とし、第5の識別結果(状態)を「確定」とし(ステップS1805)、第5の識別を終了する。
【0195】
次に,実施形態2の第6の識別手順の詳細を図19に示す。第6の識別では、第5の識別によっても送信許可済み量を識別できなかった場合に、蓋然性の高い送信許可済み量を識別する。
【0196】
まず、初期化処理として、第6の識別結果(状態)を「未確定」とする(ステップS1901)。次に、QS起算が「先頭」であるか、「差分」であるか、により分岐する(ステップS1902)。
【0197】
QS起算が「先頭」である場合、蓋然性の高い送信許可済み量の識別を行う。まず、送信許可済み量は「含まない」である蓋然性が高いか、識別する。具体的には、条件F−1に合致するか、判断する(ステップS1903)。条件F−1は、式f−1を満たすことを条件とする。
【0198】
式f−1は、次式のようになる。
式f−1:p2QS(k)>0∧p2G=p2QS(k)∧Tx=p2Gなるkが存在する。
ただし、MはQS数であり、kは1≦k≦Mの整数である。
【0199】
式f−1は、2周期前に送信要求があり(p2QS(k)>0)、その要求と同等の送信許可を与え(p2G=p2QS(k))、その送信許可に応じて実際に送信したデータフレームの量も同等であった(Tx=p2G)ことを意味する。これは、QS起算が「先頭」である場合、式f−1を満たせば、送信許可済み量は「含まない」である蓋然性が高いと識別できることを意味する。
【0200】
ステップS1903において条件F−1と合致した場合、第6の識別結果(値)を「含まない」とし、第6の識別結果(状態)を「確定」とし(ステップS1907)、第6の識別を終了する。
【0201】
次に、送信許可済み量は「含む」である蓋然性が高いか、識別する。具体的には、条件F−2に合致するか、判断する(ステップS1904)。条件F−2は。式f−2を満たすことを条件とする。
【0202】
式f−2は、次式のようになる。
式f−2:p2QS(k)>0∧p2G=p2QS(k)∧Tx≠p2Gなるkが存在する。
ただし、MはQS数であり、kは1≦k≦Mの整数である。
【0203】
式f−2は、式f−1と異なり、2周期前に送信要求があり(p2QS(k)>0)、その要求と同等の送信許可を与えた(p2G=p2QS(k))にも関わらず、その送信許可に応じて実際に送信したデータフレームの量が送信許可量とは異なっていた(Tx≠p2G)ことを意味する。これは、QS起算が「先頭」である場合、式f−2を満たせば、送信許可済み量は「含む」である蓋然性が高いと識別できることを意味する。
【0204】
ステップS1904において条件F−2と合致した場合、第6の識別結果(値)を「含む」とし、第6の識別結果(状態)を「確定」とし(ステップS1908)、第6の識別を終了する。
【0205】
一方、QS起算が「差分」である場合も、同様に蓋然性の高い送信許可済み量の識別を行う。まず、送信許可済み量は「含まない」である蓋然性が高いか,識別する。具体的には、条件F−3に合致するか、判断する(ステップS1905)。条件F−3は、式f−3、式f−4のうち、少なくとも1つの式を満たすことを条件とする。
【0206】
式f−3、式f−4は、次式のようになる。
式f−3:p2QS(1)>0∧p2G=p2QS(1)∧Tx=p2G
式f−4:p2QS(M)>0∧p2G=p2QS(M)∧Tx=p2G
ただし、MはQS数である。
【0207】
式f−3、式f−4はいずれも、2周期前に送信要求があり(p2QS(1)>0、p2QS(M)>0)、先頭のQSが示す要求と同等の送信許可を与え(p2G=p2QS(1)、p2G=p2QS(M))、その送信許可に応じて実際に送信したデータフレームの量も同等であった(Tx=p2G)ことを意味する。これは、QS起算が「差分」である場合、式f−3もしくは式f−4を満たせば、送信許可済み量は「含まない」である蓋然性が高いと識別できることを意味する。
【0208】
ステップS1905において条件F−3と合致した場合、第6の識別結果(値)を「含まない」とし、第6の識別結果(状態)を「確定」とし(ステップS1907)、第6の識別を終了する。
【0209】
次に、送信許可済み量は「含む」である蓋然性が高いか、識別する。具体的には、条件F−4に合致するか、判断する(ステップS1906)。条件F−4は、式f−5、式f−6のうち、少なくとも1つの式を満たすことを条件とする。
【0210】
式f−5、式f−6は、次式のようになる。
式f−5:p2QS(1)>0∧p2G=p2QS(1)∧Tx≠p2G
式f−6:p2QS(M)>0∧p2G=p2QS(M)∧Tx≠p2G
ただし、MはQS数である。
【0211】
式f−5、式f−6はいずれも、2周期前に送信要求があり(p2QS(1)>0、p2QS(M)>0)、先頭のQSが示す要求と同等の送信許可を与えた(p2G=p2QS(1)、p2G=p2QS(M))にも関わらず、その送信許可に応じて実際に送信したデータフレームの量は異なっていた(Tx≠p2G)ことを意味する。これは、QS起算が「差分」である場合、式f−5もしくは式f−6を満たせば、送信許可済み量は「含む」である蓋然性が高いと識別できることを意味する。
【0212】
ステップS1906において条件F−4と合致した場合、第6の識別結果(値)を「含む」とし、第6の識別結果(状態)を「確定」とし(ステップS1908)、第6の識別を終了する。
【0213】
{実施形態2の送信許可手順}
次に、送信許可算出部16による、送信許可の算出について説明する。本実施形態においては、実施形態1とほとんど同様の手順により送信許可の算出を行うが、識別テーブル14の替わりに識別テーブル24を参照する点、割り当て候補となる量の算出を図13の手順に加えて図20に示す手順を用いる点で異なる。
【0214】
実施形態2の割当候補の算出手順の詳細を図20に示す。本手順は、まず、図13に示した実施形態1における手順と同様の手順(ステップS1201〜ステップS1213)を経て、割り当て候補となる量R(i,j)を算出する。
【0215】
次に、本実施形態においては、送信許可済み量を「含む」か「含まない」かに応じた算出をさらに行う。算出はONUごとに行う(ステップS2001)。まず、識別テーブル24を参照し、当該ONUの送信許可済み量の値が「含む」であるか判断する(ステップS2002)。「含まない」である場合、当該ONUについては算出を終了する。
【0216】
当該ONUの送信許可済み量の値が「含む」である場合、割り当て候補となる量の各候補について(ステップS2003)、送信許可済み量を減じる。具体的には、割り当て候補となる量が前周期の送信許可量以下(R(i,j)≦pG(i))である場合(ステップS2004)、送信要求といえども実際には全て送信許可済みのフレーム量を示しているので、新たに送信許可を与える必要はなく、R(i,j)=0とする(ステップS2005)。一方、前周期の送信許可量より割り当て候補となる量が大きい場合には、候補はまだ送信許可を与えられていないフレーム量を含んでいることになるため、候補から前周期の送信許可量を減ずる(ステップS2006)。
【0217】
以上の手順により、QS起算、QS順、送信許可済み量、QS数によらず、ONU間で共通の割り当て候補となる量を算出することができる。
【0218】
(実施形態3)
次に、本発明における実施形態3について説明する。実施形態3は、ほとんど実施形態1及び実施形態2と同様であるが、ONUが送信するREPORTフレームのQSに複数のQRが含まれる点で異なる。このとき、ONUは図21に示すようなREPORTフレームをOLTに送信する。図21の例では、ONUは各QSに#0のキューの蓄積量を示すQR#0と、#4のキューの蓄積量を示すQR#4との2つを含めるものとしている。
【0219】
本実施形態においては、OLT1が備える識別部13は、受信したREPORTフレームから、当該QSに含まれるQRの和をQS(k)の値として用いる。すなわち、第kQSの#iキューのQRをQR(k,i)と表すと、QS(k)=ΣQR(k,i)である。
【産業上の利用可能性】
【0220】
本発明に係る帯域割当方法、光端局装置及びPONシステムは、PONの上り帯域を動的に割り当てるときに、高い帯域利用効率を維持する場合に適用することができる。
【符号の説明】
【0221】
1:OLT
2:光通信路
3、3−1〜3−4:ONU
4:下位ネットワーク
5:上位ネットワーク
11:送受信部
12:受信量測定部
13:識別部
14:識別テーブル
15:IF部
16:送信許可算出部
17:記憶部
24:識別テーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光端局装置と複数の光加入者装置とが光伝送路を介して接続されるPONシステムに適用され、前記光端局装置が前記複数の光加入者装置に帯域を割り当てる帯域割当方法であって、
前記光端局装置が、前記各光加入者装置から前記光端局装置に前記各光加入者装置の送信要求量を通知されるフォーマットに関する通知フォーマット情報を作成し保持しており、及び前記各光加入者装置の送信要求量に関する送信要求量情報を前記各光加入者装置から受信する帯域割当準備ステップと、
前記光端局装置が、受信した前記送信要求量情報及び保持している前記通知フォーマット情報に基づいて、前記各光加入者装置の送信許可量を設定する送信許可量設定ステップと、
を順に備えることを特徴とする帯域割当方法。
【請求項2】
前記帯域割当準備ステップでは、前記光端局装置が、受信した前記送信要求量情報に基づいて、前記通知フォーマット情報を作成することを特徴とする、請求項1に記載の帯域割当方法。
【請求項3】
前記帯域割当準備ステップでは、前記光端局装置が、前記各光加入者装置に対して過去に設定した前記各光加入者装置の送信許可量、及び前記各光加入者装置から受信したデータの容量に基づいて、前記通知フォーマット情報を作成することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の帯域割当方法。
【請求項4】
前記送信許可量設定ステップでは、前記光端局装置が、受信した前記送信要求量情報及び保持している前記通知フォーマット情報に基づいて、前記各光加入者装置の送信要求量を読み出し、前記複数の光加入者装置の送信許可量の和が前記光端局装置の受信上限量を超えない限度において、読み出した前記各光加入者装置の送信要求量を前記各光加入者装置の送信許可量として設定することを特徴とする、請求項1から請求項3に記載のいずれかの帯域割当方法。
【請求項5】
前記フォーマットは、
前記各加入者装置の送信要求量の候補が複数あるときに、前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補を列挙して通知する列挙通知フォーマットと、
前記各加入者装置の送信要求量の候補が複数あるときに、前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち最小の送信要求量の候補及び前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち大小の順序が隣接する送信要求量の候補の差分を通知する差分通知フォーマットと、
のうちいずれかであることを特徴とする、請求項1から請求項4に記載のいずれかの帯域割当方法。
【請求項6】
前記フォーマットが前記列挙通知フォーマットであり前記差分通知フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記列挙通知フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記差分通知フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記通知フォーマット情報として前記列挙通知フォーマットの情報が保持されており、
前記フォーマットが前記差分通知フォーマットであり前記列挙通知フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記差分通知フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記列挙通知フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記通知フォーマット情報として前記差分通知フォーマットの情報が保持されていることを特徴とする、請求項5に記載の帯域割当方法。
【請求項7】
前記各光加入者装置は、前記光端局装置に送信するデータをFIFOに格納しており、
前記列挙通知フォーマットは、
前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補を昇順で列挙する昇順列挙フォーマットと、
前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補を降順で列挙する降順列挙フォーマットと、
のうちいずれかであり、
前記差分通知フォーマットは、
前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち最小の送信要求量の候補、及び前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち大小の順序が隣接する送信要求量の候補の差分を、前記FIFOの出力側から起算して近い順序で列挙する出力順列挙フォーマットと、
前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち最小の送信要求量の候補、及び前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち大小の順序が隣接する送信要求量の候補の差分を、前記FIFOの入力側から起算して近い順序で列挙する入力順列挙フォーマットと、
のうちいずれかであることを特徴とする、請求項5又は請求項6に記載の帯域割当方法。
【請求項8】
前記フォーマットが前記昇順列挙フォーマットであり前記降順列挙フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記昇順列挙フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記降順列挙フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記通知フォーマット情報として前記昇順列挙フォーマットの情報が保持されており、
前記フォーマットが前記降順列挙フォーマットであり前記昇順列挙フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記降順列挙フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記昇順列挙フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記通知フォーマット情報として前記降順列挙フォーマットの情報が保持されており、
前記フォーマットが前記出力順列挙フォーマットであり前記入力順列挙フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記出力順列挙フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記入力順列挙フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記通知フォーマット情報として前記出力順列挙フォーマットの情報が保持されており、
前記フォーマットが前記入力順列挙フォーマットであり前記出力順列挙フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記入力順列挙フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記出力順列挙フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記通知フォーマット情報として前記入力順列挙フォーマットの情報が保持されていることを特徴とする、請求項7に記載の帯域割当方法。
【請求項9】
前記フォーマットは、
前記各光加入者装置の送信要求量の候補に係るデータが、既に前記光端局装置から送信許可されているデータを含む送信許可包含フォーマットと、
前記各光加入者装置の送信要求量の候補に係るデータが、既に前記光端局装置から送信許可されているデータを含まない送信許可非包含フォーマットと、
のうちいずれかであることを特徴とする、請求項1から請求項8に記載のいずれかの帯域割当方法。
【請求項10】
前記フォーマットが前記送信許可包含フォーマットであり前記送信許可非包含フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記送信許可包含フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記送信許可非包含フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記通知フォーマット情報として前記送信許可包含フォーマットの情報が保持されており、
前記フォーマットが前記送信許可非包含フォーマットであり前記送信許可包含フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記送信許可非包含フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記送信許可包含フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記通知フォーマット情報として前記送信許可非包含フォーマットの情報が保持されていることを特徴とする、請求項9に記載の帯域割当方法。
【請求項11】
前記各光加入者装置の送信要求量の候補は、前記通知フォーマット情報のうち、1又は複数のキューセット、又は前記各キューセットが含む1又は複数のキューレポートに記載されることを特徴とする、請求項5から請求項10に記載のいずれかの帯域割当方法。
【請求項12】
光端局装置と複数の光加入者装置とが光伝送路を介して接続されるPONシステムに適用され、前記複数の光加入者装置に帯域を割り当てる光端局装置であって、
前記各光加入者装置から前記光端局装置に前記各光加入者装置の送信要求量を通知されるフォーマットに関する通知フォーマット情報を作成し保持しており、及び前記各光加入者装置の送信要求量に関する送信要求量情報を前記各光加入者装置から受信する帯域割当準備部と、
前記帯域割当準備部が受信した前記送信要求量情報及び前記帯域割当準備部が保持している前記通知フォーマット情報に基づいて、前記各光加入者装置の送信許可量を設定する送信許可量設定部と、
を備えることを特徴とする光端局装置。
【請求項13】
前記帯域割当準備部は、受信した前記送信要求量情報に基づいて、前記通知フォーマット情報を作成することを特徴とする、請求項12に記載の光端局装置。
【請求項14】
前記帯域割当準備部は、前記各光加入者装置に対して過去に設定された前記各光加入者装置の送信許可量、及び前記各光加入者装置から受信されたデータの容量に基づいて、前記通知フォーマット情報を作成することを特徴とする、請求項12又は請求項13に記載の光端局装置。
【請求項15】
前記送信許可量設定部は、前記帯域割当準備部が受信した前記送信要求量情報及び前記帯域割当準備部が保持している前記通知フォーマット情報に基づいて、前記各光加入者装置の送信要求量を読み出し、前記複数の光加入者装置の送信許可量の和が前記光端局装置の受信上限量を超えない限度において、読み出した前記各光加入者装置の送信要求量を前記各光加入者装置の送信許可量として設定することを特徴とする、請求項12から請求項14に記載のいずれかの光端局装置。
【請求項16】
前記フォーマットは、
前記各加入者装置の送信要求量の候補が複数あるときに、前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補を列挙して通知する列挙通知フォーマットと、
前記各加入者装置の送信要求量の候補が複数あるときに、前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち最小の送信要求量の候補及び前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち大小の順序が隣接する送信要求量の候補の差分を通知する差分通知フォーマットと、
のうちいずれかであることを特徴とする、請求項12から請求項15に記載のいずれかの光端局装置。
【請求項17】
前記フォーマットが前記列挙通知フォーマットであり前記差分通知フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記列挙通知フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記差分通知フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記帯域割当準備部は、前記通知フォーマット情報として前記列挙通知フォーマットの情報を保持しており、
前記フォーマットが前記差分通知フォーマットであり前記列挙通知フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記差分通知フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記列挙通知フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記帯域割当準備部は、前記通知フォーマット情報として前記差分通知フォーマットの情報を保持していることを特徴とする、請求項16に記載の光端局装置。
【請求項18】
前記各光加入者装置は、前記光端局装置に送信するデータをFIFOに格納しており、
前記列挙通知フォーマットは、
前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補を昇順で列挙する昇順列挙フォーマットと、
前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補を降順で列挙する降順列挙フォーマットと、
のうちいずれかであり、
前記差分通知フォーマットは、
前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち最小の送信要求量の候補、及び前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち大小の順序が隣接する送信要求量の候補の差分を、前記FIFOの出力側から起算して近い順序で列挙する出力順列挙フォーマットと、
前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち最小の送信要求量の候補、及び前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち大小の順序が隣接する送信要求量の候補の差分を、前記FIFOの入力側から起算して近い順序で列挙する入力順列挙フォーマットと、
のうちいずれかであることを特徴とする、請求項16又は請求項17に記載の光端局装置。
【請求項19】
前記フォーマットが前記昇順列挙フォーマットであり前記降順列挙フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記昇順列挙フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記降順列挙フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記帯域割当準備部は、前記通知フォーマット情報として前記昇順列挙フォーマットの情報を保持しており、
前記フォーマットが前記降順列挙フォーマットであり前記昇順列挙フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記降順列挙フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記昇順列挙フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記帯域割当準備部は、前記通知フォーマット情報として前記降順列挙フォーマットの情報を保持しており、
前記フォーマットが前記出力順列挙フォーマットであり前記入力順列挙フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記出力順列挙フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記入力順列挙フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記帯域割当準備部は、前記通知フォーマット情報として前記出力順列挙フォーマットの情報を保持しており、
前記フォーマットが前記入力順列挙フォーマットであり前記出力順列挙フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記入力順列挙フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記出力順列挙フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記帯域割当準備部は、前記通知フォーマット情報として前記入力順列挙フォーマットの情報を保持していることを特徴とする、請求項18に記載の光端局装置。
【請求項20】
前記フォーマットは、
前記各光加入者装置の送信要求量の候補に係るデータが、既に前記光端局装置から送信許可されているデータを含む送信許可包含フォーマットと、
前記各光加入者装置の送信要求量の候補に係るデータが、既に前記光端局装置から送信許可されているデータを含まない送信許可非包含フォーマットと、
のうちいずれかであることを特徴とする、請求項12から請求項19に記載のいずれかの光端局装置。
【請求項21】
前記フォーマットが前記送信許可包含フォーマットであり前記送信許可非包含フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記送信許可包含フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記送信許可非包含フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記帯域割当準備部は、前記通知フォーマット情報として前記送信許可包含フォーマットの情報を保持しており、
前記フォーマットが前記送信許可非包含フォーマットであり前記送信許可包含フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記送信許可非包含フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記送信許可包含フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記帯域割当準備部は、前記通知フォーマット情報として前記送信許可非包含フォーマットの情報を保持していることを特徴とする、請求項20に記載の光端局装置。
【請求項22】
前記各光加入者装置の送信要求量の候補は、前記通知フォーマット情報のうち、1又は複数のキューセット、又は前記各キューセットが含む1又は複数のキューレポートに記載されることを特徴とする、請求項16から請求項21に記載のいずれかの光端局装置。
【請求項23】
請求項12から請求項22に記載のいずれかの光端局装置と、
前記光端局装置と光伝送路を介して接続され、前記送信要求量情報を前記光端局装置に送信する複数の光加入者装置と、
を備えることを特徴とするPONシステム。
【請求項1】
光端局装置と複数の光加入者装置とが光伝送路を介して接続されるPONシステムに適用され、前記光端局装置が前記複数の光加入者装置に帯域を割り当てる帯域割当方法であって、
前記光端局装置が、前記各光加入者装置から前記光端局装置に前記各光加入者装置の送信要求量を通知されるフォーマットに関する通知フォーマット情報を作成し保持しており、及び前記各光加入者装置の送信要求量に関する送信要求量情報を前記各光加入者装置から受信する帯域割当準備ステップと、
前記光端局装置が、受信した前記送信要求量情報及び保持している前記通知フォーマット情報に基づいて、前記各光加入者装置の送信許可量を設定する送信許可量設定ステップと、
を順に備えることを特徴とする帯域割当方法。
【請求項2】
前記帯域割当準備ステップでは、前記光端局装置が、受信した前記送信要求量情報に基づいて、前記通知フォーマット情報を作成することを特徴とする、請求項1に記載の帯域割当方法。
【請求項3】
前記帯域割当準備ステップでは、前記光端局装置が、前記各光加入者装置に対して過去に設定した前記各光加入者装置の送信許可量、及び前記各光加入者装置から受信したデータの容量に基づいて、前記通知フォーマット情報を作成することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の帯域割当方法。
【請求項4】
前記送信許可量設定ステップでは、前記光端局装置が、受信した前記送信要求量情報及び保持している前記通知フォーマット情報に基づいて、前記各光加入者装置の送信要求量を読み出し、前記複数の光加入者装置の送信許可量の和が前記光端局装置の受信上限量を超えない限度において、読み出した前記各光加入者装置の送信要求量を前記各光加入者装置の送信許可量として設定することを特徴とする、請求項1から請求項3に記載のいずれかの帯域割当方法。
【請求項5】
前記フォーマットは、
前記各加入者装置の送信要求量の候補が複数あるときに、前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補を列挙して通知する列挙通知フォーマットと、
前記各加入者装置の送信要求量の候補が複数あるときに、前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち最小の送信要求量の候補及び前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち大小の順序が隣接する送信要求量の候補の差分を通知する差分通知フォーマットと、
のうちいずれかであることを特徴とする、請求項1から請求項4に記載のいずれかの帯域割当方法。
【請求項6】
前記フォーマットが前記列挙通知フォーマットであり前記差分通知フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記列挙通知フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記差分通知フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記通知フォーマット情報として前記列挙通知フォーマットの情報が保持されており、
前記フォーマットが前記差分通知フォーマットであり前記列挙通知フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記差分通知フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記列挙通知フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記通知フォーマット情報として前記差分通知フォーマットの情報が保持されていることを特徴とする、請求項5に記載の帯域割当方法。
【請求項7】
前記各光加入者装置は、前記光端局装置に送信するデータをFIFOに格納しており、
前記列挙通知フォーマットは、
前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補を昇順で列挙する昇順列挙フォーマットと、
前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補を降順で列挙する降順列挙フォーマットと、
のうちいずれかであり、
前記差分通知フォーマットは、
前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち最小の送信要求量の候補、及び前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち大小の順序が隣接する送信要求量の候補の差分を、前記FIFOの出力側から起算して近い順序で列挙する出力順列挙フォーマットと、
前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち最小の送信要求量の候補、及び前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち大小の順序が隣接する送信要求量の候補の差分を、前記FIFOの入力側から起算して近い順序で列挙する入力順列挙フォーマットと、
のうちいずれかであることを特徴とする、請求項5又は請求項6に記載の帯域割当方法。
【請求項8】
前記フォーマットが前記昇順列挙フォーマットであり前記降順列挙フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記昇順列挙フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記降順列挙フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記通知フォーマット情報として前記昇順列挙フォーマットの情報が保持されており、
前記フォーマットが前記降順列挙フォーマットであり前記昇順列挙フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記降順列挙フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記昇順列挙フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記通知フォーマット情報として前記降順列挙フォーマットの情報が保持されており、
前記フォーマットが前記出力順列挙フォーマットであり前記入力順列挙フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記出力順列挙フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記入力順列挙フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記通知フォーマット情報として前記出力順列挙フォーマットの情報が保持されており、
前記フォーマットが前記入力順列挙フォーマットであり前記出力順列挙フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記入力順列挙フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記出力順列挙フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記通知フォーマット情報として前記入力順列挙フォーマットの情報が保持されていることを特徴とする、請求項7に記載の帯域割当方法。
【請求項9】
前記フォーマットは、
前記各光加入者装置の送信要求量の候補に係るデータが、既に前記光端局装置から送信許可されているデータを含む送信許可包含フォーマットと、
前記各光加入者装置の送信要求量の候補に係るデータが、既に前記光端局装置から送信許可されているデータを含まない送信許可非包含フォーマットと、
のうちいずれかであることを特徴とする、請求項1から請求項8に記載のいずれかの帯域割当方法。
【請求項10】
前記フォーマットが前記送信許可包含フォーマットであり前記送信許可非包含フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記送信許可包含フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記送信許可非包含フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記通知フォーマット情報として前記送信許可包含フォーマットの情報が保持されており、
前記フォーマットが前記送信許可非包含フォーマットであり前記送信許可包含フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記送信許可非包含フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記送信許可包含フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記通知フォーマット情報として前記送信許可非包含フォーマットの情報が保持されていることを特徴とする、請求項9に記載の帯域割当方法。
【請求項11】
前記各光加入者装置の送信要求量の候補は、前記通知フォーマット情報のうち、1又は複数のキューセット、又は前記各キューセットが含む1又は複数のキューレポートに記載されることを特徴とする、請求項5から請求項10に記載のいずれかの帯域割当方法。
【請求項12】
光端局装置と複数の光加入者装置とが光伝送路を介して接続されるPONシステムに適用され、前記複数の光加入者装置に帯域を割り当てる光端局装置であって、
前記各光加入者装置から前記光端局装置に前記各光加入者装置の送信要求量を通知されるフォーマットに関する通知フォーマット情報を作成し保持しており、及び前記各光加入者装置の送信要求量に関する送信要求量情報を前記各光加入者装置から受信する帯域割当準備部と、
前記帯域割当準備部が受信した前記送信要求量情報及び前記帯域割当準備部が保持している前記通知フォーマット情報に基づいて、前記各光加入者装置の送信許可量を設定する送信許可量設定部と、
を備えることを特徴とする光端局装置。
【請求項13】
前記帯域割当準備部は、受信した前記送信要求量情報に基づいて、前記通知フォーマット情報を作成することを特徴とする、請求項12に記載の光端局装置。
【請求項14】
前記帯域割当準備部は、前記各光加入者装置に対して過去に設定された前記各光加入者装置の送信許可量、及び前記各光加入者装置から受信されたデータの容量に基づいて、前記通知フォーマット情報を作成することを特徴とする、請求項12又は請求項13に記載の光端局装置。
【請求項15】
前記送信許可量設定部は、前記帯域割当準備部が受信した前記送信要求量情報及び前記帯域割当準備部が保持している前記通知フォーマット情報に基づいて、前記各光加入者装置の送信要求量を読み出し、前記複数の光加入者装置の送信許可量の和が前記光端局装置の受信上限量を超えない限度において、読み出した前記各光加入者装置の送信要求量を前記各光加入者装置の送信許可量として設定することを特徴とする、請求項12から請求項14に記載のいずれかの光端局装置。
【請求項16】
前記フォーマットは、
前記各加入者装置の送信要求量の候補が複数あるときに、前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補を列挙して通知する列挙通知フォーマットと、
前記各加入者装置の送信要求量の候補が複数あるときに、前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち最小の送信要求量の候補及び前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち大小の順序が隣接する送信要求量の候補の差分を通知する差分通知フォーマットと、
のうちいずれかであることを特徴とする、請求項12から請求項15に記載のいずれかの光端局装置。
【請求項17】
前記フォーマットが前記列挙通知フォーマットであり前記差分通知フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記列挙通知フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記差分通知フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記帯域割当準備部は、前記通知フォーマット情報として前記列挙通知フォーマットの情報を保持しており、
前記フォーマットが前記差分通知フォーマットであり前記列挙通知フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記差分通知フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記列挙通知フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記帯域割当準備部は、前記通知フォーマット情報として前記差分通知フォーマットの情報を保持していることを特徴とする、請求項16に記載の光端局装置。
【請求項18】
前記各光加入者装置は、前記光端局装置に送信するデータをFIFOに格納しており、
前記列挙通知フォーマットは、
前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補を昇順で列挙する昇順列挙フォーマットと、
前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補を降順で列挙する降順列挙フォーマットと、
のうちいずれかであり、
前記差分通知フォーマットは、
前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち最小の送信要求量の候補、及び前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち大小の順序が隣接する送信要求量の候補の差分を、前記FIFOの出力側から起算して近い順序で列挙する出力順列挙フォーマットと、
前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち最小の送信要求量の候補、及び前記各光加入者装置の複数の送信要求量の候補のうち大小の順序が隣接する送信要求量の候補の差分を、前記FIFOの入力側から起算して近い順序で列挙する入力順列挙フォーマットと、
のうちいずれかであることを特徴とする、請求項16又は請求項17に記載の光端局装置。
【請求項19】
前記フォーマットが前記昇順列挙フォーマットであり前記降順列挙フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記昇順列挙フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記降順列挙フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記帯域割当準備部は、前記通知フォーマット情報として前記昇順列挙フォーマットの情報を保持しており、
前記フォーマットが前記降順列挙フォーマットであり前記昇順列挙フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記降順列挙フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記昇順列挙フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記帯域割当準備部は、前記通知フォーマット情報として前記降順列挙フォーマットの情報を保持しており、
前記フォーマットが前記出力順列挙フォーマットであり前記入力順列挙フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記出力順列挙フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記入力順列挙フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記帯域割当準備部は、前記通知フォーマット情報として前記出力順列挙フォーマットの情報を保持しており、
前記フォーマットが前記入力順列挙フォーマットであり前記出力順列挙フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記入力順列挙フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記出力順列挙フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記帯域割当準備部は、前記通知フォーマット情報として前記入力順列挙フォーマットの情報を保持していることを特徴とする、請求項18に記載の光端局装置。
【請求項20】
前記フォーマットは、
前記各光加入者装置の送信要求量の候補に係るデータが、既に前記光端局装置から送信許可されているデータを含む送信許可包含フォーマットと、
前記各光加入者装置の送信要求量の候補に係るデータが、既に前記光端局装置から送信許可されているデータを含まない送信許可非包含フォーマットと、
のうちいずれかであることを特徴とする、請求項12から請求項19に記載のいずれかの光端局装置。
【請求項21】
前記フォーマットが前記送信許可包含フォーマットであり前記送信許可非包含フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記送信許可包含フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記送信許可非包含フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記帯域割当準備部は、前記通知フォーマット情報として前記送信許可包含フォーマットの情報を保持しており、
前記フォーマットが前記送信許可非包含フォーマットであり前記送信許可包含フォーマットでないと確定的に判断されるとき、又は前記フォーマットが前記送信許可非包含フォーマットである蓋然性が前記フォーマットが前記送信許可包含フォーマットである蓋然性より高いと判断されるときには、前記帯域割当準備部は、前記通知フォーマット情報として前記送信許可非包含フォーマットの情報を保持していることを特徴とする、請求項20に記載の光端局装置。
【請求項22】
前記各光加入者装置の送信要求量の候補は、前記通知フォーマット情報のうち、1又は複数のキューセット、又は前記各キューセットが含む1又は複数のキューレポートに記載されることを特徴とする、請求項16から請求項21に記載のいずれかの光端局装置。
【請求項23】
請求項12から請求項22に記載のいずれかの光端局装置と、
前記光端局装置と光伝送路を介して接続され、前記送信要求量情報を前記光端局装置に送信する複数の光加入者装置と、
を備えることを特徴とするPONシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2012−44603(P2012−44603A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186271(P2010−186271)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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