説明

帯状補強部材の製造ライン、及び帯状補強部材の製造方法

【課題】帯状補強部材の品質を安定化し、生産性を向上可能な帯状補強部材の製造ラインの提供。
【解決手段】第1カレンダーロール9と第2カレンダーロール11との協働によってゴムシート13を連続的に圧延成形すると共に、第3カレンダーロール15と第4カレンダーロールと17の協働によってゴムシート19を連続的に圧延成形し、第2カレンダーロール11と第4カレンダーロール17の間隙に向かって供給された不織布シート27を間にして、第2カレンダーロール11の外周面及び第4カレンダーロール17の外周面にそれぞれ転写された一対のゴムシート13,19を重合した状態の下で、逆回り方向へ回転中の第2カレンダーロール11と正回り方向へ回転中の第4カレンダーロール17との協働によって一対のゴムシート13,19を上下から押圧することにより、帯状補強部材3を連続的に成形して送り方向へ搬送し、巻取り装置43によって連続的に巻取る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴムと不織布との複合材料からなる帯状補強部材を送り方向へ搬送しつつ、連続的に製造する帯状補強部材の製造ライン、及び前記帯状補強部材を送り方向へ搬送しつつ、連続的に製造するための帯状補強部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タイヤ業界においては、タイヤの内圧が急激に低下した際に前記タイヤに代わって車両荷重を支持する空気のうについて、種々の開発が行われている。また、前記空気のうの構成要素である補強層の成形には、ゴムと不織布の複合材料からなる帯状補強部材が用いられている(特許文献1参照)。そして、前記帯状補強部材は、通常、次のように連続的に製造される。
【0003】
即ち、ゴムからなる一対のゴムシート及び不織布からなる不織布シートをカレンダーロール装置における一対のカレンダーロールの間隙へ向かって連続的に供給する。そして、前記不織布シートを間にして前記一対の前記ゴムシートを重合した状態の下で、一対の前記カレンダーロールとの協働によって一対の前記ゴムシートを上下から押圧しつつ、一方の前記カレンダーロールを正回り方向へ、他方の前記カレンダーロールを逆回り方向へ回転させることにより、一対の前記カレンダーロールとの協働によって一対の前記ゴムシート及び前記不織布シートを一体的に積層してなる前記帯状補強部材を連続的に成形して、送り方向へ搬送する。更、前記カレンダーロール装置によって成形された前記帯状補強部材を、前記送り方向からみて前記カレンダーロール装置の下流側に配設された巻取り装置によって連続的に巻取る。
【0004】
以上より、前記帯状補強部材を連続的に製造することができる。
【特許文献1】WO2002/096678号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記帯状補強部材の品質を安定させるためには、前記帯状補強部材における不織布に対するゴムの充填量を多くする必要がある。一方、前記帯状補強部材における不織布に対するゴムの充填量を多くするには、前記帯状補強部材を成形する際に、一対の前記カレンダーロールの周速を遅くしなければならない。そのため、前記帯状補強部材の品質の安定化を図りつつ、前記帯状補強部材の生産性を高めることは極めて困難であるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、前述の問題を解決するため、前記帯状補強部材を成形する際に、カレンダーロールの周速を遅くすることなく、前記帯状補強部材における不織布に対するゴムの充填量を多くすることができる、新規な構成の帯状補強部材の製造ライン、及び帯状補強部材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の特徴(請求項1に記載の発明の特徴)は、ゴムと不織布との複合材料からなる帯状補強部材を送り方向へ搬送しつつ、連続的に製造する帯状補強部材の製造ラインであって、正回り方向へ回転可能な第1カレンダーロールと、この第1カレンダーロールに近接した位置に平行に設けられかつ逆回り方向へ回転可能であって前記第1カレンダーロールとの協働によってゴムからゴムシートを連続的に圧延成形する第2カレンダーロールと、前記第1カレンダーロールに離隔した位置に平行に設けられかつ逆回り方向に回転可能な第3カレンダーロールと、この第3カレンダーロール及び前記第2カレンダーロールに接近した位置に平行に設けられかつ正回り方向へ回転可能であって前記第3カレンダーロールとの協働によってゴムからゴムシートを連続的に圧延成形する第4カレンダーロールとを備え、前記第1カレンダーロールと前記第2カレンダーロールとの協働によって圧延成形された前記ゴムシートが前記第2カレンダーロールの外周面に転写されかつ前記第3カレンダーロールと前記第4カレンダーロールとの協働によって圧延成形された前記ゴムシートが前記第4カレンダーロールの外周面に転写されるように構成され、前記第2カレンダーロールと前記第4カレンダーロールの間隙へ向かって供給された不織布からなる不織布シートを間にして、前記第2カレンダーロールの外周面及び前記第4カレンダーロールの外周面にそれぞれ転写された一対の前記ゴムシートを重合した状態の下で、前記第2カレンダーロールと前記第4カレンダーロールとの協働によって一対の前記ゴムシートを上下から押圧できるように構成され、前記帯状補強部材を連続的に成形して前記送り方向へ搬送するカレンダーロール装置と、前記送り方向からみて前記カレンダーロール装置の下流側に配設され、前記帯状補強部材を連続的に巻取る巻取り装置と、を具備したことである。
【0008】
第1の特徴によると、前記第1カレンダーロールを正回り方向へ、前記第2カレンダーロールを逆回り方向へ回転させることにより、前記第1カレンダーロールと前記第2カレンダーロールとの協働によってゴムから前記ゴムシート(一方のゴムシート)を連続的に圧延成形して、前記第2カレンダーロールの外周面に転写すると共に、第3カレンダーロールを逆回り方向へ、前記第4カレンダーロールを正回り方向へ回転させることにより、前記第3カレンダーロールと前記第4カレンダーロールとの協働によってゴムから前記ゴムシート(他方のゴムシート)を連続的に圧延成形して、前記第4カレンダーロールの外周面に転写する。また、前記第2カレンダーロールと前記第4カレンダーロールの間に供給された前記不織布シートを間にして、前記第2カレンダーロールの外周面及び前記第4カレンダーロールの外周面にそれぞれ転写された一対の前記ゴムシートを重合した状態の下で、逆回り方向へ回転中の前記第2カレンダーロールと正回り方向へ回転中の前記第4カレンダーロールとの協働によって一対の前記ゴムシートを上下から押圧することにより、一対の前記ゴムシート及び前記不織布シートを一体的に積層してなる前記帯状補強部材を連続的に成形して、前記送り方向へ搬送する。そして、前記カレンダーロール装置によって成形された前記帯状補強部材を、前記巻取り装置によって連続的に巻取る。
【0009】
以上により、前記帯状補強部材を連続的に製造することができる。
【0010】
ここで、前述のように、前記第1カレンダーロールと前記第2カレンダーロールとの協働、前記第3カレンダーロールと前記第4カレンダーロールとの協働によって一対の前記ゴムシートを圧延成形した直後、換言すれば、前記ゴムシートにおけるゴムが高温で流動し易い状態の時に、前記第2カレンダーロール及び前記第4カレンダーロールによって一対の前記ゴムシートを上下から押圧しているため、前記帯状補強部材を成形する際に、前記第2カレンダーロール及び前記第4カレンダーロールの周速を遅くすることなく、前記帯状補強部材における不織布に対するゴムの充填量を多くすることができる。
【0011】
本発明の第2の特徴(請求項2に記載の発明の特徴)は、第1の特徴に加えて、前記カレンダーロール装置と前記巻取り装置の間に配設され、前記帯状補強部材を所定幅に連続的に裁断するカッター装置と、を具備したことである。
【0012】
第2の特徴によると、前記巻取り装置によって前記帯状補強部材を巻取る前に、前記カッター装置によって前記帯状補強部材を所定幅に連続的に裁断する。
【0013】
本発明の第3の特徴(請求項3に記載の発明の特徴)は、ゴムと不織布との複合材料からなる帯状補強部材を送り方向へ搬送しつつ、連続的に製造するための帯状補強部材の製造方法であって、カレンダーロール装置における第1カレンダーロールを正回り方向へ、前記第1カレンダーロールに近接した位置に平行に設けられた第2カレンダーロールを逆回り方向へ回転させることにより、前記第1カレンダーロールと前記第2カレンダーロールとの協働によってゴムからゴムシートを連続的に圧延成形して、前記第2カレンダーロールの外周面に転写すると共に、前記第1カレンダーロールに離隔した位置に平行に設けられた第3カレンダーロールを逆回り方向へ、前記第2カレンダーロール及び前記第3カレンダーロールに近接した位置に平行に設けられた第4カレンダーロールを正回り方向へ回転させることにより、前記第3カレンダーロールと前記第4カレンダーロールとの協働によってゴムからゴムシートを連続的に圧延成形して、前記第4カレンダーロールの外周面に転写するゴムシート圧延成形工程と、前記第2カレンダーロールと前記第4カレンダーロールの間隙に向かって供給された不織布シートを間にして、前記ゴムシート圧延成形工程において前記第2カレンダーロールの外周面及び前記第4カレンダーロールの外周面にそれぞれ転写された一対の前記ゴムシートを重合した状態の下で、逆回り方向へ回転中の前記第2カレンダーロールと正回り方向へ回転中の前記第4カレンダーロールとの協働によって一対の前記ゴムシートを上下から押圧することにより、一対の前記ゴムシート及び前記不織布シートを一体的に積層してなる前記帯状補強部材を連続的に成形して、前記送り方向へ搬送する帯状補強部材成形工程と、前記帯状補強部材成形工程中に成形された前記帯状補強部材を、前記送り方向からみて前記カレンダーロール装置の下流側に配設された巻取り装置によって連続的に巻取る巻取り工程と、を具備したことである。
【0014】
第3の特徴によると、前記第1カレンダーロールと前記第2カレンダーロールとの協働、前記第3カレンダーロールと前記第4カレンダーロールとの協働によって一対の前記ゴムシートを圧延成形した直後、換言すれば、前記ゴムシートにおけるゴムが高温で流動し易い状態の時に、前記第2カレンダーロール及び前記第4カレンダーロールによって一対の前記ゴムシートを上下から押圧しているため、前記帯状補強部材を成形する際に、前記第2カレンダーロール及び前記第4カレンダーロールの周速を遅くすることなく、前記帯状補強部材における不織布に対するゴムの充填量を多くすることができる。
【0015】
本発明の第4の特徴(請求項4に記載の発明の特徴)は、第3の特徴に加えて、前記巻取り工程において前記巻取り装置によって前記帯状補強部材を巻取る前に、カッター装置によって前記帯状補強部材を所定幅に連続的に裁断する裁断工程と、を具備したことである。
【0016】
本発明の第5の特徴(請求項5に記載の発明の特徴)は、第3の特徴又は第4の特徴に加えて、前記帯状補強部材は、空気のうの構成要素である補強層の成形に用いられるものであることである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1から請求項5のうちのいずれかの請求項に記載の発明によれば、前記帯状補強部材を成形する際に、前記第2カレンダーロール及び前記第4カレンダーロールの周速を遅くすることなく、前記帯状補強部材における不織布に対するゴムの充填量を多くすることができるため、前記帯状補強部材の品質の安定化を図りつつ、前記帯状補強部材の生産性を容易に高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施形態について図1及び図2を参照して説明する。
【0019】
ここで、図1は、本発明の実施形態に係わる帯状補強部材の製造ラインを示す模式的な図であって、図2は、本発明の実施形態に係わる別態様のカレンダーロール装置を示す模式的な図である。なお、図中、「F」は、送り方向を指してあって、「W」は、ライン幅方向を指してあって、「U」は、上方向を指してあって、「D」は、下方向を指している。
【0020】
図1に示すように、本発明の実施形態に係わる帯状補強部材の製造ライン1は、帯状補強部材3を送り方向Fへ搬送しつつ、連続的に製造するものであって、以下、帯状補強部材の製造ライン1の詳細な構成について説明する。ここで、帯状補強部材3は、例えばWO2002/096678号公報、特開2004−90808号公報等に示す空気のうにおける補強層の成形に用いられるものであって、例えば天然ゴム,ブチルゴム等のゴムと例えばポリアミド不織布,ポリエステル不織布,カーボン不織布,レーヨン不織布,ガラス不織布等の不織布との複合材料からなるものである。
【0021】
即ち、帯状補強部材の製造ライン1は、帯状補強部材3を連続的に成形して送り方向Fへ搬送するカレンダーロール装置5を主要な装置として具備している。
【0022】
具体的には、カレンダーロール装置5は、装置本体フレーム7を備えており、この装置本体フレーム7の上部には、正回り方向(図中において時計回り方向)へ回転可能な第1カレンダーロール9が設けられている。また、装置本体フレーム7における第1カレンダーロール9に近接した位置には、逆回り方向(図面中において反時計回り方向)へ回転可能な第2カレンダーロール11が第1カレンダーロール9に対して平行に設けられており、この第2カレンダーロール11は、第1カレンダーロール9との協働によって混練状態のゴム13gからゴムシート13を連続的に圧延成形するものである。
【0023】
装置本体フレーム7における第1カレンダーロール9に上下に離隔した位置には、逆回り方向へ回転可能な第3カレンダーロール15が第1カレンダーロール9に平行に設けられている。また、装置本体フレーム7における第3カレンダーロール15及び第2カレンダーロール11に近接した位置には、正回り方向へ回転可能な第4カレンダーロール17が第3カレンダーロール15及び第2カレンダーロール11に対して平行に設けられており、この第4カレンダーロール17は、第3カレンダーロール15との協働によって混練状態のゴム19gからゴムシート19を連続して成形するものである。なお、第4カレンダーロール17は、第2カレンダーロール11に上下(垂直)に対向してある。
【0024】
第1カレンダーロール9及び第2カレンダーロール11は、カレンダーロール用モータ21に連動連結されてあって、カレンダーロール用モータ21の駆動により同じ周速で相反する方向(正回り方向、逆回り方向)へ回転するものである。同様に、第3カレンダーロール15及び第4カレンダーロール17は、別のカレンダーロール用モータ23に連動連結されてあって、カレンダーロール用モータ23の駆動により同じ周速で相反する方向(逆回り方向、正回り方向)へ回転するものである。なお、第1カレンダーロール9、第2カレンダーロール11、第3カレンダーロール15、及び第4カレンダーロール17をそれぞれ独立したカレンダーロール用モータ21の駆動によって回転させるようにしても構わない。
【0025】
第1カレンダーロール9と第2カレンダーロール11との協働によって圧延成形されたゴムシート(一方のゴムシート)13が第2カレンダーロール11の外周面に転写されかつ第3カレンダーロール15と第4カレンダーロール17との協働によって圧延成形されたゴムシート(他方のゴムシート)19が第4カレンダーロール17の外周面に転写されるように、第2カレンダーロール11及び第4カレンダーロール17の周速が第1カレンダーロール9及び第3カレンダーロール15の周速よりも速い周速に設定されている。なお、第2カレンダーロール11及び第4カレンダーロール17の周速が第1カレンダーロール9及び第3カレンダーロール15の周速よりも速い周速に設定される代わりに、別の適宜の手段によってゴムシート13,19が第2カレンダーロール11の外周面及び第4カレンダーロール17の外周面に転写されるようにしても差し支えない。
【0026】
第4カレンダーロール17の後方には、供給ロール支持部材25が設けられており、この供給ロール支持部材25には、不織布からなる不織布シート27を第2カレンダーロール11と第4カレンダーロール17の間隙へ向かって供給する供給ロール29が回転自在かつ着脱可能に設けられている。なお、供給ロール29の近傍には、不織布シート27の送り出しを補助する補助ロール(図示省略)が回転可能に設けられている。そして、カレンダーロール装置5は、第2カレンダーロール11と第4カレンダーロール17の間隙に向かって供給された不織布シート27を間にして、第2カレンダーロール11の外周面及び第4カレンダーロール17の外周面にそれぞれ転写された一対のゴムシート13,19が重合した状態の下で、第2カレンダーロール11と第4カレンダーロール17との協働によって一対のゴムシート13,19を上下から押圧できるように構成されている。
【0027】
第2カレンダーロール11と第4カレンダーロール17による押圧荷重を調節できるように、第2カレンダーロール11は、押圧シリンダ又は押圧スクリュージャッキ等の押圧アクチュエータ31の作動により第4カレンダーロール17に対して接近離反する上下方向へ移動可能に構成されている。なお、第1カレンダーロール9と第2カレンダーロール11の間隙を調節できるように、第1カレンダーロール9は、調節シリンダ又は調節スクリュージャッキ等の調節アクチュエータ(図示省略)の作動により第2カレンダーロール11に対して接近離反する方向へ移動可能に構成されている。同様に、第3カレンダーロール15と第4カレンダーロール17の間隙を調節できるように、第3カレンダーロール15は、別の調節アクチュエータ(図示省略)の作動により第4カレンダーロール17に対して接近離反する方向へ移動可能に構成されている。
【0028】
第1カレンダーロール9、第2カレンダーロール11、第3カレンダーロール15、及び第4カレンダーロール17の配置パターンは、図1に示すような配置パターンに限るものではなく、図2(a)に示すように、第1カレンダーロール9と第2カレンダーロール11が水平に対向し、かつ第3カレンダーロール15と第4カレンダーロール17が上下(垂直)に対向した配置パターンであってもよく、又は、図2(b)に示すように、第1カレンダーロール9と第2カレンダーロール11が水平に対向し、かつ第3カレンダーロール15と第4カレンダーロール17が水平に対向した配置パターンであってもよく、その他、種々の配置パターンを選択することができる。
【0029】
再び、図1に示すように、送り方向Fからみてカレンダーロール装置5の下流側には、カレンダーロール装置5によって成形された帯状補強部材3を所定幅に裁断するカッター装置33が配設されている。
【0030】
具体的には、カッター装置33は、帯状補強部材3を上下から挟む円板状の第1カッター回転部材35と円筒状の第2カッター回転部材37を複数組(1組のみ図示)備えている。また、第1カッター回転部材35は、外周側に、帯状補強部材3に切込みを与える切り刃35aを有しており、第2カッター回転部材37は、の外周側に、切り刃35aを受ける刃受け部37aを有している。そして、第1カッター回転部材35及び第2カッター回転部材37が第2カレンダーロール11と第4カレンダーロール17の周速と同じ周速で同期して回転するようにするため、第2カッター回転部材37は、カッター用モータ39に連動連結されてあって、カッター用モータ39の駆動により第2カレンダーロール11と第4カレンダーロール17の周速と同じ周速で回転可能になっており、第1カッター回転部材35は、押付けシリンダ又は押付けスクリュージャッキ等の押付けアクチュエータ41の作動により第2カッター回転部材37側へ押付け可能になっている。なお、第1カッター回転部材35がカッター用モータ39に連動連結されるようにしても差し支えない。更に、各組の第1カッター回転部材35及び第2カッター回転部材37は、帯状補強部材3の所定幅に応じて、ライン幅方向Wへ位置調節できるように構成されている。
【0031】
送り方向Fからみてカッター装置33の下流側には、所定幅に裁断された帯状補強部材3を巻取る巻取り装置43が配設されている。
【0032】
具体的には、送り方向Fからみてカッター装置33の下流側には、巻取りロール支持部材45が設けられており、この巻取りロール支持部材45には、巻取りロール47が着脱可能に設けられている。また、巻取りロール47は、巻取りロール用モータ49に連動連結されており、巻取りロール用モータ49の駆動により回転するものである。
【0033】
続いて、本発明の実施形態に係わる帯状補強部材の製造方法について図1を参照して説明する。
【0034】
帯状補強部材の製造方法は、帯状補強部材3を送り方向Fへ搬送しつつ、連続的に製造するための方法であって、(i)ゴムシート圧延成形工程、(ii)帯状補強部材成形工程、(iii)裁断工程、(iv)巻取り工程を具備している。
【0035】
(i) ゴムシート圧延成形工程
カレンダーロール用モータ21の駆動により第1カレンダーロール9を正回り方向へ、第2カレンダーロール11を第1カレンダーロール9の周速よりも速い周速で逆回り方向へ回転させる。これにより、第1カレンダーロール9と第2カレンダーロール11との協働によって混練状態のゴム13gからゴムシート13を連続的に圧延成形して、第2カレンダーロール11の外周面に転写する。
【0036】
また、カレンダーロール用モータ21の駆動により第3カレンダーロール15を逆回り方向へ、第4カレンダーロール17を第3カレンダーロール15の周速よりも速い周速で正回り方向へ回転させる。これにより、第3カレンダーロール15と第4カレンダーロール17との協働によって混練状態のゴム19gからゴムシート19を連続的に圧延成形して、第4カレンダーロール17の外周面に転写する。
【0037】
なお、第1カレンダーロール9、第2カレンダーロール11、第3カレンダーロール15、及び第4カレンダーロール17の温度は、70℃から100℃に加温設定されている。
【0038】
(ii) 帯状補強部材成形工程
供給ロール29によって第2カレンダーロール11と第4カレンダーロール17の間隙に向かって供給された不織布シート27を間にして、前記(i)ゴムシート圧延成形工程において第2カレンダーロール11の外周面及び第4カレンダーロール17の外周面にそれぞれ転写された一対のゴムシート13,19を重合した状態の下で、押圧アクチュエータ31の作動により逆回り方向へ回転中の第2カレンダーロール11と正回り方向へ回転中の第4カレンダーロール17との協働によって一対のゴムシート13,19を上下から押圧する。これにより、一対のゴムシート13,19及び不織布シート27を一体的に積層してなる帯状補強部材3を連続的に成形して、送り方向Fへ搬送する。
【0039】
(iii) 裁断工程
カッター用モータ39の駆動及び押付けアクチュエータ41の作動により第1カッター回転部材35及び第2カッター回転部材37を第2カレンダーロール11及び第4カレンダーロール17の周速と同じ周速で同期して回転させつつ、前記(ii)お状補強部材成形工程において成形された帯状補強部材3を第1カッター回転部材35と第2カッター回転部材37によって上下から挟む。これにより、帯状補強部材3を所定幅に連続的に裁断することができる。
【0040】
(iv) 巻取り工程
巻取りロール用モータ49の駆動により巻取りロール47を回転させる。これにより、前記(iii)裁断工程において所定幅に裁断された帯状補強部材3を巻取り装置43によって連続的に巻取ることができる。なお、巻取り装置43の巻取り速度は、第2カレンダーロール11及び第4カレンダーロール17の周速と同じである。ここで、巻取り装置43によって巻取る際における帯状補強部材3の単位幅当りの張力は、帯状補強部材3の物性を変化させないようにな適当な張力に設定されている。
【0041】
続いて、本発明の実施形態の作用及び効果について説明する。
【0042】
第1カレンダーロール9と第2カレンダーロール11との協働、第3カレンダーロール15と第4カレンダーロール17との協働によって一対のゴムシート13,19を圧延成形した直後、換言すれば、ゴムシート13,19におけるゴムが高温で流動し易い状態の時に、第2カレンダーロール11及び第4カレンダーロール17によって一対のゴムシート13,19を上下から押圧しているため、帯状補強部材3を成形する際に、第2カレンダーロール11及び第4カレンダーロール17の周速を遅くすることなく、帯状補強部材3における不織布に対するゴムの充填量を多くすることができる。
【0043】
また、前記(iv)巻取り工程おいて、巻取り装置43によって巻取る際における帯状補強部材3の単位幅当りの張力は、帯状補強部材3の物性を変化させないようにな適当な張力に設定されているため、巻取り装置43によって巻取られる際における帯状補強部材3のしわの発生を抑えつつ、帯状補強部材3を用いて成形された前記補強層を前記空気のうの構成要素とした場合に、前前記タイヤの内圧が急激に低下した際における前記空気のうの拡張機能を十分に発揮させることがきる。
【0044】
以上の如き、本発明の実施形態によれば、帯状補強部材3を成形する際に、第2カレンダーロール11及び第4カレンダーロール17の周速を遅くすることなく、帯状補強部材3における不織布に対するゴムの充填量を多くすることができるため、帯状補強部材3の品質の安定化を図りつつ、帯状補強部材3の生産性を容易に高めることができる。
【0045】
また、巻取り装置43によって巻取られる際における帯状補強部材3のしわの発生を抑えつつ、帯状補強部材3を用いて成形された前記補強層を前記空気のうの構成要素とした場合に、前前記タイヤの内圧が急激に低下した際における前記空気のうの拡張機能を十分に発揮させることがきるため、帯状補強部材3自体の品質を向上させつつ、前記空気のうの製品不良を極力少なくすることができる。
【0046】
なお、本発明は、前述の実施形態の他に、例えば帯状補強部材3を前記空気のうにおける前記補強層の成形に用いる他に、別の補強部材の成形に用いる等、その他、種々の態様で実施可能である。また、本発明に包含される権利範囲は、これらの実施形態に限定されないものである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施形態に係わる帯状補強部材の製造ラインを示す模式的な図である。
【図2】本発明の実施形態に係わる別態様のカレンダーロール装置を示す模式的な図である。
【符号の説明】
【0048】
1 帯状補強部材の製造ライン
3 帯状補強部材
5 カレンダーロール装置
9 第1カレンダーロール
11 第2カレンダーロール
13 ゴムシート
15 第3カレンダーロール
17 第4カレンダーロール
19 ゴムシート
33 カッター装置
43 巻取り装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴムと不織布との複合材料からなる帯状補強部材を送り方向へ搬送しつつ、連続的に製造する帯状補強部材の製造ラインであって、
正回り方向へ回転可能な第1カレンダーロールと、この第1カレンダーロールに近接した位置に平行に設けられかつ逆回り方向へ回転可能であって前記第1カレンダーロールとの協働によってゴムからゴムシートを連続的に圧延成形する第2カレンダーロールと、前記第1カレンダーロールに離隔した位置に平行に設けられかつ逆回り方向に回転可能な第3カレンダーロールと、この第3カレンダーロール及び前記第2カレンダーロールに接近した位置に平行に設けられかつ正回り方向へ回転可能であって前記第3カレンダーロールとの協働によってゴムからゴムシートを連続的に圧延成形する第4カレンダーロールとを備え、前記第1カレンダーロールと前記第2カレンダーロールとの協働によって圧延成形された前記ゴムシートが前記第2カレンダーロールの外周面に転写されかつ前記第3カレンダーロールと前記第4カレンダーロールとの協働によって圧延成形された前記ゴムシートが前記第4カレンダーロールの外周面に転写されるように構成され、前記第2カレンダーロールと前記第4カレンダーロールの間隙へ向かって供給された不織布からなる不織布シートを間にして、前記第2カレンダーロールの外周面及び前記第4カレンダーロールの外周面にそれぞれ転写された一対の前記ゴムシートを重合した状態の下で、前記第2カレンダーロールと前記第4カレンダーロールとの協働によって一対の前記ゴムシートを上下から押圧できるように構成され、前記帯状補強部材を連続的に成形して前記送り方向へ搬送するカレンダーロール装置と、
前記送り方向からみて前記カレンダーロール装置の下流側に配設され、前記帯状補強部材を連続的に巻取る巻取り装置と、
を具備したことを特徴とする帯状補強部材の製造ライン。
【請求項2】
前記カレンダーロール装置と前記巻取り装置の間に配設され、前記帯状補強部材を所定幅に連続的に裁断するカッター装置と、
を具備したことを特徴とする請求項1に記載の帯状補強部材の製造ライン。
【請求項3】
ゴムと不織布との複合材料からなる帯状補強部材を送り方向へ搬送しつつ、連続的に製造するための帯状補強部材の製造方法であって、
カレンダーロール装置における第1カレンダーロールを正回り方向へ、前記第1カレンダーロールに近接した位置に平行に設けられた第2カレンダーロールを逆回り方向へ回転させることにより、前記第1カレンダーロールと前記第2カレンダーロールとの協働によってゴムからゴムシートを連続的に圧延成形して、前記第2カレンダーロールの外周面に転写すると共に、前記第1カレンダーロールに離隔した位置に平行に設けられた第3カレンダーロールを逆回り方向へ、前記第2カレンダーロール及び前記第3カレンダーロールに近接した位置に平行に設けられた第4カレンダーロールを正回り方向へ回転させることにより、前記第3カレンダーロールと前記第4カレンダーロールとの協働によってゴムからゴムシートを連続的に圧延成形して、前記第4カレンダーロールの外周面に転写するゴムシート圧延成形工程と、
前記第2カレンダーロールと前記第4カレンダーロールの間隙に向かって供給された不織布シートを間にして、前記ゴムシート圧延成形工程において前記第2カレンダーロールの外周面及び前記第4カレンダーロールの外周面にそれぞれ転写された一対の前記ゴムシートを重合した状態の下で、逆回り方向へ回転中の前記第2カレンダーロールと正回り方向へ回転中の前記第4カレンダーロールとの協働によって一対の前記ゴムシートを上下から押圧することにより、一対の前記ゴムシート及び前記不織布シートを一体的に積層してなる前記帯状補強部材を連続的に成形して、前記送り方向へ搬送する帯状補強部材成形工程と、
前記帯状補強部材成形工程中に成形された前記帯状補強部材を、前記送り方向からみて前記カレンダーロール装置の下流側に配設された巻取り装置によって連続的に巻取る巻取り工程と、
を具備したことを特徴とする帯状補強部材の製造方法。
【請求項4】
前記巻取り工程において前記巻取り装置によって前記帯状補強部材を巻取る前に、カッター装置によって前記帯状補強部材を所定幅に連続的に裁断する裁断工程と、
を具備したことを特徴とする請求項3に記載の帯状補強部材の製造方法。
【請求項5】
前記帯状補強部材は、空気のうの構成要素である補強層の成形に用いられるものであることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の帯状補強部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−126578(P2008−126578A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−315779(P2006−315779)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】