説明

帯電ローラおよびこれを備えた画像形成装置

【課題】帯電ギャップを設定するテープ状のギャップ部材の剥がれを長期的に防止しかつ帯電ギャップの変動を長期的に抑制して、安定した良好な帯電を行う。
【解決手段】帯電ローラ3aの芯金3bの截頭円錐台形状の両端部(3f)の外周面から芯金3bの中間部3kの外周面にわたる芯金3bの外周面上に、テープ状のフィルム部材を、これらのフィルム部材の軸方向の幅と同じかほぼ同じである軸方向の所定のピッチ間隔pで螺旋状に巻き付け、第1および第2ギャップ部材(3d)が固定される。その場合、芯金3bの両端部(3f)に、感光体2との当接部に進入開始する側の端(3d1)が位置している。これにより、各ギャップ部材(3d)の端(3d1)の剥がれが抑制され、帯電ギャップGの変動が長期に抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両端部に巻き付き固定されたテープ状のフィルム部材からなるギャップ部材で像担持体に対して所定の帯電ギャップが設定されて、像担持体を非接触帯電する帯電ローラおよびこれを備えた、静電複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真装置からなる画像形成装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置として、像担持体に対して所定の帯電ギャップを置いて、この像担持体を非接触帯電する帯電ローラを備える画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1等参照)。図6(a)に示すように、この特許文献1に開示の画像形成装置に用いられる帯電ローラaは、芯金bの外周面に導電性を有する弾性部材からなる抵抗層cを設けるとともに、この抵抗層cの両端部外周面に、それぞれ、絶縁性を有するテープ状のフィルム部材からなるギャップ部材d,eをリング状に巻き付けて固着し、これら一対のギャップ部材d,eを像担持体である感光体ドラムfの外周面に当接させることにより、所定の帯電ギャップGを設定している。その場合、芯金bの両端面からそれぞれ軸方向に同軸に突設された回転軸g,hの各軸受i,jをそれぞれ圧縮スプリングk,mの付勢力で感光体ドラムfの方へ押圧することで、両ギャップ部材d,eを感光体ドラムfの外周面に圧接させている。
【0003】
そして、帯電ローラaが帯電ギャップにより感光体ドラムfを非接触帯電することで、オゾンの発生を抑制することができるとともに、感光体ドラムfに付着しているトナー等の異物が帯電ローラaに付着したり、帯電ローラaの抵抗層c中に含まれる物質が感光体ドラムfに付着したりすることが防止できるので、帯電ローラaによる感光体ドラムfの帯電性能を向上することができる。
【0004】
ところで、テープ状のフィルム部材を帯電ローラに巻き付けたとき、フィルム部材の一端と他端との間に継目が生じる。一方、感光体ドラムfの良好な帯電を常時安定して得るためには、帯電ローラaが回転したとき周方向のどの位置でも、帯電ギャップGは常に一定に維持されなければならない。そのためには、テープ状のフィルム部材からなるギャップ部材d,eでは、フィルム部材を帯電ローラaに巻き付けたとき、各フィルム部材の両端(帯電ローラaの周方向における両端)の継目において、これらの両端部が隙間なくかつ上下方向(帯電ローラaの径方向)に重ならないように巻き付ける必要がある。しかしながら、このようにフィルム部材を帯電ローラaに巻き付けるには、フィルム部材の長さを高精度に設定しなければならないばかりでなく、フィルム部材の帯電ローラaへの巻付けも高精度に行わなければならない。このため、フィルム部材の寸法管理をきわめて厳しくする必要があり、生産性が悪いばかりでなく、コストが高いものとなる。
【0005】
このようなことから、帯電ローラaの生産性を向上し、コストを低減するために、ギャップ部材d,eを構成するフィルム部材の長さの精度やフィルム部材の帯電ローラaへの巻付け精度をそれほど高くしないと、帯電ローラaにほぼ1周巻き付けられたギャップ部材d,eの一端と他端との間の継目において、これら両端に隙間が生じたり、両端部が上下方向に重なったりする状態が生じるのを余儀なくされる。しかし、このような状態が生じると、帯電ローラaのこの継目位置部分では、帯電ローラaの軸方向においてギャップ部材d,eが存在しない場合やギャップ部材d,eの厚みが変化する場合があり、この継目が感光体ドラムfとギャップ部材d,eとのニップ部(当接部)に来ると、帯電ギャップGが変化してしまう。このため、感光体ドラムfの良好な帯電を常時安定して得ることができない。
【0006】
そこで、前述の特許文献1に開示の帯電ローラaのギャップ部材dでは、図6(b)および(c)に示すように、ギャップ部材dのフィルム部材の両端d1,d2を斜めにカットするとともに、このフィルム部材を帯電ローラaに巻き付けたとき、斜めにカットされた両端d1,d2の間に隙間sを形成するようにしている。このようにすれば、フィルム部材を帯電ローラaに巻き付けた状態で、帯電ローラaの周方向のどの位置でも帯電ローラaの軸方向にはギャップ部材dが常に存在するので、フィルム部材の寸法管理をそれほど厳しくしなく、継目が存在しても、帯電ギャップGは一定に維持することができる。なお、図示しないが、もう一方のギャップ部材eのフィルム部材についても同様である。
【0007】
また、図6(d)および(e)に示すように、ギャップ部材dのフィルム部材の長さを帯電ローラaの周長より長く設定して、このフィルム部材を帯電ローラaに螺旋状に巻き付けたとき、フィルム部材の一端d1の位置に対して他端d2の位置が帯電ローラaの軸方向にずれるようにしてこの軸方向にラップさせることで、帯電ローラaの周方向のどの位置でも帯電ローラaの軸方向にはギャップ部材dが常に存在するようになる。これにより、同様にフィルム部材の寸法管理をそれほど厳しくしなくても、帯電ギャップGは一定に維持することができる。なお、図示しないが、もう一方のギャップ部材eのフィルム部材についても同様である。
なお説明を省略するが、特許文献1には帯電ローラaの周方向のどの位置でも帯電ローラaの軸方向にはギャップ部材dを常に存在させる他の方法も開示されている。
【特許文献1】特開2001−296723号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、帯電ローラaの外周面にギャップ部材d,eのフィルム部材を単に巻き付けたのでは、ギャップ部材d,eの像担持体との当接部に進入開始する側の端部がこの当接部に進入する際に感光体ドラムfから剥がれる方向の力を受ける。そして、ギャップ部材d,eの両端が感光体ドラムfとの圧接を繰り返していくと、ギャップ部材d,eの感光体ドラムfとの当接部に進入開始する側の端部が感光体ドラムfから剥がれる方向の力を受けて、感光体ドラムfから剥がれて捲れ上がるという問題が生じる。
【0009】
このようにギャップ部材d,eの端の捲れが生じると、帯電ローラaが回転したときこれらのギャップ部材d,eによる帯電ギャップGが変化して一定に維持されなくなり、感光体ドラムfに対して均一で安定した良好な帯電を行うことが難しくなってしまう。
【0010】
また、感光体ドラムfのギャップ部材d,eとの当接部位はギャップ部材d,eの絶縁性によりギャップ部材d,eから帯電(放電)されないばかりでなく、感光体ドラムfの1回転中に芯金bに直接対向する時間が一対のギャップ部材d,eの間の帯電部3a1に比し短い。このため、帯電ローラaからの帯電(放電)による感光体ドラムfの膜減りが、帯電部3a1に対向する部位では大きく、感光体ドラムfのギャップ部材d,eとの当接部位では小さくなる。このように、感光体ドラムfの膜減りが異なると、長期間では帯電ギャップGが変動して一定の帯電効果を得ることができなくなるという問題がある。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、両端部のテープ状のギャップ部材で形成される帯電ギャップにより像担持体の非接触帯電を行うギャップ部材の剥がれを長期的に防止しかつ帯電ギャップの変動を長期的に抑制して、安定した良好な帯電を行うことのできる、簡単な構造の安価な帯電ローラおよびこれを備えた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述の課題を解決するために、請求項1の発明の帯電ローラは、両端部にそれぞれテープ状のギャップ部材が固定されるとともに、これらのギャップ部材の間に像担持体を帯電する帯電部が設けられ、前記ギャップ部材が像担持体の外周面に圧接されることで前記像担持体と前記帯電ローラの前記帯電部との間に帯電ギャップが設定されるとともに、前記像担持体の回転時に回転することで前記帯電部が前記像担持体を前記帯電ギャップにより非接触帯電する帯電ローラにおいて、前記両端部が、それぞれ、それらの両端から前記両端部の間の中間部に向かって移行するにしたがって外径が連続的に大きくなりかつ前記中間部の外径と等しい状態で前記中間部に連続する截頭円錐台形状に形成されており、前記テープ状のギャップ部材が、前記像担持体との当接部に進入開始する側の端が前記両端部の截頭円錐台形状の外周面に位置しかつ前記像担持体との当接部に進入終了する側の端が前記中間部に位置するようにして前記両端部から前記中間部にわたって軸方向に所定の隙間をおいて螺旋状に巻き付けられて固定されていることを特徴としている。
また、請求項2の発明の帯電ローラは、前記所定の隙間が、前記ギャップ部材の軸方向の幅と同じかあるいはほぼ同じに設定されていることを特徴としている。
【0013】
更に、請求項3の発明の画像形成装置は、静電潜像および現像剤像が形成される像担持体と、この像担持体を非接触で帯電する帯電ローラと、前記像担持体に静電潜像を書き込む書込装置と、前記像担持体の静電潜像を現像剤で現像する現像装置と、前記像担持体の現像剤像を転写する転写装置とを少なくとも備える画像形成装置において、前記帯電ローラが請求項1記載の帯電ローラであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
このように構成された請求項1および2の発明の帯電ローラおよび請求項3の発明の画像形成装置によれば、帯電ローラの周方向のどの位置にもテープ状のフィルム部材からなるギャップ部材を帯電ローラの軸方向に存在させるとともに、帯電ローラの両端部をそれぞれそれらの外径が帯電ローラの両端から中間部に向かって移行するにしたがって連続的に大きくなりかつ中間部の外径と等しい状態で中間部に連続する截頭円錐台形状に形成し、そして像担持体との当接部に進入開始する側のギャップ部材の端部を、それぞれ截頭円錐台形状の両端部に位置させかつ像担持体との当接部に進入終了する側のギャップ部材の端部を、それぞれ中間部に位置させているので、像担持体との当接部に進入開始する側のギャップ部材の端部を、中間部の外径より小さい外径の帯電ローラの両端部に位置させることができる。これにより、像担持体との当接部に進入開始する側のギャップ部材の端部が像担持体との当接部に進入しても像担持体に接触しないようにすることができる。したがって、画像形成動作(印字動作)を長期間行っても、像担持体との当接部に進入開始する側のギャップ部材の端部から像担持体に力が加えられるのを抑制でき、その結果、ギャップ部材の帯電ローラからの剥がれを長期間にわたって防止することができる。したがって、均一な安定した帯電ギャップを長期的に維持させることができ、像担持体の良好な帯電を行うことができる。
【0015】
また、帯電ローラの両端部をそれぞれ前述のように截頭円錐台形状に形成しているので、これらの両端部に巻き付けられたテープ状のフィルム部材の外径および両端部から中間部に移行する部分に巻き付けられたテープ状のフィルム部材の外径の急激な変化を防止できる。これにより、帯電ギャップを長期的に安定して得ることができる。しかも、両端部を截頭円錐台形状に形成することで、帯電ローラの形状が簡単になり、帯電ローラを容易にかつ安価に製造することができる。
【0016】
更に、テープ状のギャップ部材を、これらのギャップ部材の軸方向幅と同じかあるいはほぼ同じに設定された軸方向の所定の隙間をおいて螺旋状に巻き付け固定しているので、像担持体のギャップ部材との当接部位を、特許文献2に記載の従来の帯電ローラに比べてより長い時間にわたって帯電(放電)させることができる。これにより、像担持体のギャップ部材との当接部位の膜減りを、像担持体の中間部に対向する部分の膜減りにより一層近づけることができるので、帯電ギャップの変動を長期間にわたって抑制でき、長期的に安定した一定の帯電効果を得ることができる。
【0017】
こうして、本発明の帯電ローラによれば、長期間にわたってギャップ部材の剥がれを防止しかつ帯電ギャップの変動を抑制して安定した良好な帯電を行うようにしながら、しかも、帯電ローラを簡単な構造にして容易にかつ安価に製造することができるようになる。また、本発明の画像形成装置によれば、本発明の帯電ローラを用いることで、高品質の画像を長期間にわたって得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の一例を模式的にかつ部分的に示す図、図2は図1に示す例の感光体および帯電ローラを模式的に示す断面図である。
【0019】
図1および図2に示すように、この例の画像形成装置1は静電潜像およびトナー像(現像剤像)が形成される像担持体である感光体2を備えているとともに、この感光体2は図1において時計回りの回転方向αに回転される。感光体2の周囲に感光体2の回転方向α上流側から、順次、感光体2を非接触帯電する帯電装置3、感光体2に静電潜像を書き込む光書込み装置4、感光体2の静電潜像をトナーで現像する現像装置5、感光体2のトナー像を転写する転写装置6、および感光体2をクリーニングするクリーニング装置7を備えている。
【0020】
この例の感光体2は筒状の感光体ドラムからなり、従来公知の感光体ドラムと同様に円筒状の金属素管2aの外周面に所定膜厚の感光層2bが形成されている。この感光体2における金属素管2aには、例えばアルミニウム等の導電性の管が用いられるとともに、感光層2bには、従来公知の有機感光体が使用される。金属素管2aの両端には、それぞれ、回転軸2c,2dが金属素管2aと同軸にかつ軸方向に突設されている。そして、感光体2は、これらの回転軸2c,2dが図示しない装置本体に軸受を介して回転可能に支持されて設けられている。
【0021】
帯電装置3は感光体2に対して非接触の帯電を行う帯電ローラ3aを備えており、この帯電ローラ3aは感光体2の回転方向αと逆方向β(図1において、反時計回り)に回転される。図2に示すように、帯電ローラ3aは芯金3bを備えており、この芯金3bは導電性を有する、例えば金属シャフト等からなる導電性シャフトとして構成されている。この導電性シャフトとしては、例えばSUM22の表面にNiめっきを施したものを用いることができる。
【0022】
芯金3bの両端部3f,3gは、それぞれ、それらの外径がそれらの両端3h,3iから芯金3bの軸方向中心部(中間部)3kに向かって移行するにしたがって連続的に大きくなる截頭円錐台形状に形成されている。また、中間部3kは一定の外径を有しているとともに、截頭円錐台形状の両端部3f,3gの大径側端の直径が芯金3bの中間部3kの外径と等しく設定されている。したがって両端部3f,3gは、その外径が中間部3kの外径より小さく設定されるとともに、中間部3kの外径と等しい状態で中間部3kに連続するように形成されている。
【0023】
芯金3bの両端部3f,3gの外周面から芯金3bの中間部3kの外周面にわたる芯金3bの外周面上には、所定幅で一定膜厚の、例えば粘着テープからなるフィルム部材を螺旋状に巻き付けることにより、第1および第2ギャップ部材3d,3eが固定されている。その場合、図3(a)に示すように第1ギャップ部材3dを構成するテープ状のフィルム部材は、感光体2との当接部に進入開始する側の端3d1が芯金3bの一端部3fに位置し、また感光体2との当接部に進入終了する側の端3d2が芯金3bの中間部3kに位置するようにして、軸方向に所定のピッチ間隔(隙間)pを置いて螺旋状に巻かれて固定されている。
【0024】
なお、図示しないが、同様にして第2ギャップ部材3eのフィルム部材も、感光体2との当接部に進入開始する側の端が芯金3bの他端部3gに位置し、また感光体2との当接部に進入終了する側の端が中間部3kに位置するようにして、軸方向に所定のピッチ間隔pを置いて螺旋状に巻かれて固定されている。その場合、第2ギャップ部材3eのフィルム部材は帯電ローラ3aの軸方向中心を通る直線に関し第1ギャップ部材3dのフィルム部材と左右対称に設けられる。その場合、ピッチ間隔(隙間)pは第1および第2ギャップ部材3d,3eの軸方向の幅wと同じかまたはほぼ同じ大きさに設定されている。
【0025】
第1および第2ギャップ部材3d,3eの間の芯金3bの外周面には、導電性塗装材を例えばスプレー塗装で塗装することにより抵抗層3cが形成されている。なお、芯金3bの外周面の全面に抵抗層3cを前述と同様の方法で形成し、芯金3bの両端部3f,3gおよび中間部3kに対応する抵抗層3cの外周面上に、前述の第1および第2ギャップ部材3d,3eを固定することもできる。
【0026】
従来の第1および第2ギャップ部材による非接触帯電を行う画像形成装置と同様に、第1および第2ギャップ部材3d,3eが感光体2の外周面に圧接されることより、第1および第2ギャップ部材3d,3e間の抵抗層3cと感光体2との間にフィルム部材の所定膜厚に基づいた所定の帯電ギャップGが設定されている。その場合、第1および第2ギャップ部材3d,3e間の抵抗層3cが、感光体2を一様帯電する帯電部3a1を構成している。そして、この帯電装置3においては、帯電ローラ3aの帯電部3a1により感光体2が帯電ギャップGを有する非接触で一様帯電される。
【0027】
このように設けられたテープ状の第1および第2ギャップ部材3d,3eにおいては、それぞれ、感光体2との当接部に進入開始する側の両端(3d1)が、芯金3bの中間部3kの外径より小さな外径の両端部3f,3gに位置するので、第1および第2ギャップ部材3d,3eが感光体2との当接部に進入するとき、第1および第2ギャップ部材3d,3eの感光体2との当接部に進入開始する側の各端(d1)が感光体2に当接しない。これにより、第1および第2ギャップ部材3d,3eの当接部に進入開始する側の各端(d1)に感光体2から力が加えられないので、これらの各端(d1)が芯金3bから剥がれて捲れることが抑制される。したがって、長期にわたって安定した良好な帯電ギャップが得られるようになる。
【0028】
また、感光体2の第1および第2ギャップ部材3d,3eとの当接部は、帯電ローラ3aからの帯電量(放電量)が特許文献2に記載の従来の画像形成装置の感光体に比べて多くなる。これを具体的に説明すると、図3(b)に示すように感光体2の第1ギャップ部材3dとの当接部2eに対向する芯金3bの部分は、テープ状のフィルム部材のピッチ間隔pによって決まる領域3mである。この領域3mの面積は、第1ギャップ部材3dのピッチ間隔pが第1ギャップ部材3dの軸方向幅と同じかあるいはほぼ同じに設定されているので、特許文献2に記載の従来の画像形成装置の感光体に比べて大きい。したがって、感光体2が第1ギャップ部材3dに当接されても、その当接部2eは、従来に比べてはるかに多く帯電(放電)される。これにより、感光体2の第1ギャップ部材3dとの当接部における膜減りが感光体2の帯電部3a1に対向する部分の膜減りに近づくようになる。図示しないが、第1ギャップ部材3dの場合と同様に、感光体2の第2ギャップ部材3eとの当接部における膜減りも感光体2の帯電部3a1に対向する部分の膜減りに近づくようになる。したがって、長期間にわたって画像形成動作が行われて感光体2の帯電部3a1に対向する部分の膜減りが生じても、感光体2の第1および第2ギャップ部材3d,3eとの当接部においても膜減りが生じるので、帯電ギャップGの変動が抑制される。
【0029】
光書込み装置4は、例えばレーザ光等により感光体2に静電潜像を書き込む。また、現像装置5は、現像ローラ5a、トナー供給ローラ5bおよびトナー層厚規制部材5cを有している。そして、トナー供給ローラ5bによって現像ローラ5a上に現像剤であるトナー(不図示)が供給されるとともに、この現像ローラ5a上のトナーがトナー層厚規制部材5cによりその厚みを規制されて感光体2の方へ搬送され、搬送されたトナーで感光体2上の静電潜像が現像されて感光体2上にトナー像が形成される。
【0030】
転写装置6は転写ローラ6aを有し、この転写ローラ6aにより感光体2上にトナー像が転写紙や中間転写媒体等の転写媒体8に転写される。そして、トナー像が転写媒体8である転写紙に転写された場合には、転写紙上のトナー像が図示しない定着装置によって定着され、転写紙に画像が形成され、また、トナー像が転写媒体8である中間転写媒体に転写された場合には、中間転写媒体上のトナー像が更に転写紙に転写された後、転写紙上のトナー像が図示しない定着装置によって定着され、転写紙に画像が形成される。
【0031】
クリーニング装置7は例えばクリーニングブレード等のクリーニング部材7aを有し、このクリーニング部材7aにより感光体2がクリーニングされて、感光体2上の転写残りトナーが除去されかつ回収される。
この例の画像形成装置1の全体の画像形成動作は、従来の一般的な画像形成装置1の画像形成動作と同じであるので、その説明は省略する。
【0032】
この例の帯電ローラ3aおよび画像形成装置1によれば、帯電ローラ3aの周方向のどの位置にもテープ状のフィルム部材からなる第1および第2ギャップ部材3d,3eを帯電ローラ3aの中間部3kjに軸方向に存在させるとともに、帯電ローラ3aの芯金3bの両端部3f,3gをそれぞれそれらの外径が帯電ローラ3a(つまり芯金3b)の両端3h,3iから中間部3kに向かって移行するにしたがって連続的に大きくなりかつ中間部3kの外径と等しい状態で中間部3kに連続する截頭円錐台形状に形成し、そして感光体2との当接部に進入開始する側の第1および第2ギャップ部材3d,3eの端部(端3d1側の部分)を、それぞれ截頭円錐台形状の両端部3f,3gに位置させかつ感光体2との当接部に進入終了する側の第1および第2ギャップ部材3d,3eの端部(端3d2側の部分)を、それぞれ中間部3kに位置させているので、感光体2との当接部に進入開始する側の第1および第2ギャップ部材3d,3eの各端部を、中間部3kの外径より小さい外径の芯金3b(つまり、帯電ローラ3a)の両端部3f,3gに位置させることができる。これにより、感光体2との当接部に進入開始する側の第1および第2ギャップ部材3d,3eの端部が感光体2との当接部に進入しても感光体2に接触しないようにすることができる。したがって、画像形成動作(印字動作)を長期間行っても、感光体2との当接部に進入開始する側の第1および第2ギャップ部材3d,3eの端部から感光体2に力が加えられるのを抑制でき、その結果、第1および第2ギャップ部材3d,3eの芯金3b(つまり、帯電ローラ3a)からの剥がれを長期間にわたって防止することができる。したがって、均一な安定した帯電ギャップGを長期的に維持させることができ、感光体2の良好な帯電を行うことができる。
【0033】
また、芯金3b(つまり、帯電ローラ3a)の両端部3f,3gをそれぞれ前述のように截頭円錐台形状に形成しているので、これらの両端部3f,3gに巻き付けられたテープ状のフィルム部材の外径および両端部3f,3gから中間部3kに移行する部分に巻き付けられたテープ状のフィルム部材の外径の急激な変化を防止できる。これによっても、帯電ギャップGを長期的に安定して得ることができる。しかも、両端部3f,3gを截頭円錐台形状に形成することで、帯電ローラ3aの形状が簡単になり、帯電ローラ3aを容易にかつ安価に製造することができる。
【0034】
更に、テープ状の第1および第2ギャップ部材3d,3eを、これらの第1および第2ギャップ部材3d,3eの軸方向の幅と同じかあるいはほぼ同じに設定された軸方向の所定のピッチ間隔pをおいて螺旋状に巻き付け固定しているので、感光体2の第1および第2ギャップ部材3d,3eとの当接部位を、特許文献2に記載の従来の帯電ローラ3aに比べてより長い時間にわたって帯電(放電)させることができる。これにより、感光体2の第1および第2ギャップ部材3d,3eとの当接部位の膜減りを、感光体2の中間部3kに対向する部分の膜減りにより一層近づけることができるので、帯電ギャップGの変動を長期間にわたって抑制でき、長期的に安定した一定の帯電効果を得ることができる。
【0035】
こうして、この例の帯電ローラ3aによれば、長期間にわたって第1および第2ギャップ部材3d,3eの剥がれを防止しかつ帯電ギャップGの変動を抑制して安定した良好な帯電を行うようにしながら、しかも、帯電ローラ3aを簡単な構造にして容易にかつ安価に製造することができるようになる。また、この例の画像形成装置1によれば、この例の帯電ローラ3aを用いることで、高品質の画像を長期間にわたって得ることができる。
【0036】
次に、本発明により得られる効果を確認する実験を行った。
(実験装置)
実験装置は、市販のセイコーエプソン社(株)製のカラープリンタLP9000Cを改造したものを使用した。この実験装置の概要を表1に示す。
【0037】
【表1】

【0038】
表1に示すように、実験装置である画像形成装置は、感光体、クリーニングブレード、露光装置である光書込装置、現像装置、転写装置、および定着装置として、それぞれ、セイコーエプソン社(株)製のカラープリンタLP9000Cの感光体ドラム、クリーニングブレード、光書込装置、現像装置(純正のトナーを含む)、転写装置(中間転写ベルトを含む)、および定着装置を用いた。
【0039】
感光体2は、LP9000Cの感光体ドラムをそのまま使用した。
また、帯電ローラ3aは非接触帯電ローラであり、図4(a)ないし(c)に示す3種類の帯電ローラ(CR)3aを作製して、No.1ないし15のギャップ部材剥がれ耐久試験の実験を行うとともに、図4(a)、(b)および図5に示す3種類の帯電ローラ(CR)3aを作製して、No.16ないし30のギャップ部材の帯電ギャップ変動評価試験の実験を行った。
【0040】
図4(a)に示す帯電ローラ3aは、金属の芯金3bがSUM22の表面にNiめっきを施して形成した。截頭円錐台形状の左右両端部3f,3gの小径側の端の外径Dが5mm、左右両端部3f,3gの小径端から大径端までの軸方向長さL1が30mm、左右両端部3f,3gの大径端から抵抗層3cまでの軸方向長さL2が35mmである。
【0041】
また、帯電ギャップGを形成するための各ギャップ部材3d,3eは、ともに厚みが22μmでかつ幅がともに5mmのポリエステルテープを芯金3bの両端部の所定位置に2重に巻き付けて構成した。その場合、両端部3f,3gに位置するテープ部分が約1巻きとなり、中間部3kに位置するテープ部分が約3巻きとなるように、かつ軸方向のピッチ間隔pが約4mmとなるようにして、ポリエステルテープを両端部3f,3gから中間部3kにかけて巻き付けた。
【0042】
図4(b)に示す帯電ローラ3aの芯金3bの構成は図4(a)に示すものと同じである。また、帯電ギャップGを形成するための各ギャップ部材3d,3eは、ともに厚みが22μmでかつ幅がともに4mmのポリエステルテープを芯金3bの両端部の所定位置に2重に巻き付けて構成した。その場合、両端部3f,3gに位置するテープ部分が約2巻きとなり、中間部3kに位置するテープ部分が約3巻きとなるように、かつ軸方向のピッチ間隔pが約4mmとなるようにして、ポリエステルテープを両端部3f,3gから中間部3kにかけて巻き付けた。
【0043】
図4(c)に示す帯電ローラ3aは、芯金3bがSUM22の表面にNiめっきを施して形成された。芯金3bにおける左右両端部3f,3gは截頭円錐台形状に形成されず、左右両端部3f,3gおよび中間部3kが互いに等径であり、芯金3bの両端から抵抗層3cまでの軸方向長さL3が65mmであり、芯金3bの他の構成は図4(a)に示すものと同じである。
【0044】
また、帯電ギャップGを形成するための各ギャップ部材3d,3eは、ともに厚みが22μmでかつ幅がともに5mmのポリエステルテープを芯金3bの両端部の所定位置に2重に巻き付けて構成した。その場合、テープの両端3d1,3d2が約45°にカットされて周方向に1.5mmの隙間sが形成されている。
【0045】
更に、図5に示す帯電ローラ3aは、図4(a)に示すものと同じである。また、帯電ギャップGを形成するための各ギャップ部材3d,3eも、ともに図4(a)に示すものと同じポリエステルテープを芯金3bの両端部の所定位置に2重に巻き付けて構成した。その場合、両端部3f,3gに位置するテープ部分が約1巻き半となり、中間部3kに位置するテープ部分が同じく約1巻き半となるように、かつ軸方向のピッチ間隔pが0mm、つまり、帯電ローラ3aの軸方向にすきまがなくかつ軸方向に重ならないようにして、ポリエステルテープを両端部3f,3gから中間部3kにかけて巻き付けた。
【0046】
図4(a)ないし(c)、および図5に示す各帯電ローラ3aとも、各ギャップ部材3d,3e間の芯金3bの外周面に、帯電部3a1として膜厚が30μmでかつ軸方向長さ(帯電量域幅;帯電部3a1の幅 )が330mmの抵抗層3cからなる表層を形成した。抵抗層3cは、ポリウレタン樹脂30wt%、アクリル樹脂30wt%、導電性酸化錫40wt%の材料を標準仕様とした。その場合、導電性酸化錫の量は、標準仕様より±10wt%になるように調整し、導電性酸化錫の量の変化分については、ポリウレタン樹脂の量を変化させることにより、調整した。そして、これらの材料を水とエタノールに溶解したものをスプレーで塗装することにより抵抗層3cを形成して、完成させた。帯電ローラ3aの感光体ドラムへの当接圧力は500gf/cmである。
更に、AC電源としてTrek(AC出力用)(米国トレック社製)を用いた。DC電源は自作品を用いた。
そして、前述の各部品を用いて図1に示すような画像形成装置を作製した。
【0047】
(ギャップ部材剥がれ耐久試験)
No.1ないし15のギャップ部材剥がれ耐久試験の実験では、表2に示す実験条件により印字試験を行った。
【0048】
【表2】

【0049】
No.1ないし15の共通の実験条件は、帯電ローラ3aに印加する帯電電圧が直流電圧VDCと交流電圧VPPとの重畳電圧であり、交流電圧VPPがすべてサイン(sin)波である。また、プロセス速度が210mm/secであり、帯電ローラの周速と感光体の周速との周速比が1である。更に、現像印加電圧もDC電圧とAC電圧との重畳電圧であり、DC電圧VDC=−200V、AC電圧VPP=1400V、AC電圧の周波数f=3.0kHzの矩形波(50%デューティ)であり、更に転写印加電圧が+200Vであった。
【0050】
No.1ないし15の個別の実験条件について説明する。
表2に示すように、No.1の実験での実験条件は、帯電ローラ(CR)の金属シャフトの中間部3kの外径φが9mm、帯電ギャップGが20μm、抵抗層3cの抵抗Rが1.2×106Ω、帯電電圧の直流電圧VDCが−600V、帯電電圧の交流電圧VPPが1600V、交流電圧VPPの周波数fが1.3Hz、帯電ローラ3aの構成が図4(a)に示す帯電ローラ3aである。
【0051】
また、No.2の実験での実験条件は、帯電ローラ(CR)の金属シャフトの中間部3kの外径φが10mm、帯電ギャップGが21μm、抵抗層3cの抵抗Rが5.2×106Ω、帯電電圧の直流電圧VDCが−580V、帯電電圧の交流電圧VPPが1650V、交流電圧VPPの周波数fが1.2Hz、帯電ローラ3aの構成が図4(b)に示す帯電ローラ3aである。
【0052】
更に、No.3の実験での実験条件は、外径φが11mm、帯電ギャップGが18μm、抵抗Rが5.2×107Ω、直流電圧VDCが−590V、交流電圧VPPが1700V、周波数fが1.5Hz、帯電ローラ3aの構成が図4(c)に示す帯電ローラ3aである。
【0053】
更に、No.4の実験での実験条件は、外径φが12mm、ギャップGが34μm、抵抗Rが5.2×105Ω、直流電圧VDCが−550V、交流電圧VPPが1800V、周波数fが1.4Hz、帯電ローラ3aの構成が図4(a)に示す帯電ローラ3aである。
更に、No.5の実験での実験条件は、外径φが9mm、ギャップGが28μm、抵抗Rが1.2×107Ω、直流電圧VDCが−600V、交流電圧VPPが1690V、周波数fが1.6Hz、帯電ローラ3aの構成が図4(b)に示す帯電ローラ3aである。
【0054】
更に、No.6の実験での実験条件は、外径φが10mm、ギャップGが26μm、抵抗Rが8.2×106Ω、直流電圧VDCが−580V、交流電圧VPPが1800V、周波数fが1.2Hz、帯電ローラ3aの構成が図4(c)に示す帯電ローラ3aである。
更に、No.7の実験での実験条件は、外径φが11mm、ギャップGが27μm、抵抗Rが3.2×107Ω、直流電圧VDCが−590V、交流電圧VPPが1900V、周波数fが1.3Hz、帯電ローラ3aの構成が図4(a)に示す帯電ローラ3aである。
【0055】
更に、No.8の実験での実験条件は、外径φが12mm、ギャップGが45μm、抵抗Rが6.2×106Ω、直流電圧VDCが−550V、交流電圧VPPが1890V、周波数fが1.5Hz、帯電ローラ3aの構成が図4(b)に示す帯電ローラ3aである。
更に、No.9の実験での実験条件は、外径φが9mm、ギャップGが20μm、抵抗Rが1.2×106Ω、直流電圧VDCが−600V、交流電圧VPPが1600V、周波数fが1.3Hz、帯電ローラ3aの構成が図4(c)に示す帯電ローラ3aである。
【0056】
更に、No.10の実験での実験条件は、外径φが10mm、ギャップGが21μm、抵抗Rが5.2×106Ω、直流電圧VDCが−580V、交流電圧VPPが1650V、周波数fが1.2Hz、帯電ローラ3aの構成が図4(a)に示す帯電ローラ3aである。
更に、No.11の実験での実験条件は、外径φが11mm、ギャップGが18μm、抵抗Rが5.2×107Ω、直流電圧VDCが−590V、交流電圧VPPが1700V、周波数fが1.5Hz、帯電ローラ3aの構成が図4(b)に示す帯電ローラ3aである。
【0057】
更に、No.12の実験での実験条件は、外径φが12mm、ギャップGが34μm、抵抗Rが5.2×105Ω、直流電圧VDCが−550V、交流電圧VPPが1800V、周波数fが1.4Hz、帯電ローラ3aの構成が図4(c)に示す帯電ローラ3aである。
更に、No.13の実験での実験条件は、外径φが9mm、ギャップGが28μm、抵抗Rが1.2×107Ω、直流電圧VDCが−600V、交流電圧VPPが1690V、周波数fが1.6Hz、帯電ローラ3aの構成が図4(a)に示す帯電ローラ3aである。
【0058】
更に、No.14の実験での実験条件は、外径φが10mm、ギャップGが26μm、抵抗Rが8.2×106Ω、直流電圧VDCが−580V、交流電圧VPPが1800V、周波数fが1.2Hz、帯電ローラ3aの構成が図4(b)に示す帯電ローラ3aである。
更に、No.15の実験での実験条件は、外径φが11mm、ギャップGが27μm、抵抗Rが3.2×107Ω、直流電圧VDCが−590V、交流電圧VPPが1900V、周波数fが1.3Hz、帯電ローラ3aの構成が図4(c)に示す帯電ローラ3aである。
したがって、実験No.1、2、4、5、7、8,10、11、13、および14が本発明の実施例であり、また、実験No.3、6、9、12、および15が本発明の比較例である。
【0059】
ギャップ部材剥がれ耐久試験はNo.1ないしNo.15のすべての実験で同じであり、A4サイズの普通紙全面に20%濃度のモノクロベタ印字を2000枚連続で行った。そして、2000枚印字を終了した時点で、目視で画像不良がない場合を良好(○)と判定し、また、2000枚印字の終了前に画像不良が認められた場合を不良(×)と判定するとともに、その原因を観察した。
【0060】
(ギャップ部材剥がれ耐久試験の結果)
実験結果を表2に示す。表2から明らかなように、本発明の実施例に対するNo.1、2、4、5、7、8,10、11、13、および14の各実験では、いずれも2000枚印字を終了しても、画像不良がなく、良好(○)な画質が得られた。一方、本発明の比較例に対するNo.3の実験では250枚印字で画像不良(×)が認められ、その原因を調べたところ、テープ状ギャップ部材の感光体との当接部への進入開始側の端部で、テープの剥がれが認められた。またNo.6の実験では420枚印字で画像不良(×)が認められ、同様にテープの剥がれが認められた。更にNo.9の実験では480枚印字で画像不良(×)が認められ、同様にテープの剥がれが認められた。更にNo.12の実験では540枚印字で画像不良(×)が認められ、同様にテープの剥がれが認められた。更にNo.15の実験では824枚印字で画像不良(×)が認められ、同様にテープの剥がれが認められた。これにより、本発明により所期の効果を得ることができることが確認された。
【0061】
(帯電ギャップ変動評価試験)
No.16ないし30の帯電ギャップ変動評価試験の実験では、表3に示す実験条件により印字試験を行った。
【0062】
【表3】

【0063】
No.16ないし30の共通の実験条件は、帯電ローラ3aに印加する帯電電圧が直流電圧VDCと交流電圧VPPとの重畳電圧であり、交流電圧VPPがすべてサイン(sin)波である。また、プロセス速度が210mm/secであり、帯電ローラの周速と感光体の周速との周速比が1である。更に、現像印加電圧もDC電圧とAC電圧との重畳電圧であり、DC電圧VDC=−200V、AC電圧VPP=1400V、AC電圧の周波数f=3.0kHzの矩形波(50%デューティ)であり、更に転写印加電圧が+200Vであった。
【0064】
No.16ないし30の個別の実験条件について説明する。
表3に示すように、No.16の実験での実験条件は、帯電ローラ(CR)の金属シャフトの中間部3kの外径φが9mm、帯電ギャップGが20μm、抵抗層3cの抵抗Rが1.2×106Ω、帯電電圧の直流電圧VDCが−600V、帯電電圧の交流電圧VPPが1700V、交流電圧VPPの周波数fが1.5Hz、帯電ローラ3aの構成が図4(a)に示す帯電ローラ3aである。
【0065】
また、No.17の実験での実験条件は、帯電ローラ(CR)の金属シャフトの中間部3kの外径φが10mm、帯電ギャップGが21μm、抵抗層3cの抵抗Rが5.2×106Ω、帯電電圧の直流電圧VDCが−580V、帯電電圧の交流電圧VPPが1800V、交流電圧VPPの周波数fが1.2Hz、帯電ローラ3aの構成が図4(b)に示す帯電ローラ3aである。
【0066】
更に、No.18の実験での実験条件は、外径φが11mm、帯電ギャップGが18μm、抵抗Rが5.2×107Ω、直流電圧VDCが−590V、交流電圧VPPが1700V、周波数fが1.5Hz、帯電ローラ3aの構成が図5に示す帯電ローラ3aである。
【0067】
更に、No.19の実験での実験条件は、外径φが12mm、ギャップGが34μm、抵抗Rが5.2×105Ω、直流電圧VDCが−550V、交流電圧VPPが1850V、周波数fが1.4Hz、帯電ローラ3aの構成が図4(a)に示す帯電ローラ3aである。
更に、No.20の実験での実験条件は、外径φが9mm、ギャップGが28μm、抵抗Rが1.2×107Ω、直流電圧VDCが−600V、交流電圧VPPが1690V、周波数fが1.6Hz、帯電ローラ3aの構成が図4(b)に示す帯電ローラ3aである。
【0068】
更に、No.21の実験での実験条件は、外径φが10mm、ギャップGが26μm、抵抗Rが8.2×106Ω、直流電圧VDCが−580V、交流電圧VPPが1800V、周波数fが1.2Hz、帯電ローラ3aの構成が図5に示す帯電ローラ3aである。
更に、No.22の実験での実験条件は、外径φが11mm、ギャップGが27μm、抵抗Rが3.2×107Ω、直流電圧VDCが−590V、交流電圧VPPが1900V、周波数fが1.3Hz、帯電ローラ3aの構成が図4(a)に示す帯電ローラ3aである。
【0069】
更に、No.23の実験での実験条件は、外径φが12mm、ギャップGが45μm、抵抗Rが6.2×106Ω、直流電圧VDCが−550V、交流電圧VPPが2000V、周波数fが1.5Hz、帯電ローラ3aの構成が図4(b)に示す帯電ローラ3aである。
更に、No.24の実験での実験条件は、外径φが9mm、ギャップGが20μm、抵抗Rが1.2×106Ω、直流電圧VDCが−600V、交流電圧VPPが1600V、周波数fが1.3Hz、帯電ローラ3aの構成が図5に示す帯電ローラ3aである。
【0070】
更に、No.25の実験での実験条件は、外径φが10mm、ギャップGが21μm、抵抗Rが5.2×106Ω、直流電圧VDCが−580V、交流電圧VPPが1650V、周波数fが1.2Hz、帯電ローラ3aの構成が図4(a)に示す帯電ローラ3aである。
更に、No.26の実験での実験条件は、外径φが11mm、ギャップGが18μm、抵抗Rが5.2×107Ω、直流電圧VDCが−590V、交流電圧VPPが1700V、周波数fが1.5Hz、帯電ローラ3aの構成が図4(b)に示す帯電ローラ3aである。
【0071】
更に、No.27の実験での実験条件は、外径φが12mm、ギャップGが34μm、抵抗Rが5.2×105Ω、直流電圧VDCが−550V、交流電圧VPPが1850V、周波数fが1.4Hz、帯電ローラ3aの構成が図5に示す帯電ローラ3aである。
更に、No.28の実験での実験条件は、外径φが9mm、ギャップGが28μm、抵抗Rが1.2×107Ω、直流電圧VDCが−600V、交流電圧VPPが1690V、周波数fが1.6Hz、帯電ローラ3aの構成が図4(a)に示す帯電ローラ3aである。
【0072】
更に、No.29の実験での実験条件は、外径φが10mm、ギャップGが26μm、抵抗Rが8.2×106Ω、直流電圧VDCが−580V、交流電圧VPPが1820V、周波数fが1.2Hz、帯電ローラ3aの構成が図4(b)に示す帯電ローラ3aである。
更に、No.30の実験での実験条件は、外径φが11mm、ギャップGが27μm、抵抗Rが3.2×107Ω、直流電圧VDCが−590V、交流電圧VPPが1580V、周波数fが1.3Hz、帯電ローラ3aの構成が図5に示す帯電ローラ3aである。
したがって、実験No.16、17、19、20、22、23,25、26、28、および29が本発明の実施例であり、また、実験No.18、21、24、27、および30が本発明の比較例である。
【0073】
帯電ギャップ変動評価試験試験はNo.16ないしNo.30のすべての実験で同じであり、A4サイズの普通紙全面に20%濃度のモノクロベタ印字を30000枚連続で行った。そして、30000枚印字を終了した時点で、目視で画像不良がない場合を良好(○)と判定し、また、30000枚印字の終了前に画像不良が認められた場合を不良(×)と判定するとともに、その原因を観察した。
【0074】
(帯電ギャップ変動評価試験試験の結果)
実験結果を表3に示す。表3から明らかなように、本発明の実施例に対するNo.16、17、19、20、22、23,25、26、28、および294の各実験では、いずれも30000枚印字を終了しても、画像不良がなく、良好(○)な画質が得られた。一方、本発明の比較例に対するNo.18の実験では2230枚印字でベタ印字の中央部で感光体の周期で帯電斑が発生し画像不良(×)が認められた。これは、感光体2のギャップ部材3d,3eとの当接部の膜減りが比較的小さいことから、この当接部の膜減りより感光体2の非帯電部の膜減りが所定量大きくなって、帯電ローラ3aの帯電部3a1と感光体2とがそれらの軸方向中央部で50μm以上離れた、つまり、帯電ギャップGが50μm以上になったためと思われる。またNo.21の実験では2100枚印字で同じような画像不良(×)が認められ、更にNo.24の実験では3200枚印字で画像不良(×)が認められ、更にNo.27の実験では1850枚印字で同じような画像不良(×)が認められ、更にNo.30の実験では3650枚印字で同じような画像不良(×)が認められた。これにより、本発明により、感光体の感光層の膜減りによる帯電ギャップGの変動を一定量以下に抑えることで所期の効果を得ることができることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の画像形成装置は、両端部に巻き付き固定されたテープ状のフィルム部材からなるギャップ部材で像担持体に対して所定の帯電ギャップが設定されて、像担持体を非接触帯電する帯電ローラおよびこれを備えた、静電複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真装置からなる画像形成装置に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の一例を模式的にかつ部分的に示す図である。
【図2】図1に示す例の感光体および帯電ローラを模式的に示す断面図である。
【図3】図1に示す例の帯電ローラを示し、(a)は部分拡大図、(b)は帯電ローラによる感光体の帯電の挙動を説明する図である。
【図4】実験に用いた帯電ローラを示し、(a)は本発明の実施例を示す部分拡大図、(b)は本発明の他の実施例を示す部分拡大図、(c)は本発明の比較例を示す部分拡大図である。
【図5】実験に用いた本発明の他の比較例の帯電ローラを示す部分拡大図である。
【図6】従来の画像形成装置における帯電ローラを示し、(a)は感光体とともに示す図、(b)は帯電ローラの一例を示す部分拡大図、(c)は(b)における左側面図、(d)は帯電ローラの他の例を示す部分拡大図、(e)は(d)における左側面図である。
【符号の説明】
【0077】
1…画像形成装置、2…感光体、2a…金属素管、2b…有機感光層、3…帯電装置、3a…帯電ローラ、3b…芯金、3c…抵抗層、3d…第1ギャップ部材、3e…第2ギャップ部材、3f…芯金の端部、3g…芯金の端部、3k…芯金の中間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端部にそれぞれテープ状のギャップ部材が固定されるとともに、これらのギャップ部材の間に像担持体を帯電する帯電部が設けられ、前記ギャップ部材が像担持体の外周面に圧接されることで前記像担持体と前記帯電ローラの前記帯電部との間に帯電ギャップが設定されるとともに、前記像担持体の回転時に回転することで前記帯電部が前記像担持体を前記帯電ギャップにより非接触帯電する帯電ローラにおいて、
前記両端部は、それぞれ、それらの両端から前記両端部の間の中間部に向かって移行するにしたがって外径が連続的に大きくなりかつ前記中間部の外径と等しい状態で前記中間部に連続する截頭円錐台形状に形成されており、
前記テープ状のギャップ部材は、前記像担持体との当接部に進入開始する側の端が前記両端部の截頭円錐台形状の外周面に位置しかつ前記像担持体との当接部に進入終了する側の端が前記中間部に位置するようにして前記両端部から前記中間部にわたって軸方向に所定の隙間をおいて螺旋状に巻き付けられて固定されていることを特徴とする帯電ローラ。
【請求項2】
前記所定の隙間は、前記ギャップ部材の軸方向の幅と同じかあるいはほぼ同じに設定されていることを特徴とする請求項1記載の帯電ローラ。
【請求項3】
静電潜像および現像剤像が形成される像担持体と、この像担持体を非接触で帯電する帯電ローラと、前記像担持体に静電潜像を書き込む書込装置と、前記像担持体の静電潜像を現像剤で現像する現像装置と、前記像担持体の現像剤像を転写する転写装置とを少なくとも備える画像形成装置において、
前記帯電ローラは請求項1または2記載の帯電ローラであることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−40079(P2008−40079A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−213295(P2006−213295)
【出願日】平成18年8月4日(2006.8.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】