説明

帯電装置、プロセスカートリッジおよび画像形成装置

【課題】従来に比べ帯電部材の長手方向における帯電のばらつきが抑制された帯電装置を提供する。
【解決手段】帯電装置は、芯金12と、芯金12の外周に設けられた外層14とを有する帯電部材10と、芯金12の両端部の外周にそれぞれ設けられ帯電部材10を回転可能に支持する一対の軸受け部30と、を有し、一対の軸受け部30の内端部間の距離Lと、帯電部材10の芯金12と軸受け部30との間のギャップGと、軸受け部の長さlとの関係が、A=(L/l)×Gで表された時に、Aが1.0以下である。ギャップGは、G=d−dであり、式中、dは軸受け部の内径であり、dは芯金の外径である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電装置、プロセスカートリッジおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた画像形成装置においては、先ず、無機又は有機材料からなる光導電性感光体からなる像保持体表面に帯電装置を用いて電荷を形成し、画像信号を変調したレーザ光等で静電潜像を形成した後、帯電したトナーで前記静電潜像を現像して可視化したトナー像が形成される。そして、該トナー像を、中間転写体を介するかあるいは直接、記録紙等の転写材に静電的に転写し、記録材に定着することにより所要の再生画像が得られる。
【0003】
帯電装置は、像保持体などの被帯電体を帯電させるという重要な働きをする装置であり、像保持体に直接接触して像保持体を帯電させる接触帯電方式の帯電装置と、像保持体とは接触せずに像保持体近傍でコロナ放電などにより像保持体を帯電させる非接触帯電方式の帯電装置との2種類の帯電装置に大別される。近年、放電による副次的なオゾンや窒素酸化物などの生成が極めて少ない接触帯電方式を採用する帯電装置が増えている。
【0004】
接触帯電方式の帯電装置には、像保持体表面と直接接触し、像保持体表面の動きに合わせて従動回転して像保持体を帯電させる帯電部材が備えられている。
【0005】
ところで、特許文献1には、表面に画像を形成する像担持体と、前記像担持体に従動回転する帯電ロールと、前記帯電ロールの表面に接触して清掃し、前記帯電ロールを前記像担持体へ押圧する清掃ロールと、を有し、前記清掃ロールは長さ方向中央部分と両端部分の径が異なる形状のロール部材である画像形成装置が記載されている。清掃ロールの形状を長手方向中央部の外径を端部よりも大きくした、いわゆるクラウン形状にすることで、帯電ロールに対する清掃ロールの押圧力を長手方向に対して均一にし、帯電ニップを補正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−199264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、従来に比べ、帯電部材の長手方向における帯電のばらつきが抑制された帯電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下に示す本発明に至った。
【0009】
(1)芯金と、芯金の外周に設けられた外層とを有する帯電部材と、芯金の両端部の外周にそれぞれ設けられ帯電部材を回転可能に支持する一対の軸受け部と、を有し、一対の軸受け部の内端部間の距離Lと、帯電部材の芯金と軸受け部との間のギャップGと、軸受け部の長さlとの関係が、A=(L/l)×Gで表された時に、Aが1.0以下である帯電装置である。
【0010】
(2)帯電部材の外層のMD1硬度が40以上50以下で、芯金の外径が7mm以下、芯金及び外層を含む帯電部材の外径が11mm以下である上記(1)に記載の帯電装置である。
【0011】
(3)帯電部材の外層における端部の外径と中央部の外径との差が40μm以上140μm以下であり、帯電部材の端部に加える片側荷重が、それぞれ2.94N以上5.39N以下である上記(1)または(2)に記載の帯電装置である。
【0012】
(4)潜像保持体と、前記潜像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記潜像保持体を露光して前記潜像保持体上に静電潜像を形成させる露光手段と、静電荷像現像用現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を前記潜像保持体から被転写体に転写する転写手段と、前記潜像保持体の表面に残存したトナーを除去するためのクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも一種と、を含み、前記帯電手段が上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の帯電装置であるプロセスカートリッジである。
【0013】
(5)潜像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像を静電荷像現像用現像剤を用いて現像する現像手段と、現像されたトナー画像を中間転写体を介してまたは介さずに被転写体上に転写する転写手段と、前記被転写体上のトナー画像を定着する定着手段と、を含む画像形成装置であり、前記潜像形成手段に用いる帯電装置が上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の帯電装置である画像形成装置である。
【発明の効果】
【0014】
本願請求項1に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、帯電部材の長手方向における帯電ニップ幅のばらつきが抑制される。
【0015】
本願請求項2に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、芯金の外径、芯金及び外径を含む帯電部材の外径が従来に比べ小径であっても、帯電部材の長手方向における帯電ニップ幅のばらつきが抑制される。
【0016】
本願請求項3に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、帯電部材の長手方向における帯電ニップ幅のばらつきが抑制される。
【0017】
本願請求項4に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、プロセスカートリッジが帯電ニップ幅のばらつきが抑制された帯電装置を有し、従来に比べ高画質が得られる。
【0018】
本願請求項5に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、画像形成装置が帯電ニップ幅のばらつきが抑制された帯電装置を有し、従来に比べ高画質が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態における帯電装置の構成の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の実施の形態における軸受け部の構成の一例を示す部分断面図である。
【図3】本発明の実施の形態における軸受け部の構成の他の例を示す部分断面図である。
【図4】本発明の実施の形態における軸受け部の構成の他の例を示す部分断面図である。
【図5】帯電部材のクラウン量を説明する図である。
【図6】帯電部材と感光体との帯電ニップ幅のばらつきを説明する図である。
【図7】本発明の実施の形態における画像形成装置の構成の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態における帯電装置、プロセスカートリッジおよび画像形成装置について、以下に説明する。
【0021】
[帯電装置]
本実施の形態における帯電装置の構成の一例を図1に示す。図1に示す帯電装置は、芯金12と、芯金12の外周に設けられた外層14とを有する帯電部材10と、芯金12の両端部の外周にそれぞれ設けられ帯電部材10を回転可能に支持する一対の軸受け部30と、を有し、一対の軸受け部30の内端部間の距離Lと、帯電部材10の芯金12と軸受け部30との間のギャップGと、軸受け部の長さlとの関係が、A=(L/l)×Gで表された時に、Aが1.0以下である。
【0022】
また、ギャップGは、G=d−dである。式中、dは軸受け部の内径であり、dは芯金の外径である。
【0023】
ここで、一対の軸受け部30の内端部間の距離L、帯電部材10の芯金12と軸受け部30との間のギャップG、軸受け部の長さl、軸受け部の内径d、及び芯金の外径dの単位は、同一の長さ単位であればよい。なお、本明細書では、長さ単位として「mm」を用いて例示する。
【0024】
上記式でAを1.0以下にすることで、後述するように、帯電部材10の長手方向における帯電ニップ幅のばらつきが抑制され、電気抵抗のムラが防げる。
【0025】
次に、図2から図4に、本実施の形態の帯電装置における軸受け部30の構成を例示する。
【0026】
まず、図2に示された軸受け部32a,32bは、芯金12の両端部の外周にそれぞれ設けられ、且つ、軸受け部32a,32bの外端部間の長さlになるように設けられている。また、軸受け部32a,32bの内径dは、芯金12の外径dより大きく形成され、芯金12と軸受け部32a,32bとの間にギャップGが形成されている。従って、帯電部材10の芯金12の両端部は、感光体の回転に従動するように、それぞれの軸受け部32a,32bに回転可能に支持されている。ここで、軸受け部32a,32bとして例えば、一列配置のボールベアリングが用いられる。
【0027】
図3に示された軸受け部34は、芯金12の両端部の外周にそれぞれ設けられ、且つ、軸受け部34の外端部間の長さlになるように設けられている。また、軸受け部34は、図2に示す軸受け部32a,32bと芯金12との関係と同様に、軸受け部34の内径は、芯金12の外径より大きく形成され、芯金12と軸受け部34との間にギャップGが形成されている。従って、帯電部材10の芯金12の両端部は、感光体の回転に従動するように、それぞれの軸受け部34に回転可能に支持されている。ここで、軸受け部34として、例えば、2列以上(図3においては3列)のボールベアリングが配置された軸受け部が用いられる。
【0028】
図4に示された軸受け部36は、芯金12の両端部の外周にそれぞれ設けられ、且つ、軸受け部36の外端部間の長さlになるように設けられている。また、軸受け部36は、図2に示す軸受け部32a,32bと芯金12との関係と同様に、軸受け部36の内径は、芯金12の外径より大きく形成され、芯金12と軸受け部36との間にギャップGが形成されている。従って、帯電部材10の芯金12の両端部は、感光体の回転に従動するように、それぞれの軸受け部34に回転可能に支持されている。ここで、軸受け部36として、樹脂すべり軸受けが用いられる。
【0029】
また、本実施の形態における帯電部材10の外層14のMD1硬度は、40以上、50以下である。外層14のMD1硬度が40未満の場合にはブリード(滲出)が生じ、一方、外層14のMD1硬度が50を越えると帯電部材10の帯電ニップ幅が予め定められた範囲より狭くなる。ここで、MD1硬度Aとは、高分子計器株式会社製マイクロゴム硬度計MD−1を用い、一般ゴム用のタイプAで測定した硬さで、JIS K6253−1997のデュロメータタイプAに相当するものであり、芯金の影響がほとんどないため、帯電部材10の外層における感光体への接触面積の指標になる。また、帯電ニップ幅とは、帯電部材の長手方向に対して直交する帯電部材と感光体との接触する幅をいう。
【0030】
本実施の形態における芯金12の外径dは7mm以下、芯金12及び外層14を含む帯電部材10の外径Dは11mm以下である。なお、従来の芯金の外径が8mmであり、帯電部材の外径も12〜14mmが一般的であることから、本実施の形態における帯電部材は、外径が小径化している。
【0031】
芯金12の外径d及び帯電部材10の外径Dが従来に比べ小径化すると、図6に示すように、帯電部材10の両端部に荷重を加え、感光体20の回転に従動させた場合、帯電部材10の端部の帯電ニップ幅に比べ帯電部材10の中央部の帯電ニップ幅が、従来の外径を有する帯電部材の場合に比べ、狭くなる傾向がある。なお、図6は、帯電部材10の外層14の外径が一定である場合における感光体20と帯電部材10との関係を誇張して記載したものであり、通常、図5に示すように、帯電部材10の外層14はクラウン形状をしているため、感光体20と帯電部材10の中央部に図6に示すほどの隙間が生じることはない。
【0032】
また、図5に示す、本実施の形態における帯電部材10の外層14における端部の外径Dと中央部の外径Dとの差は、40μm以上、140μm以下である。上述したように、芯金12の外径dが7mm以下の場合、外径dが7mmを越える場合に比べ、帯電部材10の両端部に荷重を加えて感光体の回転に従動させたときに、帯電部材10の端部の帯電ニップ幅に比べ帯電部材10の中央部の帯電ニップ幅が狭くなる傾向が高くなる。従って、帯電部材10の外層14の中央部の外径Dを端部の外径Dより大きくすることで帯電部材10の長手方向(軸方向)における帯電ニップ幅のばらつきが抑制される。以下、外層14の中央部の外径Dと外層14の端部の外径Dの差を、「クラウン量」いう。しかし、クラウン量が140μmを超えると、帯電部材10の端部の帯電ニップ幅より端部の帯電ニップ幅の方が大きくなり、帯電ニップ幅のばらつきが抑制されず、電気抵抗ムラが生じる。ここで、帯電部材10の端部の荷重を増加させた場合には、端部の帯電ニップ幅と中央部の帯電ニップ幅は近似するものの、端部と中央部との間の帯電ニップ幅は、端部及び中央部の帯電ニップ幅に比べ狭くなり、帯電部材10の長手方向における帯電ニップ幅のばらつきが抑制されない。一方、クラウン量が40μm未満の場合、誇張して記載した図6に示すように、帯電部材10の端部の帯電ニップ幅に比べ中央部の帯電ニップ幅が狭くなり、帯電部材10の長手方向における帯電ニップ幅のばらつきが抑制されない。
【0033】
本実施の形態における帯電部材10の端部に加える片側荷重は、それぞれ2.94N(300gf)以上、5.39N(550gf)以下である。片側荷重が5.39Nを超えると、帯電部材10の端部に応力が集中して端部が潰れ、中央部の荷重が減少し、中央部の帯電ニップ幅が予め定められた範囲より狭くなる。また、片側荷重を5.39Nよりはるかに大きな荷重をかけていくと、芯金12の撓み量が大きくなり、軸受け部30に対して芯金12の軸が傾き、帯電部材10の感光体に対する従動性が低下する。一方、片側荷重が2.94N未満の場合、荷重が不足し、帯電部材10の端部及び中央部の帯電ニップ幅はいずれも予め定められた幅に比べ狭くなり、帯電性及び感光体への従動性が低下する。
【0034】
次に、本実施の形態における帯電部材の各部材に関し、以下に説明する。
【0035】
芯金としては、一般には鉄、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等が用いられる。また、JIS G4804に示されているような快削鋼にクロム、ニッケル等でメッキ処理を施した材質でも良い。メッキは電解メッキあるいは無電解メッキのどちらでもよい。また、芯金は、ロール形状のほかに、中空のパイプ形状が用いられる。
【0036】
外層は、例えば、導電性弾性層と、導電性弾性層上に設けられた表面層とからなる。導電性弾性層は、例えば、弾性材料と、導電剤と、必要に応じて、その他添加剤と、を含んで構成される。そして、導電性弾性層は、芯金の外周に、直接形成されていても、また接着層を介して形成されてもよい。
【0037】
弾性材料としては、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ブチルゴム、ポリウレタン、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、天然ゴム等、及びこれらのブレンドゴムが挙げられる。中でも、ポリウレタン、シリコーンゴム、EPDM、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、NBR及びこれらのブレンドゴムが望ましく用いられる。これらの弾性材料は、発泡したものであっても無発泡のものであってもよい。
【0038】
導電剤としては、電子導電剤やイオン導電剤が挙げられる。電子導電剤の例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属又は合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ−酸化アンチモン固溶体、酸化スズ−酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;などの粉末が挙げられる。また、イオン導電剤の例としては、テトラエチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩等;リチウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩等;が挙げられる。
【0039】
これらの導電剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
ここで、カーボンブラックとして具体的には、デグサ社製の「スペシャルブラック350」、同「スペシャルブラック100」、同「スペシャルブラック250」、同「スペシャルブラック5」、同「スペシャルブラック4」、同「スペシャルブラック4A」、同「スペシャルブラック550」、同「スペシャルブラック6」、同「カラーブラックFW200」、同「カラーブラックFW2」、同「カラーブラックFW2V」、キャボット社製「MONARCH1000」、キャボット社製「MONARCH1300」、キャボット社製「MONARCH1400」、同「MOGUL−L」、同「REGAL400R」等が挙げられる。
【0041】
これら導電剤の粒子径としては、1nm以上200nm以下であることが好ましい。なお、平均粒子径は、以下の方法で測定される。
【0042】
導電剤を電子顕微鏡で観察し、導電剤の100個の直径を測定し、その平均をとることで平均粒子径とした。本明細書では、この方法により測定した値を用いている。また、粒子径は、例えば、シスメックス社製ゼータサイザーナノZSを用いて測定してもよい。
【0043】
導電剤の添加量は特に制限はないが、上記電子導電剤の場合は、弾性材料100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下の範囲であることが望ましく、1質量部以上15質量部以下の範囲であることがより望ましい。一方、上記イオン導電剤の場合は、弾性材料100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲であることが望ましく、0.5質量部以上3.0質量部以下の範囲であることがより望ましい。
【0044】
導電性弾性層に配合されるその他添加剤としては、例えば、軟化剤、可塑剤、硬化剤、加硫剤、加硫促進剤、酸化防止剤、界面活性剤、カップリング剤、充填剤(シリカ、炭酸カルシウム等)等の通常弾性層に添加され得る材料が挙げられる。
【0045】
導電性弾性層の形成に際しては、この層を構成する導電剤、弾性材料、その他の成分(加硫剤や必要に応じて添加される発泡剤等)の各成分の混合方法や混合順序は特に限定されないが、一般的な方法としては、全成分をあらかじめタンブラー、Vブレンダー等で混合し、押出機によって溶融混合して、押出成形する方法が挙げられる。
【0046】
導電性弾性層の厚みは、1mm以上10mm以下程度とすることが望ましく、2mm以上5mm以下程度とすることがより望ましい。そして、弾性層の体積抵抗率は10Ωcm以上1014Ωcm以下が望ましい。
【0047】
表面層は、樹脂と、必要に応じて、導電剤と、その他添加剤と、を含んで構成される。
【0048】
樹脂としては、アクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、共重合ナイロン、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、スチレンブタジエン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂(例えばテトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン等)、尿素樹脂等が挙げられる。ここで、共重合ナイロンは、610ナイロン、11ナイロン、12ナイロン、の内のいずれか1種又は複数種を重合単位として含むものであって、この共重合体に含まれる他の重合単位としては、6ナイロン、66ナイロン等が挙げられる。また、樹脂としては、前記、導電性弾性層に配合される弾性材料を適用してもよい。
【0049】
その他添加剤としては、例えば、導電剤、軟化剤、可塑剤、硬化剤、加硫剤、加硫促進剤、酸化防止剤、界面活性剤、カップリング剤等の通常表面層に添加され得る材料が挙げられる。
【0050】
表面層は、7μm以上25μm以下が望ましい。そして、表面層の体積抵抗率は10Ωcm以上1014Ωcm以下が望ましい。
【0051】
表面層の形成方法は、例えば、導電性弾性層の外周面に、例えば、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等を利用して、導電性弾性層に形成することで製造される。
【0052】
図7は、本実施の形態における画像形成装置の一例を示す全体構成図である。
【0053】
次に、本実施の形態の画像形成装置の一例について説明する。
【0054】
図7は、上述の実施の形態の帯電部材を帯電ロールとして用いた画像形成装置の構成例を示す概略図である。図示した画像形成装置200は、ハウジング400内において4つの電子写真感光体401a〜401dが中間転写ベルト409に沿って相互に並列に配置されている。電子写真感光体401a〜401dは、例えば、電子写真感光体401aがイエロー、電子写真感光体401bがマゼンタ、電子写真感光体401cがシアン、電子写真感光体401dがブラックの色からなる画像をそれぞれ形成することが可能である。
【0055】
電子写真感光体401a〜401dのそれぞれは所定の方向(紙面上は反時計回り)に回転可能であり、その回転方向に沿って帯電部材である帯電ロール402a〜402d、現像装置404a〜404d、1次転写ロール410a〜410d、クリーニングブレード415a〜415dが配置されている。現像装置404a〜404dのそれぞれにはトナーカートリッジ405a〜405dに収容されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーが供給可能であり、また、1次転写ロール410a〜410dはそれぞれ中間転写ベルト409を介して電子写真感光体401a〜401dに当接している。
【0056】
さらに、ハウジング400内の所定の位置には露光装置403が配置されており、露光装置403から出射された光ビームを帯電後の電子写真感光体401a〜401dの表面に照射することが可能となっている。これにより、電子写真感光体401a〜401dの回転工程において帯電、露光、現像、1次転写、クリーニングの各工程が順次行われ、各色のトナー像が中間転写ベルト409上に重ねて転写される。
【0057】
ここで、帯電ロール402a〜402dは、電子写真感光体401a〜401dの表面に接触させて感光体に電圧を均一に印加し、感光体表面を所定の電位に帯電させるものである(帯電工程)。上記帯電ロール402a〜402dとして、上述した実施の形態における帯電部材10が用いられる。
【0058】
露光装置403としては、電子写真感光体401a〜401dの表面に、半導体レーザー、LED(light emitting diode)、液晶シャッター等の光源を所望の像様に露光できる光学系装置等を用いることができる。これらの中でも、非干渉光を露光可能な露光装置を用いると、電子写真感光体401a〜401dの導電性基体と感光層との間での干渉縞を防止することができる。
【0059】
現像装置404a〜404dには、二成分静電荷像現像剤を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置を用いて行うことができる(現像工程)。そのような現像装置としては、二成分静電荷像現像用現像剤を用いる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜公知のものを選択することができる。一次転写工程では、1次転写ロール410a〜410dに、像担持体に担持されたトナーと逆極性の1次転写バイアスが印加されることで、像担持体から中間転写ベルト409へ各色のトナーが順次1次転写される。
【0060】
クリーニングブレード415a〜415dは、転写工程後の電子写真感光体の表面に付着した残存トナーを除去するためのもので、これにより清浄面化された電子写真感光体は上記の画像形成プロセスに繰り返し供される。クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。
【0061】
中間転写ベルト409は駆動ロール406、背面ロール408及び張力付与ロール407により所定の張力をもって支持されており、これらのロールの回転によりたわみを生じることなく回転可能となっている。また、2次転写ロール413は、中間転写ベルト409を介して背面ロール408と当接するように配置されている。
【0062】
2次転写ロール413に、中間転写体上のトナーと逆極性の2次転写バイアスが印加されることで、中間転写ベルトから記録媒体へトナーが2次転写される。背面ロール408と2次転写ロール413との間を通った中間転写ベルト409は、例えば駆動ロール406の近傍に配置されたクリーニングブレード416或いは、除電器(不図示)により清浄面化された後、次の画像形成プロセスに繰り返し供される。また、ハウジング400内の所定の位置には給紙装置(被転写媒体容器)411が設けられており、給紙装置411内の紙などの被転写媒体500が移送ロール412により中間転写ベルト409と2次転写ロール413との間、さらには相互に当接する2個の定着ロール414の間に順次移送された後、ハウジング400の外部に排紙される。
【0063】
本実施の形態におけるプロセスカートリッジは、図7に示すように、上述の実施の形態の帯電部材を帯電ロールとして用いたもので、帯電ロール402a、電子写真感光体401a、クリーニングブレード415aおよび現像装置404aが、一体化されて、例えばブラック用のプロセスカートリッジが構成されている。同様に、帯電ロール402b、電子写真感光体401b、クリーニングブレード415bおよび現像装置404bが、一体化されてイエロー用のプロセスカートリッジが構成され、帯電ロール402c、電子写真感光体401c、クリーニングブレード415cおよび現像装置404cが、一体化されてマゼンタ用のプロセスカートリッジが構成され、帯電ロール402d、電子写真感光体401d、クリーニングブレード415dおよび現像装置404dが、一体化されてシアン用のプロセスカートリッジが構成される。
【実施例1】
【0064】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に制限されるものではない。なお、以下の製造例、実施例、比較例において記載した評価は、以下の方法により実施した。
【0065】
なお、特に断りがない限り、「部」は、「質量部」を意味する。
【0066】
<感光体1の作製>
先ず、ホーニング処理を施した外径Φ30mmの円筒状アルミニウム基材を準備した。次に、ジルコニウム化合物(商品名:オルガチックスZC540、マツモト製薬社製)を100質量部、シラン化合物(商品名:A1100、日本ユニカー社製)を10質量部、イソプロパノールを400質量部、及びブタノールを200質量部を混合し、下引層形成用塗布液を得た。この塗布液をアルミニウム基材上に浸漬塗布し、150℃で10分間加熱乾燥し、0.1μmの下引層を形成した。
【0067】
次に、CuKα特性X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が、7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に強い回折ピークを持つヒドロキシガリウムフタロシアニンを1質量部、ポリビニルブチラール(エスレックBM−S、積水化学社製)を1部、及び酢酸n−ブチルを100質量部を混合し、さらにガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間処理して分散し、電荷発生層形成用塗布液を得た。この塗布液を下引層上に浸漬塗布し100℃で10分間加熱乾燥し、膜厚約0.15μmの電荷発生層を形成した。
【0068】
次に、下記式(V−3)で示される電荷輸送材料を2質量部、下記式(V−4)で示される構造単位を有する高分子化合物(粘度平均分子量 50,000)を3質量部、及びクロロベンゼンを20質量部と混合し、電荷輸送層形成用塗布液を得た。
【0069】
【化1】

【0070】
得られた電荷輸送層形成用塗布液を、上記電荷発生層上に浸漬コーティング法で塗布して110℃で40分加熱し、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。このように、ホーニング処理が施されたアルミニウム基材上に、下引層、電荷発生層及び電荷輸送層が形成された感光体を「感光体1」とした。
【0071】
(帯電部材の作製)
−芯金の作成−
帯電部材の芯金は、センターレス研磨加工した軸径8mmの円筒状棒を長さ355mmに切断後に、厚み8μmの無電解ニッケルメッキを施したものを用いた。
【0072】
−導電性弾性層の形成−
表1および表2に示す配合物を接線式加圧ニーダー((株)モリヤマ製:実容量75L)を用いて混練を行い、22吋オープンロールにおいて混練りし、シート状のゴム練り材を得た後、シリンダー内径60mm、L/D20の1軸ゴム押出し機を用いてスクリュー回転15rpmで前述配合物の未加硫ゴム材料を押出すとともに、同時に前記芯金を連続的にクロスヘッド(ダイ内径φ12.5mm、ニップル径φ8.05mm)を通過させることにより、芯金上に未加硫ゴムを被覆した。押出し機の温度条件設定は、シリンダー部、スクリュー部、ヘッド部、ダイ部のいずれとも80℃とした。押出成形後、180℃、30分でオーブンにて常圧加硫を行い、帯電ロールの導電性弾性層を得た。以下に示す表1および表2における配合比はいずれも質量部である。
【0073】
【表1】

【0074】
【表2】

【0075】
−表面層の形成−
以下に示す混合物をビーズミルにて分散し得られた塗布液を、メタノールで希釈し、前記導電性弾性層の表面に塗布初速度及び加速度を便宜調整し浸漬塗布した後、120℃で20分間加熱乾燥し、厚さ10μmの表面層を形成し、帯電ロールの表面層を得た。
・高分子材料 ・・・100質量部
(共重合ナイロン)アラミンCM8000:東レ社製
・導電剤 ・・・14質量部
(カーボンブラック)MONARCH1000:キャボット社製
・溶剤(メタノール) ・・・500質量部
・溶剤(ブタノール) ・・・240質量部
【0076】
[硬度の測定]
帯電部材である帯電ロールをマイクロゴム硬度計(MD−1硬度計タイプA型:高分子計器社製)を用いてゴム硬度を測定した。長さ方向10点測定し、その平均値とした。
【0077】
−実機評価−
以下の表3に示す実施例および比較例の帯電部材を富士ゼロックス社製複写機で商品名:DocuCentre−IV C5570の接触式の帯電ロールとして装着し、複写機DocuCentre−IV C5570用のカラートナー(シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー、黒トナー)を用い、A4用紙50,000枚印字テスト(10℃、15%RH環境下で25,000枚印刷後、28℃、85%RH環境下で25,000枚印字)を行った。
【0078】
画質評価は、50,000枚走行後の画像について、得られた画像の中心部の濃度と、縦筋(濃度ムラ)部の濃度とをX−Rite社製の商品名:X−Rite404によって測定し、その濃度差をΔDで示し、以下の評価機銃により評価した。なお、ΔDが小さいほど、面内における濃度のムラが抑制されていることを示す。
G0:ΔD≦0.2。
G1:0.3≧ΔD>0.2。
G2:ΔD>0.3(但し、1箇所のみ)。
G3:ΔD>0.3(複数箇所発生)。
【0079】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明の活用例として、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置への適用がある。
【符号の説明】
【0081】
10 帯電部材、12 芯金、14 外層、20 感光体、30,32a,32b,34,36 軸受け部、200 画像形成装置、400 ハウジング、401,401a〜401d 電子写真感光体、402,402a〜402d 帯電ロール、403 露光装置、404,404a〜404d 現像装置、405a〜405d トナーカートリッジ、406 駆動ロール、407 張力付与ロール、408 背面ロール、409 中間転写ベルト、410,410a〜410d 1次転写ロール、411 給紙装置、412 移送ロール、413 2次転写ロール、414 定着ロール、415a〜415d、416 クリーニングブレード、500 被転写媒体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯金と、芯金の外周に設けられた外層とを有する帯電部材と、
芯金の両端部の外周にそれぞれ設けられ帯電部材を回転可能に支持する一対の軸受け部と、を有し、
一対の軸受け部の内端部間の距離Lと、帯電部材の芯金と軸受け部との間のギャップGと、軸受け部の長さlとの関係が、
A=(L/l)×G
で表された時に、Aが1.0以下であることを特徴とする帯電装置。
【請求項2】
帯電部材の外層のMD1硬度が40以上50以下で、芯金の外径が7mm以下、芯金及び外層を含む帯電部材の外径が11mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の帯電装置。
【請求項3】
帯電部材の外層における端部の外径と中央部の外径との差が40μm以上140μm以下であり、帯電部材の端部に加える片側荷重が、それぞれ2.94N以上5.39N以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の帯電装置。
【請求項4】
潜像保持体と、
前記潜像保持体を帯電させる帯電手段と、
帯電した前記潜像保持体を露光して前記潜像保持体上に静電潜像を形成させる露光手段と、
静電荷像現像用現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、
前記トナー像を前記潜像保持体から被転写体に転写する転写手段と、
前記潜像保持体の表面に残存したトナーを除去するためのクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも一種と、
を含み、
前記帯電手段が請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の帯電装置であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項5】
潜像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像を静電荷像現像用現像剤を用いて現像する現像手段と、現像されたトナー画像を中間転写体を介してまたは介さずに被転写体上に転写する転写手段と、前記被転写体上のトナー画像を定着する定着手段と、を含む画像形成装置であり、
前記潜像形成手段に用いる帯電装置が請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の帯電装置であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−68306(P2012−68306A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210873(P2010−210873)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】