説明

帯電装置および画像形成装置

【課題】 帯電装置にトナーが流入してコロナ電極に付着することを防ぎ、感光体を均一に帯電させることができる帯電装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】 帯電装置5は、コロナ放電により感光体ドラム3表面を帯電させるコロナ電極53と、コロナ電極53に電圧を印加する第1の電源と、一面が開放されていて、側面に開口部56を有し、その内部にコロナ電極53を収容しているシールドケース51と、開放されている面を覆い、感光体ドラム3表面の帯電電位を制御するグリッド電極54と、グリッド電極54に電圧を印加する第2の電源とを含んで構成される。開口部56からも気流がシールドケース51内に流入するようにすると、開口部56はシールドケース51の開放面よりも感光体ドラム3表面から離れているので、開放面からのみ気流が流入する場合と比較して、トナーの吸い上げを抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリなどの、電子写真方式の画像形成装置においては、像担持体として表面に光導電性物質を含む感光層を形成した感光体を用い、感光体表面に電荷を付与して均一に帯電させた後、種々の作像プロセスにて画像情報に対応する静電潜像を形成し、この静電潜像を、現像手段から供給されかつトナーを含む現像剤により現像して可視像とし、この可視像を記録紙などの記録媒体に転写した後、定着ローラによって加熱および加圧し、記録材に定着させることにより、記録媒体上に画像が形成される。
【0003】
このような画像形成装置では、感光体表面を帯電させるには、帯電装置が用いられる。帯電装置は、通常、コロナ放電を行うワイヤ状のコロナ電極と、適切な電圧が印加され、コロナ電極により感光体表面に付与される電荷量ひいては感光体表面の帯電電位を制御するグリッド電極と、コロナ電極およびグリッド電極を支持する支持部材とを含んで構成される。
【0004】
感光体と一定の間隙を設けて配置した帯電装置のコロナ電極に高電圧を印加して、コロナ放電を発生させると、コロナ電極近傍の空気が電離してイオンが発生し、イオンが感光体へ移動することで感光体表面が帯電される。広がりをもって被帯電面を帯電させるコロナ放電を用いれば、放電で生じるイオン流が感光体に到達して、感光体を一様に帯電して高精度かつ高画質の画像を形成できる。その一方、このコロナ放電方式では、コロナ電極の表面が汚れることで感光体に帯電異常が発生するという問題がある。すなわち、コロナ電極は高電圧が印加されることでそれ自身が強力な集塵極として機能するため、その表面に画像形成装置内を浮遊するシリカやトナーや紙粉等が付着する場合がある。この場合、コロナ電極に異物が付着した箇所では感光体が正常に均一帯電されず、たとえば記録紙に真っ黒なベタ領域が形成される等、画像品質が劣化するという問題が生じる。
【0005】
また帯電むらの発生つまり表面電位の変動によって、現像する際にキャリアが感光体表面に付着してしまい、クリーニングブレードのエッジを損傷させる。これによってクリーニングの効果が十分に得られないので、浮遊トナー量はますます増加し、帯電装置に吸い上げられ、さらなる帯電不良を引き起こすという悪循環が起こる。
【0006】
図5は従来の帯電装置100およびその周辺を模式的に表した側面図、図6は図5の切断面線B−Bからみた断面図である。
【0007】
帯電装置100は、コロナ放電により感光体ドラム103表面を帯電させるコロナ電極101と、コロナ電極101に電圧を印加する第1の電源(不図示)と、一面が開放されていて、その内部にコロナ電極101を収容しているシールドケース102と、開放されている面を覆い、感光体ドラム103表面の帯電電位を制御するグリッド電極104と、グリッド電極104に電圧を印加する第2の電源(不図示)とを含んで構成される。感光体ドラム103は、矢符105の方向に回転している。感光体ドラム103の回転によって発生する流れの影響と、コロナ電極101自身の集塵効果とによって、画像形成装置内に浮遊した、特に感光体ドラム103表面付近に浮遊しているトナーや埃などが帯電装置100内に吸い上げられて、トナーなどがコロナ電極101に付着してしまう。
【0008】
第1の従来の技術では、帯電装置のグリッド両端の開口率を大きくしてイオン流量を調整している。つまりグリッド両端に相当する感光体の非画像領域には、グリッドに遮られることなくイオン流が直接到達する。したがって、非画像領域では、画像領域よりも多くのイオンが到達するため、感光体ドラムの非画像領域の表面電位は、画像領域の表面電位よりも大きくなり、トナーが非画像領域に付着することを防ぐことができる(特許文献1参照)。
【0009】
第2の従来の技術では、画像形成装置に浮遊トナーを吸引するためのトナー吸引用風路と、また帯電装置から発生するオゾンを吸引するためのオゾン吸引用風路とを形成することによって、画像形成装置内の汚染を防ぐことができる(特許文献2参照)。
【0010】
【特許文献1】特開2000−338747号公報
【特許文献2】特開2004−45791号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
第1の従来の技術では、帯電装置のグリッド両端の開口率を大きくしている分、逆に帯電装置の両端から吹き込む気流の流入量も多くなるので、グリッド両端から帯電装置にトナーが流入することを防ぐことはできない。
【0012】
第2の従来の技術では、トナー吸引用風路では、帯電装置にトナーが流入することを防ぐことはできない。またトナー吸引用風路およびオゾン吸引用風路を設けることによって、装置が複雑かつ大掛かりになってしまう。
【0013】
本発明の目的は、上記の従来の問題点を解決して、帯電装置にトナーが流入してコロナ電極に付着することを防ぎ、感光体を均一に帯電させることができる帯電装置および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、感光体ドラムを含み電子写真方式で画像を形成する画像形成装置に、装着される帯電装置であって、
コロナ放電により前記感光体ドラム表面を帯電させるコロナ電極と、
前記コロナ電極に電圧を印加する第1の電源と、
一面が開放されていて、側面に開口部を有し、その内部に前記コロナ電極を収容しているシールドケースと、
前記シールドケースの開放されている開放面を覆い、前記感光体ドラム表面の帯電電位を制御するグリッド電極と、
前記グリッド電極に電圧を印加する第2の電源と、
を含むことを特徴とする帯電装置である。
【0015】
また本発明は、前記開口部が、前記感光体ドラムの回転方向の上流側の側面に設けられていることを特徴とする。
【0016】
また本発明は、前記感光体ドラムの非画像領域に臨む部分の側面に、前記開口部が設けられていることを特徴とする。
【0017】
また本発明は、電子写真方式により画像形成する画像形成装置であって、
表面に静電潜像を形成するための感光層を有する感光体ドラムと、
前記感光体ドラム表面を帯電させる帯電手段と、
前記感光体ドラム表面に画像情報に応じた静電潜像を形成する露光手段と、
前記感光体ドラム表面の前記静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成する現像手段と、
前記感光体ドラム表面の前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着手段とを含み、
帯電手段は、
前記帯電装置であることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、感光体ドラムを含み電子写真方式で画像を形成する画像形成装置に、装着される帯電装置は、コロナ放電により感光体ドラム表面を帯電させるコロナ電極と、コロナ電極に電圧を印加する第1の電源と、一面が開放されていて、側面に開口部を有し、その内部にコロナ電極を収容しているシールドケースと、シールドケースの開放されている開放面を覆い、感光体ドラム表面の帯電電位を制御するグリッド電極と、グリッド電極に電圧を印加する第2の電源とを含む。
【0019】
シールドケースの感光体ドラムに臨む面は、開放されているので、コロナ電極の放電と感光体ドラムの回転とに伴って発生する気流が、開放面からシールドケース内に流入する。この気流は、主に感光体ドラムの回転方向の上流側から下流側へと流れ、さらにコロナ電極の集塵効果によって感光体ドラム表面付近に浮遊しているトナーを帯電装置内に吸い上げてしまう。帯電装置内に吸い上げられたトナーは、コロナ電極に付着し、放電不良を引き起こす。画像形成装置の感光体ドラムは、帯電装置によって帯電されたあと、露光手段によって静電潜像が形成され、現像手段によって静電潜像にトナーが供給され、転写手段によってトナー像が記録媒体に転写され、定着手段によってトナー像が記録媒体に定着される。一部転写されずに感光体ドラム表面付近に浮遊しているトナーは、その後クリーニング手段によって感光体ドラム表面から除去される。このようにトナーは感光体ドラム表面に供給され、転写され、除去されるので、感光体ドラム表面に近づけば近づくほど、トナーの浮遊量は多い。
【0020】
そこでシールドケースの側面に開口部を設けて、シールドケースの開放面だけでなく、側面の開口部からも気流がシールドケース内に流入するようにする。開口部はシールドケースの開放面に比べて、感光体ドラム表面から離れているので、感光体ドラム表面により近い開放面からのみ気流が流入する場合と比較して、浮遊トナーの含有量が少ない清浄な気流が流入することになり、感光体ドラム表面付近に浮遊しているトナーの吸い上げを抑えることができる。
【0021】
感光体ドラム表面付近に浮遊しているトナーの吸い上げを抑えることによって、トナーがコロナ電極に付着することを防ぎ、放電を安定化させて、感光体ドラムに帯電むらが発生することを防ぎ、画像品質を向上させることができる。またコロナ電極が破損することを防ぐことができる。
【0022】
また本発明によれば、開口部が、感光体ドラムの回転方向の上流側の側面に設けられている。帯電装置の、感光体ドラムの回転方向の上流側には、クリーニング手段が設けられており、下流側には現像装置が設けられている。現像装置では、トナーが供給されているので、トナーの浮遊量は上流側よりも下流側の方が多い。よって上流側に気流が流入する開口部を設けることによって、浮遊トナーの含有量が少ない清浄な気流が流入することになり、トナーの吸い上げを抑えることができるので、トナーがコロナ電極に付着することを防ぎ、放電を安定化させて、感光体ドラムに帯電むらが発生することを防ぎ、画像品質を向上させることができる。またコロナ電極が破損することを防ぐことができる。
【0023】
また本発明によれば、感光体ドラムの非画像領域に臨む部分の側面に、開口部が設けられている。開口部付近では、気流の流入量が多いため帯電むらが発生するので、開口部を感光体ドラムの非画像領域に臨む部分に設ければ、画像への影響はないので、コロナ電極へのトナーの付着を防ぎつつ、画像品質を保持することが可能である。
【0024】
また本発明によれば、電子写真方式により画像形成する画像形成装置は、表面に静電潜像を形成するための感光層を有する感光体ドラムと、感光体ドラム表面を帯電させる帯電手段と、感光体ドラム表面に画像情報に応じた静電潜像を形成する露光手段と、感光体ドラム表面の静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成する現像手段と、感光体ドラム表面のトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、トナー像を記録媒体に定着させる定着手段とを含み、帯電手段は、上述の効果を奏するような帯電装置である。
【0025】
感光体ドラムは、表面に静電潜像を形成するための感光層を有し、帯電装置によって帯電されたあと、露光手段によって静電潜像が形成され、現像手段によって静電潜像にトナーが供給され、転写手段によってトナー像が記録媒体に転写され、定着手段によってトナー像が記録媒体に定着される。一部転写されずに感光体ドラム表面付近に浮遊しているトナーは、その後クリーニング手段によって感光体ドラム表面から除去される。上述の効果を奏するような帯電装置を用いることによって、それでも感光体ドラム表面付近に浮遊しているトナーが、帯電装置内に吸い上げられて、放電不良を引き起こすことを防ぐ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。以下の説明においては、各形態に先行する形態ですでに説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0027】
図1は、本発明の実施の一形態である画像形成装置Aの構成を示す断面図である。ここでは、画像形成装置Aとして、外部から入力された画像データあるいは原稿読取りにより得られた画像データに基づいて、シート(記録用紙)に多色あるいは単色の画像を形成するレーザプリンタを例に説明する。
【0028】
画像形成装置Aは、露光ユニット1、現像装置2(2a,2b,2c,2d)、感光体ドラム3(3a,3b,3c,3d)、帯電装置5(5a,5b,5c,5d)、クリーナユニット4(4a,4b,4c,4d)、中間転写ベルトユニット8、定着ユニット12、シート搬送路S、給紙カセット10および排紙トレイ15などを備えている。
【0029】
画像形成装置Aにおいて扱われるカラー画像の画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。したがって、現像装置2(2a,2b,2c,2d)、感光体ドラム3(3a,3b,3c,3d)、帯電装置5(5a,5b,5c,5d)、クリーナユニット4(4a,4b,4c,3d)は、各色に応じた4種類の静電潜像を形成するように、それぞれ4個ずつ設けられている。なお、上記a〜dの符号は、aがブラックに、bがシアンに、cがマゼンタに、dがイエローに対応し、これら符号にて区別された上記の各手段により、4つの画像ステーションが構成されている。
【0030】
画像ステーションにおいて、感光体ドラム3は、画像形成装置Aの上部側に配置されている。帯電装置5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるものである。この帯電装置5としては、チャージャー型のものが使用される。この帯電装置5の詳細については後述する。
【0031】
本実施形態では、露光ユニット1に、レーザ照射部および反射ミラーを備えた、レーザスキャニングユニット(LSU)を用いているが、これ以外に、発光素子をアレイ状に並べた例えばEL(Electro Luminescence)やLED(Light Emitting Diode)書込みヘッドを用いる手法もある。露光ユニット1は、帯電された感光体ドラム3を入力された画像データに応じて露光することにより、感光体ドラム3の表面に画像データに応じた静電潜像を形成する。
【0032】
現像装置2は、感光体ドラム3上に形成された静電潜像をK,C,M,Yのトナーにより顕像化するものである。クリーナユニット4は、現像および画像転写工程後に感光体ドラム3の表面に残留しているトナーを除去し、回収するものである。
【0033】
感光体ドラム3の上方には中間転写ベルトユニット8が配置されている。この中間転写ベルトユニット8は、中間転写ローラ6(6a,6b,6c,6d)、中間転写ベルト7、中間転写ベルト駆動ローラ71、中間転写ベルト従動ローラ72、中間転写ベルトテンション機構73、および中間転写ベルトクリーニングユニット9を備えている。
【0034】
中間転写ローラ6、中間転写ベルト駆動ローラ71、中間転写ベルト従動ローラ72、中間転写ベルトテンション機構73等は、中間転写ベルト7を張架し、矢符B方向に回転駆動させるものである。
【0035】
中間転写ローラ6は、中間転写ベルトユニット8の中間転写ベルトテンション機構73における中間転写ローラ取付部に回転可能に支持されている。この中間転写ローラ6は、感光体ドラム3のトナー像を中間転写ベルト7上に転写するための転写バイアスを与えるものである。
【0036】
中間転写ベルト7は、各感光体ドラム3に接触するように設けられている。中間転写ベルト7上には、感光体ドラム3に形成された各色のトナー像が順次重ねて転写されることにより、フルカラーのトナー像(多色トナー像)が形成される。この中間転写ベルト7は、厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。
【0037】
感光体ドラム3から中間転写ベルト7へのトナー像の転写は、中間転写ベルト7の裏側に接触している中間転写ローラ6によって行われる。中間転写ローラ6には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。中間転写ローラ6は、直径8〜10mmの金属(たとえばステンレス)軸をベースとして形成され、表面が導電性の弾性材(たとえばEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)、発泡ウレタン等)により覆われている。この導電性の弾性材により、中間転写ローラ6は中間転写ベルト7に対して均一に高電圧を印加することができる。本実施の形態では、転写電極としてローラ形状のもの(中間転写ローラ6)を使用しているが、これ以外にブラシなども用いることが可能である。
【0038】
上述のように感光体ドラム3上の静電潜像は各色相に応じたトナーにより顕像化されてそれぞれトナー像となり、これらトナー像は中間転写ベルト7上において積層される。このように、積層されたトナー像は中間転写ベルト7の回転によって、搬送されて来た用紙と中間転写ベルト7との接触位置に移動し、この位置に配置されている転写ローラ11によって用紙上に転写される。この場合、中間転写ベルト7と転写ローラ11は所定ニップで互いに圧接されるとともに、転写ローラ11にはトナー像を用紙に転写させるための電圧が印加される。この電圧は、トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧である。
【0039】
上記ニップを定常的に得るために、転写ローラ11もしくは中間転写ベルト駆動ローラ71の何れか一方は金属等の硬質材料からなり、他方は弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラまたは発泡性樹脂ローラ等)からなる。
【0040】
中間転写ベルト7と感光体ドラム3との接触により中間転写ベルト7に付着したトナー、および中間転写ベルト7から用紙へのトナー像の転写の際に転写されずに中間転写ベルト7上に残存したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となるために、中間転写ベルトクリーニングユニット9によって除去され回収される。中間転写ベルトクリーニングユニット9には、中間転写ベルト7に接触する例えばクリーニング部材としてクリーニングブレードが備えられている。このクリーニングブレードが接触する部分の中間転写ベルト7は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ72にて支持されている。
【0041】
給紙カセット10は、画像形成に使用するシート、例えば記録用紙を収納しておくためのものであり、画像形成部および露光ユニット1の下側に設けられている。一方、画像形成装置Aの上部に設けられている排紙トレイ15は、印刷済みのシートをフェイスダウンで載置するためのものである。
【0042】
また、画像形成装置Aには、給紙カセット10のシートおよび手差しトレイ20のシートを転写ローラ11や定着ユニット12を経由させて排紙トレイ15に送るためのシート搬送路Sが設けられている。このシート搬送路Sにおける給紙カセット10から排紙トレイ15までの部分には、ピックアップローラ16、レジストローラ14、転写ローラ11を備えた転写部、定着ユニット12および搬送ローラ25等が配されている。
【0043】
搬送ローラ25は、シートの搬送を促進・補助するための小型のローラであり、シート搬送路Sに沿って複数設けられている。ピックアップローラ16は、給紙カセット10の端部に備えられ、給紙カセット10からシートを1枚づつシート搬送路Sに供給する呼び込みローラである。レジストローラ14は、シート搬送路Sを搬送されているシートを一旦保持し、感光体ドラム3上のトナー像の先端とシートの先端とを合わせるタイミングでシートを転写部に搬送するものである。
【0044】
定着ユニット12は、ヒートローラ31および加圧ローラ32等を備え、これらヒートローラ31および加圧ローラ32はシートを挟んで回転する。ヒートローラ31は、所定の定着温度となるように制御部(不図示)によって制御される。この制御部は温度検出器(不図示)からの検出信号に基づいてヒートローラ31を制御する。ヒートローラ31は、加圧ローラ32とともにシートを熱圧着することにより、シートに転写されている各色トナー像を溶融・混合・圧接させ、シートに対して熱定着させる。なお、多色トナー像定着後のシートは、複数の搬送ローラ25によってシート搬送路Sの反転排紙経路に搬送され、反転された状態(多色トナー像を下側に向けた状態)にて、排紙トレイ15上に排出される。
【0045】
次に、各部での処理を含み、シート搬送路Sによるシート搬送動作について説明する。画像形成装置Aには、上記のように、予めシートを収納する給紙カセット10、および少数枚の印字を行う場合等に使用される手差しトレイ20が配置されている。これら両者には各々前記ピックアップローラ16(16−1,16−2)が配置され、これらピックアップローラ16はシートを1枚ずつシート搬送路Sに供給する。
【0046】
(片面印字の場合)
給紙カセット10から搬送されるシートは、シート搬送路S中の搬送ローラ25−1によってレジストローラ14まで搬送され、このレジストローラ14によりシートの先端と中間転写ベルト7上の積層されたトナー像の先端とを整合するタイミングで転写部に搬送される。転写部ではシート上にトナー像が転写され、このトナー像は定着ユニット12にてシート上に定着される。その後、シートは、搬送ローラ25−2を経て排紙ローラ25−3から排紙トレイ15上に排出される。
【0047】
また、手差しトレイ20から搬送されるシートは、複数の搬送ローラ25(25−6,25−5,25−4)によってレジストローラ14まで搬送される。それ以降は給紙カセット10から供給されるシートと同様の経過を経て排紙トレイ15に排出される。
【0048】
(両面印字の場合)
上記のようにして片面印字が終了し、定着ユニット12を通過したシートは、後端が排紙ローラ25−3にてチャックされる。次に、シートは、排紙ローラ25−3が逆回転することによって搬送ローラ25−7,25−8に導かれ、レジストローラ14を経て裏面印字が行われた後に、排紙トレイ15に排出される。
【0049】
図2は帯電装置5または60(以下「帯電装置5(60)」という)およびその周辺を模式的に表した側面図、図3は図2の帯電装置5の切断面線A−Aからみた断面図、図4は図2の帯電装置60の切断面線A−Aからみた断面図である。帯電装置5のコロナ電極は、1本のワイヤから、帯電装置60のコロナ電極は、2本のワイヤから構成されている。なお、図1に示す画像形成装置Aに備えられた4つの帯電装置(5a〜5d)は同じ構成であるので、以下では区別をせずに帯電装置5(60)として説明する。
【0050】
帯電装置5(60)は、コロナ放電方式の帯電装置であり、円筒状の感光体ドラム3の回転中心軸方向の長さとほぼ等しい長さを有し、感光体ドラム3に沿って設置されている。感光体ドラム3は、矢符57の方向に回転している。
【0051】
帯電装置5(60)は、コロナ放電により感光体ドラム3表面を帯電させるコロナ電極53と、コロナ電極53に電圧を印加する第1の電源(不図示)と、一面が開放されていて、側面に開口部56を有し、その内部にコロナ電極53を収容しているシールドケース51と、開放されている面を覆い、感光体ドラム3表面の帯電電位を制御するグリッド電極54と、グリッド電極54に電圧を印加する第2の電源(不図示)とを含んで構成される。
【0052】
コロナ電極53は、コロナ電極保持部材(不図示)によってシールドケース51に固定されている。コロナ電極53は、1本のワイヤ状に形成されたものであり、一般にタングステンやステンレススチールの細線が使われる。コロナ電極53は、シールドケース51の長手方向両端部に張設されて張力を与えられている。コロナ電極保持部材は絶縁性の部材であり、コロナ電極53とシールドケース51との間は電気的に絶縁されている。
【0053】
帯電装置60は、コロナ放電により感光体ドラム3表面を帯電させるコロナ電極53aおよび53bと、コロナ電極に電圧を印加する第1の電源(不図示)と、一面が開放されていて、側面に開口部56を有し、その内部にコロナ電極を収容しているシールドケース51と、開放されている面を覆い、感光体ドラム3表面の帯電電位を制御するグリッド電極54と、グリッド電極に電圧を印加する第2の電源(不図示)とを含んで構成される。
【0054】
コロナ電極53aおよび53bは、それぞれ1本のワイヤ状に形成されたものであり、シールドケース51の長手方向両端部に張設されて張力を与えられている。これら2本のコロナ電極53aおよび53bは、開放面からの高さが同じ位置に、適当な間隔をあけて張設されている。画像形成装置が高速機である場合、帯電性能を向上させるために、帯電装置60のように2本のコロナ電極53aおよび53bが設けられる。高速機では、帯電装置60内への気流の流入量がより多くなるので、帯電装置60に吸い上げられるトナー量も増加し、コロナ電極の損傷がより発生しやすいので、開口部56を設けることによって、その効果がより得られる。以下、コロナ電極53aおよび53bの構成は、コロナ電極53の構成と同様であるので、説明を略する。
【0055】
グリッド電極54は、電荷を発生させるコロナ電極53と感光体ドラム3との間に介在する網目状の電極である。グリッド電極54としては、ステンレス鋼、タングステンなどからなるワイヤグリッド電極、ステンレス鋼などからなる金属板(グリッド基材)に多数の貫通孔が形成された多孔性板状グリッド電極などが使用される。なお、多孔性板状グリット電極を製造するに際し、金属板に貫通孔を開けるのには、エッチングなどの方法が採用できる。エッチングにより作製される多孔性板状グリッド電極は、エッチンググリッドと呼ばれる。
【0056】
これらグリッド電極のうち、ワイヤグリッド電極にはトナーなどの汚染物質が付着し易く、汚染物質の付着により、感光体ドラム3表面の帯電電位を制御する機能が不十分になり、感光体ドラム3表面の帯電電位が不均一になるという解決すべき課題がある。
【0057】
一方、多孔性板状グリッド電極は、ワイヤグリッド電極に比べて相対的に大きな面積を有することから、感光体ドラム3表面の帯電電位を適正な範囲に制御でき、加えて、汚染物質が多少付着しても、帯電電位の制御性の低下が少ない。また、多孔性板状グリッド電極は、前述のように、ステンレス鋼などの鉄系金属材料によって形成されることから、高い耐久性を有し、長期間使用しても変形などの不都合を起こさず、変形などに伴う帯電電位の制御性の変化も非常に少ない。したがって、このような多孔性板状グリッド電極は、長期間にわたって、感光体ドラム3表面の帯電電位をほぼ一定に制御することができる筈である。しかしながら、多孔性板状グリッド電極の材料になるステンレス鋼などの鉄系金属材料は、通常は高い耐久性を有するものの、高湿環境下での水分、帯電動作時のコロナ放電により発生するオゾンなどによって酸化され易いという欠点を有する。多孔性板状グリッド電極を長期間にわたって使用する上では、高湿環境下での使用、オゾンとの接触などは避けることができない。このため、ステンレス鋼などの金属材料からなる多孔性板状グリッド電極では、空気中の水分、オゾンなどによって錆など腐蝕が発生し、窒素酸化物がその表面に付着することによって、その耐久性が低下する。それとともに、感光体ドラム3上での帯電電位の制御能力が不十分になり、感光体ドラム3表面の帯電電位が不均一になり、所望の帯電電位を常に安定して感光体ドラム3表面に付与できないという解決すべき課題がある。
【0058】
グリッド電極54は、グリッド電極保持部材(不図示)によってシールドケース51に固定されている。グリッド電極保持部材は絶縁性の部材であり、グリッド電極54とシールドケース51との間は電気的に絶縁されている。
【0059】
コロナ電極53には、第1DC(直流)電源(不図示)が接続されており、コロナ電極53にはアース電位に対して電位差Vc(Vc<0)が印加されている。また、グリッド電極54およびシールドケース51には、第2DC電源(不図示)が接続されており、グリッド電極54およびシールドケース51にはアース電位に対して電位差Vg(Vc<Vg<0)が印加されている。これにより、シールドケース51とコロナ電極53との間に電界が発生し、この電界により大気が電離してコロナ電極53の周辺に負電荷(マイナスイオン)が発生する。発生した負電荷は、グリッド電極54に引きつけられて広がりながら感光体ドラム3側へ移動し、グリッド電極54を通過したものが感光体ドラム3の表面に達する。
【0060】
感光体ドラム3の表面は、非露光時には半導電性を有し、露光時には導電性を有する部材から成っている。上記のようにして感光体ドラム3の表面に達した負電荷により感光体ドラム3の表面が初期化帯電され、所定の初期化帯電電位Voとなる。そして、初期化帯電された感光体ドラム3の表面が露光ユニット1によって露光されると、その部分(明部)が導電性を有するようになり、負電荷がアースに移動する。負電荷が移動した部分は電位が正極性側に変化し、明部電位Veとなる。感光体ドラム3の表面における負電荷が存在する部分と存在しない部分、つまり初期化帯電電位Voの部分と明部電位Veの部分とにより静電潜像が形成される。
【0061】
シールドケース51の感光体ドラム3に臨む面は、開放されているので、コロナ電極53の放電と、感光体ドラム3の回転とに伴って発生する気流が、開放面からシールドケース51内に流入する。この気流は、感光体ドラム3の回転方向の上流側から下流側へと流れ、感光体ドラム3表面付近に浮遊しているトナーを帯電装置5(60)内に吸い上げてしまう。また帯電装置5(60)内のコロナ電極53には、集塵作用が働くので、帯電装置5(60)内に吸い上げられたトナーは、コロナ電極53に付着し、放電不良を引き起こす。画像形成装置の感光体ドラム3は、帯電装置5(60)によって帯電されたあと、露光ユニット1によって静電潜像が形成され、現像装置2によって静電潜像にトナーが供給され、転写ローラ11によってトナー像が記録媒体に転写され、定着ユニット12によってトナー像が記録媒体に定着される。一部転写されずに感光体ドラム3表面付近に浮遊しているトナーは、その後クリーニングユニット4によって感光体ドラム3表面から除去される。このようにトナーは感光体ドラム3表面に供給され、転写され、除去されるので、感光体ドラム3表面に近づけば近づくほど、トナーの浮遊量は多い。
【0062】
そこでシールドケース51の側面に開口部56を設けて、シールドケース51の開放面だけでなく、側面の開口部56からも気流がシールドケース51内に流入するようにする。開口部56はシールドケース51の開放面に比べて、感光体ドラム3表面から離れているので、開放面からのみ気流が流入する場合と比較して、浮遊トナーの含有量が少ない清浄な気流が流入することになり、感光体ドラム表面付近に浮遊しているトナーの吸い上げを抑えることができる。
【0063】
感光体ドラム表面付近に浮遊しているトナーの吸い上げを抑えることによって、トナーがコロナ電極53に付着することを防ぎ、放電を安定化させて、感光体ドラム3に帯電むらが発生することを防ぎ、画像品質を向上させることができる。またコロナ電極53が破損することを防ぐことができる。このような気体流は、以下に示すような開口部56によって実現することが可能となる。
【0064】
開口部56は、感光体ドラム3の回転方向の上流側の側面に設けられている。帯電装置5(60)の、感光体ドラム3の回転方向の上流側には、クリーニングユニットが設けられており、下流側には現像装置が設けられている。現像装置では、トナーが供給されているので、トナーの浮遊量は上流側よりも下流側の方が多い。よって上流側に気流が流入する開口部56を設けることによって、浮遊トナーの含有量が少ない清浄な気流が流入することになり、トナーの吸い上げを抑えることができるので、トナーがコロナ電極53に付着することを防ぎ、放電を安定化させて、感光体ドラム3に帯電むらが発生することを防ぎ、画像品質を向上させることができる。またコロナ電極53が破損することを防ぐことができる。
【0065】
感光体ドラム3の非画像領域に臨む部分の側面に、開口部56が設けられている。開口部56付近では、気流の流入量が多いため帯電むらが発生するので、開口部56を感光体ドラム3の非画像領域に臨む部分に設ければ、画像への影響はないので、コロナ電極53へのトナーの付着を防ぎつつ、画像品質を保持することが可能である。
【0066】
開口部56の形状は、帯電装置5(60)においては、長方形としたが、正方形、円形、楕円形など、いずれの形状としても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施の一形態である画像形成装置Aの構成を示す断面図である。
【図2】帯電装置5(60)およびその周辺を模式的に示す側面図である。
【図3】図2の帯電装置5の切断面線A−Aからみた断面図である。
【図4】図2の帯電装置60の切断面線A−Aからみた断面図である。
【図5】従来の帯電装置100およびその周辺を模式的に示す側面図である。
【図6】図5の切断面線B−Bからみた断面図である。
【符号の説明】
【0068】
A 画像形成装置
S シート搬送路
B,57 矢符
1 露光ユニット
2,2a,2b,2c,2d 現像装置
3,3a,3b,3c,3d 感光体ドラム
4,4a,4b,4c,4d クリーナユニット
5,5a,5b,5c,5d,60 帯電装置
6,6a,6b,6c,6d 中間転写ローラ
7 中間転写ベルト
8 中間転写ベルトユニット
9 中間転写ベルトクリーニングユニット
10 給紙カセット
11 転写ローラ
12 定着ユニット
14 レジストローラ
15 排紙トレイ
16,16−1,16−2 ピックアップローラ
20 手差しトレイ
25,25−1,25−2,25−3,25−4,25−5,25−6,25−7,25−8 搬送ローラ
31 ヒートローラ
32 加圧ローラ
51 シールドケース
53,53a,53b コロナ電極
54 グリッド電極
56 開口部
71 中間転写ベルト駆動ローラ
72 中間転写ベルト従動ローラ
73 中間転写ベルトテンション機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体ドラムを含み電子写真方式で画像を形成する画像形成装置に、装着される帯電装置であって、
コロナ放電により前記感光体ドラム表面を帯電させるコロナ電極と、
前記コロナ電極に電圧を印加する第1の電源と、
一面が開放されていて、側面に開口部を有し、その内部に前記コロナ電極を収容しているシールドケースと、
前記シールドケースの開放されている開放面を覆い、前記感光体ドラム表面の帯電電位を制御するグリッド電極と、
前記グリッド電極に電圧を印加する第2の電源と、
を含むことを特徴とする帯電装置。
【請求項2】
前記開口部が、前記感光体ドラムの回転方向の上流側の側面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の帯電装置。
【請求項3】
前記感光体ドラムの非画像領域に臨む部分の側面に、前記開口部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の帯電装置。
【請求項4】
電子写真方式により画像形成する画像形成装置であって、
表面に静電潜像を形成するための感光層を有する感光体ドラムと、
前記感光体ドラム表面を帯電させる帯電手段と、
前記感光体ドラム表面に画像情報に応じた静電潜像を形成する露光手段と、
前記感光体ドラム表面の前記静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成する現像手段と、
前記感光体ドラム表面の前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着手段とを含み、
帯電手段は、
請求項1〜3のいずれか1つに記載の帯電装置であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−257144(P2008−257144A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−102117(P2007−102117)
【出願日】平成19年4月9日(2007.4.9)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】