説明

帯電装置及びこれを備えた画像形成装置

【課題】像保持体の軸方向の表面電位ムラを経年的に安定して抑制することができる帯電装置及びこれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】その表面に静電潜像が形成される像保持体15に接触して配置され、当該像保持体15を帯電する帯電ロール16Rと、帯電ロール16Rに接触して配置され、当該帯電ロール16Rの表面に電圧を印加する給電部材160と、像保持体15の軸方向の表面電位が略一定となるように、帯電ロール16Rと像保持体15との接触領域において、対向する帯電ロール16Rの軸方向の表面電位を、像保持体15の摩耗状況を加味して画像形成枚数に応じて変更する対向電位変更手段とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電装置及びこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式などの複写機やプリンタ等の画像形成装置にあっては、感光ドラム等の像保持体上に静電潜像を書き込むために像保持体を予め帯電する帯電装置が用いられている。この種の帯電装置として、近年では、オゾンの排出抑制、装置の小型化、高圧電源コストの低減等を図るために、従来のスコロトロン等の非接触型帯電装置に替えて、像保持体に接触配置される接触帯電方式の帯電装置が知られている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0003】
ここで、特許文献1には、絶縁樹脂製の基部上に半導電層を形成した帯電ロールの軸部に電圧を印加して、感光ドラムを帯電する接触式の帯電装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、接触式の帯電ロールに掻き取り部材を設けて帯電ロール表面の転写残トナーをクリーニングする帯電装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、ロールブラシを帯電ロール及び感光ドラムの双方に接触させ、感光ドラム上の異物を分散、浮上、吸着させて、帯電ロールに付着した異物をロールブラシで除去する帯電装置が開示されている。
【0006】
また、特許文献4には、帯電ロールと感光ドラムとの双方に接触する補助ロールを設け、帯電ロールと補助ロールとの摩擦抵抗を、感光ドラムと補助ロールの摩擦抵抗よりも大きくした帯電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−181187号公報
【特許文献2】特開2000−181199号公報
【特許文献3】特開平9−244499号公報
【特許文献4】特開平6−208281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的とするところは、像保持体の軸方向の表面電位ムラを経年的に安定して抑制することができる帯電装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の帯電装置は、その表面に静電潜像が形成される像保持体に接触して配置され、当該像保持体を帯電する帯電ロールと、前記帯電ロールに接触して配置され、当該帯電ロールの表面に電圧を印加する給電部材と、前記像保持体の軸方向の表面電位が略一定となるように、前記帯電ロールと像保持体との接触領域において、対向する前記帯電ロールの軸方向の表面電位を、前記像保持体の摩耗状況を加味して画像形成枚数に応じて変更する対向電位変更手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項2に記載の帯電装置は、請求項1に記載の構成において、前記対向電位変更手段は、前記像保持体表面の軸方向の摩耗状況に基づき、像保持体の定常摩耗領域に対向する帯電ロールの表面電位よりも、像保持体の偏摩耗領域に対向する帯電ロールの表面電位を低減させることを特徴とするものである。
【0011】
請求項3に記載の帯電装置は、その表面に静電潜像が形成される像保持体に接触して配置され、当該像保持体を帯電する帯電ロールと、前記帯電ロールに接触して配置され、当該帯電ロールの表面に電圧を印加する給電部材とを備え、前記給電部材は、前記像保持体の定常摩耗領域に対向する帯電ロールの表面に電圧を印加する定常摩耗領域給電部と、前記像保持体の偏摩耗領域に対向する帯電ロールの表面に電圧を印加する偏摩耗領域給電部とに軸方向に分割されており、前記定常摩耗領域給電部又は偏摩耗領域給電部のいずれか一方を、画像形成枚数に応じて、帯電ロールの表面に沿って移動させることを特徴とするものである。
【0012】
請求項4に記載の帯電装置は、請求項3に記載の構成において、前記定常摩耗領域給電部及び偏摩耗領域給電部はいずれも、その先端に導電性のブラシ毛を有するブラシ部材として形成されており、前記定常摩耗領域給電部又は偏摩耗領域給電部のいずれか一方は、画像形成枚数の増大に伴い、帯電ロールの回転方向下流側から上流側に移動するように構成されていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項5に記載の帯電装置は、請求項4に記載の構成において、前記偏摩耗領域給電部は、軸方向両端部の可動ブラシ部として構成されていると共に、前記定常摩耗領域給電部は、軸方向中央部の固定ブラシ部として構成されており、前記軸方向両端部の可動ブラシ部は、画像形成枚数の増大に応じて、帯電ロールと像保持体との接触領域から帯電ロールの回転方向に沿って上流側に移動するように構成されていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項6に記載の帯電装置は、請求項1又は2に記載の構成において、前記給電部材は、その先端に導電性のブラシ毛を有するブラシ部材として形成されていると共に、前記帯電ロールの周方向に沿って複数配設されており、かつ、各給電部材のブラシ毛の長さは、帯電ロールと像保持体との接触領域から離れて配置された給電部材ほど、前記偏摩耗領域に対応するブラシ毛の長さに対する前記定常摩耗領域に対応するブラシ毛の長さが増大するように形成されており、前記対向電位変更手段は、画像形成枚数の増大に伴って、前記複数の給電部材を帯電ロールの回転方向下流側から上流側に順次切り替えていくことにより構成されていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項7に記載の帯電装置は、請求項請求項1ないし3のいずれかに記載の構成において、前記給電部材は、導電性フィルムであることを特徴とするものである。
【0016】
請求項8に記載の帯電装置は、請求項1ないし7のいずれかに記載の構成において、前記給電部材には直流電圧が印加されることを特徴とするものである。
【0017】
請求項9に記載の帯電装置は、請求項8に記載の構成において、前記給電部材には単一の電源より電圧が印加されることを特徴とするものである。
【0018】
請求項10に記載の帯電装置は、請求項1ないし9のいずれかに記載の構成において、前記帯電ロールに接触して配置され、回転軸周りにスポンジをスパイラル状に巻き回して形成したクリーニングロールをさらに備え、前記クリーニングロールは、前記給電部材よりも帯電ロールの回転方向上流側に配置されていることを特徴とするものである。
【0019】
請求項11に記載の画像形成装置は、請求項1ないし10のいずれかに記載の帯電装置を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、使用に伴う像保持体の軸方向の表面電位のバラツキ(電位ムラ)を経年的に安定して抑制することができる。
【0021】
請求項2に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、像保持体の軸方向の電位ムラを経年的に安定して抑制することができる。
【0022】
請求項3に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、像保持体の軸方向の電位ムラを経年的に安定して抑制する対向電位変更手段を簡易な構成で実現することができる。
【0023】
請求項4に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、ブラシ部材と帯電ロールとの接触に伴うブラシ毛の絡まりによる硬化を防止し、ブラシ毛による帯電ロール表面への傷等のダメージを未然に防止することができる。
【0024】
請求項5に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、偏摩耗が生じ易い軸方向両端部の軸方向の表面電位の変動を経年的に安定して抑制することができる。
【0025】
請求項6に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、像保持体の軸方向の電位ムラを経年的に安定して抑制すると共に、所定の画像形成枚数毎に新たな給電部材に切り替えて、汚損に伴う帯電性能の劣化を未然に防止することができる。
【0026】
請求項7に記載の発明によれば、ブラシ部材を用いる構成に比し、ブラシ毛の硬化による帯電ロール表面への傷等のダメージを未然に防止することができる。
【0027】
請求項8に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、感光ドラムの膜厚変化に対して、その表面電位が顕著に変化する直流帯電方式の帯電装置により好適に適用することができる。
【0028】
請求項9に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、コストダウンや電圧制御の簡素化を図ることができる。
【0029】
請求項10に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、スパイラル状のクリーニングロールによる帯電ムラの発生を未然に防止することができる。
【0030】
請求項11に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、本発明に係る帯電装置を画像形成装置に好適に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施の形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る帯電装置の構成を説明するための模式図である。
【図3】本発明に係るロールクリーナーの構成を説明するための模式図である。
【図4】実施の形態1に係る帯電装置の構成を説明するための模式図である。
【図5】実施の形態1に係る帯電装置の動作を説明するための模式図である。
【図6】実施の形態1に係る帯電装置の変形例を説明するための模式図である。
【図7】実施の形態1に係る給電部材の移動方向を説明するための模式図である。
【図8】画像形成枚数に応じた感光ドラムの膜厚変化を、本発明に係る画像形成装置と従来構成の画像形成装置とで比較検証した結果を示す図である。
【図9】画像形成枚数に応じた感光ドラムの軸方向の表面電位の変化を、本発明に係る画像形成装置と従来構成の画像形成装置とで比較検証した結果を示す図である。
【図10】実施の形態2に係る帯電装置の構成を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0033】
まず、本発明が適用可能な画像形成装置の構成について図1を参照して説明する。ここで、図1は、本発明が適用可能な画像形成装置の一例としてのタンデム型のデジタルカラー複写機を示す構成図である。なお、このタンデム型のカラー電子写真複写機は、画像読取装置を備えているが、かかる画像読取装置を備えずに、不図示のパーソナルコンピュータ等から出力される画像データに基づいて画像を形成するカラープリンターやファクシミリ等であってもよい。
【0034】
図1において、符号1は本発明が適用可能な画像形成装置の一例としてのタンデム型のデジタルカラー複写機の本体を示すものであり、本体1の上部に、原稿2を一枚ずつ分離した状態で自動的に搬送する自動原稿搬送装置3と、当該自動原稿搬送装置3によって搬送される原稿2の画像を読み取る原稿読取装置4が配置されている。この原稿読取装置4は、プラテンガラス5上に載置された原稿2を光源6によって照明し、原稿2からの反射光像を、フルレートミラー7及びハーフレートミラー8,9及び結像レンズ10からなる縮小光学系を介してCCD等からなる画像読取素子11上に走査露光して、この画像読取素子11によって原稿2の色材反射光像を予め定められたドット密度(例えば、16ドット/mm)で読み取るようになっている。
【0035】
上記原稿読取装置4によって読み取られた原稿2の色材反射光像は、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)(各8bit)の3色の原稿反射率データとして画像処理装置12に送られ、この画像処理装置12では、原稿2の反射率データに対して、シェーデイング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消し、色/移動編集等の画像処理が施される。また、画像処理装置12は、パーソナルコンピュータ等から送られてくる画像データに対しても、予め定められた画像処理を行なうようになっている。
【0036】
そして、上記の如く画像処理装置12で予め定められた画像処理が施された画像データは、同じく画像処理装置12によって、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)(各8ビット)の4色の原稿再現色材階調データに変換され、次に述べるように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kの露光装置14に送られ、この露光装置14では、各色の原稿再現色材階調データに応じてレーザ光LBによる画像露光が行われる。
【0037】
上記タンデム型のデジタルカラー複写機本体1の内部には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kが、水平方向に一定の間隔をおいて並列的に配置されている。
【0038】
これらの4つの画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kは、すべて同様に構成されており、大別して、予め定められた速度で回転駆動される像保持体としての感光ドラム15と、この感光ドラム15の表面を一様に帯電する一次帯電用の帯電装置16と、当該感光ドラム15の表面に各色に対応した画像を露光して静電潜像を形成する走査光学系よりなる露光装置14と、感光ドラム15上に形成された静電潜像を各色のトナーで現像する現像装置17と、感光ドラム15の表面を清掃するドラムクリーニング装置18等とから構成されている。
【0039】
上記露光装置14は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kに共通に構成されており、図示しない4つの半導体レーザを各色の原稿再現色材階調データに応じて変調して、これらの半導体レーザからレーザ光LB−Y,LB−M,LB−C,LB−Kを階調データに応じて出射するように構成されている。なお、上記露光装置14は、複数の画像形成ユニット毎に個別に構成しても勿論よい。上記半導体レーザから出射されたレーザ光LB−Y,LB−M,LB−C,LB−Kは、図示しないf−θレンズを介して回転多面鏡19に照射され、この回転多面鏡19によって偏向走査される。上記回転多面鏡19によって偏向走査されたレーザ光LB−Y,LB−M,LB−C,LB−Kは、図示しない複数枚の反射ミラーを介して感光ドラム15上に、斜め下方から走査露光される。
【0040】
本実施の形態に係る露光装置14は、その周囲が直方体状のフレーム20によって密閉されていると共に、当該フレーム20の上部には、4本のレーザ光LB−Y,LB−M,LB−C,LB−Kを、各画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kの感光ドラム15Y,15M,15C,15K上に露光するため、シールド部材としての透明なガラス製のウインドウ21Y,21M,21C,21Kが設けられている。これらのガラス製のウインドウ21Y,21M,21C,21Kは、露光装置14のレーザ光LBに沿った光路上において、最も上方に位置する部材となっている。
【0041】
上記感光ドラム15は、導電性の金属製円筒体の表面(外周面)に電荷発生層、電荷輸送層といった機能層(感光層)が積層された構成を有しており、不図示の駆動手段によって矢印方向(本例では、図1において反時計回り方向)に沿って所定の速度で回転駆動されるようになっている。
【0042】
また、本実施の形態に係る帯電装置16は、不図示のケーシングの内部に帯電ロール16Rを備え、この帯電ロール16Rが、感光ドラム15の表面と接触して感光ドラム15の表面を予め定められた電位に帯電する、いわゆる接触型の帯電装置となっている。なお、本実施の形態に係る帯電ロール16Rは、軸方向両端部に設けられたバネ等の不図示の弾性部材により、予め定められた圧接力にて感光ドラム15側に圧接されている。
【0043】
また、本実施の形態において、中間転写ベルト25の上方には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の現像装置17Y,17M,17C,17Kに、予め定められた色の現像剤(主としてトナー若しくはキャリアを含んだトナー)を供給するトナーカートリッジ50Y,50M,50C,50Kが配置されている。
【0044】
そして、4つの画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kでは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像が予め定められたタイミングで順次形成されるように構成されている。上記各色の画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kは、上述したように、感光ドラム15Y,15M,15C,15Kを備えており、これらの感光ドラム15Y,15M,15C,15Kの表面は、一次帯電用の帯電装置16Y,16M,16C,16Kによって一様に帯電される。その後、上記感光ドラム15Y,15M,15C,15Kの表面は、露光装置14から画像データに応じて出射される画像形成用のレーザ光LB−Y,LB−M,LB−C,LB−Kにより走査露光されて、各色に対応した静電潜像が形成される。上記感光ドラム15Y,15M,15C,15K上に走査露光されるレーザ光LB−Y,LB−M,LB−C,LB−Kは、当該感光ドラム15Y,15M,15C,15Kの直下よりやや右側寄りの斜め下方から、予め定められた傾斜角度で露光されるように設定されている。上記感光ドラム15Y,15M,15C,15K上に形成された静電潜像は、各画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kの現像装置17Y,17M,17C,17Kによって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の可視トナー像として現像される。
【0045】
上記各画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kの感光ドラム15Y,15M,15C,15K上に、順次形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、各画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kの上方に渡って配置された中間転写ベルト25上に、一次転写ロール26Y,26M,26C,26Kによって順次多重に転写される。この中間転写ベルト25は、ドライブロール27と、バックアップロール28との間に一定のテンションで掛け回されており、図示しない定速性に優れた専用の駆動モータによって回転駆動されるドライブロール27により、矢印方向に予め定められた速度で循環駆動されるようになっている。上記中間転写ベルト25としては、例えば、可撓性を有するPET等の合成樹脂フィルムを帯状に形成し、この帯状に形成された合成樹脂フィルムの両端を溶着等の手段によって接続することにより、無端ベルト状に形成したものが用いられる。
【0046】
上記中間転写ベルト25上に多重に転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、バックアップロール28に圧接する二次転写ロール29によって、圧接力及び静電気力で記録用紙P上に二次転写され、これらの各色のトナー像が転写された記録用紙Pは、上方に位置する定着装置30へと搬送される。上記二次転写ロール29は、バックアップロール28の側方に圧接しており、下方から上方に搬送される記録用紙P上に、各色のトナー像を二次転写するようになっている。そして、上記各色のトナー像が転写された記録用紙Pは、定着装置30によって熱及び圧力で定着処理を受けた後、排出ロール32によって本体1の上部に設けられた排出トレイ33上に排出される。
【0047】
上記記録用紙Pは、給紙カセット34から予め定められたサイズのものが、給紙ローラ35及び用紙分離搬送用のローラ対36により用紙搬送路37を介して、レジストロール38まで一旦搬送され、停止される。上記給紙カセット34から供給された記録用紙Pは、予め定められたタイミングで回転するレジストロール38によって中間転写ベルト25の二次転写位置へ送出される。
【0048】
なお、上記デジタルカラー複写機1において、フルカラー等の両面コピーをとる場合には、片面に画像が定着された記録用紙Pを、排出ロール32によって排出トレイ33上にそのまま排出せずに、図示しない切替ゲートによって搬送方向を切り替え、用紙搬送用のローラ対39を介して両面用搬送ユニット40へと搬送する。そして、この両面用搬送ユニット40では、搬送径路41に沿って設けられた図示しない搬送用のローラ対により、記録用紙Pの表裏が反転された状態で、再度レジストロール38へと搬送され、今度は、当該記録用紙Pの裏面に画像が転写・定着された後、排出トレイ33上に排出される。
【0049】
また、トナー像の転写工程が終了した後の感光ドラム15Y,15M,15C,15Kの表面は、ドラムクリーニング装置18Y,18M,18C,18Kによって残留トナーや紙粉等が除去されて、次の画像形成プロセスに備える。
【0050】
さらに、トナー像の転写工程が終了した後の中間転写ベルト25の表面は、ベルトクリーニング装置43によって残留トナーや紙粉等が除去されて、次の画像形成プロセスに備える。上記ベルトクリーニング装置43は、クリーニングブラシ43a及びクリーニングブレード43bを備えており、これらのクリーニングブラシ43a及びブレード43bによって、中間転写ベルト25上の残留トナーや紙粉等を除去するようになっている。
【0051】
ところで、一般に、感光ドラム15は、その表面に接触配置された帯電ロール16R等の接触部材の影響により、軸方向の摩耗状況(表面膜厚の減少状況)が経年的に異なってしまう。
【0052】
例えば、ドラムクリーニング装置18や、帯電ロール16Rといった感光ドラム15表面に接触配置される接触部材は、通常、バネ等の弾性部材やネジ等の固定部材を軸方向両端部に設けて、かかる弾性部材等を介して接触部材を感光ドラム15側に押圧することにより予め定められた圧接力を確保しているため、圧接力が直接的に付与される軸方向両端部領域の摩耗が他の領域に比し経年的に促進される(表面膜厚が減少する)傾向がある。
【0053】
すなわち、感光ドラム15の表面膜厚(感光層の膜厚)は、画像形成に伴って略一定の割合で定常的に摩耗減少していく領域(以下、定常摩耗領域と称し、本例では、両端部領域を除いた中央部領域)Rcと、この定常摩耗領域Rcに比し、経年的に摩耗が促進されて膜厚が局所的に減少していく領域(以下、偏摩耗領域と称し、本例では、軸方向両端部領域)Reとが不可避的に発生してしまう。そして、膜厚が減少すると帯電装置16にて感光ドラム15を帯電する際の放電量が増大し感光ドラム15の表面に対する放電によるストレスが増大するため、さらに摩耗し易くなり、上記偏摩耗領域Reでの摩耗が促進され(膜厚が加速的に減少し)、軸方向に大きな膜厚ムラが生じる。このとき、直流印加型の接触帯電装置では、感光ドラム15の軸方向の表面電位にバラツキ(電位ムラ)が生じ、濃度ムラ等の画像欠陥の発生要因となることが本発明者の研究により判明した。
【0054】
そこで、本発明に係る帯電装置16では、上述した感光ドラム15の摩耗領域を加味して、対向する(対応する)帯電ロール16Rの表面電位を画像形成枚数に応じて変更する以下のような対向電位変更手段を設けた。
<実施の形態1>
【0055】
以下に、本発明に係る帯電装置の各種構成について、実施の形態として図面を参照して説明する。ここで、図2は、本発明に係る帯電装置16の構成を説明するための模式図である。なお、各画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kにおける帯電装置16Y,16M,16C,16Kは、全て同様な構成であるため、以下簡単のため、各構成部材は総称表記(例えば、帯電装置16)とする。
【0056】
図2に示すように、本発明に係る帯電装置16は、感光ドラム15の表面に接触し配置された帯電ロール16Rと、その先端が帯電ロール16Rの表面に接触して、帯電ロール16Rに予め定められた直流電圧を印加する給電部材としての給電ブラシ160と、給電ブラシ160の上流側(帯電ロール16Rの回転方向上流側)にて、帯電ロール16Rの表面に接触配置されたロールクリーナー180とを備えている。
【0057】
なお、本発明に係る帯電ロール16R及びロールクリーナー180はいずれも、感光ドラム15の回転に連れ回りする(従動回転する)ようになっている。
【0058】
本実施の形態において、帯電ロール16Rは、感光ドラム15の軸方向に渡って設けられ、回転可能に形成された支持軸16Raの周りに半導電性の表面層16Rsが形成されており、この表面層16Rsに電圧を印加して感光ドラム15とのニップ部N近傍の微小空隙(エアギャップ)にて放電を発生させることにより感光ドラム15を所定の電位に帯電させるようになっている。
【0059】
また、本実施の形態に係るロールクリーナー180は、図3に模式的に示すように、帯電ロール16Rの軸方向に渡って設けられ、回転可能に形成された支持軸180aの周囲(表面)にクリーニング部材としてスポンジ等の弾性部材180sを螺旋状に巻き付けたものであり、このようなスパイラル状のクリーニング部材180sを用いることにより、帯電ロール16Rの表面に付着した汚れを部分的に偏らせることなく軸方向に分散移動させながら除去し、クリーニング性能の向上を図ることができる。
【0060】
ただし、このようなスパイラル状のクリーニング部材180sを採用した場合には、帯電ロール16Rをスパイラル状に摩擦帯電させて、帯電ムラの要因となる虞が生じるため、かかるロールクリーナー180は、帯電ロール16Rの回転方向に沿って給電ブラシ160の上流側に配置することが好ましい。
【0061】
本実施の形態において、給電ブラシ160は、図4に最も良く示されるように、単一の直流電源DCに接続され、先端に帯電ロール16Rの表面と接触する導電性のブラシ毛161を有するブラシ部材であり、感光ドラム15の定常摩耗領域Rcに対応する帯電ロール16Rの表面に電圧を印加する中央ブラシ部(定常摩耗領域給電部)160Rcと、感光ドラム15の偏摩耗領域Reに対応する帯電ロール16Rの表面に電圧を印加する両端ブラシ部(偏摩耗領域給電部)160Reとに軸方向に分割して構成されている。さらに、定常摩耗領域給電部としての中央ブラシ部160Rcは、帯電ロール16Rに対する相対位置が固定された固定ブラシ部として構成されているのに対し、偏摩耗領域給電部としての両端ブラシ部160Reは、帯電ロール16Rの表面に沿って移動可能に形成された可動ブラシ部として構成されている。そして、かかる可動ブラシ部160Reを、画像形成枚数に応じて帯電ロール16Rの周面に沿って接触しながら移動させることにより、本実施の形態に係る対向電位変更手段が構成されている。
【0062】
このように構成した本実施の形態に係る帯電装置16では、図5(a)に模式的に示すように、初期状態においては、中央ブラシ部160Rc及び両端ブラシ部160Reは、帯電ロール16Rと感光ドラム15との接触部(ニップ部)N近傍に配置されている。この状態では、感光ドラム15と帯電ロール16Rとのニップ部Nまでの距離(帯電ロール16Rの表面に沿った距離)は、中央ブラシ部160Rcと両端ブラシ部160Reとで同等なので、ニップ部N近傍での帯電ロール16Rの表面電位は、中央部(定常摩耗領域Rc)と両端部(偏摩耗領域Re)とで等しくなる。
【0063】
その後、画像形成枚数の増大に伴って経年的に感光ドラム15の感光層が摩耗(表面膜厚が減少)していくと、図5(b)〜図5(d)に模式的に示すように、偏摩耗領域Reに対応する両端ブラシ部(可動ブラシ部)160Reが、帯電ロール16Rの回転方向上流側に移動するようになっている。具体的には、画像形成枚数が増大するに伴って、対向電位変更手段を構成する両端ブラシ部160Reが、ニップ部Nから遠ざかるように移動していくよう構成されている。この状態では、感光ドラム15と帯電ロール16Rとのニップ部Nまでの距離(帯電ロール16Rの表面に沿った距離)は、中央ブラシ部160Rcに比し両端ブラシ部160Reの方が長くなるので、当該両端ブラシ部160Reによりニップ部N近傍に印加される電圧の電圧降下が大きくなり、ニップ部N近傍での帯電ロール16Rの表面電位は、中央部(定常摩耗領域Rc)よりも両端部(偏摩耗領域Re)の方が小さくなる。すなわち、帯電ロール16Rと感光ドラム15との接触領域(ニップ部Nの近傍領域)において、対向する帯電ロール16Rの表面電位は、両端ブラシ部160Reがニップ部Nより遠ざかるほど(両端ブラシ部160Reと帯電ロール16Rとの接触部と、感光ドラム15のニップ部Nとの周面に沿った距離が長くなるほど)電圧降下の影響により低下することとなる。
【0064】
一方、感光ドラム15の膜厚(感光層の厚さ)は、偏摩耗領域(本例では、両端部領域)Reの方が定常摩耗領域Rcよりも減っているため、当該膜厚とエアギャップ(ニップ部N近傍の微小空隙)長との比率が軸方向で変化し、このエアギャップにかかる電界は、両端部領域Reの方が大きくなる。しかしこの分、対応する帯電ロール16Rの表面電位が低下するように、両端ブラシ部160Reがニップ部Nから遠ざかるよう移動しているので、結果として、定常摩耗領域(本例では、中央部領域)Rcと略同等の電界を形成することとなる。
【0065】
なお、定常摩耗に起因する電界の増大に関しては、給電部材160に印加する電源電圧を経年的に逓減(徐々に低減)させることにより、定常摩耗領域Rcにおける感光ドラム15の表面電位を略一定に維持するようになっている。すなわち、本実施の形態に係る帯電装置においては、画像形成枚数の増大に伴って、電源電圧を逓減させることにより、定常摩耗領域Rcにおける感光ドラム15の表面電位を略一定に維持すると共に、対向電位変更手段により偏摩耗領域Reに対向する(対応する)帯電ロール16Rの表面電位を定常摩耗領域Rcに対向する(対応する)帯電ロール16Rの表面電位よりも相対的にさらに低減させることにより、感光ドラム15の軸方向の表面電位のバラツキ(電位ムラ)を経年的に安定して抑制するようになっている。
【0066】
なお、本実施の形態では、両端ブラシ部160Reを可動ブラシ部として構成したが、本発明はこのような形態に限定されるものではなく、摩耗状況を加味した画像形成枚数に応じて、感光ドラム15の軸方向の表面電位のバラツキが抑制されるように可動ブラシ部を構成すればよい。
【0067】
例えば、本実施の形態に係る帯電装置16の変形例としては、図6に模式的に示すように、初期状態におけるブラシ部材160の位置を、ニップ部Nから遠い位置に設定(図6(a)参照)すると共に、中央ブラシ部160Rcを可動ブラシ部として構成し、画像形成枚数の増大に応じて、中央ブラシ部160Rcをニップ部Nに近接させるように構成(図6(b)参照)してもよい。このように構成した場合には、対向電位変更手段を構成する中央ブラシ部160Rcを、画像形成枚数に応じてニップ部Nに接近するよう移動させることにより、両端ブラシ部160Reにより印加される帯電ロール16Rの電位に比し、中央ブラシ部160Rcにより印加される帯電ロール16Rの電位が相対的に増大し、偏摩耗領域Reにおいて増大した両端部電界と同等な電界を定常摩耗領域Rcに形成することができる。
【0068】
ただし、給電ブラシ(可動ブラシ部)160の移動方向を帯電ロール16Rの回転方向と同方向に設定した場合(図6に示した変形例のように給電ブラシ160を帯電ロール16Rの回転方向に沿って上流側から下流側に移動するように構成した場合)には、図7(b)に模式的に示すように、帯電ロール16Rの停止時に給電ブラシ160を移動させた際、先端のブラシ毛161の毛倒れの方向が反転し、その後、図7(c)に模式的に示すように、帯電ロール16Rの回転に伴って先端のブラシ毛161が再度反転することとなる。これにより、給電ブラシ160のブラシ毛161が絡まって硬化し、帯電ロール16Rとの接触移動の際にかかる帯電ロール16R表面に傷等のダメージを与え易くなる。従って、給電ブラシ160の移動方向は、図7(a)に模式的に示すように、帯電ロール16Rの回転方向に沿って下流側から上流側に移動するように構成(給電ブラシ160の移動方向を帯電ロール16Rの回転方向と逆方向に設定)することが好ましい。
【0069】
以上のように構成した本実施の形態に係る帯電装置16と対向電位変更手段を有しない従来構成の帯電装置とを用いて、画像形成枚数に応じた感光ドラム15の軸方向膜厚及び軸方向電位の変化を検証した結果を図8及び図9に示す。
【0070】
図8(a)から理解されるように、従来構成の帯電装置を用いた画像形成装置では、初期状態では、感光ドラム15の膜厚は軸方向に一定(約24μm)であるが、画像形成枚数1万5千枚(15KPV)では、中央部が約21μmであるのに対し、軸方向両端部では、約19μmとなり偏摩耗が局所的に発生(中央部領域との膜厚差約2μm)することが分かる。さらに、画像形成枚数が30KPVに増大すると中央部が約18μmであるのに対し、軸方向両端部では、約14μmとなり、局所的な摩耗が促進される(中央部領域との膜厚差約4μm)ことが分かる。これは、感光ドラム15の表面層(感光層)の摩耗に伴って、当該感光層の膜厚とエアギャップ(ニップ部N近傍の微小空隙)長との比率が変化し、この結果、エアギャップに分圧印加される電圧が高くなって電界が増大し、摩耗が促進されたためであると考えられる。
【0071】
これに対して、本実施の形態に係る帯電装置16を用いた画像形成装置では、図8(b)から理解されるように、初期状態において、感光ドラム15の膜厚は軸方向に一定(約24μm)であり、画像形成枚数1万5千枚(15KPV)では、中央部が約21μmであるのに対し、軸方向両端部では約22μmであり(中央部との膜厚差約1μm)、膜厚の軸方向のバラツキが抑制されていることが分かる。さらに、画像形成枚数が30KPVに増大すると中央部が約18μmであるのに対し、軸方向両端部では約17〜18μmであり、画像形成枚数が増大しても感光ドラム15の膜厚の軸方向のバラツキを抑制(局所的な偏摩耗を防止)できることが分かる。
【0072】
また、図9(a)から理解されるように、従来構成の帯電装置を用いた画像形成装置では、初期状態では、感光ドラム15の軸方向の電位は、軸方向に略一定(約−440〜−450V)であるが、画像形成枚数1万5千枚(15KPV)では、中央部の電位が約−440Vであるのに対し、軸方向両端部では、−470〜−475Vに増大することが分かる。さらに、画像形成枚数が30KPVに達すると中央部の電位が約−440Vであるのに対し、軸方向両端部では、−490〜−500Vにさらに増大することが分かる。
【0073】
これに対して、本実施の形態に係る帯電装置16を用いた画像形成装置では、図9(b)から理解されるように、感光ドラム15の軸方向の電位は、画像形成枚数0〜30KPVに至るまで、略一定(約−440〜−455V)となっている。
<実施の形態2>
【0074】
次に、実施の形態2に係る帯電装置の構成を図10を参照して説明する。ここで、図10は、実施の形態2に係る帯電装置の構成を説明するための模式図である。
【0075】
なお、本実施の形態に係る帯電装置16´は、先の実施の形態に係る帯電装置16が偏摩耗領域Reに対応する給電部材160Reを画像形成枚数に応じて帯電ロール16Rの外表面に沿って移動させたのに比し、予め帯電ロール16Rの周囲に複数の給電部材165a,165b,165c・・・を配置したものであり、先の実施の形態と同様な機能を有する部材には同様な符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0076】
図10(a)に模式的に示すように、本実施の形態に係る帯電装置16´は、帯電ロール16Rの外周面に沿って配置された複数のブラシ部材165b,165c,165dを備えている。そして、これら複数のブラシ部材165a,165b,165c,165dのそれぞれは、図10(b)〜(e)に模式的に示すように、そのブラシ毛166の長さが、端部から中央部に向かうにつれ増大するように形成されており、かつ、ニップ部Nから遠い位置に配置されたブラシ部材(例えば、165d)ほど、中央ブラシ部165Rcのブラシ毛166Rcの長さが両端ブラシ部165Reのブラシ毛166Reの長さよりも相対的に長くなるように形成されている。
【0077】
具体的には、図10(b)に示すように、ニップ部に最も近接配置されたブラシ部材166aでは、中央ブラシ部のブラシ毛166Rcの長さと両端ブラシ部のブラシ毛166Reの長さとは同等に設定されているが、ニップ部Nから遠ざかるほど、両端ブラシ毛166Reの長さに対する中央ブラシ毛166Rcの長さの比率rが増大するように各ブラシ部材165b〜165dが形成されている。すなわち、165a(r)<165b(r)<165c(r)<165d(r)となるように、各ブラシ部材165のブラシ毛166の形状(長さ)が設定されている。
【0078】
そして、図10(a)に模式的に示すように、画像形成枚数に応じて、帯電ロール16Rに給電するブラシ部材165a,165b,165c,165dと単一直流電源DCとの接点を順次切り替えることにより本実施の形態に係る対向電位変更手段が構成されている。
【0079】
このように構成した本実施の形態に係る帯電装置16´では、各ブラシ部材165のブラシ毛166は、図7(c)に模式的に示したように、帯電ロール16Rの回転に伴い、結果的にその先端が下流側(本例では、ニップ部N側)に向かい、かつ、ニップ部Nから離れるほど、偏摩耗領域(本例では、端部領域)Reに対応するブラシ毛166Reの長さが定常摩耗領域Rcに対応するブラシ毛166Rcの長さよりも相対的に短くなるように設定されているので、対向電位変更手段により、画像形成枚数の増大に応じて、ニップ部Nから遠いブラシ部材165に順次切り替えることにより、偏摩耗領域Reに対応するニップ部N近傍の帯電ロール16Rの表面電位を定常摩耗領域Rcに対応するニップ部N近傍の帯電ロール16Rの表面電位よりも相対的に低減することができる。
【0080】
また、本実施の形態に係る帯電装置16´では、画像形成枚数の増大に従って、給電ブラシ165を切り替えて新たな給電ブラシ165により給電することとなるため、給電ブラシ165に付着した汚れ等による帯電性能の劣化を未然に防止することができる。
【0081】
なお、本発明の技術的範囲は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨に逸脱しない範囲において多様な変更もしくは改良を加え得るものである。例えば、上述した実施の形態ではいずれも、給電部材として先端に導電性のブラシ毛を有するブラシ部材を用いたが、ブラシ毛の硬化による帯電ロール16R表面へのダメージを未然に防止するという観点から、かかるブラシ部材に代えて導電性のフィルム部材を用いてもよい。また、上述した実施の形態では、偏摩耗領域Reを軸方向両端部として、その間の領域を定常摩耗領域Rcとしたが、例えば、帯電ロール16Rを感光ドラム15側に押圧する押圧部材の軸方向の取付位置等に応じて、偏摩耗が生じる領域が異なる場合(例えば、中央部領域が偏摩耗領域となる場合等)には、当然に、かかる領域を偏摩耗領域Reとして設定すると共に、これを除いた領域を定常摩耗領域Rcとして設定し、これらの領域に対応するようにそれぞれ偏摩耗領域給電部及び定常摩耗領域給電部を設けてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1:画像形成装置、13Y,13M,13C,13K:画像形成ユニット、14:露光装置、15Y,15M,15C,15K:感光ドラム、16Y,16M,16C,16K:帯電装置、16R:帯電ロール、16Ra:支持軸、16Rs:表面層、17Y,17M,17C,17K:現像装置、18Y,18M,18C,18K:ドラムクリーニング装置、25:中間転写ベルト、26Y,26M,26C,26K:一次転写ロール、29:二次転写ロール、30:定着装置、34:給紙カセット、40:両面用搬送ユニット、43:ベルトクリーニング装置、50Y,50M,50C,50K:トナーカートリッジ、160,165a,165b,165c,165d:給電ブラシ、160Rc,165Rc:中央ブラシ部、160Re,165Re:両端ブラシ部、161,166a,166b,166c,166d:ブラシ毛、180:ロールクリーナー、180a:支持軸、180s:クリーニング部材、DC:直流電源、N:ニップ部、P:記録用紙、Rc:定常摩耗領域、Re:偏摩耗領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その表面に静電潜像が形成される像保持体に接触して配置され、当該像保持体を帯電する帯電ロールと、
前記帯電ロールに接触して配置され、当該帯電ロールの表面に電圧を印加する給電部材と、
前記像保持体の軸方向の表面電位が略一定となるように、前記帯電ロールと像保持体との接触領域において、対向する前記帯電ロールの軸方向の表面電位を、前記像保持体の摩耗状況を加味して画像形成枚数に応じて変更する対向電位変更手段と
を備えていることを特徴とする帯電装置。
【請求項2】
前記対向電位変更手段は、前記像保持体表面の軸方向の摩耗状況に基づき、像保持体の定常摩耗領域に対向する帯電ロールの表面電位よりも、像保持体の偏摩耗領域に対向する帯電ロールの表面電位を低減させることを特徴とする請求項1に記載の帯電装置。
【請求項3】
その表面に静電潜像が形成される像保持体に接触して配置され、当該像保持体を帯電する帯電ロールと、
前記帯電ロールに接触して配置され、当該帯電ロールの表面に電圧を印加する給電部材と
を備え、
前記給電部材は、前記像保持体の定常摩耗領域に対向する帯電ロールの表面に電圧を印加する定常摩耗領域給電部と、前記像保持体の偏摩耗領域に対向する帯電ロールの表面に電圧を印加する偏摩耗領域給電部とに軸方向に分割されており、前記定常摩耗領域給電部又は偏摩耗領域給電部のいずれか一方を、画像形成枚数に応じて、帯電ロールの表面に沿って移動させることを特徴とする帯電装置。
【請求項4】
前記定常摩耗領域給電部及び偏摩耗領域給電部はいずれも、その先端に導電性のブラシ毛を有するブラシ部材として形成されており、前記定常摩耗領域給電部又は偏摩耗領域給電部のいずれか一方は、画像形成枚数の増大に伴い、帯電ロールの回転方向下流側から上流側に移動するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の帯電装置。
【請求項5】
前記偏摩耗領域給電部は、軸方向両端部の可動ブラシ部として構成されていると共に、前記定常摩耗領域給電部は、軸方向中央部の固定ブラシ部として構成されており、前記軸方向両端部の可動ブラシ部は、画像形成枚数の増大に応じて、帯電ロールと像保持体との接触領域から帯電ロールの回転方向に沿って上流側に移動するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の帯電装置。
【請求項6】
前記給電部材は、その先端に導電性のブラシ毛を有するブラシ部材として形成されていると共に、前記帯電ロールの周方向に沿って複数配設されており、かつ、各給電部材のブラシ毛の長さは、帯電ロールと像保持体との接触領域から離れて配置された給電部材ほど、前記偏摩耗領域に対応するブラシ毛の長さに対する前記定常摩耗領域に対応するブラシ毛の長さが増大するように形成されており、
前記対向電位変更手段は、画像形成枚数の増大に伴って、前記複数の給電部材を帯電ロールの回転方向下流側から上流側に順次切り替えていくことにより構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の帯電装置。
【請求項7】
前記給電部材は、導電性フィルムであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の帯電装置。
【請求項8】
前記給電部材には直流電圧が印加されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の帯電装置。
【請求項9】
前記給電部材には単一の電源より電圧が印加されることを特徴とする請求項8に記載の帯電装置。
【請求項10】
前記帯電ロールに接触して配置され、回転軸周りにスポンジをスパイラル状に巻き回して形成したクリーニングロールをさらに備え、前記クリーニングロールは、前記給電部材よりも帯電ロールの回転方向上流側に配置されていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の帯電装置。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の帯電装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−186324(P2011−186324A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53482(P2010−53482)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】