説明

帯電部材、帯電装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】繰り返し使用しても、被帯電体に対して、ばらつきが抑制された帯電を付与しうる帯電部材を提供すること。
【解決手段】例えば、円筒状又は円柱状の基材30(シャフト)と、基材30の外周面に配設された導電性弾性層31と、導電性弾性層31の外周面に配設された導電性最外層32と、を有する帯電部材121において、例えば、導電性最外層32として、被帯電体に接触する層であって、(A)樹脂と(B)中心部から外側に向かって放射状に突出した複数の針状粒子の凝集体とを含んで構成された層を適用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電部材、帯電装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた画像形成装置においては、先ず、無機又は有機材料からなる光導電性感光体からなる像保持体表面に帯電装置を用いて電荷を形成し、画像信号を変調したレーザ光等で静電濳像を形成した後、帯電したトナーで前記静電濳像を現像して可視化したトナー像が形成される。そして、該トナー像を、中間転写体を介するかあるいは直接、記録紙等の転写材に静電的に転写し、記録材に定着することにより所要の再生画像が得られる。
【0003】
帯電装置は、像保持体などの被帯電体を帯電させるという重要な働きをする装置であり、像保持体に直接接触して像保持体を帯電させる接触帯電方式の帯電装置と、像保持体とは接触せずに像保持体近傍でコロナ放電などにより像保持体を帯電させる非接触帯電方式の帯電装置との2種類の帯電装置に大別される。近年、放電による副次的なオゾンや窒素酸化物などの生成が少ない接触帯電方式を採用する帯電装置が増えている。
【0004】
接触帯電方式の帯電装置には、像保持体表面と直接接触し、像保持体表面の動きに合わせて従動回転して像保持体を帯電させる帯電部材が備えられている。
接触方式の帯電部材としては、トナーやトナーの外添剤の付着防止のために、帯電部材の最外層に特定の材料を用いる技術が提案されている(例えば、特許文献1から4参照。)。
【0005】
また、接触方式の帯電部材としては、最外層に樹脂粒子などを含有させ、表面に凹凸を設けて帯電の均一性を向上する技術が提案されている(例えば、特許文献5から10参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−264918号公報
【特許文献2】特開2006−163059号公報
【特許文献3】特開平7−64378号公報
【特許文献4】特許第2649162号公報
【特許文献5】特開2003−316111号公報
【特許文献6】特開2003−316112号公報
【特許文献7】特開2007−101864号公報
【特許文献8】特開2008−276022号公報
【特許文献9】特開2008−276026号公報
【特許文献10】特開2010−102016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、繰り返し使用しても、被帯電体に対して、ばらつきが抑制された帯電を付与しうる帯電部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
基材と、
該基材上に設けられ、被帯電体に接触する導電性最外層であって、(A)樹脂と(B)中心部から外側に向かって放射状に突出した複数の針状粒子の凝集体とを含んで構成された導電性最外層と、
を少なくとも備え、
電圧が印加された状態で前記被帯電体に接触することにより前記被帯電体を帯電させる帯電部材。
【0009】
請求項2に係る発明は、
前記(B)凝集体の平均粒子径が、3μm以上20μm以下である請求項1に記載の帯電部材。
【0010】
請求項3に係る発明は、
前記(B)凝集体の平均円形度が、0.8以上1.0以下である請求項1又は請求項2に記載の帯電部材。
【0011】
請求項4に係る発明は、
前記(A)樹脂が、ポリアミド樹脂である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の帯電部材。
【0012】
請求項5に係る発明は、
前記ポリアミド樹脂が、メトキシメチル化ポリアミド樹脂である請求項4に記載の帯電部材。
【0013】
請求項6に係る発明は、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の帯電部材を備える帯電装置。
【0014】
請求項7に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体を帯電する帯電手段であって、請求項1から請求項5のいずいれか1に記載された帯電部材を有する帯電手段と、
を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
【0015】
請求項8に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体を帯電する帯電手段であって、請求項1から請求項5のいずいれか1に記載された帯電部材を有する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記像保持体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、導電性最外層に上記凝集体を含まない場合に比べ、繰り返し使用しても、被帯電体に対して、ばらつきが抑制された帯電を付与しうる帯電部材が提供される。
請求項2に記載の発明によれば、上記凝集体の平均粒子径が上記範囲外の場合に比べ、繰り返し使用しても、被帯電体に対して、ばらつきが抑制された帯電を付与しうる帯電部材が提供される。
請求項3に記載の発明によれば、上記凝集体の平均円形度が上記範囲外の場合に比べ、繰り返し使用しても、被帯電体に対して、ばらつきが抑制された帯電を付与しうる帯電部材が提供される。
【0017】
請求項4及び請求項5に記載の発明によれば、導電性最外層に樹脂としてポリアミド樹脂を含まない場合に比べ、さらに、帯電部材へのトナーなどの付着が抑制される帯電部材が提供される。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、導電性最外層に上記凝集体を含まない帯電部材を適用した場合に比べ、繰り返し使用しても、被帯電体に対して、ばらつきが抑制された帯電を付与しうる帯電部材を備える帯電装置が提供される。
請求項7に記載の発明によれば、導電性最外層に上記凝集体を含まない帯電部材を適用した場合に比べ、繰り返し使用しても、被帯電体に対して、ばらつきが抑制された帯電を付与しうる帯電部材を備えるプロセスカートリッジが提供される。
請求項8に記載の発明によれば、導電性最外層に上記凝集体を含まない帯電部材を適用した場合に比べ、繰り返し使用しても、被帯電体に対して、ばらつきが抑制された帯電を付与しうる帯電部材を備える画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態に係る帯電部材を示す概略斜視図である。
【図2】本実施形態に係る帯電部材の概略断面図である。
【図3】本実施形態に係る帯電部材の拡大概略断面図である。
【図4】本実施形態に係る帯電装置の概略斜視図である。
【図5】本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図6】本実施形態に係るプロセスカートリッジを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一例である実施形態について図面を参照しつつ、説明する。
[帯電部材]
図1は、本実施形態に係る帯電部材を示す概略斜視図である。図2は、本実施形態に係る帯電部材の概略断面図である。なお、図2は、図1のA−A断面図である。
【0021】
本実施形態に係る帯電部材121は、図1及び図2に示すように、例えば、円筒状又は円柱状の基材30(シャフト)と、基材30の外周面に配設された導電性弾性層31と、導電性弾性層31の外周面に配設された導電性最外層32と、を有するロール部材である。
そして、導電性最外層32は、例えば、被帯電体に接触する層であって、(A)樹脂と(B)中心部から外側に向かって放射状に突出した複数の針状粒子の凝集体とを含んで構成されている。
【0022】
本実施形態に係る帯電部材121では、導電性最外層32を上記構成とすることで、繰り返し使用しても、被帯電体に対して、ばらつきが抑制された帯電を付与しうる。
この理由は、定かではないが、以下の理由によるものと考えられる。
【0023】
被帯電体に接触する導電性最外層32に、凝集体を含ませると、凝集体が存在する領域における導電性最外層32の表面が凝集体の粒子径に沿って凸部となり、凝集体が点在することで、大きな間隔(ピッチ)の凹凸が形成されると考えられる(図3参照)。本凹凸により、トナーの外添剤のフィルミングの発生が抑制可能となるため、導電性最外層32の表面の汚染が抑制され、繰り返し使用におる帯電性能の低下が抑制されるものと考えられる。
一方で、凝集体は、複数の針状粒子が中心部から外側に向かって放射状に突出して凝集していることから、複数の針状粒子の先端により、凝集体により形成される導電性最外層32の表面の凸部の表面に、小さい間隔の凹凸がさらに形成されると考えられる(図3参照)。本凹凸により、導電性最外層32の表面からの放電箇所が増加するため、被帯電体に対する帯電のばらつきが抑制されるものと考えられる。
【0024】
以上から、本実施形態に係る帯電部材121では、繰り返し使用しても、被帯電体に対して、ばらつきが抑制された帯電を付与しうると考えられる。
なお、図3は、本実施形態に係る帯電部材の拡大概略断面図である。図3中、32Aは、凝集体を示す。
【0025】
ここで、本実施形態に係る帯電部材121では、当該帯電部材121として、ロール部材の形態を例に挙げるが、帯電部材の形状としては、特に限定されるものではないが、ロール状、ブラシ状、ベルト(チューブ)状、ブレード状等の形状を挙げられる。これらのなかでも、本実施形態において説明するロール状部材が望ましく、則ち、いわゆる帯電ロールの形態をとるものが望ましい。
【0026】
また、本実施形態に係る帯電部材121は、上記構成に限られず、例えば、導電性弾性層31を有しない態様、導電性弾性層31と基材30との間に配設される中間層、導電性弾性層31と導電性最外層32との間に配設される抵抗調整層又は移行防止層、導電性最外層32の外側(最表面)に配設される被覆層(保護層)を設けた構成であってもよい。また、本実施形態に係る帯電部材121は、基材30と導電性最外層32とで構成される形態であってもよい。
【0027】
以下、本実施形態に係る帯電部材121の各構成要素につき詳細に説明する。
なお、本明細書において導電性とは、20℃における体積抵抗率が1×10Ωcm未満であることを意味する。また、本明細書において半導電性とは、20℃における体積抵抗率が1×10Ωcm以上1×1010Ωcm以下であることを意味する。
【0028】
(基材)
基材30について説明する。
基材30としては、例えば、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼等の金属または合金;クロム、ニッケル等で鍍金処理を施した鉄;導電性の樹脂などの導電性の材質で構成されたものが用いられる。
【0029】
基材30は、帯電ロールの電極及び支持部材として機能するものであり、例えば、その材質としては鉄(快削鋼等),銅,真鍮,ステンレス,アルミニウム,ニッケル等の金属が挙げられる。本実施形態においては、基材30は、導電性の棒状部材であり、基材30としては、外周面にメッキ処理を施した部材(例えば樹脂や、セラミック部材)、導電剤が分散された部材(例えば樹脂や、セラミック部材)等も挙げられる。基材30は、中空状の部材(筒状部材)であってもよし、非中空状の部材であってもよい。
【0030】
(導電性弾性層)
導電性弾性層31について説明する。
導電性弾性層31は、例えば、弾性材料と、導電剤と、必要に応じて、その他添加剤と、を含んで構成される。そして、導電性弾性層31は、所望により基材30の外周面に直接形成される層である。
【0031】
弾性材料としては、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ブチルゴム、ポリウレタン、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、天然ゴム等、及びこれらのブレンドゴムが挙げられる。中でも、ポリウレタン、シリコーンゴム、EPDM、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、NBR及びこれらのブレンドゴムが望ましく用いられる。これらの弾性材料は、発泡したものであっても無発泡のものであってもよい
【0032】
導電剤としては、電子導電剤やイオン導電剤が挙げられる。電子導電剤の例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属又は合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ−酸化アンチモン固溶体、酸化スズ−酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;などの粉末が挙げられる。また、イオン導電剤の例としては、テトラエチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩等;リチウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩等;が挙げられる。
これらの導電剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
ここで、カーボンブラックとして具体的には、デグサ社製の「スペシャルブラック350」、同「スペシャルブラック100」、同「スペシャルブラック250」、同「スペシャルブラック5」、同「スペシャルブラック4」、同「スペシャルブラック4A」、同「スペシャルブラック550」、同「スペシャルブラック6」、同「カラーブラックFW200」、同「カラーブラックFW2」、同「カラーブラックFW2V」、キャボット社製「MONARCH1000」、キャボット社製「MONARCH1300」、キャボット社製「MONARCH1400」、同「MOGUL−L」、同「REGAL400R」等が挙げられる。
これら導電剤の平均粒子径としては、1nm以上200nm以下であることが望ましい。
なお、平均粒子径は、導電性弾性層31を切り出した試料を用い、電子顕微鏡により観察し、導電剤の100個の直径(最大径)を測定し、その平均することにより算出する。
また、平均粒子径は、例えば、シスメックス社製ゼータサイザーナノZSを用いて測定してもよい。
【0034】
導電剤の添加量は特に制限はないが、上記電子導電剤の場合は、弾性材料100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下の範囲であることが望ましく、15質量部以上25質量部以下の範囲であることがより望ましい。一方、上記イオン導電剤の場合は、弾性材料100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲であることが望ましく、0.5質量部以上3.0質量部以下の範囲であることがより望ましい。
【0035】
導電性弾性層31に配合されるその他添加剤としては、例えば、軟化剤、可塑剤、硬化剤、加硫剤、加硫促進剤、酸化防止剤、界面活性剤、カップリング剤、充填剤(シリカ、炭酸カルシウム等)等の通常弾性層に添加され得る材料が挙げられる。
【0036】
導電性弾性層31の形成に際しては、この層を構成する導電剤、弾性材料、その他の成分(加硫剤や必要に応じて添加される発泡剤等の各成分の混合方法や混合順序は特に限定されないが、一般的な方法としては、全成分をあらかじめタンブラー、Vブレンダー等で混合し、押出機によって溶融混合して、押出成形する方法が挙げられる。
【0037】
導電性弾性層31の厚みは、1mm以上10mm以下程度とすることが望ましく、2mm以上5mm以下程度とすることがより望ましい。
そして、導電性弾性層31の体積抵抗率は10Ωcm以上1014Ωcm以下が望ましい。
【0038】
(導電性最外層)
導電性最外層32について説明する。
導電性最外層32は、例えば、被帯電体に接触する導電性最外層であって、(A)樹脂と(B)中心部から外側に向かって放射状に突出した複数の針状粒子の凝集体とを含み、必要に応じて、導電剤等、その他添加剤を含んで構成される。
【0039】
〔(A)樹脂〕
樹脂としては、最外層を構成する樹脂皮膜を形成しうる樹脂が選択される。
前記最外層を構成する樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂が望ましく挙げられる。
また、共重合ナイロン(アミランCM8000:東レ社製)も望ましく挙げられ、610ナイロン、11ナイロン、12ナイロン、の内のいずれか1種又は複数種を重合単位として含むものであって、この共重合体に含まれる他の重合単位としては、6ナイロン、66ナイロン等が挙げられる。また、樹脂としては、上記導電性弾性層31に配合される弾性材料を適用してもよい。
【0040】
これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよいが、効果の観点からは、樹脂の主成分としてポリアミド樹脂を含有することが望ましい。
ポリアミド樹脂はトナー及び外添剤の付着性がよく、また、被帯電体との接触による摩擦帯電をおこして被帯電部材をプラスに帯電させるといった事態を生じ難く、このため、帯電部材に対するトナーや外添剤の付着が抑制される。
【0041】
樹脂として使用しうるポリアミド樹脂については、特に制限は無いが、ポリアミド樹脂ハンドブック,福本修,8400,(日刊工業新聞社)に記述のポリアミド樹脂が挙げられ、なかでも、アルコール可溶性ポリアミドが望ましい。
アルコール可溶性ポリアミドとしては、N−アルコキシメチル化ポリアミドが望ましく、さらにはN−メトキシメチル化ポリアミド(N−メトキシメチル化ナイロン:トレジン:ナガセケムテックス社製)が望ましい。
【0042】
樹脂として使用しうるポリビニルアセタール樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールやアセトアセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂が挙げられる。
【0043】
樹脂として使用しうるポリエステル樹脂としては、酸由来構成成分と、アルコール由来構成成分とを含むポリエステル樹脂が用いられ、必要に応じてその他の成分を含有してもよい。
ポリエステル樹脂は、酸(ジカルボン酸)成分とアルコール(ジオール)成分とから合成されるものである。本明細書において、「酸由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂の合成前には酸成分であった構成部位を指し、「アルコール由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂の合成前にはアルコール成分であった構成部位を指す。
つまり、樹脂として使用しうるポリエステル樹脂は、例えば、酸由来構成成分とアルコール由来構成成分とを用いて常法により合成されるものである。
【0044】
以下、ポリエステル樹脂の合成に用いうる各成分について述べる。
酸由来構成成分は、脂肪族ジカルボン酸が望ましく特に直鎖型のカルボン酸が望ましい。例えば、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸、など、或いはその低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられるが、この限りではない。
酸由来構成成分としては、前述の脂肪族ジカルボン酸由来構成成分のほか、2重結合を持つジカルボン酸由来構成成分、スルホン酸基を持つジカルボン酸由来構成成分等の構成成分が含まれているのが望ましい。
なお、2重結合を持つジカルボン酸由来構成成分には、2重結合を持つジカルボン酸に由来する構成成分のほか、2重結合を持つジカルボン酸の低級アルキルエステル又は酸無水物等に由来する構成成分も含まれる。また、スルホン酸基を持つジカルボン酸由来構成成分には、スルホン酸基を持つジカルボン酸に由来する構成成分のほか、スルホン酸基を持つジカルボン酸の低級アルキルエステル又は酸無水物等に由来する構成成分も含まれる。
2重結合を持つジカルボン酸はとしてジカルボン酸が望ましく、ジカルボン酸としては、例えば、フマル酸、マレイン酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でも、コストの点で、フマル酸、マレイン酸等が望ましい。
【0045】
一方、アルコール構成成分としては、例えば、エチレングリコール、1、3−プロパンジオール、1、4−ブタンジオール、1、5ペンタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、1、7−ヘプタンジオール、1、8−オクタンジオール、1、9−ノナンジオール、1、10−デカンジオール、1、11−ドデカンジオール、1、12−ウンデカンジオール、1、13−トリデカンジオール、1、14−テトラデカンジオール、1、18−オクタデカンジオール、1、20−エイコサンジオール、などが挙げられるが、この限りではない。
【0046】
ここで、酸由来構成成分及びアルコール由来構成成分以外に、必要に応じて用いるその他の成分としては、例えば、2重結合を持つジオール由来構成成分、スルホン酸基を持つジオール由来構成成分等の構成成分である。
2重結合を持つジオールとしては、2−ブテン−1,4−ジオール、3−ブテン−1,6−ジオール、4−ブテン−1,8−ジオール等が挙げられる。
スルホン酸基を持つジオールとしては、1,4−ジヒドロキシ−2−スルホン酸ベンゼンナトリウム塩、1,3−ジヒドロキシメチル−5−スルホン酸ベンゼンナトリウム塩、2−スルホ−1,4−ブタンジオールナトリウム塩等が挙げられる。
【0047】
樹脂として用いうるフェノール樹脂としては、レゾルシン、ビスフェノール等、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノール等の水酸基を1個含む置換フェノール類、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン等の水酸基を2個含む置換フェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールZ等のビスフェノール類、ビフェノール類等、フェノール構造を有する化合物と、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド等とを、酸又はアルカリ触媒下で反応させ、モノメチロールフェノール類、ジメチロールフェノール類、トリメチロールフェノール類のモノマー、及びそれらの混合物、又はそれらをオリゴマー化されたもの、およびモノマーとオリゴマーの混合物であることが望ましい。
【0048】
樹脂として用いうるエポキシ樹脂としては、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を言い、その分子量、分子構造を特に限定するものではないが、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂(フェニレン骨格、ジフェニレン骨格等を有する)等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いても差し支えない。
これらの中でも、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂が望ましく、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂がさらに望ましく、ビスフェノール型エポキシ樹脂が特に望ましい。
【0049】
樹脂として用いうるメラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂としては、グアナミン構造、あるいはメラミン構造を有する化合物は公知のものが用いられるが、例えば、下記一般式(A)、(B)で示される化合物が挙げられる。一般式(A)、(B)で示される化合物は、グアナミン、あるいはメラミンとホルムアルデヒドとを用いて公知の方法(例えば、実験化学講座第4版、28巻、430ページ)で合成される。これらは、単独で用いても良いし、混合して用いてもよいが、混合、あるいは、オリゴマーとして使用することで溶解性が向上されるため、より望ましい。
【0050】
【化1】

【0051】
一般式(A)中、Rは、炭素数1以上10以下の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基、炭素数6以上10以下の置換若しくは未置換のフェニル基、又は炭素数4以上10以下の置換若しくは未置換の脂環式炭化水素基を示す。R乃至Rは、それぞれ独立に水素、−CH−OH、又は−CH−O−Rを示す。Rは、炭素数1以上10以下の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基を示す。
【0052】
【化2】



【0053】
一般式(B)中、R乃至R11はそれぞれ独立に、水素原子、−CH−OH、−CH−O−R12、−O−R12を示し、R12は炭素数1以上5以下の、分岐してもよいアルキル基を示す。当該アルキル基としてはメチル基、エチル基、ブチル基などが挙げられる。
【0054】
一般式(B)で示される化合物は、例えば、メラミンとホルムアルデヒドとを用いて公知の方法(例えば、実験化学講座第4版、28巻、430ページのメラミン樹脂と同様に合成される)で合成される。
【0055】
また、グアナミン樹脂、メラミン樹脂としては、市販品としても入手可能であり、例えば、スーパーベッカミン(R)L−148−55、スーパーベッカミン(R)13−535、スーパーベッカミン(R)L−145−60、スーパーベッカミン(R)TD−126(以上、DIC社製)、ニカラックBL−60、ニカラックBX−4000(日本カーバイド社製)など、(以上グアナミン樹脂)、スーパーメラミNo.90(日本油脂社製)、スーパーベッカミン(R)TD−139−60(DIC社製)、ユーバン2020(三井化学)、スミテックスレジンM−3(住友化学工業)、ニカラックMW−30(日本カーバイド社製)などが挙げられ、これら市販品をそのまま用いてもよい。
【0056】
〔(B)凝集体〕
凝集体は、複数の針状粒子が中心部から外側に向かって放射状に突出して凝集した粒子である(図3参照)。
凝集体は、具体的には、例えば、複数の針状粒子の各一端部が集合(結束)し、これを中心部として、複数の針状粒子の各他端部が互いに異なる方向であって放射状に向いて、凝集している粒子である(図3参照)。
なお、凝集体を構成する針状粒子は、線状であって、両端部(両先端部)が尖った形成を持つ粒子であってもよいし、両端部(両先端部)が端面を持つ粒子であってもよい。
【0057】
凝集体を構成する針状粒子は、例えば、無機粒子(例えば、炭酸カルシウム粒子、酸化亜鉛粒子等)いずれのでもよいが、凝集体の形状や粒子径の設計の容易さから、炭酸カルシウム粒子がよい。
【0058】
凝集体を構成する針状又は柱状粒子の長さは、例えば、0.5μm以上20μm以下(望ましくは1μm以上10μm以下)であることがよく、外径は、例えば、例えば、0.01μm以上5μm以下(望ましくは0.5μm以上3μm以下)がよい。
【0059】
凝集体は、例えば以下の方法で作製される。
針状粒子として炭酸カルシウム粒子を適用する場合、例えば、凝集体は、石灰乳法の簡易さの利点を生かし、石灰乳に炭酸ガスを導入して炭酸カルシウムを合成する時に、炭酸化率10%以上90%以下で炭酸化を中断し、新たな石灰乳を添加し炭酸化を継続することを2回以上15回以下繰り返した後、反応温度50℃以上で炭酸化反応が完結する方法により作製される。
また、針状粒子として酸化亜鉛粒子を適用する場合、例えば、凝集体は、亜鉛化合物水溶液とアミン化合物とを混合し水溶液のpHを7以上として沈殿物を析出させ、次いで、該水溶液を40℃以上に加熱する方法により作製される。
【0060】
凝集体は、形状及び粒子径については、以下に示す態様が望ましい。
凝集体の平均円形度は0.8以上1.0以下であることが望ましい。
平均円形度は、導電性最外層32を切り出した試料を用い、シスメックス社製フロー式粒子像分析装置FPIA−3000により測定を行い、下記式に基づき円形度を算出する。
・式:円形度=粒子投影面積と等しい円の周囲長/粒子周囲長=[2×(Aπ) 1/2]/PM
(上式においてAは投影面積、PMは周囲長を表す。)
そして、粒子5000個分の円形度の平均を平均円形度とする。
なお、凝集体の円形度は、放射状に突出した各針状粒子の先端を結んだ仮想面(仮想の曲面)により形作られる形状に基づき、測定・算出する。
【0061】
ここで、平均円形度に示すように、凝集体は、球状又はそれに近似した形状を有することが望ましい。凝集体が、平均円形度を満たす粒子形状を有することにより、角がある不定形の粒子形状に比較して、凝集体が存在する領域での導電性最外層32厚みのばらつきが抑制され、これにより被帯電体に対してばらつきのない帯電が付与されることになる。
【0062】
凝集体の平均粒子径は、3μm以上20μm以下であることが望ましく、3μm以上15μm以下であることがより望ましく、3μm以上12μm以下であることがさらに望ましい。
【0063】
平均粒子径は、導電性最外層32を切り出した試料を用い、電子顕微鏡により観察し、凝集体の100個の直径(最大径)を測定し、その平均することにより算出する。
また、平均粒子径は、例えば、シスメックス社製ゼータサイザーナノZSを用いて測定してもよい。
なお、凝集体の平均粒子径は、放射状に突出した各針状粒子の先端を結んだ仮想面(仮想の曲面)により形作られる形状に基づき、測定・算出する。
【0064】
このような平均形状係数及び平均粒子径を満たす凝集体を用いることにより、目的とする導電性最外層32の表面粗さが達成され、得られる帯電部材は、トナーや外添剤の付着に起因する汚染の発生が抑制され、繰り返し使用しても、ばらつきが抑制された帯電が実現されるものとなる。
【0065】
〔(C)その他添加剤〕
その他添加剤としては、導電剤が挙げられる。導電剤としては、上記導電性弾性層31に配合される導電剤が同様に挙げられる。
また、その他添加剤としては、例えば、導電剤、軟化剤、可塑剤、硬化剤、加硫剤、加硫促進剤、酸化防止剤、界面活性剤、カップリング剤等の通常表面層に添加され得る材料も挙げられる。
【0066】
〔含有量〕
導電性最外層32中の各成分の含有量としては、(A)樹脂が20質量%以上99質量%以下、望ましくは、10質量%以上95%以下であり、(B)凝集体が1質量%以上50質量%以下、望ましくは、3質量%以上45質量%以下であり、さらに所望により加えられる(C)導電剤が1質量%以上50質量%以下、望ましくは、1質量%以上30質量%以下である。
なお、導電性最外層32の厚みや(B)凝集体の分散状態のばらつきを抑制する観点から、導電性最外層を形成するための塗布液中の固形分濃度は5質量%以上50質量%以下であることが望ましい。
【0067】
〔導電性最外層の形成方法〕
導電性最外層32は、例えば、溶媒に上記各成分を溶解又は分散させた塗布液を、基材30(導電性弾性体層31の外周面)上に、浸漬法、スプレー法、真空蒸着法、プラズマコーティング法等で塗布し、形成した塗膜を乾燥して形成する。
乾燥条件は、用いる樹脂や触媒の種類、量に応じて決定されるが、乾燥温度としては40℃以上200℃以下であることが望ましく、50℃以上180℃以下であることがより望ましい。
乾燥時間は、5分以上5時間以下であることが望ましく、10分以上3時間以下であることがより望ましい。
乾燥手段としては、熱風乾燥などが挙げられる。
【0068】
ここで、導電性最外層32(それを形成するための塗布液)には、樹脂の硬化を促進するために、触媒を使用してもよい。硬化触媒として酸系の触媒を望ましく用いられる。
酸系の触媒としては、酢酸、クロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、乳酸などの脂肪族カルボン酸、安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸などの芳香族カルボン酸、メタンスルホン酸、ドデシルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、などの脂肪族、および芳香族スルホン酸類などが用いられるが、含硫黄系材料を用いることが望ましい。
【0069】
導電性最外層32は、触媒を加えることで、高密度の架橋構造が形成されて強度が向上し、より耐久性に優れたものとなる。導電性最外層の望ましい物性を検知する目安としてゲル分率が挙げられる。即ち、形成された導電性最外層のゲル分率は50%以上であることが望ましい。
ゲル分率の測定は、JIS K6796に準じて行われる。
具体的には、導電性最外層の各成分を溶剤に溶解して得られた塗布液をアルミ板にバーコータで塗布し、厚さが100μmの塗膜を作製する。これを乾燥したのち、樹脂及び触媒の種類に応じた硬化温度及び硬化時間で加熱硬化する。室温(25℃)まで冷却後、作製した層の重量を測定し、これを溶剤抽出前の材料の重量とした。
次に、この層を、塗布液を調製するのに用いた溶剤中に24時間浸漬したのち、溶剤をろ過し、残留した残留物をろ過し、重量を測定する。この重量を抽出後の重量とする。
そして、下記式に従って、架橋度を算出する。
・式:ゲル分率=100×(抽出後の重量)/(溶剤抽出前の重量)
算出した架橋度が50%以上となっていると導電性最外層32中の樹脂の架橋密度が向上しており、耐クラック性が良好な層であると判断される。
なお、測定サンプルは、帯電部材から導電性最外層32の一部を切り出して測定してもよい。
【0070】
〔導電性最外層の特性〕
導電性最外層32の表面(つまり、帯電部材121の表面)の十点平均表面粗さRzは、例えば、2μm以上20μm以下であることがよく、3μm以上12μm以下であることが望ましく、7μm以上12μm以下であることがより望ましく、10μm以上12μm以下であることが特に望ましい。
この範囲に設定することによって、ばらつきが抑制された帯電性を付与しうるとともに、導電性最外層32にトナーや外添剤などの異物が付着しにくくなり、耐汚染性が高くなるという副次的な効果を有する。
十点平均表面粗さRzが2μm未満であると、トナーや外添剤などの異物が付着することがある。十点平均表面粗さRzが20μmよりも大きい場合には、凹凸部分にトナー及び紙粉等が溜まり易くなると共に、局所的に異常放電が発生しやすなり、白抜け等の画像欠陥が起こることがある。
なお、導電性最外層32の表面の十点平均表面粗さRzは、上記(B)凝集体を配合することで、実現される。
【0071】
ここで、当該十点平均表面粗さRzとは、JIS B0601(1994)に規定された表面粗さのことである。十点平均表面粗さRzは、表面粗さ測定器等を用いて測定されるが、具体的には、23℃・55RH%の環境下において、接触式表面粗さ測定装置(サーフコム570A、東京精密社製)を用いた。表面粗さの測定に際しては、測定距離を2.5mmとし、接触針としてはその先端がダイヤモンド(5μmR、90°円錐)のものを用い、場所を変えて3回繰り返し測定した際の平均値を十点平均表面粗さRzとして求る。
【0072】
導電性最外層32の膜厚は、帯電部材121としての摩耗による耐久性を考慮すると厚いほうが望ましいが、厚くしすぎると被帯電体への帯電性能が低下する傾向があり、このため、厚みは、0.01μm以上1000μm以下の範囲で選択され、具体的には、3μm以上25μm以下であることが望ましい。
そして、導電性最外層32の体積抵抗率は10Ωcm以上1014Ωcm以下の範囲であることが望ましい。
【0073】
本実施形態に係る帯電部材121は、例えば、基材30の外周面に、例えば、ブレード塗布法,マイヤーバー塗布法,スプレー塗布法,浸漬塗布法,ビード塗布法,エアーナイフ塗布法,カーテン塗布法等を利用して、基材30の外周面に、導電性弾性層31及び導電性最外層32を順次形成することで製造される。
【0074】
[帯電装置]
以下、本実施形態に係る帯電装置について説明する。
図4は、本実施形態に係る帯電装置の概略斜視図である。
【0075】
本実施形態に係る帯電装置は、帯電部材として、上記本実施形態に係る帯電部材を適用した形態である。
具体的には、本実施形態に係る帯電装置12は、図4に示すように、例えば、帯電部材121と、クリーニング部材122と、が特定の食い込み量で接触している配置されている。そして、帯電部材121の基材30及びクリーニング部材122の基材122Aの軸方向両端は、各部材が回転自在となるように導電性軸受け123(導電性ベアリング)で保持されている。導電性軸受け123の一方には電源124が接続されている。
なお、本実施形態に係る帯電装置は、上記構成に限られず、例えば、クリーニング部材122を備えない形態であってもよい。
【0076】
クリーニング部材122は、帯電部材121の表面を清掃するための清掃部材であり、例えば、ロール状で構成されている。クリーニング部材122は、例えば、円筒状又は円柱状の基材122Aと、基材122Aの外周面に弾性層122Bと、で構成される。
【0077】
基材122Aは、導電性の棒状部材であり、その材質は例えば、鉄(快削鋼等),銅,真鍮,ステンレス,アルミニウム,ニッケル等の金属が挙げられる。また、基材122Aとしては、外周面にメッキ処理を施した部材(例えば樹脂や、セラミック部材)、導電剤が分散された部材(例えば樹脂や、セラミック部材)等も挙げられる。基材122Aは、中空状の部材(筒状部材)であってもよし、非中空状の部材であってもよい。
【0078】
弾性層122Bは、多孔質の3次元構造を有する発泡体からなり、内部や表面に空洞や凹凸部(以下、セルという。)が存在し、弾性を有していることがよい。弾性層122Bは、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリアミド、オレフィン、メラミン又はポリプロピレン、NBR(アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム)、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム)、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレン、シリコーン、ニトリル、等の発泡性の樹脂材料又はゴム材料を含んで構成される。
【0079】
これらの発泡性の樹脂材料又はゴム材料のなかもで、帯電部材121との従動摺擦によりトナーや外添剤などの異物を効率的にクリーニングすると同時に、帯電部材121の表面にクリーニング部材122の擦れによるキズをつけ難くするために、また、長期にわたり千切れや破損が生じ難くするために、引き裂き、引っ張り強さなどに強いポリウレタンが特に好適に適用される。
【0080】
ポリウレタンとしては、特に限定するものではなく、例えば、ポリオール(例えばポリエステルポリオール、ポリエーテルポリエステル、アクリルポリールなど)と、イソシアネート(2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネートや4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなど)の反応物が挙げられ、これらの鎖延長剤(例えば1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパンなど)による反応物であってもよい。なお、ポリウレタンは、発泡剤(水やアゾ化合物(アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル等)を用いて発泡させるのが一般的である。
【0081】
弾性層122Bのセル数としては、20/25mm以上80/25mm以下であることが望ましく、30/25mm以上80/25mm以下であることがさらに望ましく、30/25mm以上50/25mm以下であることが特に望ましい。
【0082】
弾性層122Bの硬さとしては、100N以上500N以下が望ましく100N以上400N以下がさらに望ましく、150N以上400N以下が特に望ましい。
【0083】
導電性軸受け123は、帯電部材121とクリーニング部材122とを一体で回転自在に保持すると共に、当該部材同士の軸間距離を保持する部材である。導電性軸受け123は、導電性を有する材料で製造されていればいかなる材料及び形態でもよく、例えば、導電性のベアリングや導電性の滑り軸受けなどが適用される。
【0084】
電源124は、導電性軸受け123へ電圧を印加することにより帯電部材121とクリーニング部材122とを同極性に帯電させる装置であり、公知の高圧電源装置が用いられる。
【0085】
本実施形態に係る帯電装置12では、例えば、電源124から導電性軸受け123に電圧が印加されることで、帯電部材121とクリーニング部材122とが同極性に帯電する。これにより、像保持体表面の異物(例えばトナーや外添剤)をクリーニング部材122及び帯電部材121表面に蓄積させるが抑制され、像保持体に移行でき、像保持体のクリーニング装置で異物が回収される。そのため、長期にわたり帯電部材121とクリーニング部材122とに汚れが蓄積することが抑制され、帯電性能が維持される。
【0086】
[画像形成装置、プロセスカートリッジ]
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、像保持体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、像保持体の表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、を備える。そして、帯電手段(帯電装置)として、上記本実施形態に係る帯電装置を適用する。
【0087】
一方、本実施形態に係るプロセスカートリッジは、例えば上記構成の画像形成装置に脱着され、像保持体と、像保持体を帯電する帯電手段と、を備える。そして、帯電手段として、上記本実施形態に係る帯電装置を適用する。本実施形態に係るプロセスカートリッジは、必要に応じて、像保持体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段、像保持体の表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段及び転写後の像保持体表面の残留トナーを除去するクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも一種を備えていてもよい。
【0088】
次に、本実施形態に係る画像形成装置、及びプロセスカートリッジについて図面を参照しつつ説明する。図5は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。図6は、本実施形態に係るプロセスカートリッジを示す概略構成図である。
【0089】
本実施形態に係る画像形成装置101は、図5に示すように、像保持体10を備え、その周囲に、像保持体を帯電する帯電装置12と、帯電装置12により帯電された像保持体10を露光して潜像を形成する露光装置14と、露光装置14により形成した潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置16と、現像装置16により形成したトナー像を記録媒体Aに転写する転写装置18と、転写後の像保持体10表面の残留トナーを除去するクリーニング装置20と、を備える。また、転写装置18により記録媒体Aに転写されたトナー像を定着する定着装置22を備える。
【0090】
そして、本実施形態に係る画像形成装置101は、帯電装置12として、例えば、帯電部材121と、帯電部材121に接触配置されたクリーニング部材122と、帯電部材121及びクリーニング部材122の軸方向両端を各部材が回転自在となるように保持する導電性軸受け123(導電性ベアリング)と、導電性軸受け123の一方に接続された電源124と、が配設された、上記本実施形態に係る帯電装置が適用されている。
【0091】
一方、本実施形態の画像形成装置101は、帯電装置12(帯電部材121)以外の構成については、従来から電子写真方式の画像形成装置の各構成として公知の構成が適用される。以下、各構成の一例につき説明する。
【0092】
像保持体10は、特に制限なく、公知の感光体が適用されるが、電荷発生層と電荷輸送層を分離した、いわゆる機能分離型と呼ばれる構造の有機感光体が好適に適用される。また、像保持体10は、その表面層が電荷輸送性を有し架橋構造を有する保護層で被覆されているものも好適に適用される。この保護層の架橋成分としてシロキサン系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、アクリル樹脂で構成された感光体も好適に適用される。
【0093】
露光装置14としては、例えば、レーザー光学系やLEDアレイ等が適用される。
【0094】
現像装置16は、例えば、現像剤層を表面に形成させた現像剤保持体を像保持体10に接触若しくは近接させて、像保持体10の表面の潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する現像装置である。現像装置16の現像方式は、既知の方式として二成分現像剤による現像方式が好適に適用される。この二成分現像剤による現像方式には、例えば、カスケード方式、磁気ブラシ方式などがある。
【0095】
転写装置18としては、例えば、コロトロン等の非接触転写方式、記録媒体Aを介して導電性の転写ロールを像保持体10に接触させ記録媒体Aにトナー像を転写する接触転写方式のいずれを適応してもよい。
【0096】
クリーニング装置20は、例えば、クリーニングブレードを像保持体10の表面に直接接触させて表面に付着しているトナー、紙粉、ゴミなどを除去する部材である。クリーニング装置20としては、クリーニングブレード以外にクリーニングブラシ、クリーニングロール等を適用してもよい。
【0097】
定着装置22としては、ヒートロールを用いる加熱定着装置が好適に適用される。加熱定着装置は、例えば、円筒状芯金の内部に加熱用のヒータランプを備え、その外周面に耐熱性樹脂被膜層あるいは耐熱性ゴム被膜層により、いわゆる離型層を形成した定着ローラと、この定着ローラに対し特定の接触圧で接触して配置され、円筒状芯金の外周面あるいはベルト状基材表面に耐熱弾性体層を形成した加圧ローラ又は加圧ベルトと、で構成される。未定着のトナー像の定着プロセスは、例えば、定着ローラと加圧ローラ又は加圧ベルトとの間に未定着のトナー像が転写された記録媒体Aを挿通させて、トナー中の結着樹脂、添加剤等の熱溶融による定着を行う。
【0098】
なお、本実施形態に係る画像形成装置101は、上記構成に限られず、例えば、中間転写体を利用した中間転写方式の画像形成装置、各色のトナー像を形成する画像形成ユニットを並列配置させた所謂タンデム方式の画像形成装置であってもよい。
【0099】
一方、本実施形態に係るプロセスカートリッジは、図6に示すように、上記図5に示す画像形成装置において、露光のための開口部24A、除電露光のための開口部24B及び取り付けレール24Cが備えられた筐体24により、像保持体10と、像保持体を帯電する帯電装置12と、露光装置14により形成した潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置16と、転写後の像保持体10表面の残留トナーを除去するクリーニング装置20と、を一体的に組み合わせて保持して構成したプロセスカートリッジ102である。そして、プロセスカートリッジ102は、上記図5に示す画像形成装置101に脱着自在に装着されている。
【実施例】
【0100】
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例により限定されるものではない。なお、特に断りがない限り、「部」は、「質量部」を意味する。
【0101】
<感光体1の作製>
先ず、ホーニング処理を施した外径Φ84mmの円筒状アルミニウム基材を準備した。 次に、ジルコニウム化合物(商品名:オルガチックスZC540、マツモト製薬社製)を100質量部、シラン化合物(商品名:A1100、日本ユニカー社製)を10質量部、イソプロパノールを400質量部、及びブタノールを200質量部を混合し、下引層形成用塗布液を得た。
この塗布液をアルミニウム基材上に浸漬塗布し、150℃で10分間加熱乾燥し、0.1μmの下引層を形成した。
【0102】
次に、CuKα特性X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が、7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に強い回折ピークを持つヒドロキシガリウムフタロシアニンを1質量部、ポリビニルブチラール(エスレックBM−S、積水化学社製)を1部、及び酢酸n−ブチルを100部質量を混合し、さらにガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間処理して分散し、電荷発生層形成用塗布液を得た。
この塗布液を下引層上に浸漬塗布し100℃で10分間加熱乾燥し、膜厚約0.15μmの電荷発生層を形成した。
【0103】
次に、下記式(V−3)で示される電荷輸送材料を2質量部、下記式(V−4)で示される構造単位を有する高分子化合物(粘度平均分子量50,000)を3質量部、及びクロロベンゼンを20部質量と混合し、電荷輸送層形成用塗布液を得た。
【0104】
【化3】



【0105】
得られた電荷輸送層形成用塗布液を、上記電荷発生層上に浸漬コーティング法で塗布して110℃で40分加熱し、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。このように、ホーニング処理が施されたアルミニウム基材上に、下引層、電荷発生層及び電荷輸送層が形成された感光体を「感光体1」とした。
【0106】
<感光体2の作製>
レゾール型フェノール樹脂(PL−2211、群栄化学製)を7質量部、及びメチルフェニルポリシロキサン0.03質量部を準備した。これをイソプロパノール15部及びメチルエチルケトン5質量部に溶解させ、保護層形成用塗布液を得た。
この塗布液を浸漬コーティング法で感光体1上に塗布し、130℃で40分乾燥させ、膜厚3μmの保護層を形成した。得られた感光体を「感光体2」とした。
【0107】
<クリーニング部材の作製>
イノアックコーポレーション製ポリウレタンEP70を20mm×20mm×250mmの大きさにカットし、帯電部材用クリーニングパッドaとした。
さらに、該クリーニングパッドaにSUS303により形成された外径φ5mm、長さ230mmの芯材を挿入し、ホットメルト接着剤で芯材とウレタンフォームにより形成されたクリーニングパッドaとを接着させた後、芯材両端からそれぞれ5mm位置までのクリーニングパッドaを切り落とし、弾性ロール素材を得た。研削処理し、外径φ9mmの帯電部材用クリーニングロールaを得た。
また、使用したウレタンフォームをイノアックコーポレーション性ポリウレタンRSCに換えた他が同様にして帯電部材用クリーニングロールbを得た。
【0108】
<凝集体1の作製>
凝集体1は、特開2008−273853号公報、日本接着学会誌 Vol.39,157(2003)に準じて合成した。
具体的には、乳液温度15℃の6%(重量%)石灰乳1600mlに25%(容量%)の炭酸ガスを攪拌しながら2400ml/分で導入し、塩基性炭酸カルシウム生成時(炭酸化率66.6%)で炭酸ガスの導入を中断し、この乳液800mlに新たな乳液温15℃の6%石灰乳800mlを添加し、25%炭酸ガスを1200ml/分で導入を再開し、塩基性炭酸カルシウム生成時(炭酸化率66.6%)で炭酸ガス導入を中断する。このような方法(作製方法1)を5回繰り返し、6回目では、乳液温度を50℃(温度1)保ちながら、今までと同じ条件で炭酸ガスを導入し、炭酸化を完結させた。
炭酸化反応終了後、得られた生成物のSEMの結果、複数の針状粒子(針状結晶)が中心部から外側に向かって放射状に突出して凝集していた(図3参照)。
また、得られた生成物の結晶構造は、X線回折の結果、アラゴナイト含有量が85%であった。
また、得られた生成物を、レーザー式粒度分布測定機(シスメックス社製ゼータサイザーナノZS)で測定した結果、平均粒子径(メジアン径)が11.9μmであった。
また、得られた生成物を、シスメックス社製フロー式粒子像分析装置FPIA−3000により測定した結果、平均円形度が0.95であった。
得られた生成物を構成する針状粒子は、長さが5μm、外径が1μmであった。
そして、得られた生成物を、凝集体1とした。
【0109】
<凝集体2の作製>
作製方法1の繰返し方法を10回に変更した以外は、凝集体1と同様にして凝集体2を得た。
得られた凝集体2は、平均粒子径が19.8μm,平均円形度が0.93であった。
得られた凝集体2を構成する針状粒子は、長さが8μm、外径が1.2μmであった。
【0110】
<凝集体3の作製>
作製方法1の繰返し方法を3回に変更した以外は、凝集体1と同様にして凝集体3を得た。
得られた凝集体3は、平均粒子径が3.2μm,平均円形度が0.93であった。
得られた凝集体3を構成する針状粒子は、長さが1.2μm、外径が0.3μmであった。
【0111】
<凝集体4の作製>
作製方法1の繰返し方法を7回に変更した以外は、凝集体1と同様にして凝集体4を得た。
得られた凝集体4は、平均粒子径が13.9μm、平均円形度が0.98であった。
得られた凝集体4を構成する針状粒子は、長さが 5.8μm、外径が1.2μmであった。
【0112】
<凝集体5の作製>
温度1を60℃に変更した以外は、凝集体1と同様にして凝集体5を得た。
得られた凝集体5は、平均粒子径が11.0μm、平均円形度が0.81であった。
得られた凝集体5を構成する針状粒子は、長さが5.1μm、外径が0.9μmであった。
【0113】
<凝集体6の作製>
温度1を70℃にを変更した以外は、凝集体1と同様にして凝集体6を得た。
得られた凝集体6は、平均粒子径が11.6μm、平均円形度が0.75であった。
得られた凝集体6を構成する針状粒子は、長さが5.3μm、外径が 1.1μmであった。
【0114】
<凝集体7の作製>
凝集体7は、特開2008-254991を参考にし作製した。
具体的には、硫酸亜鉛0.3モルと塩化ナトリウム0.17モルを150ccの純水で溶解した。次に2Lの四つ口フラスコに純水500ccを入れ、その中に前記の硫酸亜鉛水溶液を添加し、翼径12cmの2枚羽根の撹拌機を用いて回転数200rpmで撹拌下、室温で0.7モルのエチレンジアミンを含む350ccの水溶液を添加し、水溶液のpHを9.4に調整し、30分間保持して沈殿物を析出させた。その後、100℃に昇温し1時間熟成した後、冷却し、濾過・水洗・乾燥して、酸化亜鉛粉末(凝集体7)を得た。
X線回折の結果、結晶性の良い酸化亜鉛であることを確認した。
また、電子顕微鏡写真から、酸化亜鉛粉末(凝集体7)は、平均短軸径が1.0μmで、平均長軸径が6.4μmである針状形状を有する酸化亜鉛粒子が複数が中心部から外側に向かって放射状に突出して凝集しおり、平均粒子径が11.2μm、平均円形度が0.88であった。
【0115】
<凝集体8の作製>
作製方法1の繰返し方法を2回に変更した以外は、凝集体1と同様にして凝集体8を得た。
得られた凝集体8は、平均粒子径が2.8μm、平均円形度が0.91であった。
得られた凝集体8を構成する針状粒子は、長さが1.4μm、外径が0.4μmであった。
【0116】
<凝集体9の作製>
作製方法1の繰返し方法を10回に変更した以外は、凝集体1と同様にして凝集体9を得た。
得られた凝集体9は、平均粒子径が21.0μm、平均円形度が0.96であった。
得られた凝集体9を構成する針状粒子は、長さが10.9μm、外径が 2.0μmであった。
【0117】
<帯電下地ロールの作製>
−導電性弾性層の形成−
下記表1に示した組成の混合物をオープンロールで混練りし、SUS303により形成された直径8mmの導電性の芯体表面に接着層を介してプレス成形機を用いて直径15mmのロールを形成、その後、研磨により直径14mmの帯電下地ロールA、Bを得た。なお、下記配合量は「質量部」である。
【0118】
【表1】

【0119】
<実施例1>
表2に従った組成(表中の組成の単位は質量部)の混合物をメタノールで希釈し、ビーズミルにて分散し得られた分散液を、帯電下地ロールAの表面に浸漬塗布した後、180℃で30分間加熱乾燥し、厚さ10μmの導電性最外層を形成し、実施例1の帯電ロール1を得た。
そして、帯電ロール1とクリーング部材aとを組み合わせてユニット化した帯電装置を、感光体1を組み込んだ画像形成装置に組み込み、画像形成装置を得た。
【0120】
<実施例2〜17、比較例1〜3>
表2〜表5に従った組成(表中の組成の単位は質量部)の混合物を用いて、表2〜表5に従った帯電下地ロール表面に導電性最外層を形成した以外は、実施例1の帯電ロール1と同様にして、各例の帯電ロールを得た。
そして、表2〜表5に従った、帯電ロール、クリーニング部材、及び感光体を組み合わせて、画像形成装置を得た。
【0121】
<評価>
<帯電部材の評価>
各実施例および比較例で得られた帯電ロールについて、表面粗さ、帯電特性、耐久性及び画質を評価した。評価結果を表2〜表5に示す。
【0122】
−表面粗さ−
帯電ロール表面(導電性最外層表面)の十点平均表面粗さRzを、JIS B0601(1994)に準拠して測定した。具体的には、23℃・55RH%の環境下において、接触式表面粗さ測定装置(サーフコム570A、東京精密社製)を用いて測定した。表面粗さの測定に際しては、測定距離を2.5mmとし、接触針としてはその先端がダイヤモンド(5μmR、90°円錐)のものを用い、場所を変えて3回繰り返し測定した際の平均値を十点平均表面粗さRzとして求めた。
【0123】
−帯電特性−
帯電ロールを、DocuCentreIII C3300(富士ゼロックス社製)に、該装置に備えられる帯電ロールの代わりに装着し、10℃、15%RH環境下、A4用紙(富士ゼロックス社製C紙)で50%ハーフトーン画像を印刷する。帯電装置にかかる交流電流値を1.0mAから段階的に変化(増加)させたときの画像欠陥の消失した交流電流値を読み取った。
A:交流電流値が1.35mA以下のとき画像欠陥が消失
B:交流電流値が1.35mAを超え1.4mA以下のとき画像欠陥が消失
C:交流電流値が1.4mAを超え1.5mA以下のとき画像欠陥が消失
D:交流電流値が1.5mAを超えたとき画像欠陥が消失
【0124】
−耐久性及び画質評価−
帯電ロールをDocuCentre Color400CP(富士ゼロックス社製)のドラムカートリッジに装着し、A4用紙50,000枚印字テスト(10℃、15%RH環境下で50,000枚)を行った後に、DocuCentre Color400CPで50%ハーフトーン画像を印刷し、得られた画像を目視で観察し、以下の基準で判定した。
A:画像乱れが全く無い
B:画像の乱れはあるが極軽微で全く問題ない
C:若干の画像の乱れはあるが問題ない
D:画像の乱れ部分がある
E:大部分に画像の乱れが発生
【0125】
【表2】

【0126】
【表3】

【0127】
【表4】

【0128】
【表5】

【0129】
上記結果から、本実施例は、比較例に比べ、帯電特性と共に、耐久性及び画質評価が良好な結果が得られたことがわかる。
【0130】
なお、表1〜表4の材料種の詳細は、以下の通りである。
−樹脂−
・N−メトキシメチル化ナイロン1:F30K、ナガセケムテックス社製
・アクリル樹脂配合物:エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(SR−454、日本化薬社製)、シランカップリング剤(KBM−5103、信越化学社製)をそれぞれ9:1で配合
・ポリアミド樹脂:アミランCM8000、東レ社製
−導電剤−
・カーボンブラック:MONAHRCH1000、キャボット社製、平均粒子径43nm)
−粒子−
・導電性フィラー1:ニカビーズPC1020、日本カーボン社製、体積平均粒子径13μm、平均円形度0.93
・絶縁性フィラー1:シリカ粒子(FB7SDC)、電気化学工業社製、平均粒子径6μm、平均円形度0.99)
−触媒−
・Nacure4167:キングインダストリー社製
【符号の説明】
【0131】
10 像保持体、12 帯電装置、14 露光装置、16 現像装置、18 転写装置、20 クリーニング装置、22 定着装置、24 筐体、24A 開口部、24B 開口部、24C 取り付けレール、30基材、31 導電性弾性層、32 導電性最外層、101 画像形成装置、102 プロセスカートリッジ、121 帯電部材、122 クリーニング部材
123 導電性軸受け、122A基材、122B 弾性層、124 電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
該基材上に設けられ、被帯電体に接触する導電性最外層であって、(A)樹脂と(B)中心部から外側に向かって放射状に突出した複数の針状粒子の凝集体とを含んで構成された導電性最外層と、
を少なくとも備え、
電圧が印加された状態で前記被帯電体に接触することにより前記被帯電体を帯電させる帯電部材。
【請求項2】
前記(B)凝集体の平均粒子径が、3μm以上20μm以下である請求項1に記載の帯電部材。
【請求項3】
前記(B)凝集体の平均円形度が、0.8以上1.0以下である請求項1又は請求項2に記載の帯電部材。
【請求項4】
前記(A)樹脂が、ポリアミド樹脂である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の帯電部材。
【請求項5】
前記ポリアミド樹脂が、メトキシメチル化ポリアミド樹脂である請求項4に記載の帯電部材。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の帯電部材を備える帯電装置。
【請求項7】
像保持体と、
前記像保持体を帯電する帯電手段であって、請求項1から請求項5のいずいれか1に記載された帯電部材を有する帯電手段と、
を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
【請求項8】
像保持体と、
前記像保持体を帯電する帯電手段であって、請求項1から請求項5のいずいれか1に記載された帯電部材を有する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記像保持体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−173360(P2012−173360A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32533(P2011−32533)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】