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帯電防止コーティング用組成物
説明

帯電防止コーティング用組成物

【課題】
本発明は、帯電防止性を有すると共に、ハードコートとして十分な耐擦傷性、透明性を備え、さらには、近年、要求の増加している防水性にも応えることができるような耐久性に優れた光硬化性のコーティング用組成物、およびこのコーティング用組成物を用いた帯電防止層を形成してなる帯電防止フィルムを提供する事を目的とする。
【解決手段】
4級アンモニウム塩基を有する化合物(a−1)及びアルキレンオキサイド鎖を有する化合物(a−2)を必須の構成成分とする帯電防止性共重合体(A)、3つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(B)、光重合開始剤(C)、アルコール(d−1)及び炭酸エステル類、若しくは環状エーテル類から選ばれる溶剤(d−2)を含む溶剤(D)を含むことを特徴とする帯電防止用コーティング組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電防止性、耐擦傷性、透明性、耐久性に優れた光硬化性のコーティング用組成物、およびこのコーティング用組成物を用いた帯電防止層を形成してなる帯電防止フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチックフィルムを基材として用いる製品には、プラスチックフィルムの表面保護を目的にハードコート処理が施されている。
【0003】
しかしながら、一般に、プラスチックフィルム表面のハードコート処理に用いられる、紫外線などの活性エネルギー線にて硬化する、分子中に(メタ)アクリロイル基を有する化合物(以下、「光硬化性化合物」ともいう)から形成される硬化塗膜は、固有表面抵抗値が高く静電気が発生し易いため、粉塵の吸着および静電気に起因したトラブルを生じる。
例えば、LCDやPDPなどのディスプレイの表面には、傷つき防止のためのハードコート処理や、各種光学処理がされたTACフィルムやPETフィルムが使用されているが、ホコリの付着により画像の視認性が著しく損なわれたり、生産工程中に静電気の発生によりトラブルが発生し、生産性が著しく損なわれたりする等の問題が生じる。
これらの問題を解決するため、フィルムへ帯電防止性を付与するために、多くの検討が試みられてきた。例えば、4級アンモニウム塩基含有ポリマーを使用した帯電防止性コーティング組成物をプラスチックフィルムに塗布して、帯電防止性とハードコート性を両立する方法が知られている。
【0004】
しかしながら、一般的に4級アンモニウム塩基含有ポリマーは、吸湿性が高く、疎水性の高いハードコート性の光硬化性化合物と相溶性が悪いため、塗膜を形成する際、組成物中に多くの水分が含まれ、析出ブツ、硬化ムラ、品質ムラが発生する場合があった。
このような問題を解決するため、帯電防止剤として四級アンモニウム塩基含有モノマーとアルキレンオキサイド構造含有モノマーの共重合物と、極性基を含有する単官能モノマーを使用した、帯電防止性コーティング用組成物の提案がなされている(特許文献1〜4参照)。
【0005】
しかしながら、上述の方法では、吸湿による析出ブツ、硬化ムラ、品質ムラは改善するものの、極性基を含有する単官能モノマーを使用するため、塗膜の架橋密度が低下し、ハードコートとして必要な塗膜硬度が不足する。
また、近年、携帯機器に関するディスプレイ分野においては、高い防水性が求められているが、上述の方法により得られた塗膜を温水中に浸漬した場合、加水分解により4級アンモニウム塩が溶出し、帯電防止性が損なわれる場合があった。
【0006】
また、コーティング用組成物に関する技術分野において、基材との密着性向上、干渉ムラ低減等の目的で1,3−ジオキソラン、炭酸ジメチル等の溶剤の利用が特許文献5〜7に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−73305号公報
【特許文献2】特開平8−311366号公報
【特許文献3】特開2001−323029号公報
【特許文献4】特開2007−332181号公報
【特許文献5】特開2010−59280号公報
【特許文献6】特開2007−108449号公報
【特許文献7】特開2007−160513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、帯電防止性を有すると共に、ハードコートとして十分な耐擦傷性、透明性を備え、さらには、近年、要求の増加している防水性にも応えることができるような耐久性に優れた光硬化性のコーティング用組成物、およびこのコーティング用組成物を用いた帯電防止層を形成してなる帯電防止フィルムを提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記問題を解決するため、鋭意検討した結果、本発明に達した。
即ち、本発明は、帯電防止性共重合体(A)、3つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(B)、光重合開始剤(C)及び溶剤(D)を含む帯電防止用コーティング組成物であって、
前記帯電防止性共重合体(A)が、下記一般式(1)で表される4級アンモニウム塩基を有する化合物(a−1)及び下記一般式(2)で表されるアルキレンオキサイド鎖を有する化合物(a−2)を必須の構成成分とする共重合体であり、
前記溶剤(D)が、アルコール系溶剤(d−1)及び炭酸エステル類、若しくは環状エーテル類から選ばれる溶剤(d−2)を含み、
前記化合物(B)100重量部に対して、前記帯電防止性共重合体(A)を1〜20重量部、前記光開始剤(C)を0.1〜20重量部含有し、
前記(A)〜(D)の合計100重量%中に、溶剤(D)を20~80重量%含有し、前記溶剤(D)の100重量%中、アルコール系溶剤(d−1)の含有量が5〜30重量%、炭酸エステル類、若しくは環状エーテル類から選ばれる溶剤(d−2)の含有量が20〜95%であることを特徴とする帯電防止用コーティング組成物。
一般式(1)
CH=C(R)COZ(CH(R)(R)R・X
(式中、RはHまたはCH、R〜Rは炭素数が1〜9の炭化水素基、Zは酸素原子またはNH基、kは1〜10の整数、Xは1価のアニオンを表す。)
一般式(2)
CH=C(R)COO(AO)
(式中、RはHまたはCH、Rは水素または炭素数が1〜22の炭化水素基、nは2〜200の整数、Aは炭素数が2〜4のアルキレン基を表す。)
【0010】
また、本発明は、一般式(1)におけるR〜Rが無置換の炭素数が1〜9のアルキル基であり、一般式(2)Rは水素または無置換の炭素数が1〜22のアルキル基であることを特徴とする上記発明に記載の帯電防止用コーティング組成物に関する。
【0011】
また、本発明はアルコール系溶剤(d−1)が、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、
2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−プロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、
1−メトキシ−2−プロパノール、3−メトキシ−1−プロパノール、1−エトキシ−2−プロノール、2−エトキシ−1−プロノール及び3−エトキシ−1−プロノールからなる群より選ばれることを特徴とする上記発明のいずれかに記載の帯電防止用コーティング組成物に関する。
【0012】
また、本発明は、炭酸エステル類、若しくは環状エーテル類から選ばれる溶剤(d−2)が、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸メチルエチル、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランからなる群より選ばれることを特徴とする上記発明のいずれかに記載の帯電防止用コーティング組成物に関する。
【0013】
また、本発明は、トリアセチルセルロース透明支持体の少なくとも一方の面へ、上記発明のいずれか記載の帯電防止コーティング用組成物を用いた帯電防止層を形成してなる帯電防止フィルムに関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の帯電防止用コーティング組成物から形成される帯電防止層は、十分な帯電防止性を有すると共に、優れた耐擦傷性、透明性を示し、さらに温水浸漬試験においても高い耐久性を有する。従って、本発明の帯電防止コーティング組成物は、ディスプレイ等の表面層、プラスチック成型品の表面コート用など、帯電防止性に加えてハードコート性と透明性が要求される各種用途に好適に使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に特定されない。
【0016】
本発明で用いられる帯電防止性共重合体(A)は、下記一般式(1)で表される4級アンモニウム塩基を有する化合物(a−1)と下記一般式(2)で表されるアルキレンオキサイド鎖を有する化合物(a−2)とを必須の構成成分とし、さらに必要に応じて前記(a−1)、(a−2)と共重合可能な化合物(a−3)をアルコール系溶剤(d−1)中でラジカル共重合して得られる。
【0017】
一般式(1)
CH=C(R)COZ(CH(R)(R)R・X
(式中、RはHまたはCH、R〜Rは炭素数が1〜9の炭化水素基、Zは酸素原子またはNH基、kは1〜10の整数、Xは1価のアニオンを表す。)
【0018】
一般式(2)
CH=C(R)COO(AO)
(式中、RはHまたはCH、Rは水素または炭素数が1〜22の炭化水素基、nは2〜200の整数、Aは炭素数が2〜4のアルキレン基を表す。)
【0019】
<4級アンモニウム塩基を有する化合物(a−1)>
本発明における4級アンモニウム塩基を有する化合物(a−1)は、前記一般式(1)で表され、一般式(1)におけるR〜Rが、炭素数が1〜9の炭化水素基の場合、前記炭化水素基は置換又は無置換のものが選択でき、無置換のものが好ましく、無置換のアルキル基が好ましい。無置換のアルキル基としては、分岐を有するもの、有しないもの、いずれをも使うことができる。これらは、は2種類以上を併用しても良い。
〜Rの炭素数が10よりも大きい場合、生成される帯電防止性共重合体(A)の疎水性が高まる結果、前記帯電防止性共重合体(A)を含有する帯電防止層の吸湿性が低下し、良好な帯電防止性能を得られない場合がある。
一般式(1)におけるR〜Rのうち、無置換のアルキル基としては、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、等の無置換のアルキル基を有するものが入手し易いという点で好ましい。
【0020】
4級アンモニウム塩基を有する化合物(a−1)は、例えば、アミノ基を有する(メタ)アクリレート類、もしくは(メタ)アクリルアミド類を、4級化剤により4級化することにより得られる。また、市販の4級アンモニウム塩基を有する(メタ)アクリレート類や(メタ)アクリルアミド類も使用することができる。
【0021】
一般式(1)におけるZが酸素原子の4級アンモニウム塩基を有する化合物(a−1)を形成するためのアミノ基を有する(メタ)アクリレート類の例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジヒドロキシエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0022】
一般式(1)におけるZがNH基の4級アンモニウム塩基を有する化合物(a−1)を形成するためのアミノ基を有する(メタ)アクリルアミド類の例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジヒドロキシエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。
【0023】
前記アミノ基を有する(メタ)アクリレート類や前記アミノ基を有する(メタ)アクリルアミド類を4級塩化するための4級化剤としては、アルキルベンジルクロライド、ベンジルクロライド、アルキルクロライド、アルキルブロマイド等の各種ハライド類、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、ジプロピル硫酸等のアルキル硫酸類、p−トルエンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸メチル等のスルホン酸エステル類、トリメチルホスファイト等のアルキルリン酸類が用いられる。
【0024】
<アルキレンオキサイド鎖を有する化合物(a−2)>
次に、本発明で用いられる帯電防止性共重合体(A)の形成に用いられるもう1つの必須成分、アルキレンオキサイド鎖を有する化合物(a−2)について説明する。
アルキレンオキサイド鎖を有する化合物(a−2)は、前記一般式(2)で表され、例えば、エチレンオキシドのアルキルアルコールによる開環重合後、(メタ)アクリル酸メチルとのエステル交換反応、もしくは(メタ)アクリル酸クロライドとの反応により得ることができる。
【0025】
前記一般式(2)において、アルキレンオキサイド基(AO)は、炭素数2〜4のアルキレンオキサイド基であり、例えば、エチレンオキサイド基、プロピレンオキサイド基、ブチレンオキサイド基が挙げられる。また、同一モノマー内に、炭素数が異なるアルキレンオキサイド基が存在していてもよい。
アルキレンオキサイド基数(n)は2〜200の整数であり、好ましくは10〜100の整数である。2以下、または101以上の場合は、後述する、分子中に3つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(B)との十分な相溶性が得られない場合がある。
は水素または炭素数1〜22の炭化水素基である。炭素数23以上では、原料が高価であるため実用的ではない。
炭素数1〜22の炭化水素基としては、置換又は無置換のものが選択でき、無置換のものが好ましく、無置換のアルキル基が好ましい。無置換のアルキル基としては、分岐を有するもの、有しないもの、いずれをも使うことができる。これらは、2種類以上を併用しても良い。
【0026】
アルキレンオキサイド鎖を有する化合物(a−2)としては、具体的には例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノブチルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノオクチルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノベンジルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノデシルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノドデシルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノテトラデシルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノヘキサデシルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノオクタデシルエーテルポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレートオクチルエーテル、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレートオクタデシルエーテル、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレートノニルフェニルエーテル等が挙げられる。また、化合物(B)は2種類以上を併用しても良い。
【0027】
<(a−1)、(a−2)と共重合可能な化合物(a−3)>
本発明で用いられる帯電防止性共重合体(A)は、4級アンモニウム塩基を有する化合物(a−1)とアルキレンオキサイド鎖を有する化合物(a−2)とを必須の構成成分とし、さらに必要に応じて任意に前記(a−1)、(a−2)と共重合可能な化合物(a−3)をアルコール系溶剤(d−1)中でラジカル共重合して得られる。
本発明における(a−1)、(a−2)と共重合可能な化合物(a−3)は、1つのエチレン性不飽和基を有する化合物であればよく、特に限定されるものでないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の各種(メタ)アクリレートやスチレン、メチルスチレン等が挙げられる。
【0028】
本発明で用いられる帯電防止性共重合体(A)は、化合物(a−1)、(a−2)及び任意に(a−3)をアルコール系溶剤(d−1)中でラジカル共重合して得ることができる。化合物(a−1)、(a−2)及び(a−3)の使用量は、ラジカル重合性化合物の合計100重量%中、化合物(a−1)は、帯電防止性能の観点から、30〜60重量%、化合物(a−2)は、後述する3つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(B)との相溶性の観点から、10〜50重量%であるのが好ましい。化合物(a−3)は、生成される帯電防止性共重合体(A)の帯電防止性、溶解性、剛直性を整える目的で、必要に応じて0〜50重量%の範囲で使用される。
【0029】
帯電防止性共重合体(A)は、前記量比で混合ざれた化合物(a−1)、(a−2)及び任意に(a−3)を、パーオキサイド系やアゾビス系等の重合開始剤を用いた溶液重合法等により得ることができる。
重合に際して用いる溶剤としては特に限定されないが、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−プロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、3−メトキシ−1−プロパノール、1−エトキシ−2−プロノール、2−エトキシ−1−プロノール及び3−エトキシ−1−プロノールからなる群より選ばれるアルコール系溶剤(d−1)が好適に用いられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】
帯電防止性共重合体(A)の使用量は、後述する3つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(B)100重量部に対し、1〜20重量部が好ましく、3〜15重量部がより好ましい。1重量部未満では十分な帯電防止性能を得ることができず、20重量部を超えると形成される帯電防止層の耐擦傷性や強靱性が低下する。
【0031】
次に本発明の帯電防止用コーティング組成物に用いられる3つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(B)について説明する。
3つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(B)は、分子中に少なくとも3つの以上の(メタ)アクリロイル基を有する架橋反応性化合物であり、その分子内にエーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合等を含むことができる。
【0032】
3つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(B)としては、具体的には例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート等の、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物;
ポリウレタンポリ(メタ)アクリレート、ポリエステルポリ(メタ)アクリレート、ポリエーテルポリ(メタ)アクリレート、ポリアクリルポリ(メタ)アクリレート、ポリアルキッドポリ(メタ)アクリレート、ポリエポキシポリ(メタ)アクリレート、ポリスピロアセタールポリ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンポリ(メタ)アクリレート、ポリチオールポリエンポリ(メタ)アクリレート、ポリシリコンポリ(メタ)アクリレート等の多官能化合物のポリ(メタ)アクリレート化合物;
多価アルコールと多塩基酸および(メタ)アクリル酸とから合成されるエステル化合物、例えばトリメチロールエタン/コハク酸/アクリル酸=2/1/4(モル比)から合成されるエステル化合物等が挙げられる。
なお、本発明において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレートの併記を略したものである。化合物(a−1)、(a−2)に関する説明においても同様である。
【0033】
これら3つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(B)は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
なお、2つ以下のエチレン性不飽和基を有する化合物も、形成される帯電防止層に要求される耐擦傷性や強靱性を満足する範囲で使用することができる。
【0034】
本発明における光重合開始剤(C)は、光励起によってラジカル重合を開始できる機能を有するものであれば特に限定はなく、例えばアセトフェノン化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、ホスフィンオキシド化合物、ケタール化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物等が挙げられる。具体的には、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。また、増感剤として公知の有機アミンを加えることもできる。
【0035】
光重合開始剤(C)の使用量は、前述の3つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(B)100重量部に対し、0.1〜20重量部が好ましく、1〜10重量部がより好ましい。0.1重量%未満では重合開始効果が得られず、20重量%を超えるとハードコート性が低下する恐れがある。
【0036】
次に、本発明における溶剤(D)について説明する。
従来、帯電防止用コーティング組成物に使用される溶剤は、親水性の高い帯電防止性共重合体と疎水性の高い光硬化性組成物を相溶させるため、アルコール等の高極性溶剤とエーテル、ケトン、エステル、炭化水素等の低極性溶剤を混合するのが一般的であった。
本発明では、帯電防止性共重合体(A)と3つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(B)との相溶性の観点から、高極性溶剤としてアルコール系溶剤(d−1)と、低極性溶剤として炭酸エステル類、若しくは環状エーテル類から選ばれる溶剤(d−2)を併用することによって、十分な帯電防止性能を保ちつつハードコート性能を大きく向上させることができるようになった。
【0037】
即ち、低極性溶剤として、炭酸エステル類、若しくは環状エーテル類以外の溶剤、例えばエステル、ケトン、炭化水素系溶剤等を用いると、帯電防止性能の発現が不十分であったり、耐擦傷性が低下したり、温水浸漬試験で帯電防止性が低下したりする場合がある。原因は明確ではないが、炭酸エステル類、若しくは環状エーテル類以外の上記の低極性溶剤を多量に用いると、乾燥の工程で帯電防止性共重合体(A)が塗膜表面付近に全く配向せず帯電防止性能が不十分となったり、逆に表面付近に帯電防止性共重合体(A)が著しく局在化し塗膜表面の架橋密度が低下するためであると推察される。
【0038】
本発明におけるアルコール系溶剤(d−1)としては、帯電防止性共重合体(A)を得る際に用い得る溶剤として例示したものが同様に例示でき、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0039】
炭酸エステル類、若しくは環状エーテル類から選ばれる溶剤(d−2)としては、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸メチルエチル、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランが挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0040】
本発明の帯電防止用コーティング組成物は、帯電防止性共重合体(A)の溶液に、帯電防止性共重合体(A)生成時に用いたのと同じアルコール系溶剤(d−1)及び炭酸エステル類、若しくは環状エーテル類の溶剤(d−2)を加えて得ることもできるし、共重合体(A)生成時に用いたのとは異なるアルコール系溶剤(d−1)及び炭酸エステル類、若しくは環状エーテル類の溶剤(d−2)を加えて得ることもできる。あるいは、帯電防止性共重合体(A)のアルコール系溶剤(d−1)溶液に、炭酸エステル類、若しくは環状エーテル類の溶剤(d−2)を加えることで、塗工に好適な粘度の帯電防止用コーティング組成物を得ることもできる。
【0041】
本発明の帯電防止用コーティング組成物は、溶剤(D)として、前記アルコール系溶剤(d−1)及び炭酸エステル類、若しくは環状エーテル類の溶剤(d−2)と共に、任意のエーテル、ケトン、エステル、炭化水素等の溶剤を、本発明の目的を損なわない範囲で用いることができる。具体的には、溶剤100重量%中に、その他の溶剤は60重量%未満であることが好ましい。
例えば、トリアセチルセルロース支持体を溶解し、密着性を付与する溶剤として、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類等が知られている。これらを、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0042】
帯電防止用コーティング組成物中の溶剤(D)の含有量は、特に制限はないが、一般的に、組成物の粘度、レベリング性、乾燥性の観点から、(A)〜(D)の合計100重量%中に、20〜80重量%含まれるのが好ましく、20〜60重量%含まれることがより好ましい。
そして、前記溶剤(D)の100重量%中、アルコール系溶剤(d−1)の含有量は5〜30重量%、炭酸エステル類、若しくは環状エーテル類の溶剤(d−2)の含有量が20〜95重量%であることが好ましく、アルコール系溶剤(d−1)は10〜20重量%、炭酸エステル類、若しくは環状エーテル類の溶剤(d−2)は30〜85重量%であることがより好ましい。
【0043】
アルコール系溶剤(d−1)の含有量が5重量%未満では帯電防止性共重合体(A)の溶解度が不足し、コーティング組成物中で沈殿物を生じたり、塗膜中で析出し、ゆず肌や白化などの不具合を生じる場合がある。一方、25重量%を超えると、3つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(B)の溶解度が不足し、コーティング組成物の粘度が高くなり塗工適性が低下したり、帯電防止性共重合体(A)の表面局在化が起こりにくく、帯電防止性能が低下したりする恐れがある。
【0044】
また、炭酸エステル類、若しくは環状エーテル類の溶剤(d−2)が20重量%未満の場合、(d−1)及び(d−2)と共に用いられる任意のその他の溶剤の量が相対的に多くなる結果、硬化塗膜の耐擦傷性が低下したり、温水浸漬試験で帯電防止性が低下したりする場合がある。炭酸エステル類、若しくは環状エーテル類の溶剤(d−2)が90重量%を超えると帯電防止性共重合体(A)の溶解度が不足し、コーティング組成物中で沈殿物を生じたり、塗膜中で析出し、ゆず肌になったり、白化したりするなどの不具合を生じる場合がある。
【0045】
本発明の帯電防止コーティング用組成物には必要に応じて、光増感剤、光安定剤、紫外線吸収剤、触媒、着色剤、滑剤、レベリング剤、消泡剤、重合禁止剤、重合促進剤、酸化防止剤、難燃剤、赤外線吸収剤、界面活性剤、表面改質剤、チキソトロピー剤、球状フィラー等を添加することができる。
【0046】
本発明の帯電防止コーティング用組成物は、各種の支持体へ塗工し、帯電防止層付き部材を得ることができる。本発明の帯電防止コーティング用組成物は、プラスチックフィルムに塗工し帯電防止フィルムとして使用することが好ましい。また、必要に応じて、高屈折率層、低屈折率層、近赤外吸収層、電磁波シールド層など公知の機能層が帯電防止層の上層や下層に形成されていてもよい。
【0047】
本発明において基材上に帯電防止層を形成する方法としては、帯電防止コーティング用組成物を、バーコーティング、ブレードコーティング、スピンコーティング、リバースコーティング、ダイティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、マイクログラビアコーティング、リップコーティング、エアーナイフコーティング、ディッピング法等の塗工方法で基材樹脂表面に塗工した後、必要に応じ溶剤を乾燥させ、さらに紫外線等の活性エネルギー線を照射し、塗工した帯電防止コーティング組成物を架橋硬化させる方法が挙げられる。
前記活性エネルギー線としては、キセノンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ等の光源から発せられる紫外線あるいは、通常20〜2000KeVのコックロフワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の電子線加速器から取り出される電子線、α線、β線、γ等を用いることができる。
【0048】
前記方法で得られる帯電防止層の膜厚は、特に限定されないが、通常1〜20μm、好ましくは3〜10μmである。帯電防止層の膜厚が3μm未満では鉛筆硬度や耐擦傷性が低下する恐れがあり、10μmを超える場合は、クラックが発生するおそれがある。
【0049】
本発明において、支持体(基材ともいう)としては、特に限定はなく、ガラス、合成樹脂成型物、フィルム支持体などが挙げられる。
合成樹脂成型物としては、ポリメチルメタクリレートまたはメチルメタクリレートを主構成成分とする共重合体製、ポリスチレン製、スチレン−メチルメタクリレート共重合体製、スチレン−アクリロニトリル共重合体製、ポリカーボネート製、セルロースアセテートブチレート樹脂製、ポリアリルジグリコールカーボネート樹脂製、ポリ塩化ビニル樹脂製、ポリエステル樹脂製のフィルム以外の成型物等が挙げられる。
また、フィルム支持体としては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファンフィルム、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテルフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルフォンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、アクリルフィルム等が挙げられる。
なお、フィルムを支持体として使用する場合、フィルムに更にアクリル系樹脂、共重合ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレン−マレイン酸グラフトポリエステル樹脂、アクリルグラフトポリエステル樹脂等の樹脂層を設けたいわゆる易接着タイプのフィルムも用いることができる。
【0050】
本発明の帯電防止コーティング剤は透明性、帯電防止性、耐擦傷性に優れ、さらに、浸水後の耐久性にも優れている。
透明性は、HAZEで評価することができ、5%以下が好ましく、より好ましくは1.0%以下である。
帯電防止性は、表面抵抗値で評価することができ、5×1012Ω/□以下が好ましい。
また、耐擦傷性は傷の本数で評価することができ、5本以下が好ましく、より好ましくは0本である。
また、本発明によれば、温水浸後にこれらの諸物性を保つことが可能である。これらの効果は、支持体としてトリアセチルセルロース(TAC)フィルムを使用した場合に特に耐擦傷性の点で顕著であり、本発明の帯電防止コーティング組成物は、LCDやPDP等の光学ディスプレイ用途、プラスチック成型品の表面コート用途など、帯電防止性に加えてハードコート性と透明性が要求される各種用途に好適に使用できる。
【実施例】
【0051】
以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例における「部」は、「重量部」を表す。
【0052】
(合成例1)
〈アルキレンオキサイド鎖を有する化合物(a−2−1)の製造〉
攪拌装置、温度計、アルキレンオキサイド導入管、並びに、窒素ガス導入管を備えたオートクレーブに、ドデカノール352.5部、トルエン713部、および、水酸化カリウム2部を仕込み、系中を窒素ガスにて置換した後、反応容器内圧力8kgf/cm以下、温度90℃以下でエチレンオキサイド2500部(ドデカノールに対して30倍モル)を4時間かけて圧入し、さらに90℃で5時間反応させた。次に空気を通じて未反応のエチレンオキサイドを除去した後、協和化学工業(株)製キョーワード600[アルカリ(土類)金属水酸化物の吸着除剤]を42.0部加え、乾燥空気5kPa、30℃の条件にて2時間処理後、濾別し、得られた濾液からトルエンを加熱減圧によって除去し、ポリエチレンオキサイド付加アルコールを得た。
得られたポリエチレンオキサイド付加アルコール300.9部を攪拌装置、温度計、空気導入管、液体添加ラインおよび精留塔を取り付けたフラスコに移し、メタクリル酸メチル200部(ポリエチレンオキサイド付加アルコールに対して10倍モル)、ヒドロキノンモノメチルエーテル0.04部仕込み、乾燥空気を吹き込みながら、80℃に加熱した後、オルトチタン酸テトライソプロピル0.2部を1時間毎に加え、エステル交換反応させた。反応中、必要に応じて副生するメタノールとメタクリル酸メチルを共沸混合物として反応系外へ留去させた。4時間後、アルコール転化率が95%になったところで反応を終了した。
得られた溶液を冷却し、水洗、脱水、濃縮を行い、濾過してエチレンオキサイド基数30とドデシル基を有する化合物(a−2−1)を得た。
なお、アルキレンオキサイド基数は、アルキレンオキサイド付加工程において使用したアルキレンオキサイドとアルコールとのモル比(理論値)をもって表す。
【0053】
〈帯電防止性共重合体(A−1)の製造(共重合過程)〉
攪拌翼、還流冷却器、およびガス導入口を供えたフラスコに、前記で合成した(a−2−1)30部、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド50部、メチルメタクリレート20部、アゾビスイソブチロニトリル1.5部、エタノール233部を仕込み、窒素気流下、70℃で8時間反応した。反応終了後、冷却し、帯電防止性共重合体(A−1)のエタノール溶液(固形分30重量%)を得た。
【0054】
(合成例2)
合成例1のアルキレンオキサイド付加工程において、ドデカノールの代わりにオクタノールを246.4部使用し、トルエンの量を393.0部に変更した。また、エチレンオキサイド2500部の代わりに、エチレンオキサイド666.7部(オクタノールに対して8倍モル)を2時間かけて圧入後、続いてプロピレンオキサイド659.2部(オクタノールに対して6倍モル)を2時間かけて圧入した。また、エステル化工程において、前記アルキレンオキサイド付加工程で得られたポリエチレン・ポリプロピレンオキサイド付加アルコールを165.8部用いた以外は合成例1と同様の操作を行い、エチレンオキサイド基数8、プロピレンオキサイド基数6とオクチル基を有する化合物(a−2−2)を得た。さらに共重合過程において、化合物(a−2−1)を前記化合物(a−2−2)へ変更した以外は、合成例1と同様の操作を行い、帯電防止性共重合体(A−2)のエタノール溶液(固形分30重量%)を得た。
【0055】
(合成例3)
合成例1の共重合過程において、メチルメタクリレートをラウリルメタクリレートへ変更した以外は、合成例1と同様の操作を行い、帯電防止性共重合体(A−3)のエタノール溶液(固形分30重量%)を得た。
【0056】
(合成例4)
合成例1のアルキレンオキサイド付加工程において、ドデカノールの代わりにオクタノールを246.4部使用し、エチレンオキサイド833.3部(オクタノールに対して10倍モル)、トルエンの量を269.9部に変更、また、エステル化工程において、ポリエチレンオキサイド付加アルコールの量を113.9部とした以外は合成例1と同様の操作を行い、エチレンオキサイド基数10とオクチル基を有する化合物(a−2−3)を得た。さらに共重合過程において、化合物(a−2−1)を前記化合物(a−2−3)に、メチルメタクリレートをラウリルメタクリレートへ変更した以外は、合成例1と同様の操作を行い、帯電防止性共重合体(A−4)のエタノール溶液(固形分30重量%)を得た。
【0057】
(合成例5)
合成例1の共重合過程において、化合物(a−2−1)を合成例4で得られた化合物(a−2−3)に、メチルメタクリレートをシクロヘキシルメタクリレートへ変更した以外は、合成例1と同様の操作を行い、帯電防止性共重合体(A−5)のエタノール溶液(固形分30重量%)を得た。
【0058】
(合成例6)
合成例1のアルキレンオキサイド付加工程において、ドデカノールの代わりにステアリルアルコールを511.7部使用し(ステアリルアルコールに対して30倍モルのエチレンオキサイドを使用)、トルエンの量を752.9部に変更、また、エステル化工程において、ポリエチレンオキサイド付加アルコールの量を317.7部とした以外は合成例1と同様の操作を行い、エチレンオキサイド基数30とオクタデシル基を有する化合物(a−2−4)を得た。さらに共重合過程において、化合物(a−2−1)を前記化合物(a−2−4)に、メチルメタクリレートをシクロヘキシルメタクリレートへ変更した以外は、合成例1と同様の操作を行い、帯電防止性共重合体(A−6)のエタノール溶液(固形分30重量%)を得た。
【0059】
(合成例7)
合成例1の共重合過程において、メチルメタクリレートをベンジルメタクリレートへ変更した以外は、合成例1と同様の操作を行い、帯電防止性共重合体(A−7)のエタノール溶液(固形分30重量%)を得た。
【0060】
(合成例8)
合成例1の共重合過程において、化合物(a−2−1)を合成例2で得られた化合物(a−2−2)に、メチルメタクリレートをベンジルメタクリレートへ変更した以外は、合成例1と同様の操作を行い、帯電防止性共重合体(A−8)のエタノール溶液(固形分30重量%)を得た。
【0061】
(実施例1)
ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー(共栄社化学(株)製:UA−306H)50重量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亞合成(株)製:アロニックスM405)40重量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬(株)製:KAYARAD PET30)10重量部に、合成例1で合成した帯電防止性共重合体のエタノール溶液を、帯電防止性共重合体が固形分で5重量部となるように加え、さらに光重合開始剤としてイルガキュアー184(チバスペシャリティケミカルズ製)5重量部添加してなる組成物を、酢酸メチル、エタノール及び1−メトキシ−2−プロパノールで希釈し、溶媒組成が炭酸ジメチル/エタノール/1−メトキシ−2−プロパノール=80/15/5(重量比)の溶剤を50重量%含有する帯電防止組成物を調製した。(溶剤組成中のエタノールの一部は帯電防止性共重合体溶液由来で混入した。)
【0062】
この組成物を厚さ約80μmのトリアセチルセルロースフィルム(富士フイルム(株)製)、あるいは厚さ約100μmの表面易接着処理ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製:ルミラーU48)上にバーコーターを用いて塗布し、熱風オーブンで溶剤を除去した後、出力80w/cmの高圧水銀ランプで紫外線を照射し、塗布層を硬化させ、膜厚6μmの帯電防止ハードコートフィルムを得た。
【0063】
得られた帯電防止ハードコート層を有するフィルムについて次の評価方法により評価を行い、結果を表1に示した。
【0064】
(1)塗膜の外観:帯電防止層の外観を目視にて評価した。評価基準は以下のように行った。
○:凝集物の発生、ゆず肌や白化がない。
×:凝集物の発生、ゆず肌や白化が見られる。
【0065】
(2)表面抵抗率:25℃、相対湿度40%雰囲気下で24時間放置した後、TOA社製表面抵抗率計(SM−8000series SME−8310)を用い、温度25℃、相対湿度40%の条件で、印加電圧100Vをかけて1分後の表面抵抗率(Ω/□)を測定した。評価基準は以下のように行った。
◎:1.0E+10Ω/□以下
○:1.0E+10Ω/□〜1.0E+11Ω/□未満
△:1.0E+11Ω/□〜1.0E+12Ω/□未満
×:1.0E+12Ω/□以上
【0066】
(3)ヘイズ値・全光線透過率:日本電色社製Haze Meter NDH2000でヘイズ値(Hz)および全光線透過率(TT)を測定した。
【0067】
(4)耐擦傷性:#0000のスチールウールを装着した1平方センチメートルの角形パッドを試料表面上に置き、荷重500gで10回往復させた後、外観を目視で評価し、傷の本数を測定した
【0068】
(5)鉛筆硬度:JIS K5400に従って評価した。
【0069】
(6)密着性試験:JIS K5400碁盤目剥離法に準じて、帯電防止層にカッターナイフで1ミリ間隔の碁盤目状の切り傷を100ますつけ、セロハンテープ(ニチバン社製)を貼り付け、一気に引きはがした後、剥離しないで残った帯電防止層のます目を数え、n/100で表した。例)100/100:剥離なし。0/100:全て剥離。
【0070】
(7)高温・高湿度耐久試験後の表面抵抗率:ガラス板に帯電防止ハードコートフィルムの裏面(帯電防止層とは反対側、即ちトリアセチルセルロースフィルム面、あるいはポリエチレンテレフタレートフィルム面)を粘着テープで貼り付けた試料を、85℃、85%RHの環境下に100時間放置した後、前記(2)同様の方法で表面抵抗率を測定し評価した。
【0071】
(8)耐温水性試験後の表面抵抗率:上記(7)と同様の試料を85℃の水中で20分間浸漬後、前記(2)同様の方法で、表面抵抗率を測定し評価した。
【0072】
(実施例2〜12、比較例1〜3)
使用する帯電防止性共重合体を、表1および表2に示すように合成例1〜8で得られた帯電防止性共重合体(A−1〜8)エタノール溶液とし、溶剤組成を表1および表2に示す割合とした以外は実施例1と同様にして帯電防止組成物を得た。さらに同様の評価を行い、その結果を表1および表2に示した。
【0073】
(実施例13)
合成例2で得られた帯電防止性共重合体(A−2)のエタノール溶液をヘキサン中に投入し、析出物を濾別後、乾燥することで帯電防止性共重合体(A−2)の固体を得た。得られた帯電防止性共重合体(A−2)の固体5重量部に、エタノール10重量部、酢酸エチル85重量部、メチルエチルケトン5重量部を加え、さらにペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー(共栄社化学(株)製:UA−306H)50重量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亜合成(株)製:アロニックスM405)40重量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬(株)製:KAYARAD PET30)10重量部、光重合開始剤としてイルガキュアー184(チバスペシャリティケミカルズ製)5重量部を添加し、溶媒組成が炭酸ジメチル/エタノール/メチルエチルケトン=85/10/5(重量比)である固形分52重量%の帯電防止組成物を調製した。さらに実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に示した。
【0074】
【表1】

【0075】
【表2】

【0076】
表1、2中の略号は以下の通り。
溶剤(D)
EtOH:エチルアルコール
PGM:1−メトキシ−2−プロパノール
DMC:炭酸ジメチル
MEC:炭酸ジエチル
1,3−DOX:1,3−ジオキソラン
1,4−DOX:1,4−ジオキサン
THF:テトラヒドロフラン
n−PrAc:酢酸−ノルマルプロピル
MEK:メチルエチルケトン
【0077】
表1、表2の結果より、比較例1では、溶剤(D)がアルコール系溶剤(d−1)のみのため、ゆず肌、耐温水性試験後の帯電防止性の低下などの不具合が生じており、さらに、トリアセチルセルロース支持体フィルムでは、密着性も低い結果となった。
比較例2では、溶剤(D)がアルコール系溶剤(d−1)とケトン系溶剤のため、トリアセチルセルロース支持体フィルムにおいて、耐擦傷性が低く、耐温水試験後の帯電防止性が低下する結果となった。
また、比較例3、4では、溶剤(D)が炭酸エステル類又は環状エーテル類(d−2)の配合量が不十分であるため、耐温水試験後の帯電防止性が低い結果となった。
これに対して、実施例1〜13はいずれも、溶剤(D)にアルコール系溶剤(d−1)と炭酸エステル類又は環状エーテル類(d−2)を好適な配合比で使用しており、透明性・帯電防止性・硬度のバランスの良い膜が得られた。
実施例4〜7より分かるように、溶剤(D)には、アルコール系溶剤(d−1)及び炭酸エステル類又は環状エーテル類(d−2)と共に、ケトン類やエステル類等の溶剤を用いることができる。また、実施例5と比較例3,4の比較から、溶剤(D)中の炭酸エステル類又は環状エーテル類(d−2)の量は20重量%以上が好ましい事が分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電防止性共重合体(A)、3つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(B)、光重合開始剤(C)及び溶剤(D)を含む帯電防止用コーティング組成物であって、
前記帯電防止性共重合体(A)が、下記一般式(1)で表される4級アンモニウム塩基を有する化合物(a−1)及び下記一般式(2)で表されるアルキレンオキサイド鎖を有する化合物(a−2)を必須の構成成分とする共重合体であり、
前記溶剤(D)が、アルコール系溶剤(d−1)及び炭酸エステル類、若しくは環状エーテル類から選ばれる溶剤(d−2)を含み、
前記化合物(B)100重量部に対して、前記帯電防止性共重合体(A)を1〜20重量部、前記光開始剤(C)を0.1〜20重量部含有し、
前記(A)〜(D)の合計100重量%中に、溶剤(D)を20~80重量%含有し、前記溶剤(D)の100重量%中、アルコール系溶剤(d−1)の含有量が5〜30重量%、炭酸エステル類、若しくは環状エーテル類から選ばれる溶剤(d−2)の含有量が20〜95%であることを特徴とする帯電防止用コーティング組成物。
一般式(1)
CH=C(R)COZ(CH(R)(R)R・X
(式中、RはHまたはCH、R〜Rは炭素数が1〜9の炭化水素基、Zは酸素原子またはNH基、kは1〜10の整数、Xは1価のアニオンを表す。)
一般式(2)
CH=C(R)COO(AO)
(式中、RはHまたはCH、Rは水素または炭素数が1〜22の炭化水素基、nは2〜200の整数、Aは炭素数が2〜4のアルキレン基を表す。)
【請求項2】
一般式(1)におけるR〜Rが無置換の炭素数が1〜9のアルキル基であり、一般式(2)におけるRは水素または無置換の炭素数が1〜22のアルキル基であることを特徴とする請求項1記載の帯電防止用コーティング組成物。
【請求項3】
アルコール系溶剤(d−1)が、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、
2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−プロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、
1−メトキシ−2−プロパノール、3−メトキシ−1−プロパノール、1−エトキシ−2−プロノール、2−エトキシ−1−プロノール及び3−エトキシ−1−プロノールからなる群より選ばれることを特徴とする請求項1又は2記載の帯電防止用コーティング組成物。
【請求項4】
炭酸エステル類、若しくは環状エーテル類から選ばれる溶剤(d−2)が、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸メチルエチル、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランからなる群より選ばれることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の帯電防止用コーティング組成物。
【請求項5】
トリアセチルセルロース透明支持体の少なくとも一方の面へ、請求項1〜5いずれか記載の帯電防止コーティング用組成物を用いた帯電防止層を形成してなる帯電防止フィルム。

【公開番号】特開2012−102166(P2012−102166A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249073(P2010−249073)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【特許番号】特許第4678451号(P4678451)
【特許公報発行日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000222118)東洋インキSCホールディングス株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】