説明

帯電防止性粘着剤

【課題】 従来の帯電防止性粘着剤は、帯電防止性能が経時的に劣化していくという問題や、高温(100℃)では粘着力が低下したり、糊残りを生じるという問題がある。本発明の目的は、永久帯電防止性、耐熱性及び低汚染性に優れた帯電防止性粘着剤を提供することにある。
【解決手段】 ポリオレフィン(a)のブロックと、体積固有抵抗値が1×105〜1×1011Ω・cmの親水性ポリマー(b)のブロックとが、エステル結合、アミド結合、エーテル結合及びイミド結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合を介して繰り返し交互に結合した構造を有するブロックポリマー(A)からなる帯電防止剤と熱可塑性樹脂(B)からなる帯電防止性粘着剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粘着剤に関する。さらに詳しくは、帯電防止性粘着剤及び帯電防止性粘着フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、帯電防止性粘着剤としては、ウレタンアクリレート、ポリアルキレンオキサイド鎖を有する(メタ)アクリレート及び接着力付与性モノマーを主成分とする重合体にイオン性化合物を含有させてなる粘着剤(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−129235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のものは帯電防止性能が経時的に劣化していくという問題がある。また、電子機器、自動車用途など高温(80〜100℃)にさらされる部位での使用において、粘着力が低下したり糊残りを生じたりするという問題がある。
本発明の目的は、永久帯電防止性、低汚染性及び耐熱性に優れた帯電防止性粘着剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
即ち、本発明は、ポリオレフィン(a)のブロックと、体積固有抵抗値が1×105〜1×1011Ω・cmの親水性ポリマー(b)のブロックとが、エステル結合、アミド結合、エーテル結合及びイミド結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合を介して繰り返し交互に結合した構造を有するブロックポリマー(A)からなる帯電防止剤と熱可塑性樹脂(B)からなる帯電防止性粘着剤;該粘着剤を基材フィルム上にシート状に成形してなる帯電防止性粘着フィルムである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の帯電防止性粘着剤は下記の効果を奏することから極めて有用である。
(1)永久帯電防止性に優れる。
(2)糊残りが極めて少なく被着体に対して低汚染性である。
(3)室温(25℃)から高温(100℃)まで良好な粘着力を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
ブロックポリマー(A)は、ポリオレフィン(a)のブロックと、体積固有抵抗値が1×105〜1×1011Ω・cmの親水性ポリマー(b)のブロックとが、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合及びイミド結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合を介して繰り返し交互に結合した構造を有する。
(a)のブロックとしては、カルボニル基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a1)、水酸基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a2)、アミノ基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a3)が使用でき、さらに、カルボニル基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a4)、水酸基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a5)及びアミノ基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a6)が使用できる。これらのうち、変性のし易さからカルボニル基を有するポリオレフィン(a1)及び(a4)が好ましい。
【0008】
(a1)としては、両末端が変性可能なポリオレフィンを好ましくは主成分(含量50重量%以上、さらに好ましくは75重量%以上、とくに好ましくは80〜100重量%)とするポリオレフィン(a0)の両末端にカルボニル基を導入したものが挙げられる。
(a0)は、通常、両末端が変性可能なポリオレフィン、片末端が変性可能なポリオレフィン及び変性可能な末端基を持たないポリオレフィンの混合物であるが、両末端が変性可能なポリオレフィンが主成分であるものが好ましい。
【0009】
(a0)としては、炭素数(以下、Cと略記)2〜30のオレフィンの1種又は2種以上の混合物の(共)重合(重合又は共重合を意味する。以下同様。)によって得られるポリオレフィン[重合法]及び高分子量のポリオレフィン(C2〜30のオレフィンの重合によって得られるポリオレフィン)の熱減成法によって得られる低分子量ポリオレフィン[熱減成法]が使用できる。
【0010】
C2〜30のオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、C4〜30(好ましくは4〜12、さらに好ましくは4〜10)のα−オレフィン、及びC4〜30(好ましくは4〜18、さらに好ましくは4〜8)のジエンなどが挙げられる。
α−オレフィンとしては、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン及び1−ドデセンなどが挙げられ、ジエンとしては、ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン、シクロペンタジエン及び1,11−ドデカジエンなどが挙げられる。
これらのうち好ましいのは、C2〜12(エチレン、プロピレン、C4〜12のα−オレフィン、ブタジエン及び/又はイソプレンなど)、さらに好ましいのはC2〜10(エチレン、プロピレン、C4〜10のα−オレフィン及び/又はブタジエンなど)、とくに好ましいのはエチレン、プロピレン及び/又はブタジエンである。
【0011】
熱減成法によって得られる低分子量ポリオレフィンは、例えば、特開平3−62804号公報記載の方法等により容易に得ることができる。
重合法によって得られるポリオレフィンは公知の方法で製造でき、例えば、ラジカル触媒、金属酸化物触媒、チーグラー触媒及びチーグラー−ナッタ触媒等の存在下で上記オレフィンを(共)重合させる方法等により容易に得ることができる。
ラジカル触媒としては、公知のもの、例えばジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルベンゾエート、デカノールパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、パーオキシ−ジ−カーボネートエステル、アゾ化合物等、及びγ−アルミナ担体に酸化モリブデンを付着させたもの等が挙げられる。
金属酸化物触媒としては、シリカ−アルミナ担体に酸化クロムを付着させたもの等が挙げられる。
チーグラー触媒及びチーグラー−ナッタ触媒としては、(C253Al−TiCl4等が挙げられる。
変性基であるカルボニル基の導入のしやすさ、及び入手のしやすさの点で、熱減成法による低分子量ポリオレフィンが好ましい。
【0012】
(a0)のゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)による数平均分子量(以下、Mnと略記。)は帯電防止性の観点から好ましくは800〜20,000、さらに好ましくは1,000〜10,000、とくに好ましくは1,200〜6,000である。
(a0)中の二重結合の量は、帯電防止性の観点から好ましくは、C1,000当たり1〜40個、さらに好ましくは2〜30個、とくに好ましくは4〜20個である。
1分子当たりの二重結合の平均数は、繰り返し構造の形成性の観点及び帯電防止性の観点から好ましくは、1.1〜5、さらに好ましくは1.3〜3、とくに好ましくは1.5〜2.5、最も好ましくは1.8〜2.2である。
熱減成法においては、Mnが800〜6,000の範囲で、一分子当たりの平均末端二重結合数が1.5〜2個の低分子量ポリオレフィンが容易に得られる〔例えば、村田勝英、牧野忠彦、日本化学会誌、192頁(1975)参照〕。
【0013】
Mnの測定条件は以下の通りである(以下、Mnは同じ条件で測定するものである)。
装置 :高温ゲルパーミエイションクロマトグラフィー
溶媒 :オルトジクロロベンゼン
基準物質 :ポリスチレン
サンプル濃度:3mg/ml
カラム固定相:PLgel MIXED−B
カラム温度 :135℃
【0014】
カルボニル基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a1)としては、(a0)の両末端をα、β−不飽和カルボン酸(無水物)(α,β−不飽和カルボン酸、そのC1〜4のアルキルエステル又はその無水物を意味する。以下、同様。)で変性した構造を有するポリオレフィン(a11)、(a11)をラクタム又はアミノカルボン酸で二次変性した構造を有するポリオレフィン(a12)、(a0)を酸化又はヒドロホルミル化変性した構造を有するポリオレフィン(a13)、(a13)をラクタム又はアミノカルボン酸で二次変性した構造を有するポリオレフィン(a14)及びこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
【0015】
(a11)は、(a0)をα,β−不飽和カルボン酸(無水物)により変性することにより得られる。
α,β−不飽和カルボン酸(無水物)としては、C3〜12のカルボン酸、例えばモノカルボン酸[(メタ)アクリル酸など]、ジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸など)、これらのアルキル(C1〜4)エステル[(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、イタコン酸ジエチルなど]及びこれらの無水物が挙げられる。
これらのうち(a0)との反応性の観点から好ましいのは、ジカルボン酸、これらのアルキルエステル及びこれらの無水物、さらに好ましいのはマレイン酸(無水物)及びフマル酸、とくに好ましいのはマレイン酸(無水物)である。
【0016】
α、β−不飽和カルボン酸(無水物)の使用量は、ポリオレフィン(a0)の重量に基づき、繰り返し構造の形成性及び帯電防止性の観点から好ましくは、0.5〜40重量%、さらに好ましくは1〜30重量%、とくに好ましくは2〜20重量%である。
α,β−不飽和カルボン酸(無水物)によるポリオレフィン(a0)の変性は公知の方法、例えば、(a0)の末端二重結合に、溶液法又は溶融法のいずれかの方法で、α,β−不飽和カルボン酸(無水物)を熱的に付加(エン反応)させることにより行うことができる。
溶液法としては、キシレン、トルエン等の炭化水素系溶媒の存在下、(a0)にα,β−不飽和カルボン酸(無水物)を加え、窒素等の不活性ガス雰囲気中170〜230℃で反応させる方法などが挙げられる。
溶融法としては、(a0)を加熱溶融した後に、α,β−不飽和カルボン酸(無水物)を加え、窒素等の不活性ガス雰囲気中170〜230℃で反応させる方法が挙げられる。これらの方法のうち、反応の均一性の観点から好ましいのは溶液法である。
【0017】
(a12)は、(a11)をラクタム又はアミノカルボン酸で二次変性することにより得られる。
ラクタムとしては、C6〜12(好ましくは6〜8、さらに好ましくは6)のラクタム、例えば、カプロラクタム、エナントラクタム、ラウロラクタム及びウンデカノラクタムが挙げられる。
アミノカルボン酸としては、C2〜12(好ましくは4〜12、さらに好ましくは6〜12)のアミノカルボン酸、例えば、アミノ酸(グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニンなど)、ω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノペルゴン酸、ω−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸及び12−アミノドデカン酸が挙げられる。
これらのうち、二次変性の反応性の観点から好ましいのは、カプロラクタム、ラウロラクタム、グリシン、ロイシン、ω−アミノカプリル酸、11−アミノウンデカン酸及び12−アミノドデカン酸、さらに好ましいのはカプロラクタム、ラウロラクタム、ω−アミノカプリル酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、特に好ましいのはカプロラクタム及び12−アミノドデカン酸である。
ラクタム又はアミノカルボン酸の使用量は、帯電防止性の観点から好ましくは、α,β−不飽和カルボン酸からカルボキシル基を除いた残基1個当たり、ラクタム又はアミノカルボン酸0.1〜20個、さらに好ましくは0.3〜15個、特に好ましくは0.5〜10個である。
【0018】
(a13)は、(a0)を酸素及び/又はオゾンにより酸化又はオキソ法によりヒドロホルミル化してカルボニル基を導入することにより得られる。
酸化によるカルボニル基の導入は、公知の方法、例えば、米国特許第3,692,877号明細書記載の方法で行うことができる。ヒドロホルミル化によるカルボニル基の導入は、公知の方法、例えば、Macromolecules、Vol.31、5943頁記載の方法で行うことができる。
【0019】
(a14)は、(a13)をラクタム又はアミノカルボン酸で二次変性することにより得られる。
ラクタム及びアミノカルボン酸としては、(a12)で例示したものが挙げられその使用量も同様である。
【0020】
カルボニル基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a1)のMnは、耐熱性及び後述する親水性ポリマー(b)との反応性の観点から好ましくは、800〜25,000、さらに好ましくは1,000〜20,000、とくに好ましくは2,500〜10,000である。
また、(a1)の酸価は、(b)との反応性の観点から好ましくは、4〜280(mgKOH/g、以下、数値のみを記載する。)、さらに好ましくは4〜100、特に好ましくは5〜50である。
【0021】
親水性ポリマー(b)としては、ポリエーテルジオール(b1)及びポリエーテルジアミン(b2)が使用できる。
【0022】
ポリエーテルジオール(b1)としては、ジオール(b01)又は2価フェノール(b02)にアルキレンオキシド(以下、AOと略記)(C2〜12)を付加反応させることにより得られる構造のもの、例えば、一般式:H(OA1)mO−E1−O(A1O)m'Hで示されるもの等が挙げられる。
式中、E1は、(b01)又は(b02)から水酸基を除いた残基を表し、A1は、ハロゲン原子を含んでいてもよいC2〜12(好ましくは2〜8、さらに好ましくは2〜4)のアルキレン基;m及びm’は1〜300、好ましくは2〜250、とくに好ましくは10〜100の整数を表し、mとm’とは同一でも異なっていてもよい。また、m個の(OA1)とm’個の(A1O)とは同一でも異なっていてもよく、また、これらが2種以上のオキシアルキレン基で構成される場合の結合形式はブロック、ランダム又はこれらの組合せのいずれでもよい。
【0023】
ジオール(b01)としては、C2〜12(好ましくは2〜10、さらに好ましくは2〜8)の2価アルコール(脂肪族、脂環式及び芳香脂肪族2価アルコール)及びC1〜12の3級アミノ基含有ジオールなどが挙げられる。
脂肪族2価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール及び1,12−ドデカンジオールなどが挙げられる。
脂環式2価アルコールとしては、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロオクタンジオール及び1,3−シクロペンタンジオールなどが挙げられる。
芳香脂肪族2価アルコールとしては、キシリレンジオール、1−フェニル−1,2−エタンジオール及び1,4−ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼンなどが挙げられる。
【0024】
3級アミノ基含有ジオールとしては、脂肪族又は脂環式1級モノアミン(C1〜12、好ましくは2〜10、さらに好ましくは2〜8)のビスヒドロキシアルキル(アルキル基のC1〜12、好ましくは2〜10、さらに好ましくは2〜8)化物及び芳香(脂肪)族1級モノアミン(C6〜12)のビスヒドロキシアルキル(アルキル基のC1〜12)化物等が挙げられる。
モノアミンのビスヒドロキシアルキル化物は、公知の方法、例えば、モノアミンとC2〜4のAO[エチレンオキシド(以下、EOと略記)プロピレンオキシド(以下、POと略記)、ブチレンオキシドなど]とを反応させるか、モノアミンとC1〜12のハロゲン化ヒドロキシアルキル(2−ブロモエチルアルコール、3−クロロプロピルアルコールなど)とを反応させることにより容易に得ることができる。
【0025】
脂肪族1級モノアミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、1−及び2−プロピルアミン、n−及びi−アミルアミン、ヘキシルアミン、1,3−ジメチルブチルアミン、3,3−ジメチルブチルアミン、2−及び3−アミノヘプタン、ヘプチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン及びドデシルアミンなどが挙げられる。
脂環式1級モノアミンとしては、シクロプロピルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミンなどが挙げられる。
芳香(脂肪)族1級モノアミンとしては、アニリン及びベンジルアミンなどが挙げられる。
【0026】
2価フェノール(b02)としては、C6〜18(好ましくは8〜18、さらに好ましくは10〜15)、例えば単環2価フェノール(ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、ウルシオールなど)、ビスフェノール(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−ブタン、ジヒドロキビフェニルなど)及び縮合多環2価フェノール(ジヒドロキシナフタレン、ビナフトールなど)などが挙げられる。
【0027】
(b01)及び(b02)のうち帯電防止性の観点から好ましいのは、2価アルコール及び2価フェノール、さらに好ましいのは脂肪族2価アルコール及びビスフェノール、とくに好ましいのはエチレングリコール及びビスフェノールAである。
【0028】
ジオール(b01)又は2価フェノール(b02)に付加反応させるAOとしては、C2〜12のAO(EO、PO、1,2−、1,4−、2,3−及び1,3−ブチレンオキシド及びこれらの2種以上の混合物)等が挙げられるが、必要によりその他のAO及び置換AOを併用してもよい。
その他のAO及び置換AOとしては、C5〜12のα−オレフィンのエポキシ化物、スチレンオキシド及びエピハロヒドリン(エピクロルヒドリン及びエピブロモヒドリン等)等が挙げられる。他のAO及び置換AOのそれぞれの使用量は、全AOの重量に基づいて帯電防止性の観点から好ましくは、30重量%以下、さらに好ましくは0又は25重量%以下、とくに好ましくは0又は20重量%以下である。
【0029】
2種以上のAOを併用するときの結合形式はランダム及び/又はブロックのいずれでもよい。
AOのうち帯電防止性の観点から好ましいのは、EO単独、及びEOとEO以外のAOとの併用(ブロック及び/又はランダム付加)、さらに好ましいのはEO単独及びEOとPOの併用、とくに好ましいのはEO単独である。
AOの付加モル数は、親水性ポリマー(b)の体積固有抵抗値の観点から好ましくは、(b01)又は(b02)の水酸基1個当り1〜300モル、さらに好ましくは2〜250モル、とくに好ましくは10〜100モルである。
【0030】
AOの付加反応は、公知の方法、例えばアルカリ触媒(水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなど)の存在下、100〜200℃、圧力0〜0.5MPaGの条件で行なうことができる。
ポリエーテルジオール(b1)中のオキシアルキレン単位の含量は、(b1)の重量に基づいて親水性ポリマー(b)の体積固有抵抗値の観点から好ましくは、5〜99.8重量%、さらに好ましくは8〜99.6重量%、とくに好ましくは10〜98重量%である。また、ポリオキシアルキレン鎖中のオキシエチレン単位の含量は、ポリオキシアルキレン鎖の重量に基づいて(b)の体積固有抵抗値の観点から好ましくは、5〜100重量%、さらに好ましくは10〜100重量%、とくに好ましくは50〜100重量%、最も好ましくは60〜100重量%である。
【0031】
ポリエーテルジアミン(b2)としては、ポリエーテルジオール(b1)の水酸基をアミノ基(1級又は2級アミノ基)に変性した構造のもの、例えば、一般式:RNH−A2−(OA1)mO−E1−O(A1O)m'−A2−NHRで示されるものが挙げられる。
式中の記号E1は、(b01)又は(b02)から水酸基を除いた残基を表し、A1は、ハロゲン原子を含んでいてもよいC2〜12(好ましくは2〜8、さらに好ましくは2〜4)のアルキレン基;m及びm’は1〜300、好ましくは2〜250、とくに好ましくは10〜100の整数を表し、mとm’とは同一でも異なっていてもよい。A2はハロゲン原子を含んでいてもよいC2〜12(好ましくは2〜8、さらに好ましくは2〜4)のアルキレン基を表し、A1とA2とは同じでも異なってもよい。RはH又はC1〜4(好ましくは1又は2)のアルキル基を表す。
(b2)は、(b1)の両末端水酸基を公知の方法によりアミノ基に変えることにより、容易に得ることができる。
水酸基をアミノ基に変える方法としては、公知の方法、例えば、(b1)の水酸基をシアノアルキル化して得られる末端シアノアルキル基を還元してアミノ基とする方法[例えば、(b1)とアクリロニトリルとを反応させ、得られるシアノエチル化物に水素添加する方法]、(b1)とアミノカルボン酸又はラクタムとを反応させる方法、及び(b1)とハロゲン化アミンをアルカリ条件下で反応させる方法等が挙げられる。
(b)として上述したものは、2種以上を任意に併用してもよい。
【0032】
親水性ポリマー(b)の体積固有抵抗値(後述の方法で、23℃、50%RHの雰囲気下で測定される値)は105〜1011Ω・cm、好ましくは106〜1010Ω・cm、さらに好ましくは107〜109Ω・cmである。体積固有抵抗値が105未満のものは樹脂物性が悪化し、1011を超えると帯電防止性が悪化する。
(b)のMnは、耐熱性及びポリオレフィン(a)との反応性の観点から好ましくは、150〜20,000、さらに好ましくは300〜18,000、とくに好ましくは1,000〜15,000、最も好ましくは1,200〜8,000である。
【0033】
ブロックポリマー(A)は、上記ポリオレフィン(a)のブロックと、親水性ポリマー(b)のブロックとが、エステル結合、アミド結合、エーテル結合及びイミド結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合を介して繰り返し交互に結合した構造を有するものであり、これらのうち帯電防止性及び透明性の観点から好ましいのは下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するポリマーである。
【0034】
【化4】

【0035】
式(1)において、nは2〜50(好ましくは3〜40、さらに好ましくは4〜30、)の整数;R1及びR2の一方はHで他方はH又はメチル基;yは15〜800(好ましくは20〜500、さらに好ましくは30〜400)の整数;E1は、ジオール(b01)又は2価フェノール(b02)から水酸基を除いた残基;A1はC2〜4のアルキレン基;m及びm’は1〜300(好ましくは5〜200、さらに好ましくは8〜150)の整数;X及びX’は、下記一般式(2)、(3)及び対応する(2’)、(3’)から選ばれる基、すなわち、Xが一般式(2)で示される基のとき、X’は一般式(2’)で示される基であり、一般式(3)と(3’)についても同様の関係である。
【0036】
【化5】

【0037】
;一般式(2)、(3)及び対応する(2’)、(3’)式において、Rは前記(b2)において述べたものと同じでH又はC1〜4(好ましくは1又は2)のアルキル基、R3はC1〜11(好ましくは2〜11、さらに好ましくは5〜11)の2価の炭化水素基、R4はH又はC1〜10(好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜6)のアルキル基;rは1〜20(好ましくは1〜15、さらに好ましくは1〜10)の整数であり、uは0又は1;Q、Q’、T及びT’は次式で示される基
【0038】
【化6】

【0039】
;上記の一般式(4)、(5)及び対応する(4’)、(5’)式中、R5はH又はC1〜10(好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜6)のアルキル基、R6はH又はメチル基、tはR6がメチル基のとき1、Hのとき0である。
【0040】
一般式(1)で示される繰り返し単位中の{ }内のポリエーテルセグメント{(OA1)mO−E1−O(A1O)m'}は、前記ポリエーテルジオール(b1)又はポリエーテルジアミン(b2)に由来する構造であり、式中のE1、A1、m及びm’は前記と同様である。
【0041】
一般式(1)において、Xが一般式(2)で示される基、及びX’が一般式(2’)で示される基であるブロックポリマーには、(a11)及び/又は(a12)と(b1)とを重合反応させることにより得られる(A1)と、(a11)及び/又は(a12)と(b2)とを重合反応させることにより得られる(A2)とが含まれる。
(A1)には(a11)と(b1)とを組み合わせた(A11)、(a12)と(b1)とを組み合わせた(A12)、及び(A11)と(A12)の混合物が含まれる。また、同様に(A2)には(a11)と(b2)とを組み合わせた(A21)、(a12)と(b2)とを組み合わせた(A22)、及び(A21)と(A22)の混合物が含まれる。
【0042】
(A1)は、公知の方法、例えば(a11)及び/又は(a12)に、(b1)を加えて減圧下、通常200〜250℃で重合(重縮合)反応を行う方法、又は、一軸もしくは二軸の押出機を用い、通常160〜250℃、滞留時間0.1〜20分で重合する方法により製造することができる。
上記の重合反応では、公知の触媒、例えばアンチモン触媒(三酸化アンチモン等);スズ触媒(モノブチルスズオキシド等);チタン触媒(テトラブチルチタネート等);ジルコニウム触媒(テトラブチルジルコネート等);有機酸金属塩触媒[ジルコニウム有機酸塩(酢酸ジルコニル等)、酢酸亜鉛等];及びこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。これらのうち好ましいのは、ジルコニウム触媒及びジルコニウム有機酸塩、さらに好ましいのは酢酸ジルコニルである。
触媒の使用量は、(a11)及び/又は(a12)と(b1)の合計重量に対して、通常0.001〜5%、好ましくは0.01〜3%である。
【0043】
(A1)のうち、(A12)は(a11)を前記ラクタムもしくはアミノカルボン酸で二次変性した後に、(b1)を加えて反応させてもよいし、(a11)とラクタムもしくはアミノカルボン酸を(b1)の存在下反応させ、続いて(b1)と反応させて製造してもよい。
【0044】
(A2)は、(A1)における(a11)及び/又は(a12)と(b1)の組み合わせを、(a11)及び/又は(a12)と(b2)の組み合わせに代える以外は(A1)と同様の方法で製造することができる。
また、(A2)のうち、(A22)は(b2)を前記ラクタムもしくはアミノカルボン酸で二次変性した後に、これと(a11)とを反応させて製造してもよい。
【0045】
一般式(1)において、Xが一般式(3)で示される基、及びX’が一般式(3’)で示される基であるブロックポリマーには、(a13)(r=1の場合)及び/又は(a14)(r≧2の場合)と(b1)とを重合反応させることにより得られる(A3)と、(a13)及び/又は(a14)と(b2)とを重合反応させることにより得られる(A4)とが含まれる。
(A3)には(a13)と(b1)とを組み合わせた(A31)、(a14)と(b1)とを組み合わせた(A32)、及び(A31)と(A32)の混合物が含まれる。また、同様に(A4)には(a13)と(b2)とを組み合わせた(A41)、(a14)と(b2)とを組み合わせた(A42)、及び(A41)と(A42)の混合物が含まれる。
(A3)及び(A4)は(A1)や(A2)と同様の方法で製造することができる。
【0046】
ブロックポリマー(A)を構成する(b)の量は、帯電防止性の観点から好ましくは、(a)と(b)との合計重量に基づいて20〜90重量%、さらに好ましくは25〜80重量%、特に好ましくは30〜70重量%である。
【0047】
ブロックポリマー(A)のMnは、帯電防止性の観点から好ましくは、2,000〜60,000、さらに好ましくは5,000〜40,000、特に好ましくは8,000〜30,000である。
【0048】
(A)の構造において、ポリオレフィン(a)のブロックと、親水性ポリマー(b)のブロックとの繰り返し単位の平均繰り返し数(Nn)は、帯電防止性の観点から好ましくは、2〜50、さらに好ましくは3〜40である。
Nnは、(A)のMn及び1H−NMR分析によって求めることができる。
例えば、(a11)のブロックと(b1)のブロックとが繰り返し交互に結合した構造を有する(A1)の場合は、1H−NMR分析において、4.0〜4.1ppmのエステル結合{−C(C=O)−OCH2−}のプロトンに帰属されるシグナル、及び3.2〜3.7ppmのポリエチレングリコールのプロトンに帰属されるシグナルが観測できることから、これらのプロトン積分値の比を求めて、この比とMnとからNnを求めることができる。
【0049】
(A)の末端は、(a)由来のカルボニル基、アミノ基及び/又は無変性ポリオレフィン末端(何ら変性がなされていないポリオレフィン末端、すなわち、アルキル基又はアルケニル基)、あるいは(b)由来の水酸基及び/又はアミノ基のいずれかである。これらのうち反応性の観点から末端として好ましいのはカルボニル基、アミノ基、水酸基、さらに好ましいのはカルボニル基、水酸基である。
【0050】
本発明における熱可塑性樹脂(B)の好ましいものとしては、粘着性の観点から、ポリオレフィン樹脂(B1)[例えばプロピレン(共)重合樹脂{プロピレン−αオレフィン共重合樹脂等}、エチレン(共)重合樹脂{エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA
)、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂等}等]、ポリアクリル樹脂(B2)[例えば(メタ)アクリル酸(共)重合樹脂、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(共)重合樹脂等]、ポリスチレン樹脂(B3)[例えば、ビニル基含有芳香族炭化水素と不飽和脂肪族モノマーの共重合樹脂及びその水素化体]、ポリウレタン樹脂(B4)[例えばポリオール{ポリアルキレンエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、重合体ポリオール、ポリオレフィンポリオール、ひまし油系ポリオール、アクリルポリオール及びこれらの2種以上の混合物}とポリイソシアネート{芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、これらのポリイソシアネートの変性物及びこれらの2種類以上の混合物等}からなるポリウレタン樹脂等];及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0051】
これらのうち、(A)の(B)への分散のしやすさ及び弾性率の観点から好ましいのは、ポリオレフィン樹脂(B1)、ポリスチレン樹脂(B3)であり、より好ましいのはプロピレン(共)重合樹脂、ビニル基含有芳香族炭化水素と不飽和脂肪族モノマーの共重合樹脂の水素化体である。
【0052】
(B1)〜(B3)は、以下のビニルモノマーを公知の重合法(ラジカル重合法、チーグラー触媒重合法、メタロセン触媒重合法等)により(共)重合させることにより得られる。
【0053】
ビニルモノマーとしては、不飽和炭化水素(脂肪族炭化水素、芳香環含有炭化水素、脂環式炭化水素等)、アクリルモノマー、その他の不飽和モノ−もしくはジカルボン酸及びその誘導体、不飽和アルコールのカルボン酸エステル、不飽和アルコールのアルキルエーテル、ハロゲン含有ビニルモノマー並びにこれらの2種以上の組合せ (ランダム及び/又はブロック)等が挙げられる。
【0054】
脂肪族炭化水素としては、C2〜30のオレフィン[エチレン、プロピレン、 C4〜30のα−オレフィン(1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、 1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等)等]、C4〜30のジエン[アルカジエン(ブタジエン、イソプレン等)、シクロアルカジエン(シクロペンタジエン等)等]等が挙げられる。
【0055】
芳香環含有炭化水素としては、C8〜30の、スチレン及びその誘導体、例えばo−、m−及びp−アルキル(C1〜10)スチレン(ビニルトルエン等)、α−アルキル(C1〜10)スチレン(α−メチルスチレン等)及びハロゲン化スチレン(クロロスチレン等)が挙げられる。
【0056】
アクリルモノマーとしては、C3〜30のもの、例えば(メタ)アクリル酸及びその誘導体が挙げられる。
(メタ)アクリル酸の誘導体としては、例えばアルキル(C1〜20)(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等]、ヒドロキシアルキル(C2〜20)(メタ)アクリレート[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等]、モノ−及びジ−アルキル(C1〜4)アミノアルキル(C2〜4)(メタ)アクリレート[メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等]、シアノ基含有モノマー[(メタ)アクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル等]、不飽和カルボン酸アミド[(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等]及びエポキシ基含有モノマー[(メタ)クリル酸グリシジル等]が挙げられる。
【0057】
その他の不飽和モノマー及びジカルボン酸としては、C2〜30(好ましくは3〜20、より好ましくは4〜15)の不飽和モノマー及びジカルボン酸、例えば、クロトン酸、マレイン酸、フマール酸及びイタコン酸等が挙げられ、その誘導体としては、C5〜30、例えばモノマー及びジアルキル(C1〜20)エステル、酸無水物(無水マレイン酸等)及び酸イミド(マレイン酸イミド等)等が挙げられる。
【0058】
不飽和アルコールのカルボン酸エステルとしては、不飽和アルコール[C2〜6、例えばビニルアルコール 、(メタ)アリルアルコール]のカルボン酸(C2〜4、例えば酢酸、プロピオン酸)エステル(酢酸ビニル等)が挙げられる。
不飽和アルコールのアルキルエーテルとしては、上記不飽和アルコールのアルキル(C1〜20)エーテル(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等)が挙げられる。
ハロゲン含有ビニルモノマーとしては、C2〜12、例えば塩化ビニル、塩化ビニリデン 及びクロロプレンが挙げられる。
【0059】
ポリオレフィン樹脂(B1)としては、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、プロピレン−エチレン共重合体[共重合比(重量比)=0.1/99.9〜99.9/0.1]、プロピレン及び/又はエチレンと他のα−オレフィン(C4〜12)の1種以上との共重合体(ランダム及び/又はブロック付加)[共重合比(重量比)=99/1〜5/95]、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)[共重合比(重量比)=95/5〜60/40]、エチレン/エチルアクリレート共重合体(EEA)[共重合比(重量比)=95/5〜60/40]等が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、ポリプロピレン、ポリエチレン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン及び/又はエチレンとC4〜12のα−オレフィンの1種以上との共重合体[共重合比(重量比)=90/10〜10/90、ランダム及び/又はブロック付加]である。
【0060】
(B1)のメルトマスフローレート(以下MFRと略記)は、粘着剤物性、成型性、帯電防止性付与の観点から好ましくは0.1〜150、より好ましくは0.5〜100である。(B1)のMFRは、JIS K7210(1999年)に準じて(ポリプロピレンの場合;230℃、荷重2.16kgf、ポリエチレンの場合;190℃、荷重2.16kgf)測定される。
【0061】
ポリアクリル樹脂(B2)としては、例えば前記アクリルモノマー〔アルキル(C1〜20)(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル等〕の1種以上の(共)重合体[ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル等]及びこれらのモノマーの1種以上と共重合可能な前記ビニルモノマーの1種以上との共重合体[アクリルモノマー/ビニルモノマー共重合比(重量比)は樹脂物性の観点から好ましくは5/95〜95/5、より好ましくは50/50〜90/10][但し、(B1)に含まれるものは除く]が含まれる。
【0062】
(B2)のMFRは、粘着剤物性、成型性、帯電防止性付与の観点から好ましくは0.1〜150、より好ましくは0.5〜100である。(B2)のMFRは、JIS K7210(1999年)に準じて[ポリアクリル樹脂(B2)の場合は230℃、荷重2.16kgf]測定される。
(B2)の結晶化度は、帯電防止性の観点から好ましくは0〜98%、より好ましくは0〜80%、特に好ましくは0〜70%である。
結晶化度は、X線回折、赤外線吸収スペクトル等の方法によって測定される〔「高分子の固体構造−高分子実験学講座2」(南篠初五郎)、42頁、共立出版1958年刊参照〕。
【0063】
ポリスチレン樹脂(B3)としては、ビニル基含有芳香族炭化水素と不飽和脂肪族モノマーの共重合樹脂及びその水素化体が挙げられる。
ビニル基含有芳香族炭化水素としては、C8〜30の、スチレン及びその誘導体 、例えばo−、m−及びp−アルキル(C1〜10)スチレン(ビニルトルエン等)、α−アルキル(C1〜10)スチレン(α−メチルスチレン等)及びハロゲン化スチレン(クロロスチレン等)が挙げられ、不飽和脂肪族モノマーとしては炭素数2〜18のオレフィン(エチレン、プロピレン、イソブテン等)、ジエン(ブタジエン、イソプレン等)が挙げられる。
(B3)の具体例としては、例えばスチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−(エチレン−プロピレン)ブロック共重合体(SEPS、SEP)、スチレン−(エチレン−ブテン)ブロック共重合体(SEBS、SEB)、スチレン−(エチレン-エチレン-プロピレン)ブロック共重合体(SEEPS)、スチレン-(ブタジエン−ブテン)ブロック共重合体(SBBS)]、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS、SIB)、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)及びその水素化体が挙げられる。
【0064】
(B3)のMFRは、粘着剤物性、成型性、帯電防止性付与の観点から好ましくは0.1〜150、さらに好ましくは0.5〜100である。(B3)のMFRは、JIS K7210(1999年)に準じて(ポリスチレン樹脂の場合は200℃、荷重5.00kgf)測定される。
【0065】
ポリウレタン樹脂(B4)としてはポリオール(ポリアルキレンエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、重合体ポリオール、ポリオレフィンポリオール、ひまし油系ポリオール、アクリルポリオール及びこれらの2種以上の混合物)とポリイソシアネート(芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、これらのポリイソシアネートの変性物及びこれらの2種類以上の混合物等)からなるポリウレタン樹脂等が挙げられる。ポリオールの具体例としては、例えば、ポリエチレングリコ―ル、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリブタジエンジオール等が挙げられる。ポリイソシアネートの具体例としては炭素数(イソシアネート基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ポリイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネート、これらのポリイソシアネートの変性物及びこれらの2種類以上の混合物等が挙げられる。
【0066】
本発明の粘着剤は、ブロックポリマー(A)からなる帯電防止剤と熱可塑性樹脂(B)からなるものである。
(B)に含有させる(A)の量は、要求される性能に応じて種々変えることができるが、十分な帯電防止性及び機械的強度を付与する観点から、(A)と(B)の合計重量に基づいて好ましくは2〜40%、さらに好ましくは5〜30%である。
(A)を(B)に含有させて粘着剤を形成させるに際しては、予め(A)を高濃度[例えば(A)と(B)の合計重量に基づいて10〜80%]に含有するマスターバッチ組成物を形成させておいてもよい。
【0067】
上記粘着剤には、本発明の効果を阻害しない範囲で必要により、粘着付与樹脂(C)、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の塩(D)、界面活性剤(E)、イオン性液体(F)、相溶化剤(G)及びその他の樹脂用添加剤(H)からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有させてもよい。(A)と(B)の合計重量に基づく該添加剤全体の使用量は、通常170%以下、好ましくは0.001〜100%である。これらのうち(D)、(E)及び(F)は帯電防止性をさらに向上させる目的で加えられる。
【0068】
粘着性付与樹脂(C)としては、例えばテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、フェノール樹脂、芳香族炭化水素変性テルペン樹脂、ロジン樹脂、変性ロジン樹脂、合成石油樹脂(脂肪族、芳香族及び脂環式合成石油樹脂等)、クマロン−インデン樹脂、キシレン樹脂、スチレン系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、及びこれらの中で、水素添加可能な不飽和の二重結合を有するものは、それらの水素添加物等が挙げられる。粘着性付与樹脂は1種用いてもよいし、また2種以上組み合わせて用いてもよい。
粘着性付与樹脂(C)の使用量は、粘着剤を構成するポリマー(A+B)の重量に基づいて、通常100%以下、粘着剤の粘着力とタックの観点から好ましくは0.1〜50%である。 とくに好ましくは1〜30%である。
【0069】
アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の塩(D)としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム等)及び/又はアルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム等)の有機酸[C1〜12のモノ−及びジ−カルボン酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、コハク酸等)、C1〜20のスルホン酸(メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等)、チオシアン酸等]の塩、及び無機酸[ハロゲン化水素酸(塩酸、臭化水素酸等)、過塩素酸、硫酸、硝酸、リン酸等]の塩が挙げられる。
(D)の具体例としては、酢酸リチウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化マグネシウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、硫酸カリウム、燐酸カリウム、チオシアン酸カリウム等が挙げられる。(D)のうち帯電防止性の観点から好ましいのは、ハライド(さらに好ましいのは塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム)、酢酸塩(さらに好ましいのは酢酸カリウム)及び過塩素酸塩(さらに好ましいのは過塩素酸カリウム)である。
(D)の使用量は(A)と(B)の合計の重量に基づいて、通常5%以下、樹脂表面に析出せず良好な外観の樹脂を与えるとの観点から、好ましくは0.001〜5%、さらに好ましくは0.01〜3%、とくに好ましくは0.1〜2.5%、最も好ましくは0.15〜1.5%である。
(D)を含有させる方法としては、好ましくは(A)中に予め分散させておく方法、さらに好ましくは(A)の製造時に(D)を含有させ分散、溶解させておく方法である。(D)を(A)の製造時に含有させるタイミングとしては特に限定はなく、ポリオレフィンのブロックと親水性ポリマーのブロックとの重合前、重合中及び重合後のいずれでもよい。
【0070】
界面活性剤(E)としては、非イオン性、アニオン性、カチオン性又は両性の界面活性剤が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、ポリエチレングリコール型[高級アルコール(C8〜18、例えばステアリルアルコール、ラウリルアルコール及びミリスチルアルコール、以下同じ。)EO(2〜50モル)付加物、高級脂肪酸(C8〜24、例えばステアリン酸、ラウリン酸及びミリスチン酸、以下同じ。)EO(2〜50モル)付加物、高級アルキルアミン(C8〜24、例えばステアリルアミン、ラウリルアミン及びミリスチルアミン、以下同じ。)EO(2〜50モル)付加物、ポリプロピレングリコール(Mn800〜4,000)EO(2〜50モル)付加物等]、及び多価アルコール型[ポリオキシエチレン(Mn200〜3,000)、グリセリンの高級脂肪酸エステル、ペンタエリスリットの高級脂肪酸エステル、ソルビットもしくはソルビタンの高級脂肪酸エステル、多価(2価〜5価又はそれ以上)アルコール(C3〜60、例えばグリセリン、ペンタエリスリット、ソルビット及びグルコース)のアルキル(C3〜60)エーテル、アルカノールアミン(C2〜24)の高級脂肪酸アミド等]等が挙げられる。
【0071】
アニオン性界面活性剤としては、前記(D)を除く化合物、例えばカルボン酸塩[高級脂肪酸(前記)のアルカリ金属塩等]、硫酸エステル塩[高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル(C8〜24)硫酸エステル塩等]、スルホン酸塩[アルキル(C8〜24)ベンゼンスルホン酸塩、アルキル(C8〜18)スルホン酸塩、パラフィン(C25〜60)スルホン酸塩等]、リン酸エステル塩[高級アルコールリン酸エステル塩等)等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩[アルキル(C8〜24)トリメチルアンモニウム塩等]等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アミノ酸型(高級アルキルアミノプロピオン酸塩等)、ベタイン型[高級アルキル(C8〜24)ジメチルベタイン、高級アルキル(C8〜24)ジヒドロキシエチルベタイン等]等が挙げられる。
これらの界面活性剤は単独でも2種以上を併用してもいずれでもよい。これらのうち耐熱性及び帯電防止性の観点から好ましいのは、アニオン性界面活性剤、さらに好ましいのはスルホン酸塩、とくに好ましいのはアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩及びパラフィンスルホン酸塩である。
【0072】
(E)の使用量は(A)と(B)の合計重量に基づいて、通常15%以下、後述するイオン溶出の観点から好ましくは、0.001〜10%、さらに好ましくは0.01〜8%、とくに好ましくは0.1〜5%である。
(E)を含有させる方法については特に限定はないが、シート状基材に効果的に分散させるためには、(A)中に予め分散させておくことが好ましい。(A)中へ(E)を予め分散させる場合、(A)の製造(重合)時に該(E)を予め含有させ分散させておくのが特に好ましい。(E)を(A)の製造時に含有させるタイミングは特に制限なく、ポリオレフィンのブロックと親水性ポリマーのブロックの重合前、重合中及び重合後のいずれでもよい。
【0073】
イオン性液体(F)は、前記(D)及び(E)を除く化合物で、室温以下の融点を有し、(F)を構成するカチオン又はアニオンのうち少なくとも一つが有機物イオンで、初期電導度が1〜200ms/cm(好ましくは10〜200ms/cm)である常温溶融塩であって、例えばWO95/15572公報に記載の常温溶融塩が挙げられる。
【0074】
(F)を構成するカチオンとしては、例えばアミジニウムカチオン、グアニジニウムカチオン及び3級アンモニウムカチオンが挙げられる。
【0075】
アミジニウムカチオンとしては、例えばイミダゾリニウムカチオン[1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム、1,3,4−トリメチル−2−エチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2,4−ジエチルイミダゾリニウムなど];イミダゾリウムカチオン[1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジエチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムなど];テトラヒドロピリミジニウムカチオン[1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、1,2,3,4−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、1,2,3,5−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムなど];及びジヒドロピリミジニウムカチオン[1,3−ジメチル−1,4−もしくは−1,6−ジヒドロピリミジニウム、1,2,3−トリメチル−1,4−もしくは−1,6−ジヒドロピリミジニウム、1,2,3,4−テトラメチル−1,4−もしくは−1,6−ジヒドロピリミジニウムなど]が挙げられる。
【0076】
グアニジニウムカチオンとしては、例えばイミダゾリニウム骨格を有するグアニジニウムカチオン[2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチルイミダゾリニウム、2−ジメチルアミノ−1−メチル−3,4−ジエチルイミダゾリニウムなど];イミダゾリウム骨格を有するグアニジニウムカチオン[2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチルイミダゾリウム、2−ジメチルアミノ−1−メチル−3,4−ジエチルイミダゾリウムなど];テトラヒドロピリミジニウム骨格を有するグアニジニウムカチオン[2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムなど];及びジヒドロピリミジニウム骨格を有するグアニジニウムカチオン[2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチル−1,4−もしくは−1,6−ジヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチル−1,4−もしくは−1,6−ジヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチル−1,4−もしくは−1,6−ジヒドロピリミジニウムなど]が挙げられる。
【0077】
3級アンモニウムカチオンとしては、例えばメチルジラウリルアンモニウムが挙げられる。
【0078】
上記のアミジニウムカチオン、グアニジニウムカチオン及び3級アンモニウムカチオンは1種単独でも、また2種以上を併用してもいずれでもよい。
これらのうち、初期電導度の観点から好ましいのはアミジニウムカチオン、さらに好ましいのはイミダゾリウムカチオン、特に好ましいのは1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオンである。
【0079】
(F)において、アニオンを構成する有機酸及び/又は無機酸としては下記のものが挙げられる。
有機酸としては、例えばカルボン酸、硫酸エステル、高級アルキルエーテル硫酸エステル、スルホン酸及びリン酸エステルが挙げられる。
無機酸としては、例えば超強酸(例えばホウフッ素酸、四フッ化ホウ素酸、過塩素酸、六フッ化リン酸、六フッ化アンチモン酸及び六フッ化ヒ素酸)、リン酸及びホウ酸が挙げられる。
上記有機酸及び無機酸は1種単独でも2種以上の併用でもいずれでもよい。
上記有機酸及び無機酸のうち、(F)の初期電導度の観点から好ましいのは(F)を構成するアニオンのHamett酸度関数(−H0)が12〜100である、超強酸、超強酸の共役塩基以外のアニオンを形成する酸及びこれらの混合物である。
【0080】
超強酸の共役塩基以外のアニオンとしては、例えばハロゲン(例えばフッ素、塩素及び臭素)イオン、アルキル(C1〜12)ベンゼンスルホン酸(例えばp−トルエンスルホン酸など)イオン及びポリ(n=1〜25)フルオロアルカンスルホン酸(例えばウンデカフルオロペンタンスルホン酸)イオンが挙げられる。
【0081】
超強酸としては、プロトン酸及びプロトン酸とルイス酸との組み合わせから誘導されるもの、及びこれらの混合物が挙げられる。
超強酸としてのプロトン酸としては、例えばビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド酸、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド酸、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メタン、過塩素酸、フルオロスルホン酸、アルカン(C1〜30)スルホン酸[例えばメタンスルホン酸、ドデカンスルホン酸など)、ポリ(n=1〜30)フルオロアルカン(C1〜30)スルホン酸(例えばトリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、ウンデカフルオロペンタンスルホン酸及びトリデカフルオロヘキサンスルホン酸)、ホウフッ素酸及び四フッ化ホウ素酸が挙げられる。
これらのうち合成の容易さの観点から好ましいのはホウフッ素酸、トリフルオロメタンスルホン酸及びビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド酸である。
【0082】
ルイス酸と組合せて用いられるプロトン酸としては、例えばハロゲン化水素(例えばフッ化水素、塩化水素、臭化水素及びヨウ化水素)、過塩素酸、フルオロスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、ウンデカフルオロペンタンスルホン酸、トリデカフルオロヘキサンスルホン酸及びこれらの混合物が挙げられる。
これらのうち(F)の初期電導度の観点から好ましいのはフッ化水素である。
【0083】
ルイス酸としては、例えば三フッ化ホウ素、五フッ化リン、五フッ化アンチモン、五フッ化ヒ素、五フッ化タリウム及びこれらの混合物が挙げられる。
これらのうちで、(F)の初期電導度の観点から好ましいのは三フッ化ホウ素及び五フッ化リンである。
プロトン酸とルイス酸の組み合わせは任意であるが、これらの組み合わせからなる超強酸としては、例えばテトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、六フッ化タリウム酸、六フッ化アンチモン酸、六フッ化タリウムスルホン酸、四フッ化ホウ素酸、六フッ化リン酸、塩化三フッ化ホウ素酸、六フッ化ヒ素酸及びこれらの混合物が挙げられる。
【0084】
上記のアニオンのうち、(F)の初期電導度の観点から好ましいのは超強酸の共役塩基(プロトン酸からなる超強酸及びプロトン酸とルイス酸との組合せからなる超強酸)、さらに好ましいのはプロトン酸からなる超強酸及びプロトン酸と、三フッ化ホウ素及び/又は五フッ化リンとからなる超強酸の共役塩基である。
【0085】
(F)の使用量は、(A)と(B)の合計重量に基づいて通常10%以下、帯電防止効果及びイオン溶出の観点から好ましくは0.001〜5%、さらに好ましくは0.01〜3%である。
(F)を添加する方法についても特に限定はないが、樹脂中への効果的な分散の観点から、(A)中に予め分散させておくことが好ましく、(A)の製造後に(F)を予め添加し分散させておくのがさらに好ましい。
【0086】
上記添加剤のうち相溶化剤(G)は、(A)と(B)の相溶性をさらに向上させる目的で加えられる。
(G)としては、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基及びポリオキシアルキレン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の極性基を有する変性ビニル重合体(特開平3−258850号公報に記載のもの等)、スルホニル基を有する変性ビニル重合体(例えば、特開平6−345927号公報に記載のもの等)及びポリオレフィン部分と芳香族ビニル重合体部分とを有するブロック重合体等が挙げられる。
これらの(G)は単独でも2種以上併用してもよい。
(G)の使用量は(A)と(B)の合計重量に基づいて、通常20重量%以下、相溶性の観点から好ましくは0.1〜15重量%、さらに好ましくは1〜10重量%、とくに好ましくは1.5〜8重量%である。
【0087】
上記添加剤のうちその他の樹脂用添加剤(H)としては、着色剤(H1)、充填剤(H2)、核剤(H3)、滑剤(H4)、可塑剤(H5)、離型剤(H6)、酸化防止剤(H7)、難燃剤(H8)、紫外線吸収剤(H9)及び抗菌剤(H10)からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0088】
着色剤(H1)としては、顔料及び染料が挙げられる。
顔料としては、無機顔料[アルミナホワイト、グラファイト、酸化チタン(超微粒子酸化チタンなど)、亜鉛華、黒色酸化鉄、雲母状酸化鉄、鉛白、ホワイトカーボン、モリブデンホワイト、カーボンブラック、リサージ、リトポン、バライト、カドミウム赤、カドミウム水銀赤、モリブデン赤、ベンガラ、鉛丹、黄鉛、バリウム黄、カドミウム黄、ストロンチウム黄、チタン黄、オーレオリン、チタンブラック、酸化クロム緑、酸化コバルト、コバルト緑、コバルト・クロム緑、群青、紺青、コバルト青、セルリアン青、マンガン紫、コバルト紫等]、及び有機顔料(シェラック、不溶性アゾ顔料、溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、フタロシアニンブルー、染色レーキ等)が挙げられる。
染料としては、アゾ、アンスラキノン、インジゴイド、硫化、トリフェニルメタ ン、ピラゾロン、スチルベン、ジフェニルメタン、キサンテン、アリザリン、アクリジン、キノンイミン、チアゾール、メチン、ニトロ、ニトロソ及びアニリン染料等が挙げられる。
【0089】
充填剤(H2)としては、繊維状、粉粒状、板状の充填剤が挙げられる。
繊維状充填剤としては、ガラス繊維、カーボン繊維、シリカ繊維、シリカ−アルミナ繊維、ジルコニア繊維、アラミド繊維及び金属(ステンレス、アルミニウム、チタン、銅等)繊維等が挙げられる。これらのうち成形品の機械強度の観点から好ましいのはガラス繊維及びカーボン繊維である。
粉粒状充填剤としてはカーボンブラック、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、珪酸塩(珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、珪石粉、等)、金属酸化物(酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ等)、金属の炭酸塩(炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等)、金属の(亜)硫酸塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、亜硫酸カルシウム等)、金属の硫化物(二硫化モリブデン等)、炭化珪素、窒化珪素、窒化硼素及び各種金属(マグネシウム、珪素、アルミ、チタン、銅、銀、金等)粉末等が挙げられる。
板状充填剤としてはマイカ、ガラスフレーク及び各種の金属(アルミ、銅、銀、金等)箔等が挙げられる。
これらの充填剤は1種単独又は2種以上の併用のいずれでもよい。
上記の充填剤のうち成形品の機械強度の観点から好ましいのは繊維状充填剤であり、より好ましいのはガラス繊維である。
【0090】
核剤(H3)としては、多価の有機酸及び/又はその金属塩、アリールホスフェート化合物、環状多価金属アリールホスフェート化合物及びジベンジリデンソルビトール化合物が挙げられる。
【0091】
多価の有機酸及び/又はその金属塩としては、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、クエン酸、ブタントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ナフテン酸、シクロペンタンカルボン酸、1−メチルシクロペンタンカルボン酸、2−メチルシクロペンタンカルボン酸、シクロペンテンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、1−メチルシクロヘキサンカルボン酸、4−メチルシクロヘキサンカルボン酸、3,5−ジメチルシクロヘキサンカルボン酸、4−ブチルシクロヘキサンカルボン酸、4−オクチルシクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキセンカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、キシリル酸、エチル安息香酸、4−t−ブチル安息香酸、サリチル酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などのカルボン酸(但し、脂肪族モノカルボン酸を除く)又はこれらのリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属、亜鉛もしくはアルミニウムの塩が挙げられる。
【0092】
アリールホスフェート化合物としては、次の化合物の金属塩が挙げられる。
ビス(4−t−ブチルフェニル)ホスフェート、ビス(4−クミルフェニル)ホスフェート、2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、2,2’−メチレン−ビス(4−クミル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート、2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)ホスフェート、2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−エチルフェニル)ホスフェート、2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、2,2’−エチリデン−ビス(4−i−プロピル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート、2,2’−エチリデン−ビス(4−s−ブチル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート、2,2’−ブチリデン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)ホスフェート、2,2’−ブチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、2,2’−t−オクチルメチレン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)ホスフェート、2,2’−t−オクチルメチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、4,4’−ジメチル−6,6’−ジ−t−ブチル−2,2’−ビフェニル)ホスフェート等のアルカリ金属(例えばリチウム、ナトリウム、カリウム)の塩、モノ−及びビス−(4−t−ブチルフェニル)ホスフェート、ジヒドロオキシ−(4−t−ブチルフェニル)ホスフェート、ジヒドロオキシ−ビス(4−t−ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(4−t−ブチルフェニル)ホスフェート等のアルミニウム、カルシウム及び亜鉛の塩が挙げられる。
【0093】
環状多価金属アリールホスフェート化合物としては、ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、ビス[2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、ビス[2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、ビス[2,2’−チオビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、ビス[2,2’−チオビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、ビス[2,2’−チオビス(4−t−オクチルフェニル)ホスフェート]、ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、ビス[(4,4’−ジメチル−6,6’−ジ−t−ブチル−2,2’−ビフェニル)フォスフェート]、ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、トリス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、トリス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、ジヒドロオキシ−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、ジヒドロオキシ−2,2’−メチレン−ビス(4−クミル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート、ジヒドロオキシ−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、ジヒドロオキシ−2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート、ジヒドロオキシ−2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、ヒドロオキシ−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、ヒドロオキシ−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4−クミル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロオキシ−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、ヒドロオキシ−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート]のアルカリ土類金属(例えば、カルシウム、バリウム)、アルミニウム、チタン、マグネシウム、亜鉛、オキシジルコニウムの塩等が挙げられる。
【0094】
ジベンジリデンソルビトール化合物としては、1・3,2・4−ジベンジリデンソルビトール、1・3−ベンジリデン−2・4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1・3−ベンジリデン−2・4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1・3−p−メチルベンジリデン−2・4−ベンジリデンソルビトール、1・3−p−エチルベンジリデン−2・4−ベンジリデンソルビトール、1・3−p−メチルベンジリデン−2・4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1・3−p−エチルベンジリデン−2・4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−n−プロピルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−i−プロピルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−n−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−s−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−t−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1・3−(2’,4’−ジメチルベンジリデン)−2・4−ベンジリデンソルビトール、1・3−ベンジリデン−2・4−(2’,4’−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(2’,4’−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(3’,4’−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−メトキシベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−エトキシベンジリデン)ソルビトール、1・3−ベンジリデン−2・4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1・3−p−クロルベンジリデン−2・4−ベンジリデンソルビトール、1・3−p−クロルベンジリデン−2・4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1・3−p−クロルベンジリデン−2・4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1・3−p−メチルベンジリデン−2・4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1・3−p−エチルベンジリデン−2・4−p−クロルベンジリデンソルビトール、及び1・3,2・4−ビス(p−クロルベンジリデン)ソルビトール等が挙げられる。
【0095】
滑剤(H4)としては、ワックス(カルナバロウワックスなど)、高級脂肪酸(ステアリン酸など)、高級アルコール(ステアリルアルコールなど)、高級脂肪酸アミド(ステアリン酸アミドなど)などが挙げられる。
【0096】
可塑剤(H5)としては、芳香族カルボン酸エステル系[フタル酸エステル(ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジデシルフタレート、ジラウリルフタレート、ジステアリルフタレート、ジイソノニルフタレートなど)など]、脂肪族モノカルボン酸エステル系[メチルアセチルリシノレート、トリエチレングリコールジベンゾエートなど]、脂肪族ジカルボン酸エステル系[ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート、アジピン酸−プロピレングリコール系ポリエステルなど]、脂肪族トリカルボン酸エステル系[クエン酸エステル類(クエン酸トリエチルなど)など]、リン酸トリエステル系[トリフェニルホスフェートなど]、炭化水素[プロセスオイル、液状ポリブタジエン、液状ポリイソブチレン、液状ポリイソプレン、流動パラフィン、パラフィンワックス、エチレンとα−オレフィン(C3〜20)の共重合(重量比99.9/0.1〜0.1/99.9)オリゴマー(Mn5,000〜100,000)、エチレンを除くα−オレフィン(C4〜20)とプロピレンの共重合(重量比99.9/0.1〜0.1/99.9)オリゴマー(Mn5,000〜100,000)等]、石油樹脂、塩素化パラフィンなどが挙げられる。
離型剤(H6)としては、高級脂肪酸の低級アルコールエステル(ステアリン酸ブチルなど)、脂肪酸の多価アルコールエステル(硬化ヒマシ油など)、脂肪酸のグリコールエステル(エチレングリコールモノステアレートなど)、流動パラフィン及びこれらの中で水素添加可能な不飽和二重結合を有するものの水素添加物等が挙げられる。
【0097】
酸化防止剤(H7)としては、フェノール系〔単環フェノール[2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソールなど]、ビスフェノール[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル)−6−t−ブチルフェノール、4,4’−チオビス(3−メチル)−6−t−ブチルフェノールなど]、多環フェノール[1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、ペンタエリスチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなど〕;硫黄系〔ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルβ,β’−チオジブチレート、ジラウリルサルファイドなど〕;リン系〔トリフェニルホスファイト、トリイソデシルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイトなど〕;アミン系〔オクチル化ジフェニルアミン、N−n−ブチル−p−アミノフェノール、N,N−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N−ビス(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、フェノチアジンなど〕などが挙げられる。
【0098】
難燃剤(H8)としては、有機系難燃剤〔含窒素系[尿素化合物、グアニジン化合物及びトリアジン化合物(メラミン、グアナミンなど)等の塩(無機酸塩、シアヌール酸塩、イソシアヌール酸塩等)など]、含硫黄系〔硫酸エステル、有機スルホン酸、スルファミン酸、有機スルファミン酸、及びそれらの塩、エステル、アミドなど〕、含珪素系(ポリオルガノシロキサンなど)、含リン系[リン酸エステル(トリクレジルホスフェートなど)など]など〕、無機系難燃剤〔三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、水酸化アルミニウム、赤リン、ポリリン酸アンモニムなど〕などが挙げられる。
【0099】
紫外線吸収剤(H9)としては、ベンゾトリアゾール系[2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾールなど]、ベンゾフェノン系[2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなど]、サリチレート系[フェニルサリチレート、エチレングリコールモノサリチレートなど]、アクリレート系[2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’1−ジフェニルアクリレートなど]などが挙げられる。
【0100】
抗菌剤(H10)としては、安息香酸、パラオキシ安息香酸エステル、ソルビン酸、ハロゲン化フェノール(2,4,6−トリブロモフェノールナトリウム塩など)、有機ヨウ素(4−クロロフェニル−3−ヨードプロパギルホルマールなど)、ニトリル(2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリルなど)、チオシアノ(メチレンビスチアノシアネートなど)、N−ハロアルキルチオイミド(N−テトラクロロエチル−チオ−テトラヒドロフタルイミドなど)、銅剤(8−オキシキノリン銅など)、ベンズイミダゾール(2−4−チアゾリルベンズイミダゾールなど)、ベンゾチアゾール(2−チオシアノメチルチオベンゾチアゾールなど)、トリハロアリル(3−ブロモ−2,3−ジヨード−2−プロペニルエチルカルボナートなど)、トリアゾール(アザコナゾールなど)、有機窒素硫黄化合物(スラオフ39など)、4級アンモニウム化合物(トリメトキシシリル−プロピルオクタデシルアンモニウムクロライドなど)、ピリジン系化合物(2,3,5,6−チトクロロ−4−(メチルスルフォニル)−ピリジン)などが挙げられる。
【0101】
(H)の合計の使用量は、(A)と(B)の合計重量に基づいて、通常180%以下、好ましくは0.1〜100%である。それぞれの(H)の使用量は(A)と(B)の合計重量に基づいて、(H1)は通常5%以下、好ましくは0.1〜3%;(H2)は通常150%以下、好ましくは5〜100%;(H3)は通常20%以下、好ましくは1〜10%;(H4)は通常20%以下、好ましくは1〜10%;(H5)は通常20%以下、好ましくは1〜10%;(H6)は通常10%以下、好ましくは0.1〜5%;(H7)は通常5%以下、好ましくは0.1〜3%;(H8)は通常20%以下、好ましくは1〜10%;(H9)は通常5%以下、好ましくは0.1〜3%;(H10)は通常3%以下、好ましくは0.05〜1%である。
上記それぞれの(H)は1種用いてもよいし、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、上記(H1)〜(H10)の間で添加剤が同一で重複する場合は、それぞれが添加効果を奏する量を他の効果に関わりなく使用するのではなく、使用目的に応じて使用量を調整するものとする。
【0102】
本発明の帯電防止性粘着剤の貯蔵弾性率G’は25℃においては、好ましくは0.2〜200MPaであり、さらに好ましくは0.4〜150MPa、特に好ましくは0.6〜100MPaである。100℃においては、好ましくは0.1〜200MPaであり、さらに好ましくは0.4〜150MPa、特に好ましくは0.6〜100MPaである。25℃と100℃のG’の比率は、好ましくは10以下、さらに好ましくは8以下、特に好ましくは5以下、最も好ましくは3以下である。
G’が0.1以上であれば粘着剤の凝集力が十分であり、200MPa以下では良好な粘着力が得られるに十分な柔軟性を有する。また、25℃と100℃のG’の比率が10以下であれば室温から100℃までより良好な粘着力が得られる。
{25℃と100℃のG’の比率 = G’(25℃)/G’(100℃)}
G’測定条件;せん断、周波数10Hz
【0103】
本発明の帯電防止性粘着剤のMFRは加工性と粘着性の観点から好ましくは0.1〜100、さらに好ましくは0.2〜50、最も好ましくは0.5〜20である。帯電防止性粘着剤のMFRは、JIS K7210(1999年)に準じて(230℃、荷重2.16kgf)測定される。
【0104】
本発明の帯電防止性粘着剤の製造方法としては、(A)と(B)、又はこれらに必要に応じて(C)、(D)、(E)、(F)、(G)及び/又は(H)を加えて[(D)、(E)及び(F)については前記のように効果的な分散の観点から(A)に予め含有させておいてもよい。]溶融混合する。混合装置としては加熱溶融混練機を用いることができる。加熱溶融混練機としては、その様式形状などは特に限定されるものではないが、例えば撹拌機付き加圧反応器、圧縮性の高い形状のスクリュー又はリボン状撹拌機を有する混合機、ニーダー、一軸又は多軸押出機、ミキサーなどを挙げることができる。
溶融混合する方法としては、通常の方法、例えばペレット状又は粉体状の成分を適切な混合機(ヘンシェルミキサー等)で混合した後、押出機で溶融混合してペレット化する方法が挙げられる。混合温度は通常150〜260℃であり、樹脂劣化を防ぐため窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。混合に際しての各成分の添加順序には特に限定はないが、例えば、(1)(A)と(B)、又はこれらに必要に応じて(C)、(D)、(E)、(F)、(G)及び/又は(H)を加えてブレンド・混練する方法、(2)(A)と、(B)の一部、又はこれらに必要に応じて(C)、(D)、(E)、(F)、(G)及び/又は(H)をブレンド・混練した後、残りの(B)をブレンド・混練する方法、(3)(A)と(D)と必要に応じて一部の(B)、さらに(C)、(E)、(F)、(G)及び/又は(H)をブレンド・混練した後、残りの(B)をブレンド・混練する方法等が挙げられる。
これらのうち(2)及び(3)の方法は、マスターバッチ法又はマスターペレット法と呼ばれ、少量の(D)、(E)、(F)、(G)及び/又は(H)を均一に樹脂に分散させる観点から好ましい方法である。
【0105】
本発明の帯電防止性粘着剤を基材フィルム上にシート状に成形したフィルムは帯電防止性粘着フィルムとして使用することができる。成形法は、特に限定されるものではないが、(1)圧縮成形、カレンダ成形、押出成形、フィルム成形(キャスト法、テンター法、インフレーション法等)が挙げられる。(成形温度は通常150〜260℃) 又は(2)粘着剤を有機溶剤(酢酸エチル、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、トルエン、キシレン等)により溶液化(固形分濃度通常20〜70重量%)し、ロールコーター、グラビアコーター、コンマコーター、スクリーンコーター、ブレードコーター、バーコーター、ナイフコーター、キスコーター、マイヤーバーコーター、ダイコーター等のコーティング装置又はエアスプレーもしくはエアレススプレー機等の塗装機により基材フィルム上に塗布し、例えば80〜100℃、30秒〜10分間加熱処理を行い、乾燥させる方法が挙げられる。好ましいのは生産性、帯電防止性の観点から(1)の方法であり特に好ましいのは押出成形である。
【0106】
帯電防止性粘着フィルムに使用する基材フィルムとしては、具体的にはポリオレフィン樹脂[例えばポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂等]、ポリアクリル樹脂[例えばポリメタクリル酸アルキルエステル等]、ポリエステル樹脂[例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペート等]、塩素含有樹脂[例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等]、ポリアミド樹脂[例えばナイロン66、ナイロン69、ナイロン612、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン6/66、ナイロン6/12等]、ポリカーボネート樹脂[例えばポリカーボネート、ポリカーボネート/ABS樹脂アロイ等]、ポリアセタール樹脂及びこれらの2種以上の混合物が挙げられ、帯電防止処理されているものが好ましい。
【0107】
帯電防止性粘着フィルムの基材フィルムの厚さは機械的物性及び帯電防止性の観点から、好ましくは10〜300μm、さらに好ましくは20〜200μm、最も好ましくは30〜150μmである。また、粘着剤層の厚さは帯電防止性及び粘着力の観点から好ましくは3〜500μm、さらに好ましくは5〜100μm、最も好ましくは10〜50μmである。
【0108】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下において部は重量部、%は重量%を示す。
製造例1
熱減成法[23℃における密度0.90(単位はg/cm3、以下数値のみを示す。)MFR6.0g/10分のエチレン/プロピレンランダム共重合体(エチレン含量2%)を410±0.1℃で熱減成]で得られた低分子量エチレン/プロピレンランダム共重合体(Mn3,500、密度0.89、C1,000個当たりの二重結合量7.1個、1分子当たりの二重結合の平均数1.8、両末端変性可能なポリオレフィンの含有量90%)90部、無水マレイン酸10部及びキシレン30部を混合後、窒素ガス雰囲気下(密閉下)、200℃で溶融させ、200℃で20時間反応させた。
その後、過剰の無水マレイン酸とキシレンを減圧下、200℃、3時間で留去して、酸変性ポリプロピレン(a111)を得た。(a111)の酸価は27.2、Mnは3,700であった。
【0109】
製造例2
熱減成法[23℃における密度が0.90でMFRが10(g/10分)のポリプロピレンを410±0.1℃で熱減成] で得られた低分子量ポリプロピレン(Mn10,000、密度0.89、C1,000個当たりの二重結合量1.3個、1分子当たりの二重結合の平均数1.8、両末端変性可能なポリオレフィンの含有量90重量%)94部、無水マレイン酸6部及びキシレン30部を混合後、製造例1と同様にして、酸変性ポリプロピレン(a112)を得た。(a112)の酸価は5.0、Mnは10,000であった。
【0110】
製造例3
酸変性ポリプロピレン(a111)を66部と12−アミノドデカン酸34部を窒素ガス雰囲気下、200℃で溶融し、200℃、3時間、10mmHg以下の減圧下で反応させ、酸変性ポリプロピレン(a121)を得た。
(a121)の酸価は17.7、Mnは、5,700であった。
【0111】
製造例4
製造例2で用いた低分子量ポリプロピレン90部及び水酸化コバルト0.5部を耐圧反応容器に入れ、150℃で溶融し、水素と一酸化炭素1:1の混合気体を100気圧になるまで吹き込み、150℃で5時間反応させた。その後、圧力を常圧に戻し、Tollens試薬(硝酸銀−アンモニア水溶液)を加え、150℃で3時間反応させ、酸変性ポリプロピレン(a131)を得た。(a131)の酸価は41.6、Mnは2,600であった。
【0112】
製造例5
ステンレス製オートクレーブに、酸変性ポリプロピレン(a121)を60部、ポリエチレングリコール(b11)(Mn3,200、体積固有抵抗値3×108Ω・cm)33部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム7部、酸化防止剤[イルガノックス1010、チバスペシャリティケミカルズ(株)製、以下同じ。]0.3部及び酢酸亜鉛0.5部を加え、230℃、1mmHg以下の減圧下の条件で4時間重合させ、粘稠なポリマーを得た。このポリマーをベルト上にストランド状で取り出し、ペレット化することによって、ブロックポリマー(A11)を得た。
(A11)のMnは、28,000であった。また、このMnと1H−NMR分析より求めた(A11)の平均繰り返し数Nnは3.4であった。
【0113】
製造例6
ステンレス製オートクレーブに、酸変性ポリプロピレン(a112)を71部、12−アミノドデカン酸2部、α、ω−ジアミノポリエチレングリコール(b21)(Mn8,000、体積固有抵抗値3×107Ω・cm)25部、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム0.5部、酸化防止剤0.3部及び酢酸ジルコニル0.5部を加え、230℃、1mmHg以下の減圧下の条件で5時間重合させ、粘稠なポリマーを得た。以下、製造例7と同様にしてブロックポリマー(A21)を得た。
(A21)のMnは、36,000であった。また、このMnと1H−NMR分析より求めた(A21)の平均繰り返し数Nnは2.0であった。
【0114】
製造例7
ステンレス製オートクレーブに、酸変性ポリプロピレン(a131)を31部、ポリエチレングリコール(b12)(Mn6,000、体積固有抵抗値2×105Ω・cm)69部、酢酸カリウム0.5部、酸化防止剤0.3部及び酢酸ジルコニル0.5部を加え、230℃、1mmHg以下の減圧下の条件で4時間重合し、粘稠なポリマーを得た。以下、製造例7と同様にしてブロックポリマー(A31)を得た。
(A31)のMnは、59,000であった。また、このMnと1H−NMR分析より求めた(A31)の平均繰り返し数Nnは6.6であった。

【実施例】
【0115】
表1に示す配合処方(部)に従って、ブロックポリマー(A11、A21、A31)と熱可塑性樹脂[後述の(B1−1)、(B3−1)、(B3−2)]及び酸化防止剤[後述の(H1)]をヘンシェルミキサーで3分間ブレンドした後、ベント付き2軸押出機にて220℃、100rpm、滞留時間3分間の条件で溶融混練し、本発明の帯電防止性粘着剤(実施例1〜5)を得た。
(比較例1、2)
同様の条件で表1に示す配合処方に従って溶融混連し、比較の粘着剤(比較例1、2)を得た。
(比較例3)
ウレタンアクリレート[商品名:UV−3000B、日本合成化学工業(株)製]20部と、メトキシポリエチレングリコールアクリレート[商品名:AM−90G、新中村化学工業(株)製]30部を混合し、20℃で1時間撹拌混合した。次に、ヒドロキシプロピルアクリレート35部、イソオクチルアクリレート15部、過塩素酸リチウム4部及び光重合開始剤[商品名:ダロキュア1173、チバスペシャリティケミカルズ(株)製]1部を添加し、20℃で2時間撹拌混合し比較例3の粘着剤とした。

【0116】
【表1】

【0117】
記号の説明
(B1−1):ポリプロピレン[商品名:タフセレン3712、住友化学(株)製、MFR:3(230℃、2.16kg)]
(B3−1):スチレン−(エチレン−プロピレン)ブロック共重合体[商品名:セプトン2063、(株)クラレ製、MFR:7(230℃、2.16kg)]
(B3−2):スチレン−イソブチレンブロック共重合体[商品名:シブスター102T、(株)カネカ製、MFR:0.6(230℃、2.16kg)]
(H1):フェノール系酸化防止剤[商品名:イルガノックス1010、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製]
【0118】
本発明の帯電防止性粘着剤(実施例1〜5)及び比較の粘着剤(比較例1〜2)の物性
を表2に示す。

【0119】
【表2】



【0120】
基層(X)を基材フィルム(ポリプロピレン)とし、表層(Y)を実施例1〜5及び比較例1〜2で得られた粘着剤として2種2層共押出が可能なT型ダイを備えた押出機[シリンダー温度:220℃]により溶融押出し、20℃の冷却ロールで急冷することにより表面に90μmの表層(Y)を有する厚さ120μmの(X)/(Y)型押出成形フィルムとした。さらに、得られたフィルムを150℃に加熱したバッチ式延伸装置で二軸延伸し、表面に30μmの表層(Y)を有する厚さ40μmの二軸延伸粘着フィルムを作成した。
基層(X)を基材フィルム(ポリプロピレン)とし、表層(Y)を比較例3の粘着剤としナイフコーターで、基材に乾燥後厚さ20μmとなるように基材の片側全面に塗布し、紫外線照射機[DNA−FIX DF−365型、アトー(株)製]にて、波長365nm、紫外線エネルギー800mJ/cm2の紫外線を5秒間照射し、粘着剤層を硬化させて、比較例3の粘着フィルムを作成した。

【0121】
[性能試験]
得られた粘着フィルムについて、帯電防止性(飽和帯電圧及び半減時間)、粘着特性及び糊残り性の試験を行った。
(1)帯電防止特性
i)帯電防止性
粘着フィルムから切り出したタテ50mm×ヨコ50mmの粘着フィルム試験片を用い、JIS L1094(1988年)に従ってスタティックオネストメーター[TYPE H0110、シシド静電気(株)製]を用い、印加電圧10,000Vの条件で粘着剤面の飽和帯電圧及び電荷半減時間を評価した。
ii)水洗後の帯電防止性
粘着シートから切り出したタテ50mm×ヨコ50mmの粘着シート試験片を、
20℃の超純水(比抵抗17.5MΩ・cm、以下同じ。)で、100ml/分の流速で、2分間水洗し、循風乾燥機内80℃で3時間乾燥した。該水洗・乾燥の操作を10回繰り返した試験片を用い、上記i)と同様に帯電防止性を評価した。
(2)粘着特性
i)23℃引き剥がし強度
粘着フィルムから切り出したタテ100mm×ヨコ25mmの粘着フィルム試験片を用いJIS Z0237−2000「粘着テープ、粘着シート試験方法」に基づき、粘着フィルムとステンレス板を23℃の雰囲気下、2kgローラーの1往復で貼り合わせ、30分後に23℃における180°引き剥がし強度を測定した。
(25mm幅、引張速度300mm/min)
ii)100℃引き剥がし強度
i)と同様にして23℃の雰囲気下で貼り合わせた後、測定環境温度を100℃とし、30分後に100℃における180°引き剥がし強度を測定した。
(3)糊残り性
100℃における180°引き剥がし強度測定の後、ステンレス板上に糊残りの跡
を目視で観察し糊残り性を確認した。
糊残りなし ○
僅かに糊残りあり △
糊残りあり ×
【0122】
試験結果及び糊残り試験の評価結果を表3に示す。
【0123】
【表3】



【0124】
表3から明らかなように、本発明の粘着シート(実施例1〜5)は、比較の粘着シート(比較例1〜3)と比較して、粘着特性及び永久帯電防止性が良好である上、糊残り性に優れている。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明の帯電防止性粘着剤は、優れた永久帯電防止性、粘着特性及び糊残り性を有することから、金属板やプラスチックの表面保護フィルム、足拭きマット、フォトマスク、電線の接続部や導体接続部の保護等の絶縁、ゴミ取り用のシート、ハードディスク用ラベル、飛翔害虫誘引捕殺粘着シート、ステッカー、インクジェット用受像粘着シート 、床養生用粘着シート、メッキエッチングプロテクトシート等の用途に使用できる。とくに液晶等パネルの保護フィルムとして好適に用いることができ、粘着フィルムの剥離帯電を有効に抑え、糊残り性が良好であることから被着体の汚染を防ぐことができる。





【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン(a)のブロックと、体積固有抵抗値が1×105〜1×1011Ω・cmの親水性ポリマー(b)のブロックとが、エステル結合、アミド結合、エーテル結合及びイミド結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合を介して繰り返し交互に結合した構造を有するブロックポリマー(A)からなる帯電防止剤と熱可塑性樹脂(B)からなる帯電防止性粘着剤。
【請求項2】
25℃における貯蔵弾性率G'が0.2〜200MPaであり、100℃におけるG'が0.1〜100MPaであり、25℃と100℃のG’の比率が10以下である請求項1記載の帯電防止性粘着剤
【請求項3】
(a)が、酸変性ポリオレフィン(a1)である請求項1又は2記載の帯電防止性粘着剤。
【請求項4】
(A)が、下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するブロックポリマー(A1)である請求項1〜3のいずれか記載の帯電防止性粘着剤。
【化1】


【化2】


【化3】

[(1)式中、nは2〜50の整数、R1及びR2の一方はHで他方はH又はメチル基、yは15〜800の整数、E1はジオール又は2価フェノールから水酸基を除いた残基、A1は炭素数2〜4のアルキレン基、m及びm’は1〜300の整数、X及びX’は一般式(2)、(3)及び対応する(2’)、(3’)から選ばれる基(但し、X’はXに対応する左右対称の基);(2)、(3)及び対応する(2’)、(3’)式中、RはH又は炭素数1〜4のアルキル基、R3は炭素数1〜11の2価の炭化水素基、R4はH又は炭素数1〜10のアルキル基、rは1〜20の整数、uは0又は1、Q、T、Q’及びT’は一般式(4)、(5)及び対応する(4’)、(5’)で示される基;一般式(4)、(5)及び対応する(4’)、(5’)式中、R5はH又は炭素数1〜10のアルキル基、R6はH又はメチル基、tはR6がメチル基のとき1、Hのとき0を表す。]
【請求項5】
(B)がポリオレフィン樹脂(B1)、ポリアクリル樹脂(B2)、ポリスチレン樹脂(B3)及びポリウレタン樹脂(B4)からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか記載の帯電防止性粘着剤。
【請求項6】
(A)と(B)の合計重量に基づく(A)の割合が2〜40%である請求項1〜5のいずれか記載の帯電防止性粘着剤。
【請求項7】
請求項1〜6記載の帯電防止性粘着剤を基材フィルム上にシート状に成形してなる帯電防止性粘着フィルム。



【公開番号】特開2007−70491(P2007−70491A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−259849(P2005−259849)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】