説明

常圧、常温の環境下において食品素材に短時間に含水率を高める浸漬方法

【課題】玄米、雑穀類、豆類、乾物、昆布では水の浸漬は長時間を必要とし、含水率も不安定で、水の種類によって大きく左右されていた。含水率によって炊く工程や煮物では多大なエネルギーの差が生じていた。水の種類に左右されず含水率を高める方法を提供する。
【解決手段】磁性体フェライト金属酸化物磁性体を陶磁器の内部に焼結した構造によって、常温常圧の環境下において、磁性による酸化還元反応によって玄米、雑穀類、豆類、乾物、昆布を浸漬し含水されるとき、酸性水は中性に、アルカリ性の水は中性に非平衡から平衡に転移し、水の種類に左右されず含水量が大幅に増加。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
磁性体フェライト金属酸化物磁性体を陶磁器の内部に焼結した構造によって、常温常圧の環境下において、酸化還元反応によって玄米、雑穀類、豆類、乾物、昆布を含水し浸漬させるとき、酸性水は中性に、アルカリ性の水は中性に非平衡から平衡に転移し、中性の水においても食品素材が有する非平衡から平衡に転移させ短時間に含水率を高める方法。
【背景の技術】
【0002】
雑穀類など乾燥した食品を調理するとき、含水率が早く高くなることが調理時間の短縮に結びつき、同時に調理加熱の時間も短縮され省エネルギー効果の高い方法である。
一般的に食品の含水時間は食品の素材と品質及び水の硬度によって違いが生じる。
玄米の加工や雑穀類、豆類の加工では調理する水を軟水又は純水処理をしてから加熱加工されていることが多い。
玄米では、硬度の高い水を長時間浸漬しても含水率には限界があり、炊く工程や煮物に入る前に含水率を高めておくと短時間に柔らかく仕上がり、エネルギーコストも軽減できる。
含水率が低い食材では減圧又は真空による加工の方法や加圧により加工されている。減圧や真空、加圧において含水をおこなうと調理加熱後に水分が分離する傾向があり、同時に食品の味覚にも変化が生じている。
食品の味覚変化には添加物によって調整する場合が多い。
従来、豆類の常温常圧下で10時間による浸漬による含水率は20%〜23%とされており玄米でも最大25%とされている。この含水率で柔らかく常圧で煮る又は炊く場合は100分から300分の時間を掛けており、短時間に調理加工する場合は加圧釜が多く利用されている。家庭においては圧力鍋によって調理されている場合が多い。
産業的には加圧釜によって加工されているが施設の価格は高価になっている。
玄米食の健康効果は古くから知られており、最近の健康志向から玄米の摂取が多く見られる。玄米食の効果はγーアミノ酪酸が公知になっているがγーアミノ酪酸は常温常圧の環境で含水率と平行し増加する。
【発明の開示】

【発明が解決しようとした課題】
【0003】
玄米、雑穀類、豆類、乾物類の多くは健康食品の一つとされているが調理時間が長くなり、家庭料理として敬遠されやすい。同時に食品産業界でも加熱時間が長く、設備投資コスト及びエネルギーコストが高い商品の一つである。調理時間の短縮には浸漬による含水率を短時間で高めることによって解決する。
常温常圧の環境下で短時間に含水率の高い浸漬が解決すると調理時間は短縮され、設備投資コストも軽減される。
浸漬に利用する水の水質は地域、季節、水温などで一定ではなく、イオン値のばらつきは多い。関東地域の利根川水系のカルシウムイオン値は、80ppm以上、関西地域は琵琶湖の水系が多く、30ppm前後である。但し、水のカルシウムイオン値は季節によって変動し冬期は高く、夏期は低い。含水率はカルシウムイオン値によって左右され、含水率によって加熱時間も左右される。水のカルシウム濃度に影響が少ない含水方法が求められている。多くの食品工場では職人の経験として教えており、安定した加工は経験者に委ねていることがおおい。水の水質に影響されず、簡便で短時間に含水させる技術が広く求められていた。又家庭で使用されている圧力鍋による加圧しすぎによる事故も後を絶たつことなく新聞紙上に掲載されている。
【発明を解決するための手段】
【0004】
磁性フェライトなどの金属酸化物磁性体を陶磁器内部全面に塗布し、薄膜状に磁性体を焼結した陶磁器内部に、玄米、雑穀類、豆類、乾物、昆布を入れ、水に浸漬すると、常温常圧の環境下において水の硬度、イオン濃度に影響せずに短時間に含水率を高めることができる。
磁性フェライトの表面の酸化、還元反応及び磁性体のスピンによる渦電流の誘導が生じる凹凸面のある磁性体を塗布、焼結した陶磁器内において、水の水素イオン、水酸化イオンカルシウムイオンと磁性体のスピンの共振による、動的相互作用によって水の酸性度、アルカリ性度は非平衡の状態から中性の平衡の状態に移動する。そのときのイオンの電位差によって水は平衡状態に移動しようとし水のイオン濃度、硬度に関連せず、玄米、雑穀類、豆類、乾物、昆布が常温、常圧の状態で含水し浸漬が促進される。
磁性フェライトなどの金属酸化物磁性体を陶磁器内部全面に塗布し、薄膜状に磁性体を焼結した陶磁器内部に、玄米、雑穀類、豆類、乾物、昆布を入れ、水に浸漬するとき、低出力のマイクロ波を陶磁器に照射し、水の水素イオン、水酸化イオン、カルシウムイオンのスピンとマイクロ波を磁性体によって波長転換した波長が磁性共鳴による動的共鳴によって含水、浸漬がさらに促進される。
【0005】
常温常圧の環境で浸漬時間を長くとると水の腐敗が進み品質の劣化を招く、従来含水率を高めるには20℃以上38℃が求められているが、この温度帯は一般生菌数の増加を招き食材の劣化が進み、腐敗臭や異臭が生じることもある。一般生菌数が大きく増加しない15℃以下の状態において短時間に含水率の高い浸漬が求められている。0004に示した構造においては、水温が10℃〜16℃においても浸漬による含水率には大きな違いが生じない。食品素材の劣化を防ぎながら短時間で含水率の高い浸漬が低温で可能とした。
【0006】
玄米、雑穀類、豆類、乾物、昆布を柔らかく炊くには常圧の環境ではこれまで長時間加熱加工されてきた。家庭用炊飯器では玄米や雑穀類は通常100分を必要とし、豆類の煮る工程では3時間〜5時間を必要とされてきた。そのために加圧の環境とする圧力鍋が産業用ではスチーム加熱釜が利用されている。圧力鍋による家庭内の事故はたびたび報道されており、圧力鍋で調理する場合はその場から離れることは危険とされている。
産業用加圧釜は施設コスト及び加熱によるエネルギーコストが高い。同時に密閉した環境で加熱することによる品質の問題があり、蒸れ臭が残存する。又強制含水による常温に戻したときに水分分離や豆類では表皮の分離などが生じやすい。0004で説明した電位による平衡移動の方法では、含水は細胞膜の内部に含水しており加熱後の水分分離や表皮のはく離が見られない。
【0007】
納豆の製造工程では含水率の高い浸漬と浸漬の時間が製造工程時間になる。短時間に含水率の高い浸漬によって製造工程は短縮される。これまで多くの製造工程では浸漬時間を20時間水温を30℃以上に設定されている。このとき事前に滅菌するため高濃度の次亜塩素水によって滅菌が行われる場合もある。
短時間に低温で含水率の高い浸漬によって製造工程の時間は約半分に短縮することができる。
【0008】
発芽玄米は玄米を浸漬させ胚芽に30%の含水した状態で、脱水処理をおこない販売されている。玄米に含まれるγーアミノ酪酸の含有量が増加し、商品化されている。
玄米を常圧常温の環境下で含水率の高い浸漬を行うと短時間でγーアミノ酪酸は増加する。
【0009】
玄米、雑穀類、豆類などは、健康食品の素材として広く利用されている。常温常圧の環境においてイオン化したカルシウム、機能性分子、ペプチドを含浸させると品質が安定した加工が可能になる。0004で示した容器の内部に、玄米、雑穀類、まめ類を入れ、イオン化したカルシウム、機能性分子、ペプチドなどの水溶液を入れ、水温が上がらない程度の低出力マイクロ波を照射し振動のエネルギー輻射することによって、高濃度のイオン化水溶液、機能性分子の水溶液、ペプチドを含有する水溶液を含浸し浸漬することができる。
【発明の効果】
【0010】
食品加工では水の水質によっては軟水器又はRO−純水器を使用して含水率を高める方法が多く利用されている。これらの機器は定期的なフイルターの交換など設備の投資と共に管理コストが高い欠点がある。日本では地域によって水質はかなり異なり、水質の変化は調理加工の時間格差になっている。常温常圧で水質に関係なく短時間に含水率が安定していると調理加工の時間が短縮され、熱エネルギーコストが低減できる。
例えば、家庭の電気炊飯器で玄米を炊飯すると一般的には100分間の時間が必要であるが、始めに含水率が50%を超えていると炊飯時間は50分炊飯できる。
熱エネルギーコストは約50%軽減できる。
玄米、雑穀類、豆類、乾物などの炊飯や煮る時間や加工時間は短縮され省エネルギーにな
【実施例】
【0011】
玄米、大豆を利用し、水の組成と容器による含水率の格差及びpHの変化を調べる実験を行った。
実験1、
玄米100gに対して各種の水400ccを入れ、常温常圧における12時間後の重量格差を調べた。水温はそれぞれ16℃になって実験を行った。
容器は耐熱カラスのボール、磁性鍋(Mn−Znフェライト焼結)カルシウム磁性鍋(Mn−Zn−Caフェライト焼結)の3種類と水はRO−純水(イオン値8ppm)水道水(イオン値86ppmCa0.3g)市販のEvian(イオン値330ppmCa0.7mg)市販のContrex(イオン値2030ppmCa46.8mg)の4種類の含水格差を調べた。
【表−1】

玄米の含水率は、容器の構造と水の性質によって異なることが解った。
同じ磁性を持つ容器においても違いがあり、Mn−Znフェライトは早い含水率を示す。
普通の陶磁器との格差は、純水では4.3倍の含水率になり、水にふくまれているカルシウムが0.7mgのときは約6倍の含水率になる。反対にカルシウム濃度があまりにも高い水では含水率は変わらないことが解った。
2030ppmの水以外Mn−Znフェライト磁性鍋が一番含水率が高く、その次がカルシウム磁性鍋であり、最も含水率が低いのが磁性なしの容器である。いずれの鍋においても330ppmのイオン値が最も含水率が高い。このカルシウム水は弱アルカリ性であり、酸性食品である玄米に浸漬した結果、水は中性の方向に移動した。非平衡なアルカリ性の状態を平衡な中性の状態に遷移する状態で含水率が高まる。
実験2、
玄米の含水率と水温と容器による格差を調べた水は実験1で示した含水率のたかいEvian(イオン値330ppmCa0.7g)を用い、12時間後の含水率を磁性鍋と耐熱ガラスで比較した。
【表−2】

磁性鍋と耐熱ガラスを比較すると水温4℃の場合は2.5倍、16℃では約6倍の含水率の格差がある。水温が4℃の環境では含水率は低い、含水率は水温と密接な関係があることが解る。磁性によって弱アルカリ性の水の非平衡状態が中性の平衡状態に遷移し、水が含水されるためには16℃の室温が最も活性力が高いことがわかる。
実験3
大豆100gをカルシウム濃度とイオン値のことなる水を各300cc入れ、磁性鍋(Mn−Znフェライト)と耐熱ガラスを使用し浸漬し含水率及び水のpHを時間の経過による変化を調べた。
使用した水は RO−純水(総イオン値8ppm,Ca0mg)Evian水(イオン値330ppm.Ca0.7mg)Contrex水(イオン値2030ppm.Ca46.8mg)を用いた。
【表−3】

【表−4】

純水を利用し、磁性鍋と耐熱ガラスの含水率は磁性鍋が高く、pHは耐熱ガラスは大豆がアルカリ性食品のため、含水によってアルカリ性に移動しているが磁性鍋の変化中性側から酸性側に移動している。
【表−4】

【表−5】

大豆の浸漬による含水率の比較では水のイオン濃度に関係なく磁性鍋と耐熱ガラスでは磁性鍋の方が大豆の含水率は高い値を示した。このカルシウム水は弱アルカリ性であり、アルカリ性食品である大豆に浸漬した結果水はアルカリ性の方向に移動した。
磁性鍋を使用した大豆の浸漬では弱アルカリ性の水は平衡状態の中性から弱酸性に移動した。
実験4
大豆を濃度の高いカルシウムを含有する水Contrex水(イオン値2070ppm、Ca濃度46.8mg)をクエン酸によって、酸性に調整した水を使用し、磁性鍋と磁性なしの容器を使用し浸漬によるpHの結果を表−6に示す。
【表−6】


磁性鍋の浸漬の実験結果の方がより平衡に近い中性に耐熱ガラスの結果より移動しており含水量も増加した。しかし実験2及び実験3出示すほどの含水量ではなく重量に対して磁性鍋は20%の増加であった。
実験5
実験4で示した磁性鍋を100Wの低出力を設定した電子レンジに入れ水温が上がらない状態で振動させ連続1時間継続した。
その結果含水率は60%に上昇しpHは6.5に転移していた。
実験1,実験2、では玄米の含水率は磁性鍋の効果が高いことが示された。
実験3で大豆の含水率は玄米ほど高くはないが、pHの変化が大きく、この格差は加熱における熱効率の高さを示している。実験4ではカルシウム含有が高い酸性水は含水率が悪いことを示しているが、実験5では外部から磁性鍋に振動のエネルギーを与えることによって含水率はたかくなり、pHの変化が見られる。大豆にイオン値の高い水溶性の素材を低温度の環境で含浸させ加工することが示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
米穀類、玄米、雑穀類、まめ類、乾物、昆布などを常温、常圧の環境において、水の組成に影響されずに浸漬状態において、短時間に含水率を高める方法
【請求項2】
磁性フェライトなどの金属酸化物磁性体を陶磁器内部全面に塗布し、薄膜状に磁性体を焼結した陶磁器内部に、米穀類、玄米、雑穀類、豆類、乾物、昆布を入れ、水に浸漬すると、常温常圧の環境下において水の硬度に影響せずに短時間に含水率を高めることができる方法。
【請求項3】
請求項1及び請求項2の方法において、短時間に米穀類、玄米、雑穀類、豆類、乾物、昆布に浸漬し含水率を高めることによって、調理加工及び食品加工において熱効率を高め、加工時間を短縮する方法。
【請求項4】
請求項1及び請求項2の方法において、米穀類、玄米、雑穀類、豆類、を水に浸漬するとき、常温常圧の環境下において水の硬度に影響せずに短時間に含水率を高めることができ、米穀類、玄米、雑穀類、豆類の含水率によって短時間にγ−アミノ酪酸の含有率を増加させることができる方法。
【請求項5】
請求項2の構造において、金属酸化物のフェライト組成がMn−Zn、マンガンフェライト、マンガンカルシウムフェライトを使用すると、金属酸化物の磁性によってスピンによる渦電流の誘導及び酸化還元反応によって、添加物を加えることなく水の成分がアルカリ性の場合は中性に酸性水においても中性に、還元反応によって酸性、又はアルカリ性の非平衡の状態から中性の平衡状態に転移する方法。
【請求項6】
請求項1の方法及び請求項2の構造の陶磁器にあって、イオン濃度の高い水を含水させる場合、水のイオン濃度にかかわらず、陶磁器に焼結した金属酸化物の磁性体のスピンと水の水素イオン 水酸化イオン、カルシウムイオンなどのイオンのスピンとの動的相互作用による共振によって含水が高まる方法
【請求項7】
総イオン値が高い水を玄米、雑穀類、豆類に常温常圧の環境で含水させる場合、請求項1及び請求項2の構造の陶磁器に低出力のマイクロ波を照射し磁性体のスピンの振動を継続し与えると水素イオン、水酸化イオン、カルシウムイオンなどのイオンのスピンとマイクロ波を磁性体によって波長転換した波長が磁気共鳴による動的相互作用によって水の含水がさらに促進される方法。

【公開番号】特開2010−268777(P2010−268777A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−138684(P2009−138684)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(599106204)
【出願人】(500398625)
【出願人】(509162218)
【Fターム(参考)】