説明

干渉膜を有するハロゲン電球又は高輝度放電ランプ

【課題】 積層回数が少なく、クラックや白濁がなく、光干渉性が高く、目的とする波長の光を取り出すことが出来る光干渉膜を付したハロゲン電球又は高輝度放電ランプを提供する
【解決手段】 バルブ表面に、光屈折率の高い層と低い層を組み合わせてなる多層干渉膜において、少なくとも1層が、釉薬層あるいは脂肪酸の金属塩よりなる層であることを特徴とするハロゲン電球又は高輝度放電ランプ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り物の照明に用いられるハロゲン電球あるいは高輝度放電ランプに関する。特に、光干渉膜をバルブ表面に形成させ、特定波長の光を効率よく放射させるハロゲン電球および高輝度放電ランプに関する。

【背景技術】
【0002】
従来、乗り物の照明に用いられている光干渉膜を付したランプは、光干渉理論に基づき、高屈折率層と低屈折率層を交互に積層させている。この場合、高屈折率層と低屈折率層を交互に約10層以上に積層しなければならないので、多くの工数を必要とするばかりでなく、何層にも積層する手段として化学的あるいは物理的蒸着法などが採用されており、高価な設備をも必要とし、経済的でないという問題がある(特許文献1、特許文献2参照)。
また、高屈折率層と低屈折率層を交互に積層すると、ランプ点灯時の加熱により層間で熱膨張率が異なることと、高屈折率層に多く用いられている酸化チタンの相変化により、クラックや白濁が生じるという問題がある。クラックや白濁は干渉膜としての機能を低下させ、可視光の透過性が低下するという問題がある。
浸漬法では多層にすればするほど、膜厚の制御が難しくなり、安定した干渉膜が得られにくいという問題がある。積層回数を少なくすると干渉膜が得られないという問題がある。
【特許文献1】特開平10−302723号公報
【特許文献2】特開2001−102006号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明に於いては、積層回数が少なく、クラックや白濁がなく、高効率で目的とする波長の光を取り出すことが出来る光干渉膜を付したハロゲン電球又は高輝度放電ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決すべく、鋭意研究した結果、多層干渉膜のいずれかの層に、少なくとも1層以上の釉薬層あるいは脂肪酸の金属塩層を介在させた干渉膜を有するハロゲン電球又は高輝度放電ランプは少ない積層回数で干渉膜が得られるため経済的であり、点灯時にクラックや白濁の発生がなく、長時間使用しても膜の剥離も起こることもなく、この多層干渉膜を付したハロゲン電球および高輝度放電ランプは特定波長の光を効率よく放射させることがわかり、本目的を達成できることを確認した。
すなわち、 バルブ表面に、光屈折率の異なる層を複数組み合わせてなる多層干渉膜において、少なくとも1層が、釉薬層あるいは脂肪酸の金属塩よりなる層であるハロゲン電球又は高輝度放電ランプである。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、積層回数が少なく、クラックや白濁がなく、光干渉性が高く、目的とする波長の光を取り出すことが出来る光干渉膜を付したハロゲン電球又は高輝度放電ランプを提供することが出来た。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明で用いる釉薬は、ケイ酸(SiO2)質や酸化チタン(TiO2)を主とする骨材、アルミニウムの酸化物や水酸化物を主とする糊材、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ホウ素、鉛などの媒熔剤、遷移金属などの金属の酸化物や水酸化物などの着色剤と溶剤により構成され、各種の市販されている釉薬を利用することが出来る。本発明において用いられる釉薬のケイ酸(SiO2)、酸化チタン(TiO2)、遷移金属などの金属の酸化物や水酸化物などの着色剤は釉薬中に酸化物として存在していても良いが、焼成して酸化物となるロジンのような脂肪酸の塩であっても良く、このような釉薬も広く市販されている。
本発明においては、これら一般的な構成の釉薬を使用することができる。屈折率を調整するためにシリカ、チタン、タンタル、ビスマス、アルミニウム、ホウ素、ジルコニウム、リン等の酸化物、アルコキシ化物あるいはアルコキシ化物を塩酸等で加水分解して得られたゾルーゲル液を混合しても良い。
【0007】
本発明においては、釉薬に代えて脂肪酸の金属塩あるいは脂肪酸の金属塩と被膜形成無機バインダーの混合物を用いることができる。脂肪酸としては飽和、不飽和、直鎖、分岐、環状のものが使用できる。具体的には、酢酸、酪酸、オクチル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、イソステアリン酸のような飽和、不飽和、直鎖、分岐脂肪酸、オレイン酸、リノール酸やリノレン酸を2量化して得られたダイマー酸、ロジンに代表される樹脂酸、塗料の乾燥剤に用いられるナフテン酸などが挙げられる。これらの中でロジンは金属塩にした場合、溶解しやすく、かつ、塗布、焼成した場合、平滑面が得られやすいので、特に好ましい。
ロジンとしては、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンはもちろん、水素添加ロジン、不均斉化ロジン、重合ロジン、マレイン酸付加ロジンあるいはロジンの主成分であるアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸などを使用することができる。
また、本発明では、脂肪酸の金属塩が、シリカ、チタン、タンタル、ビスマス、ジルコニウム、ホウ素、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム塩の1種又は2種以上である場合には、被膜形成無機バインダーを特に必要としないが、脂肪酸の金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、ロジウム、コバルト、ルテニウム、鉄、マンガン、クロム、インジウム、スズ等の金属塩である場合には、被膜形成しにくいので、前記脂肪酸の金属塩やシリカ、チタン、タンタル、ビスマス、アルミニウム、ホウ素、ジルコニウム、リン等の酸化物、アルコキシ化物あるいはアルコキシ化物を塩酸等で加水分解して得られたゾルーゲル液を被膜形成無機バインダーとして併用することができる。
またさらに、本発明では、シリカ、チタン、タンタル、ビスマス、アルミニウム、ホウ素、ジルコニウム、リン等の酸化物、アルコキシ化物あるいはアルコキシ化物を塩酸等で加水分解して得られたゾルーゲル液は被膜形成無機バインダーとして、脂肪酸の金属塩との併用ばかりではなく、釉薬と併用することもできる。
【0008】
本発明で用いる脂肪酸の金属塩は、脂肪酸をアルカリ金属の水酸化物と水の存在下で反応させ、脂肪酸のアルカリ金属塩水溶液を調整し、金属の塩化物や硫酸化物と反応させることにより、極めて容易に得られる。得られた脂肪酸の金属塩をキシレン、トルエン、ミネラルスピリットのような非水溶性溶媒で抽出した液を使用することができる。また、脂肪酸と金属のアルコキシ化物あるいは金属の酸化物、水酸化物と加熱することによっても得ることができる。
【0009】
本発明においては、塗布液の粘度調整や膜厚調整を目的として、溶剤を併用することが好ましい。溶剤は釉薬や脂肪酸金属塩の溶解性や被膜形成無機バインダーやアルコキシ化合物あるいはそれら由来のゾルーゲル液の溶解性を考慮すると、シクロヘキサン、デカン、ケロシン、ミネラルスピリット、テルペン等の脂肪族系溶剤やトルエン、キシレン、ニトロベンゼン等の芳香族系溶剤、エチルアルコール、プロピルアルコールのようなアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン系溶剤、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルのようなエーテル系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル系溶剤等を単独あるいは併用して用いることができる。
【0010】
本発明においては、通常、干渉膜に使用されるアルコキシシラン、アルコキシチタン、アルコキシジルコニウムのようなアルコキシ化合物やそれらを塩酸触媒等で重合させたゾルーゲル層と釉薬層あるいは脂肪酸の金属塩よりなる層を積層させることができる。少ない積層で干渉膜を得るには釉薬層あるいは脂肪酸の金属塩よりなる層を1層以上設ける必要がある。釉薬層あるいは脂肪酸の金属塩よりなる層は最下層でも、中間層でも、表層でも良いが、表層に設けた場合に最もきれいな干渉膜を得ることができる。この場合、アルコキシシラン、アルコキシチタン、アルコキシジルコニウムのようなアルコキシ化合物やそれらを塩酸触媒等で重合させたゾルーゲル層と釉薬層あるいは脂肪酸の金属塩よりなる層の屈折率が異なっているほど、少ない積層回数で、干渉膜が得られる。
【0011】
また釉薬層あるいは脂肪酸の金属塩よりなる層とそれらと屈折率の異なる釉薬層あるいは脂肪酸の金属塩よりなる層を積層させても良い。
【0012】
本発明では、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、ロジウム、コバルト、ルテニウム、鉄、マンガン、タングステン、モリブデン、クロム、タンタル、ニオブ、バナジウム、インジウム、スズの1種または2種以上を含む釉薬あるいは脂肪酸の金属塩である場合には、極めて少ない積層回数で干渉膜を得ることができる。また、金、銀、銅、白金、クロム、ニッケル、コバルト、パラジウム、ロジウム、インジウム、スズのような金属を含む場合には干渉作用が強くなるばかりか、反射膜としての機能が増大する。金、白金、クロム、ニッケル、ロジウムの場合は特に好ましい。
【0013】
本発明において、アルコキシシラン、アルコキシチタン、アルコキシジルコニウムのようなアルコキシ化合物やそれらを塩酸触媒等で重合させたゾルーゲル液、釉薬、脂肪酸の金属塩あるいは脂肪酸の金属塩と被膜形成無機バインダーの混合液を塗布する方法としては浸漬塗装方法(ディッピングコート法)、ハケやローラによる塗装、エアガンやエアゾルによるスプレー塗装方法などがあるが、浸漬塗装方法(ディッピングコート法)は膜表面が平滑になるので、最も好ましい。
【0014】
本発明において、釉薬層あるいは脂肪酸の金属塩よりなる層を少なくとも1層介在させることにより、2−5層の積層で干渉膜を得ることができる。特に、屈折率の異なる釉薬層あるいは脂肪酸の金属塩よりなる層同志を2層連続して設けると、それだけでもきれいな干渉膜が得られる。
【0015】
干渉膜を構成する高屈折率層、低屈折率層、釉薬層あるいは脂肪酸の金属塩よりなる層のそれぞれを塗布後、塗布層ごとに高温で焼き付けても良く、それぞれの層を塗布後、乾燥させ、多層にしてから焼き付けても良いが、塗布層ごとに焼き付けた場合に最も効率的な干渉膜が得られる。焼付けの温度は釉薬や脂肪酸の金属塩に含まれる有機化合物を分解させる必要があるので、250℃以上であることが好ましい。
【0016】
本発明において、高屈折率層の液剤として、チタンやジルコニウムなどを含む釉薬、それらと脂肪酸の塩、それらのアルコキシ化合物あるいはそれらのアルコキシ化合物由来のゾルーゲル液を用いてもよく、低屈折率層として、シリカなどを含む釉薬、それらと脂肪酸の塩、それらのアルコキシ化合物あるいはそれらのアルコキシ化合物由来のゾルーゲル液を用いても良い。
【0017】
また、本発明においては黄色や青色等の着色層の上に干渉層を設けることも可能であり、干渉層の上に着色層を設けることもでき、着色層の上に干渉層を設け、その上に再度、着色層を設けることもできる。
【0018】
本発明で用いるランプは、自動車のヘッドライトやサイドランプ等に用いられているランプとして手軽に装着できるものであり、このような自動車用ランプとしては、ハロゲンランプ若しくはキセノンランプがある。ランプの代表例として、ハロゲンランプを図1に示す。
ランプは、光源1を内蔵するガラス管2と口金3からなり、ガラス管は通常、高温に耐えるパイレックス(登録商標)ガラスや石英ガラスで作られている。

【0019】
また、ガラスへの密着性を向上させることを目的として、湿潤分散剤を添加しても支障はなく、レベリング剤やレオロジーコントロール剤を併用することもできる。
【0020】
発明の実施の形態を挙げれば、以下のとおりである。
(1) バルブ表面に、光屈折率の高い層と低い層を組み合わせてなる多層干渉膜において、少なくとも1層が、釉薬層あるいは脂肪酸の金属塩よりなる層であることを特徴とするハロゲン電球又は高輝度放電ランプ。
(2) バルブ表面に、光屈折率の高い層と低い層を組み合わせてなる多層干渉膜において、少なくとも1層が、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、ロジウム、コバルト、ルテニウム、鉄、マンガン、タングステン、モリブデン、クロム、タンタル、ニオブ、バナジウム、インジウム、スズを含む釉薬層あるいは脂肪酸の金属塩層であることを特徴とする(1)記載のハロゲン電球又は高輝度放電ランプ。
(3) 多層干渉膜のいずれかひとつの層が着色層であることを特徴とする(1)−(2)記載のハロゲン電球又は高輝度放電ランプ。
(4) 釉薬層あるいは脂肪酸の金属塩よりなる層が2層以上連続していることを特徴とする(1)−(3)のいずれかに記載のハロゲン電球又は高輝度放電ランプ。
(5) 脂肪酸がロジン系樹脂であることを特徴とする(1)−(4)のいずれかに記載のハロゲン電球又は高輝度放電ランプ。
(6) 釉薬がシリカ、チタン、タンタル、ビスマス、ジルコニウム、ホウ素、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、リンの化合物の1種または2種以上と金、銀、銅、白金、クロム、ニッケル、コバルト、パラジウム、ロジウム、インジウム、スズ、ルテニウム、ゲルマニウム、タングステン、アルミニウム、マンガンの1種または2種以上を含むことを特徴とする(1)−(5)のいずれかに記載のハロゲン電球又は高輝度放電ランプ。
(7) 着色層が赤、黄、紫、緑あるいは青色であることを特徴とする(1)−(6)記載のハロゲン電球又は高輝度放電ランプ。
(8) 干渉層が2-5層であることを特徴とする(1)−(7)のいずれかに記載のハロゲン電球又は高輝度放電ランプ。

【0021】
次に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。また、実施例ではハロゲンランプについて示したが、高輝度放電ランプ(キセノンランプ)についても、同様に行えることは言うに及ばない。
【0022】
まず、実施例に先立って、本発明の各実施例で用いる光屈折率の異なる層、釉薬層、脂肪酸の金属塩よりなる層を作成するための各組成物の製造について示す。
(低屈折率層構成液(1)の調整)
温度計、窒素ガス導入管、コンデンサー、撹拌装置を付した300ml4つ口フラスコにテトラエトキシシラン100g、イソプロピルアルコール100g水5g、塩酸0.2gを加え、窒素ガス下に60℃まで加熱し、60℃で6時間反応させた(1a)。その後、イソプロピルアルコールで10倍希釈し、無水硫酸ナトリウムを加え、脱水後、ろ過し、低屈折率層構成液(1)とした。
ノニオン系界面活性剤を塗布したポリプロピレン板上にこの構成液をキャストし、80℃で乾燥後、無機膜を取り外し、400℃で焼成した。この無機膜の屈折率を測定すると1.48であった。以下、同様にして屈折率を測定した。
(高屈折率層構成液(2)の調整)
テトライソプロポキシチタン20g、テトラエトキシシラン5.2g、トリイソプロポキシアルミニウム1g、アセチルアセトン26gを混合し、イソプロピルアルコールで10倍希釈し、高屈折率層構成液(2)とした。
この高屈折率膜の屈折率は2.08であった。
(ロジンチタニウム塩液(3)の調整)
温度計、滴下漏斗、脱溶剤装置、撹拌装置を付した300ml4つ口フラスコにテトライソプロポキシチタン30gを仕込み、加熱しながら、ガムロジンWW(酸価165)の50重量%イソプロピルアルコール溶液210gを撹拌下に1時間を要して滴下した。加熱を続けると、フラスコ内の温度が約85℃になった時よりイソプロピルアルコールの留出が始まった。100℃でほぼ、イソプロピルアルコールの留出が終了したが、120℃まで加熱し、アスピレーターで反応系を減圧にして、残存するイソプロピルアルコールを留去した。赤外吸収スペクトルを調べた結果、1696cm−1にあるロジンのカルボキシル基の吸収が減少し、1540cm−1にロジンチタニウム塩の吸収が新たに認められた。このものをイソプロピルアルコールで20倍希釈し、高屈折率層構成液(3)とした。
この高屈折率膜の屈折率は2.25であった。
(ロジンの白金塩液(4)の調整)
水酸化カリウム16.5gを純水300gに溶解し、約85℃に加熱した。その上に、撹拌しながら加熱溶融したガムロジンWW(酸価165)100gを添加し、ロジンのカリウム塩を得た。純水で不揮発分を20%に調整した。20%ロジンカリウム塩溶液28gをビーカーに取り、撹拌しながら2%ヘキサクロロ白金(IV)酸・六水和物水溶液50gを添加した。全量を分液漏斗に移し、キシレン200gを加え、振り混ぜ、水層を除去した。キシレン層に無水硫酸ナトリウムを加え、脱水した。硫酸ナトリウムをろ過により除去し、ロジンとロジン白金塩混合物のキシレン溶液(4)を得た。キシレンを加え、不揮発分を5%に調整した。
(青色着色液(5)の調整)
平均粒子径120nmのアルミン酸コバルトのイソプロピルアルコール分散液(不揮発分:15%)100gと(1)で調整したイソプロピルアルコールで希釈前の低屈折率層構成液(1a)100gとイソプロピルアルコール100gを混合し、青色着色液(5)を得た。

【実施例1】
【0023】
ハロゲン電球のバルブを低屈折率層構成液(1)に浸漬し、2.0mm/秒の速度で引き上げ、600℃で5分間焼成し、低屈折率層1を形成させた。次いで、同量のトルエンで希釈したチタン釉薬液(市販品:Ti 3.5%、ロジン35%、テレピン油、61.5%)に浸漬し、2.0mm/秒の速度で引き上げ、600℃で5分間焼成し、高屈折率層2を形成させた。
【実施例2】
【0024】
ハロゲン電球のバルブを高屈折率液(2)に浸漬し、2.0mm/秒の速度で引き上げ、600℃で5分間焼成し、高屈折率層1を形成させた。次いで、同量のトルエンで希釈したシリカ釉薬液(市販品:シリカ 5%、ロジン25%、リモネン、テレピン油70%)に浸漬し、2.0mm/秒の速度で引き上げ、600℃で5分間焼成し、低屈折率層2を形成させた。
【実施例3】
【0025】
ハロゲン電球のバルブを同量のトルエンで希釈したチタン釉薬液(市販品:Ti 3.5%、ロジン35%、テレピン油、61.5%)に浸漬し、2.0mm/秒の速度で引き上げ、600℃で5分間焼成し、高屈折率層1を形成させた。次いで、同量のトルエンで希釈したシリカ釉薬液(市販品:シリカ 5%、ロジン25%、リモネン、テレピン油70%)に浸漬し、2.0mm/秒の速度で引き上げ、600℃で5分間焼成し、低屈折率層2を形成させた。
【実施例4】
【0026】
ハロゲン電球のバルブを同量のトルエンで希釈したシリカ釉薬液(市販品:シリカ 5%、ロジン25%、リモネン、テレピン油70%)に浸漬し、2.0mm/秒の速度で引き上げ、600℃で5分間焼成し、低屈折率層1を形成させた。次いで、同量のトルエンで希釈したチタン釉薬液(市販品:Ti 3.5%、ロジン35%、テレピン油、61.5%)に浸漬し、2.0mm/秒の速度で引き上げ、600℃で5分間焼成し、高屈折率層2を形成させた。
【実施例5】
【0027】
ハロゲン電球のバルブを低屈折率層液(1)に浸漬し、2.0mm/秒の速度で引き上げ、600℃で5分間焼成し、低屈折率層1を形成させた。次いで、ロジンチタニウム塩液(3)に浸漬し、2.0mm/秒の速度で引き上げ、600℃で5分間焼成し、高屈折率層2を形成させた。
【実施例6】
【0028】
ハロゲン電球のバルブを低屈折率層液(1)に浸漬し、2.0mm/秒の速度で引き上げ、600℃で5分間焼成し、低屈折率層1を形成させた。次いで、同量のトルエンで希釈した白金釉薬液(市販品:Ti、Bi 5%、Pt0.5%、ロジン35%、テレピン油、リモネン 59.5%)に浸漬し、2.0mm/秒の速度で引き上げ、600℃で5分間焼成し、白金釉薬層2を形成させた。

実施例1〜6と同様の手順により、バルブの表面に多層干渉膜を設けたハロゲン電球を作成し、実施例7−9として表にまとめて示す。
また、光干渉性について、その性能を合わせて示す。
(実施例10)
【0029】
ハロゲン電球のバルブを低屈折率層液(1)に浸漬し、2.0mm/秒の速度で引き上げ、600℃で5分間焼成し、低屈折率層1を形成させた。次いで、ロジンの白金塩液(4)10gと高屈折率液(2)90gよりなる液に浸漬し、2.0mm/秒の速度で引き上げ、600℃で5分間焼成し、高屈折率白金層2を形成させた。
(実施例11)
【0030】
ハロゲン電球のバルブをロジンの白金塩液(4)10gと低屈折率液(1)90gよりなる液に浸漬し、2.0mm/秒の速度で引き上げ、600℃で5分間焼成し、低屈折率白金層1を形成させた。次いで、高屈折率層液(2)に浸漬し、2.0mm/秒の速度で引き上げ、600℃で5分間焼成し、高屈折率層2を形成させた。
(実施例12)
【0031】
ハロゲン電球のバルブを青色着色液(5)に浸漬し、2.0mm/秒の速度で引き上げ、600℃で5分間焼成し着色層を形成させた。次いで、同量のトルエンで希釈したシリカ釉薬液(市販品:シリカ 5%、ロジン25%、リモネン、テレピン油70%)に浸漬し、2.0mm/秒の速度で引き上げ、600℃で5分間焼成し、低屈折率層1を形成させた。さらに、同量のトルエンで希釈したチタン釉薬液(市販品:Ti 3.5%、ロジン35%、テレピン油、61.5%)に浸漬し、2.0mm/秒の速度で引き上げ、600℃で5分間焼成し、高屈折率層2を形成させた。
実施例12と同様の手順により、バルブの表面に着色層と多層干渉膜を設けたハロゲン電球を作成した。実施例13−16として表にまとめて示す。
また、光干渉性について、その性能を合わせて示す。
【表1】

【0032】
(比較例1)
実施例と同様の手順で、ハロゲン電球のバルブを低屈折率層構成液(1)に浸漬し、2.0mm/秒の速度で引き上げ、600℃で5分間焼成し、低屈折率層1を形成させた。次いで、高屈折率液(2)に浸漬し、2.0mm/秒の速度で引き上げ、600℃で5分間焼成し、高屈折率層1を形成させた。
【0033】
(比較例2)
実施例と同様の手順で、高屈折率液(2)に浸漬し、2.0mm/秒の速度で引き上げ、600℃で5分間焼成し、高屈折率層1を形成させた。
次いで、ハロゲン電球のバルブを低屈折率層構成液(1)に浸漬し、2.0mm/秒の速度で引き上げ、600℃で5分間焼成し、低屈折率層1を形成させた。
【0034】
(比較例3)
実施例と同様の手順で、まず、約0.1μmの着色層(青)を設けた。次いで、低屈折率層構成液(1)に浸漬し、一定速度で引き上げ、600℃で5分間焼成し、約0.1μmの低屈折率層1を形成させた。次いで、 ハロゲン電球のバルブを高屈折率液(2)に浸漬し、一定速度で引き上げ、600℃で5分間焼成し、約0.1μmの高屈折率層1を形成させた。
比較例の性能について表2にまとめる。
【表2】

なお、実施例1〜16の本発明品は、いずれもJIS D5500の色度範囲内であり、自動車ランプとして使用できることが判明している。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明のハロゲン電球又は高輝度放電ランプは、積層回数が少なく、クラックや白濁がなく、光干渉性が高く、目的とする波長の光を取り出すことが出来る光干渉膜を付したので、自動車や電車等の乗り物の照明や、建築用や商品展示等の照明などにも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】ランプの略図
【符号の説明】
【0037】
1 光源
2 ランプのガラス管
3 口金
4 干渉膜


【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブ表面に、光屈折率の高い層と低い層を組み合わせてなる多層干渉膜において、少なくとも1層が、釉薬層あるいは脂肪酸の金属塩よりなる層であることを特徴とするハロゲン電球又は高輝度放電ランプ。
【請求項2】
釉薬層あるいは脂肪酸の金属塩層が、 金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、ロジウム、コバルト、ルテニウム、鉄、マンガン、タングステン、モリブデン、クロム、タンタル、ニオブ、バナジウム、インジウム、スズを含むであることを特徴とする請求項1記載のハロゲン電球又は高輝度放電ランプ。
【請求項3】
多層干渉膜のいずれかひとつの層が着色層であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のハロゲン電球又は高輝度放電ランプ。
【請求項4】
釉薬層あるいは脂肪酸の金属塩よりなる層が2層以上連続していることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかひとつに記載のハロゲン電球又は高輝度放電ランプ。
【請求項5】
脂肪酸がロジン系樹脂であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかひとつに記載のハロゲン電球又は高輝度放電ランプ。
【請求項6】
釉薬がシリカ、チタン、タンタル、ビスマス、ジルコニウム、ホウ素、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、リンの化合物の1種または2種以上と金、銀、銅、白金、クロム、ニッケル、コバルト、パラジウム、ロジウム、インジウム、スズ、ルテニウム、ゲルマニウム、タングステン、アルミニウム、マンガンの1種または2種以上を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかひとつに記載のハロゲン電球又は高輝度放電ランプ。
【請求項7】
着色層が赤、黄、紫、緑あるいは青色であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかひとつに記載のハロゲン電球又は高輝度放電ランプ。
【請求項8】
干渉層が2-5層であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかひとつに記載のハロゲン電球又は高輝度放電ランプ。

【図1】
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