説明

平らなまたは実質的に平らな発光構造

本発明の主題は、発光構造であり、さらに明確に述べると、互いに対向する主面(21から32)を有しかつ内側空間(10)を画定する2つの壁(2、3)と、その内側空間内に配置されている光源(6)と、および、この光源のための電源と、主面(21から32)の発光領域の少なくとも一部分に対向する形で配置されている、可視域内において反射する反射性表面(109)を有する要素(100)とを備え、および、この構造は、少なくとも1つのライトウェルを形成するための少なくとも1つの実質的に透明な部品または総体的に透明な部分を有し、および、この構造は、主面(21から32)の少なくとも1つの少なくとも1つの発光領域によって照明することが可能である平らなまたは実質的に平らな発光構造(1000)において、上記要素は切換可能であり、および、上記反射性表面は、少なくとも1つの区域の全体にわたって、実質的に透明な表面(203)または総体的に透明な表面となることと、これとは反対であることとが可能であることを特徴とする発光構造(1000)である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光構造に関し、さらに明確には、互いに対向する主面を有しかつ内側空間を画定する主面を有する2つの壁と、この内側空間内に配置されている光源とこの光源のための電源と、上記主面の発光領域の少なくとも一部分に面して配置されている、可視域内で反射する反射性表面を有する要素とを有する発光構造において、この構造は、少なくとも1つのライトウェル(light well)を形成するための少なくとも1つの実質的に透明な部品(substantially transparent part)または総体的に透明な部分(overall transparent part)を有し、および、この構造は、上記主面の少なくとも1つの少なくとも1つの発光領域によって照明することが可能である発光構造に関する。
【背景技術】
【0002】
公知の発光構造の中には、一般的に背面照明表示装置の製造のために使用されるフラットランプが存在する。こうしたフラットランプは、一般的には数ミリメートル未満である小さな間隙を相互間に有する互いに一体的に保持された2枚のガラス板から成り、および、これらのガラス板は、可視光を放出する一般的に蛍光体と呼ばれているタイプのフォトルミネセンス材料を励起する一般的には紫外線領域内の放射を放電が中で生じさせられる減圧された気体を収容するように、気密封止されている。
【0003】
公知の構造では、第1のガラス板が、同じ1つの平面上に、カソードとアノードとを構成する相互貫通する櫛状物の形態である、特に銀で作られている2つのスクリーン印刷された被覆を有する。内側面と呼ばれるこの表面は、プラズマガスを収容する空間に向けられている。第2のガラス板は、別個のスペーサとおそらくは周囲フレームとによって第1のガラス板から一定の距離だけ離れた状態に保たれている。アノードとカソードとの間には、「共面(coplanar)」放電と呼ばれているもの、すなわち、ガラス基板の主面を取り囲む方向に沿った放電が生じさせられ、この放電は周囲のプラズマガスを励起する。これらの電極は、ガラス基板の付近でのイオン衝撃による電極材料の損失を防止するために、静電容量式の電流制限によって、意図された誘電性被覆によって保護されている。第2のガラス板の内側面は、フォトルミネセンス材料の被覆によって被覆されている。
【0004】
さらに、その特定の特性が自由に変化させられることが可能な「スマート」板ガラス(smart glazing)と呼ばれているものに対する要求がますます増大している。
【0005】
特許文献US 6 679 617が、窓として使用されることが可能であり、すなわち、「オフ」状態(印加電圧なし)において可視光を透過させることが可能であり、かつ、「オン」状態(印加電圧あり)において、例えば部屋および/または屋外を照明することが可能であるフラットランプを開示している。
【0006】
これを行うために、フォトルミネセンス被覆が、第2のガラス板の内側面の特定の領域内にだけ存在し、したがって、一方向においてその相互間隔が増大する(例えば、バンドの形状である)発光領域を画定する。さらに、部屋の照明を増大させるために、第2のガラス板は、その外側面上に、発光バンドに対向する反射性バンドを含む。したがって、部屋の照明の改善が、光透過を犠牲にして実現される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、適切な光透過を維持しながら最適の照明を実現することが可能である、(平らな、または、実質的に平らな、または、より広義には、細長い)発光構造を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のために、本発明の主題は、
互いに対向する主面を有しかつ内側空間を画定する2つの壁と、
この内側空間内に配置されている光源、および、この光源のための電源と、
上記主面の発光領域の少なくとも一部分に対向する形で配置されている、可視域内で反射する反射性表面を有する要素と、
を備える発光構造であり、
この構造は、少なくとも1つのライトウェルを形成するための少なくとも1つの実質的に透明な部品または総体的に透明な部分を有し、および、この構造は、上記主面の少なくとも1つの少なくとも1つの発光領域によって照明することが可能であり、および、
上記要素は切換可能であり、および、上記反射性表面は、少なくとも1つの区域の全体にわたって、実質的に透明な表面または総体的に透明な表面となることと、これとは反対であることとが可能である。
【0009】
したがって、発光構造に関連付けられているこの切換可能な要素は、光透過と照明の両方に関して所望の性能を得ることを可能にする。
【0010】
一般的に、この構造は、建物のあらゆる窓、または、移動手段のあらゆる窓(列車の窓、船舶または航空機の客室窓、産業用乗物の横窓、または、さらには、後部窓または風防ガラスの一部分)の中に嵌め込まれることが可能である。
【0011】
さらに、本発明による構造が、板ガラスユニット、建物(特に事務所)内の部屋の間の内側仕切りの中に嵌め込まれること、または、陸上移動手段や空中移動手段や海上移動手段の2つの区域/区画の間の内側仕切りの中に嵌め込められること、または、窓またはディスプレイカウンタの中に嵌め込まれること、または、あらゆるタイプの容器の中に嵌め込まれることが想定可能である。
【0012】
さらに、この発光構造は、二重板ガラスユニットの1つのガラス板ための代替物として、または、二重板ガラスユニットに関連付けられることによって、例えば二重板ガラスユニットの中に一体化されることによって二重板ガラスユニットの一体的部分を形成してもよい。
【0013】
本発明は、さらに、特に、平らな発光体、(特に吊り下げられた)発光壁、発光タイル等のような、照明しおよび/または表示機能を有する建築要素または装飾要素の構成にも関する。
【0014】
本発明では、表現「実質的に透明な部分」(または、この代わりに、「実質的に透明な表面」)が、均一なライトウェル(あるいは、切換可能な要素の表面)を形成する発光構造(あるいは、切換可能な要素の表面)の部分を意味する。
【0015】
本発明では、表現「総体的に透明な部分」(あるいは、「総体的に透明な表面」)が、光放射の大部分を吸収または反射することが可能であり、かつ、十分な可視光線が透過させられるようなパターンにその構造(あるいは、切換可能な要素)の特定の一部分の全体にわたって分散させられている材料で作られている、ライトウェル(あるいは、切換可能な要素の表面)を形成する発光構造の部分を意味する。
【0016】
こうした材料は、幾何学的な特徴要素の格子または配列の形に配置されてよい。この配置は、液相成長、真空蒸着(蒸着、マグネトロンスパッタリング)のような当業者に公知の任意の手段によって、熱分解(粉末蒸着、化学気相蒸着)によって、または、スクリーン印刷によって付着させられた被覆から得られるだろう。所望の分布を直接的に得るためにマスキングシステムを使用すること、または、さらに、レーザアブレーションによって、または、化学エッチングまたは機械式エッチングによって、均一な被覆をエッチングすることが可能である。
【0017】
この材料は、さらに、機能材料であってもよく、例えば、光源の不透明なフォトルミネセンス材料、または、切換可能要素および/または装飾材料の反射性材料であってもよい。
【0018】
好ましくは、少なくともライトウェル内において、約550nmにおける透過率(または、比較的吸収性および/または反射性のある材料の存在下における総体的(overall)な透過率)が10%以上であり、好ましくは30%以上であり、さらにより好ましくは50%以上であり、さらには70%以上である。
【0019】
さらに、より有利であることに、光透過率(適切な場合には、総体的な透過率)が10%以上であり、好ましくは30%以上であり、より好ましくは50%以上であり、さらには70%以上である。
【0020】
さらに、特定の機能性を有する被覆を本発明による発光構造の中に組み込むことが有利なことがある。これは、(例えば、誘電層で囲まれた1つまたは複数の銀層、または、TiNまたはZrNのような窒化物、または、金属酸化物、または、スチール、または、Ni−Cr合金を使用する)赤外部の波長を有する放射を遮断する機能を有する被覆、(例えば、SnO2:Fのようなドープ金属酸化物、または、スズドープ酸化インジウム(ITO)、または、1つまたは複数の銀層で作られている)低放射率機能を有する被覆、または、(親水性層による)曇り止め機能または汚れ防止機能(antisoiling function)(アナターゼ形態に少なくとも部分的に結晶化されているTiO2を含む光触媒被覆)を有する被覆、または、さらに、例えばSi34/SiO2/Si34/SiO2タイプの反射防止性多層であってよい。
【0021】
この発光構造は、1つまたは複数の領域が(例えば、窓の中央領域内において)総体的または実質的に透明であり、かつ、1つまたは複数の領域(例えば、窓の1つまたは複数の縁)が不透明または半不透明であることがあるという意味において、半透明であってもよい。
【0022】
不透明な領域、または、総体的または実質的に透明な領域が、ロゴまたはトレードマークのような装飾的な発光パターンまたは表示を含んでもよい。
【0023】
不透明な領域が、例えばプライバシー保護のような隠蔽機能を有してもよい。
【0024】
この発光構造は1つまたは2つの発光面を有してもよく、および、1つまたは各々の面において照明が均一であってもよく、または、1つまたは複数の特定の領域に関連付けられてもよい。
【0025】
同じ1つの表面上に強い光の1つまたは複数の発光領域と遮蔽された光の1つまたは複数の発光領域とを形成することが可能である。
【0026】
この発光構造は、所望の用途に応じて任意のサイズであってよい。
【0027】
壁は任意の形状であってよい。壁の輪郭は、多角形、凹形または凸形、特に正方形または長方形、または、一定不変または可変の曲率半径を有する曲線状、特に、円形または楕円形であってよい。
【0028】
これらの壁は平らであるかまたはドーム状であってよく、および、例えばガラスボールのようなスペーサによって、一定不変の距離だけ離した状態に保持されることが好ましい。
【0029】
この壁が、光学的効果を有するガラス基板、特に、着色された基板、装飾された基板、構造化された基板、拡散基板であることが好ましいことがある。
【0030】
この構造は、例えばガラスフリットのような鉱物材料で密封されてもよい。
【0031】
切換可能な要素が、例えば平らな形状のような、壁と同じ形状であることが好ましい。
【0032】
この構造は、特定の面の上の発光区域の1つまたはすべてのために機能する単一の切換可能な要素であってもよく、または、特定の面または両方の面の上の予め画定された発光区域のための複数の専用の切換可能な要素を含んでもよい。
【0033】
1つの有利な実施態様では、反射性表面は内側空間の外側に配置されている。
【0034】
好ましくは、切換可能な要素の1つの部分、または、切換可能な要素の全体が、内側空間の外側に配置されてもよい。
【0035】
このようにして、例えば、従来通りの発光構造を切換可能な要素と組み合わせることが容易に可能である。
【0036】
反射性表面を有する切換可能な要素は、約550nmにおいて、30%以下、好ましくは20%以下、および、より好ましくは10%以下の外側反射率を有してよい。
【0037】
反射性表面を有する切換可能な要素は、さらに、30%以下、好ましくは20%以下(この値は、可視域内の波長範囲全体にわたって平均化されている)の、垂直入射で測定された外側光反射RL1を有してよい。
【0038】
このことが、例えば建物の正面に関する有効な眩惑防止基準に合致するように、発光構造の反射のレベルが調整されることを可能にする。
【0039】
反射性表面を有するこの切換可能な要素が、より高い効率を実現するために、50%以上、好ましくは60%以上、または、さらにより好ましくは70%の内側光反射RL2を有することが好ましいだろう。
【0040】
実質的に透明な表面を有する切換可能な要素は、上記範囲内において、10%以上、好ましくは25%以上、および、さらにより好ましくは50%以上の光透過率TLを有するだろう。
【0041】
同様に、実質的に透明な表面を有する切換可能な要素は、上記範囲内において、10%以上、好ましくは25%以上、および、さらにより好ましくは50%以上の光透過率TLを有するだろう。
【0042】
反射性表面を有する切換可能な要素は、さらに、上記区域内において、10%以下、好ましくは1%以下、および、さらにより好ましくは0.1%以下の光透過率TLを有するだろう。
【0043】
この構造が、反射性表面の反射のレベルを調整するための手段を含んでもよい。
【0044】
したがって、和らげられた照明を提供するためには、例えば部屋の内部のような一方の側に向けて光の大部分を再方向付けすると同時に、例えば外側のような他方の側を照明する光の部分を依然として残すように、例えば約50%の内側光反射RL2と約30%の光透過率TLとを得るために、上記表面を中間状態にすることを選択することが可能である。したがって、第1および第2の発光領域が上記のそれぞれの面に関連付けられているので、照明は非対称的である。例えば、照明の80%/20%分布を選択することが可能である。
【0045】
さらに、切換可能な要素と光源は互いに無関係に動作することが可能であってもよい。したがって、動作を分離すると同時に機能性の数を増大させることが可能である。光源が給電される時に表面を反射性のままにすることによって、一方の側の照明(一方向性の照明)が促進される。光源が給電されていない時に表面を反射性のままにすることによって、鏡および/またはシールメント(sealment)機能が得られる。光源が給電される時に表面を透明なままにすることによって、双方向性の照明が得られるだろう。光源が給電されていない時に表面を透明なままにすることによって、光透過率が最適化される。
【0046】
この発光構造は、1つまたは複数の(発光しようとしなかろうと)実質的に不透明な領域と、1つまたは複数の(発光しようとしなかろうと)透明な領域とを有してよい。
【0047】
この発光構造は、好ましくは発光しかつ反射性表面または透明表面のどちらかに関連付けられている、少なくとも総体的に不透明である周囲領域を含んでもよい。
【0048】
この不透明な領域は連続したバックグラウンドを形成してもよく、または、ロゴ、ブランド名、線画を形成してもよく、または、例えば、パターンのサイズが例えば特徴要素の各列の間に一定不変の間隔を維持しながらその構造の中心に向かって縮小する、階調を有する、例えば、不透明な幾何学的特徴要素(正方形、円形等)の配列の形態であってもよい。
【0049】
発光領域は実質的に上記主面の全体にわたって広がってもよく、および、好ましくは均一な照明を実現してもよい。
【0050】
1つの特徴によって、強度Iが100Cd/m2以上に等しく、好ましくは500Cd/m2以上に等しくてもよい。
【0051】
さらに、光束Lが、0.4m2の面積の場合に、300ルーメン以上に等しく、好ましくは500ルーメン以上に等しくてもよい。
【0052】
反射性表面を有する要素が、強度を20%以上増大させることを可能にする。
【0053】
一方の壁または両方の壁の上に分布している幾つかの発光領域の照明が差別化されてもよい。
【0054】
本発明の一形状構成では、上記面の1つに関連付けられている複数の発光領域をその構造が有する時に、その発光領域の範囲の度合いが、好ましくは10%以上であり、好ましくは50%以上である。
【0055】
発光領域の境界は鮮明でも不鮮明でもあってよい。
【0056】
1つの有利な実施態様では、切換可能な要素は、可逆的な電気化学鏡(reversible electrochemical mirror)を備える。
【0057】
こうした可逆的電気化学鏡(REM)は、例えば、D.M.Tench他による表題「Reversible Electrochemical Mirror (REM) Smart Window」の論文(Proceedings of the 203rd Meeting of the Electrochemical Society, April 27-May 2, 2003, page 1294)に発表されている。
【0058】
この可逆的電気化学鏡は、連続的に、
− 第1の基板と、
− 第1の核形成場所と、
− 電解質と、
− 第2の核形成場所と、
− 第2の基板と、
− 第1および第2の核形成場所の間の、金属材料の原子と、
を含み、第1の核形成場所は、電気溶着によって上記透明表面を形成するのに十分なだけ金属材料に対して遠く離れており、かつ、第2の核形成場所は、電気溶着によって上記反射性表面を形成するのに十分なだけ金属材料に対して接近している。
【0059】
この金属材料は、銀、銅、または、ビスマスであってよく、および、基板はガラスタイプであってよい。電流を供給するために、これらの基板に関連付けられている2つの透明な電気伝導性層が使用されてよい。
【0060】
切換可能な要素は、さらに、金属水素化物または希土類水素化物を主成分とする、例えばガドリニウムマグネシウム水素化物、イットリウム水素化物、または、ランタン水素化物を主成分とする、または、さらには、ニッケルとマグネシウムとを含む合金を主成分とする活性層を含む多層を備えてもよく、この活性層は、ガスの貯蔵によって、または、H+、Li+、K+(「全固体(all solid state)」)のような一価イオンの移動によるエレクトロクロミック(electrochromic)タイプの動作によって透明にされることが可能である。
【0061】
ガスの貯蔵を有する第1のタイプの切換可能な要素は、例えば、J.L.M.van Michelen他による表題「Mg-Ni-H films as selective coatings; tunable reflectance by layered hydrogenation」の論文(Applied Physics Letters, Vol.84, Number 18, pp 3651-3653, 27, (2004))に発表されている。
【0062】
第2のタイプの「全固体」の切換可能な要素は、例えば、R.Armitage他による表題「Solid-state gadolinium-magnesium optical switch」の論文(Applied Physics Letters, Vol. 75, Number 13, pp 1863-1865, 27, September 1999)に発表されている。この全固体タイプの1つの動作においては、この多層は、連続的に、
− 金属水素化物または希土類水素化物を主成分とする活性層と、
− パラジウム層と、
− 電解質層と、
− 酸化タングステン層と、
を備えるだろう。
【0063】
アセンブリ全体が、例えば、基板上へのマグネトロンスパッタリングによって溶着させられてもよく、および、このアセンブリは1つまたは複数の基板と共に積層されてもよく、または、二重板ガラスタイプの構造においてはガス層と組み合わされてもよい。
【0064】
電流を供給するために、2つの透明な電気伝導性層(ITO、SnO2:F等によって形成されている)が電極として使用されてもよい。
【0065】
金属水素化物、希土類水素化物、または、合金を主成分とする活性層を有する実施形態では、反射性表面が内側空間の外側に配置されてよく、および、この内側空間に最も接近していることが好ましいだろう。
【0066】
このようにして、この反射性表面は光源に最も近く、および、切換可能な要素は、調整された外側光反射RL1を有する。
【0067】
光源はフォトルミネセンス材料を備えてもよく、および、少なくとも1つの壁が、上記フォトルミネセンス材料で少なくとも部分的に被覆されている内側面を有することが好ましい。
【0068】
こうした材料は、UV放射励起の作用によって活性化されることが可能である。
【0069】
さらに、可視域内で放出する電界発光材料またはプラズマガス、または、さらに一般的には、電子ビーム、X線、または、γ放射線によって活性化されることが可能な任意の蛍光体材料を想定することも可能である。
【0070】
2つの壁の少なくとも一方の壁の内側面の全部または一部分が、フォトルミネセンス材料で(直接的または間接的に)被覆されてもよい。
【0071】
プラズマガスによる活性化の場合には、発光領域(それ自体はフォトルミネセンス材料の性質に応じて不透明または透明である)と、(ライトウェルを形成する)恒久的に透明である並置された領域とを形成するために、内側面の特定の領域内のフォトルミネセンス材料の差別化された分布が、プラズマのエネルギーを当該領域内だけにおいて可視的な放射に変換することを可能にする。
【0072】
有利であることに、このフォトルミネセンス材料は、広い色調範囲内において照明の色を決定するように選択または適合化されてよい。
【0073】
発光領域は境界の周囲に配置されてよい。したがって、この発光領域は、幾何学的特徴要素(線、スタッド(stud)、点、正方形、または、他の任意の形状の特徴要素)の配列を形成し、および、特徴要素の間の間隔および/または特徴要素のサイズは様々であってよい(幾つかの副配列の1次元配列または2次元配列、噛み合い)。これらの特徴要素は、任意のルミネセンス材料で作られてもよい。
【0074】
フォトルミネセンス材料が比較的に不透明である時に適切な光透過率を維持するために、このフォトルミネセンス材料の幅が、例えば数10mmに制限されてもよい。しかし、このシステムは良好な発光効率を維持する。
【0075】
例えば(Y,Gd)BO3:Euによって赤色が得られ、LaPO4:Ce,Tbによって緑色が得られ、および、BaMgAl1017:Euによって青色が得られる。
【0076】
有利であることに、その発光材料は実質的に透明であってもよく、および、好ましくは、マトリックスの形に分散させられた蛍光体粒子を備える。
【0077】
赤色がYVO4:EuまたはY23:Euによって得られ、および、緑色がLaPO4:Ce,Tbによって得られる。
【0078】
例えば、このマトリックスは無機物であり、および、特に好ましくはケイ酸リチウムを含む。あるいは、このマトリックスは、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラメトキシシラン(TMOS)、メチルトリエトキシシラン(MTEOS)等のようなシリコンアルコキシドの重合/重縮合の結果として得られる生成物を含む。マトリックスのこれらの前駆物質は、上述した蛍光体粒子の中の多数の蛍光体粒子との卓越した適合性を提供する。
【0079】
この構造は、次のような様々な電極の形状構成を有するフラットランプを含んでよい。 − 文献 US 2004/0155571 A1 および US 6 034 470 に説明されている通りの、外側または内側の共面電極、
− 文献 WO 2004/015739 A2 に説明されている通りの、2つの壁と内側空間の外側とにそれぞれに関連付けられている2つの電極、
− Kwak他、 IEEE Transactions on Plasma Science, Vol. 31, No. 1, 2003, pp 176-179 に説明されている通りの、壁の内側面の各々上の1つの電極、および、
− 一方の電極が内側面上に存在しかつ他方の電極が外側面上に存在するハイブリッド構造。
【0080】
切換可能な要素は、屋外に対する照明または部屋の照明を改善するために使用されてもよい。
【0081】
電源が、内側空間の外側に存在しかつそれぞれの選択されたガラスタイプの壁に関連付けられている2つの電極を含むことが好ましいだろう。
【0082】
1つまたは複数の電極が、導体の性質に基づいて、および/または、その格子の細かさとピッチとに基づいて光をその格子を通過させることが好ましい、伝導性格子、例えば、ガラス基板(強化ガラス)の中に一体化されているか、または、2つのプラスチックシートの間に挿入されることが適切である場合には、ポリビニルブチラール(PVB)、エチレン/酢酸ビニル(EVA)、または、他のフィルムのようなプラスチックフィルムの中に一体化されている格子の形態であってもよい。
【0083】
これらの電極は、さらに、おそらくは外側面または内側面の全部または一部分にわたって広がる層の形態であってもよい。予め画定された発光領域を同じ表面上に形成するために一方または両方の壁の表面の特定の区域だけを備えることも可能である。
【0084】
例えば、平面−平面技術(plane-plane technology)(共面電極)では、これらの層は、0.1mmから15mmの間のバンド幅と、2つの互いに隣接するバンドの間の非伝導性の空間とを有する、互いに平行なバンドの配列の形態であり、および、この空間の幅はそのバンドの幅よりも大きい。したがって、これらの層は、2つの壁の2つの互いに反対側に位置した導電性バンドが互いに面することを防止するために、180°だけオフセットしていてもよい。このことが、有利であることに、ガラス基板の有効静電容量を減少させ、ランプとそのルーメン/Wにおける効率とに関して電源にとって有利に働く。
【0085】
これらの層は、光を通過させる平らな要素の形態に形成されることが可能であり、特に、ガラス上にまたはPETのようなプラスチックフィルム上に薄層として溶着させられることが可能な平らな要素の形態に作られることが可能である任意の伝導性材料から成ってよい。特に、伝導性の金属酸化物、または、フッ素ドープスズ酸化物、または、ITOタイプの混合インジウムスズ酸化物のような、電子空位を有する酸化物を主成分とする、透明な被覆を形成することが好ましい。
【0086】
この構造は、電極の1つを覆っておりかつガラス基板および/またはプラスチックフィルムから選択される少なくとも1つの透明な要素を含んでもよい。
【0087】
この透明な要素は、低放射率層または日射保護層(solar protection layer)でその外側面を被覆されてもよい。
【0088】
さらに一般的には、この構造は、低放射率層または日射保護層を含んでもよい。
【0089】
壁の相互間の空間は一定不変に保たれてもよく、および、この構造が平らであることが好ましい。
【0090】
厚さを減少させるために、かつ、一体性を増大させるために、この構造は、さらに、光源を含む部分と切換可能な要素との間で少なくとも1つの要素が共通であるという意味で、ハイブリッドな構造であってもよい。
【0091】
本発明の主題は、さらに、アセンブリまたは直ぐに使用できるキットであり、このアセンブリまたはキットは、上述した通りの組み合わされることになっている少なくとも1つの発光構造および/またはその構成要素を含む。
【0092】
本発明の主題は、さらに、乗物のための板ガラスとしての、または、建物のための窓としての、上述した発光構造の使用でもある。
【0093】
最後に、本発明の主題は、上述した少なくとも1つの発光構造を含む二重板ガラスユニットである。
【0094】
本発明を、次の図面によって示されている非限定的な具体例を参照しながら、以下で詳細に説明する。
【0095】
説明を明瞭にするために、図示されている対象の様々な要素が必ずしも同一の縮小比で描かれているわけではないということが指摘されなければならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0096】
例1
これは、図1に概略的に示されている板ガラスに関する(図面を考察することをより容易にするために、示されている様々な材料は一定の縮小比では描かれていない)。
【0097】
図1は、
− 外側面21、31を有する内側空間10を画定する第1および第2のガラス板2、3から作られている2つの基板によって主に形成されているフラットランプ1と、
− 外側面31とは反対側に位置した、可視域内において反射性であるか実質的に透明である表面を有する切換可能な要素100と、
を備える構造1000を示す。
【0098】
第1および第2のガラス板2、3の内側面22、32は、例えば白色光を放出する透明なフォトルミネセンス材料6、7の被覆を有する。
【0099】
例えばSnO2:FまたはITOで作られている透明な電極であることが好ましい第1および第2の電極を構成する連続した均一の導電性被覆4、5が、外側面21、31上に直接溶着させられている。
【0100】
電極4、5は、可とう性のはさみ金11a、11bを介して高周波数電源に接続されている。
【0101】
切換可能な要素100は、さらに、例えばフッ素ドープSnO2で作られている、透明な層の形態であることが好ましい、電極102、106も含む。典型的には−1Vと+1Vとの間の電位差が印加される。
【0102】
ポリビニルブチラール(PVB)タイプの透明なプラスチックフィルム14が外側面21上に配置されており、このフィルムは、ガラス板16に対する積層のためのインサートとして機能する。接着剤樹脂が使用されてもよい。
【0103】
非共面の電極を有する構造の変型例として、プラスチックフィルム14は、例えばポリビニルブチラール(PVB)またはエチレン/酢酸ビニル(EVA)で作られている(金属格子の形態の)電極4を含んでもよく、または、このフィルムはその電極4でその内側面上を被覆されてもよい。電極4は、さらに、ガラス板16の内側面上に存在してもよく、または、ガラス板16(強化ガラス)内に存在してもよい。
【0104】
このガラス板16が、透明な低放射率層または日射保護層17(単層または多層)でその外側面上を被覆されていることが好ましい。
【0105】
別の変型例では、第1の電極4のための保護基板として機能することが可能な、PET、イオノマー樹脂等で作られている可とう性または硬質の透明プラスチックフィルム14を配置することも可能である。
【0106】
さらに、新規性のある変型例では、ポリカーボネートシートのような透明プラスチックシート、または、ポリウレタンインサートのようなインサートを備えることが可能である。
【0107】
切換可能な要素100の一部分を形成するガラス板101に対する積層のためのインサートとしての役割を果たす、例えばEVAフィルムのような透明なプラスチックフィルム15または適切な樹脂が、外側面31上に配置されている。
【0108】
変型例として、このプラスチックフィルム15は、(格子の形態で)電極5を含んでもよく、または、その内側面上に電極5を含んでもよい。電極は、ガラス基板101上に存在してもよい。
【0109】
ガラス板3、101を互いに接着させることが可能な任意のタイプの接着剤が使用されてもよい。
【0110】
ガラス板2、3は、互いに対向する透明なフォトルミネセンス材料6、7を有するこれらのガラス板の第2の面22、32と共に互いに一体化させられ、および、例えばシーリングフリット8によって互いに接合させられ、および、これらのガラス板の間の間隙が、これらのガラス板の間に配置されているガラススペーサ9によって(一般的には、5mm未満の値に)設定される。この場合に、この間隙は約0.3mmから約5mmの間であり、例えば0.4mmから2mmの間である。
【0111】
スペーサ9は球形の形状を有するだろう。このスペーサは、同一または異なる透明なフォトルミネセンス材料6、7によって、少なくともプラズマガス雰囲気に対して露出させられるその外側表面上において被覆されているだろう。
【0112】
ガラス板2、3の間の空間10内には、採用随意にネオンまたはヘリウムと混合されている、キセノンのような希ガスの(一般的には、大気圧の10分の1の)減圧が存在する。
【0113】
ガラス板2は、その周縁の付近に、このガラス板の厚さを貫通して穿孔されている穴12を有し、および、この穴12の外側開口は、電極4を有するガラス板の外側面にはんだ付けされている、特に銅で作られたシーリングパッド13によって塞がれている。
【0114】
光源を有する部分1を製造するためのプロセスが、特許出願 WO 2004/015739 A2 に説明されている。
【0115】
切換可能な要素100は可逆的な電気化学鏡であり、この可逆的な電気化学鏡は、連続的に、
− ガラス基板101、または、変型例として、PETを主成分とする材料のような透明プラスチック基板、または、任意の複合材料基板と、
− 第1の電極102と、
− 例えば白金で作られている、第1の核形成場所103と、
− 例えばγ−ブチロラクトン溶媒中のAgIとLiBrとの混合物のような電解質104と、
− 例えば白金で作られている、第2の核形成場所105と、
− 第2の電極106と、
− 透明基板、好ましくはガラス板107、または、変型例としては、可とう性または硬質の、透明プラスチック基板または任意の複合基板と、
− 採用随意に、低放射率層または日照保護層108と、
を備える。
【0116】
第1の核形成場所103は互いに接近しており、一方、第2の核形成場所105は互いに離れている。銀であることが好ましい金属材料の原子M+が、電気溶着によって、第1の場所103上に反射性表面109または半反射性表面(中間状態)を形成することが可能であり、または、実質的に透明な表面(図示されていない)を、第2の場所105上の導電性の島の形で形成することが可能である。
【0117】
電圧を調整することによって、電流量を測定することによって、または、電気抵抗の測定によって、反射性表面の反射のレベルを制御するための手段が備えられている(しかし、図示されていない)。
【0118】
切換可能な要素100とフラットランプ1は互いに無関係に動作することが可能である。構造1000は、30%以上の光透過率TLを有する。
【0119】
構造1000が照明板ガラスとして使用されることが好ましい。例えば、切換可能な要素を有するその構造の側部が、建物または乗物の外側に向けられる。このことは、囲まれている空間の照明に好都合である。
【0120】
反射性表面109によって、面31を有する側部上の照度Iは、少なくとも500Cd/m2であり、すなわち、従来の発光構造に比較して推定で約30%の増大である。光束Lは、0.4m2の面積の場合に、少なくとも500ルーメンであり、すなわち、推定で約30%の増大である。
【0121】
反射性表面109は、さらに、日照保護特性も有する。
【0122】
フラットランプがオフにされる時にこの表面を反射性のままに残すことによって、鏡面機能および/または隠蔽機能が得られる。フラットランプがオンにされる時にこの表面を透明なままに残すことによって、双方向の照明が得られる。フラットランプがオフにされる時にこの表面を透明なまま残すことによって、最大の光透過率TLを有する従来通りの窓が生じさせられる。
【0123】
この実施形態の変形例では、反射性表面は、例えば、より小さい要素を配置することによって、または、第1および第2の核形成場所を介して1つまたは複数の領域に制限することによって、外側面の面積よりも小さい面積にわたって広がる。
【0124】
透明なフォトルミネセンス材料6が内側面全体にわたって広がり、照明が均一に分布させられる。
【0125】
図2に示されている第1の変型例では、フォトルミネセンス材料6は、内側面の中央領域に均一に広がり、および、この場合に、(相互間に一定不変の距離を伴って)均一に互いに離れておりかつその構造の端縁に向かって幅が減少するフレームを形成する。発光領域の面積パーセンテージは50%である。中央領域内の光透過率TLは30%である。
【0126】
図3に示されている第2の変型例では、フォトルミネセンス材料6は不透明であり、および、正方形の幾何学的特徴要素の配列の形に配置されている。発光領域の面積パーセンテージは例えば75%である。総光透過率TLは20%である。
【0127】
図4に示されている第3の変型例では、フォトルミネセンス材料6は、不明瞭な境界を有する大きな中央の発光領域を形成するように配置されている。
【0128】
図5に示されている第4の変型例では、フォトルミネセンス材料6は発光ロゴを形成する。
【0129】
各々の発光領域は、例えば多色の照明を提供するために、異なる材料で作られてもよい。
【0130】
例2
これは、図6に概略的に示されている板ガラスに関する(図面を考察することをより容易にするために、示されている様々な材料は一定の縮小比では描かれていない)。
【0131】
図6は、
− プラズマガスを充填されておりかつ外側面21、31を有する内側空間10を画定する第1および第2のガラス板2、3から作られている2つの基板によって主に形成されているフラットランプ1′と、
− 外側面31とは反対側に配置されている、可視域内では反射性または実質的に透明である表面を有する切換可能な要素200と、
を備える構造2000を示す。
【0132】
第1および第2のガラス板2、3の内側面22、32は、不透明なフォトルミネセンス材料6′、7′の被覆を有する。この材料6′、7′は、最大の透明度の領域を透明なまま残すために周囲に配置されている。
【0133】
例えばフッ素ドープSnO2で作られている透明な電極であることが好ましい第1の電極を構成する連続した均一な導電性被覆4が、外側面21上に直接的に溶着させられている。
【0134】
第2の電極5が外側面31に関連付けられている。
【0135】
電極4、5は、可とう性のはさみ金11a、11bによって高周波数電源に接続されている。
【0136】
切換可能な要素200は、さらに、フッ素ドープSnO2またはITOで作られている透明な層の形態であることが好ましい電極202、206を含み、一方の電極は接地されており、および、他方は典型的には−3Vから+3Vの間で調整されることが可能である直流電位差を有する。
【0137】
例えばEVAまたはPVBタイプのプラスチックフィルム14が外側面21上に配置されており、このフィルムは、例えばガラス板16のようなガラス基板に対する積層のためのインサートとしての役割を果たす。
【0138】
変型例として、フィルム14は、(格子の形態で)電極4を含んでもよく、または、その内側面上に電極4を含んでもよく、または、この電極4は、ガラス板16上に存在してもよい。
【0139】
このガラス板16が、その構造が窓として使用される場所において、透明な低放射率層または日射保護層17(単層または多層)でその外側面上を被覆されていることが好ましい。
【0140】
EVAまたはPVBタイプのプラスチックフィルム15が外側面31上に配置されており、このフィルムは、切換可能な要素200の一部分を形成するガラス基板201に対する積層のためのインサートとしての役割を果たす。電極5は、このガラス基板201の内側面上に(内側空間側に)配置されている。
【0141】
変型例として、このプラスチックフィルム15は、(格子の形態で)電極5を含んでもよく、または、その内側面上に電極5を含んでもよく、または、この電極5は、外側面31上に存在してもよい。
【0142】
切換可能な要素200は、
− 第1の電極202と、
− 金属水素化物を主成分とする活性層203であって、その水素含量に応じて反射性表面または透明な表面を与える活性層203と、
− パラジウム層204と、
− 例えばTa25またはZrO2を主成分とする、例えば無機の固体電解質層である、電解質層204′と、
− 水素の貯蔵を形成する酸化タングステン層205と、
− 第2の電極206と、
によって被覆されている、例えばガラス板のような第1の基板201を備える。
【0143】
切換可能な要素200は、さらに、
− おそらくはPETタイプのシートを伴う、例えばPVB、EVA、または、ポリウレタンタイプのプラスチックフィルムのような積層インサート207と、
− ガラス板208と、
− 採用随意に、低放射率層または日射保護層209と、
から成ることが好ましい透明な保護要素を含む。
【0144】
第1の変型例では、この保護基板は、電極206に接着されている、可とう性または硬質の単純なプラスチックフィルムである。さらに、例えば、この構造が二重板ガラスユニットのガラス板の第1のガラス板に取って代わる場合には、および、電極206がこの二重板ガラスユニットの第2のガラス板に面している時には、この保護基板は不要であってもよい。
【0145】
第2の変型例では、要素202から要素206によって被覆されている基板は、最も外側の基板になり、および、この場合には、この基板と接触しているのは電極206であり、および、この後に層205と電解質204′と層204と活性層203とが連続的に続く。この形状構成では、最も内側の基板はアセンブリに役立ち、および、この基板はガラス板または透明なプラスチックフィルムであってよい。
【0146】
電位差の値を調整することによって反射性表面の反射のレベルを調整するための手段が備えられている(図示されていない)。
【0147】
切換可能な要素200と、フラットランプ1′を形成する部分とは、互いに無関係に動作することが可能である。
【0148】
層203が反射状態にある時には、この切換可能な要素200は、その外側の側面上に(空間10とは反対側に)20%未満の外側光反射RL1を有する。
【0149】
中央部分では、構造2000は約20%の光透過率TLを有する。
【0150】
構造2000は照明板ガラスとして使用されることが好ましい。例えば、切換可能な要素があるその構造の側部は、建物または乗物の外側に向けられている。このことが、囲まれた空間の照明に好都合である。
【0151】
層203が反射状態にある時には、面31を有する側部上の境界の照明の強度Iは少なくとも500Cd/m2であり、すなわち、推定では約30%の増大である。光束Lは、0.4m2の面積の場合に、少なくとも500ルーメンであり、すなわち、推定では約30%の増大である。
【0152】
反射状態にある層203は、さらに、日照保護特性も有する。
【0153】
この第2の例の変型例では、例えば、より小さいサイズの切換可能な要素を配置することによって、または、電極だけをエッチングするか、または、層202から層206によって形成されている多層だけをエッチングすることによって、その反射性表面は外側面の面積よりも小さい面積にわたって広がる。
【0154】
図7に示されている別の変型例では、フォトルミネセンス材料6は、例えば点のような幾何学的特徴要素60の配列を形成し、および、この幾何学的特徴要素のサイズは基板2の中央に向かって減少する。切換可能な要素は照明を増大させる働きをし、および、透明状態では、魅力的な外観を維持することを可能にする。
【0155】
図8は、本発明による切換可能な要素を有する発光構造を含む照明窓3000の正面図である。
【0156】
この窓は、トランザムを形成する、例えば図1の発光構造1000のような発光構造を備えている。従来の断熱板ガラスパネル41が下部部分に配置されている。
【0157】
図9は、本発明による切換可能な要素を有する2つの平らな発光構造を含む窓4000の正面図である。
【0158】
窓4000は、例えば左上部分と右下部分とに、図2の発光構造2000を備えている窓である。2つの従来通りの断熱板ガラスパネル51が右上部分と左下部分とに配置されている。
【0159】
図10は、照明二重板ガラスユニット5000の側面図である。
【0160】
このシステム5000は、
− 第1のガラス基板400と、
− 2つのシーリング要素420の間の、空気空間410、または、主にアルゴンから成るガス混合物を収容する空間と、
− 第1のガラス基板400に面している切換可能な要素100を有する、例えば図1の発光構造1000のような、本発明による発光構造と、
を備える照明二重板ガラスユニットである。
【0161】
発光構造1000が、最も照明することが望ましい側部上に配置されることが好ましい。
【0162】
上述の具体例は決して本発明を限定しない。
【0163】
特に、上述した実施形態では、電極が、ガラス板の全面積にわたって広がる外側被覆から形成されていたが、ガラス板の少なくとも1つが、各々が様々な度合いで幾つかの領域から形成されておりかつ各々が連続した被覆によって覆われている1組の電極を有してもよいということが理解される。
【0164】
1つまたは複数の電極が内側空間内に存在してもよく、および、さらに、例えば、切換可能な要素は、ハイブリッド活性層を有する切換可能な要素、例えば例2に説明されている層202から層206から成る多層のための基板としての役割を果たす壁を有する。
【0165】
電極アセンブリは、発光構造のガラス板2、3の各々に対して異なる形で取り付けられてよく、および、一方のガラス板が第1のアセンブリを有すると同時に他方のガラス板が別のアセンブリを有することが可能である。
【0166】
同様に、発光源がプラズマガスであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0167】
【図1】本発明の第1の実施形態における切換可能な要素を有する平らな発光構造の横断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の第1の変型例における発光構造のフォトルミネセンス材料の第1の構成の正面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の第2の変型例における発光構造のフォトルミネセンス材料の第2の構成の正面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の第3の変型例における発光構造のフォトルミネセンス材料の第3の構成の正面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の第4の変型例における発光構造のフォトルミネセンス材料の第4の構成の正面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態における切換可能な要素を有する平らな発光構造の横断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態の変形例における発光構造のフォトルミネセンス材料の構成である。
【図8】本発明による切換可能な要素を有する1つまたは複数の発光構造を一体化するシステムの正面図である。
【図9】本発明による切換可能な要素を有する1つまたは複数の発光構造を一体化するシステムの正面図である。
【図10】本発明による照明二重板ガラスユニットの側面図である。
【符号の説明】
【0168】
1 フラットランプ
2 第1のガラス板
3 第2のガラス板
4、5 導電性被覆(電極)
6、7 フォトルミネセンス材料
8 シーリングフリット
9 ガラススペーサ
10 内側空間
11a、11b 可とう性はさみ金
12 穴
13 シーリングパッド
14、15 プラスチックフィルム
16 ガラス板
17 低放射率層または日照保護層
21、31 外側面
22、23 内側面
100 切換可能な要素
101 ガラス基板
102 第1の電極
103 第1の核形成場所
104 電解質
105 第2の核形成場所
106 第2の電極
107 ガラス板
108 低放射率層または日照保護層
109 反射性表面
1000 発光構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光構造(1000、2000、3000、4000、5000)であって、
互いに対向する主面(21から32)を有しかつ内側空間(10)を画定する2つの壁(2、3)と、
前記内側空間内に配置されている光源(6から7′)、および、前記光源のための電源(4、5)と、
前記主面(21から32)の発光領域の少なくとも一部分に対向する形で配置されている、可視域内において反射する反射性表面(109、203)を有する要素(100、200)と、
を備え、この構造は、少なくとも1つのライトウェルを形成するための少なくとも1つの実質的に透明な部品または総体的に透明な部分を有し、および、この構造は、前記主面(21から32)の少なくとも1つの少なくとも1つの発光領域によって照明することが可能である発光構造において、
前記要素は切換可能であり、および、前記反射性表面は、少なくとも1つの区域の全体にわたって実質的に透明な表面(203)または総体的に透明な表面となること、および、これとは逆であることが可能であることを特徴とする発光構造。
【請求項2】
前記反射性表面(109、203)は前記内側空間(10)の外側に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の発光構造(1000から5000)。
【請求項3】
前記反射性表面(203)を有する前記切換可能な要素(2000)は、約550nmにおいて30%以下の外側反射率を有し、および、好ましくは、垂直入射において測定される30%以下の外側光反射率RL1を有することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の発光構造(2000)。
【請求項4】
前記反射性表面の反射のレベルを調整するための手段を含むことを特徴とする、請求項1から請求項3までの一項に記載の発光構造(1000から5000)。
【請求項5】
第1および第2の発光領域がそれぞれに前記面(21から32)に関連付けられていることと、前記照明が非対称であることと、を特徴とする、請求項4に記載の発光構造(1000から5000)。
【請求項6】
前記切換可能な要素(100、200)と前記光源(6から7′)は互いに無関係に動作することが可能であることを特徴とする、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の発光構造(1000から5000)。
【請求項7】
前記構造は、少なくとも総体的に不透明であり、好ましくは発光性である、周囲領域(60)を含むことを特徴とする、請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の発光構造(2000)。
【請求項8】
少なくともライトウェルを形成する部分内において、前記構造は20%以上の光透過率TLを有することを特徴とする、請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の発光構造(1000から5000)。
【請求項9】
前記発光領域は実質的に前記面(22、23)の全体に広がり、および、好ましくは、均一な照明を提供することを特徴とする、請求項1から請求項8までの一項に記載の発光構造(1000)。
【請求項10】
前記切換可能な要素(100)は可逆的な電気化学鏡を備えることを特徴とする、請求項1から請求項9までの一項に記載の発光構造(1000)。
【請求項11】
前記可逆的な電気化学鏡(100)は、連続的に、
第1の基板(107)と、
第1の核形成場所(105)と、
電解質(104)と、
第2の核形成場所(103)と、
第2の基板(101)と、
第1および第2の核形成場所の間の、金属材料の原子(M+)と、
を含み、前記第1の核形成場所は、電気溶着によって前記透明表面を形成するのに十分なだけ前記金属材料に対して離れており、かつ、前記第2の核形成場所は、電気溶着によって前記反射性表面(109)を形成するのに十分なだけ前記金属材料に対して接近していることを特徴とする、請求項10に記載の発光構造(1000)。
【請求項12】
前記切換可能な要素(200)は、金属水素化物、希土類水素化物、または、ニッケルとマグネシウムとを含む合金を主成分とする活性層(203)を含む多層を備え、前記活性層は、ガス(205)の貯蔵によって、または、一価イオンの移動によって、透明にされることが可能であることを特徴とする、請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の発光構造(2000)。
【請求項13】
前記多層は、連続的に、
金属水素化物または希土類水素化物を主成分とする前記活性層(203)と、
パラジウム層(204)と、
電解質層(204′)と、
酸化タングステン層(205)と、
を含んでもよいことを特徴とする、請求項12に記載の発光構造(2000)。
【請求項14】
前記反射性表面(203)は前記内側空間(10)の外側に配置されており、および、前記内側空間に最も近いことを特徴とする、請求項12又は請求項13に記載の発光構造(2000)。
【請求項15】
前記光源はフォトルミネセンス材料(6から7′)を備えることを特徴とする、請求項1から請求項14までの一項に記載の発光構造(1000から5000)。
【請求項16】
前記フォトルミネセンス材料(6、7)は実質的に透明であり、および、マトリックスの形に分散させられた蛍光体粒子を含むことが好ましいことを特徴とする、請求項15に記載の発光構造(1000)。
【請求項17】
前記電源は、前記内側空間(10)の外側にあり、かつ、ガラスタイプのそれぞれの選択された壁(2、3)に関連付けられている、第1および第2の電極(4、5)を含むことを特徴とする、請求項1から請求項16までの一項に記載の発光構造(1000から5000)。
【請求項18】
前記第1および第2の電極(4、5)は実質的に透明である導電性層であることを特徴とする、請求項17に記載の発光構造(1000から5000)。
【請求項19】
低放射率層または日照保護層を含むことを特徴とする、請求項1から請求項18までのいずれか一項に記載の発光構造(1000から5000)。
【請求項20】
前記壁(2、3)の間の前記空間(10)は一定不変に保たれ、および、好ましくは前記構造は平らであることを特徴とする、請求項1から請求項19までのいずれか一項に記載の発光構造(1000から5000)。
【請求項21】
請求項1から請求項20までのいずれか一項に記載の、少なくとも1つの発光構造、および/または、前記発光構造の組み合わされるべき構成要素を備えることを特徴とするアセンブリまたは直ぐに使用できるキット。
【請求項22】
乗物のための板ガラスとしての、および、建物のための窓としての、請求項1から請求項21までのいずれか一項に記載の前記発光構造(1000から5000)の使用。
【請求項23】
請求項1から請求項20までのいずれか一項に記載の少なくとも1つの発光構造(1000)を含む二重板ガラスユニット(5000)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2008−532211(P2008−532211A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555680(P2007−555680)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【国際出願番号】PCT/FR2006/050155
【国際公開番号】WO2006/090085
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(500374146)サン−ゴバン グラス フランス (388)
【Fターム(参考)】