説明

平坦なシートからブランクを打ち抜くための装置

平坦なシート(10)からブランク、特にボール紙または段ボールからなる梱包用のブランク(12)を打ち抜く装置であって、固い材料からなる溝形部材(40、40a)が、打ち抜き工具(30)の長手方向の側面のそれぞれについて、打ち抜き工具(30)と平行に支持板(22)上に配置され、保護部材(50、50a)の断面の一部分(46)が、前記溝形部材に挿入されている。保護部材(50)の断面は、少なくとも1つの側面(47)に、外側を向いた基部の膨出部(48)を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平坦なシートからブランクを打ち抜くための装置に関し、特に、支持板に取り付けられ切断線となる刃または刃列の形態で当該支持板から突き出している打ち抜き工具と、或る程度の可撓性を有する材料からなり前記工具を保護している保護部材とによって、ボール紙または段ボールからなる梱包用のブランクを打ち抜くための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼片でつくられた工具が、ゴムまたは可撓性プラスチックからなる側方の保護部材に沿ってスライドするような装置が、梱包産業において知られている。それらの保護部材は、それらの表面において例えば合板で作られた支持板へと接着によって貼り付けられるか、あるいは、それらに設けられた膨出部で、支持板の溝へと挿入される。刃先である前記刃列を収容するため、前記合板にレーザによる加工口が設けられている。
【0003】
この装置によって、ボール紙または段ボールのシートから複数の梱包用ブランクを、グループとして切り出すことができる。打ち抜き機が、いわゆる印刷済みのシートを巡回的に処理し、切断の外形および折り目が、主として打ち抜き機の打ち抜き部位によって生成される。
【0004】
打ち抜きされたシートをさらに搬送するため、コピー材(Nutzen)とも称される個々の梱包材を一体として保持するため、いわゆる支持点が必要とされる。刃列がシート材料へと貫入するとき、きわめて大きいくさび力が発生し、支持点を破壊しようとする。前記弾性保護部材を打ち抜き工具の両側に沿うように使用することによって、そこから発生する弾性圧力により、打ち抜きされるシートの下面と打ち抜き板の表面との間により大きな摩擦抵抗が生み出され、支持点の破断が防止される。この場合、さらに打ち抜き工具の方向にも力が作用するように弾性保護部材の断面を選択すべきである。
【0005】
現在知られているシステムの欠点の1つは、工具の修理の場合、あるいは支持点を形成する際に、この保護部材を取り外さなければならない点にある。これは、特に木材が切り取られて異形の部品が木材へと残るため困難であり、さらに木材の表面のクリーニングを必要とする。また、保護部材の基部が失われ、新しい保護部材を挿入しなければならず、接着剤の硬化時間によって機械の休止時間が発生する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの状況に鑑み、本発明の発明者は、これら公知の欠点を除去し、機械の部品の取り扱いを簡単にし、さらに製造に関する改善を実現するという目標を、自らに設定した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
独立請求項の意義は、この目的を達成することであり、従属請求項が、望ましいさらなる発展を提供する。さらに、本明細書、図面および/または特許請求の範囲において開示される特徴のうちの少なくとも2つからなる組み合わせのすべては、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0008】
本発明によれば、固い(高剛性の)材料からなる溝形部材が、打ち抜き工具の長手方向の側面のそれぞれに平行に支持板上に配置され、保護部材は、その断面のうね部が前記溝形部材に挿入されている。したがって、保護部材は、支持板に直接接続されてはおらず、前記支持板は多層の合板で形成されていることが好ましい。本発明の目的を達成するためには、損傷を与えることなく取り外しができるよう、保護部材をレール型の溝形部材に、形状をかみ合わせて収容するとよいことが分かっている。
【0009】
本発明の他の特徴によれば、前記保護部材の断面は、少なくとも1つの側面に、外側を向いた基部の膨出部を有している。打ち抜き工具は、両側において、いずれも前記保護部材の一方の横向きの膨出部によって保護されるのがよい。しかしながら、ほぼ直線の輪郭によって定められる前記保護部材の側面が、断面形状の中心線に向かって内側に傾斜していてもよい。この形状の選択は、保護部材の使用目的によって決まる。
【0010】
いずれの場合においても、前記保護部材の断面形状の中心線が、この保護部材の対称の線であると好ましい。
【0011】
前記レール型の溝形部材において、背板から突き出した溝形部材の脚に、前記保護部材の対応する形状の部分を入れるアンダーカット空間を設けることも、本発明の技術的範囲に含まれる。このアンダーカット空間は、溝形部材の脚の内面を断面において内側に凹んだ曲面とすることによって設けることができ、あるいは断面において脚(36a)が背板に対して角度を有し、脚(36a)の端部にフック棒を有しており、このフック棒が互いに向きあっている溝形部材の脚によって設けてもよい。
【0012】
前記溝形部材の前記支持板への固定を簡単にするため、前記溝形部材の背板が、打ち抜き型の木材に、液体接着剤によって固定される。しかしながら、背板の外側に接着層が設けられていてもよく、さらにこの接着層が、使用されていないときは被覆層によって覆われていてもよく、この被覆層が取除かれたとき、前記接着層を接続部材として自由に利用可能である。
【0013】
本発明の他の特徴によれば、前記板状の打ち抜き工具は、溝形部材の隣接する溝形部材の脚から少し離れて、前記溝形部材から遠ざかる方向を向いた刃先を備えており、この刃先が、互いに少し離れた間隔で設けられた切り込みを備えている。このような刃列を備えることによって、前記支持点が、打ち抜き作業時に規定の位置に自動的に生成される。これらの切り込みが、シートに生成された切断線に、隣り合うコピー材(Nutzen)のための支持点を定めている。
【0014】
打ち抜き作業時に、前記保護部材が自身の機能を完全に満し、そのうえでさらに、取り外しおよび交換が容易であることが理想的である。これは、溝形部材の形態である前記レールを、打ち抜き型の木材に接着により結合することによって確実にされる。さらにこれにより、ゴムまたは類似の弾性材料からなる保護部材の位置も固定される。さらに、例えばより柔らかいゴムなど、他の種類の保護部材と素早く交換することも、容易に可能である。
【0015】
本発明のさらなる利点、特徴および詳細は、実施の形態の好ましい例についての以下の説明から明らかになり、さらに添付の図面を参照することによって明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
ボール紙または段ボールから梱包材料を打ち抜くため、この材料からなるシート10が、例えば平床式打ち抜き機へと供給される。シート10は、折り曲げて箱となる8つの隣接するブランク12の輪郭を呈しており、これら一連のブランク12の打ち抜き作業が巡回的に実行され、続いて行われる折り返しの作業のための折り目14、ならびに外面を規定する切断輪郭としての切断線16を有している。隣接する切断線16は、対をなす前記支持点18によって接続され、この支持点18は、打ち抜きされたシート10を打ち抜き機20内でさらに搬送するために必要である。
【0017】
その処理の際、ボール紙または段ボールのシート10は、図2に示すように、打ち抜き機20において、厚さaの支持板22の下方の打ち抜き板24上に置かれる。支持板22は、多層の合板22からなり、レーザにより切除された加工口26が、打ち抜きしようとする梱包材料の輪郭と一致するように配置され、このレーザにより切除された加工口26が、前記刃または刃列16としての打ち抜き工具30を収容するように設計されており、しばしば、このようなボール紙または段ボールのシート10上に、最大15または16にも上る多数の梱包材料がグループをなして配置される。
【0018】
図4に示すように、打ち抜き工具30は、すでに述べたように刃または刃列16とも称されるが、例えば厚さbが0.7mm、高さeが24mm、長さfが約60mmであり、刃先32には、例えば1mmである長さnの切り込みまたは割れ目34が設けられており、これら切り込み34が、互いに間隔iで配置され、シート10に形成される切断線16内の前記支持点18を定めている。
【0019】
図2に示す打ち抜き工具30の合板22から突き出す部位は、約2mmである高さcを有する溝形部材40によって両側面が保護されており、この溝形部材40は、金属特に、軽金属から作られ、あるいはプラスチックまたはセラミックから作られている。この場合においては、溝形部材40の幅qは、約12mmに達する。図3、6に示すように接着層38によって溝形部材40の背板39が合板22に接着剤38で接着されており、溝形部材40の溝の両側の脚36が、溝の空間42を形成している。ゴム成形材50における溝の空間42に対応する形状のうね部46を挟み付けて保持するために、溝の両側の脚36の内側は、図2、3、5の断面において、内側に凹んだ曲面となって、内向き横向きのアンダーカット空間44を形成している。前記ゴム成形材50は、自由状態で高さhを有するほぼ矩形の断面を有している。前記ゴム成形材50の側面47は、断面において頂部のうね部46から離れるように曲がり、かつ成形材の断面中心線Mにわずかに向かい、さらに下方かつ外へと向くように曲がり、一種の基部の膨出部48が、両側において成形材底面49に近接して生成されている。
【0020】
打ち抜き作業時、圧力の方向xに左右されるゴム成形材50の底面49が、対応する打ち抜き輪郭16の両側においてシート10上に配置され、成形材の断面が変化する(図5)。打ち抜き工具30がシート材料10へと貫入するとき、支持点18を破壊する巨大なくさび力が生じる。打ち抜き工具30の両側にゴム成形材50を使用することによって、ゴム成形材50の圧力が、シート10の下面と打ち抜き板24の表面との間により大きい摩擦抵抗を生じさせ、支持点18の破断を防止する。この場合、ゴム成形材50の断面は、さらに打ち抜き工具30に向かう方向にも力が作用するように選択されている。
【0021】
図6は、角度を有するように内向きに曲げられた溝形部材の脚36aを両側に備える溝形部材40aを示しており、溝形部材40aの背板39と平行であるフック棒37が、アンダーカット空間44を区画している。この場合、ゴム成形材50aは、頂部から底部にかけて、自身の断面中心線Mに向かって内側に傾斜した2つの側面47aを有している。
【0022】
支持板22に接着された溝形部材40および40a内に設けられたゴム成形材50および50aは、取り外しおよび交換が容易である。別の例えばより柔らかいゴム材料へと迅速に交換することも、可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】打ち抜き機の打ち抜き型の平面図を示しており、折り畳んで箱とするためのブランクが載せられている。
【図2】打ち抜き作業の詳細を、溝形部材に2つのゴム保護部材を係合させている機械の断面について、図1に比べて拡大した縮尺で示している。
【図3】図2の細部拡大を示している。
【図4】打ち抜き工具の一部を斜視にて示している。
【図5】打ち抜き動作中の機械の断面について、図1に比べて拡大した縮尺で示している。
【図6】ゴム保護部材を備える溝形部材の実施の形態を示しており、図2、3、5に対して変更が加えられている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持板(22)に取り付けられ前記支持板から刃または刃列の形態で突き出している打ち抜き工具と、
或る程度の可撓性を有する材料からなり前記工具を保護している保護部材(50、50a)とによって、
平坦なシート(10)からブランク、特にボール紙または段ボールからなる梱包用のブランク(12)を打ち抜く装置であって、
固い材料からなる溝形部材(40、40a)が、前記打ち抜き工具(30)の長手方向の側面のそれぞれについて、前記打ち抜き工具(30)と平行に前記支持板(22)上に配置され、前記保護部材(50、50a)の断面の一部分(46)が、前記溝形部材に挿入されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1において、前記保護部材(50、50a)が、前記レール型の溝形部材(40、40a)内に、形状をかみ合わせて配置されていることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1または2において、前記保護部材(50)の断面が、少なくとも1つの側面(47)に、外側を向いた基部の膨出部(48)を有していることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項3において、前記打ち抜き工具(30)が、その両側において、いずれも前記保護部材(50)の1つの基部の膨出部(48)によって保護されていることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1または2において、前記保護部材(50a)の側面(47a)が、断面形状の中心線(M)に向かって内側に傾斜していることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項において、前記保護部材(50、50a)の断面形状の中心線(M)が、前記保護部材の対称の線であることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項において、前記溝形部材(40、40a)において、背板(39)から突き出した溝形部材の脚(36、36a)に、アンダーカット空間(44)が設けられていることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項において、溝形部材の脚(36)の内面が、断面において内側に凹んだ曲面とされていることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1〜7の何れか一項において、溝形部材は、断面において脚(36a)が前記背板に対して角度を有し、脚(36a)の端部にフック棒(37)を有しており、このフック棒が互いに向き合っていることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか一項において、前記溝形部材(40、40a)の背板(39)が、打ち抜き型の前記支持板(22)に固定されており、この支持板が、木材からなることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項7〜10の何れか一項において、前記溝形部材(40、40a)の背板(39)が、液体接着剤によって打ち抜き型に固定されていることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項7〜10の何れか一項において、前記溝形部材(40、40a)の背板(39)の外側に、接着層(38)が設けられていることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項12において、前記接着層(38)が、使用されていないときは被覆層によって覆われていることを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項1〜13の何れか一項において、前記板状の打ち抜き工具(30)が、隣接する前記溝形部材(40、40a)の溝の脚(36、36a)間の部位に、前記溝形部材から離れる方向を向いた刃先(32)を備えており、この刃先が、互いの間隔(i)で設けられた切り込みを備えていることを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−507139(P2006−507139A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−570282(P2004−570282)
【出願日】平成15年11月20日(2003.11.20)
【国際出願番号】PCT/EP2003/013005
【国際公開番号】WO2004/045811
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(500460531)
【氏名又は名称原語表記】VOSSEN Franz
【Fターム(参考)】