説明

平坦化ユニットを転回させるための装置及び前記装置と係合する平坦化ユニット

本発明は、平坦化ユニット(20)を転回させるための装置であって、前記平坦化ユニットが、互いに間隔を置いて配置された、回転可能にフレーム(44)に取り付けられた複数のローラ(43)と、平坦化ユニットを転回装置(10)に取り付けるための固定手段(22)とを有する形式のものにおいて、前記装置に、基部(14)から鉛直に延びた2つの直立部(12)と、平坦化ユニット(20)の固定手段(22)と係合する、平坦化ユニットのための支持及び固定手段(16)とが設けられており、該支持及び固定手段(16)は前記直立部(12)の間に配置されており、支持及び固定手段(16)を、水平軸線を中心にして、平坦化ユニット(20)が転回装置(10)に結合されているときに平坦化ユニット(20)のローラ(43)が下方へ向けられるような第1の位置と、平坦化ユニット(20)が転回装置(10)に結合されているときに平坦化ユニット(20)のローラ(43)が上方へ向けられるような第2の位置との間で回転させるための手段(19)が設けられており、前記支持及び固定手段(16)を鉛直方向に並進させるための駆動手段(18)が設けられており、各並進手段(18)が前記直立部(12)のうちの1つに結合されていることを特徴とする、平坦化ユニット(20)を転回させるための装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厚い金属のストリップ又はプレートを平坦化する分野に関する。本発明は特に、平坦化ユニットを転回させるための装置、及び前記装置と係合する平坦化ユニットに関する。
【0002】
厚いストリップは、平坦化機械の上流又は下流において外部牽引のいかなる適用もなく、減少する振幅の一連の交互の撓みによって平坦化される。これらの平坦化機械は、それぞれストリップの上方及び下方に配置された平行な軸線を備える一連のローラをそれぞれ支持した2つの平坦化ユニットを有しており、ローラは、互い違いになるように長手方向及び鉛直方向にずらされており、これにより、ストリップのための波形の経路を決定しており、ストリップはこれにより連続する交互の撓みの効果を受ける。これらの交互の撓みは、曲線に反映され、この曲線は、曲線の上面における牽引の状態から下面における圧縮の状態へ変化するストリップにおける変形を生ぜしめ、線形変化の法則に従ってストリップの中間軸線又は"中立素分"におけるゼロ値を通過する。曲線の振幅に応じて、このように生じた応力は、ストリップのより大きな又はより小さな部分にわたってストリップの弾性限界を超えることがある。この可塑化は、引き出すことができない平坦度欠陥、例えば"長いエッジ"、"長い中心"の排除における決定的な要因である。ストリップの厚さの可塑化された部分は、通常、"可塑化率"という用語によって称呼される全厚さのパーセンテージとして表される。
【0003】
一般的に、下部及び上部のそれぞれの平坦化ユニットは、通常は減じられた直径を有しかつこれにより少なくとも2つの支持ローラによって保持された、平行な軸線を備える複数のローラを有しており、支持ローラ自体はホイールの列に支持されており、これらのローラ及びホイールのセットはフレームに組み立てられている。
【0004】
ストリップの水平な走行平面の下方及び上方にそれぞれ配置されたこれらの2つの平坦化ユニットは、支持フレームに配置されており、この支持フレームは4つのコラムを有しており、これらのコラムは、ストリップの長手方向走行軸線のそれぞれの側に配置されておりかつ下部においては固定された基部によって、上部においては横方向ビームによってしっかりと保持されており、アセンブリは閉鎖されたフレームを形成している。
【0005】
下部平坦化ユニットは、固定された基部に支持されており、上部エレメントは、圧力フレームに支持されており、この圧力フレームを、鉛直方向に、4つのコラムの間を、フレームの上側部分に支持された機械式又は液圧式のジャッキによって移動させることができ、これにより、製品の抵抗による分離力を取り上げながら、2つの平坦化ユニットの分離量、ひいては、胴の互い違いの度合いを調節する。
【0006】
通常、下側のローラと上側のローラとの間の波形の経路に沿ってストリップを摩擦によって所定の速度で前進させるために、平坦化ローラのうちの少なくとも幾つかは軸線を中心にして回転させられる。
【0007】
平坦化作業の間、ローラは、高い表面圧力応力及び摩耗現象を受け、これは、再調整、例えば、メンテナンス工場においてローラの作用面を研削することによる加工を必要とする。このために、上部及び下部の平坦化ユニットを、平坦化機械から取り外さなければならない。平坦化ローラが上方へ向けられた下部平坦化ユニットは、容易に研削することができる。しかしながら、平坦化ローラが下方へ向けられた上部平坦化ユニットは、まず、オペレータが平坦化ローラにアクセスすることができるように転回させなければならない。
【0008】
国際公開第2008/099126号は、平坦化機械の上部平坦化ユニットのための転回装置を開示している。平坦化ユニットはまず平坦化機械から抜き出され、吊上げビームによって保持される。次いで、吊上げビームはクレイドル上に配置される。これらの全ての段階の間、上部平坦化ユニットのローラは、オペレータにアクセス可能ではなく、実際の修理作業を開始することはできない。吊上げビームは、枢軸を中心に回転可能にクレイドルに取り付けられ、上部平坦化ユニットを回転させるために水平の軸線を中心にして回転することができる。この最後の段階が終了してはじめて、上部平坦化ユニットの平坦化ローラはアクセス可能になる。
【0009】
これらの転回作業は、潜在的に危険な環境においてオペレータによって行われる多くの操作の実行を必要とする。オペレータは、特に、高温であることがある、平坦化ローラのための吊上げビーム及び支持クレイドルを操作しなければならない。また、多数の連続した操作を行わなければならない。
【0010】
したがって、できるだけ少ないオペレータの介入を必要とし、かつできるだけ少ない段階でできるだけ迅速な転回を行うような単純な転回手段が必要とされている。
【0011】
このために、本発明の目的は、平坦化ユニットを転回させるための装置であって、前記平坦化ユニットが、互いに間隔を置いて配置された、回転可能にフレームに取り付けられた複数のローラと、平坦化ユニットを転回装置に固定するための取付け手段とを有する形式のものにおいて、前記装置に、
基部から鉛直に延びた2つの直立部と、
平坦化ユニットの取付け手段と係合する、平坦化ユニットのための支持及び固定手段とが設けられており、該支持及び固定手段は前記直立部の間に配置されており、
支持及び固定手段を、水平軸線を中心にして、平坦化ユニットが転回装置に結合されているときに平坦化ユニットのローラが下方へ向けられるような第1の位置と、平坦化ユニットが転回装置に結合されているときに平坦化ユニットのローラが上方へ向けられるような第2の位置との間で回転させるための手段が設けられており、
前記支持及び固定手段を鉛直方向に並進させるための駆動手段が設けられており、各並進手段が前記直立部のうちの1つに結合されていることを特徴とする、平坦化ユニットを転回させるための装置である。
【0012】
転回装置のその他の特徴によれば:
・各支持直立部が、互いに向き合って配置された、基部から鉛直方向に延びた2つのアームを有しており、各アームが、その内面において、各平坦化ユニットの支持及び固定手段のための鉛直方向並進手段のための少なくとも1つの案内レールを支持しており、
・支持及び固定手段が、直立部の間に長手方向にかつ平行に延びた2つの水平な横材を具備するフレームを有しており、前記横材が2つの横方向バーによって互いに結合されており、
・フレームが、互いに向き合って配置された、各横材の端部のうちの1つを受容する2つの保持片を有しており、これらの保持片は、支持及び固定手段のための並進手段と一体化されており、
・各保持片が部分的に少なくとも横材の下方に延びており、
・各保持片が、U字形部分を有しており、各U字形部分が、支持部を形成しておりかつ各横材の端部のうちの1つを受容しており、
・支持及び固定手段が、それぞれ保持片から横材の下方に延びた複数のフックを有しており、各フックの自由端部は、転回装置が前記第1の位置にあるときに上方へ向けられており、
・各フックの自由端部と、該自由端部に最も近い水平の横材の下面との間の距離が、平坦化ユニットに属する取付け手段の通過と、この平坦化ユニットの締付けとを許容するようになっており、
・各フックが、その自由端部において、平坦化ユニットが転回装置に導入されたときに前記平坦化ユニットのための取付け手段を支持及び案内するための円筒状部分を有しており、
・フックが、所定の幅の仮想矩形の頂点に配置されており、
・支持及び固定手段が、平坦化ユニットの並進運動を停止させかつ支持及び固定手段の回転中に平坦化ユニットを保持するための手段を有しており、
・保持手段が、平坦化ユニットのためのストッパを形成する2つのL字形の締付けバーを有し、
・各締付けバーは、横方向バーと一体化されており、転回装置が休止位置にあるときには前記横方向バーから下方へ延びており、
・フレームのための並進手段が、各直立部の基部から鉛直方向に、各直立部の2つのアームの間にそれぞれ延びた少なくとも2つの駆動スピンドルを有しており、
・並進手段が、2つの案内スライダを有しており、これらの案内スライダが、案内スライダを鉛直方向並進において案内するために駆動スピンドルのうちの2つを受容しており、各案内スライダが、該案内スライダが受容するスピンドルに沿って上昇又は下降するようになっており、
駆動スピンドルと係合する案内スライダのための2つの並進装置を有しており、
・各案内スライダが、支持及び固定手段のための回転駆動手段を支持しており、
・支持及び固定手段のための回転駆動手段が、歯車式モータ又はジャッキを含む。
【0013】
本発明の目的は、上に定義された転回装置と係合するのに適した平坦化ユニットであって、平坦化ユニットは、互いに間隔を置いて配置された、フレームに回転可能に取り付けられた複数のローラを有する形式のものにおいて、平坦化ユニットを転回装置に取り付けるための手段が設けられていることを特徴とする平坦化ユニットでもある。
【0014】
平坦化ユニットのその他の特徴によれば:
・平坦化ユニットのための取付け手段は、フレームと一体化された、転回装置のための取り付け手段と係合するための複数のフックを有しており、各フックの自由端部は、転回装置の平坦化ユニットの導入の前には下方へ向けられており、
・平坦化ユニットの各フックは、平坦化ユニットが転回装置に完全に挿入されたときに転回装置のフックのうちの1つに支持されるように配置されており、
・平坦化ユニットのフックは対を成しており、フックの各対は、所定の幅の仮想矩形の頂点に位置しており、
・平坦化ユニットのフックの位置を規定する仮想矩形の幅は、転回装置のフックの位置を規定する仮想矩形の幅と等しいか又はそれよりも小さい。
【0015】
本発明のその他の特徴及び利点は、図面を参照して、詳細な、限定しない実施の形態を読むことにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による転回装置と、転回装置の外側に配置された平坦化ユニットのセットとを示す斜視図である。
【図2】図1に示す状態から開始される、本発明による装置によって平坦化ユニットのうちの一方を転回させる段階のうちの1つの段階を示す図である。
【図3】図1に示す状態から開始される、本発明による装置によって平坦化ユニットのうちの一方を転回させる段階のうちの1つの段階を示す図である。
【図4】高い位置において平坦化ユニットのうちの一方を支持する、図1に示した転回装置の後面図である。
【図5】図1に示す状態から開始される、本発明による装置によって平坦化ユニットのうちの一方を転回させる段階のうちの1つの段階を示す図である。
【図6】図1に示す状態から開始される、本発明による装置によって平坦化ユニットのうちの一方を転回させる段階のうちの1つの段階を示す図である。
【図7】図1に示す状態から開始される、本発明による装置によって平坦化ユニットのうちの一方を転回させる段階のうちの1つの段階を示す図である。
【0017】
図1は、本発明による転回装置10と、下部平坦化ユニット46上に配置された上部平坦化ユニット20を有するアセンブリとの斜視図である。平坦化ユニット20及び46はそれぞれ、それぞれ44及び48で示されたフレームを有している。各フレーム44,46は、回転可能に取り付けられた、図1にそれぞれ43及び42で示された複数の平坦化ローラを受容している。図1に示したように、平坦化ユニット20及び46によって形成されたアセンブリは、まず、平坦化ローラを交換又は研削するために、平坦化機械(図示せず)から取り外される。上部平坦化ユニット20が下部平坦化ユニット46と一体化されている場合、オペレータは平坦化ローラ42及び43へアクセスすることができず、従って、平坦化ユニット42及び43を交換又は研削するためのあらゆる操作は不可能である。従って、上部平坦化ユニット20を下部平坦化ユニット46から取り外すことが可能でなければならない。
【0018】
このために、上部平坦化ユニット20は、この上部平坦化ユニット20を転回装置10に固定するための手段を有している。より正確にいえば、平坦化ユニット20の固定手段は、フレーム44と一体化された、転回装置の固定手段40に係合するための複数のフック22を有している。図1に示したように、各フック22の自由端部は、平坦化ユニット20を転回装置10へ導入する前は、下方へ向けられている。
【0019】
平坦化ユニットの各フック22は、後で説明するように平坦化ユニットが転回装置10へ完全に挿入されたときには転回装置10のフック40のうちの1つに支持されるように、位置決めされている。フック22は、転回装置のフック40のための通路を規定しており、フック40は、転回装置10への導入の間、上部平坦化ユニットのためのガイドとしても働く。フック22は、対になっており、フック22の各対は、ほぼ、所定の長さ及び幅の仮想矩形の頂点に位置している。1つの対のフック22は、上部平坦化ユニット20のフレーム44の鉛直面から互いに平行に延びている。
【0020】
2つの平坦化ユニットによって形成されたアセンブリは、移送プラットフォーム50上に配置されており、この移送プラットフォーム自体は、輸送レール52上に配置されている。このプラットフォーム50は、後で説明するように、プラットフォーム50を、2つの平坦化ユニット20及び46によって形成されたアセンブリが転回装置の外側に配置されるような位置から、上部平坦化ユニット20が転回装置10によって保持されるような位置まで押すことができる移送ジャッキ54に結合されている。
【0021】
図1及び図4に示したように、本発明による転回装置は、平坦化ユニット20の固定手段22と係合するための、上部平坦化ユニット20の支持及び固定手段16の基部14から鉛直方向に延びた2つの直立部12を有しており、支持及び固定手段16は直立部12の間に配置されている。転回装置は、後で説明するように、支持及び固定手段16を、水平の軸線を中心にして、平坦化ユニット20が転回装置に結合されたときに平坦化ユニット20のローラ42が下方へ向けられるような第1の位置と、平坦化ユニット20のローラ42が上方へ向けられるような第2の位置との間で回転させるための、回転駆動手段19をも有している。転回装置10は、支持及び固定手段16を鉛直方向に並進運動させるための手段18を有している。各駆動手段18は、直立部12のうちの一方に結合されている。
【0022】
直立部12は、互いに向き合って据え付けられており、平坦化ユニット20,46のアセンブリの挿入を許容する距離だけ離間されている。各支持直立部14は、互いに向き合って配置された、基部14から鉛直方向に延びた2つのアーム24を有している。各アーム24は、基部14から鉛直方向に延びた、直線的な鉛直部分24Bと一体化された三角形のフィン24Aから成る。各アーム24は、各直線的な部分24Bの内面において、支持及び固定手段16の鉛直方向並進手段18のための少なくとも1つの案内レール26も有している。
【0023】
本発明によれば、支持及び固定手段16、ひいては上部平坦化ユニット20の鉛直方向並進手段18は、それぞれ各直立部12の2つのアーム24の間に鉛直方向にかつ平行に延びた並進駆動スピンドル38を有している。好適には、2つの円筒状の並進駆動スピンドル38は、直立部ごとに設置されている。並進駆動手段は、2つの案内スライダ18も有しており、各案内スライダ18は、この案内スライダ18を鉛直方向に並進させるように駆動するために並進駆動スピンドル38のうちの2つを受容しており、各案内スライダ18は、この案内スライダ18が受容した駆動スピンドル38に沿って、各案内スライダ18の内部にあってよい駆動装置に作用により、上昇又は下降するようになっている。並進駆動スピンドル38は、ねじジャッキの一部を形成していてもよい。各案内スライダは、直立部12のアーム24の間に配置されており、2つのレール26によって案内されながら並進運動する。鉛直方向並進手段18は、その他の形式のジャッキ、ねじ・ナットシステム、ピニオン・ラックシステム又はさらにチェーン等の、その他の形式の駆動装置を有していてもよい。
【0024】
上部平坦化ユニット20の転回装置10は、フレームから成る支持及び固定手段16を有している。フレーム16は、直立部12の間に長手方向にかつ平行に延びた2つの水平な横材28を有している。これらの横材は、2つの横方向バー30によって互いに結合されている。横材28及び横方向バー30は、直立部12を含む平面に対して垂直な平面に延びている。各横方向バーの長さは、上部平坦化ユニット20と下部平坦化ユニット46とによって形成されたアセンブリの長さよりも大きい。
【0025】
フレーム16は、互いに向き合って配置された2つの保持片32も有しており、各保持片32は、各横材28の端部のうちの一方を受容しており、これらの保持片32も、支持及び固定手段16の並進駆動手段18と一体化されている。より正確にいえば、図1から図7に示された実施の形態において、各保持片32は、案内スライダ18と一体化されており、この案内スライダ18によって駆動されて鉛直方向並進運動を行う。各保持片32は、少なくとも部分的に横材28の下方に延びており、横材28のための支持部を形成した、各横材28の端部のうちの一方を受容するU字形部分を有している。
【0026】
支持及び固定手段16は、それぞれ横材28の下方において保持片32のうちの1つから延びた複数のフック40を有しており、各フック40の自由端部41は、転回装置10が第1の位置にある場合は上方に向けられている。各フック40は、フックの自由端部41と、この自由端部に最も近い水平の横材28の下面との間の距離が、平坦化ユニット20に属する固定手段22の通過と、この平坦化ユニット20の締付けとを許容するように、位置決めされている。
【0027】
また、各フック40は、その自由端部において、平坦化ユニット20が転回装置10に導入されるときに平坦化ユニット20の固定手段22を支持及び案内するための円筒状部分41を有している。図1から図7の実施の形態において、フック40の数は4つであり、フック40は、所定の長さ及び幅の仮想矩形の頂点に配置されている。
【0028】
支持及び固定手段16は、平坦化ユニット20の並進を停止させ、支持及び固定手段16の回転中に平坦化ユニット20を保持するための保持手段を有している。保持手段は、支持及び固定手段16の回転中に平坦化ユニット20のためのストッパを形成する2つのL字形の締付けバー36を有している。各締付けバー36は、横方向バー30と一体化されており、転回装置10が第1の位置にあるときにこの横方向バー30から下方へ延びている。
【0029】
本発明によれば、転回装置は、支持及び固定手段のための回転駆動手段19も有している。これらの回転駆動手段19は、図1から図7の実施の形態において、案内スライダ18のうちの少なくとも1つによって支持されている。有利には、各案内スライダ18は、支持及び固定手段16のための回転駆動手段19を支持することができる。より正確にいえば、各案内スライダ18は、保持片32のうちの1つの枢軸(図示せず)と係合する、フレーム16の水平の回転のための駆動手段19を支持することができ、この駆動手段の作動は、保持片32、ひいてはフレーム16を回転させる。駆動手段19は、歯車式モータ又はジャッキ(図示せず)の形態であってよい。
【0030】
上部平坦化ユニット20の各フック22を転回装置10の対応するフックと相互にロックさせるために、平坦化ユニット20のフック22の位置を規定する仮想矩形の幅は、転回装置10のフック40の位置を規定する仮想矩形の幅と等しいか又はそれよりも小さくてよい。
【0031】
ここで図1から図7を参照して、平坦化ユニット20を転回させる種々異なる段階を説明するが、初期位置は図1に示されている。
【0032】
第1の段階の間、案内スライダ18の鉛直方向並進駆動手段は、フレーム16のフック40が、転回装置10に最も近い上部平坦化ユニット20のフック22と向き合って位置決めされるまで、案内スライダ18、ひいてはフレーム16を駆動するために、作動させられる。次いで、ジャッキ54は、プラットフォーム50を押し、上部平坦化ユニット20及び下部平坦化ユニット46を含むアセンブリの並進を生ぜしめる。この並進の間、転回装置10に最も近い、上部平坦化ユニット20のフック22の最初の対がそれぞれ、フレーム16に属する第1のフック40の円筒状部分41に係合する。これにより、フレーム16に属する第1のフック40の各円筒状部分41は、2つの上部平坦化ユニット20及び下部平坦化ユニット46によって形成されたアセンブリのための並進ガイドとして働く。並進は進行し、上部平坦化ユニット20のフック22の第1の対は前進し、フレーム16に属する第1のフック40を通過する。次いで、上部平坦化ユニット20のフック22の第1の対はフレーム16に属する第2のフック40の円筒状部分41に係合し、この第2のフック40(図4に示されている)は、プラットフォーム50の前進方向でみて転回装置10の後側に配置されている。これと同時に、上部平坦化ユニット20のフック22の第2の対は、フレーム16に属する第1のフック40の円筒状部分41に係合する。並進は、2つの上部平坦化ユニット20及び下部平坦化ユニット46によって形成されたアセンブリが、2つのL字形の締付けバー36に当接して停止するまで、進行する。この位置において、上部平坦化ユニット20の各フック22は、転回装置10のフック40と係合させられており、上部平坦化ユニット20のフック22の位置と、転回装置10の相補的なフック40の位置とをそれぞれ規定する仮想矩形は、重なり合う若しくは合致する。従って、上部平坦化ユニット20のフック22の位置と、転回装置10の相補的なフック40の位置とをそれぞれ規定する仮想矩形は、同じ寸法を有することが可能である。ここで、図2に示された位置となる。
【0033】
次いで、案内スライダ18のための鉛直方向並進駆動手段が作動させられ、案内スライダ18、ひいてはフレーム16を上方へ駆動する。フレーム16と係合した上部平坦化ユニット20も上方へ駆動され、下部平坦化ユニット46から取り外される。ここで、図3及び図4に示した位置となる。この位置において、平坦化ユニット20のフック22は、上部平坦化ユニット20の全重量を支持する転回装置10のフック40と係合しており、この重量は数十トンになる可能性がある。
【0034】
次いで、移送ジャッキ54は、プラットフォーム50を、下部平坦化ユニット46を研削するための平坦化設備の別の領域に向かって引き寄せる。
【0035】
以下の段階において、案内スライダ18のための鉛直方向並進駆動手段38が作動させられ、案内スライダ18、ひいてはフレーム16を駆動して鉛直方向下方へ並進運動させる。ここで図5に示した位置となる。
【0036】
次に、水平軸線を中心にしてフレームを回転させるための駆動手段19が作動させられる。上部平坦化ユニット20は、上部平坦化ユニット20のローラ43が下方に向けられた第1の位置から、平坦化ユニット20のローラ43が上方へ向けられた第2の位置へ、時計回りに180゜だけ回転させられる。図6には、90゜だけ回転した平坦化ユニットの中間位置が示されている。
【0037】
以下の段階において、案内スライダ18のための鉛直方向並進駆動手段が作動させられ、案内スライダ18、ひいてはフレームを駆動して鉛直方向下方へ低下位置まで並進運動させ、この低下位置において、オペレータは上部平坦化ユニット20の平坦化ローラへアクセスすることができ、また、機器の別の領域への取外しのために取扱い工具によって平坦化ローラを掴むことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦化ユニット(20)を転回させるための装置であって、前記平坦化ユニットが、互いに間隔を置いて配置された、回転可能にフレーム(44)に取り付けられた複数のローラ(43)と、平坦化ユニットを転回装置(10)に固定するための取付け手段(22)とを有する形式のものにおいて、前記装置に、
基部(14)から鉛直に延びた2つの直立部(12)と、
平坦化ユニット(20)の固定手段(22)と係合する、平坦化ユニットのための支持及び固定手段(16)とが設けられており、該支持及び固定手段(16)は前記直立部(12)の間に配置されており、
支持及び固定手段(16)を、水平軸線を中心にして、平坦化ユニット(20)が転回装置(10)に結合されているときに平坦化ユニット(20)のローラ(43)が下方へ向けられるような第1の位置と、平坦化ユニット(20)が転回装置(10)に結合されているときに平坦化ユニット(20)のローラ(43)が上方へ向けられるような第2の位置との間で回転させるための手段(19)が設けられており、
前記支持及び固定手段(16)を鉛直方向に並進させるための並進駆動手段(18)が設けられており、各並進駆動手段(18)が前記直立部(12)のうちの1つに結合されていることを特徴とする、平坦化ユニット(20)を転回させるための装置。
【請求項2】
前記支持直立部(12)が、互いに向き合って配置された、基部(14)から鉛直方向に延びた2つのアーム(24)を有しており、各アーム(24)が、その内面において、各平坦化ユニット(20)の支持及び固定手段(16)のための鉛直方向の並進駆動手段(18)のための少なくとも1つの案内レール(26)を支持している、請求項1記載の転回装置。
【請求項3】
前記支持及び固定手段(16)が、直立部(12)の間に長手方向にかつ平行に延びた2つの水平な横材(28)を具備するフレームから成り、前記横材が2つの横方向バー(30)によって互いに結合されている、請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
前記フレームが、互いに向き合って配置された、各横材(28)の端部のうちの1つを受容する2つの保持片(32)を有しており、これらの保持片(32)は、支持及び固定手段(16)のための並進駆動手段(18)と一体化されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
各保持片(32)が部分的に少なくとも横材(28)の下方に延びている、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
各保持片(32)が、U字形部分(34)を有しており、各U字形部分(34)が、支持部を形成しておりかつ各横材(28)の端部のうちの1つを受容している、請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
支持及び固定手段(16)が、それぞれ保持片(32)から横材(28)の下方に延びた複数のフック(40)を有しており、各フック(40)の自由端部(41)は、転回装置(10)が前記第1の位置にあるときに上方へ向けられている、請求項4から6までのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
各フック(40)の自由端部と、該自由端部に最も近い水平の横材(28)の下面との間の距離が、平坦化ユニット(20)に属する固定手段(22)の通過と、この平坦化ユニット(20)の把持とを許容するようになっている、請求項1から7までのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
各フック(40)が、その自由端部において、平坦化ユニット(20)が転回装置(10)に導入されたときに前記平坦化ユニット(20)のための固定手段(22)を支持及び案内するための円筒状部分(41)を有している、請求項1から8までのいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
前記フック(40)が、所定の幅の仮想矩形の頂点に配置されている、請求項7から9までのいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
支持及び固定手段(16)が、平坦化ユニット(20)の並進運動を停止させかつ支持及び固定手段(16)の回転中に平坦化ユニット(20)を保持するための手段(36)を有している、請求項1から10までのいずれか1項記載の装置。
【請求項12】
保持手段が、平坦化ユニット(20)のためのストッパを形成する2つのL字形の締付けバー(36)を有する、請求項1から11までのいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
各締付けバー(36)は、横方向バー(30)と一体化されており、転回装置(10)が休止位置にあるときには前記横方向バー(30)から下方へ延びている、請求項1から12までのいずれか1項記載の装置。
【請求項14】
フレームのための並進駆動手段(18)が、各直立部(12)の基部(30)から鉛直方向に、各直立部(12)の2つのアーム(24)の間にそれぞれ延びた少なくとも2つの駆動スピンドル(38)を有している、請求項1から13までのいずれか1項記載の装置。
【請求項15】
並進駆動手段(18)が、2つの案内スライダを有しており、これらの各案内スライダは、該案内スライダを鉛直方向並進において案内するために駆動スピンドル(38)のうちの2つを受容しており、各案内スライダが、該案内スライダが受容するスピンドル(38)に沿って上昇又は下降するようになっており、
前記並進駆動手段(18)がさらに、駆動スピンドル(38)と係合する案内スライダのための2つの並進装置を有している、請求項1から14までのいずれか1項記載の装置。
【請求項16】
各案内スライダが、支持及び固定手段(16)のための回転駆動手段(19)を支持している、請求項1から15までのいずれか1項記載の装置。
【請求項17】
支持及び固定手段(16)のための回転駆動手段(19)が、歯車式モータ又はジャッキを含む、請求項1から16までのいずれか1項記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−520771(P2012−520771A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500085(P2012−500085)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【国際出願番号】PCT/EP2009/054764
【国際公開番号】WO2010/105697
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(503087245)シーメンス ヴェ メタルス テクノロジーズ エスアーエス (19)
【氏名又は名称原語表記】Siemens VAI Metals Technologies SAS
【住所又は居所原語表記】51 rue Sibert, F−42400 Saint−Chamond, France
【Fターム(参考)】