説明

平版印刷版の包装方法及び装置

【課題】遮光性、防湿性に優れた包装を行う。
【解決手段】平版印刷版の積層束20が載置された積載板2の外周面に両面テープ32を介して内装紙30を巻き付け、内装紙30の短辺部30Sと長辺部30Lを内側に折り畳んで、平版印刷版の積層束20を包装する場合において、積載板2の外周に内装紙30を巻き付けた後、積載板2の短辺部を内装紙30の上から押圧バー50で押圧して、内装紙30を積載板2の外周にプレ接着させる。その後、内装紙30の上から積載板2の外周に沿って押圧ローラ60を転動させることにより、内装紙30を積載板2の外周に本接着させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は平版印刷版の包装方法及び装置に係り、特に複数枚の平版印刷版を一括して包装する平版印刷版の包装方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真製版法を含む近年の製版法では、製版工程の自動化を容易にすべく、感光性印刷版や感熱性印刷版等の平版印刷版が広く用いられている。このような平版印刷版は、運搬や保管中に露光されたり、結露が発生したりすると、品質故障が発生するため、遮光性及び防湿性を有する内装紙で包装されて荷扱いされている。
【0003】
図7は、この平版印刷版の従来の包装例を示す図であり、いわゆるスキッド積みされた平版印刷版を包装する例が示されている。同図(a)〜(e)に示すように、この場合、スキッド1の上にセットされた積載板2の上に平版印刷版の積層束3を載置し、積載板2ごと内装紙4で包装する。すなわち、積載板2の外周面に両面テープを介して帯状の内装紙4を巻き付け、その内装紙4の短辺部4Sと長辺部4Lをそれぞれ内側に折り畳み、重なり合った長辺部4Lの先端同士を粘着テープ5で止めることにより密封する。これにより、平版印刷版の積層束3は、積載板2を底板として、内装紙4に包装される(たとえば特許文献1参照)。
【0004】
ところで、上記のように、積載板2は、その外周面に両面テープを介して内装紙4が貼着されるが、この貼着をより確実なものとするため、内装紙4が巻き付けられた後、その内装紙4の上から外周面に沿って押圧ローラが転動され、外周面の全周にわたって内装紙4が押し当てられる。
【特許文献1】特開2005−29174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように、内装紙が巻き付けられた後、その内装紙の上から積載板の外周面に沿って押圧ローラを転動させると、タイトに接着されていない内装紙が撚れて溜まり、そこを押圧ローラが乗り越えると、皺が発生するという欠点があった。そして、このような皺が発生する結果、その皺の部分から外気が進入したり、光が進入したりして、品質故障が発生するという欠点があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、遮光性、防湿性に優れた包装を行うことができる平版印刷版の包装方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、前記目的を達成するために、平版印刷版の積層束が載置された積載板の外周面に接着手段を介して帯状の内装紙を巻き付ける巻き付け工程と、前記積載板に巻き付けられた内装紙の上から前記積載板の外周面に沿って押圧ローラを転動させることにより、前記内装紙を前記積載板の外周面に接着させる接着工程と、前記積載板に巻き付けられた前記内装紙の短辺部と長辺部を内側に折り畳んで密封する折り畳み工程と、からなる平版印刷版の包装方法において、前記接着工程の前に前記内装紙が巻き付けられた前記積載板に対して外周面の所定箇所を前記内装紙の上から所定の押圧手段で押圧することにより、前記積載板の外周面の所定箇所に前記内装紙をあらかじめ接着させるプレ接着工程を有することを特徴とする平版印刷版の包装方法を提供する。
【0008】
請求項1に係る発明によれば、押圧ローラによる接着工程の前に積載板の外周面の所定箇所に内装紙をあらかじめ接着させるプレ接着工程を有する。これにより、接着工程で押圧ローラを内装紙の上から積載板の外周面に沿って転動させた際、内装紙の撚れの発生を防止でき、皺等を発生させることなく、内装紙を積載板の外周面に接着させることができる。これにより、遮光性、防湿性に優れた包装を行うことができる。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記目的を達成するために、前記巻き付け工程は、前記積載板に巻き付けられた前記内装紙の巻き初めの部分と巻き終わりの部分とを接合する接合工程を含み、前記プレ接着工程は、前記接合工程中に実施されることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版の包装方法を提供する。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、積載板に巻き付けられた内装紙の巻き初めの部分と巻き終わりの部分とを接合する処理が行われている間にプレ接着の処理が行われる。これにより、短時間で効率よく平版印刷版を包装することができる。
【0011】
請求項3に係る発明は、前記目的を達成するために、平版印刷版の積層束が載置された積載板の外周面に接着手段を介して帯状の内装紙を巻き付け、該積載板に巻き付けられた内装紙の上から前記積載板の外周面に沿って押圧ローラを転動させることにより、前記内装紙を前記積載板の外周面に接着させた後、前記積載板に巻き付けられた前記内装紙の短辺部と長辺部を内側に折り畳んで密封する平版印刷版の包装装置において、前記内装紙が巻き付けられた前記積載板に対して外周面の所定箇所を前記内装紙の上から押圧する押圧手段と、前記押圧ローラによる接着開始前に前記押圧手段が前記積載板の外周面の所定箇所を前記内装紙の上から押圧するように制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする平版印刷版の包装装置を提供する。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、内装紙が巻き付けられた積載板に対して外周面の所定箇所が内装紙の上から押圧手段によって押圧され、プレ接着される。そして、この押圧手段によるプレ接着の後に押圧ローラによる接着処理が行われる。これにより、押圧ローラによる接着処理の際、内装紙の撚れの発生を防止でき、皺等を発生させることなく、内装紙を積載板の外周面に接着させることができる。これにより、遮光性、防湿性に優れた包装を行うことができる。
【0013】
請求項4に係る発明は、前記目的を達成するために、前記内装紙は、巻き初めの部分と巻き終わりの部分とを接合して前記積載板の外周面に巻き付けられ、前記制御手段は、前記接合処理中に前記押圧手段が前記積載板の外周面の所定箇所を前記内装紙の上から押圧するように制御することを特徴とする請求項3に記載の平版印刷版の包装装置を提供する。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、積載板に巻き付けられた内装紙の巻き初めの部分と巻き終わりの部分とを接合する処理が行われている間にプレ接着の処理が行われる。これにより、短時間で効率よく平版印刷版を包装することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る平版印刷版の包装方法及び装置によれば、遮光性、防湿性に優れた包装を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面に従って本発明に係る平版印刷版の包装方法及び装置の好ましい実施態様について説明する。
【0017】
平版印刷版は、一般にシート状あるいはコイル状のアルミニウム板等の支持体に、たとえば、砂目立て、陽極酸化、シリケート処理、その他化成処理等の表面処理を単独又は適宜組み合わせて行い、次いで、感光層又は感熱層を塗布形成し、乾燥させた後、所望のサイズに切断することで製造される。
【0018】
このように製造された平版印刷版は、厚み方向に積層され、積層束の状態で内装紙に包装されて荷扱い(運搬や保管等)される。
【0019】
積層束の生成は、たとえば、平版印刷版の加工ライン上に設置された集積装置で行われ、この集積装置で生成した平版印刷版の積層束を包装装置に搬送して包装処理を行う。
【0020】
集積装置は、図1に示すように、たとえば、スキッド1の上にセットされた積載板2の上に平版印刷版10を所定枚数集積して、積層束20を生成する。
【0021】
なお、同図に示す積層束20は、表面に合紙12が貼り合わされた平版印刷版10を集積して生成した場合を示している。この場合、上下の平版印刷版10の間には、合紙12が配置される。合紙12は、必ずしも必要なものではなく、平版印刷版10だけで積層束20が構成される場合もある。
【0022】
また、同図に示す積層束20は、上面及び下面に保護用厚紙14を配置した場合を示しており、必要に応じて、このような保護用厚紙14が上面及び下面に配置される。
【0023】
一つの積層束20を構成する平版印刷版10の数は、特に限定されないが、たとえば、運搬や保管の効率化、自動製版機へ装填可能枚数等の観点から10枚〜500枚とすることができる。なお、このように10枚〜500枚の平版印刷版によって積層束を構成した場合には、平版印刷版と保護用厚紙とがずれないようにするため、積層束を粘着テープ等の固定手段で固定することが好ましい。また、更に多くの平版印刷版によって積層束を構成することもできる。たとえば、平版印刷版の枚数を最大で6500枚程度とし、平版印刷版を20〜500枚積み重ねるたびに保護用厚紙を入れるようにしてもよい。また、平版印刷版の枚数を最大で6500枚程度とし、その上下にのみ保護用厚紙を配置するようにしてもよい。
【0024】
積層束20が載置される積載板2は、たとえば、所定厚さを有する塩化ビニル製の板で構成されており、積載される平版印刷版のサイズよりも若干大きな長方形状に形成されている。
【0025】
また、スキッド1は、たとえば、鉄製のフレームの上にベニヤ板を載置して構成されており、所定の運搬装置(たとえば、フォークリフト等)で運搬可能に形成されている。
【0026】
このように積載板2の上に積載された平版印刷版10の積層束20は、図2に示すように、積載板2の外周に内装紙30を巻き付け、巻き付けた内装紙30の長辺部30Lと短辺部30Sをそれぞれ内側に折り畳むことにより、内装紙30に包装される。
【0027】
以下、この積載板2の上に積載された平版印刷版10の積層束20の包装方法について詳述する。
【0028】
まず、図2(a)に示すように、スキッド1の上にセットされた積載板2の周囲に内装紙30を巻き付ける。
【0029】
内装紙30は、帯状に形成されており、その下縁部内側には、積載板2の板厚とほぼ同じ幅の両面テープ32が貼着されている。内装紙30は、この両面テープ32を積載板2の外周面に貼り着けることにより、積載板2の周囲に接着されて、巻き付けられる。
【0030】
なお、この内装紙30の幅は、積載板2に巻き付けた内装紙30の長辺部30L、30Lを内側に折り畳んだ際、その長辺部30L、30Lの先端が互いに所定量重なり合うような幅をもって形成される。したがって、包装する積層束20の寸法等に応じて適宜設定され、たとえば、新聞4頁サイズ(800×1100mm)の平版印刷版に対して高さ75〜91mmの積層束を形成した場合には、内装紙30の幅は545mmに設定される。
【0031】
また、この内装紙は、遮光性、防湿性を有するものが用いられ、たとえば、クラフト紙にアルミニウム箔を貼り合わせたアルミクラフト紙や、このアルミクラフト紙のアルミニウム箔上にポリエチレンを貼り合わせたもの、さらに、このポリエチレンに黒ポリエチレンフィルムを貼り合わせたものなどが用いられる。また、クラフト紙にアルミ蒸着PETフィルムを貼り合わせたものや、カーボンブラックを含有した接着剤でクラフト紙にアルミ蒸着PETフィルムを貼り合わせたもの、貼着面が黒色に印刷されたアルミ蒸着PETフィルムをクラフト紙に貼り合わせたものなどが用いられる。
【0032】
また、内装紙30の下縁部外側には、必要に応じて補強テープが貼着され、強度が確保される。
【0033】
内装紙30の巻き付けは、図2(a)に示すように、たとえば、積載板2の一方側の長辺部のほぼ中央の位置から開始される。この際、積載板2の四隅にはガイドプレート40が垂直に立てられ、このガイドプレート40をガイドとしながら内装紙30が巻き付けられる。
【0034】
なお、ガイドプレート40は、たとえば、断面が長方形の角柱状に形成され、その幅広の面が積載板2の短辺と平行になるようにして、積載板2の四隅に配置される。
【0035】
積載板2に巻き付けた内装紙30は、図2(b)に示すように、所定量オーバーラップさせて巻き終わり、そのオーバーラップ部分34がホットメルトなどの接着手段によって接着される。これにより、内装紙30は、四角い筒状の巻き姿で積載板2に巻き付けられる。
【0036】
ところで、上記のように、内装紙30は、その下縁部の両側に貼着された両面テープ32を介して積載板2の外周に接着されるが、この接着をより強固なものとするために、内装紙30が巻き付けられた積載板2に対して内装紙30の上から押圧ローラ60を転動させて、内装紙30を積載板2の外周面2に押し付ける。
【0037】
しかし、このように内装紙30の巻き付け直後に押圧ローラ60を転動させると、タイトに接着されていない内装紙が撚れて溜まり、そこを押圧ローラが乗り越えて、皺が発生するおそれがある。
【0038】
そこで、本実施の形態の包装方法では、押圧ローラ60を転動させて内装紙30を積載板2の外周面に接着(以下、「本接着」と称す)させる前に内装紙30が巻き付けられた積載板2の短辺部を内装紙30の上から押圧バー50、50で押圧し、プレ接着を行う。
【0039】
すなわち、図2(b)に示すように、内装紙30が巻き終わり、オーバーラップ部分34がホットメルトなどの接着手段によって接着されると、積載板2の短辺部が内装紙30の上から押圧バー50、50によって押圧され、内装紙30が積載板2の短辺部に押し付けられる。これにより、内装紙30が積載板2にプレ接着される。
【0040】
ここで、押圧バー50、50は、たとえば、積載板2の短辺とほぼ同じ長さを有する角柱状の棒材で構成し、所定位置に位置決めされた積載板2の短辺に対向して配置する。そして、シリンダ等で駆動して、積載板2の短辺に押し付ける構成とする。
【0041】
このように、押圧バー50、50で内装紙30の上から積載板2の短辺部を押し付けることによりプレ接着を行った後、押圧ローラ60によって本接着を行う。すなわち、図2(c)に示すように、内装紙30の上から積載板2の外周面に沿って押圧ローラ60を転動させることにより、積載板2の全周にわたって内装紙30を押し当て、本接着を行う。
【0042】
この際、積載板2は、内装紙30の上から外周面に押圧ローラ60が押圧当接された状態で回転することにより、押圧ローラ60が外周面に沿って転動し、全周にわたって内装紙30が押し付けられる。この際、押圧ローラ60は、積載板2の外周に倣って前後移動する。
【0043】
このようにプレ接着を行った後、押圧ローラ60による本接着を行うことにより、タイトに接着されていない内装紙が撚れて溜まるのを防止でき、皺の発生を効果的に防止することができる。すなわち、あらかじめ内装紙30を部分的に接着しておくことにより、撚れが積算されるのを効果的に防止でき、大きな撚れが発生して、皺になるのを防止できる。
【0044】
この後、平版印刷版の積層束20は、図2(d)に示すように、ガイドプレート40が抜かれたのち、図2(e)に示すように、その内装紙30の短辺部30S、30Sと長辺部30L、30Lとが、互いに内側に折り畳まれる。そして、図2(f)に示すように、折り畳まれることによって互いに重なり合う長辺部30L、30Lの先端を粘着テープ36で貼り着けられ、密封される。
【0045】
以上一連の工程で包装が完了し、平版印刷版が積層束20の状態で内装紙30に一括包装される。
【0046】
このように、本実施の形態の包装方法では、積載板2に巻き付けた内装紙30を積載板2に接着させる際、プレ接着を行った後、押圧ローラ60による本接着を行うので、皺を発生させることなく、平版印刷版10の積層束20を包装することができる。これにより、遮光性、防湿性に優れた包装を行うことができる。
【0047】
なお、上記実施の形態では、積載板2の短辺部のみをプレ接着するようにしているが、長辺部と短辺部の双方をプレ接着するようにしてしてもよいし、また、片側の短辺部と片側の長辺部をプレ接着するようにしてもよい。すなわち、プレ接着する部分は、任意に設定することができる。
【0048】
また、各辺を一律にプレ接着するのではなく、部分的にプレ接着するようにしてもよい。たとえば、図3に示すように、押圧面に一定の間隔で凹凸が形成された押圧バー50aによって積載板2の短辺部を内装紙30の上から押圧することにより、一定の間隔で短辺部をプレ接着するようにしてもよい(図中斜線部がプレ接着箇所)。同様に積載板2の周囲を全周にわたって一定の間隔でプレ接着するようにしてもよい。
【0049】
また、プレ接着に使用する押圧手段は、積載板2の外周を内装紙30の上から押圧できる構成のものであればよい。
【0050】
また、上記実施の形態では、内装紙30の下縁部に沿って貼付した両面テープ32を介して内装紙30を積載板2の外周面に接着する構成としているが、内装紙30を積載板2の外周に接着する手段は、これに限定されるものではなく、他の接着手段を用いてもよい。
【0051】
なお、上記の包装処理は、たとえば、平版印刷版の加工ライン上に設置された包装装置で行われ、同じく加工ライン上に設置された集積装置から平版印刷版の積層束を搬送して包装処理を行う。
【0052】
包装装置は、内装紙30の巻き付け、プレ接着及び本接着を行う巻き付け部と、その内装紙30の折り畳みを行う折り畳み部とで構成され、巻き付け部で内装紙30の巻き付け、プレ接着、本接着を行った後、折り畳み部に搬送し、折り畳み部で内装紙30の折り畳みを行う。
【0053】
図4は、巻き付け部の概略構成図である。同図に示すように、巻き付け部100は、スキッド1が位置決めされて載置される回転ステージ70と、内装紙30の巻き付けをガイドする4本のガイドプレート40と、積載板2に内装紙30を巻き付ける巻き付け装置80と、積載板2の短辺部を押圧する押圧バー50と、積載板2の外周を押圧する押圧ローラ60とで構成されている。
【0054】
回転ステージ70は、図示しない回転駆動手段に駆動されて回転し、その上にセットされたスキッド1を回転させる。
【0055】
ガイドプレート40は、断面が長方形の角柱状に形成されており、図示しない駆動手段に駆動されて前後(図中y方向)、左右(図中x方向)、上下(図中z方向)方向に移動可能に設けられるとともに、回転ステージ70とともに回転可能に設けられている。このガイドプレート40は、内装紙30の巻き付け時、幅広の面が積載板2の短辺と平行になるようにして、積載板2の四隅に垂直に立てられ、内装紙30の巻き付けをガイドする。
【0056】
巻き付け装置80は、パスローラ82を介して図示しない内装紙供給部から供給される帯状の内装紙30の先端を先端ガイド84で把持し、これを回転する積載板2の周面にガイドして、積載板2の周面に内装紙30を巻き付ける。先端ガイド84は、互いに進退移動自在な一対のガイド板84A、84Bで構成されており、この一対のガイド板84A、84Bの間に内装紙30の先端を挟んで内装紙30の先端を把持する。また、この先端ガイド84は、図示しない駆動手段に駆動されて前後(図中y方向)、左右(図中x方向)に移動可能に設けられるとともに、回転ステージ70とともに回転可能に設けられており、所定位置に移動して、把持した内装紙30の先端を積載板2の外周面の所定位置にガイドする。すなわち、積載板2の一方側の長辺部のほぼ中央位置にガイドする。内装紙30は、この状態で回転ステージ70が回転(図中時計回りの方向に回転)することにより、積載板2の周面に巻き付けられる。
【0057】
なお、巻き付けは、巻き初めの部分と巻き終わりの部分とをオーバーラップさせて行われ、巻き付けが完了すると、内装紙30は、図示しない切断装置で巻き終わりの部分が切断される。
【0058】
また、巻き終わりの部分が切断されると、内装紙30は、図示しない接着手段によって巻き初めと巻き終わりのオーバーラップ部分が接着されて、四角い筒状の巻き姿に形成される。
【0059】
ここで、接着は、たとえばホットメルトにより行われ、このホットメルトによる巻き初めと巻き終わり接着中にプレ接着が行われる。
【0060】
一対の押圧バー50は、それぞれ積載板2の短辺とほぼ同じ長さを有する角柱状の棒材で構成されており、回転ステージ70に載置された積載板2を挟んで互いに対向して配置されている。そして、図示しないシリンダに駆動されて、互いに図中y方向に進退移動自在に設けられている。積載板2は、巻き付け装置80による内装紙30の巻き付けが完了すると(回転ステージ70の回転が停止すると)、その短辺部が、それぞれ押圧バー50と対向して配置される。押圧バー50は、この対向して配置された積載板2の短辺部に対して前進し、内装紙30の上から積載板2の短辺部を押圧する。
【0061】
押圧ローラ60は、積載板2の幅とほぼ同じ幅を有するローラで構成されており、アーム62の先端に回転自在に設けられている。アーム62は、図示しない移動手段によって、図中x方向及びy方向に移動自在に設けられており、このアーム62を移動させることにより、押圧ローラ60が、内装紙30の上から積載板2の外周面に押し当てられる。積載板2は、この押圧ローラ60が押し当てられた状態で回転することにより、その外周面を押圧ローラ60が転動し、内装紙30の上から押圧ローラ60に押圧される。この際、押圧ローラ60は、積載板2の周面に倣って移動し、内装紙30を積載板2の周面に常に押し当てるように作用する。
【0062】
以上のように構成された巻き付け装置80による内装紙30の巻き付け手順は、次のとおりである。
【0063】
まず、回転ステージ70の上にスキッド1を位置決めしてセットする。このとき、スキッド1は、その上にセットされた積載板2の短辺が押圧バー50と平行になるように位置決めされて載置される。
【0064】
回転ステージ70の上にスキッド1がセットされると、積載板2の四隅にガイドプレート40がセットされる。この際、各ガイドプレート40は、それぞれ幅広の面が積載板2の短辺と平行になるようにセットされ、積載板2の四隅に垂直に立てられる。
【0065】
ガイドプレート40がセットされると、パスローラ82を介して図示しない供給部から供給された帯状の内装紙30の先端が、巻き付け装置80の先端ガイド84に把持されて、積載板2の一方側の長辺部のほぼ中央位置にガイドされる。
【0066】
先端ガイド84によって内装紙30の先端が、積載板2の一方側の長辺部にガイドされると、回転ステージ70が回転駆動(図4において時計回りの方向に回転駆動)され、積載板2の周面に内装紙30が巻き付けられる。
【0067】
回転ステージ70は一回転して停止し、その回転が停止すると、内装紙30の巻き終わりの部分が、図示しない切断装置によって切断される。そして、その切断された内装紙30の巻き終わりの部分と巻き初めの部分とが、図示しない接着装置によって接着され、内装紙30が四角い枠状の巻き姿に形成される。
【0068】
ところで、回転ステージ70が回転を停止すると、積載板2は、その短辺部が、それぞれ押圧バー50と対向するように配置される。したがって、この状態で押圧バー50を前進駆動することにより、積載板2の短辺部を内装紙30の上から押圧バー50によって押圧することができる。
【0069】
このため、回転ステージ70が回転を停止し、接着装置による接着作業に入ると同時に押圧バー50が前進駆動され、積載板2の短辺部を押圧バー50で押圧する。すなわち、プレ接着する。
【0070】
このように、内装紙30の巻き初めの部分と巻き終わりの部分との接着作業中にプレ接着の処理を行うことにより、全体の処理時間を短縮することができる。
【0071】
押圧バー50による押圧は所定時間行われ、押圧開始から所定時間が経過すると、押圧バー50は、積載板2の短辺部から退避する。そして、この押圧バー50によるプレ接着と、接着装置による内装紙30の巻き初めの部分と巻き終わりの部分の接着とが完了すると、押圧ローラ60が、積載板2の長辺部のほぼ中央位置に押圧当接される。そして、この押圧ローラ60が、積載板2の外周面に押圧当接された状態で回転ステージ70が回転駆動(図4において反時計回りの方向に回転駆動)されることにより、押圧ローラ60が積載板2の外周面を転動し、本接着が行われる。
【0072】
回転ステージ70は一回転して停止し、この後、ガイドプレート40が抜かれて、巻き付けが完了する。
【0073】
なお、上記の実施の形態では、押圧バー50によるプレ接着の完了後、押圧ローラ60を積載板2の長辺部に押圧当接させる構成としているが、押圧バー50による積載板2の短辺部への押し付けと同時に押圧ローラ60を積載板2の長辺部に押圧当接させるようにしてもよい。
【0074】
このような巻き付け部による内装紙30の巻き付け後、スキッドごと平版印刷版の積層束20を折り畳み部に搬送し、内装紙30の折り畳みを行う。
【0075】
なお、平版印刷版の積層束20を折り畳み部に搬送する際、図2(d)に示すように、積載板2に巻き付けた内装紙30の短辺部30Sをあらかじめ内側に折り込んだ状態で折り畳み部に搬送することが好ましい。これにより、内装紙30を安定した姿勢で折り畳み部に搬送することができる。
【0076】
図5は、折り畳み部の概略構成図である。同図に示すように、折り畳み部200は、一対の長辺折り畳み手段202、202と、一対の短辺折り畳み手段204、204とを備えてなる。
【0077】
一対の長辺折り畳み手段202、202は、内装紙30の長辺部30Lとほぼ同じ横幅を有する長方形の板材で構成されており、所定の間隔をもって互いに対向するように配置されている。
【0078】
この一対の長辺折り畳み手段202、202は、それぞれ図示しない駆動手段に駆動されて図中x方向に進退移動自在に設けられており、その間隔を調整可能に設けられている。
【0079】
また、この一対の長辺折り畳み手段202、202は、それぞれ図示しない駆動手段に駆動されて揺動自在に設けられており、内側に揺動することにより、内装紙30の長辺部30L、30Lを内側に折り畳み可能に形成されている。
【0080】
一対の短辺折り畳み手段204、204は、一組の長方形の板材204A、204Bで構成されており、所定の間隔をもって互いに対向するように配置されている。この一対の短辺折り畳み手段204、204は、それぞれ図示しない駆動手段に駆動されて図中y方向に進退移動自在に設けられており、その間隔を調整可能に設けられている。
【0081】
また、この一対の短辺折り畳み手段204、204を構成する一組の板材204A、204Bは、それぞれ図示しない駆動手段に駆動されて揺動自在に設けられており、内側に揺動することにより、内装紙30の短辺部30S、30Sを内側に折り畳み可能に形成されている。
【0082】
また、この一組の板材204A、204Bは、それぞれ図示しない駆動手段に駆動されて図中x方向に移動自在に設けられており、内装紙30の短辺部30S、30Sを折り畳み後、図中x方向に移動することにより、内装紙30に短辺部30S、30Sに折り癖を付ける。
【0083】
以上のように構成された折り畳み部による内装紙30の折り畳み手順は次のとおりである。
【0084】
上記のように、積載板2に内装紙30が巻き付けられた平版印刷版の積層束20は、内装紙30の短辺部30S、30Sが内側に折り込まれた状態で折り畳み部200に搬送される。
【0085】
平版印刷版の積層束20が折り畳み部200に搬送されると、図6に示すように、一対の長辺折り畳み手段202、202が直立状態で内装紙30の長辺部30L、30Lに向けて前進し、その長辺部30L、30Lにあてがわれる。
【0086】
また、一対の短辺折り畳み手段204、204が、その板材204A、204Bを直立させた状態で内装紙30の短辺部30S、30Sに向けて前進し、その短辺部30S、30Sに板材204A、204Bがあてがわれる。
【0087】
長辺部30L、30Lに長辺折り畳み手段202、202があてがわれ、短辺部30S、30Sに短辺折り畳み手段204、204の板材204A、204Bがあてがわれると、短辺折り畳み手段204、204の板材204A、204Bが内側に向けて揺動し、内装紙30の短辺部30S、30Sが内側に折り込まれる。この後、短辺折り畳み手段204、204の板材204A、204Bは、図中x方向に沿って移動し、互いに離れる方向移動する。この結果、内装紙30の短辺部30S、30Sが内側に折り込まれる。
【0088】
内装紙30の短辺部30S、30Sが内側に折り込まれると、短辺折り畳み手段204、204は後退し、内装紙30の短辺部30S、30Sから退避する。
【0089】
この後、長辺折り込み手段202、202が内側に向けて揺動し、この結果、内装紙30の長辺部30L、30Lが折り畳まれる。
【0090】
長辺部30L、30Lが折り畳まれた内装紙30は、その長辺部30L、30Lの先端が互いに重なり合い、この重なり合った長辺部30L、30Lの先端が粘着テープで止められて、包装が完了する。なお、粘着テープの貼着は、折り畳み部200に設置された図示しないテープ貼着手段によって行われる。
【0091】
このように、折り畳み部200では、内装紙30の短辺部30S、30Sの折り畳みを行った後、長辺部30L、30Lの折り畳みを行って、内装紙30の折り畳みを行う。
【0092】
なお、巻き付け部100から折り畳み部200に平版印刷版の積層束20を搬送する搬送手段の構成については、特に限定されないが、巻き付け部100の回転ステージ70を移動可能に構成し、回転ステージごと折り畳み部300に搬送できるようにすることにより、乗せ変え等の手間を省け、効率よく包装処理を行うことができる。
【0093】
この他、自走式の搬送台車で巻き付け部100から折り畳み部200に平版印刷版の積層束20を搬送するようにしてもよいし、フォークリフト等で搬送するようにしてもよい。
【0094】
また、上記実施の形態では、積載板に載置された平版印刷版の積層束を内装紙で包装する場合について説明したが、本発明の適用は、これに限定されるものではなく、たとえば、内装紙で包装された平版印刷版の積層束を積載板の上に複数個集積し、これを更に内装紙で包装する場合にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】スキッド上に集積された平版印刷版の外観図
【図2】本実施の形態の平版印刷版の方法の説明図
【図3】プレ接着の他の実施の形態の説明図
【図4】巻き付け部の概略構成図
【図5】折り畳み部の概略構成図
【図6】折り畳み部における内装紙の折り畳み手順を示す図
【図7】従来の平版印刷版の包装例を示す図
【符号の説明】
【0096】
1…スキッド、2…積載板、10…平版印刷版、20…積層束、30…内装紙、30S…内装紙の短辺部、30L…内装紙の長辺部、32…両面テープ、40…ガイドプレート、50…押圧バー、50a…押圧バー、60…押圧ローラ、62…アーム、70…回転ステージ、80…巻き付け装置、82…パスローラ、84…先端ガイド、84A、84B…ガイド板、100…巻き付け部、200…折り畳み部、202…長辺折り畳み手段、204…短辺折り畳み手段、204A、204B…板材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平版印刷版の積層束が載置された積載板の外周面に接着手段を介して帯状の内装紙を巻き付ける巻き付け工程と、前記積載板に巻き付けられた内装紙の上から前記積載板の外周面に沿って押圧ローラを転動させることにより、前記内装紙を前記積載板の外周面に接着させる接着工程と、前記積載板に巻き付けられた前記内装紙の短辺部と長辺部を内側に折り畳んで密封する折り畳み工程と、からなる平版印刷版の包装方法において、
前記接着工程の前に前記内装紙が巻き付けられた前記積載板に対して外周面の所定箇所を前記内装紙の上から所定の押圧手段で押圧することにより、前記積載板の外周面の所定箇所に前記内装紙をあらかじめ接着させるプレ接着工程を有することを特徴とする平版印刷版の包装方法。
【請求項2】
前記巻き付け工程は、前記積載板に巻き付けられた前記内装紙の巻き初めの部分と巻き終わりの部分とを接合する接合工程を含み、前記プレ接着工程は、前記接合工程中に実施されることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版の包装方法。
【請求項3】
平版印刷版の積層束が載置された積載板の外周面に接着手段を介して帯状の内装紙を巻き付け、該積載板に巻き付けられた内装紙の上から前記積載板の外周面に沿って押圧ローラを転動させることにより、前記内装紙を前記積載板の外周面に接着させた後、前記積載板に巻き付けられた前記内装紙の短辺部と長辺部を内側に折り畳んで密封する平版印刷版の包装装置において、
前記内装紙が巻き付けられた前記積載板に対して外周面の所定箇所を前記内装紙の上から押圧する押圧手段と、
前記押圧ローラによる接着開始前に前記押圧手段が前記積載板の外周面の所定箇所を前記内装紙の上から押圧するように制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする平版印刷版の包装装置。
【請求項4】
前記内装紙は、巻き初めの部分と巻き終わりの部分とを接合して前記積載板の外周面に巻き付けられ、前記制御手段は、前記接合処理中に前記押圧手段が前記積載板の外周面の所定箇所を前記内装紙の上から押圧するように制御することを特徴とする請求項3に記載の平版印刷版の包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−253964(P2007−253964A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−77588(P2006−77588)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】