説明

平衡媒体を確実に保持するための平衡溝を有するカラー・ホイール

【課題】平衡溝を有するカラー・ホイールを提供する。
【解決手段】カラー・ホイールは、中心軸を有してこれを中心に回転するキャリヤを含む。外面および外周が中心軸に沿って回転し、カラー・フィルタ板がキャリヤと同一の中心軸を共有し、キャリヤの外面に環状溝が配置される。溝は、例えば楔形であり、エポキシ等の平衡物質を環状溝に加えてカラー・ホイールを平衡させると、開口が硬化エポキシよりも小さいため、エポキシが硬化後に溝内に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクション・システムで使用するカラー・ホイールに関し、特に、カラー・ホイールを平衡させるためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
カラー・ホイールを平衡させる従来技術は、主に2つの方法を対象としている。第1の方法は、モータまたはキャリヤ上、あるいはカラー・ホイールのキャリヤの溝に接着材料を塗布することである。第2の方法は、カラー・ホイールを平衡させるためにキャリヤに孔を開けることであるが、この第2の方法では、力のかかり具合を制御するのが困難であるため、軸受に損傷を与えやすい。さらに、金属粉または粒子によりカラー・ホイール自体の塗面が汚染されて擦られ、欠陥を生じる。このような従来技術の欠点を解決しようとして、参照により本明細書に組み込まれるHungの米国特許第6747803号は、キャリヤ外面のドリル孔用の位置に環状溝を形成して、カラー・ホイールが不平衡な回転をするときに、接着剤等の平衡材料を、ドリル孔ではなく環状溝に充填して、カラー・ホイールを平衡させる効果を達成するカラー・ホイールを開示している。
【0003】
参照により本明細書に組み込まれるYu他の米国特許第6705733号も、カラー・ホイールと共に回転するワッシャの溝を、接着材料を溝に入れてカラー・ホイールを平衡させる同様の方法で使用するシステムを開示している。
【0004】
キャリヤまたはワッシャのU字溝または平行に切った溝に接着材料を塗布することは、接着材料が溝に残っている限り適切に作用する。しかし、接着材料が、平衡のために使用されるワッシャまたはディスクの回転動による遠心力を受けて、緩んだり溝から外れたりする場合があるため、カラー・ホイールは不平衡なままとなる。
【特許文献1】米国特許第6747803号
【特許文献2】米国特許第6705733号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、溝に塗布された接着性平衡錘が、カラー・ホイールの回転時に溝から外れたり押し出されたりするのを防止する形状の溝を有するキャリヤ・ホイールを提供することである。溝の形状は、カラー・ホイールが回転するあらゆる通常の使用中に、硬化した接着剤を保持するように設計される。
【0006】
本発明の目的は、従来技術に関連する、平衡錘が外れるという問題を、簡単かつ安価に解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、回転中心軸のまわりにカラー・ホイールを回転させるモータと、同一の回転軸を共有する、周囲に溝を有する円形ディスクとを備え、溝の開口を画定する横断面が、底面と、開口に充填される硬化材料が遠心力を受けたときに外れるのを防止する少なくとも2つの非平行面とを有する、カラー・ホイール装置が提供される。
【0008】
本発明によれば、外側リムを有し、所定の横断面形状の内面を持つ溝のあるディスクを駆動するためのモータと、溝内の、ディスクの内側溝面に位置する、カラー・ホイールを平衡させるための硬化平衡錘材料とを備え、溝の横断面では、側壁が非平行であるか、または側壁が、硬化平衡錘材料が溝から落下するのを防止するための領域を有し、開いた溝の端部の幅が溝内の位置の幅よりも小さくなっている、カラー・ホイールがさらに提供される。
【0009】
本発明によれば、外側リムを有し、所定の横断面形状の内面を持つ溝のあるディスクを駆動するためのモータと、溝内の、ディスクの内側溝面に位置する、カラー・ホイールを平衡させるための硬化平衡錘材料とを備え、溝の横断面では、硬化平衡錘材料が溝から外れるのを防止するための当接部が溝内にある、カラー・ホイールがさらに提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図面を参照しながら、本発明の例示的な実施形態について説明する。
【0011】
従来技術の図2は、円形ディスクの形状のキャリヤ11を有するカラー・ホイール1を示す。カラー・フィルタ12がキャリヤ11に取り付けられている。カラー・ホイールが、モータ2により中心軸10を中心に回転するように設置される。平衡接着剤を塗布する面に、環状溝116が配置される。図では、溝は四角のU字溝である。
【0012】
図1は、カラー・ホイール1がモータ11と、カラー・フィルタ12と、ワッシャ13とを含む同様のシステムを示す。カラー・フィルタ12はモータ11に据え付けられる。ワッシャは、カラー・フィルタとモータとの両方に据え付けられる。カラー・フィルタが回転すると、これに伴ってワッシャが回転する。ワッシャ面131は文字aで示された溝を有する。米国特許第6705733号の図3では、溝(文字aで示される)がより詳細に示されており、2つの平行な内面を持つ四角のU字溝となっている。溝がU字形であるため、ホイールが回転すると、溝に接着された接着剤に遠心力が作用して、接着剤が接着されていた面から外れて飛散し、カラー・ホイールの平衡を乱す。
【0013】
図3aおよび3bは、回転中心32を有し、図3bの拡大図に示すように、非平行な内壁を有する溝31を上面に有するロータ30を示す。参照符号34aで示す内壁と34bで示す内壁とは互いに非平行であり、溝の最内面34cは、内壁34a、34bの何れにも非平行である。有利なことに、壁34aが傾斜しているため、溝内の接着剤が硬化するときに、接着剤が溝から外れることがない。傾斜した壁は、接着剤の外れを防止する当接部として働く。壁34cに隣接する接着剤は、内壁34a、34b間の溝の開口または口部が通過させる領域よりも大きな領域を占めているため、接着剤は硬化後に固定され、不注意により落下したり、さらには回転時の遠心力により引き出されたりすることができない。カラー・ホイールがロータの溝切り部の上部に取り付けられ、図1および図2に示す実施形態と同様に、カラー・ホイールが、モータにより駆動されてロータと共に回転するようになっている。種々の他の形状の溝も想定することができ、本発明の精神および範囲を逸脱することはない。例として、図3cは、2つの傾斜した内壁34a、34bが平坦な後壁または底部34cを持つ、より対称な構造を示す。図3b〜3eに示す実施形態のすべてに共通する態様は、接着剤が好ましい位置で溝に充填されて硬化すると、接着剤の接着強度が弱くても、完全に硬化している限り落下することはできない点である。接着剤またはエポキシは、溝により形成された構造内に完全に閉じ込められる。
【0014】
図示したすべての実施形態で、溝の横断面が、底部34cと、開口に充填される硬化材料が遠心力を受けたときに外れるのを防止する、少なくとも2つの非平行面34a、34bとを有する開口を画定する。図3dは、溝が、側面34aと、底面34cと、面34e、34f、34gを含む内面とから形成される実施形態を示す。溝の開口に接着剤が充填されて硬化すると、接着剤が平衡錘を定位置に保持するのに不十分なものであっても、面34fが接着性平衡錘の当接を確実にする手段を提供する。
【0015】
図3eは、硬化エポキシまたは紫外線硬化接着剤の落下防止に適した、内部に複数の溝を有する溝のより複雑な横断面を示す代替実施形態を示す。図3dと同様に、底面34cが示され、面34e、34f、34gを持つ側面が示される。それにもかかわらず、溝の反対側には、部分34j、34kと、これに続く部分34l、34m、34nとに隣接する第1の面34h、第2の面34iがある。溝内に切欠きを設けることにより、接着剤45は、塗布されると、溝の切欠き構造内に固定される。
【0016】
図示し説明した実施形態の各々で、硬化接着剤が完全に外れるのを防止する当接部が溝内にある。これらすべての実施形態において、溝に入れた平衡錘材料の接着強度が弱くても、材料は硬化後に溝に残る。
【0017】
要約すると、本発明は、カラー・ホイールもしくはその取付台、またはカラー・ホイールと共に移動するワッシャの外周の溝を提供し、溝が、接着剤の接着強度が弱くても、接着剤、例えばエポキシもしくは紫外線硬化接着剤等の硬化平衡錘材料が溝から外れるのを防止する形状を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】平衡接着剤を受ける溝を持つワッシャを有する従来技術のカラー・ホイールを示す図である。
【図2】平衡錘接着剤を受けるキャリヤの溝を有する従来技術のカラー・ホイールを示す図である。
【図3】図3aは、回転中心の周りに取り付けられたキャリヤを持つロータが、非平行な内側壁を持つ溝を外周に有する、本発明の実施形態によるカラー・ホイールの側面図である。図3bは、非平行な内壁を示す、キャリヤの溝の拡大図である。図3cは、溝の横断面が楔形である代替実施形態の図である。図3dは、横断面が、溝の口部または開口よりも大きな開口を溝の底部に有する代替実施形態の図である。図3eは、切欠き部が、エポキシ等の硬化接着剤を保持する当接部を提供する、より複雑な横断面を示す代替実施形態の図である。
【符号の説明】
【0019】
1 カラー・ホイール
11 モータ
12 カラー・フィルタ
13 ワッシャ
30 ロータ
31 溝
32 回転中心
34a、34b 内壁
34c 底面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転中心軸のまわりにカラー・フィルタを回転させるモータと、前記カラー・フィルタと同一の回転軸を共有する周囲に溝を有する円形ディスクとを備え、前記溝の開口を画定する横断面が、底面と、前記開口に充填される硬化材料が前記円形ディスクが回転したときに外れるのを防止する少なくとも2つの非平行面とを有する、カラー・ホイール。
【請求項2】
前記2つの非平行面の一方が前記底面に対して直角であり、前記2つの非平行面の他方が前記底面に対して90度以外の角度である、請求項1に記載のカラー・ホイール。
【請求項3】
前記開口の幅が前記底面の幅よりも小さい、請求項1に記載のカラー・ホイール。
【請求項4】
前記溝の前記横断面が、前記開口内に突出する1つまたは複数の突出部を有する、請求項1に記載のカラー・ホイール。
【請求項5】
前記溝の前記横断面が、前記開口よりも寸法の小さい1つまたは複数の溝穴を前記開口内に有する、請求項1に記載のカラー・ホイール。
【請求項6】
前記溝が、溝のある少なくとも1つの内壁を有する、請求項1に記載のカラー・ホイール。
【請求項7】
所定の横断面形状の内面を持つ溝のある外側リムを有する、モータにより駆動可能なディスクと、
前記ディスクの溝内に位置する、カラー・ホイールを平衡させるための硬化平衡錘材料であって、前記溝の前記横断面では、硬化平衡錘材料が前記溝から外れるのを防止するための当接部が前記溝内にある、硬化平衡錘材料と、
前記モータにより駆動されて前記ディスクが回転するときに回転するように取り付けられた、1つまたは複数のカラー・フィルタとを備え、
前記溝が非平行な内側壁を有するカラー・ホイール。
【請求項8】
前記溝が内側壁を有し、前記側壁の少なくとも一方に溝が画定される、請求項7に記載のカラー・ホイール。
【請求項9】
前記内側壁の溝が当接部を形成する、請求項8に記載のカラー・ホイール。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−178402(P2006−178402A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−244889(P2005−244889)
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(502151820)ジェイディーエス ユニフェイズ コーポレーション (90)
【氏名又は名称原語表記】JDS Uniphase Corporation
【住所又は居所原語表記】1768 Automation Parkway,San Jose,California,USA,95131
【Fターム(参考)】