説明

平面式半導体指紋検出装置

【課題】特殊なモジュール及び従来の封止方法を必要としない平面式半導体指紋検出装置を提供する。
【解決手段】平面式半導体指紋検出装置において、複数の指紋検出素子はシリコン基板上に設置され、その上方に置いた指の紋様を読み取り、複数の電気信号を生成する。積層回路は、基板上に生成され、電気信号を処理する。複数の第一ボンディングパッドは基板上に位置し、且つ集積回路に電気的に接続されている。第一絶縁層は、第一ボンディングパッドの下方に位置する。複数の貫通電極は、基板を貫通し、且つそれぞれ第一ボンディングパッドに電気的に接続されている。第二絶縁層は、基板上に及び貫通電極と基板の間に形成されている。複数の第二ボンディングパッドは、第二絶縁層の背面に形成され、電極により第一ボンディングパッドにそれぞれ電気的に接続されている。保護層は、基板上に位置し、指紋検出素子を覆蓋することにより、平坦の外表面を形成し、指に接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指紋検出装置に関し、特に平面式半導体指紋検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の指紋読み取り方法は、最古のものでは、指に墨をつけて、紙上に押し圧し、更に、光学スキャナによりコンピュータに入力し、データベース中の指紋パターンと比較するものである。しかし、最大の欠点は、リアルタイム処理が達成できないので、例えば、ネットワーク認証、電子ビジネス、携帯電子機器、ICカードの身分認証、セキュリティシステム等ますます多くなるリアルタイム認証の需要を満足できなくなっている。
【0003】
リアルタイム指紋読み取り方法は生体認証市場において重要な技術となっている。従来のリアルタイム指紋読み取りは光学方式であり、アメリカ特許番号4,053,228及び4,340,300を参考すれば、体積が大きくなり、且つ偽造のイメージにより騙され易いことが欠点であった。
【0004】
このため、シリコン系半導体の指紋検出装置が主流になり、上記光学式の欠点を克服した。シリコン積層回路の製造工程を考慮すると、コンデンサ式又は他のフィールド式指紋読み取りチップが最も直接且つ簡単な方法である。
【0005】
図1は、従来のシリコン系半導体指紋検出装置の図である。図1に示されるように、シリコン系半導体指紋検出装置100は、パッケージ基板110、指紋センサ120、複数の接続線130及び封止層140を有する。指紋センサ120は、パッケージ基板110上に位置する。接続線130は、指紋センサ120の複数のボンディングパッド122をパッケージ基板110の複数のボンディングパッド112へ電気的に接続する。
【0006】
従来の指紋検出装置は、封止過程において制限がある。それは、指紋のイメージを検出するために、指と接触する表面が外に露出しなければならない。従って、封止過程において、特殊なモジュール及び軟質材料層により、指紋検出チップの検出面を保護しなければならず、又、図1の両側が示しているように、封止完了後の製品の両側又は周辺は検出面部の中間よりも高くなっている。
【0007】
以上の理由により、従来の指紋検出装置の封止コストは高く、且つ特殊な機械を使用する必要があった。更に、指紋検出チップの外表面は外に露出する必要があるので、静電放電ロバスト性及び耐衝突性が低下し、製品を使用する上で不便であり、製品の寿命が短縮してしまう。
【0008】
図2は、図1の指紋検出装置の応用図である。図2に示すように、指紋センサ100は、ノート型パソコン上に設置されており、指紋検出及びカーソルを制御する装置となっており、指の移動を検出することにより、モニターのカーソルの移動を制御できる。図1の指紋センサの上表面は完全に平面ではないので、ノート型パソコンに特殊な滑動路200を設計する必要がある。それでもなお、指のスライド移動(特に図1の左右方向のスライド移動)は両側の突起部により制限され、ユーザーは思うようにマウスカーソルが制御できない。
【0009】
従って、本発明は、特殊なモジュール及び従来の封止方法を必要としない平面式半導体指紋検出装置を提供することが、本発明が実現する解決方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許番号第4,053,228号
【特許文献2】米国特許番号第4,340,300号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、完全に平坦な検出表面を有し、且つその体積が有効的に縮小できる平面式半導体指紋検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明は、平面式半導体指紋検出装置を提供し、シリコン基板、複数の指紋検出素子、積層回路、複数の第一ボンディングパッド、第一絶縁層、複数の貫通電極、第二絶縁層、複数の第二ボンディングパッド及び保護層を少なくとも有する。シリコン基板は正面及び背面を有する。前記複数の指紋検出素子は、シリコン基板の正面に設置され、その上に置かれた指の紋様を読み取り、複数の電気信号を生成する。前記積層回路は、シリコン基板の正面に形成され、前記複数の電気信号を処理する。前記複数の第一ボンディングパッドは、シリコン基板の正面上に位置し、且つ前記積層回路に電気的に接続される。第一絶縁層は、前記複数の第一ボンディングパッドの下方に位置する。前記複数の貫通電極は、シリコン基板を貫通し、それぞれ前記複数の第一ボンディングパッドに電気的に接続される。第二絶縁層は、シリコン基板の背面上及び前記複数の貫通電極とシリコン基板との間に形成される。前記複数の第二ボンディングパッドは、第二絶縁層の背面に形成され、前記複数の第二ボンディングパッドは、それぞれ、前記複数の貫通電極により前記複数の第一ボンディングパッドに電気的に接続される。保護層は、シリコン基板の正面に位置し、前記複数の指紋検出素子を覆蓋することにより、平坦な外表面を形成して、指と接触する。
【0013】
本発明の指紋検出装置により、工業設計を有効に簡易化でき、ユーザーの操作において更に制限をなくし、且つ指紋検出装置の体積及び面積を有効に縮小できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来の指紋検出装置の概略図である。
【図2】図1の指紋検出装置の応用図である。
【図3】本発明の第一実施形態の指紋検出装置の一部の立体図である。
【図4】本発明の第一実施形態の指紋検出装置の立体図である。
【図5】本発明の第二実施形態の指紋検出装置の立体図である。
【図6】本発明の各実施形態の積層回路のブロック図である。
【図7】本発明の各実施形態の指紋検出装置の応用図である。
【図8】本発明の各実施形態の指紋検出装置の別の応用図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の上記内容を更に理解しやすいように、以下に実施例を挙げ、図面をあわせて、詳細に説明する。
【0016】
図3は、本発明の第一実施形態の指紋検出装置の一部の立体図である。図4は、本発明第一実施形態の指紋検出装置の立体図である。図3及び図4に示されるように、本実施形態の平面式半導体指紋検出装置1は、少なくとも、シリコン基板10、複数の指紋検出素子15、積層回路20、複数の第一ボンディングパッド30、第一絶縁層40、複数の貫通電極50、第二絶縁層60、複数の第二ボンディングパッド70及び保護層80を有する。
【0017】
シリコン基板10は、正面10F及び背面10Bを有する。前記複数の指紋検出素子15は、シリコン基板10の正面10Fに設置され、その上方に置かれた指Fの紋様を読み取って、複数の電気信号を生成する。前記積層回路20は、シリコン基板10の正面10Fに形成され、前記複数の電気信号を処理する。前記複数の第一ボンディングパッド30は、シリコン基板10の正面10F上に位置し、且つ前記積層回路20に電気的に接続される。前記積層回路20の全体又は一部が、前記複数の指紋検出素子15の直下方又は周囲に形成される。
【0018】
第一絶縁層40は、前記複数の第一ボンディングパッド30の下方に位置する。本実施形態において、第一絶縁層40の材料は、二酸化ケイ素又はその他の誘電性材料又は高分子絶縁材料を含む。
【0019】
前記複数の貫通電極50は、シリコン基板10の両面及び第一絶縁層40を貫通して、それぞれ前記複数の第一ボンディングパッド30に電気的に接続される。
【0020】
第二絶縁層60は、シリコン基板10の背面10B上に形成され、且つ前記複数の貫通電極50とシリコン基板10との間に側壁を形成する。第二絶縁層60の材料は、二酸化ケイ素、その他の誘電性材料又は高分子絶縁材料を含む。前記複数の第二ボンディングパッド70は、第二絶縁層60の背面60Bに形成され、前記複数の第二ボンディングパッド70は、それぞれ、前記複数の貫通電極50により前記複数の第一ボンディングパッド30に電気的に接続される。電気的に連結する媒体は複数の接続線であってもよく、標準の半導体製造工程技術により第二絶縁層60上に形成される。
【0021】
保護層80は、シリコン基板10の正面10F上に位置し、前記複数の指紋検出素子15を覆蓋することにより、平坦な外表面2を形成して、指Fに接触する。保護層80は、更に、前記積層回路20及び前記複数の第一ボンディングパッド30を一部又は完全に覆蓋してもよい。指の油汚れや水分が残留しないように、保護層の材料は、更に、ナノ高分子材料やセラミックス材料などのような疎水性及び疎油性の特性を有してもよい。本実施形態では、ポリイミド(Polyimide)、エポキシ樹脂(EPoxy)又は、ダイヤモンド状炭素(DiAmond-like CArBon,DLC)であり、これら材料と水の接触角は60度以上であるのが好ましい。
【0022】
図5は、本発明の第二実施形態の指紋検出装置の立体図である。図5に示すように、本実施形態は、第一実施形態に類似しており、本実施形態の平面式半導体指紋検出装置1は、更に複数のはんだバンプ90を有し、それぞれ前記複数の第二ボンディングパッド70に電気的に接続され、且つ前記複数の第二ボンディングパッド70の複数の背面70Bに位置する点が異なる。
【0023】
図6は、本発明の各実施形態の集積回路のブロック図である。図6に示されるように、前記集積回路20は、少なくとも、増幅器22、アナログ/デジタルコンバータ23、処理回路24、入力/出力インターフェース25及び制御回路21を有する。増幅器22は、前記複数の指紋検出素子15に電気的に接続され、前記複数の指紋検出素子が出力する前記複数の電気信号を増幅する。アナログ/デジタルコンバータ23は、増幅器22に電気的に接続され、アナログ信号をデジタル信号に変換する。処理回路24は、アナログ/デジタルコンバータ23に電気的に接続され、前記デジタル信号を処理する。前記処理回路24の主要機能は、入力されたデジタル信号を、例えばイメージのコントラストを強化したり、又は、連続的な出力信号を関連的な処理をしたり、又は、複数の断片的なイメージを蓄積して完全な指紋のイメージを記憶する等のイメージの前処理をする。入力/出力インターフェース25は、処理回路24に電気的に接続され、処理済みのデジタル信号を出力する。制御回路21は、前記複数の指紋検出素子15、増幅器22、アナログ/デジタルコンバータ23、処理回路24及び入力/出力インターフェース25に電気的に接続され、前記複数の指紋検出素子15、増幅器22、アナログ/デジタルコンバータ23、処理回路24及び入力/出力インターフェース25の操作を行う。
【0024】
図7は、本発明の各実施形態の指紋検出装置の応用図である。図7に示されるように、本指紋検出装置は、ノート型パソコンに設置される。指紋検出装置は、全体が平面な検出表面を有しているので、ノート型パソコンのステージに特殊な滑動路を設計する必要がなく、指のスライド方向は制限を受けずにスムーズに行える。
【0025】
図8は、本発明の各実施形態の指紋検出装置の別な応用図である。図8に示されるように、指紋検出装置1は、携帯電話3に設置してもよく、表示装置3A上のカーソル3Bの誘導機能を提供する。指Fのスライド移動により、カーソル3Bをカーソル3Cに移動することができる。指紋検出装置は特殊な滑動路を設計する必要がないので、指を全ての方向へ移動しても制限を受けずにスムーズに行える。
【0026】
本発明一実施例装置の別の長所は、PCB上に取付けられる時、それが占める面積は小さく、検出チップ回路全体の実際の面積にほぼ等しい。これは、現在電子製品を小型化していく上で重要なことであり、つまり、本発明の装置は、貫通電極の設計により、シリコン基板の正面を指接触検出面と設計し、シリコン基板背面の設計をPCB組み立ての接触面と設計したので、小型電子機器(携帯電話など)に応用するのに最適である。
【0027】
従って、本発明一実施例の指紋検出装置は少なくとも以下の長所の一つを有する。第一は、指紋検出装置は工業設計を有効に簡易化することができる。第二に、全平面の指紋検出装置により、ユーザーの操作は更に制限を受けずにすむ。第三は、指紋検出装置の体積及び面積が有効に縮小することができる。第四は、貫通電極の設計により、検出装置のウェハ規模の封止が実現でき、多くの材料及びコストを浪費する従来のモジュール封止が必要ない。
【0028】
実施形態の詳細な説明における具体的実施例は本発明の技術内容を容易に理解させるためにあるのであって、本発明を実施例に狭義的に制限するものではない。本発明の本質及び以下の特許請求の範囲を超えていない場合、変更を行っても、いずれも本発明の範囲に属する。
【符号の説明】
【0029】
F:指
1:指紋検出装置
2:外表面
3:携帯電話
3A:表示装置
3B:カーソル
3C:カーソル
10:シリコン基板
10B:背面
10F:正面
15:指紋検出素子
20:積層回路
21:制御回路
22:増幅器
23:アナログ/デジタルコンバータ
24:処理回路
25:入力/出力インターフェース
30:第一ボンディングパッド
40:第一絶縁層
50:貫通電極
60:第二絶縁層
70:第二ボンディングパッド
70B:背面
80:保護層
90:はんだバンプ
100:指紋検出装置
110:封止基板
112:ボンディングパッド
120:指紋検出器
122:ボンディングパッド
130:接続線
140:保護層
200:滑動路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面式半導体指紋検出装置であって、
正面及び背面を有するシリコン基板と、
前記シリコン基板の前記正面に位置し、上方に置かれた指の紋様を読み取って複数の電気信号を生成する複数の指紋検出素子と、
前記シリコン基板の前記正面に形成され、前記複数の電気信号を処理する集積回路と、
前記シリコン基板の前記正面上に位置し、且つ前記集積回路と電気的に接続される複数の第一ボンディングパッドと、
前記複数の第一ボンディングパッドの下方に位置する第一絶縁層と、
前記シリコン基板及び前記第一絶縁層を貫通し、前記複数の第一ボンディングパッドにそれぞれ電気的に接続されている複数の貫通電極と、
前記シリコン基板の前記背面上、及び前記貫通電極と前記シリコン基板の間に形成される第二絶縁層と、
前記第二絶縁層の背面に形成され、前記複数の貫通電極によって前記複数の第一ボンディングパッドにそれぞれ電気的に接続されている複数の第二ボンディングパッドと、
前記シリコン基板の前記正面上に位置し、且つ前記複数の指紋検出素子を覆蓋することにより平坦な外表面を形成して指と接触するための保護層と、
を有することを特徴とする平面式半導体指紋検出装置。
【請求項2】
前記複数の第二ボンディングパッドにそれぞれ電気的に接続され、且つ前記複数の第二ボンディングパッドの複数の背面に位置する複数のはんだバンプを更に有することを特徴とする請求項1に記載の平面式半導体指紋検出装置。
【請求項3】
前記保護層は、前記積層回路及び前記複数の第一ボンディングパッドを更に覆蓋することを特徴とする請求項1に記載の平面式半導体指紋検出装置。
【請求項4】
前記集積回路は、
前記複数の指紋検出素子に電気的に接続される増幅器と、
前記増幅器に電気的に接続されるアナログ/デジタルコンバータと、
前記アナログ/デジタルコンバータに電気的に接続される処理回路と、
前記処理回路に電気的に接続される入力/出力インターフェースと、
前記複数の指紋検出素子、前記増幅器、前記アナログ/デジタルコンバータ、前記処理回路及び前記入力/出力インターフェースに電気的に接続され、その操作を制御する制御回路と
を有することを特徴とする請求項1に記載の平面式半導体指紋検出装置。
【請求項5】
前記平坦な外表面と水の接触角が60度以上であることを特徴とする請求項1に記載の平面式半導体指紋検出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−175505(P2011−175505A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−39759(P2010−39759)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(510052584)神盾股▲ふん▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】