説明

幾何学的エンド・エフェクタ・システム

【課題】ロボット上で使用するための幾何学的エンド・エフェクタ・システムを提供すること。
【解決手段】このシステムは、プラットフォーム12およびプラットフォームに固定されているフレーム14を含む。少なくとも1つの基部16が、フレーム上の所定の位置に配置されている。また、システムは、基部に固定されているアンカー・マウント20、およびカラー組立体40によりアンカー・マウントの端部に接続している構成要素64を有する。キーは、構成要素とアンカー・マウントとの間に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ロボットおよび製造システムに関し、特にロボットと一緒に使用するためのモジュラ幾何学的エンド・エフェクタ・システムに関する。
【背景技術】
【0002】
組立システムで使用するためのエンド・エフェクタは、多年にわたって従来技術において周知のものである。一般に、多くの自動組立システムにおいては、組立てまたは加工中の製品に対して製造、仕上げまたは他の中間ステップを行うことができるように、特定の位置に構成要素および部品を保持し、設置するためにデバイスが使用される。これらの自動組立システムは、一般に、手動による介入に対するニーズを最小限度に低減または除去する多くのロボットを使用しているので、関連する労働および部品のメーカーへのコストが低減する。このような自動システムで使用し、製造する構成要素は、通常、そのすべてが従来技術において周知であるアームまたはリストにより、ロボットにより製造され、移動される。これらの方法のうちのいくつかは、ロボット・アームの端部に取り付けられていて、特定の部品を入手するエンド・エフェクタを有する。この場合、エンド・エフェクタは、作業中この部品を離すか、または部品に対して実際の動作を行っている時に部品を予め指定した位置にしっかりと保持する。他の方法は、他のロボットが保持している部品または所定の位置に位置する他の構成要素に対して実際に作業を行うためにツールを保持するロボット・アームまたはリストを含む。
【0003】
多くのこれらの従来技術のロボット・システムは、作業片または材料を特定の作業ステーションのところで、またはロボット機構等によりある作業ステーションから他の作業ステーションへ連続的に持ち上げ、移送し、下降させ、または位置させることができる複数の構成要素を有するロボット・セルを使用する。これらの従来技術の組立の場合には、1つのロボット・セル内で接続しているこれらの構成要素の多くを、その加工のために所定の位置に移動および/または保持されている作業片に対して正確に整合させなければならない。このように正確に整合させるには、このようなロボットが保持しているロボット構成要素を確実に効果的に整合するために、製造ラインを停止させなければならない。さらに、複数の構成要素を有するこれらの従来技術のロボット・セル・システムの多くは、製造環境においてロボット・セルが再度作業を開始することができるように、構成要素を完全に除去し、置換し、修理することができるようにするために、製造ラインを停止しなければならない製造環境内の環境災害により衝突したり、整合ズレを起こしたり、汚染したりする恐れがある。それ故、従来技術において多重構成要素ロボット・エンド・エフェクタ組立体を使用する場合には、多くの近代の製造環境において必要とされる正確な位置決めを確実に行うために高度の保守と長い停止時間が必要になる。さらに、これら従来技術のシステムの多くは、エンド・エフェクタの端部上のクランプ、ピン等のような構成要素を正しく整合するために、これら構成要素を保持している部品を何回も調整しなければならないので、製造ラインの停止時間およびこのような手動調整を行うために必要な労働コストが高くなる。
【0004】
それ故、この業界においては、ロボット・アーム、リスト等のエンド・エフェクタ上のロボット・セルに接続している各構成要素を置換し修理するためのコスト・パフォーマンスのよい方法を提案する改良形モジュラ幾何学的エンド・エフェクタ・システムが求められている。また、この業界においては、製造ラインの生産停止時間を短縮する幾何学的エンド・エフェクタ・システムも求められている。また、この業界においては、第2のエンド・エフェクタを使用しなくてもすみ、そのため効率的で正確な方法で、製造ラインを動作するために必要なロボットの数を低減することにより、製造コストを低減する改良形幾何学的エンド・エフェクタ・システムも求められている。また、この業界においては、製造プラント内の所定の点に対して、その上での作業中に適切な位置に部品を整合し、保持するために、溶接ステーションまたはドッキング固定具とドッキングする改良形エンド・エフェクタ・システムも求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の1つの目的は、改良形ロボットエンド・エフェクタ・システムを提供することである。
【0006】
本発明のもう1つの目的は、ロボット用途の際に使用するためのモジュラ幾何学的エンド・エフェクタ・システムを提供することである。
【0007】
本発明のさらにもう1つの目的は、製造停止時間を短縮し、製造ライン上で使用している複数のエンド・エフェクタを必要としないロボット・エンド・エフェクタ・システムを提供することである。
【0008】
本発明のさらにもう1つの目的は、この業界において周知の標準プラットフォームまたはアプリケーション駆動プラットフォームに装着することができるモジュラ幾何学的エンド・エフェクタ・システムを提供することである。
【0009】
本発明のさらにもう1つの目的は、製造環境においてスラグおよび他の汚染物に耐性を有する溶接スラグである幾何学的エンド・エフェクタ・システムを提供することである。
【0010】
本発明のさらにもう1つの目的は、重量比に高い強度を与える高品質材料から形成される構成要素を含む幾何学的エンド・エフェクタ・システムを提供することである。
【0011】
本発明のさらにもう1つの目的は、容易に構成することができ、迅速にクラッシュ等から回復するモジュラ構成要素を有する幾何学的エンド・エフェクタ・システムを提供することである。
【0012】
本発明のさらにもう1つの目的は、予測可能な衝突破断点を有するモジュラ幾何学的エンド・エフェクタ・システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明によるモジュラ幾何学的エンド・エフェクタ・システムを開示する。モジュラ幾何学的エンド・エフェクタ・システムは、フレームに接続しているプラットフォームを含む。フレームは、フレーム上の所定の位置に配置されている複数の基部を含む。また、幾何学的エンド・エフェクタ・システムは、固定具により基部のうちの少なくとも1つに固定されているアンカー・マウントを含む。ブームまたは他の構成要素は、カラー組立体によりアンカー・マウントに接続している。十字キーは、カラー組立体によりその間で接続を行った後で、部品間で決して回転が起こらないように、ブームとアンカー・マウントの間に配置されている。アンカー・マウントは、フランジに隣接して予め応力をかけた領域を有する。また、フランジは、相互に90度の間隔で配置されている4つの溝を含む。十字キーは、フレームに対して構成要素が必ず正確に位置決めされるように、構成要素およびアンカー・マウント上の各フランジの溝内に配置されている。
【0014】
本発明の1つの利点は、本発明が改良形モジュラ幾何学的エンド・エフェクタ・システムを提供することができることである。
【0015】
本発明のもう1つの利点は、本発明が、製造ラインの生産停止時間を短縮することができることである。
【0016】
本発明のさらにもう1つの利点は、本発明を使用すれば、製造ライン上のロボット・セル内でバックアップ・エンド・エフェクタ・システムを使用しないですむことである。
【0017】
本発明のさらにもう1つの利点は、本発明が、エンド・エフェクタ・システムに接続している構成要素の予測できる衝突破断点を有することができることである。
【0018】
本発明のさらにもう1つの利点は、本発明が、容易に構成することができ、クラッシュまたは他の停止時間状況から迅速に回復するモジュラ構成要素を有するエフェクタ・システムを提供することができることである。
【0019】
本発明のさらにもう1つの利点は、本発明が、ロボット製造ラインでいくつかのプラットフォームによる方法を提供することができることである。
【0020】
添付の図面を参照しながら下記の説明および添付の特許請求の範囲を読めば、本発明の他の目的、機能および利点を理解することができるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図面を参照すると、図面は本発明によるモジュラ幾何学的エンド・エフェクタ・システム10である。幾何学的エンド・エフェクタ・システム10は、ロボット・アームおよびロボット・リスト、および/または製造ロボットの環境内で製品を加工し、または保持するために使用するロボットとエンド・エフェクタ・システム10の間の他のタイプの接続を含むロボットの一部である。幾何学的エンド・エフェクタ・システム10は、任意の周知のロボットに接続する大きさにすることができ、また幾何学的エンド・エフェクタ・システム10は、ロボット組立ラインで組立て中または加工中の任意の製品をピックアップし、保持することができる大きさにすることもできる。より詳細に説明すると、この組立体は、自動車製造組立ラインで使用することができる。幾何学的エンド・エフェクタ・システム10は、ある位置から他の位置に加工中の製品または作業片を移動し、次に解放するために使用することができることに留意されたい。また、幾何学的エンド・エフェクタ・システム10は、他のロボットまたは機械が幾何学的エンド・エフェクタ・システム10が保持している製品に対して作業を行っている間に、所定の位置に製品を移動しおよび製品を保持するために使用することができることにも留意されたい。所定の位置における作業片または製品の移動、加工または保持の任意の組合わせを、本発明の幾何学的エンド・エフェクタ・システム10と一緒に使用することができる。作業片の加工が終了した後で、幾何学的エンド・エフェクタ・システム10を、製品を他のロボットまたは人間がそれに対して作業を行うことができるもう1つの作業ステーションまたはもう1つの保管エリアに移動するために使用することができる。
【0022】
図1〜図9は、本発明による幾何学的エンド・エフェクタ・システム10のある実施形態である。エンド・エフェクタ10は、鋼鉄でできていることが好ましいプラットフォーム12を含むが、任意の他のタイプの金属、プラスチック、セラミックまたは複合材もプラットフォーム12を作るために使用することができることに留意されたい。プラットフォーム12は、任意の周知のロボット・アーム、ロボット・リスト等と嵌合するためのそこを貫通する種々のオリフィスを含む。プラットフォーム12は、そこを貫通するオリフィスを含むプレート、円形、四角形、三角形、または任意の他の形のプレート、またはロボットの端部に接続するための周知の任意の他のタイプのプラットフォームのような任意の周知の形のものであってもよい。プラットフォーム12は、任意の周知の固定技術、すなわち、鋼鉄材料でできていることが好ましいフレーム14への化学的、機械的固定技術等により取り付けられる。しかし、フレーム14は、任意の他の周知の金属、プラスチック、セラミック、複合材、天然材料等のような任意の他の周知の材料から作ることができることに留意されたい。フレーム14は、任意の周知の形をとることができる。この形状は、ロボット・セルを使用する環境により異なる。フレーム14を使用すれば、1本のロボット・アームが、その上での作業のためにまたは製造環境内でのステーション間の移動のために、いくつかの機能を行い、複雑な幾何学的部品を保持することができるように、複数の構成要素をそれに接続することができる。各フレーム14は、それに固定されている複数の基部部材16を有する。基部部材16は、溶接、固定等のような任意の周知の機械的または化学的接着技術によりフレーム14に固定される。各基部部材16は、その上の所定の位置に配置されている複数のオリフィス18を有する。図の実施形態の場合には、オリフィス18は、その各端部の近くまたは各端部に沿って配置されている。オリフィス18のうちのいくつかにネジ山を切ることができるし、オリフィスのうちのいくつかにネジ山を切らないでおくこともできる。しかし、ある実施形態の場合には、すべてのオリフィス18にネジ山を切ることもできるし、他のある実施形態の場合にはオリフィス18のどれにもネジ山を切らないでおくこともできる。基部16は、一般に、所定の厚さを有する矩形の形をしている。図の実施形態の場合には、3つのオリフィス18が基部16の各端部のところまたは近くに配置されている。設計要件およびフレーム14上の基部部材16に対して使用することができるスペースにより、基部部材16に対して任意の周知の形を使用することができることに留意されたい。基部部材16は、一般に、鋼鉄材料から作られるが、ロボット・セルおよびこのようなロボットを使用する環境により、任意の他の金属、プラスチック、セラミック、複合材等を基部部材16用に使用することができることに留意されたい。また、フレーム20は、その端部のところでまたは近くに配置されている位置決めボール70を含むこともできる。また、少なくとも1つの停止パッド72をフレーム20の各端部上の位置決めボール70の近くに配置することもできる。図の実施形態の場合には、2つの停止パッド72が各位置決めボール70に隣接して配置されている。位置決めボール70により、エンド・エフェクタ・システム10を、ロボット製造ライン内のドッキング固定具または溶接スタンド内の所定の位置に正しく正確に整合し、保持することができる。位置決めボール70により、システム10により保持されている作業片が、非常に厳密な許容誤差および高品質の製造部品を確実に得られるように、他のロボット、溶接装置等により加工されるように、プラント内の理想的な位置に確実に設置される。
【0023】
アンカー・マウント20は、基部部材16に固定されている。ロボット・エンド・エフェクタ・システム10のフレーム14に接続される構成要素により、アンカー・マウント20をロボット・エンド・エフェクタ・システムのフレーム14上の、または今選択した基部部材16上のすべての基部部材16に固定することができることに留意されたい。アンカー・マウント20は、一般に、基部部材16の形に似ている基部22を有する。この実施形態のアンカー・マウント基部22は、一般に、所定の厚さを有する矩形の形をしている。複数のオリフィス24が、フレーム基部部材16内のオリフィス18と整合し、嵌合するために、アンカー・マウント基部22を貫通して配置されている。そこから延びる円筒状部材26が、一般に、その1つの側面上のアンカー・マウント基部22の中点から延びている。円筒状部材26は、溶接等のような任意の周知の固定技術によりアンカー・マウント基部22の表面に固定されているか、または1つの部材として基部22と一緒に鋳造されているか、または押出し部として作られているか、または機械加工された円筒状部材26を有するものと見なされる。周方向のカップリング・フランジ28が、円筒状部材26の一方の端部のところに配置されている。フランジ28は、その中点を貫通する所定のサイズの口径またはオリフィスを有する所定の直径を有する。複数のスロット30がカップリング・フランジ28の端面上に配置されている。スロット30は、フランジ28の面の方向に所定の距離だけ延びる。スロット30は、複数のスロット30間に任意の角度が形成されるように面上に配置されている。図の実施形態の場合には、4つのスロット30がフランジ28の面内に位置する。スロット30は、フランジ28のリング状の面の周囲に90度の間隔で配置されている。アンカー・マウント20は、破断点32が、一般に、フランジ28と円筒状部材26が交叉する場所に形成されるように設計される。フランジ28と円筒状部材26間のこの交叉点32は、アンカー・マウント20に対する破断点32のところで使用する材料の厚さを厚くしたり、または薄くしたりすることにより設計することができる。材料を少なくすると、そこを貫通するもっと厚い材料の断面を有する破断点32のそれより小さな力で破断する破断点32ができる。フランジ28と円筒状部材26との間の交叉部分に刻み目を入れたり、予め応力をかけたり、そこに沿って複数の刻み目を入れたり、その周囲に複数のオリフィスを配置したり、異なる材料を使用したりするような破断点32を生成する他の方法、またはアンカー・マウント20に接続していて、エンド・エフェクタ・システム10内に位置する他の構成要素と比較した場合、特定の弱い力で破断する破断点32を生成する任意の他の可能なまたは周知の方法も考えられる。破断点32は、所定の力が、ロボットとエンド・エフェクタ・システム10が保持している構成要素との間のアンカー・マウント20に接続している他のすべての構成要素に対してアンカー・マウント20を破断する特定の点を生成する。
【0024】
アンカー・マウント20は、ロボット・エンド・エフェクタ・フレーム14に対してアンカー・マウント20を確実に適切に整合し、位置決めするために、ツーリング・ボールまたは類似の測定デバイスを、その中に挿入することができる、その表面内に校正オリフィス34を含むこともできる。アンカー・マウント20は、溶接スラグ耐性アルミニウム材料、特にアルミニウム7075−T6で作ることが好ましいことに留意されたい。しかし、設計要件およびエンド・エフェクタ・システム10を使用する環境により、任意の他の金属、プラスチック、セラミック、複合材または天然材料もアンカー・マウント20用に使用することができることに留意されたい。
【0025】
ブーム36および/または接合部材38は、カラー組立体40によりアンカー・マウント20に固定することができる。ブーム36は、一般に、その縦方向の全長を貫通する口径を有する円筒状をしている。ブーム36は、一般に、その両端部上に円形カップリング・フランジ42を含む。ブーム36は、エンド・エフェクタ・システム10内で必要とされる任意の長さまたはもっと長い長さを有することができる。ブーム36は、付属部材を1つのブーム36に装着することができるように、または、複数のブーム36を安全ハーネス等により、それに接続している構成要素またはアンカー・マウント20に接続することができるように、所定の位置に予め配置されている複数のオリフィス44を含む。オリフィス44は、所定のサイズを有し、設計要件および保持されている構成要素により、ブーム36に沿って所定の間隔で配置されている。ブーム36の各端部に位置するカップリング・フランジ42は、アンカー・マウント20、他の接合部材38または他の構成要素上のスロット30と整合するために、その内部に複数のスロット46を有する。スロット46は、フランジ42の端部の周囲に同じように位置決めされ、アンカー・マウント・フランジ28の深さと同じ所定の深さを有する。ブーム36は、所定の厚さを有することができるので、アンカー・マウント20の破断点32のところの力より大きな力を吸収することができる部分を生成することができる。接合部材38は、一般に、その上に少なくとも1つの周方向のカップリング・フランジ42を有するが、2つの面、3つの面、4つの面、5つの面等を有する接合部材のような任意の数のカップリング・フランジ42および面をその上に有することができる。これらの接合部材38により、種々の角度で、またはそれに接続している他の種々の構成要素と一緒に、アンカー・マウント20に接続することができる。接合部材38の各面は、アンカー・マウント・フランジ28のところで説明したのと同じ方法で配置されている複数のスロット46を含む、ほぼ周方向を向いているカップリング・フランジ42を含む。また、他の縁部付属部材48も、クランプまたはエンド・エフェクタ・システム10により保持されている他の構成要素に接続している端部部材に接続することができるし、または端部部材として使用することができる。一般に、縁部付属部材48は、その上に配置されている1つの周方向のカップリング・フランジ42を有するが、2つ以上の周方向のカップリング・フランジを使用することもできる。フランジ42は、アンカー・マウント・フランジ28のための間隔と同じ間隔で配置されている同じスロット46を含む。縁部付属部品48は、図1に示すように、所定の角度および/またはまっすぐに部品を保持することができる。ブーム36のもう1つの実施形態は、図9A〜図9Bに示すように、その上の所定の位置に破断点74を含む。破断点74は、すでに説明した、アンカー・マウント20の破断点32に似ている。破断点74は、ブーム36の各端部上のフランジ42間の任意の点に配置することができる。ブーム36は、任意の既知の長さを有することができる。ブーム36の破断点74は、エンド・エフェクタ・システム10だけのための、所定のまたは既知の破断点32であってもよいし、またはアンカー・マウント20の破断点との組合わせであってもよい。
【0026】
ブーム36、接合部材38、縁部付属部材48、他の構成要素およびアンカー・マウント20は、すべて相互に接続していて、多数の組合わせで相互に固定されている。接続は、カラー組立体40により行われる。カラー組立体40は、第1および第2のカラー部材50および十字キー52を含む。十字キー52は、通常、所定の厚さのX形をしている。所定の厚さは、十字キー52の約半分が任意のカップリング・フランジ28、42上のスロット30、46内に延び、一方、十字キー52の他の半分がそれに接続している他の構成要素の隣接するカップリング・フランジ28、42内に延びるような厚さである。十字キー52は、4つのすべてのスロット30、46内に配置されているので、カラー組立体40により相互に固定した後で構成要素間に回転が起こらないように、相互に接続している構成要素を固定する。カラー組立体40は、第1の半部分のカラー50および第2の半部分のカラー50を含む。半部分のカラー50は、その内径上に配置されている半円形の周方向溝54を含む。内側の周方向溝54は、ある角度を有する面56がカラー50内に延びるにつれて溝54の半径が小さくなるように、第1および第2のある角度を有する面56を有する。図の実施形態の場合には、溝54の表面56の角度は、カラー部材50のセンターラインから約15度である。それ故、約30度の全角度は、ある角度を有する面56内に含まれる。しかし、設計要件およびカラー50のために必要な保持力により、任意の角度を使用することができることに留意されたい。第1および第2の半部分のカラー50は、第1および第2のカップリング・フランジ28、42の外周面の周囲に配置されている。カップリング・フランジ28、42をその内部のスロット30、46により相互に配置し整合した場合、カラー50は当接するカップリング・フランジ28、42の外面の周囲に位置し、相互に対向している両方のカラー50内のオリフィス60により、第1の半部分のカラー50を第2の半部分のカラー50に接続するために第1および第2の固定具58が使用される。これにより、2つの半部分のカラー50を、フランジ28、42の外周の周囲で1つのリング状のカラーに接続することができる。動作中、固定具58は、フランジ28、42の面と面が相互に係合するまで、半部分のカラー50が相互の方向に付勢されるように締め付けられる。カラー50の両方の側面上の距離が同じになると、2つの半部分のカラー50の対向面が相互に係合し、そのためエンド・エフェクタ・システム10内で対向する構成要素上で、2つのカップリング・フランジ28、42がしっかりと係合するまで最後の締め付けが行われる。各隣接する構成要素にカラー50およびアンカー・マウント20を接続するために、任意のタイプの固定具58を使用することができることに留意されたい。ある実施形態の場合には、ロボット・エンド・エフェクタ・システム10の構成要素とフレーム14との間のすべての接続にM8ボルトを使用している。しかし、上記エンド・エフェクタ・システム10のために任意の他のタイプの固定具を使用することができることに留意されたい。鋼鉄でできている十字キー52を除いて、カラー組立体40、ブーム36、接合部材38および縁部付属部品48の構成要素すべては、アンカー・マウント20のところで説明した同じアルミニウム材料でできていることに留意されたい。しかし、すでに説明したように、これらの構成要素の材料として、任意の他の周知の金属、セラミック、プラスチック、複合材または天然材料も使用することができることに留意されたい。
【0027】
他の付属マウント構成要素と一緒に接合部材38または縁部付属部品48のうちの任意のものは、ツール・ボール等によりシステムの校正の際に使用するために、その内部にオリフィス62を含むことができる。幾何学的エンド・エフェクタ・システム10および保持している構成要素64に接続している任意の構成要素を、確実に正確に位置決めし、精度を維持するために、これらのツール・ボールを使用することができる。すでに説明したように、幾何学的エンド・エフェクタ・システム10により達成される許容誤差は、クランプ、ツールまたは他の構成要素64のような保持している構成要素を、正確な製造ラインの場合、0〜0.01ミリメートルの許容誤差範囲内に維持することができることに留意されたい。さらに、全幾何学的エンド・エフェクタ・システム10の強度は、ブーム36、接合部材38、縁部付属部材48等のような構成要素で決まることにも留意されたい。これらの構成要素は、通常、アンカー・マウント20の破断点32のところのジョイントより10〜90%強い。この増大した強度は、構成要素の厚さ、使用する材料および構成要素の形状のような多くの変数によるものである。さらに、本発明によるエンド・エフェクタ・システム10においては、任意の形状の構成要素をブーム、接合部材または縁部付属部材として使用することができることにも留意されたい。形状は、図面に示す形状だけではなく、任意の構成要素に対して四角形、三角形、八角形、矩形または任意の他の周知の形状を使用することができる。図面は、本発明による幾何学的エンド・エフェクタ・システム10の1つの可能な実施形態を示す。
【0028】
動作中、幾何学的エンド・エフェクタ・システム10は、ロボットの端部上のロボット・セルのフレーム14に固定されている基部16に固定されている少なくとも1つのアンカー・マウント20を有する。フレーム14上のアンカー・マウント20の位置決めにより、作業片をその上での作業中正確な位置に保持することができ、または作業片をロボット・アーム等によりあるステーションから他のステーションに移動することができる。正確な位置決めは、アンカー・マウント20に接続している構成要素間の接続により行われる。ブーム、接合部材、縁部付属部品または任意の他の付属部品を含むが、これらに限定されない構成要素の任意の組合わせおよび順序を、任意の周知の組合わせ内で接続することができることに留意されたい。これらの種々の構成は、次に、構成要素システム構成の端部のところで保持されているツールまたは構成要素が、ロボットのフレーム14、それ故、保持または加工されている作業片に対して正確な位置に保持されるように、アンカー・マウント20に接続される。構成要素システムの強度は、アンカー・マウント20のところに位置していない構成要素により決まり、特に弱い点は、フランジ28および円筒状部材26の端部接合点の近くに位置する破断点32のところに位置する。これにより安全性が改善され、モジュラ幾何学的エンド・エフェクタ・システム10を使用している製造ラインの停止時間を短縮することができる。他の機械等との衝突のような事故の場合には、幾何学的エンド・エフェクタ・システム10の何らかの破断が、カップリング・フランジ28と円筒状部材26との交点のところのアンカー・マウント20上に位置する破断点32のところで起こるように、すべての力が構成要素の強度により吸収される。これによりすべての破損の大部分が、アンカー・マウント20のところで起こるようにすることができる。この場合、製造ラインと一緒に再度ロボット・エンド・エフェクタ・システム10を動作するには、アンカー・マウント20だけを置換するだけでよい。アンカー・マウント20をそれに接続している第1の構成要素を除去し、基部16に接続しているアンカー・マウント20から固定具58を除去し、次に基部16上に新しいアンカー・マウント20を設置し、すでに説明したようにそれを固定具58で固定し、次に新しいアンカー・マウント20が前に配置されている第1の構成要素に固定されるようにカラー50を再度接続することにより、置換マウント20が容易に迅速に置換される。それ故、従来技術の場合に行わなければならなかったロボット・エンド・エフェクタのフレーム14に接続している固定している複数の構成要素またはまっすぐなクランプまたは構成要素の代わりに、1つの構成要素を交換するだけですむので、製造ラインの停止時間が大幅に短縮される。十字キー52を含むカラー・コネクタ・システム40を使用することにより、最後の構成要素の端部に接続している構成要素およびクランプまたはツールをさらに正確に接続することができる。さらに、接続している構成要素とフレーム14に接続しているアンカー・マウント20との間に回転が起こらない。フレーム14と通常は鋼鉄およびアルミニウムである構成要素との間の接続を含む使用した材料、およびすべての固定具は、異なる材料の構成要素間に錆びができないように処理されることに留意されたい。これにより製造環境内での幾何学的エンド・エフェクタ・システム10の信頼性が増す。また、任意の他の形状のキー・システムを使用することができることに留意されたい。図の実施形態の場合には、十字キー・システムを使用しているが、幾何学的エンド・エフェクタ・システム10内で接続している構成要素間にキー・システムを生成するために、Y字形のシステムまたは任意の他の形状を使用することができる。
【0029】
また、そこを通る電気システム、空気システム、液体システム等のような、しかしこれらに限定されない他の構成要素をそれに接続することができ、エンド・エフェクタ・システム10内に配置されている構成要素システム構成の端部のところに保持されているツール、クランプ、ピン等に接続するために使用することができるように、ブーム36、接合部材38およびアンカー・マウント20のような構成要素内の複数のオリフィス44間にまたはこれらオリフィス44に導管(conduit)を固定することができることに留意されたい。また、本システムは、ロボット、ツール交換装置等と一緒に使用することができるし、インタフェースの様式を、すべての周知のドッキング装置に適応し且つ互換性を有するように設計することができることに留意されたい。本システム10は、製造ライン上のクラッシュから迅速に回復し、そのため停止時間を短縮し、このような製造ラインの周囲で作業している人々の効率を増大する容易で構成することができるシステムを構成するために、モジュラ構成要素と一緒に、自動的な光学的および標準的CMM確認ポイントを使用することができる。
【0030】
今まで説明のために本発明を記述してきたが、使用した用語は、説明のためのものであって本発明を制限するものではないことを理解されたい。
【0031】
上記説明を読めば、本発明を種々に修正および変更することができる。それ故、添付の特許請求の範囲から逸脱することなしに、詳細に説明した方法とは別の方法で本発明を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による幾何学的エンド・エフェクタ・システムの斜視図である。
【図2】本発明による接続構成要素の分解図である。
【図3】ある構成要素に接続している本発明によるカラー組立体である。
【図4A】本発明によるキーを含むカラー組立体である。
【図4B】本発明によるキーを含むカラー組立体である。
【図4C】本発明によるキーを含むカラー組立体である。
【図5A】本発明による中央モジュラ直線接合部である。
【図5B】本発明による中央モジュラ直線接合部である。
【図5C】本発明による中央モジュラ直線接合部である。
【図5D】本発明による中央モジュラ直線接合部である。
【図6A】本発明によるブームである。
【図6B】本発明によるブームである。
【図6C】本発明によるブームである。
【図6D】本発明によるブームである。
【図7A】本発明による短尺角ブラケットを有する縁部である。
【図7B】本発明による短尺角ブラケットを有する縁部である。
【図7C】本発明による短尺角ブラケットを有する縁部である。
【図7D】本発明による短尺角ブラケットを有する縁部である。
【図7E】本発明による短尺角ブラケットを有する縁部である。
【図8A】本発明と一緒に使用するためのカラー組立体である。
【図8B】本発明と一緒に使用するためのカラー組立体である。
【図8C】本発明と一緒に使用するためのカラー組立体である。
【図8D】本発明と一緒に使用するためのカラー組立体である。
【図8E】本発明と一緒に使用するためのカラー組立体である。
【図8F】本発明と一緒に使用するためのカラー組立体である。
【図8G】本発明と一緒に使用するためのカラー組立体である。
【図9A】本発明によるブームの他の実施形態である。
【図9B】本発明によるブームの他の実施形態である。
【符号の説明】
【0033】
10 モジュラ幾何学的エンド・エフェクタ・システム
12 プラットフォーム
14 フレーム
16 基部部材
18 オリフィス
20 フレーム
22 基部
26 円筒状部材
28 周方向のカップリング・フランジ
30 スロット
32 破断点
34 校正オリフィス
36 ブーム
38 接合部材
40 カラー組立体
42 カップリング・フランジ
46 スロット
70 位置決めボール
72 停止パッド
74 破断点


【特許請求の範囲】
【請求項1】
幾何学的エンド・エフェクタ・システムであって、
プラットフォームと、
前記プラットフォームに固定されているフレームと、
前記フレーム上の所定の位置のところに配置されている複数の基部と、
前記基部のうちの少なくとも1つに固定されているアンカー・マウントと、
カラー組立体により前記アンカー・マウントに接続している構成要素と、
前記構成要素と前記アンカー・マウントの間に配置されているキーと、
を含むシステム。
【請求項2】
前記キーが、前記構成要素と前記アンカー・マウントとの間に回転が確実に起こらないようにする十字キーである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記アンカー・マウントが、破断点または領域を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記アンカー・マウントが、相互に所定の間隔で配置されている複数の溝を備えたフランジを有する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記フランジが、その間に配置されている90度の間隔で配置された4つの溝を有する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記破断領域が、前記フランジに隣接して配置されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記破断点が、前記フランジと前記アンカー・マウントの円筒状部材の交点のところに通常形成される、請求項3に記載のシステム。
【請求項8】
前記破断点が、前記交点のところに厚さの薄い材料または任意の他の周知の弱体化方法または技術により形成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記構成要素が、ブームまたは接合部材である、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記ブーム、前記接合部材または前記アンカー・マウントに固定されている付属部材をさらに含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記カラー組立体が、第1および第2の半部分のカラーを含み、前記半部分のカラーが、その内径上に半円形の周方向溝を有し、前記溝が第1および第2のある角度を有する面を有し、前記ある角度を有する面が、相互に係合するように前記アンカー・マウントのフランジおよび前記構成要素のフランジを付勢する、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記ある角度を有する各面が、前記カラー組立体のセンターラインから約15度の角度を有する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記ブームが、その上の所定の位置のところに配置されている破断点を有する、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
少なくとも1つの位置決めボールをさらに含み、前記位置決めボールにより、前記エンド・エフェクタ・システムを所定の位置に正確に整合し、保持することができる、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
ロボット上で使用するためのエンド・エフェクタまたは固定システムであって、
フレームと、
前記フレームに固定されていて、所定の力が前記エンド・エフェクタ・システムに加わった場合に破断し、前記アンカー・マウントの置換により前記ロボットが迅速に回復することができる破断点を有する少なくとも1つのアンカー・マウントと、
カラー組立体により前記アンカー・マウントに接続している構成要素と、
前記構成要素と前記アンカー・マウントとの間に配置されているキーと、
を含むエンド・エフェクタまたは固定システム。
【請求項16】
前記フレームに固定されているプラットフォームをさらに含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記フレーム上の所定の位置のところに配置されている少なくとも1つの基部をさらに含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記キーが十字キーである、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記アンカー・マウントが、フランジと円筒状部材とを有し、前記フランジが、少なくとも1つの溝を有し、前記キーが前記アンカー・マウントに対して前記構成要素を回転可能に固定するために前記溝内に配置される、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記構成要素が、ブームまたは接合部材である、請求項15に記載のシステム。
【請求項21】
前記ブーム、前記接合部材、または前記アンカー・マウントに固定されている付属部材をさらに含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記接合部材および前記付属部材が、前記エンド・エフェクタ・システムに対して前記部材の位置を校正するためのオリフィスおよびツール・ボールを有する、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
ロボット上で使用するための幾何学的エンド・エフェクタ・システムを組立てるための方法であって、
少なくとも1つの破断アンカー・マウントを前記エンド・エフェクタ・システムのフレームに固定されている基部に固定するステップと、
ブームまたは接合部材をカラー組立体およびキーにより前記アンカー・マウントの端部に固定するステップと、
付属部材を前記ブームまたは前記接合部材の端部に固定するステップと、
前記フレームを前記ロボットに固定するステップと、
を含む方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図5D】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図6C】
image rotate

【図6D】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図7C】
image rotate

【図7D】
image rotate

【図7E】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図8C】
image rotate

【図8D】
image rotate

【図8E】
image rotate

【図8F】
image rotate

【図8G】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate


【公開番号】特開2008−89173(P2008−89173A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−180456(P2007−180456)
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【出願人】(501465366)デラウエア キャピタル フォーメイション、インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】