説明

広い濃度範囲にわたる複数アナライトの光回折による測定

本発明は、光回折を用いて、広い濃度範囲を有する、サンプル中の複数のアナライトを測定するための方法、デバイスおよびキットに関する。糖尿病、心臓血管疾患、甲状腺疾患、ホルモン関連疾患、および敗血症をモニタリングおよび診断するのに有用なデバイス、方法およびキットも記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光回折およびアナライト検出の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの臨床の場面で、患者の症状を正確に評価するには、幅広いダイナミックレンジにわたって複数のアナライトを測定および数量化する必要がある。標識からの発光に頼る検出技術は、あるアナライトの結合から生じる強いシグナルがそれより弱いシグナルをかき消してしまうという、クロストークに悩まされることが多い。一部のアッセイ開発者は、高濃度アナライトのシグナルを低下させるためにサンプルを希釈するが、こうした解決策は、希釈が結局のところ低濃度アナライトの測定能力を妨げる可能性があるので、ダイナミックレンジを拡大する能力に限界がある。
【0003】
こうした問題に対応するために、たとえば、量子ドットのような、他のものと非常に異なるスペクトル特性を有するフルオロフォアが開発されているが、これは異なる励起および発光フィルターを用いて分析しなければならない。また、米国特許第6,551,788号に記載の方法では、1つのサンプル中の複数のアナライトを区別して定量するために、粒子サイズの相違が利用されているが、アナライトを区別できるように粒子サイズをコントロールするという困難なステップが加わった。
【0004】
キャピラリ電気泳動などの他の技術は、個々の抗体抗原複合体を分離するために単一の標識を使用する。これらのアプローチはいずれも、費用重視の、または困難な環境ではその適用を限定しかねない、煩わしい方法によるところが大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,551,788号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
広い濃度範囲にわたって複数のアナライトを検出する、新たな方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、光回折を用いて、広い濃度範囲を有する、サンプル中の複数のアナライトを測定するための方法、デバイスおよびキットに関する。糖尿病、心臓血管疾患、甲状腺疾患、ホルモン関連疾患、および敗血症をモニタリングおよび診断するために役立つデバイス、方法およびキットも記載する。
【0008】
本発明は、第1のアナライトの濃度が、第2のアナライトの濃度より少なくとも100倍高い、サンプル中の複数のアナライトを並行して検出する方法を特色とするものであって、その方法は、第1のアナライトが特異的に結合する、第1の固定化された結合剤、および第2のアナライトが特異的に結合する、第2の固定化された結合剤を有するデバイスとサンプルとを接触させること(この結合剤はそれぞれ、第1もしくは第2のアナライトがその結合剤に結合したときに光回折が可能となるパターンで配置されている)、ならびにそれぞれのパターンから光回折を測定して第1および第2のアナライトの存在または不在を検出することを含む。この方法は、サンプル中のアナライトの濃度測定、または第1もしくは第2のアナライトと、第1もしくは第2の結合剤との結合速度もしくは結合定数の算定を追加して含むことができる。この方法によりアッセイされるアナライトとしては、たとえばDNA、RNA、タンパク質もしくは脂質が挙げられるが、ビリオンまたは細胞であってもよい。本方法は、アナライトと結合剤との直接結合を測定することができるが、光回折を増幅するための追加成分を用いて、アナライトの結合を間接的に測定することもできる。追加成分の例としては、西洋ワサビペルオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼなどの酵素、またはビーズが挙げられる。酵素は、基質に作用して基質の沈澱を引き起こすことにより、または基質と、酵素、結合剤もしくは標的との結合を引き起こすことにより、光回折を増幅することができる。本方法で使用するサンプル中のアナライトの濃度は、少なくとも1,000倍、10,000倍、100,000倍、1,000,000倍、10,000,000倍、100,000,000倍、または1,000,000,000倍、異なる可能性がある。本方法で使用されるサンプル中のアナライトの濃度は、100mg/ml、10 mg/ml、1 mg/ml、100μg/ml、10μg/ml、1μg/ml、100 ng/ml、10 ng/ml、1 ng/ml、100 pg/ml、10 pg/ml、または1 pg/ml未満とすることができる。結合剤は、たとえばタンパク質、たとえば抗体、またはポリヌクレオチドを含むことができる。また、結合剤は、ビオチン-アビジンもしくはビオチン-ストレプトアビジン相互作用、プロテインG、ヤギ抗マウスFc(GAM-Fc)、またはアミド結合を介して固定化され得る。本方法は、第3もしくは第4のアナライトと選択的に結合する第3もしくは第4の結合剤を備え、該第3もしくは第4アナライトの結合を測定するデバイスを用いることができる。アナライトの例としては、C-ペプチド、糖化ヘモグロビン、リポタンパク質、低密度リポタンパク質(LDL)、高密度リポタンパク質(HDL)、サイトカイン、IL-6、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、抗甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)抗体、ホルモン、CRP、NT-proBNP、ゲルゾリン、またはコペプチン(copeptin)が挙げられる。
【0009】
本発明はまた、C-ペプチドと特異的に結合する第1の固定化された結合剤、ならびに糖化ヘモグロビンと特異的に結合する第2の固定化された結合剤を有するデバイスを特徴とするが、この結合剤はそれぞれ、C-ペプチドもしくは糖化ヘモグロビンがそれに結合したときに光回折が可能となるパターンで配置されている。他の実施形態において、本発明はまた、このデバイス、ならびにC-ペプチドもしくは糖化ヘモグロビンの結合によって引き起こされる光回折を増幅することができる追加成分を使用する、糖尿病診断用キットを包含する。
【0010】
さらに本発明は、リポタンパク質、低密度脂質(LDL)、高密度脂質(HDL)、サイトカインおよびIL-6からなる群から選択される第1のアナライトと特異的に結合する第1の固定化された結合剤、ならびにリポタンパク質、低密度脂質(LDL)、高密度脂質(HDL)、サイトカインおよびIL-6からなる群から選択される第2のアナライトと特異的に結合する第2の固定化された別の結合剤を有するデバイスを特徴とするが、この結合剤はそれぞれ、第1もしくは第2のアナライトがそれに結合したときに光回折が可能となるパターンで配置されている。他の実施形態において、本発明はまた、このデバイス、および第1もしくは第2のアナライトの結合によって引き起こされる光回折を増幅することができる追加成分を使用する、心臓血管疾患診断用キットを特徴とする。
【0011】
別の態様において、本発明は、TSHと特異的に結合する第1の固定化された結合剤、ならびに抗TPO抗体と特異的に結合する第2の固定化された結合剤を有するデバイスを特徴とするが、この結合剤はそれぞれ、TSHもしくは抗TPO抗体がそれに結合したときに光回折が可能なパターンで配置されている。他の実施形態において、本発明は、このデバイス、ならびにTSHもしくは抗TPO抗体の結合によって引き起こされる光回折を増幅することができる追加成分を使用する、甲状腺疾患診断用キットを特徴とする。
【0012】
本発明は、ホルモンと特異的に結合する第1の固定化された結合剤、ならびに別のホルモンと特異的に結合する第2の固定化された結合剤を有するデバイスを特徴とするが、この結合剤はそれぞれ、第1もしくは第2のホルモンがそれに結合したときに光回折が可能となるパターンで配置されている。他の実施形態において、本発明は、このデバイス、ならびに第1もしくは第2のホルモンの結合によって引き起こされる光回折を増幅することができる追加成分を使用するキットを特徴とする。
【0013】
本発明はまた、サイトカイン、CRP、ゲルゾリン、およびコペプチンからなる群から選択される第1のアナライトと特異的に結合する第1の固定化された結合剤、ならびにサイトカイン、CRP、ゲルゾリン、およびコペプチンからなる群から選択される第2のアナライトと特異的に結合する第2の固定化された別の結合剤を有するデバイスを特徴とするが、この結合剤はそれぞれ、第1もしくは第2のアナライトがそれに結合したときに光回折が可能となるパターンで配置されている。他の実施形態において、本発明は、このデバイス、ならびに第1もしくは第2のアナライトの結合によって引き起こされる光回折を増幅することができる追加成分を使用する、敗血症診断用キットを特徴とする。
【0014】
本発明はまた、CRPと特異的に結合する第1の固定化された結合剤、ならびにNT-proBNPと特異的に結合する第2の固定化された別の結合剤を有するデバイスを特徴とするが、この結合剤はそれぞれ、CRPもしくはNT-proBNPがそれに結合したときに光回折が可能となるパターンで配置されている。他の実施形態において、本発明は、このデバイス、ならびにNT-proBNPの結合によって引き起こされる光回折を増幅することができる追加成分を使用する、たとえば心臓血管疾患などの疾患の診断用キットを特徴とする。本発明のデバイスおよびキットは、NT-proBNP、および心臓血管疾患の1つもしくは複数のマーカーも検出することができる
「追加成分」は、他の物質、化合物、もしくは分子を含有する複合体に組み入れられる、任意の物質、化合物もしくは分子を意味し、たとえば、複合体は追加成分、結合剤、およびアナライトを含有する。追加成分は、アナライトと結合剤との結合によって引き起こされる光回折を増強することができるが、これは、アナライト上のまたはアナライトと結合している酵素基質の沈澱を生じることによるものであり、それによって、光回折を増幅することができる回折パターン上に、より多量の物質が沈殿する。
【0015】
「アナライト」は、分子、他の化学種、たとえばイオン、もしくは粒子を意味する。アナライトの例には、細胞、ウイルス、核酸、タンパク質、炭水化物、および有機小分子がある。
【0016】
「結合剤」は、アナライトが結合する任意の物質、化合物、もしくは分子を意味する。結合剤は、アナライトが結合する表面に結合していてもよいが、アナライトが結合する表面を構成する材料の一部であってもよい。結合剤の例としては、抗体、オリゴもしくはポリペプチド、核酸、他のタンパク質、合成ポリマー、および炭水化物が挙げられる。
【0017】
「直接結合を測定する」とは、追加成分を用いることなくアナライトと結合剤との結合を測定することを意味する。
【0018】
「結合を間接的に測定する」とは、追加成分を使用してアナライトと結合剤との結合を測定することを意味する。
【0019】
本発明の他の構成および効果は、以下の詳細な説明、図面、および特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、反応チャンバーの底と一体化して形成されたプリズム付きの単一の反応チャンバーの中にアナライト特異的パターンを有する、一体化された光学素子を有するディスポーザブル反応容器の斜視図である。
【図2】図2は、反応チャンバーを中に入れたハウジングの底部に沿って一体化して形成された細長いプリズムを有する反応チャンバーの底に沿って、直線配列のアナライト特異的パターンを有する、細長い反応チャンバーを持つディスポーザブル反応容器の別の実施形態の斜視図である。
【図3】図3は、2スポットセンサーおよびダイナミックレンジアッセイの概略図である。SPOT 1は、結合剤としてロバ抗ウサギ抗体を含有し、SPOT 2は、結合剤としてロバ抗ヤギ抗体を含有する。いずれの結合剤もビオチン化され、ストレプトアビジンでコーティングされた表面に付着している。SPOT 2のシグナルは、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合抗体を用いてTMB(3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン)沈殿により強化することができる。
【図4】図4は、10,000倍の濃度範囲にわたる2つのアナライト結合の検出を示す。ウサギ抗Akt(RbαAkt)(1μg/mL)およびヤギ抗マウス(GtαKs)(0.1 ng/mL)とそれらの基質との結合について図3に記載されたダイナミックレンジアッセイにより生じるシグナル(ボルト単位)を時間(秒単位)の関数として示す。
【図5】図5は、図4に示す直接結合およびTMB沈殿(間接検出)の部分的な拡大図を示す。35mVシグナルは、SPOT 2でバックグラウンド干渉を示さず、TMB反応を行ったときSPOT 1ではシグナルの増加を示さない。
【図6】図6は、1,000,000倍の濃度範囲にわたる、2つのアナライト結合の検出を示す。ウサギ抗Akt(RbαAkt)(10μg/mL)およびヤギ抗マウス(GtαKs)(10 pg/mL)とそれらの基質との結合について図3に示されたダイナミックレンジアッセイにより生じるシグナル(ボルト単位)を時間(秒単位)の関数として示す。
【図7】図7は、図6に示す直接結合およびTMB沈殿(間接結合)の部分的な拡大図を示す。100mV増加は、SPOT 2でバックグラウンド干渉を示さず、TMB反応を行ったときSPOT 1ではシグナルの増加を示さない。
【図8】図8は、ミリモルからピコモルまでの濃度範囲を有する複数のアナライトを測定して、さまざまな疾患を評価および診断するための、本発明の使用を説明する表を示す。
【図9】図9は、CRPおよびNT-proBNPと本発明のデバイスとの結合の概略図である。CRPの結合は直接測定するが(上のグラフ)、NT-proBNPの結合は間接的に測定する(下のグラフ)。一方のアナライトの検出は、他方の検出に干渉しない。
【図10】図10は、CRPおよびNT-proBNPの検出のグラフであるが、この場合サンプルは、HRPにコンジュゲートされた抗NT-proBNPとともにプレインキュベートした。CRPの結合は直接検出したが、NT-proBNPの結合はTMB添加後に検出した。
【図11】図11は、同一サンプル由来の、CRPの直接検出、およびNT-proBNPの間接検出を示す一連のグラフである。CRPの検出はNT-proBNPの検出に干渉せず、逆も同様である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明の詳細な説明
本発明は、たとえばミリモルからピコモルにわたる、さまざまな濃度を有するサンプル中の複数のアナライトを、並行して測定するためのデバイス、方法、およびキットを提供する。本発明者らは、単一サンプル中に100万倍以上異なる濃度で存在する、2つのアナライトの並行測定を実証した。本発明はまた、疾患の診断および臨床的評価を容易にする目的で、患者由来サンプルにおいて、さまざまなバイオマーカーの存在を評価するために使用することができる、キットおよびデバイスを提供する。
【0022】
複数のアナライトを測定する方法
本発明の方法は2つの技術、すなわち回折格子に基づく光回折および固定化された捕捉表面、を用いる。この組み合わせは、蛍光標識を用いずに分子の結合事象を検出するための、高感度で非常に簡単な手法をもたらす。
【0023】
本発明の方法は、サンプル中の複数のアナライトを並行して検出するものであるが、この場合第1のアナライトの濃度は、第2のアナライトの濃度より少なくとも100倍高く、そのサンプルを、第1のアナライトが特異的に結合する第1の固定化された結合剤を有するデバイス、ならびに第2のアナライトが特異的に結合する第2の固定化された結合剤と接触させることにより検出する。それぞれの結合剤は、第1もしくは第2のアナライトがそれに結合したとき光回折可能なパターンに配置される。それぞれのパターンからの光回折の測定を用いて、第1および第2のアナライトの存在または不在を検出する。サンプル中のアナライトの濃度は、この光回折の測定により決定することができる。さらに、1種のアナライトの、1種の結合剤に対する結合速度もしくは結合定数を算出することができる。
【0024】
典型的なデバイスを用いることによって、本方法は、該デバイス表面上で8カ所の別々の位置すなわちアッセイスポットに固定化されたタンパク質特異的結合剤を使用することができる。各スポットの結合剤はランダムに分布しているのではなく、レーザーを当てたときに特有の回折パターンを生じる一連の平行線状に固定化されている。センサー表面は、小量フローセルの基底部を成している。たとえば流動する流れとして、または静止したボリュームとして、サンプルをフローセル内に導入したとき、標的分子はアッセイスポットに結合し、結果として回折シグナルが増加する。回折シグナルの強度を用いて、リアルタイム結合曲線を作成する。照射および検出ビームは決してサンプルを通過することがなく、このことによって、本発明は、血清、血漿、および粗製細胞溶解液などの複雑な生物学的サンプルにおける複数のタンパク質の検出にとって理想的なものとなる。
【0025】
サンプル中のさまざまなアナライトを、本発明の方法で分析することができるが、アナライトはたとえば、DNA、RNA、タンパク質もしくは脂質、またはビリオン全体もしくは細胞全体である。好ましいアナライトには、C-ペプチド、糖化ヘモグロビン、リポタンパク質、低密度リポタンパク質(LDL)、高密度リポタンパク質(HDL)、サイトカイン、IL-6、TSH、抗TPO抗体、ホルモン、CRP、NT-proBNP、ゲルゾリン、またはコペプチンがある。さまざまな濃度の複数のアナライトを並行して測定することができるが、たとえば、100mg/ml、10 mg/ml、1 mg/ml、100μg/ml、10μg/ml、1μg/ml、100 ng/ml、10 ng/ml、1 ng/ml、100 pg/ml、10 pg/ml、または1 pg/ml未満の濃度のアナライトを測定することができる。検出されるアナライトの濃度は、100倍、1,000倍、10,000倍、100,000倍、1,000,000倍、10,000,000倍、100,000,000倍、または1,000,000,000倍、異なっていてもよい。
【0026】
タンパク質、たとえば抗体、またはポリヌクレオチドを含めて、さまざまな結合剤を本発明の方法で使用することができる。こうした結合剤は、ビオチンアビジンもしくはビオチンストレプトアビジン相互作用、プロテインG、ヤギ抗マウスFc(GAM-Fc)またはアミド結合により固定化することができる。
【0027】
測定されるべきアナライトの光回折シグナルは、直接測定することも(追加成分による増幅なしに直接結合を測定)、追加成分を用いてシグナルを増幅することにより間接的に測定することもできる。光回折シグナルは、たとえば、アナライトを表面に結合させるのとは異なるエピトープを介して、アナライトと結合する抗体もしくは他の結合剤と結合した、西洋ワサビペルオキシダーゼもしくはアルカリホスファターゼなどの酵素またはビーズといった追加成分を用いて、増幅することができる。
【0028】
2、3、4、または5種以上の結合剤を用いて、サンプル中の2、3、4、または5種以上のアナライトを同時に測定できるよう、本方法を調整することもできる。
【0029】
回折に基づくアッセイにおいて、光回折に基づくデバイスを使用するための方法は、Goh et al., “Diffraction-Based Assay for Detecting Multiple Analytes” Anal. Bioanal. Chem (2002) 374, 54-56のような、関連特許および文献の参照に基づいて当業者に知られており、これは参照により本明細書に含めるものとする。
【0030】
アナライト
任意の数の別々のアナライトを、本発明により検出することができる。典型的なアナライトには、バイオマーカーおよびバイオ分子、たとえば、DNA、RNA、マイクロRNA、ポリヌクレオチドおよびそれらのホモログ、タンパク質もしくは脂質、ならびにより大きなアセンブリー、たとえばビリオンもしくは全細胞がある。特に興味深いのは、たとえば、C-ペプチド、糖化ヘモグロビン、リポタンパク質、低密度リポタンパク質(LDL)、高密度リポタンパク質(HDL)、サイトカイン、IL-6、TSH、抗TPO抗体、ホルモン、C-反応性タンパク質(CRP)、ゲルゾリン、およびコペプチンなどのバイオマーカーである。
【0031】
本発明の使用
直接検出法および増幅(間接)検出法はいずれも、本発明のデバイス、キット、および方法を用いて行うことができるが、これは広いダイナミックレンジ、つまりピコモルからミリモル濃度にわたって、複数のアナライトを並行して定量的に測定することを可能にする。典型的には、1つのアナライトの検出が直接的であり、別のアナライトの検出は間接的である。メソッド開発が迅速化されているので、プラットフォームへのおよびプラットフォームからのアッセイ移動およびアッセイの実行は、いっそう簡単になっている。
【0032】
本発明は、バイオマーカー検出に向けたアッセイ開発に及んでおり、アッセイ進行プロセスの各段階に寄与する。本発明はリアルタイム結合データを作製するので、エンドポイント結果から外挿する必要はない。本発明は、たとえば、試薬濃度および純度を定量する、抗体親和性をランク付けする、抗体結合動態の特性を明らかにする、抗体特異性および交差反応性を決定する、試薬濃度、ステップ時間、バッファー、および添加物組成を最適化する、アッセイ性能およびマトリックス効果をモニタリングする、ならびに最小限の干渉でアナライトを多重化する、などの多数の方法で、アッセイ開発を促進する。
【0033】
本発明はまた、幅広い別の用途を可能にするが、それには、たとえば、凝集実験、基質/活性測定、酵素阻害実験、(疾患関連の、および疾患関連でない)バイオマーカーレベルのモニタリング、ならびにウイルス粒子、微生物および細胞といった巨大な種の検出が含まれる。
【0034】
回折は、本質的に自己基準型である。結合事象の検出は、結合剤の最初のパターンによって決まるので、シグナルの増加は、アナライトがもっぱらその結合剤と結合したときにのみ生じる。本発明で使用されるデバイス表面への非特異的結合は、回折シグナルにほとんど、もしくはまったく変化を生じない。本発明はこうした標識フリーという特徴により、たとえば、タンパク質-タンパク質相互作用、核酸相互作用、および核酸-タンパク質相互作用などの、複数のバイオ分子相互作用を並行して直接検討することを可能にする。
【0035】
本発明の方法を用いて、患者をモニターし、疾患を診断することができる。糖尿病管理において、医師および研究者は、本発明を用いて、pmol程度のC-ペプチドレベル、ならびに、血中に存在する7.4〜11.2mmol/Lの全ヘモグロビンの8%にまで達する可能性のある糖化ヘモグロビンレベル(NEJM 355;5:467-477)を、並行してモニターすることができる(図8)。こうした情報は、診断、予後診断、および治療への応答を知るために用いることができる。
【0036】
同様に、医師および研究者は、患者において心臓血管疾患を評価するために、本発明を用いて、リポタンパク質、たとえば、LDLおよびHDLのような血漿バイオマーカーをモニターすることができるが、これらはmmolレベルに達する可能性があり、一方、サイトカイン、たとえばIL-6などの他のマーカーは、ng/Lの濃度、基本的にはpmol(CMAJ 174;4:461-466)で見出される(図8)。
【0037】
あるいはまた、医師および研究者は、患者において甲状腺疾患を評価するために、本発明を用いて、TSHの量を測定すること(これは一般に高感度イムノアッセイを必要とする)、ならびに、典型的にはTSHレベルより数桁大きい抗TPO抗体を測定することによって、並行して甲状腺機能をモニターすることができる(図8)。
【0038】
医師および研究者はまた、妊娠、排卵、閉経などのさまざまな身体的状態、および癌などの疾患を評価するために、本発明を用いて、複数のホルモンを並行してモニターすることができる。
【0039】
医師および研究者はまた、患者において敗血症を評価するために、本発明を用いて、さまざまなサイトカイン(当初はピコモルレベルで検出される)、およびCRPなどの他のバイオマーカー(mg/L程度(Curr Op Crit Care 11:473-480))を並行してモニターすることができる。患者において敗血症を評価するために、本発明により並行してモニターすることができる他のマーカーには、たとえば、ゲルゾリン(Crit Car Med 31:152-156)およびコペプチン(Clin Chem;51:1:112-119)があり、これらはmg/Lからpmolまでの連続した濃度範囲にわたる(図8)。血清中のNT-proBNPは一般にpmol程度である。
【0040】
光回折に基づくデバイスおよびそれらの製作
いくつかの典型的なデバイスを本発明に使用することができる。たとえば、プリズムを組み込んだ単一の反応チャンバーを有するデバイスは、1つもしくは2つのアナライトのアッセイに適したコンパクトなデバイスに有用である。図1は、光学素子を組み込んだディスポーザブル反応容器10を有する、こうしたデバイスを示す。反応容器10は、ウェルもしくはチャンバー14を囲むハウジング12を備えてなる。ハウジング12は、内底表面16を有し、その上にあらかじめ選択された、アナライト結合剤のパターン18が形作られている。ハウジング12の外底の表面20はプリズム22であり、これはハウジング12の残り部分と一体的に形成されている。一体化されたプリズム22を有するハウジング12は、任意の適当なプラスチック、一般に、プリズム22を透過してパターンを照射するために用いられる波長では透明であるプラスチックで製造することができる。
【0041】
アナライト特異的結合剤は複数使用するが、反応チャンバーは一つである多重アッセイフォーマットのために、本発明は、たとえば、図2に示すディスポーザブル反応容器40を用いることができ、これは、ウェルもしくはチャンバー44を囲むハウジング部分42を含み、このハウジングは内底表面46を有し、それに沿ってアナライト特異的結合剤の直線的配列48が形作られており、細長い1つのプリズム50がハウジング42の底の外側表面に沿って一体的に形成され、したがって細長いプリズムを有する単一の消耗品が与えられる。ディスポーザブル反応容器40は、流体入口56および流体出口58を有するハウジングカバー54を有する。
【0042】
ハウジング42にカバー54を取り付けると、分析すべきアナライトを含有する液体を入口56を通して流し、出口58から出すことができる。
【0043】
1つのデバイス例では、カバー54をハウジング42に取り付けたとき、内側のチャンバー44の容積は、毛細管流動路が入口56と出口58の間のチャンバーを貫通して形成されるようになっている。このデバイスは光学素子を組み込んだディスポーザブル反応容器40が中に入っており、コンパクトな消耗品が望ましい状況で、しかも約30個以下の別々の結合剤アッセイが必要とされる状況に適している。
【0044】
本発明で使用することができる他のデバイスは、国際出願の国際公開第2005/061237号および国際公開第2005/062021号、ならびに米国特許出願公開第2002/0025534号および第2003/0049693号に記載されており、これらはそれぞれ参照により本明細書に含めるものとする。
【0045】
表面および結合剤
本発明は、結合剤とアナライトとの間のバイオ分子結合事象を検出するために、センサー、たとえば、フロースルーセンサーを使用する。広範な用途に対処するために、いくつかの最適化された結合表面が利用できる。本発明のデバイスはそのディスポーザブルデザインゆえに、複雑な生物学的サンプルの複数の成分であるアナライトにとって理想的である。
【0046】
アビジン-コーティング表面および固定化される結合剤
ビオチン化した結合剤、たとえば、ビオチン化抗体もしくはポリヌクレオチドを本発明で用いるデバイスの表面上に高い親和性で固定化するために、センサー表面上に固定化されたアビジン基を使用する。
【0047】
プロテインGコーティング表面および固定化される結合剤
プロテインGはヒトおよびウサギ免疫グロブリン分子のFc領域に選択的に結合し、結合剤であるヒトおよびウサギ抗体の、本発明で使用されるデバイス表面上への方向性のそろった固定化を可能にする。
【0048】
ヤギ抗マウスFc(GAM-Fc)コーティング表面および固定化される結合剤
GAM-Fcは、マウス抗体のFc領域に効率よく結合し、結合剤、たとえばマウス抗体の、本発明で使用されるデバイス表面上への方向性のそろった固定化を可能にする。GAM-Fc表面は、抗体の性質検討およびイムノアッセイの用途に適している。
【0049】
アミン反応性表面および固定化される結合剤
アミン反応性表面上に固定化されたカルボキシレート基を用いて、結合剤を、アミンカップリング反応を介して、本発明に用いるデバイスの表面に共有結合的に、たとえばアミド結合により連結させることができる。タンパク質、ペプチド、核酸および他のバイオ分子を固定化することができる。
【0050】
その他
ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、チオール、カルボン酸、エポキシド、トリアルコキシシラン、ジアルコキシシラン、およびクロロシランといった他の典型的な反応性結合基を、本発明で使用されるデバイスの表面に付けることができるが、その結果、結合剤はそうした結合基と化学結合を形成して、結合剤をデバイス表面に固定化することができる。
【0051】
本発明で用いるデバイスに使用されるさまざまな表面の例としては、ポリスチレン、ガラス、金属、シリコン、および他の半導体がある。本発明で用いるデバイスに使用される表面は、結合剤を固定化することができる任意の物質を含むことができる。
【0052】
本発明で用いるデバイスに使用される結合剤の例は、たとえば、抗体、ポリヌクレオチド、酵素、受容体、リガンド、または分子量500未満の分子で、本発明で用いるデバイスの表面に固定化できるものとすることができる。本発明で使用される結合剤には、アナライトを結合することができる任意の物質が含まれる。
【0053】
本発明で用いるデバイスに使用される結合剤の他の例は、たとえば、磁性、正電荷、負電荷、極性を有する、または一時的双極子を形成する能力を有するものであり、したがって結合剤は非共有結合でサンプル中のアナライトと結合することができる。
【実施例1】
【0054】
2スポットダイナミックレンジアッセイ
本発明者らは、ストレプトアビジンでコーティングされた回折光学センサー(DOT(商標)、Axela Biosciences)を利用したが、このセンサーの別々の2カ所に1)ビオチン化ロバ抗ウサギ抗体(SPOT1)および2)ビオチン化ロバ抗ヤギ抗体(SPOT2)をスポットした(図3)。次の3つの成分、すなわちA) SPOT1でロバ抗ウサギ抗体の標的アナライトとなるウサギ抗akt抗体、B) SPOT2の標的アナライトとなるヤギ抗マウス抗体、ならびにC) SPOT2に結合するアナライトから得られるシグナルを増強する役割を果たす西洋ワサビペルオキシダーゼと結合したロバ抗ヤギ抗体、をあらかじめ混合した。
【0055】
A、B、Cの混合物をシステムに入れた。図4においてSPOT1での結合事象を観察することができる(赤線の出力)が、このグラフの部分拡大図を図5に示す。
【0056】
図5の左のグラフは、SPOT2に固定化されたHRPコンジュゲート抗体により仲介されるTMB沈殿のより詳しい図を示す。いずれの場合も、シグナルは固定化された分子種に特異的であり、したがってSPOT2では直接的な結合は検出されず、TMBの添加時のみ、大きなシグナルが存在する。最後に、TMBを添加しても、SPOT1では予想通りシグナル増大は見られなかった。この実験は、これより10倍低い濃度のSPOT2アナライトおよび10倍高い濃度のSPOT1アナライトを用いて再度行った。いずれのアナライトも、図6および7で明示されるように同一サンプル中で容易に検出される。
【実施例2】
【0057】
この実施例では、CRPおよびNT-proBNPに対する抗体を、1つのセンサーの別々の2カ所のスポットに結合させる。血清サンプルを入れると、CRPはマイクロモル濃度で直接検出される。さっと洗った後、NT-proBNPは、シグナル増強試薬の添加によってピコモルレベルで検出される。この検出法のユニークな特性は、アナライト間のクロストークという、多重エンドポイントアッセイ法によく見られる制限が観察されないことである(図9)。
【0058】
アッセイ処理量を向上させるために、試薬をサンプルとあらかじめ混合し、オフラインでインキュベートすることができる。60μl血清サンプルをHRPカップリングされた抗NT-proBNP二次抗体(5容量%)とともに40分間インキュベートした後、センサー内に入れる。センサーは、一方の検出スポットに抗CRPを結合し、隣接するスポットには抗NT-proBNPを結合してある(図10)。
【0059】
CRPについては、5μg/mlというその濃度に起因して、直ちに結合曲線が観察された。NT-proBNPの濃度はそれより5桁小さい50 pg/mlであるため、直接的なシグナルは観察されなかった。しかしながら、定量のために使用される沈殿試薬TMBを添加すると、ただちに反応速度曲線が検出された。濃度の違いが大きいにもかかわらず、2つのアナライト間にクロストークは観察されず、アッセイの検出ステージ全体は、60秒で完了した(図11)。
【0060】
他の実施形態は特許請求の範囲に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のアナライトの濃度が、第2のアナライトの濃度より少なくとも100倍高い、サンプル中の複数のアナライトを並行して検出する方法であって、
a) 第1のアナライトが特異的に結合する第1の固定化された結合剤、および第2のアナライトが特異的に結合する第2の固定化された結合剤を有するデバイスと前記サンプルとを接触させること、ここで前記結合剤はそれぞれ、第1もしくは第2のアナライトがその結合剤に結合したときに光回折が可能となるパターンで配置されている、ならびに
b) 前記パターンのそれぞれから光回折を測定して第1および第2のアナライトの存在または不在を検出すること、
を含んでなる前記方法。
【請求項2】
前記サンプル中のアナライトの濃度を測定することをさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1もしくは第2のアナライトと、前記第1もしくは第2の結合剤との結合速度を算定することをさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1もしくは第2のアナライトと、前記第1もしくは第2の結合剤との結合定数を算定することをさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1もしくは第2のアナライトがDNAを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1もしくは第2のアナライトがRNAを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1もしくは第2のアナライトがタンパク質を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1もしくは第2のアナライトが脂質を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1もしくは第2のアナライトがビリオンである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1もしくは第2のアナライトが細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ステップb)が、前記第1のアナライトの直接結合を測定することを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ステップb)が、前記第2のアナライトの結合を、前記光回折を増幅する追加成分を用いて、間接的に測定することを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記追加成分が西洋ワサビペルオキシダーゼである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記追加成分がビーズである、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記追加成分がアルカリホスファターゼである、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記第1アナライトの濃度が、前記第2アナライトの濃度より少なくとも1,000倍高い、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第1アナライトの濃度が、前記第2アナライトの濃度より少なくとも10,000倍高い、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記第1アナライトの濃度が、前記第2アナライトの濃度より少なくとも100,000倍高い、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記第1アナライトの濃度が、前記第2アナライトの濃度より少なくとも1,000,000倍高い、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記第1アナライトの濃度が、前記第2アナライトの濃度より少なくとも10,000,000倍高い、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記第1アナライトの濃度が、前記第2アナライトの濃度より少なくとも100,000,000倍高い、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記第1アナライトの濃度が、前記第2アナライトの濃度より少なくとも1,000,000,000倍高い、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記サンプル中の前記第1もしくは第2のアナライトの濃度が、100 mg/ml未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記サンプル中の前記第1もしくは第2のアナライトの濃度が、10 mg/ml未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記サンプル中の前記第1もしくは第2のアナライトの濃度が、1 mg/ml未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記サンプル中の前記第1もしくは第2のアナライトの濃度が、100 μg/ml未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記サンプル中の前記第1もしくは第2のアナライトの濃度が、10 μg/ml未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記サンプル中の前記第1もしくは第2のアナライトの濃度が、1 μg/ml未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記サンプル中の前記第1もしくは第2のアナライトの濃度が、100 ng/ml未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記サンプル中の前記第1もしくは第2のアナライトの濃度が、10 ng/ml未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記サンプル中の前記第1もしくは第2のアナライトの濃度が、1 ng/ml未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記サンプル中の前記第1もしくは第2のアナライトの濃度が、100 pg/ml未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記サンプル中の前記第1もしくは第2のアナライトの濃度が、10 pg/ml未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記サンプル中の前記第1もしくは第2のアナライトの濃度が、1 pg/ml未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記第1もしくは第2の結合剤がタンパク質を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
前記タンパク質が抗体である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記第1もしくは第2の結合剤がポリヌクレオチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
前記第1もしくは第2の結合剤がビオチン-アビジン、またはビオチン-ストレプトアビジン相互作用により固定化される、請求項1に記載の方法。
【請求項39】
前記第1もしくは第2の結合剤がプロテインGを介して前記デバイス上に固定化される、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
少なくとも1つの前記結合剤が、ヤギ抗マウス-Fc(GAM-Fc)を介して前記デバイス上に固定化された抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
少なくとも1つの前記結合剤が、アミド結合を介して前記デバイス上に固定化される、請求項1に記載の方法。
【請求項42】
前記デバイスが、第3のアナライトと選択的に結合する第3の結合剤を含んでなり、前記第3のアナライトの結合を測定する、請求項1に記載の方法。
【請求項43】
前記デバイスが、第4のアナライトと選択的に結合する第4の結合剤を含んでなり、前記第4のアナライトの結合を測定する、請求項1に記載の方法。
【請求項44】
前記第1もしくは第2のアナライトがC-ペプチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項45】
前記第1もしくは第2のアナライトが糖化ヘモグロビンである、請求項1に記載の方法。
【請求項46】
前記第1もしくは第2のアナライトがリポタンパク質である、請求項1に記載の方法。
【請求項47】
前記第1もしくは第2のアナライトが低密度リポタンパク質(LDL)である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記第1もしくは第2のアナライトが高密度リポタンパク質(HDL)である、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記第1もしくは第2のアナライトがサイトカインである、請求項1に記載の方法。
【請求項50】
前記第1もしくは第2のアナライトがIL-6である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記第1もしくは第2のアナライトがTSHである、請求項1に記載の方法。
【請求項52】
前記第1もしくは第2のアナライトが抗TPO抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項53】
前記第1もしくは第2のアナライトがホルモンである、請求項1に記載の方法。
【請求項54】
前記第1もしくは第2のアナライトがCRPである、請求項1に記載の方法。
【請求項55】
前記第1もしくは第2のアナライトがゲルゾリンである、請求項1に記載の方法。
【請求項56】
前記第1もしくは第2のアナライトがコペプチンである、請求項1に記載の方法。
【請求項57】
前記第1もしくは第2のアナライトがNT-proBNPである、請求項1に記載の方法。
【請求項58】
C-ペプチドと特異的に結合する第1の固定化された結合剤、ならびに糖化ヘモグロビンと特異的に結合する第2の固定化された結合剤を有するデバイスであって、この前記結合剤はそれぞれ、前記C-ペプチドもしくは前記糖化ヘモグロビンがそれに結合したときに光回折が可能となるパターンで配置されている、前記デバイス。
【請求項59】
請求項58に記載のデバイス、ならびに前記C-ペプチドもしくは前記糖化ヘモグロビンの結合により引き起こされる光回折を増幅することができる追加成分を含んでなる、糖尿病診断用キット。
【請求項60】
リポタンパク質、低密度脂質(LDL)、高密度脂質(HDL)、サイトカインおよびIL-6からなる群から選択される第1のアナライトと特異的に結合する第1の固定化された結合剤、ならびにリポタンパク質、低密度脂質(LDL)、高密度脂質(HDL)、サイトカインおよびIL-6からなる群から選択される第2のアナライトと特異的に結合する第2の固定化された異なる結合剤を有するデバイスであって、前記結合剤はそれぞれ、前記第1もしくは第2のアナライトがそれに結合したときに光回折が可能となるパターンで配置されている、前記デバイス。
【請求項61】
請求項60に記載のデバイス、ならびに前記第1もしくは第2のアナライトの結合によって引き起こされる光回折を増幅することができる追加成分を含んでなる、心臓血管疾患診断用キット。
【請求項62】
TSHと特異的に結合する第1の固定化された結合剤、ならびに抗TPO抗体と特異的に結合する第2の固定化された結合剤を有するデバイスであって、前記結合剤はそれぞれ、前記TSHもしくは前記抗TPO抗体がそれに結合したときに光回折が可能なパターンで配置されている、前記デバイス。
【請求項63】
請求項62に記載のデバイス、ならびに前記TSHもしくは前記抗TPO抗体の結合によって引き起こされる光回折を増幅することができる追加成分を含んでなる、甲状腺疾患診断用キット。
【請求項64】
ホルモンと特異的に結合する第1の固定化された結合剤、ならびに別のホルモンと特異的に結合する第2の固定化された結合剤を有するデバイスであって、前記結合剤はそれぞれ、第1もしくは第2のホルモンがそれに結合したときに光回折が可能となるパターンで配置されている、前記デバイス。
【請求項65】
請求項64に記載のデバイス、ならびに前記第1もしくは第2のホルモンの結合によって引き起こされる光回折を増幅することができる追加成分を含んでなる、キット。
【請求項66】
サイトカイン、CRP、ゲルゾリン、およびコペプチンからなる群から選択される第1のアナライトと特異的に結合する第1の固定化された結合剤、ならびにサイトカイン、CRP、ゲルゾリン、およびコペプチンからなる群から選択される第2のアナライトと特異的に結合する第2の固定化された別の結合剤を有するデバイスであって、前記結合剤はそれぞれ、前記第1もしくは第2のアナライトがそれに結合したときに光回折が可能となるパターンで配置されている、前記デバイス。
【請求項67】
請求項66に記載のデバイス、ならびに前記第1もしくは第2のアナライトの結合によって引き起こされる光回折を増幅することができる追加成分を含んでなる、敗血症診断用キット。
【請求項68】
CRPと特異的に結合する第1の固定化された結合剤、ならびにNT-proBNPと特異的に結合する第2の固定化された別の結合剤を有するデバイスであって、前記結合剤はそれぞれ、前記CRPもしくはNT-proBNPがそれに結合したときに光回折が可能となるパターンで配置されている、前記デバイス。
【請求項69】
請求項68に記載のデバイス、ならびに前記CRPもしくはNT-proBNPの結合によって引き起こされる光回折を増幅することができる追加成分を含んでなる、心臓血管疾患診断用キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2010−507076(P2010−507076A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−532657(P2009−532657)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際出願番号】PCT/CA2007/001840
【国際公開番号】WO2008/046213
【国際公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(509110725)アクセラ インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】