説明

広告等の表示装置

【課題】大規模店舗等に設置されたエスカレーターや動く歩道等を利用する利用者に対して、所定階の広告や行き先等の案内表示を表示する簡易な装置であって、前記エスカレーターや動く歩道等の移動手摺の動力を利用して動く広告等の表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】エスカレーター又は動く歩道の近傍に設置される筐体21と、前記筐体21内部に広告や案内表示を表示する表示部36を備える表示装置20であって、前記筐体21から突出すると共に、前記移動手摺17に圧接して前記移動手摺17の回転に伴い回転する入力軸29と、前記入力軸29と連結して前記表示部36を駆動する出力軸24を備えるよう構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレーターや動く歩道等の近傍に設置される表示装置に関するものであり、より詳しくは、エスカレーターや動く歩道等の移動手摺に入力軸を圧接して、その回転力により、表示装置内部の表示部を駆動して、この表示部に表示された広告又は案内等の表示を動かせて表示することができる広告等の表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の表示部が動く広告等の表示装置としては、例えば、特公昭61−34150号(特許文献1)に記載されているものが公知である。前記広告等の表示装置は、回転軸に広告文字を記載した複数の凹面反射板を設けた回転広告体と、回転軸に連結した広告体回動用のモーターと、広告体の周囲に設けた照明装置と、広告体と照明装置を囲う透明の保護ケースとにより構成されている。
【0003】
前記広告等の表示器は、凹面反射鏡を有する広告体を回転させ、その周囲に照明装置を設けたから、照明装置から発する光線は、凹面反射鏡により、幻想的に反射され、また、広告文字ははっきり読みとれるように反射鏡に直接記載されているので、広告文字が浮き出ているようになり、所定の広告効果を発揮する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭61−34150号 第1頁、第1図
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記表示装置においては、広告を表示する表示部の回転に表示部回動用のモーターを内蔵しており、さらに、それを駆動する電源が別途必要なうえに、構造も複雑となる。
【0006】
また一方で、近年の大規模店舗等の増加に伴い、前記大規模店舗等に設置されたエスカレーターや動く歩道等を利用する利用者に対して、所定階の広告や行き先等の案内表示を表示する簡易な表示装置の要請がある。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、前記大規模店舗等に設置されたエスカレーターや動く歩道等を利用する利用者に対して、所定階の広告や行き先等の案内表示を表示する簡易な装置であって、前記エスカレーターや動く歩道等の移動手摺の動力を利用して動く広告等の表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の広告等の表示装置は、エスカレーター又は動く歩道の近傍に設置される筐体と、前記筐体内部に広告や案内表示を表示する表示部を備える広告等の表示装置であって、前記筐体から突出すると共に、前記移動手摺に圧接して前記移動手摺の回転に伴い回転する入力軸と、前記入力軸と連結して前記表示部を駆動する出力軸を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の広告等の表示装置にあっては、大規模店舗等に設置されたエスカレーターや動く歩道等を利用する利用者に対して、所定階の広告や行き先等の案内表示を表示することができると共に、前記エスカレーター等の移動手摺から動力を取り出すので、表示部を駆動するためのモータや電源が不要となる。
【0010】
請求項2に記載の広告等の表示装置は、請求項1に記載の広告等の表示装置に加えて、前記筐体は前記出力軸と前記出力軸と並行に設けられた従動軸と間に架設された帯状ベルトを備え、前記帯状ベルトの表面には広告又は案内表示が表示されてなることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の広告等の表示装置にあっては、前記表示部の駆動を巻掛伝動で行うため、構造が簡単で安価に製作することができる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の広告等の表示装置によれば、エスカレーター又は動く歩道の近傍に設置される筐体と、前記筐体内部に広告や案内表示を表示する表示部を備える広告等の表示装置であって、前記筐体から突出すると共に、前記移動手摺に圧接して前記移動手摺の回転に伴い回転する入力軸と、前記入力軸と連結して前記表示部を駆動する出力軸を備えるように構成したので、大規模店舗等に設置されたエスカレーターや動く歩道等を利用する利用者に対して、所定階の広告や行き先等の案内表示を表示することができると共に、前記エスカレーター等の移動手摺から動力を取り出すので、表示部を駆動するためのモータや電源が不要となる。
【0013】
請求項2に記載の広告等の表示装置によれば、請求項1に記載の広告等の表示装置に加えて、前記筐体は前記出力軸と前記出力軸と並行に設けられた従動軸と間に架設された帯状ベルトを備え、前記帯状ベルトの表面には広告又は案内表示が表示されるように構成したので、前記表示部の駆動を巻掛伝動で行うため、構造が簡単で安価に製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】エスカレーターの横に設置された本発明にかかる広告等の表示装置の斜視図である。
【図2】エスカレーターの概略説明斜視図である。
【図3】広告等の表示装置の正面図である。
【図4】広告等の表示装置の正面縦断面図である。
【図5】広告等の表示装置の側面縦断面である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
【0016】
図1はエスカレーターの横に設置された本発明にかかる広告等の表示装置の斜視図であり、図2はエスカレーターの概略説明斜視図である。図1及び図2において、10はエスカレーターであり、上層階UFと下層階DFとを連結するように設置されている。
【0017】
前記エスカレータ10は、図2に示すように、足を乗せる踏段11を踏段チェーン12で連結して、上層階UFに設置したモーター13と駆動チェーン(図示せず)で駆動スプロケット14を回転させて、前記駆動スプロケット14と下層階DFに設置した従動スプロケット15間に架け渡された前記踏段チェーン12を駆動させ前記踏段11を上下方向の何れかに移動させて、上層階UFと下層階DFとの間の移送を行っている。
【0018】
前記踏段11の両側には内側板(欄干)16が設けられており、前記内側版(欄干)16の上部には、前記踏段11と同じ速度で運転方向に移動する、断面下向C字状に形成される移動手摺17が設けられている。
【0019】
図中20は本発明にかかる広告等の表示装置(以下、「表示装置」という。)であり、上層階UFおよび下層階DFにおける前記エスカレーター10の内側板16横に夫々設置されている。
【0020】
図3は表示装置の正面図であり、図4は表示装置の正面縦断面図であり、図5は表示装置の側面縦断面である。
【0021】
前記表示装置20は、金属製の縦長の直方体形状の筐体21の正面に透明の合成樹脂材からなる透過パネル22を嵌め込んで形成されており、前記筐体21の内部には、所定間隔を開けて対向する支持板23a,23aを備えるケーシング23を立設している。そして、前記支持板23a,23a間の上部に出力軸24を架設すると共に、該出力軸24の下方向に並行するように従動軸25を架設し、前記出力軸24および従動軸25に夫々ドラム状プーリ26,26を固定して、前記各ドラム状プーリ26,26間に無端状ベルト27を巻回している。
【0022】
前記出力軸24のエスカレーター10側における前記ドラム状プーリ26と前記支持板23aの間には歯付きプーリ28を介装している。
【0023】
また、前記出力軸24の下方には、一側を前記エスカレータ10の移動手摺17の下部まで延長する入力軸29を架設しており、該入力軸29に取り付けた歯付きプーリ30と、前記出力軸24の歯付きプーリ28との間に歯付きベルト31を介装して、前記入力軸29の回転を前記出力軸24に伝導させている。前記出力軸24および前記従動軸25および前記入力軸29は、前記支持板23a,23aの夫々外側に取り付けられベアリング32,32・・を内蔵したベアリングケース33,33・・により夫々回転自在に支承されている。
【0024】
前記入力軸29は、前記一端を前記支持板23aに固定されたスリーブ34を通して、前記入力軸29の移動手摺の下部まで延長された先端部には、前記移動手摺17と圧接させるための円筒状のローラ35を取り付けている。
【0025】
前記無端状ベルト27の表面には、広告や案内を表示する可撓性を有するフィルム材からなる表示部36を取り付けており、広告や案内を取り替える場合はこの表示部36を取り替えるようにする。
【0026】
図中40は、テンション調節機構であり、前記支持板23a,23aに回転自在に軸支された略コ字状のブラケット41にローラ43を遊挿したローラ軸42を取り付けて、前記ブラケット41をバネ44で中心方向に付勢し、前記無端状ベルト29のテンションを維持している。
【0027】
また、前記筐体21の底部の四隅には、ナット部51と軸部52とを備え、前記軸部52の回転により、前記筐体21の高さ調節が可能な脚部50を設けている。
【0028】
以上のように構成された前記表示装置20を前記エスカレーター10の横に設置する場合は、先ず、前記入力軸29の先端のローラ35を前記エスカレーター10の移動手摺17の下に接面するように配置し、前記脚部50の軸部52を回転させて前記表示装置20を高くして、前記ローラ35を前記移動手摺17に圧接するように、前記筐体21の高さ調整を行う。そして、必要な場合は、前記筐体21をL字金具(図示せず)等により床面に固定するのである。
【0029】
そして、前記エスカレーター10の駆動により前記移動手摺17が回転し、前記移動手摺17の回転に伴い、前記移動手摺17の下面に圧接したローラ35を摩擦伝導により回転させて、前記入力軸29および前記歯付きベルト31を介して前記出力軸24を回転させて、それにより、前記無端状ベルト27を回転させ、前記表示部36を移動せしめるのである。
【0030】
したがって、前記表示装置20には、モーター等の動力装置は必要なく、また、構造が簡単で安価に製作でき、さらに、前記表示部36の交換も容易に行うことができる。
【0031】
なお、前記表示部36は、前記無端状ベルト27と別体として構成したが、前記無端状ベルト27に直接広告や案内を印刷等の手段により表示してこれを表示部36として、前記無端状ベルト27の掛け替えによって広告や案内を取り替えるようにしてもよい。
【0032】
また、本実施の形態においては、前記入力軸29を前記移動手摺17の上部に圧接するように配置したが、前記移動手摺17の下部に圧接するように配置しても良い。その場合は、前記筐体21の内部構造は略上下が逆転した構造となる。
【0033】
また、本実施の形態においては、前記表示装置20をエスカレーター10の横に配置したが、例えば、動く歩道のように、移動手摺17を備える人間の搬送装置の横に配置しても良い。
【符号の説明】
【0034】
UF 上層階
DF 下層階DF

10 エスカレーター
11 踏段
12 踏段チェーン
13 モーター
14 駆動スプロケット
15 従動スプロケット
16 内側板(欄干)
17 移動手摺

20 広告等の表示装置
21 筐体
22 透過パネル
23 ケーシング
23a 支持板
24 出力軸
25 従動軸
26 ドラム状プーリ
27 無端状ベルト
28 歯付きプーリ
29 入力軸
30 歯付きプーリ
31 歯付きベルト
32 ベアリング
33 ベアリングケース
34 スリーブ
35 ローラ
36 表示部

40 テンション調節機構
41 ブラケット
42 ローラ軸
43 ローラ

50 脚部
51 ナット部
52 軸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エスカレーター又は動く歩道の近傍に設置される筐体と、前記筐体内部に広告や案内表示を表示する表示部を備える広告等の表示装置であって、
前記筐体から突出すると共に、前記移動手摺に圧接して前記移動手摺の回転に伴い回転する入力軸と、
前記入力軸と連結して前記表示部を駆動する出力軸を備えることを特徴とする広告等の表示装置。
【請求項2】
前記筐体は前記出力軸と前記出力軸と並行に設けられた従動軸と間に架設された帯状ベルトを備え、
前記帯状ベルトの表面には広告又は案内表示が表示されてなることを特徴とする請求項1に記載の広告等の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−121670(P2011−121670A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−279237(P2009−279237)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(596057387)
【Fターム(参考)】