説明

広角歪補正処理を有する画像処理方法、画像処理装置及び撮像装置

【課題】比較的小規模な回路で、歪み補正処理に関して被写体の正確な認識を図る。
【解決手段】歪み補正係数には、少なくとも、光学系110のレンズの物理的特性及び前記光学系への設定された仮想投影面VPからの入射光の入射角に基づいて算出された第1歪み補正係数と、前記光学系への入射角の正接関数を変数として算出される撮像素子と前記光学系の光軸とが交わる光学中心からの像高である第2歪み補正係数が含まれており、第2歪み補正係数が所定の値以上となる最小入射角がある場合、前記最小入射角より大きな入射角に対応する領域を避けるように前記仮想投影面を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、集光レンズを含む広角な光学系を介して撮像素子により撮像された画像の歪み補正処理を行う、画像処理方法、画像処理装置及び撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、広角レンズあるいは魚眼レンズのような焦点距離の短いレンズや画角の大きなレンズを備えた光学系により撮影した画像は歪曲を伴うので、歪曲を補正する画像処理を行う。
【0003】
このような画像処理について、以下のような特許文献に関連した技術が提案されている。
【0004】
特許文献1には従来技術の補正方法として、焦点距離の短いレンズを使用して撮像された撮像画像に生じる歪曲を、レンズの補正用のパラメータを用いて補正する方法が開示されている。
【0005】
特許文献2では、光学ズーム機構のワイド端からテレ端までレンズ位置毎の光学歪み補正パラメータの算出を補間演算により行うことは、外部情報処理機器を必要とし、撮像装置単体では処理能力的に難しいという問題に対して、光学ズームを行う範囲内で離散的なレンズ位置に対する光学歪み補正パラメータを備え、そしてズームを行う際のレンズ位置を光学歪み補正パラメータを備えるレンズ位置に制限し、制限された位置間の光学ズームを電子ズームで繋いでいる。
【0006】
特許文献3では、広角側の画角の場合には歪み補正を行い、広角側でない画角の場合には歪み補正を行わない等、画角切り換え手段により切り換えた画角の違いによって歪み補正量を変更する映像処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−140066号公報
【特許文献2】特開2009−105546号公報
【特許文献3】特開2009−61969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示されたように、レンズで得た撮像画像を画像処理装置としてハード化した場合に処理時間が長くなり、回路規模が増大してしまい、コストが嵩んでしまうという問題があった。
【0009】
特許文献2では、ズームの際のレンズ位置を離散的な歪み補正パラメータと対応する位置に制限することと、その間を電子ズームで繋ぐことにより、ズーム動作を歪み補正パラメータの補間処理を省略することで撮像装置単体でのズーム動作を実現している。しかし、ズーム動作のような一次元のレンズの動きにのみ適用できることであり、パン、チルト等の多様な動きには適用し難い。すなわち、画像処理によって見え方を変える視点変換には対応できない問題がある。
【0010】
また歪み補正処理をした後の画像は、視野角が狭くなるので広い領域を一度に認識することは難しくなる。歪み補正処理を行わない画像では、視野角は広くなるがその反面、被写体が歪むことにより距離感や大きさの認識が難しくなる。
【0011】
特許文献3では、このような問題に対して画角に応じて歪み補正量を異ならせているが、歪み補正量を逐次変更するものではなく、被写体の歪みの改善と、距離感や大きさの正確な認識という2つの問題の双方を解決するものではない。
【0012】
なお、広角レンズで撮影された歪み無し状態の全体画像から、歪み補正後の画像を生成して表示する場合、最終的な歪み補正後の画像が全体画像のどの部分を表示しているかを明らかにするため、歪み補正状態を少しずつ連続的に変化させつつ表示することが望ましいが、以上の各特許文献は適していないことが判明した。
【0013】
また、本件出願の発明者が上記特許文献とは別の方式で被写体の歪み補正を行い、歪み補正状態を連続的に少しずつ変化させるように処理したところ、入射角とパラメータとの関係で、歪み補正後の画像に乱れが生じることが明らかになった。すなわち、歪み補正状態を表示する画像中に乱れ(画像不良)があるため、被写体の正確な認識が困難になることを発見した。
【0014】
本願発明はこのような問題に鑑み、被写体の正確な認識を図ること、及び、比較的小規模な回路で、処理時間の短縮化を図ることが可能な、画像処理方法、画像処理装置及び撮像装置提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的は、下記に記載する発明により達成される。
【0016】
(1)光学系を介して複数の画素を有する撮像素子に受光して得られた複数の画素データを用いて処理した画像データを得る画像処理方法において、ワールド座標系の仮想投影面の位置及びサイズを設定する第1ステップと、前記第1ステップで設定された前記仮想投影面の各画素のワールド座標系における座標を歪み補正係数を用いてカメラ座標系に変換し、変換したカメラ座標系における座標及び前記複数の画素データに基づいて前記第1ステップで設定された仮想投影面の画像データを算出する第2ステップと、前記第2ステップで算出された画像データによる表示用画像を出力する第3ステップと、を有し、前記第2ステップで用いられる前記歪み補正係数には、少なくとも、前記光学系のレンズの物理的特性及び前記光学系への設定された前記仮想投影面からの入射光の入射角に基づいて算出され前記光学系により生ずる歪みを補正するための第1歪み補正係数と、前記光学系への入射角の正接関数を変数として算出される前記撮像素子と前記光学系の光軸とが交わる光学中心からの像高であって前記歪みを補正しない第2歪み補正係数が含まれており、前記第2ステップには、第2歪み補正係数が所定の値以上となる最小入射角がある場合、前記最小入射角より大きな入射角に対応する領域の画素を避けるように前記仮想投影面を変更するステップを含む、ことを特徴とする。
【0017】
また、光学系を介して複数の画素を有する撮像素子に受光して得られた複数の画素データを用いて処理した画像データを得る画像処理装置または撮像装置であって、歪み補正係数を記憶する記憶部と、位置及びサイズが設定された仮想投影面の各画素のワールド座標系における座標を前記記憶部に記憶された歪み補正係数を用いてカメラ座標系に変換し、カメラ座標系に変換した座標及び前記複数の画素データに基づいて、前記仮想投影面の画像データを算出する画像処理部と、前記画像処理部で算出した画像データの表示用の画像信号を出力する画像信号出力部と、を有し、前記記憶部には、記憶される前記歪み補正係数として少なくとも、前記光学系のレンズの物理的特性及び前記光学系への設定された前記仮想投影面からの入射光の入射角に基づいて算出され前記光学系により生ずる歪みを補正するための第1歪み補正係数並びに前記光学系への入射角の正接関数を変数として算出される前記撮像素子と前記光学系の光軸とが交わる光学中心からの像高であって前記歪みを補正しない第2歪み補正係数を有し、前記画像処理部は、第2歪み補正係数が所定の値以上となる最小入射角がある場合、前記最小入射角より大きな入射角に対応する領域の画素を避けるように前記仮想投影面を変更する、ことを特徴とする。
【0018】
(2)以上の(1)において、前記第3ステップは段階的に歪みが補正された画像データの表示用動画像を出力するものであって、前記第2ステップにおいて前記第1歪み補正係数、前記第2歪み補正係数、及び前記第1、第2歪み補正係数から補間によって得られた第3歪み補正係数を段階的に切り替えて用いて仮想投影面の画像データを算出する、ことを特徴とする。
【0019】
また、以上の(1)において、前記画像信号出力部は段階的に歪みが補正された画像データの表示用動画像を出力するものであって、前記画像処理部は、前記第1歪み補正係数、前記第2歪み補正係数、及び前記第1、第2歪み補正係数から補間によって得られた第3歪み補正係数を段階的に切り替えて用いて仮想投影面の画像データを算出する、ことを特徴とする。
【0020】
(3)以上の(1)〜(2)において、前記第3ステップは段階的に歪みが補正された画像データの表示用動画像を出力するものであって、前記第2ステップにおいて前記第1歪み補正係数、前記第2歪み補正係数、及び前記第1、第2歪み補正係数から補間によって得られた第3歪み補正係数を段階的に切り替えて用いて仮想投影面の画像データを算出し、前記第2ステップで、第2歪み補正係数が所定の値以上となる最小入射角がある場合に該最小入射角より大きな入射角に対応する領域を避けるように前記仮想投影面を変更する際に、前記第1ステップで用いる前記位置及び前記サイズのいずれか少なくとも一つに基づいて前記仮想投影面の変更量を決定する、ことを特徴とする。
【0021】
また、以上の(1)〜(2)において、前記画像信号出力部は段階的に歪みが補正された画像データの表示用動画像を出力するものであって、前記画像処理部は、前記第1歪み補正係数、前記第2歪み補正係数、及び前記第1、第2歪み補正係数から補間によって得られた第3歪み補正係数を段階的に切り替えて用いて仮想投影面の画像データを算出し、
第2歪み補正係数が所定の値以上となる最小入射角がある場合に該最小入射角より大きな入射角に対応する領域を避けるように前記仮想投影面を変更する際に、前記第1ステップで用いる前記位置及び前記サイズのいずれか少なくとも一つに基づいて前記仮想投影面の変更量を決定する、ことを特徴とする。
【0022】
(4)以上の(1)〜(3)において、前記第1ステップでは、ワールド座標系の仮想投影面の第1位置と第2位置を設定し、前記第2ステップでは、初期の前記第2位置と前記第2歪み補正係数、最終の前記第1位置と前記第1歪み補正係数、途中の前記第2位置と前記第1位置の補間によって得られた第3位置と前記第3歪み補正係数、と段階的に切り替えて用いて仮想投影面の画像データを算出する、ことを特徴とする。
【0023】
また、以上の(1)〜(3)において、ワールド座標系の前記仮想投影面は第1位置と第2位置が設定されており、前記画像処理部は、初期の前記第2位置と前記第2歪み補正係数、最終の前記第1位置と前記第1歪み補正係数、途中の前記第2位置と前記第1位置の補間によって得られた第3位置と前記第3歪み補正係数、と段階的に切り替えて用いて仮想投影面の画像データを算出する、ことを特徴とする。
【0024】
(5)以上の(1)〜(4)において、前記第2歪み補正係数は、以下の条件式(1)で表される、ことを特徴とする。
L2=((ExportImageSize/2)/(tan(focal/2)))×tanθ …式(1)
ここで、
ExportImageSize:表示部で表示する出力画像の長辺の長さ,
focal:設定された仮想投影面の長辺方向における画角,
である。
【0025】
(6)以上の(1)〜(5)において、前記仮想投影面の変更は視点変換として行う、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本願発明では、光学系のレンズの物理的特性に基づいて算出された第1歪み補正係数と光学系への入射角を変数とする関係式により算出された第2歪み補正係数のいずれか少なくとも一方を用いて画像データを算出する際に、被写体の正確な認識を図ること及び、比較的小規模な回路で、処理時間の短縮化を図ることが可能となり、仮想投影面を変更することにより、広角レンズへ非常に大きな角度で入射する事による画像処理上の制限で生ずる画像不良に起因する被写体の誤認識を、簡易的な方法で、しかも効果的に軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施形態に係る歪曲補正を説明する模式図である。
【図2】仮想投影面VPの位置を移動させた例を示す説明図である。
【図3】撮像装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】本実施形態の制御フローを示すフローチャートである。
【図5】入射角θと、撮像素子面IA上の像高hとの関係を示す特性図である。
【図6】光学的範囲に仮想投影面VPを設定した状態を示す説明図である。
【図7】第1歪み補正係数L1と第2歪み補正係数L2での像高hとの関係を示す模式図である。
【図8】入出力画像の例を示す説明図である。
【図9】歪補正率あるいは、歪補正率と視点変換率を所定の周期で変更する例を示す説明図である。
【図10】カメラ座標系の画像中心oを回転中心として仮想投影面VPの位置を変更する例である。
【図11】仮想投影面VP0の中心ovを回転中心として仮想投影面VPの位置を変更する例である。
【図12】歪み補正係数の飽和・不連続の状態を示す特性図である。
【図13】歪み補正係数の飽和・不連続の影響による画像不良を写真画像で示す説明図である。
【図14】本実施形態のブラックアウトポイントを示す特性図である。
【図15】本実施形態のブラックアウトポイントを示す特性図である。
【図16】本実施形態で仮想投影面を変更する様子を示す説明図である。
【図17】カメラ座標系xyと撮像素子面IAとの対応関係を示す図である。
【図18】歪み補正処理を説明する模式図である。
【図19】本実施形態を適用した処理画像の表示例を写真画像で示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施の形態に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に示される具体例に限られるものではない。
【0029】
〔A〕座標系:
図1は、本実施形態に係る歪曲補正を説明するための座標系を示す模式図である。
【0030】
この図1において、X、Y、Zは空間の中での物体の位置を示すための座標系としてのワールド座標系であり、原点Oは光学系のレンズ中心である。ここで、Zは光軸、XY平面はレンズ中心Oを通るレンズ中心面LCを含んでいる。点Pはワールド座標系XYZにおける被写体の物点である。θは光軸(Z軸に一致)に対する入射角である。
【0031】
一方、x、yはカメラを基準としたカメラ座標系であり、xy平面は撮像素子面IAに対応する。oは光学中心であり光軸Zと撮像素子面との交点である。点pはカメラ座標系における撮像素子面上の点であり、物点Pをレンズの物理的特性に基づくパラメータ(以下、「レンズパラメータ」という)に基づく歪み補正係数(後述の第1歪み補正係数L1に相当)を用いてカメラ座標系に変換したものである。
【0032】
図1において、VPは仮想投影面である。仮想投影面VPは光学系のレンズ位置(レンズ中心面LC)に対して撮像素子(及び撮像素子面IA)とは反対側に設定される。仮想投影面VPは、ユーザによる操作部130(図3のブロック図を参照)への指示に基づいて、位置の移動及びサイズの変更を行うことが可能である。なお、本願明細書において「位置変更」とは、仮想投影面VPをXY平面上で平行移動させる場合のみならず、XY平面に対する角度変更(姿勢変更ともいう)をも含む概念である。
【0033】
初期状態(初期の位置設定のこと、以下同様)において仮想投影面VPは、所定サイズでレンズ中心面LCと平行(XY方向)の所定位置(Z方向)に配置され、仮想投影面VPの中心ovはZ軸上に位置している。Gvは物点Pが仮想投影面VP上に投影された点であり、物点Pとレンズ中心Oを通る直線と仮想投影面VPとの交点である。
【0034】
図2は、操作部130の入力に基づいて、仮想投影面VP0をXZ平面上で回転させて、仮想投影面VP1とした状態を示している。
【0035】
〔B〕構成:
図3は、本実施形態で使用される撮像装置の概略構成を示すブロック図である。撮像装置は、撮像ユニット110、制御装置100、表示部120、操作部130を備え構成されている。
【0036】
撮像ユニット110は、短焦点のレンズ、撮像素子等を備えて構成される。本実施形態においては、短焦点のレンズとしては例えば広角レンズ、魚眼レンズがある。
【0037】
制御装置100は、画像処理部101、設定部102、記憶部103を備えて構成される。
【0038】
設定部102では、操作部130への入力指示に基づいて仮想投影面VPの位置、サイズの設定を行う。
【0039】
画像処理部101では、設定された仮想投影面VPの位置、サイズに基づいて仮想投影面上の各座標のカメラ座標系への変換テーブルを作成し、当該変換テーブルを用いて撮像ユニット110で撮影した画素データを処理して表示部120に表示させる画像データの作成を行う。すなわち、画像処理部101は、レンズデータに基づいてワールド座標の位置がカメラ座標のどの座標位置に対応するかを当てはめる座標変換を行う。この際に、歪み補正及び、仮想投影面VPの位置の計算にともなう回転、平行移動、拡大、縮小が併せて行われる。また画像処理部101は、表示用の画像信号の出力を行う画像信号出力部としても機能する。
【0040】
記憶部103には、撮像ユニット110のレンズ(実レンズ)の物理的特性及び設定された仮想投影面からの入射光の入射角に基づくレンズ物理的特性に係るパラメータにより算出された係数、すなわち光学系で生ずる歪みを補正するための係数である第1歪み補正係数L1と、当該歪みの補正を行わないための係数に相当する、設定された仮想投影面からレンズへ入射する入射光の入射角の正接関数を変数として算出される、前記撮像素子と前記光学系の光軸とが交わる光学中心からの像高である、第2歪み補正係数L2とが記憶されている。
【0041】
また記憶部103は、仮想投影面VPの位置、サイズ及び作成した変換テーブルの記憶も行う。なお歪み補正係数は、レンズのキャリブレーションデータの取得やレンズのfθ特性に基づく計算等により求めることができる。
【0042】
なお、本実施形態でいう「歪み補正を行わない」とは、実質的に、撮像されたままの歪みが生じているものを言い、歪み補正が良好に行われているものから若干劣るものを指すものではない。
【0043】
表示部120は、液晶ディスプレイ等の表示画面を備え、撮像ユニット110で撮影した画素データに基づいて画像処理部101で作成した画像データに基づく表示用画像を逐次、表示画面に表示させる。
【0044】
操作部130は、キーボード、マウス、あるいは表示部の液晶ディスプレイに重畳して配置されたタッチパネル等を備え、ユーザの入力操作を受け付ける。
【0045】
〔C〕制御:
以下、図4のフローチャートを参照して、本実施形態の制御を説明する。なお、本制御フローチャートにより、連続して入力する入力画像を処理して連続的に出力画像を表示部120に表示させることにより動画を表示するものである。
【0046】
〔C−1〕設定、入力:
まず、仮想投影面の設定、視点変換の設定、歪み補正条件の設定などが入力される(図4中のステップS101)。なお、これが第1ステップである。これら、各種の設定は、ユーザによる操作部130への入力指示に基づいて、設定部102により仮想投影面VPのワールド座標系における位置、サイズを設定することにより行われる。また、撮像ユニット110で使用するレンズの特性などは記憶部103から読み出される。
【0047】
そして、撮像ユニット110から画像信号が入力され、例えばフレームレート60fpsで入力画像が制御装置100に取り込まれる(図4中のステップS102)。
【0048】
〔C−2〕仮想投影面計算:
ここで、画像処理部101では、設定された条件に基づいて並進ベクトルや回転ベクトルの計算を行ってユーグリッド変換を行うことで、仮想投影面VPの位置の計算を行う(図4中のステップS103)。なお、この仮想投影面計算と後述する歪み補正係数の取得と歪み補正処理とが、第2ステップである。
【0049】
〔C−3〕歪み補正係数の取得:
そして、画像処理部101は、レンズデータに基づいてワールド座標の位置がカメラ座標のどの座標位置に対応するかを当てはめる座標変換を行うための、第1歪み補正係数L1と第2歪み補正係数L2を取得する(図4中のステップS104)。
【0050】
ここで画像処理部101が取得する歪み補正係数には、光学系で生ずる歪みを補正するための係数であるレンズの物理的特性に係るパラメータ及び設定された仮想投影面からの入射光の入射角に基づいて決定された第1歪み補正係数L1と、光学系への設定された仮想投影面から入射する入射光の入射角θ(図1参照)の正接関数を変数として算出される、前記撮像素子と前記光学系の光軸とが交わる光学中心からの像高である第2歪み補正係数L2が含まれている。なお、第2歪み補正係数L2とは、歪み補正を行わないに相当する歪み補正係数であり詳細は後述する。
【0051】
なおここでの第1歪み補正係数L1は、ユーザが必要に応じて、例えば1フレーム毎に随時書き換える事ができる構成としても良い。即ち、設定部102において第1ステップ時の仮想投影面の位置及び画面サイズを入力する事で第1歪み補正係数L1を取得する他に、第1歪み補正係数L1の値を直接変更するよう、パラメータ入力できる構成とし、これによりカメラ座標上の画素とワールド座標上の対応画素との関係を任意に変更するような構成としても良い。
【0052】
このように書き換えた第1歪み補正係数L1と仮想投影面上の座標、画面サイズから入射角と光軸とが交わる光軸中心からの像高位置を変更する事も本発明の場合、可能である。
【0053】
これによりカメラ座標上の対応する画素位置(領域)を予め固定しておく場合と比べて、様々な光学系に柔軟に対応できると共に、カメラ座標上の画素位置(領域)に依存しない様々な歪補正条件を採用する事ができる、という効果を奏する。
【0054】
さらに、画像処理部101は、第1歪み補正係数L1と第2歪み補正係数L2との間を補間して滑らかに座標変換を実行するように、複数段階の第3歪み補正係数L3を取得する(図4中のステップS105)。
【0055】
〔C−3−1〕歪み補正係数の説明:
以下、歪み補正係数について説明する。
【0056】
〔C−3−1−1〕第1歪み補正係数L1と第2歪み補正係数L2の説明:
ここで、第1歪み補正係数L1と第2歪み補正係数L2とについて、図5以降を参照して説明する。
【0057】
図5は、入射角θを横軸として、撮像素子面IA上の光軸Zと交わる光学中心oからの像高h(w2c値)を縦軸とした関係を示す特性図である。
【0058】
この図5において、第1歪み補正係数L1(図5実線)、第2歪み補正係数L2(1点鎖線)、L1とL2の補間による第3歪み補正係数L3(2点鎖線)、のそれぞれについて、入射角θと像高hとの関係を表示している。
【0059】
また、図6は光学系によって決まる光学的範囲に仮想投影面VPを設定した状態を示している。そして、図7は、第1歪み補正係数L1、第2歪み補正係数L2におけるそれぞれの像高h(h1、h2で表示)の関係を示す特性図である。これら、図6、図7において、図1と共通する部位については共通する符号を付与させている。
【0060】
図5の特性図に示すように、第2歪み補正係数L2では、入射角θに対応した歪曲収差が生じ、入射角θが大きくなるほど像高h(w2c値)が大きくなり、歪曲収差の量も大きくなる。つまり、歪補正率=0%であり、当該係数を用いる事で光学系に応じた歪みがそのまま補正されていない画像データが得られる。
【0061】
一方、図5の特性図において、第1歪み補正係数L1はレンズによる歪曲収差の影響を打ち消すように歪補正率=100%として設定した歪み補正係数であり、主に撮像ユニット110のレンズの物理的な特性及び設定された仮想投影面から光学系に入射する入射光の入射角により決定される係数である。
【0062】
また、第1歪み補正係数L1と第2歪み補正係数L2の補間による第3歪み補正係数L3は、第1歪み補正係数L1と第2歪み補正係数L2との補間割合に応じて歪補正率が決定される。なお、第3歪み補正係数L3と補間割合については後述する。
【0063】
ここで、第2歪み補正係数L2は、光学系への入射角θを変数として算出される、前記撮像素子と前記光学系の光軸とが交わる光学中心からの像高に関する歪み補正係数であり、関係式としては例えば以下の式(1)を用いている。なお、式(1)を数倍にすれば出力画像の拡大縮小を容易に行う事ができるというメリットがある。
L2=((ExportImageSize/2)/(tan(focal/2)))×tanθ …式(1),
この式(1)においては、「ExportImageSize」とは、表示部で表示する出力画像の長辺(通常は水平方向、x)の長さであり、単位はpixelである。またこれは仮想投影面VPの長辺のサイズと一致している。
【0064】
また、この式(1)において、「focal」は設定された仮想投影面の長辺方向における画角を意味している。ここで、図6を参照して「focal」について説明する。図6においてωは、光学的範囲に対応する光学的画角であり、「focal」とは仮想投影面VPの長辺方向における画角のことである。なお、式(1)に替えて、正射影や等距離射影の関係式を用いても良い。また「focal」はユーザが任意に設定する光学的範囲の内、表示範囲に相当するものであり、必ずしも画角の長辺方向でなくても良い。
【0065】
なお、魚眼レンズ等の超広角レンズでは入射角が90°を超える場合もある。この場合に、上述した式(1)では入射角が90°を超えるとtanθの符号が反転してしまうため、第2歪み補正係数L2の本来の値とは乖離してしまう。このため、本実施形態では、上述した式(1)にかかわらず、入射角が90°を超えた領域では、像高(w2c値)が無限大であるものとして計算を行う。
【0066】
また、本実施態様においては上記条件式(1)で説明しているが、条件式は必ずしもこれに限定されず、要は入射角θを変数とした像高、つまり光学中心からのカメラ座標上の距離を算出する条件式であれば良い。
【0067】
図7は、第1歪み補正係数L1と第2歪み補正係数L2での像高hとの関係を示す模式図である。像高hは、図5に示すように入射角θと補正係数で決定される。第2歪み補正係数L2では被写体(物点P)の像高(光軸Zからの距離)と撮像素子面IA上における像高hとは比例する関係となる。また第1歪み補正係数L1の像高h1に比べて第2歪み補正係数L2における像高h2は、図7に示されるように長くなる。
【0068】
ここで、上述した第1歪み補正係数L1と第2歪み補正係数L2の意味を明らかにするため、入力画像、上述した第1歪み補正係数L1により処理された画像、第2歪み補正係数L2により処理された画像、の例を図8に示す。
【0069】
なお図8においては、仮想投影面VPが初期状態に設定されている場合の例を示している。図8(a)は矩形の壁面に設置された長方形のチャートを、広角レンズを備えた撮像ユニット110で得られた入力画像である。また、図8(b)は第1歪み補正係数L1を用いて後述する歪み補正処理を行った場合の出力画像、図8(c)は第2歪み補正係数L2を用いて後述する歪み補正処理を行った場合の出力画像、の一例である。
【0070】
図8(b)に示す例では入力画像での歪曲した曲線は直線となるように補正されていることがわかる。一方で図8(c)に示すように第2歪み補正係数L2により歪み補正処理した場合には、出力画像は図8(a)に示す入力画像とほぼ同一である。つまり歪み補正を行わない場合と同等の出力画像が得られていることがわかる。
【0071】
なお、第3歪み補正係数L3を用いて歪み補正処理を行うと、後述するように、図8(b)と図8(c)の中間の歪み補正状態の画像が得られる。
【0072】
〔C−3−1−2〕歪み補正係数L3の説明:
ここで、第3歪み補正係数L3について説明する。歪み補正係数の算出にあたり、歪補正率(DistRatio)を変更することにより、第1歪み補正係数L1と第2歪み補正係数L2との補間によって算出する第3歪み補正係数L3を段階的に切り替え可能に算出している。
【0073】
また、この実施形態では更に、仮想投影面VPの位置も第1位置V1と第2位置V2との補間によって算出する第3位置V3も視点変換率(VCRatio)の変更に合わせて段階的に切り替えている。視点変換の具体例については後述する。
【0074】
なお第3歪み補正係数L3、第3位置V3は、以下の式(2)、式(3)により算出している。
【0075】
L3=DistRatio/100×L1+(1−DistRatio/100)×L2 …式(2),
但し、0≦DistRatio/100≦1である。
【0076】
V3=VCRatio/100×V1+(1−VCRatio/100)×V2 …式(3),
但し、0≦VCRatio/100≦1である。
【0077】
ここで、条件設定(図1中のステップS101)で設定された処理時間に対応して、歪補正率と視点変換率を算出する。例えば10secを1サイクルに設定している場合には、時間が基準の0.0secであれば歪補正率と視点変換率はともに0%、時間が5.0secであれば歪補正率と視点変換率はともに50%、時間が10.0secであれば歪補正率と視点変換率はともに100%、となる。
【0078】
このようにして算出した歪補正率から、上述した式(2)に基づいて歪補正係数L3を算出する。なお、歪補正率が0%の場合には第2歪み補正係数L2そのもの、100%の場合には第1歪み補正係数L1そのものとなる。
【0079】
また、視点変換率から、仮想投影面VPの第3位置の算出を行う。なお第2歪み補正係数L2に対応する仮想投影面VPの初期状態の位置である第2位置と、第1歪み補正係数L1に対応する仮想投影面VPの最終位置である第1位置は、ステップS101で設定されたものである。すなわち、第3位置の算出は、仮想投影面VPの第1位置と第2位置の座標を、視点変換率を用いることで、式(3)により算出する。
【0080】
ここで、歪補正率あるいは、歪補正率と視点変換率を所定の周期で変更する例を図9に示す。
【0081】
図9(a)は、10secを1周期として歪補正率の変更により第3歪み補正係数L3を1秒ごとに10ポイントずつ段階的に変更する例である。なお、図9(a)の例では視点変換は行っていない。
【0082】
図9(b)は、10secを1周期として歪補正率の変更により第3歪み補正係数L3を1秒ごとに10ポイントずつ段階的に変更する例である。また視点変換率を変更することにより第3位置V3も段階的に変更している。図9(b)の例では視点変換率の変更にともない歪補正率も変更している。なお、図9(a)、図9(b)においては10sec周期、全11段階で変更した例を示しているがあくまでも例示であり、周期を任意に変更したり、これよりも細かく多段階に変更したりしてもよい。
【0083】
〔C−3−1−3〕仮想投影面VPの変更と視点変換:
ここで、視点変換について説明する。図10は、カメラ座標系の画像中心oを回転中心(若しくは移動中心)として仮想投影面VP0の位置を変更する例である。この図10に示すように画像中心oを回転中心としてx軸回りの回転が実pitch(tilt:チルトともいう)であり、y軸回りの回転が実yaw(pan:パンともいう)、Z軸回りの回転が実rollである。
【0084】
図11は、入力された回転量の設定値に基づいて仮想投影面VP0の中心ovを回転中心として仮想投影面VPの位置を変更する例である。仮想投影面VP0上の直交する関係となる2軸の一方をYaw−axis、他方をP−axisとして設定する。両者は中心ovを通る軸であり、中心ovを回転中心としてYaw−axis回りの回転を仮想yaw回転、P−axis回りの回転を仮想pitch回転という。以下においては仮想カメラCa0を回転あるいは位置変更させたことに相当する視点変換が行われる。
【0085】
図9(b)における、第2位置V2は初期状態の位置に設定している。このときの仮想投影面VPはXY平面と平行でありその中心ovは光軸Z上にある(図10、図11のVP0の位置に相当)。第1位置V1は、仮想pitch及び実pitchがともに45度で両者を合わせて90度に設定した例である。この場合、被写体を見下ろすように視点変換がなされる。なお位置変更の組み合わせはこれに限られず、平行移動、実picth、実yaw、実roll、仮想pitch、仮想yaw、の何れかあるいはこれらを組み合わせても良い。
【0086】
〔C−4〕歪み補正係数の不連続性の解析と対策:
以下、図5に示した歪み補正係数を用いることによって発生しうる画像不良について、図12以降を参照して説明する。なお、この図12でも、入射角が90°を超える超広角レンズに配慮し、上述した式(1)にかかわらず、入射角が90°を超えた領域では、本来の像高(w2c値)が無限大であるものとして計算を行う。
【0087】
〔C−4−1〕第2歪み補正係数L2の飽和:
図5では理想的な歪み補正係数について説明していたが、第2歪み補正係数L2はtanθの関数であり、入射角θが90°に近づくにつれ像高としてのw2c値が急激に増大する。
【0088】
つまり、第2歪み補正係数L2は入射角が90度を超えなくても無限大にはならないまでも非常に大きな値となる。そのため画像処理部101の演算処理能力によって制限を受けることがある。たとえば、画像処理部101においてw2c値一つあたりに確保されているデータサイズが9ビットの処理能力である場合には、処理可能最大値は511であり、511を超える値については511として処理される。このため、第2歪み補正係数L2による像高h(w2c値)は、図120の(a)のように飽和した特性になる。つまり、第2歪み補正係数L2はtanθの関数であるため、入射角θが90°以上又は90°に近づいてw2c値が急激に増大すると、処理能力の影響で飽和して第2歪み補正係数L2は不連続な曲線となる。
【0089】
〔C−4−2〕第3歪み補正係数L3への影響:
上記の飽和特性は、第1歪み補正係数L1と第2歪み補正係数L2との補間により生成される第3歪み補正係数L3についても同様に影響を受けることになる。すなわち、図12に示すように、第2歪み補正係数L2の飽和の影響を受ける事で補間値である(b)の領域で第3歪み補正係数L3による像高hも同様に飽和して不連続となり変形する。
【0090】
〔C−4−3〕画像への影響:
第2歪み補正係数L2が飽和して第3歪み補正係数L3が不連続になると、このような歪み補正係数を用いて歪み補正処理した場合には、歪み補正係数の飽和や不連続に対応して、対応する入射角の範囲内で画像不良が発生することがある。以下、画像不良について説明する。
【0091】
〔C−4−3−1〕画像不良(1):
たとえば、図13の一点鎖線(a)で囲んだ範囲に示すように、歪み補正係数の飽和や不連続に対応する入射角の範囲内で、帯状の色のにじみ等により、本来は存在しない画像(偽画像)となって現れてくる。この画像不良のため、従来は被写体の正確な認識が困難になる場合があった。
【0092】
この偽画像による画像不良は、計算の途中において飽和したw2c値がオーバーフローして0として扱われ、その結果としてw2c=0に相当する光軸中心座標(像高=0)付近の画素が飽和した入射角の位置に出現する現象である。
【0093】
なお、図13では、歪み補正処理と共に視点変換を行った状態を示すが、視点変換を行わずに歪み補正処理のみを行った場合でも、第2歪み補正係数L2の飽和や第3歪み補正係数L3の不連続の影響により、対応する入射角のいずれかの領域において同様な画像不良が発生する。
【0094】
また、この画像不良は入射角が一定以上の領域で発生するものであるため、図13(a)のような直線帯状ではなく、画像の歪みに合わせた曲線形状で出現することもあり得る。
【0095】
〔C−4−3−2〕画像不良(2):
また、図12の領域(b)において、第3歪み補正係数L3の傾きが本来の状態より小さくなっていることに起因して、本来より小さい値が指定された状態になり、中心から外側に広がるように「にじみ」として観察されうる画像不良も存在している。なお、この場合は、「にじみ」薄く広がっているため、図13では特定の箇所を示していない。
【0096】
〔C−4−3−3〕画像不良(3):
また、歪み補正処理や視点変換処理などの画像処理により、元々は存在しない画素が、図13(b)の破線で囲んだ領域のように黒色の領域として出現する。同様にして、撮像ユニット110のレンズの画角外の領域が、図13(b)の破線で囲んだ領域のように灰色の領域として表示される。
【0097】
これら黒色領域や灰色領域は、歪み補正率や視点変換の度合いに応じて形や大きさが変化することになり、被写体の認識にとって邪魔な存在になる。また、この黒色領域や灰色領域は、上述した帯状の画像不良や滲みによる画像不良と同様に、入射角が一定以上の領域で発生するものであり、画像不良として扱うことが可能である。
【0098】
〔C−4−4〕ブラックアウトポイント:
本実施形態においては、図12に示されるようにこのように第2歪み補正係数L2が取得される事で画像不良が発生する可能性が高い飽和領域の画素データが存在する場合に、後述する仮想投影面変更をすることで、画像不良が可視化しないようにする。なお、仮想投影面変更の内容については後述する。そして、このような後述する仮想投影面変更の対象である画素データか否かを判断するための閾値としてブラックアウトポイントを設定している。
【0099】
なおブラックアウトポイントbopとは、第2歪補正係数において前述した画像処理の制限の関係でw2c値が所定値以上に飽和する点をいい、このbopに対応する最小の入射角をθbopとしている。そして、仮想投影面変更は、このようなθbopよりも大きな入射角に対応する画素が存在する場合に適用する。また第1歪み補正係数と第2歪み補正係数との補間によって得られる第3歪み補正係数を用いて段階的に歪み補正の度合いを変更するような場合には、bopを通る所定の境界線を設定して、このbopを通る所定の境界線に基づいて判別される第3歪み補正係数の所定の入射角を第2のブラックアウトポイントとし、当該入射角よりも大きい入射角に対応する画素が存在する場合に同様に仮想投影面変更を行う。なおbopを通る所定の境界線も、飽和する領域に設定されて、飽和するw2c値を仮想投影面変更するかしないかの閾値である。例えば本実施形態においては図14、図15の第2歪み補正係数L2における(c)点がbopであり、境界線は図14では入射角θの軸に直交する直線が設定されている。同様に図15でも(c)点がbopであり、このbopを通り所定の傾きをもって設定された直線が境界線である。
【0100】
ここで、画像処理部101は、図14(a)のように第2歪み補正係数L2が飽和した場合に、ブラックアウトポイントbopを通る境界線として、θbopにおける第2歪み補正係数L2(図14(c))におけるw2c値、第2のブラックアウトポイントとしてθbopにおける第3歪み補正係数L3(図14(d1)〜(d4))におけるw2c値、第3のブラックアウトポイントとしてθbopにおける第1歪み補正係数L1(図14(d5))におけるw2c値、を取得する(図4中のステップS106)。但し第1歪み補正係数L1では、第2歪み補正係数L2の飽和の影響を受けない。
【0101】
なおこの図14のようなbopを通る境界線は、入射角が90度を超えないような、比較的レンズの画角が狭い光学系仕様の場合や、視点変換がない場合、L2とL1との間の変化の時間が短い場合やユーザが飽和によるエラー画素を生じさせない方を重視させる場合に有用である。
【0102】
また、ブラックアウトポイントbopを通る境界線の別態様としては、図15(a)のようにθbopと、撮像ユニット110のレンズの最大入射角θbop2とを求め、ブラックアウトポイントbop(図15の(c)点)とθbop2における第1歪み補正係数L1(図15の(f)点)とを結ぶ線をブラックアウトを通る境界線line_bop(図15中の破線)とする事が可能である。そして画像処理部101は、bopにおけるw2c値、第2のブラックアウトポイントとしてline_bopと交差する第3歪み補正係数L3(図15の(e1)〜(e4)点)におけるw2c値、第3のブラックアウトポイントとしてθbop2における第1歪み補正係数L1(図14の(f)点)におけるw2c値、を取得する(図4中のステップS106)。この場合、第3歪み補正係数L3が第1歪み補正係数L1に近づくにつれて、補間比率の関係で第2歪み補正係数L2の飽和の影響を受けなくなるため、仮想投影面変更する入射角を徐々に大きくしている。このような境界線は、入射角が90度を超える広入射角の光学系仕様の場合など、入射角が飽和領域の一部の値を用いる場合や、視点変換の角度が大きい場合、画像の急激な変化が好ましくない場合等に有用である。
【0103】
そしてこのようにブラックアウトポイントを通る境界線を適宜設定する事で、前述した仮想投影面変更するかどうかの閾値が設定されるため、後段の歪補正処理において各歪み補正係数によりカメラ座標系の各画素データに対応づけられたワールド座標系の各画素データを用いるか、それとも仮想投影面変更するかを判別して、該当する場合については仮想投影面変更を適用する。
【0104】
〔C−4−5〕画像不良対策:
ここで、θbは図14〜図15のように入射角が90°に近い値であり、図13(a)の画像具体例で示したように、画像の隅で発生する。このため、仮想投影面VPを変更して視点変換することで、画像不良領域を避けることが可能である。
【0105】
たとえば、図13(a)のように画面下端部付近に発生する画像不良に対しては、図16(a)に示すように、仮想投影面VP0を画像不良と反対側である上方に変更することで、画像不良を含まないようにすることが可能である。
【0106】
同様に、図13(a)のように画面下端部付近に発生する画像不良に対して、図16(b)に示すように、仮想投影面VP0を光軸に沿って仮想カメラCa側に近づけるよう変更することで、端部の画像不良が撮像範囲外にはみ出すため、結果として画像中に画像不良を含まないようにすることが可能である。
【0107】
なお、このような画像不良領域における仮想投影面変更は、以上の図13(a)の仮想投影面の位置や角度による変更、図13(b)の画角による仮想投影面のサイズの変更について単独でなく、組み合わせることも可能であり、いずれか少なくとも一つにより仮想投影面の変更を行えばよい。また、これらの仮想投影面変更による画像の具体例は、後に詳しく説明する。
【0108】
すなわち、画像処理部101は、上述したθbに基づいて、仮想投影面の変更量OFvpを算出する(図4中のステップS107)。なお、この仮想投影面の変更量OFvpには、仮想投影面の変更方向と変更量とが含まれる。図14のようにθbが1種類の場合には変更量OFvpも1種類であるが、図15のように歪み補正係数に応じてθbが異なる場合には、対応するOFvpもθbの値に応じて複数種類になる。すなわち、画像処理部101は、第3歪み補正係数L3に含まれる第2歪み補正係数L2の割合に応じて仮想投影面の変更量OFvpを決定する。
【0109】
〔C−5〕歪み補正処理用LUT作成:
画像処理部101は、各画素が上述した閾値に該当するか否かとは独立に、第1歪み補正係数L1、第2歪み補正係数L2、第3歪み補正係数L3、仮想投影面変更量OFvpについて、各補正率と入射角θとに応じたw2c値から、仮想投影面VPの座標をワールド座標系からカメラ座標系に変換する際の歪み補正処理に用いるLUTを作成する(図4中のステップS108)。そして生成されたLUTは記憶部103に記憶される。
【0110】
なお、歪補正率毎に異なるLUTを設けても良いし、1つのLUTに複数の歪補正率に対応したデータを格納してもよい。
【0111】
ここで、図17(a)は、ワールド座標系を説明する模式図である。図17(a)に示すようにワールド座標系における仮想投影面VPの4隅の点A(0,0,Za)、点B(0,479,Zb)、点C(639,479,Zc)、点D(639,0,Zd)で囲まれる平面を等間隔で640×480pixelの画素Gv(総画素数30.7万)に分割し、全ての画素Gvそれぞれのワールド座標系における座標を取得する。なお、この図17(a)におけるX、Y座標の値は例示であり、理解を容易にするために、A点のX、Y座標をゼロとして表示している。
【0112】
画素Gvのワールド座標系での座標と、ステップS104〜S105で取得した歪み補正係数から、撮像素子面IAでの対応するカメラ座標系での座標Gi(x’,y’)を算出する。具体的には、当該歪み補正係数と各画素Gvの座標から得られる、光軸Zに対する入射角度θにより算出している(参考文献:国際公開第2010/032720号)。
【0113】
図17(b)は、カメラ座標系xyと撮像素子面IAとの対応関係を示す説明図である。図17(b)において点a〜dは、図17(a)の点A〜Dを、第1歪み補正係数L1を用いて生成されたLUTによりカメラ座標系に変換したものである。
【0114】
なお図17(a)では点A〜Dで囲まれる仮想投影面VPは矩形の平面であるが、図17(b)においてカメラ座標系に座標変換した後の点a〜dで囲まれる領域は(仮想投影面VPの位置に対応して)歪んだ形状となる。なお図17(b)においては樽型形状に歪んだ例を示しているが、光学系の特性により糸巻型、陣笠型(中央では樽型で端部では直線あるいは糸巻型に変化する形状)の歪みとなる場合もある。
【0115】
〔C−6〕歪み補正処理実行:
画像処理部101は、図9のように時間に応じて歪補正率を変えつつ、LUTを用いて歪み補正処理した画像を生成する(図4中のステップS109)。
【0116】
図18は、歪み補正処理を説明する模式図である。図18は画像データの一部を拡大表示したものであり、図示される格子はそれぞれ画素の区切りを示している。
【0117】
図18(a)の入力画像データは図17(b)の一部を拡大表示したものであり、図17(a)〜図17(b)で説明したように、直線上の被写体は、撮像素子面IA上では収差の影響で曲線上(図18(a)太枠のGi1〜Gi3)に入力されることになる。出力画像データの生成は、LUTを用いて出力画像データの各画素データを、入力画像データの対応する画素データを用いることにより行う。
【0118】
LUTは、各歪補正率に応じた歪み補正係数を考慮して生成されているので、最終的に歪補正率=100%の第1歪み補正係数L1に基づいて生成されたLUTのデータを用いた場合には、当該LUTの対応関係により画素Gv1のデータ(例えば輝度信号)は図18(a)の座標(100,200)のGi1のデータを参照することになる。Gv2、Gv3も同様にそれぞれGi2、Gi3のデータを参照する。
【0119】
また、画像処理部101では、各歪補正率において、前述した様にブラックアウトポイントを通る境界線で設定される閾値以上の入射角に対応する画素が存在すると判断された場合には、LUTに従い仮想投影面変更量OFvpに基づいた仮想投影面の変更などの処理を行う。すなわち、第2歪み補正係数L2が所定の値以上となる最小入射角がある場合、該最小入射角より大きな入射角に対応する領域を避けるように仮想投影面を変更する処理を行う。
【0120】
〔C−7〕画像出力:
画像処理部101は、図9のように時間に応じて歪補正率を変えつつLUTを用いて歪み補正処理して生成した画像を表示部120に出力し画像表示する(図4中のステップS110)。たとえば、歪み補正処理により生成された出力画像を表示部120に対して、例えばフレームレート30fps、あるいは60fpsで出力して全体の処理を終了する。なお、この画像出力が、第3ステップである。
【0121】
このような結果、歪補正率に応じて歪みが補正され、歪補正率=100%では図18(b)に示すように、出力画像データを生成に伴い曲線状の歪みは解消されて、直線の被写体は元の直線として生成(表示)されることになる。
【0122】
また、図18には示されていないが、歪補正率=0%であれば図18(a)の歪みをそのままのこした形状の画像が出力され、歪補正率が0%より大きく100%より小さけば図18(a)と図18(b)の中間の歪みを残した形状の画像が出力される。
【0123】
なお、この際に、ステップS101において仮想投影面VPの設定により視点変換の設定がなされているような場合には、画像処理部101でこのような処理も併せて行われることになる。
【0124】
〔D〕歪み補正処理による表示例:
以下、本実施形態の歪み補正処理を適用した場合の表示例を説明する。
【0125】
図19(a)〜図19(c)は、上述したように90°見下ろす視点変換を伴い、上述した各歪み補正係数により画像処理部101で歪み補正処理し、表示部120に表示させた表示画像の例である。なお、ここでは、図19(a)が歪み補正率0%、図19(b)が歪み補正率50%、図19(c)が歪み補正率100%であり、歪み補正処理の途中段階を一部省略している。図19(c)では、歪補正率が100%とすることにより画像の歪みは解消されており、また位置の移動により仮想pitch及び実pitchがともに−45deg変更されており被写体を見下ろすように視点変更がなされている。
【0126】
なお、図19(b)では、本実施形態を適用する前の状態であり、第2歪み補正係数L2の飽和による不正計算結果によって画像不良が生じている状態を示している。
【0127】
ここで、図19(b1)は、図16(a)のように、本実施形態の仮想投影面変更として、仮想投影面を画像不良と反対側である上方に変更することで、画像不良(図19(b)の帯状ノイズ)を含まないようにした具体例である。この場合、図19(b1)は、図19(b)と比較すると、正面のチャートの上部まで写るようになっているが、違和感はほとんど生じない。
【0128】
一方、図19(b2)は、図16(b)のように、本実施形態の仮想投影面変更として、仮想投影面を光軸に沿って近づけるように位置を変更することで仮想投影面を拡大して、画像不良(図19(b)の帯状ノイズ)を含まないようにした具体例である。この場合、図19(b2)は、図19(b)と比較すると、全体が拡大されているが、違和感はほとんど生じない。
【0129】
なお、本図面では明確ではないが、本態様のように周辺部の画像不良を含まないように仮想投影面変更を行う事によって、周辺部に生じる「にじみ」についても効果的に解消される。
【0130】
また、上述したようにθbに基づいて、仮想投影面変更量OFvpを算出しているため、仮想投影面の変更は画像不良を含まないようにする最低限の変更で済むため、出力される画像に対する変更は最低限になる。
【0131】
なお、以上の図19(a)の仮想投影面の位置や角度による変更、図19(b)の画角による仮想投影面のサイズの変更については、図10,図11のような仮想投影面の回転と図16のような仮想投影面の並行移動とを適宜組合せたり、それぞれを単独で行って仮想投影面の変更を行うような構成であっても良い。
【0132】
以上の処理で、表示部120には、図19(a)を初期画像として、途中の歪み補正率に基づいて歪み補正をすると共に画像不良を含まないようにした途中段階の処理済み画像(図19では詳細省略)を表示しつつ、最終画像の図19(c)までを一定の速度で表示画像を順次更新しながら表示させている。図9(b)の具体例では、補正率及び位置移動率が低い画像から高い画像まで順に表示させ、これを10秒周期で繰り返すことになる。
【0133】
本実施形態によれば、位置が設定された前記仮想投影面を補正係数によりカメラ座標系に変換し、変換したカメラ座標系の座標及び前記画素の画素データに基づいて前記仮想投影面の画像データの算出を行うに際し、補正係数及び位置のデータを変更させながら画像データの算出を行うことにより、歪補正率変更とともに仮想投影面の位置変更(カメラ視点の変更)を並行して行う場合であっても、別なプロセスを設ける必要がない。新たなリソースの増強を必要とせずに位置変更と歪補正率変更を同時に行うことが可能となる。
【0134】
また、本実施形態によれば、歪補正しない出力画像から歪補正を行う出力画像までを歪補正率を段階的に変更することにより歪補正しない出力画像の正確な認識を図ることが容易になり、この際に、歪み補正係数の飽和の影響で発生する画像不良を表示させないことで、被写体の正確な認識を図ることが可能になる。
すなわち、広角レンズへ非常に大きな角度で入射する事による画像処理上の制限で生ずる画像不良による被写体の誤認識を簡易的な方法で、しかも効果的に軽減することができる。
【0135】
〔E〕その他の実施形態:
以上の実施形態において歪み補正率を数段階程度の具体例で示していたが、これに限られるものではない。30fpsの表示レートで補正前から補正後まで10秒の表示を繰り返す場合には、歪み補正係数L3を300段階にすることで、各フレーム毎に歪み補正が徐々に変更される滑らかな表示が可能になる。また、この際に、各フレーム毎に画像不良を発生させないように仮想投影面変更を行うことで、被写体の正確な認識を図ることが一層容易になる。
【符号の説明】
【0136】
100 制御装置
101 画像処理部
102 設定部
103 記憶部
110 撮像ユニット
120 表示部
130 操作部
VP 仮想投影面
LC レンズ中心面
IA 撮像素子面
O レンズ中心
o 画像中心
L1 第1歪み補正係数
L2 第2歪み補正係数
L3 第3歪み補正係数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系を介して複数の画素を有する撮像素子に受光して得られた複数の画素データを用いて処理した画像データを得る画像処理方法であって、
ワールド座標系の仮想投影面の位置及びサイズを設定する第1ステップと、
前記第1ステップで設定された前記仮想投影面の各画素のワールド座標系における座標を歪み補正係数を用いてカメラ座標系に変換し、変換したカメラ座標系における座標及び前記複数の画素データに基づいて前記第1ステップで設定された仮想投影面の画像データを算出する第2ステップと、
前記第2ステップで算出された画像データによる表示用画像を出力する第3ステップと、を有し、
前記第2ステップで用いられる前記歪み補正係数には、少なくとも、前記光学系のレンズの物理的特性及び前記光学系への設定された前記仮想投影面からの入射光の入射角に基づいて算出され前記光学系により生ずる歪みを補正するための第1歪み補正係数と、前記光学系への入射角の正接関数を変数として算出される前記撮像素子と前記光学系の光軸とが交わる光学中心からの像高であって前記歪みを補正しない第2歪み補正係数が含まれており、
前記第2ステップには、第2歪み補正係数が所定の値以上となる最小入射角がある場合、前記最小入射角より大きな入射角に対応する領域の画素を避けるように前記仮想投影面を変更するステップを含む、ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
前記第3ステップは段階的に歪みが補正された画像データの表示用動画像を出力するものであって、
前記第2ステップにおいて前記第1歪み補正係数、前記第2歪み補正係数、及び前記第1、第2歪み補正係数から補間によって得られた第3歪み補正係数を段階的に切り替えて用いて仮想投影面の画像データを算出する、
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理方法。
【請求項3】
前記第3ステップは段階的に歪みが補正された画像データの表示用動画像を出力するものであって、
前記第2ステップにおいて前記第1歪み補正係数、前記第2歪み補正係数、及び前記第1、第2歪み補正係数から補間によって得られた第3歪み補正係数を段階的に切り替えて用いて仮想投影面の画像データを算出し、
前記第2ステップで、第2歪み補正係数が所定の値以上となる最小入射角がある場合に該最小入射角より大きな入射角に対応する領域を避けるように前記仮想投影面を変更する際に、前記第1ステップで用いる前記位置及び前記サイズのいずれか少なくとも一つに基づいて前記仮想投影面の変更量を決定する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理方法。
【請求項4】
前記第1ステップでは、ワールド座標系の仮想投影面の第1位置と第2位置を設定し、
前記第2ステップでは、初期の前記第2位置と前記第2歪み補正係数、最終の前記第1位置と前記第1歪み補正係数、途中の前記第2位置と前記第1位置の補間によって得られた第3位置と前記第3歪み補正係数、と段階的に切り替えて用いて仮想投影面の画像データを算出する、
ことを特徴とする請求項1―3のいずれか一項に記載の画像処理方法。
【請求項5】
前記第2歪み補正係数は、以下の条件式(1)で表される、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像処理方法。
L2=((ExportImageSize/2)/(tan(focal/2)))×tanθ …式(1)
ここで、
ExportImageSize:表示部で表示する出力画像の長辺の長さ,
focal:設定された仮想投影面の長辺方向における画角,
である。
【請求項6】
前記仮想投影面の変更は視点変換として行う、
ことを特徴とする請求項1−5のいずれか一項に記載の画像処理方法。
【請求項7】
光学系を介して複数の画素を有する撮像素子に受光して得られた複数の画素データを用いて処理した画像データを得る画像処理装置であって、
歪み補正係数を記憶する記憶部と、
位置及びサイズが設定された仮想投影面の各画素のワールド座標系における座標を前記記憶部に記憶された歪み補正係数を用いてカメラ座標系に変換し、カメラ座標系に変換した座標及び前記複数の画素データに基づいて、前記仮想投影面の画像データを算出する画像処理部と、
前記画像処理部で算出した画像データの表示用の画像信号を出力する画像信号出力部と、を有し、
前記記憶部には、記憶される前記歪み補正係数として少なくとも、前記光学系のレンズの物理的特性及び前記光学系への設定された前記仮想投影面からの入射光の入射角に基づいて算出され前記光学系により生ずる歪みを補正するための第1歪み補正係数並びに前記光学系への入射角の正接関数を変数として算出される前記撮像素子と前記光学系の光軸とが交わる光学中心からの像高であって前記歪みを補正しない第2歪み補正係数を有し、
前記画像処理部は、第2歪み補正係数が所定の値以上となる最小入射角がある場合、前記最小入射角より大きな入射角に対応する領域の画素を避けるように前記仮想投影面を変更する、ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
前記画像信号出力部は段階的に歪みが補正された画像データの表示用動画像を出力するものであって、
前記画像処理部は、前記第1歪み補正係数、前記第2歪み補正係数、及び前記第1、第2歪み補正係数から補間によって得られた第3歪み補正係数を段階的に切り替えて用いて仮想投影面の画像データを算出する、
ことを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記画像信号出力部は段階的に歪みが補正された画像データの表示用動画像を出力するものであって、
前記画像処理部は、前記第1歪み補正係数、前記第2歪み補正係数、及び前記第1、第2歪み補正係数から補間によって得られた第3歪み補正係数を段階的に切り替えて用いて仮想投影面の画像データを算出し、
第2歪み補正係数が所定の値以上となる最小入射角がある場合に該最小入射角より大きな入射角に対応する領域を避けるように前記仮想投影面を変更する際に、前記第1ステップで用いる前記位置及び前記サイズのいずれか少なくとも一つに基づいて前記仮想投影面の変更量を決定する、
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
ワールド座標系の前記仮想投影面は第1位置と第2位置が設定されており、
前記画像処理部は、初期の前記第2位置と前記第2歪み補正係数、最終の前記第1位置と前記第1歪み補正係数、途中の前記第2位置と前記第1位置の補間によって得られた第3位置と前記第3歪み補正係数、と段階的に切り替えて用いて仮想投影面の画像データを算出する、
ことを特徴とする請求項7−9のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記第2歪み補正係数は、以下の条件式(1)で表される、
ことを特徴とする請求項7−10のいずれか一項に記載の画像処理装置。
L2=((ExportImageSize/2)/(tan(focal/2)))×tanθ …式(1)
ここで、
ExportImageSize:表示部で表示する出力画像の長辺の長さ,
focal:設定された仮想投影面の長辺方向における画角,
である。
【請求項12】
前記画像処理部は、前記仮想投影面の変更は視点変換として行う、
ことを特徴とする請求項7−11のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項13】
光学系と、
複数の画素を有する撮像素子と、
前記光学系の歪み補正係数を記憶する記憶部と、
仮想投影面の各画素のワールド座標系における座標を前記光学系の歪み補正係数を用いてカメラ座標系に変換し、カメラ座標系に変換した座標及び前記撮像素子に受光して得られた複数の画素データに基づいて、前記仮想投影面の画像データを算出する画像処理部と、
前記画像処理部で算出した画像データの表示用の画像信号を出力する画像信号出力部と、を有し、
前記記憶部には、記憶される前記歪み補正係数として少なくとも、前記光学系のレンズの物理的特性及び前記光学系への設定された前記仮想投影面からの入射光の入射角に基づいて算出され前記光学系により生ずる歪みを補正するための第1歪み補正係数並びに前記光学系への入射角の正接関数を変数として算出される前記撮像素子と前記光学系の光軸とが交わる光学中心からの像高であって前記歪みを補正しない第2歪み補正係数を有し、
前記画像処理部は、第2歪み補正係数が所定の値以上となる最小入射角がある場合、前記最小入射角より大きな入射角に対応する領域の画素を避けるように前記仮想投影面を変更する、ことを特徴とする撮像装置。
【請求項14】
前記画像信号出力部は段階的に歪みが補正された画像データの表示用動画像を出力するものであって、
前記画像処理部は、前記第1歪み補正係数、前記第2歪み補正係数、及び前記第1、第2歪み補正係数から補間によって得られた第3歪み補正係数を段階的に切り替えて用いて仮想投影面の画像データを算出する、
ことを特徴とする請求項13に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記画像信号出力部は段階的に歪みが補正された画像データの表示用動画像を出力するものであって、
前記画像処理部は、前記第1歪み補正係数、前記第2歪み補正係数、及び前記第1、第2歪み補正係数から補間によって得られた第3歪み補正係数を段階的に切り替えて用いて仮想投影面の画像データを算出し、
第2歪み補正係数が所定の値以上となる最小入射角がある場合に該最小入射角より大きな入射角に対応する領域を避けるように前記仮想投影面を変更する際に、前記第1ステップで用いる前記位置及び前記サイズのいずれか少なくとも一つに基づいて前記仮想投影面の変更量を決定する、
ことを特徴とする請求項13又は14に記載の画像処理装置。
【請求項16】
ワールド座標系の前記仮想投影面は第1位置と第2位置が設定されており、
前記画像処理部は、初期の前記第2位置と前記第2歪み補正係数、最終の前記第1位置と前記第1歪み補正係数、途中の前記第2位置と前記第1位置の補間によって得られた第3位置と前記第3歪み補正係数、と段階的に切り替えて用いて仮想投影面の画像データを算出する、
ことを特徴とする請求項13−15のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項17】
前記第2歪み補正係数は、以下の条件式(1)で表される、
ことを特徴とする請求項13−16のいずれか一項に記載の撮像装置。
L2=((ExportImageSize/2)/(tan(focal/2)))×tanθ …式(1)
ここで、
ExportImageSize:表示部で表示する出力画像の長辺の長さ,
focal:設定された仮想投影面の長辺方向における画角,
である。
【請求項18】
前記画像処理部は、前記仮想投影面の変更は視点変換として行う、
ことを特徴とする請求項13−17のいずれか一項に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図8】
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【図13】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−5393(P2013−5393A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137618(P2011−137618)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(303000408)コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】