説明

床パネルの支持構造

【課題】互いに隣接する床パネル同士の接触を防止するために支柱先端に設けてある突起への床パネルの乗り上げを防止する。
【解決手段】高耐荷重性能の床パネル1と低耐荷重性能の床パネル3とを互いに隣接配置して、その角部を支柱5の先端のパネル受け7によって支持する。パネル受け7の先端(上端)には、床パネル1,3相互間に位置してこれら相互の接触を防ぐための突起39を設けている。この突起39に対し、高耐荷重性能の床パネル1は、上板11の周縁部23の端部23aが下板13のフランジ部21の端部21aよりも、突起39の側面から離間している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面に設置する支柱の上部にパネル受けを設け、このパネル受けに互いに隣接する床パネルの外周縁部を載せることで床パネルを支持して二重床とする床パネルの支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力、電話、データの量の多量化に対応して二重床システムが採用されている。この二重床システムは、例えば、コンクリートスラブなどの床基材(床面)の上に多数の支柱を立設して該支柱により床パネルを支持することにより、床パネルと床基材との間の隙間を配線用空間とし、この配線用空間に電力線、情報線などのケーブルを配線するようにしている。
【0003】
このような二重床システムに使用する床パネルは、外周側に鍔部を備え、この鍔部を上記した支柱の上部に設けたパネル受けに載せることで支柱に支持させており、この際、パネル受けの上端には、互いに隣接する床パネルの外周側端部(鍔部)同士が接触しないように突起を設けている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−317140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来の床パネルの支持構造では、床パネルの上面(表面)が支柱の上端に設けた突起の先端面とほぼ同一面になっていることから、例えば衝撃を受けたときなどに床パネルが突起に乗り上げやすく、改善が望まれている。
【0006】
そこで、本発明は、互いに隣接する床パネル同士の接触を防止するために支柱先端に設けてある突起への床パネルの乗り上げを防止することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、床面に設置する支柱の上部にパネル受けを設け、このパネル受けに互いに隣接する床パネルの外周縁部を載せることで前記支柱により床パネルを支持して二重床とする床パネルの支持構造において、前記支柱は、前記パネル受け上に、互いに隣接する前記床パネルの外周縁部相互間に位置するよう上方に突出する突起を備え、前記床パネルは、前記外周縁部にて互いに接合固定してある上板及び下板を備え、前記上板の外周縁部における端部を、前記下板の外周縁部における端部よりも前記突起から離間させるとともに、前記突起の先端部を前記下板の上面より上板側に突出させたことを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の床パネルの支持構造であって、前記突起は、前記床パネルの外周縁部に沿って断続的に複数備えていることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の床パネルの支持構造であって、前記互いに隣接する床パネルは、前記上板及び下板の各厚さの合計値が互いに異なり、前記合計値が大きい床パネルの上板の外周縁部における端部を、下板の外周縁部における端部よりも前記突起から離間させ、前記突起の先端部を、前記合計値が大きい床パネルの上板の上面と、前記合計値が大きい床パネルの下板の上面及び前記合計値が小さい床パネルの上板の上面との間に位置させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、突起の先端部が下板の上面より上方に突出した状態で、下板の外周縁部における端部が突起の側部に対向する状態となるので、床パネルの突起への乗り上げを防ぐことができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、突起が連続的な直線状ではなく、断続的となっているので、カーペットなどの敷物を被せたときに、突起によってカーペットが盛り上がることによる見映え悪化を抑えることができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、板厚の合計値が大きい床パネルについては、請求項1の発明と同様に、突起の先端部が下板の上面より上方に突出した状態で、下板の外周縁部における端部が突起の側部に対向する状態となるので、床パネルの突起への乗り上げを防ぐことができる。一方、板厚の合計値が小さい床パネルについては、突起の先端部が上板の上面より上方に突出した状態で、上板及び下板の各外周縁部における端部が突起の側部に対向する状態となるので、床パネルの突起への乗り上げを防ぐことができる。
【0013】
また、突起の先端部が、板厚の合計値が大きい床パネルの上面より下方に位置しているので、カーペットなどの敷物を被せたときの突起によるカーペットの盛り上がりを抑えて見映え悪化を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態を示す、図2のA−A断面図である。
【図2】図1のパネル支持構造を備える二重床システムの一部を分解した斜視図である。
【図3】図2の二重床システムの組み付け時での支柱周辺の平面図である。
【図4】本発明の一実施形態を示す床パネルの斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態に対する比較例を示す床パネルのフランジ部周辺の断面図で、(a)はフランジ端部を揃えた場合、(b)は下板のフランジ部を短くした場合を示す。
【図6】本発明の一実施形態を示す、図2のB−B断面図である。
【図7】本発明の一実施形態を示す、図2のC−C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0016】
図1に示すように、互いに隣接して配置してある2種の床パネル1,3は、その外周縁部(鍔部)4を支柱5の上端に形成してあるパネル受け7上に載せてあり、これにより支柱5を設置してあるコンクリートスラブなどからなる床面とで二重床システムを構成している。
【0017】
図2は、上記した二重床システムの一部を示しており、ここでは一方の床パネル1と他方の床パネル3とをそれぞれ2枚ずつ全部で4枚の床パネル1,3を互いに隣接して配置している。これら4枚の床パネル1,3の互いに隣接する角部周辺を支柱5によって支持することで、床パネル1,3の下部に、電力線、情報線などのケーブルの配線用空間9を形成する。
【0018】
図1に示すように、床パネル1は、厚さが互いに異なる上板11と下板13とを有し、床パネル3は、厚さが互いに等しい上板15と下板17とを有している。ここで、床パネル1の上板11及び下板13のそれぞれの厚さは、床パネル3の上板15及び下板17のそれぞれの厚さよりも厚くしており、これにより床パネル1,3相互の耐荷重性能を異ならせている。つまり、板厚の厚い床パネル1が高耐荷重性能であり、板厚の薄い床パネル3が低耐荷重性能となる。
【0019】
したがって、床パネル1における上板11の厚さと下板13の厚さとの合計値は、床パネル3における上板15の厚さと下板17の厚さとの合計値よりも大きく、互いに隣接する床パネル1,3は、上板の厚さと下板の厚さとの合計値が互いに異なっていることになる。
【0020】
床パネル1の上板11は、平面視でほぼ正方形状の鋼板製で構成し、床パネル1の下板13は、鋼板をプレス成形することによって上板11側に凹部19を形成してあり、平面視では上板11と同様のほぼ正方形状としている。この下板13は、外周縁部4に対応して上板11と平行に外側に向けて突出するフランジ部21を全周にわたり設けてあり、このフランジ部21上に上板11の周縁部23を重ね合わせて、例えばスポット溶接によって互いに接合固定している。
【0021】
同様にして、床パネル3の上板15は、平面視でほぼ正方形状の鋼板製で構成するとともに、その下板17は、鋼板をプレス成形することによって上板15側に凹部25を形成してあり、平面視では上板15と同様のほぼ正方形状としている。この下板17は、外周縁部26に対応して上板15と平行に外側に向けて突出するフランジ部27を全周にわたり設けてあり、このフランジ部27上に上板15の周縁部29を重ね合わせて、例えばスポット溶接によって互いに接合固定している。
【0022】
そして、床パネル1における上板11と下板13との間の凹部19及び、床パネル3における上板15と下板17との間の凹部25には、充填材としての例えばモルタル31及び32をそれぞれ充填収容している。
【0023】
一方、支柱5のパネル受け7は、図2に示すように、下部のフランジ33上に平面視でほぼ十字形状となるパネル受け本体35を上方に向けて突出して設けてある。このパネル受け本体35の十字形状の中心部に、4枚の床パネル1,3のそれぞれの角部が位置するように、パネル受け本体35上に、各床パネル1,3の角部周辺における外周縁部4,26を図1に示す緩衝材であるクッションゴム37を介して載せている。なお、このクッションゴム37は、図2,図3では省略している。
【0024】
また、パネル受け本体35上の互いに隣接する床パネル1,3相互間及び床パネル1,1相互間、さらに床パネル3,3相互間には、突起39を上方に向けて突出して設けている。この突起39は、図3に示すように、床パネル1,3の外周縁部4,26に沿って断続的に複数(ここでは2個)設けている。
【0025】
そして、本実施形態では、高耐荷重性能の床パネル1は、図3に示す角部周辺において、下板13のフランジ部21の端部21aを突起39の側面にほぼ接触させているが、上板11の周縁部23の端部23aを突起39の側面から離反させている。すなわち、上板11の周縁部23における端部23aを、下板13のフランジ部21における端部21aよりも突起39から離間させていることになる。
【0026】
一方、低耐荷重性能の床パネル3は、上板15及び下板17ともに、外周縁部26に対応する周縁部29及びフランジ部27の端部29a及び27aを、突起39の側面にほぼ接触させている。
【0027】
また、突起39の先端部39aは、床パネル1の上板11の上面と、床パネル1の下板13の上面及び床パネル3の上板15の上面との間に位置している。ここで、床パネル1の上板11の厚さを1.0mm、同下板13の厚さを1.2mmとし、床パネル3の上板15及び下板17のそれぞれの厚さを0.8mmとした場合には、突起39の先端部39aの上板15の上面からの突出量H2は、0.3mmとする。したがって、突起39の先端部39aと上板11の上面との間隔H1は、約0.7mmとなる、
上記した本実施形態の床パネルの支持構造によれば、低耐荷重性能の床パネル3については、上板15及び下板17ともに、その周縁部部29の端部29a及びフランジ部27の端部27aが突起39の側面に当接し、かつ突起39が上板15よりも上方に突出しているので、衝撃を受けたときなどには、フランジ部27の端部27a及び周縁部29の端部29aが突起39の側面に押し付けられることによって、床パネル3の突起39への乗り上げを抑えることができる。
【0028】
一方、高耐荷重性能の床パネル1は、下板13のフランジ部21の端部21aだけが突起39の側面に当接しているが、上板11の周縁部23の端部23aは、突起39の側面から離れ、かつ突起39の先端部39aが下板13の上面より上方に突出している。このため、床パネル3と同様に衝撃を受けたときなどには、フランジ部21の端部21aが突起39の側面に押し付けられることによって、床パネル1の移動が規制され、床パネル1の突起39への乗り上げを抑えることができる。
【0029】
このように、床パネル1,3の移動を規制して突起39への乗り上げを抑えることで、これら互いに隣接する床パネル1,3同士のこすれ音発生を防止でき、高品質な二重床システムを構築することが可能となる。
【0030】
また、突起39の先端部39aを上板11の上面より下方の下板13側に位置させているので、その上にカーペットなどの敷物を被せたとしても、突起39がカーペットを押し上げるようにして盛り上げることを抑制できるので、見映えの悪化を抑えることができる。
【0031】
このとき、低耐荷重性能の床パネル3については、突起39が上板15よりも上方に突出した状態となるが、突起39を、図3に示すように外周縁部4,26に沿って連続的な直線状ではなく、断続的としているとともに、突出量を0.3mmと極めて小さくしているので、カーペットを被せたときの見映えの悪化を抑えることができる。
【0032】
また、高耐荷重性能の床パネル1に対し塗装を実施するときにも、各端部23a,21a同士を揃えた場合や、本実施形態とは逆に下板13側の端部21aを突起39から離間させた場合に比較して、床パネル1が突起39に乗り上げにくくなる。
【0033】
例えば、図5(a)に示すように、上板11Aにおける周縁部23Aの端部23Aaと下板13Aにおけるフランジ部21Aの端部21Aaとを揃えた場合には、塗料41が端部23Aa,21Aaを連続するようにして円弧状に形成されるので、床パネル1Aが突起に乗り上げやすくなってしまう。
【0034】
また、図5(b)に示すように、下板13Bのフランジ部21Bの端部21Baを、上板11Bの周縁部23Bの端部23Baよりも突起から離間させた場合には、塗料41が端部21Baと端部23Baとを連続してつなぐように下方に向いた傾斜形状となるので、この場合の床パネル1Bも突起に乗り上げやすいものとなる。
【0035】
これに対して、本実施形態の床パネル1では、塗装したとしても、端部21a,23a同士が揃っていないことから、図5(a)のように塗料41が円弧状となりにくく、また、図5(b)のように傾斜面が下方に向かずに上方に向いた状態となるので、床パネル1の突起39への乗り上げをより確実に抑えることができる。
【0036】
なお、低耐荷重性能の床パネル3を塗装したときには、上板15及び下板17の各端部29a及び27aを揃えているが、突起39が上板15の上面より上方に突出しているので、塗料が端部29a,27aに円弧状に形成されたとしても、床パネル3の突起39への乗り上げを防ぐことができる。
【0037】
また、床パネル1における上板11の周縁部23の端部23aと、下板13のフランジ部21の端部21aとの間隔は、1〜3mm程度とする。3mmを超えると、カーペットを被せたときの突起37の盛り上がりが顕著となり、一方1mm未満の場合は、塗装したときの塗料が各端部23a,21aに連続するようにして円弧状となりやすいので、突起39に乗り上げやすくなってしまう。
【0038】
図6に示すように、図1に示す高耐荷重性能の床パネル1同士を互いに隣接して配置した場合には、2枚の床パネル1の双方について、上板11の周縁部23における端部23aを、下板13のフランジ部21における端部21aよりも突起39から離間させているので、図1の場合と同様に、衝撃を受けたときなどでの2枚の床パネル1の突起39への乗り上げを抑えることができる。
【0039】
また、図7に示すように、図1に示す低耐荷重性能の床パネル3同士を互いに隣接して配置した場合には、突起39の先端部39aが、各床パネル3の上板15の上面から上方に突出しているので、図1の場合と同様に、衝撃を受けたときなどでの2枚の床パネル3の突起39への乗り上げを抑えることができる。この際、突起39の先端部39aの上板15の上面から突出量は、図1と同様にH2=0.3mmとなるので、その上にカーペットなどを被せたとしても、突起39によるカーペットの盛り上がり小さくでき、見映えの悪化を抑えることができる。
【0040】
このように、本実施形態では、高耐荷重性能の床パネル1と低耐荷重性能の床パネル3とを適宜組み合わせて高品質な二重床システムを構成することができ、その際支柱5はパネル受け7を含めて共通のものを使用しているので、コスト低下を図ることができる。
【符号の説明】
【0041】
1,3 床パネル
4,26 床パネルの外周縁部
5 支柱
7 支柱のパネル受け
11,15 床パネルの上板
13,17 床パネルの下板
21a 下板のフランジ部の端部(下板の外周縁部における端部)
23a 上板のフランジ部の端部(上板の外周縁部における端部)
39 突起
39a 突起の先端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に設置する支柱の上部にパネル受けを設け、このパネル受けに互いに隣接する床パネルの外周縁部を載せることで前記支柱により床パネルを支持して二重床とする床パネルの支持構造において、前記支柱は、前記パネル受け上に、互いに隣接する前記床パネルの外周縁部相互間に位置するよう上方に突出する突起を備え、前記床パネルは、前記外周縁部にて互いに接合固定してある上板及び下板を備え、前記上板の外周縁部における端部を、前記下板の外周縁部における端部よりも前記突起から離間させるとともに、前記突起の先端部を前記下板の上面より上板側に突出させたことを特徴とする床パネルの支持構造。
【請求項2】
前記突起は、前記床パネルの外周縁部に沿って断続的に複数備えていることを特徴とする請求項1に記載の床パネルの支持構造。
【請求項3】
前記互いに隣接する床パネルは、前記上板及び下板の各厚さの合計値が互いに異なり、少なくとも前記合計値が大きい床パネルの上板の外周縁部における端部を、下板の外周縁部における端部よりも前記突起から離間させ、前記突起の先端部を、前記合計値が大きい床パネルの上板の上面と、前記合計値が大きい床パネルの下板の上面及び前記合計値が小さい床パネルの上板の上面との間に位置させたことを特徴とする請求項1または2に記載の床パネルの支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−255278(P2010−255278A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−106177(P2009−106177)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】