説明

床仕上げ材の縁に取り付けられる縁条片

【課題】床仕上げ材2のための縁条片1であって、該縁条片は、床仕上げ材に下側ではベース脚片3でもって、かつ上側ではカバー脚片4でもって部分的に係合するようになっており、ベース脚片とカバー脚片4との間の間隔は、床仕上げ材2の厚さに適合させるために調節されるようになっている形式のものにおいて、縁条片の構造を簡単にする。
【解決手段】ベース脚片3に少なくとも1つの溝付き固定部材10を保持してあり、該溝付き固定部材の溝内に少なくとも1つのねじ11を係合させ、該ねじはカバー脚片4の穴12を貫通している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床仕上げ材の縁に取り付けられる縁条片であって、該縁条片は、該縁条片又は前記床仕上げ材の下側では少なくとも1つのベース脚片でもって床仕上げ材と部分的に係合し、又は床仕上げ材を部分的に被っており、かつ該縁条片又は前記床仕上げ材の上側では少なくとも1つのカバー脚片でもって床仕上げ材と部分的に係合し、又は床仕上げ材を部分的に被っており、ベース脚片とカバー脚片との間の間隔は、床仕上げ材の厚さに適合させるために調節されるようになっており、カバー脚片はベース脚片と一体に結合されている形式のものに関する。
【背景技術】
【0002】
ドイツ連邦共和国実用新案出願公開第202005004624U1号明細書には、成形条片装置を開示してあり、該成形条片装置(形材条片装置又は形材条片ユニット)は、ベース成形片又はベース用形材条片、旋回継手、カバー成形片又はカバー用形材条片若しくは蓋用形材条片、及び旋回可能な閉鎖用翼状成形片又は閉鎖用条片によって形成されている。ベース成形片と旋回可能な閉鎖用翼状成形片との間に床仕上げ材要素を締め付けにより保持するようになっている。成形条片装置は、仕上げ床の縁に取り付ける、つまり、床仕上げ材又はフローリングの縁を縁取るため、すなわち閉鎖して画定するために、床仕上げ材に取り付けられる縁条片又は縁取り成形条片(縁取りレール)若しくは縁用成形カバーレールとして用いられる。
【0003】
米国特許第4913576号明細書に開示されている冒頭に述べた形式の縁条片は、ベース条片(又はベースレール)及びカバー条片(又はカバーレール)から成っており、ベース条片とカバー条片とはウエブによって互いに一体に結合されている。この場合にカバー条片は弾性的に変形可能であり、ベース条片から押し離される。床仕上げ材をベース条片とカバー条片との間に差し込んだ後には、カバー条片はベース条片に向かって弾性的に戻り、床仕上げ材を押圧するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国実用新案出願公開第202005004624U1号明細書
【特許文献2】米国特許第4913576号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、冒頭に述べた形式の縁条片を改善して、該縁条片の構造を簡単にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に基づく構成では、ベース脚片に少なくとも1つの溝付き固定部材を保持してあり、該溝付き固定部材内に、つまり該該溝付き固定部材の溝に少なくとも1つのねじを係合させ、つまりねじ込むようになっており、該ねじはカバー脚片の穴を貫通しており、つまりカバー脚片の穴に差し込まれている。
【0007】
本発明に基づく縁条片(縁取りレール)は、縁閉鎖部材として、あらゆる種類の床仕上げ材(フローリング)、例えば寄木張りフローリング又は寄木張り床や、集成材フローリング又は集成材床や、石材フローリング又は石材製床等に用いられるものである。ここに挙げた床仕上げ材は、例として示したものであり、本発明は上記床仕上げ材に限定されるものではない。縁条片は、ベース脚片及び、床仕上げ材の上側に係合するカバー脚片を有している。縁条片を種々の床仕上げ材厚さに適合させるために、ベース脚片とカバー脚片との間の間隔(高さ)は調節可能に形成されている。これによって、縁条片の十分な汎用性又は互換性を達成している。できるだけ簡単な構造を得るために、カバー脚片はベース脚片に一体に結合されており、これにより、縁条片の極めて簡単に形成可能な構成を達成している。高さ調節は、例えば縁条片の弾性変形及び塑性変形の少なくともいずれか一方により実施され得るものである。カバー脚片をベース脚片に向けて締め付けるために、ベース脚片に少なくとも1つの溝付き固定部材を保持してあり、該溝付き固定部材内にカバー脚片の穴を通されたねじが係合させるようになっている。ねじを溝付き固定部材内にねじ込むことにより、両方の脚片(カバー脚片及びベース脚片)は互いに接近せしめられて、縁条片を締め付けるようになる。
【0008】
カバー脚片とベース脚片との間の一体構造にも拘わらず十分な高さ調節を達成するために、本発明の実施態様では、カバー脚片及び/又はベース脚片は、少なくとも1つの目標たわみ部を有している。目標たわみ部分は、断面減少部によって形成され、つまり、所定の部位に形成されて長手方向に延在する薄肉部又は凹部によって形成されており、このような構成に基づき、縁条片は、一体構造の構成部品又は構成要素として押し出し成形により簡単に製造される。さらに床仕上げ材への縁条片の組み付け(取り付け)も容易になっており、それというのは、目標たわみ部(薄肉部)は、両方の脚片を互いに押し開く際にばねとして働き、脚片の押し開きを適度の力で行うことができるようになっているからである。
【0009】
殊に、縁条片を床仕上げ材から成る床面への乗り上げ傾斜面又は傾斜路(ランプ)として用いる場合には、本発明の実施態様によれば、カバー脚片とベース脚片とは互いに鋭角をなしている。
【0010】
縁条片の簡単な製造を達成するために、本発明の実施態様では、溝付き固定部材は、アンダーカットされた溝(末広がりの溝)と該溝内に受容されるキーとによって形成された嵌合継手、例えばありつぎを介してベース脚片に保持されている。このような構成は、殊に縁条片の押し出し成形による製造を容易にするものである。
【0011】
カバー脚片を固定するための力は、本発明の実施態様によれば、追加的(付加的)な構成要素として設けられるみ合い式又は嵌合式の係止手段(かみ合い結合部又はかみ合い式継手若しくは嵌合結合部又は嵌合式継手)によって生ぜしめられるようになっている。本発明の有利な実施態様では、カバー脚片とベース脚片との間に適切な係止手段を設けてあり、該係止手段は、互いにかみ合う鋸歯状成形部(鋸歯列)によって形成されており、つまり、カバー脚片及びベース脚片は、係止手段として相互にかみ合う構成部分(係止条片)をそれぞれ有している。
【0012】
縁条片を床仕上げ材に確実に保持(固定)するために、本発明の実施態様によれば、ベース脚片は床仕上げ材を下側からつかむのに対して、カバー脚片は床仕上げ材を上側からつかむようになっている。これによって、床仕上げ材への縁条片の確実な固定を保証する締め付け作用を達成している。この場合には、床仕上げ材(仕上げ床)の縁条片と下地床との間の付加的な結合は、原理的に可能であるものの、一般的に不要である。縁条片は、1つのベース脚片と床仕上げ材上に係合する1つのカバー脚片とを有している。
【0013】
次に本発明を図示の実施形態に基づき詳細に説明するものの、本発明は図示の実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】縁条片の第1の実施形態の斜視図である。
【図2】縁条片の第2の実施形態の斜視図である。
【図3】2つの係止条片の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、床仕上げ材2の縁に取り付けられる縁条片1の斜視図である。縁条片1は、有利には金属、殊にアルミニウム、或いはプラスチックから成形されている。縁条片1は、ベース脚片3及びカバー脚片4を有しており、ベース脚片3とカバー脚片4とは互いに鋭角5を成している。ベース脚片3とカバー脚片4とが互いに合流する、つまり互いにつなげられ、すなわち互いに結合されている尖端部分6の領域で、カバー脚片4には、断面減少部によって形成された目標たわみ部7を設けてある。目標たわみ部7は、縁条片1の一体構造にも拘わらず、ベース脚片3に対するカバー脚片4の旋回を可能にするものである。別の実施形態で、又は追加的な構成として、目標たわみ部(たわみ変形部)の形成のための断面減少部をベース脚片3にも設けることができる。
【0016】
ベース脚片3には、溝8を設けてあり、該溝は、アンダーカットされ、つまり、アンダーカット部を有しており、例えばあり溝として形成されており、溝8内に、溝付き固定部材10のキー部9を保持してある。溝付き固定部材10内に、少なくとも1つのねじ、実施形態では複数のねじ11をねじ込むようになっており、該ねじはカバー脚片4の穴12を貫通している。ねじのねじ山は、図示の実施形態では固定部材10の溝の側壁に設けられた長手方向の三角山と係合するようになっている。固定部材10内にねじ11をねじ込んで固定することにより、カバー脚片4とベース脚片3とは相互に圧着される。カバー脚片4とベース脚片3との間に、床仕上げ材2を締め付けにより保持してある。このようにして、縁条片1は床仕上げ材2に直接に固定される。縁条片1を床(下地)に、例えば接着若しくはねじにより付加的(追加的)に固定することは、原理的に可能であるものの、もはや不要である。しかしながら、床への縁条片の付加的な固定は、例えば見本市や売り場などのように床を損傷させてはならない場合には重要である。
【0017】
別の実施形態では、ベース脚片3は短く形成されていてよく、この場合には、床仕上げ材2はベース脚片3とオーバーラップしなく、つまり重ね合わせられなくなっている。したがって、縁条片1によって床仕上げ材2を締め付けて、若しくは挟み付けて固定することはできず、必然的に縁条片1を床に固定することになる。このような実施形態は、軟らかい床仕上げ材2、例えば絨毯、又はカーペット若しくはPVC-仕上げ材等に有利に用いられるものである。
【0018】
図2には別の実施形態の縁条片1を示してあり、この場合に図1の実施形態と同じ構成部分には、図1の実施形態の構成部分の符号と同じ符号を付けてある。図1の実施形態に対する相違点についてのみ説明することにする。図2に示す実施形態において、カバー脚片4は同じくねじ11によって固定され、該ねじは固定部材10内に係合するようになっている。この場合に、ねじのねじ山は固定部材の溝の側壁に食い込むようになっていてよい。追加的な構成部分又は構成要素としてベース脚片3にも、カバー脚片4にも、それぞれ係止条片13を、溝とキーとから成形された嵌合継手8,9により保持してある。係止条片13は、該係止条片の長手方向に延在する鋸歯状成形部14をそれぞれ有しており、該両方の鋸歯状成形部は互いにかみ合うように形成されている。異なる実施形態では、係止条片(かみ合い係合条片)13は、該係止条片の長手方向に延在する断面円弧状の山部と谷部とからなる波形成形部若しくは類似の成形部をそれぞれ有していてもよく、該両方の波形成形部は互いにかみ合うようになっている。係止条片(かみ合い結合条片)に波形成形部を設ける実施形態は、殊に縁条片の取り外しを容易にするものである。両方の係止条片13はさらに、ねじ11のためのねじ込み溝を画定し、つまりねじ11のための溝付き固定部材10を形成するものである。
【0019】
上記実施形態においては、ベース脚片3は短く形成されており、床仕上げ材2はベース脚片3の横に位置し、つまり、ベース脚片3は床仕上げ材2と部分的にオーバーラップするに至っておらず、換言すれば、ベース脚片3は床仕上げ材2と整合し、つまり同列をなすようになっている。この場合には、縁条片1を床に例えば接着により固定することになる。
【0020】
図3は、2つの係止条片3の斜視図である。該係止条片13は、図1及び図2に示す実施形態の係止条片13を代替するものであり、鋸歯状成形部14の代わりに、波形成形部15を有している。波形成形部15は、縁条片の簡単な取り外しを可能にするものである。
【符号の説明】
【0021】
1 縁条片、 2 床仕上げ材、 3 ベース脚片、 4 カバー脚片、 6 尖端部分、 7 目標たわみ部、 8 溝、 9 キー、 10 溝付き固定部材、 11 ねじ、 12 穴、 13 係止条片、 14 鋸歯状成形部、 15 波形成形部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床仕上げ材(2)の縁に取り付けられる縁条片(1)であって、該縁条片(1)は、前記床仕上げ材(2)に、下側では少なくとも1つのベース脚片(3)でもって、かつ上側では少なくとも1つのカバー脚片(4)でもって部分的に係合するようになっており、前記ベース脚片(3)と前記カバー脚片(4)との間の間隔は、前記床仕上げ材(2)の厚さに適合させるために調節されるようになっており、前記カバー脚片(4)は前記ベース脚片(3)と一体に結合されている形式のものにおいて、前記ベース脚片(3)に少なくとも1つの溝付き固定部材(10)を保持してあり、該溝付き固定部材内に少なくとも1つのねじ(11)を係合させるようになっており、該ねじは前記カバー脚片(4)の穴(12)を貫通していることを特徴とする、床仕上げ材の縁に取り付けられる縁条片。
【請求項2】
前記カバー脚片(4)及び前記ベース脚片(3)の少なくともいずれか一方は、少なくとも1つの目標たわみ部(7)を有しており、該目標たわみ部は断面減少部によって形成されている請求項1に記載の縁条片。
【請求項3】
前記カバー脚片(4)と前記ベース脚片(3)とは、互いに鋭角(5)をなしている請求項1に記載の縁条片。
【請求項4】
前記溝付き固定部材(10)は、アンダーカットされた溝(8)と該溝内に受容されるキー(9)とによって形成された嵌合継手(8,9)を介して前記ベース脚片(3)に保持されている請求項1から3のいずれか1項に記載の縁条片。
【請求項5】
前記カバー脚片(4)及び前記ベース脚片(3)には、かみ合い式の係止手段(13)を設けてある請求項1から4のいずれか1項に記載の縁条片。
【請求項6】
前記床仕上げ材(2)は前記ベース脚片(3)と前記カバー脚片(4)との間に締め付けにより保持されている請求項1から5のいずれか1項に記載の縁条片。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−174614(P2010−174614A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15532(P2010−15532)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(510025348)
【氏名又は名称原語表記】David Sondermann
【住所又は居所原語表記】Frenkhauser Hoeh 5, D−57489 Drolshagen, Germany
【Fターム(参考)】