説明

床仕上パネル及びその設置構造

【課題】目地間隙に弾性材が充填されている床仕上パネル設置構造において、弾性材が取れることを長期にわたって確実に防止できるようにすることを目的とする。
【解決手段】躯体床面1上に施工される床仕上パネル2は、下地板3と、該下地板3上に貼り付けられた石質板4と、石質板4の隣接2辺の側面に接着により取り付けられた弾性材6と、弾性材5の側面に付着された、弾性材5よりも低弾性率の弾性材5とを備えている。床仕上パネル2,2の雄実3aと雌実3bとを係合させつつ、下地板3,3同士を突き合わせ、石質板4,4間で弾性材5,6を挟圧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイル、石板等の石質板を下地板に取り付けてなる床仕上パネルと、この床仕上パネルを躯体床面上に設置した床仕上パネル設置構造に係り、特に側面に弾性材を設けた床仕上パネルと、その設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
タイル、天然石板、人工石板などの石質板を下地板に接着剤等によって取り付けた床仕上パネルが特開平3−275343に記載されている。なお、同号公報ではこの床仕上パネルを石質複合板と称している。
【0003】
この特開平3−275343では、下地板同士を突き合わせると石質板同士の間に空の目地間隙が生じるので、下地板が見えてしまい、美観に劣る。また、目地間隙にゴミが溜り易い。
【0004】
特開平1−178659には、合板などよりなる基材の上面にWPC化木材よりなる表面材を貼着した床材において、基材の側面に弾性シーリング材を貼着した床材が記載されている。
【0005】
この特開平1−178659では、目地間隙が弾性シーリング材で埋まるので、下地板が見えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平3−275343
【特許文献2】特開平1−178659
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特開平1−178659では、弾性シーリング材が基材の側面にのみ貼着されており、目地溝が徒に深いものとなり、ゴミが溜り易い。また、弾性シーリング材が表面材同士の間では挟圧されないので、シーリング材の弾性が経年的に低下してきたときには、シーリング材が目地間隙から取れるおそれがある。シーリング材の弾性率を高くし、床仕上パネル間でシーリング材を強力に挟圧することも考えられるが、このようにすると、床仕上パネルの施工時に床仕上パネル同士を押し付けるのに要する力が大きくなり、施工能率が低下する。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点を解消し、目地間隙に弾性材が充填されている床仕上パネル設置構造及びそのための床仕上パネルにおいて、弾性材が取れることを長期にわたって確実に防止できると共に、施工も容易に行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の床仕上パネルは、石質板を下地板に取り付けてなり、少なくとも該石質板の側面に弾性材が設けられている床仕上パネルにおいて、該弾性材は、石質板側の第1の弾性材と該第1の弾性材の該石質板側と反対側に重なる、該第1の弾性材と弾性率の異なる第2の弾性材とを有することを特徴とするものである。
【0010】
請求項2の床仕上パネルは、請求項1において、第2の弾性材の弾性率が第1の弾性材の弾性率よりも小さいことを特徴とするものである。
【0011】
請求項3の床仕上パネルは、請求項2において、該下地板は方形であり、その隣接する第1及び第2の辺において石質板が下地板の辺縁よりも板央側に後退しており、残りの第3及び第4の辺にあっては、石質板が下地板の辺縁から側方に突出しており、該第1及び第2の辺における少なくとも石質板の側面に弾性材が設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項4の床仕上パネルは、請求項3において、下地板の前記第1及び第2の辺にあっては、その側面の上下方向の途中又は下部から雄実が突設されており、該下地板の第3及び第4の辺の側面には雌実が設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項5の床仕上パネルは、請求項4において、前記第1の弾性材は石質板の側面にのみ沿って設けられており、前記第2の弾性材は、第1の弾性材の側面から該下地板の第1及び第2の辺の側面のうち該雄実よりも上側の下地板側面に跨って設けられいることを特徴とするものである。
【0014】
請求項6の床仕上パネルは、請求項5において、該下地板の第1及び第2の辺の側面と、前記第1の弾性材の石質板と反対側の側面とが略面一となっていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項7の床仕上パネルは、請求項4において、前記第1及び第2の弾性材は、石質板の側面から雄実よりも上側の下地板側面にわたって設けられていることを特徴とするものである。
【0016】
請求項8の床仕上パネルは、請求項2ないし7のいずれか1項において、第2の弾性材の第1の弾性材と反対側の側面に、釘又はビスの頭を収容するための凹部が設けられていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項9の床仕上パネルは、請求項2ないし8のいずれか1項において、前記第1の弾性材の石質板側面と直交方向の幅は、上部よりも下部の方が大きいことを特徴とするものである。
【0018】
請求項10の床仕上パネルの設置構造は、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の床仕上パネルを複数枚突き合わせるように躯体床面に設置し、該床仕上パネル同士の間で前記弾性材を挟圧してなるものである。
【0019】
請求項11の床仕上パネルの設置構造は、請求項10において、床仕上パネルは請求項2ないし9のいずれか1項の床仕上パネルであり、第2の弾性材から下地板を通して躯体床面に釘、ステープル又はビスを打ち込んで床仕上パネルを固定したことを特徴とするものである。
【0020】
請求項12の床仕上パネルの設置構造は、請求項11において、床仕上パネルは請求項8の床仕上パネルであり、釘又はビスの頭部が第2の弾性材の前記凹部内に配置されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の床仕上パネル及びその設置構造にあっては、弾性材として弾性率の異なる第1の弾性材と第2の弾性材とを重ね合わせ状に設けている。床仕上パネルを施工するに際しては、弾性率の低い方の弾性材が主として先に押し縮められ、その後、弾性率の高い方の弾性材も押し縮められる。弾性率の低い弾性材は、弾性率の高い弾性材に比べて押し縮め易いので、床仕上パネルの施工時に床仕上パネルを押し付ける力が小さくて済み、施工能率が向上する。また、弾性率の低い弾性材は、弾性率の高い弾性材に比べて弾性変形範囲が大きいので、長期にわたって弾性的に圧縮された状態で目地に存在するようになり、弾性材が長期にわたって石質板にしっかりと挟圧保持される。
【0022】
請求項2の床仕上パネルによれば、低弾性率の第2の弾性材を通して釘やビスを下地板から躯体床面に打つことが容易であり、この釘やビスによって弾性材をしっかりと目地内部に保持することができる。
【0023】
請求項3によると、弾性材が下地板に下から支えられる構成になるので、弾性材の保持が安定する。
【0024】
請求項4〜7の床仕上パネルのように雄実及び雌実を設けた場合には、雄実と雌実とを嵌合させて床仕上パネルを施工する。請求項5〜7の床仕上パネルにあっては、第2の弾性材が下地板及び石質板の側面同士の間で挟圧されるため、弾性材が長期にわたってしっかりと床仕上パネル間に保持される。特に、下地板を合板とした場合、側面の粗度が高く、摩擦係数が大きいので、弾性材が取れることが防止される。また、弾性材を下地板の上面の上側又は雄実の上側に設けるので、弾性材を石質板の側面に取り付けるときの位置決めが容易である。
【0025】
請求項8の床仕上パネル及び請求項12の床仕上パネル設置構造によると、釘又はビスの頭を凹部に入り込ませることにより、釘又はビス打ちに伴う第2の弾性材の変形量を小さくすることができる。
【0026】
請求項9の床仕上パネルによると、第1の弾性材の下部の幅が大きいので、床仕上パネル同士の間で第1の弾性材の下部が強く挟圧され、弾性材が取れにくくなる。また、釘又はビスを第1の弾性材を通して打つことが容易となる。釘又はビスを第1の弾性材に打つことにより、第1の弾性材を釘又はビスでしっかりと保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施の形態に係る床仕上パネル及びその設置構造を示す断面図である。
【図2】実施の形態に係る床仕上パネル及びその設置構造を示す断面図である。
【図3】実施の形態に係る床仕上パネル及びその設置構造を示す断面図である。
【図4】実施の形態に係る床仕上パネル及びその設置構造を示す断面図である。
【図5】実施の形態に係る床仕上パネル及びその設置構造を示す断面図である。
【図6】実施の形態に係る床仕上パネル及びその設置構造を示す断面図である。
【図7】実施の形態に係る床仕上パネル及びその設置構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
【0029】
第1図は実施の形態に係る床パネル及びその設置構造を示す断面図であり、(a)は施工途中図、(b)は施工後の断面図である。第2図〜第4図はそれぞれ別の実施の形態を示す断面図である。
【0030】
第1図(a),(b)の通り、躯体床面1上に施工される床仕上パネル2は、下地板3と、該下地板3上に貼り付けられた石質板4と、石質板4の隣接2辺の側面に取り付けられた第1の弾性材6と、該第1の弾性材6の石質板4と反対側の側面に重なる第2の弾性材5とを備えている。なお、図示は省略するが、これら以外の第3の弾性材が設けられてもよい。
【0031】
躯体床面1は、合板、コンクリートなどよりなる。なお、釘やビスを打つときには合板等を用いる。
【0032】
下地板3としては、合板、珪酸カルシウム板、スラグ石膏板、スレートボード、木質系繊維板、パーティクルボードなどよりなるものが用いられる。下地板3の厚さは5〜15mm程度が好適である。
【0033】
この実施の形態では、下地板3の隣接する2辺(第1及び第2の辺)に雄実3aが設けられ、残りの2辺(第3及び第4の辺)に雌実3bが設けられている。この実施の形態では、雄実3aよりも上側の下地板側面3fと下側の下地板側面3cとは面一である。また、雌実3bよりも上側の下地板側面3gと下側の下地板側面3dとは面一である。
【0034】
なお、実部は図示以外の形状であってもよい。例えば、雄実3a及び雌実3bは、下地板3の厚み方向の途中部分に設けられているが、下部に設けられてもよい。
【0035】
石質板4としては、陶磁器製タイルや、天然石又は人工石よりなる石板が好適である。石質板4の厚さは3〜10mm程度が好適である。
【0036】
石質板4は、雄実3aを有する下地板3の第1及び第2の辺縁から、下地板3の板央側へ所定距離、好ましくは1〜6mm特に好ましくは2〜3mm程度後退している。石質板4は、雌実3bを有する下地板3の第3及び第4の辺縁から側方へ張り出している。この石質板4の張り出し長さは、石質板4の上記雄実3aの辺縁からの板央側への後退距離よりも小さいものとなっている。
【0037】
なお、石質板4としてタイルを用いる場合、下地板3とタイルの寸法の一例を挙げると、次の通りである。
(1) 300×300mmの下地板に約300×300mmのタイルを張る。
(2) 300×600mmの下地板に約300×300mmのタイルを2枚又は約300×600mmのタイルを1枚張る。
(3) 300×1800mmの下地板に約300×300mmのタイルを6枚又は約300×600mmのタイルを3枚張る。
【0038】
ただし、上記(1)〜(3)の寸法はあくまでも一例であり、本発明を何ら限定するものではない。
【0039】
弾性材5,6としては、発泡ゴム(例えば発泡EPDM、発泡NR、発泡CR、発泡NBR、発泡シリコーンゴム)、発泡合成樹脂(例えば発泡ポリエチレン、発泡ポリウレタン、発泡ポリ塩化ビニル)などが好適である。また、弾性材6(弾性率が高い第1の弾性材)としては、樺、檜、胡桃などの木材や、アルミ、ステンレスなどの金属や、塩ビ、アクリル樹脂などの硬質プラスチックであってもよい。
【0040】
弾性材5は弾性材6よりも弾性率が小さく、柔らかいものとなっている。弾性材6の25%圧縮硬さは3〜200N/cm特に25〜100N/cm程度が好ましく、弾性材5の25%圧縮硬さは弾性材6の25%圧縮硬さの0.1〜20%特に0.4〜5%程度であることが好ましい。
【0041】
弾性材5,6は、下地板3の雄実3aを有する辺縁の上側に、石質板4の辺の全長にわたって設けられている。
【0042】
第1の弾性材6は石質板4の側面に接着剤や粘着剤などにより取り付けられており、第2の弾性材5は該第1の弾性材6の側面に接着剤や粘着剤などにより取り付けられている。弾性材5,6は下地板3に対しては接着又は粘着されておらず、石質板4に向って自由に押し縮められるようになっている。
【0043】
弾性材5,6は、石質板4の上面から下方へ所定距離だけ離隔するように設け、床仕上パネル2,2を突き合わせて施工したときに弾性材5が目地間隙から上方へはみ出すことを防止するのが好ましい。
【0044】
施工前の状態における弾性材5,6の目地幅方向の合計の厚さは、施工完了時における目地間隙寸法の平均値の1.2〜3倍特に1.3〜2倍であることが好ましい。施工前の状態における弾性材5の目地幅方向の厚さは弾性材6の目地幅方向の厚さの10〜100%特に20〜50%程度が好ましい。
【0045】
弾性材5,6を石質板4の側面に設ける場合、弾性材6を石質板4の側面に付着させた後、弾性材5を弾性材6に付着させてもよく、弾性材5を予め付着させた弾性材6を石質板4の側面に付着させてもよい。なお、弾性材5,6を下地板3の上面と石質板4の側面との隅角部に設けるので、弾性材5,6の位置決めが容易である。
【0046】
各床仕上パネル2を躯体床面1上に施工するには、第1図(a)のように、躯体床面1上に複数枚の床仕上パネル2を各々の下地板3,3間に間隙があくように載置する。
【0047】
次いで、床仕上パネル2を押して移動させ、床仕上パネル2,2の雄実3aと雌実3bとを係合させつつ、下地板3,3同士を突き合わせる。
【0048】
第1図(b)の通り、下地板3,3同士が当接した後、床仕上パネル2を釘などによって躯体床面1に固定する。
【0049】
なお、予め躯体床面1又は下地板3の下面に接着剤を塗着しておき、床仕上パネル2を接着剤によって躯体床面1に固着させるようにしてもよい。
【0050】
床仕上パネル2,2同士を突き合わせた状態では、それらの間の目地間隙に弾性材5,6が挟圧された状態で配置されており、下地板3は視認されず、美観が良い。また、目地間隙にゴミ等が溜ることも防止される。
【0051】
特に、この実施の形態では、低弾性率の第2の弾性材5と高弾性率の第1の弾性材6とを目地幅方向に重ね合わせるように設けており、石質板4,4間で弾性材5,6が挟圧されたときに低弾性率の弾性材5の方が大幅に圧縮され、長期にわたって弾性的に石質板4,4間に介在する。これにより、弾性材5,6の弾性率が低下してきたときや、何らかの原因によって目地間隙が拡大したときでも、弾性材5が弾性的に膨張可能な状態で目地間隙に存在するようになり、目地切れが防止されると共に、弾性材5,6が取れることが防止される。
【0052】
なお、高弾性率の第1の弾性材6を目地間に介在させているので、弾性材5,6は十分に大きな圧縮反発力を有した状態で目地に存在しており、取れにくい。
【0053】
また、低弾性率の弾性材5は、圧縮するのに要する力が小さいので、床仕上パネル2,2同士を突き合わせる作業労力が軽減される。
【0054】
第2図及び第3図の床仕上パネル2A,2Bは、弾性材5A,5B,6A,6Bとして弾性材5,6とは形状の異なるものを用いたものである。
【0055】
第2図の弾性材5A,6Aは、それらの合わせ面(側面)が下方ほど下地板側面3fに近づくように傾斜している。この傾斜角度(水平面に対する角度)は45〜90°特に55〜75°程度が好ましい。
【0056】
第3図の弾性材6Bは、その下部が弾性材5Bの下側に入り込むようにL字形断面形状となっている。弾性材5Bの下部は、この弾性材6Bの下部の出張りを受け入れるように切り欠かれた形状となっている。
【0057】
なお、弾性材6Bのうち弾性材5Bの下側へ入り込んだ部分の上下方向の厚さは、弾性材6Bの上下方向の全厚みの10〜50%特に20〜30%程度が好ましい。
【0058】
第2,3図のその他の構成は第1図と同一であり、それぞれ(a)は床仕上パネルの施工途中の断面図、(b)は床仕上パネルの施工後の断面図である。
【0059】
この第2,3図の実施の形態でも第1図の実施の形態と同様の効果が奏される。また、この実施の形態では弾性材6A,6Bの下部の幅が大きいので、各(b)図の状態において弾性材6A,6Bの下部が第1図の場合よりも石質板4,4間で強力に挟圧されており、弾性材が目地間隙から取れにくいものとなっている。
【0060】
第4図の床仕上パネル2Cの下地板3Cでは、雄実3aよりも上側の側面3fを、下側側面3cよりも板央側に後退させ、弾性材6の石質板4と反対側の側面と略面一としている。
【0061】
また、雌実3bよりも上側の側面3gを下側側面3dよりも側方へ出っ張らせ、この側面3gを石質板4の側面と略面一としている。
【0062】
弾性材5Cは、第1図の弾性材5に比べて下方に長く延長し、側面3fにも重なっている。弾性材5Cは弾性材6に接着剤又は粘着剤によって取り付けられている。弾性材5Cは、側面3fに対し接着剤又は粘着剤によって付着されているのが好ましいが、付着されなくてもよい。弾性材5Cは雄実3aの上側の面に対して付着されていない。
【0063】
第4図のその他の構成は第1図と同一であり、同一符号は同一部分を示している。
【0064】
この第4図の実施の形態でも第1図の実施の形態と同様の作用効果が奏される。
【0065】
特に、この実施の形態では、弾性材5Cが石質板4,4間だけでなく、下地板3の雄実3aよりも上側の側面3fと、雌実3bよりも上側の側面3gとの間でも挟圧されているので、弾性材5Cが取れにくい。また、弾性材5Cを雄実3aの上面に沿うように設けるので、下地板3及び石質板4の側面に弾性材5Cを接着するときの位置決めが容易である。
【0066】
なお、第4図では第2の弾性材5Cのみを側面3fに沿わせているが、側面3fを石質板4の側面と面一とし、弾性材6を側面3fに沿わせるように上下に長いものとし、弾性材6と弾性材5Cを側面3f,3g間で挟圧するようにしてもよい。
【0067】
第5図〜第7図を参照して、第2の弾性材5,5D,5Eから下地板を通して躯体床面に釘を打つ実施の形態について説明する。なお、この場合、躯体床面は合板、木質セメント板など釘が効く材質のものが用いられる。釘の代わりにビスを用いてもよい。
【0068】
第5図の実施の形態では、第1図に示した床仕上パネル2を用いている。この場合、第5図(a),(b)の右側の床仕上パネル2を躯体床面1に対し釘7で固定し、この床仕上パネル2に対し左側の床仕上パネル2を係合させる。この釘7は第1の弾性材5から下地板3に打ち、さらに躯体床面1にまで打ち込む。釘7の頭によって弾性材5が押さえつけられるので、弾性材5,6が目地間隙から取れにくいものとなる。
【0069】
第5図のその他の構成は第1図と同一である。
【0070】
なお、図示は省略するが、第2,3図の床仕上パネル2A,2Bについても同様に第2の弾性材5A,5Bから下地板3を通して躯体床面1に釘打ちしてもよい。この場合第1の弾性材6A,6Bの下部が第2の弾性材5A,5Bの方へせり出しているので、釘7が弾性材5A,5Bから弾性材6A,6Bの下部を通って下地板3に打ち込まれるようにすることが可能である。このように弾性材5A,5Bも釘留めすることにより、弾性材5A,5B,6A,6Bが目地間隙から取れることが防止される。
【0071】
第6図(a)〜(c)の実施の形態の床仕上パネル2Dでは、第2の弾性材5Dの弾性材6と反対側の側面に凹部5dが設けられている。この凹部5dは、弾性材5Dの長手方向の全長にわたって延在する溝状となっている。この凹部5d内から下地板3を通して躯体床面1に釘7を打つ。
【0072】
このように凹部5dを設けておくと、打ち込んだ釘7の頭が弾性材6に近接したものとなり、床仕上パネル2D,2Dを突き合わせるときに釘7の頭が図の左側の石質板4に当ることが防止される。
【0073】
第7図(a)〜(c)の床仕上パネル2Eでは、下地板3Eの隣接する2辺(第1及び第2の辺)に雄実3hが設けられ、残りの2辺(第3及び第4の辺)に雌実3iが設けられている。雄実3h及び雌実3iは、下地板3Eの下部に設けられている。雄実3hよりも上側の下地板側面3jは、下地板3Eの板央側に後退し、石質板4と面一となっている。雌実3iよりも上側の下地板側面3kは雌実3iよりも側方に突出し、石質板4の側面と面一となっている。
【0074】
下地板側面3jから石質板4側面に跨がって第1の弾性材6Eが接着剤又は粘着剤によって付着されている。この弾性材6Eの石質板4と反対側の側面に重なるように第2の弾性材5Eが接着剤又は粘着剤によって付着されている。弾性材5E,6Eは雄実3hの上面には付着されていない。
【0075】
弾性材5Eの弾性材6Eと反対側の側面は雄実3hの側面(先端面)と面一となっているが、それよりも若干板央側へ後退していてもよい。
【0076】
この床仕上パネル2Eを施工するには、第7図(a)〜(c)の右側の床仕上パネル2Eを釘7によって躯体床面1に固定する。この釘7は、第2の弾性材5Eから下地板3Eを貫通して躯体床面1に打ち込まれる。その後、図の左側の床仕上パネル2Eを右側の床仕上パネル2Eに対し、雄実3hと雌実3iとを嵌合させつつ係合させる。これにより、弾性材5E,6Eが石質板4,4間及び下地板側面3g,3k間で挟圧される。その後、この左側の床仕上パネル2Eについても同様にして躯体床面1に釘留めする。
【0077】
この実施の形態でも、第1,5,6図と同様の効果が奏される。また、この実施の形態では、弾性材5E,6Eが石質板4だけでなく下地板側面3j,3kの間でも挟圧されるので弾性材5E,6Eが取れにくい。
【0078】
上記実施の形態はいずれも本発明の一例であり、本発明は図示以外の形態とされてもよい。例えば、第1図において弾性材5が石質板4に付着し、この弾性材5に対し弾性材6が付着した構成としてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 躯体床面
2,2A,2B,2C,2D,2E 床仕上パネル
3,3C,3E 下地板
4 石質板
5,5A,5B,5C,5D,5E,6,6A,6B,6E 弾性材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
石質板を下地板に取り付けてなり、少なくとも該石質板の側面に弾性材が設けられている床仕上パネルにおいて、
該弾性材は、石質板側の第1の弾性材と、該第1の弾性材の該石質板側と反対側に重なる、該第1の弾性材と弾性率の異なる第2の弾性材とを有することを特徴とする床仕上パネル。
【請求項2】
請求項1において、第2の弾性材の弾性率が第1の弾性材の弾性率よりも小さいことを特徴とする床仕上パネル。
【請求項3】
請求項2において、該下地板は方形であり、その隣接する第1及び第2の辺において石質板が下地板の辺縁よりも板央側に後退しており、残りの第3及び第4の辺にあっては、石質板が下地板の辺縁から側方に突出しており、
該第1及び第2の辺における少なくとも石質板の側面に弾性材が設けられていることを特徴とする床仕上パネル。
【請求項4】
請求項3において、下地板の前記第1及び第2の辺にあっては、その側面の上下方向の途中又は下部から雄実が突設されており、
該下地板の第3及び第4の辺の側面には雌実が設けられていることを特徴とする床仕上パネル。
【請求項5】
請求項4において、
前記第1の弾性材は石質板の側面にのみ沿って設けられており、
前記第2の弾性材は、第1の弾性材の側面から該下地板の第1及び第2の辺の側面のうち該雄実よりも上側の下地板側面に跨って設けられいることを特徴とする床仕上パネル。
【請求項6】
請求項5において、該下地板の第1及び第2の辺の側面と、前記第1の弾性材の石質板と反対側の側面とが略面一となっていることを特徴とする床仕上パネル。
【請求項7】
請求項4において、前記第1及び第2の弾性材は、石質板の側面から雄実よりも上側の下地板側面にわたって設けられていることを特徴とする床仕上パネル。
【請求項8】
請求項2ないし7のいずれか1項において、第2の弾性材の第1の弾性材と反対側の側面に、釘又はビスの頭を収容するための凹部が設けられていることを特徴とする床仕上パネル。
【請求項9】
請求項2ないし8のいずれか1項において、前記第1の弾性材の石質板側面と直交方向の幅は、上部よりも下部の方が大きいことを特徴とする床仕上パネル。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の床仕上パネルを複数枚突き合わせるように躯体床面に設置し、該床仕上パネル同士の間で前記弾性材を挟圧してなる床仕上パネルの設置構造。
【請求項11】
請求項10において、床仕上パネルは請求項2ないし9のいずれか1項の床仕上パネルであり、第2の弾性材から下地板を通して躯体床面に釘、ステープル又はビスを打ち込んで床仕上パネルを固定したことを特徴とする床仕上パネルの設置構造。
【請求項12】
請求項11において、床仕上パネルは請求項8の床仕上パネルであり、釘又はビスの頭部が第2の弾性材の前記凹部内に配置されていることを特徴とする床仕上パネルの設置構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−156184(P2010−156184A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276(P2009−276)
【出願日】平成21年1月5日(2009.1.5)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】