説明

床位置検出装置

本発明は、第1のホールセンサ(42)を有し、かつ少なくとも1つの床位置特性を検出するために提供される少なくとも1つの第1のセンサユニット(18)と、床信号(54)を発生させるために、床位置特性を評価するために提供される評価ユニット(50)とを含む、リフトシステム(10)の床位置検出装置に関する。本発明によれば、センサユニット(18)は、少なくとも1つの第2のホールセンサ(46)を含み、評価ユニット(50)は、床信号(54)を発生させるために、少なくとも2つの床位置特性を評価するために提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、詳細には請求項1の前書き部分に記載のエレベータシステムの床位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許出願公開第0847953号明細書という文献による装置が公知であり、その装置を用いて、エレベータキャビンが床にいつ到達したかが検出されることができる。装置は、床を特徴付ける場所に同一直線に配列される2つの永久磁石と、永久磁石により発生させられた磁場を検知するための磁場センサと、さらに磁場センサからの信号を評価するための評価ユニットとを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0847953号明細書
【特許文献2】国際公開第03/011733号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、特に、エレベータシステムの床の位置を確実に検出するための、簡単で費用効率の高い装置を提供することである。この目的は、本発明に従って、請求項1の特徴によって達成される。別の実施形態が、独立請求項および従属請求項で明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、第1のホールセンサを含み、かつ少なくとも1つの床位置特性を検知する目的で提供される少なくとも第1のセンサユニットを有し、床信号を発生させるために、床位置特性を評価する目的のために提供される評価ユニットを有する、エレベータシステムの床位置検出装置に関する。
【0006】
センサユニットは、少なくとも第2のホールセンサと、床信号を発生させるために、少なくとも2つの床位置特性を評価する目的のために提供される評価ユニットとを含むことが提案されている。少なくとも第2のホールセンサを含むことにより、床位置特性を確実に検知する、簡単で費用効率の高い解決策が達成される。用語「床位置特性」は、この文脈では、特に、床の位置を特徴付ける場所に取り付けられた磁気的手段に基づくホールセンサからの信号を意味するものと理解される。用語「床信号」は、この文脈では、電気信号または電子信号、特に、定義された相対位置がエレベータキャビンと床の間で達成されたことを示す目的のために提供されるトリガ信号を意味するものと理解される。用語「評価ユニット」は、この文脈では、特に、アナログおよび/またはデジタルの電気信号を処理するための電子ユニットを意味するものと理解される。用語「〜の目的のために提供される」は、この文脈では、特に、特別に装備される、具体化される、および/またはプログラムされることを意味するもの理解される。用語「磁気的手段」は、この文脈では、特に、磁場を発生させるための手段を、特に、円筒形の永久磁石を意味するものと理解される。好ましくは、少なくとも2つのホールセンサが、2次元で間隔をおいた公知の配置で配列され、その結果、非常に正確な方法で床の位置を決定することが可能である。有利なことに、間隔をおいたホールセンサ配置は、センサからの信号の半値全幅(full width at half maximum、FWHM)である50%から100%までの間にある。
【0007】
用語「半値全幅」は、この文脈では、特に、ホールセンサを2つの位置に間隔をおいて配置することを意味するものと理解され、この場合、ホールセンサからの信号が、磁気的手段を用いて位置の間で発生させられる最大振幅の50%に対応する。
【0008】
さらに、床位置検出装置は、絶対位置システム(absolute position system)と、床信号を発生させる目的のため、および絶対位置システムの絶対位置データの読出しを床信号と同期させるための同期ユニットとを含むことが提案され、その結果、床の絶対位置を迅速で簡単な方法で決定し、確認することが可能である。用語「絶対位置システム」は、この文脈では、絶対位置システムが機能する方法が詳細に説明されている、国際公開第03/011733号という文献におおよそ従って、エレベータシャフト内部のエレベータキャビンの絶対位置を検出するための、すでに公知のシステムを意味するものと理解される。用語「同期ユニット」は、この文脈では、特に、実質的にデジタルの電気信号を処理するための電子ユニットを意味するものと理解される。好ましくは、評価ユニットおよび同期ユニットは、少なくとも部分的に一体化されて具体化されることができる。しかし、基本的には、これらのユニットを分離することも可能である。
【0009】
有利な一実施形態では、少なくとも2つのホールセンサからのアナログ信号の振幅を比較し、同一振幅の場合には、少なくとも1つのデジタルスイッチング状態を変更し、その結果、センサユニットの絶対高度レベル位置と床が正確にタイミングをとられていることを特徴付ける位置にあるエレベータシャフト内の磁気的手段との間のマッチングを検知する目的のために提供される少なくとも1つの電子回路を評価ユニットは含み、前記マッチングは、非常に簡単な方法でさらに処理することができるようにする形で処理されることができる。好ましくは、少なくとも2つのホールセンサからの信号の一方の算術符号が、電子回路を用いて逆転させられ(反転させられ)、第2のホールセンサからの信号に加算されることができる。アナログ信号を電子的に減算するための確立された方法が、当業者に公知である。その結果、有利なことに、2つのホールセンサからの同一信号レベルが、振幅ゼロの信号レベルに変換されることができ、その信号レベルは、より簡単な方法で検出されることができる。特に、電子回路で2つのホールセンサからの信号を別々に増幅することにより、センサ感度が異なる結果として、および/または磁気的手段に対して異なる広範囲の最小間隔をおいて配置する結果として、異なるレベルにある信号の振幅を補償することが可能であり、その結果、床位置検出装置の精度を増すことができる。振幅を補償するために必要とされる増幅は、エレベータキャビンのトレーニング運転中に決定されることができる。
【0010】
センサユニットは、少なくとも第3のホールセンサを含み、評価ユニットは、床信号を発生させるために、少なくとも3つの床位置特性を評価する目的のために提供されることがさらに提案されている。有利なことに、第3のホールセンサを含むことにより、2つのその他のホールセンサからの信号の誤った解釈を排除することが可能であり、その結果、床位置検出装置の信頼性が、簡単で費用効率の高い方法で高められる。好ましくは、第3のホールセンサは、2つのその他のホールセンサに対して中央の位置に取り付けられることができ、その結果、床位置検出装置の信頼性を高めるために、同時に満たされるべき追加条件と第1の2つのホールセンサからの信号の振幅の任意のマッチングが、第3のホールセンサの最小振幅に結びつけられることができる。有利なことに、磁気的手段の漂遊磁界(stray field)および隣接磁力線(adjacent field line)の結果として3つのホールセンサからの信号を誤って解釈することを避けるために、絶対位置システムからの情報が、床を特徴付ける位置にある磁気的手段の近傍の中にエレベータキャビンを移動させる目的のために使用されることができる。用語「近傍の中に」は、この文脈では、磁気的手段に関して3つのホールセンサの最密間隔をおいた配置を意味するものと理解され、その間隔をおいた配置は、2つの外側にあるホールセンサの中央に間隔をおいた配置に対応する。
【0011】
別の提案される実施形態では、評価ユニットは、有利なことに、少なくとも3つのホールセンサのうちの少なくとも1つからのアナログ信号をデジタル化する目的のために提供される少なくとも1つの電子コンパレータ回路を含み、その結果、ホールセンサからの信号に対する条件が、著しく簡単な方法で、電子的な形で評価されることができる。好ましくは、ホールセンサのうちの少なくとも1つからの信号の正の振幅に対する最小値が、コンパレータしきい値として定義されることができ、ホールセンサのうちの少なくとも1つからの信号の負の振幅に対する最大値が、別のコンパレータしきい値として定義されることができ、その結果、有利なことに、床を特徴付ける位置にある磁気的手段に、より近いホールセンサのうちの少なくとも1つの動きが、コンパレータ出力で電圧レベルを変化させることにより、著しく簡単な方法で検出されることができる。有利なことに、コンパレータ出力の電圧レベルは、センサユニットが磁気的手段に近接する状況を定義する目的のため、およびその他のホールセンサを評価することにより発生する可能性がある、任意の誤ったスイッチング信号を同時計数回路で除去する目的のために使用されることができる。電子コンパレータ回路は、個々のコンパレータを使って、またはウィンドウコンパレータ(window comparator)として具体化されることができる。この目的のために確立された方法が、当業者に公知である。
【0012】
センサユニットは、少なくとも第4および第5のホールセンサを含み、評価ユニットは、床信号を発生させるために、少なくとも5つの床位置特性を評価する目的のために提供されることがさらに提案されている。第4および第5のホールセンサを含むことにより、第1および第2のホールセンサからの信号についてさらに誤った解釈をする可能性を排除することが、有利な方法で可能であり、その結果、床位置検出装置の信頼性が、簡単で費用効率の高い方法でさらに高められる。好ましくは、第4および第5のホールセンサは、いずれの場合も、ホールセンサの列の外側の位置に配列され、その結果、これらのホールセンサからの信号から、床を特徴付ける位置にある磁気的手段により発生させられる磁場の極性を決定することが、有利な方法で可能である。
【0013】
有利な実施形態では、同期ユニットは、ホールセンサからの、合成されたデジタル化された信号のタイミング一致を決定するための手段を含み、その結果、その場合、センサユニットの絶対位置と、床を特徴付ける位置にある磁気的手段とのマッチングが、正確に検知され、ホールセンサからの信号を誤って解釈することが、簡単で費用効率の高い方法で確実に排除されることができる。
【0014】
センサユニットは、共通の床に配置された少なくとも2つの磁気的手段を含むことが提案されている。床を特徴付ける位置で2つの磁気的手段を使用することにより、床位置検出装置の信頼性を簡単で費用効率の高い方法で高めることが可能である。有利なことに、センサユニットは第1の磁気的手段を認識するということが、エレベータキャビンが床の近傍にあるという指示として使用されることができ、その結果、エレベータキャビンが床の第2の磁気的手段に移動した比較的短い距離が、第2の磁気的手段により発生させられたホールセンサからの信号を含むことにより著しく正確な方法で決定されることができる。
【0015】
有利な実施形態では、床位置検出装置は、冗長な床信号を発生させるために、第1のセンサユニットとは独立して機能する少なくとも第2のセンサユニットを含み、その結果、床位置検出に関する信頼性を高めることが、簡単で費用効率の高い方法で達成される。
【0016】
少なくとも1つのエレベータキャビンを有し、床位置検出装置を有するエレベータシステムであって、少なくとも第1のセンサユニットがエレベータキャビンに配列され、その結果、著しく簡単で費用効率の高い解決策が、設置に関して著しく少ない出費と共に達成されるエレベータシステム。しかし、磁気的手段がエレベータキャビンを特徴付ける位置に取り付けられ、かつ少なくとも第1のセンサユニットが床を特徴付ける位置に取り付けられる配列も基本的に実現可能である。
【0017】
別の有利な点が、図面の以下の説明から明らかである。本発明の代表的実施形態が、図面に示されている。本明細書および特許請求の範囲は、数多くの特徴を組み合わせて含む。当業者はまた、好都合な方法で特徴を個々に考慮して、意図をもった方法で別の組合せを生み出すことを理解している。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】エレベータシャフト内にエレベータキャビンを備えるエレベータシステムの一部を示す。
【図2】5つのホールセンサを有するセンサユニット、およびホールセンサの信号を評価する処理の略図を示す。
【図3】評価ユニットおよび同期ユニットの電子回路図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、エレベータシャフト14内を移動することができるエレベータキャビン12を有するエレベータシステム10の一部を示す。機能的に互いに独立して動作する2つのセンサユニット18、20が、いずれの場合も、床16の近傍に位置する、エレベータキャビン12の側面の片側に配列され、センサユニット18、20は、いずれの場合も、床位置特性を検知するために提供される。床位置特性は、床16を特徴付ける位置22でエレベータシャフト14内に磁気的手段28が配列されるということによって、第1のセンサユニット18を使用して検知され、磁気的手段28は、永久磁石として具体化され、磁気的手段28の磁場34は、5つのホールセンサ40、42、44、46、48を含む第1のセンサユニット18が接近する間にホールセンサ40、42、44、46、48内に電気信号を発生させる。第2のセンサユニット20が、2つの磁気的手段30、32のそばを通過することがこの目的のために提供され、磁気的手段30、32は、いずれの場合も、永久磁石として具体化され、床16を特徴付けて、それぞれの場合に磁場36、38を発生させる位置24、26に配列される。センサユニット18、20のそれぞれは、床信号54、56を発生させるために、センサユニット18、20のそれぞれの場合について、5つの床位置特性を評価する目的のために提供される評価ユニット50、52にそれぞれ電気的に接続される。
【0020】
第1のセンサユニット18とは独立して動作する第2のセンサユニット20が、冗長な床信号56を発生させるために、安全性の理由で使用される。
【0021】
2つの独立した評価ユニット50、52のそれぞれは、同期ユニット58、60に電気的に接続され、共通のハウジング70、70’内に配列される。同期ユニット58、60は、それぞれの評価ユニット50、52からの電気信号から床信号54、56を発生させる目的のため、および絶対位置システム72の絶対位置データの読出しを床信号54、56と同期させるために提供される。この目的のために、信号ケーブル66、68が、それぞれの場合に、同期ユニット58、60の出力62、64から、絶対位置システム72に接続される制御ユニット74まで、データを伝送することができるような方法で経路を定められる。絶対位置システムは、ここでは詳細に説明されず、絶対位置システムの詳細は図1に示されていない。用語「制御ユニット」は、この文脈では、特に、演算論理装置、記憶装置、および前記記憶装置に記憶される運用プログラムを有する装置を意味するものと理解される。用語「制御」は、この文脈では、絶対制御プロセスおよび/または同様に閉ループ制御プロセスにおける、意図をもった作動を意味するものと理解される。絶対位置システム72の絶対位置データを再び読み出して制御ユニット74の記憶素子に前記データを記憶するために、同期ユニット58、60の床信号54、56が受信されたとき、および2つの床信号54、56のタイミング一致に関して制御ユニット74に記憶される条件が満たされた場合に、同期ユニット58、60の床信号54、56を試験する目的のために、制御ユニット74は提供される。
【0022】
床位置検出装置の、図1に示される代表的実施形態は、床信号54、56を発生させるために、互いに独立して動作する2つのセンサユニット18、20と、独立した磁気的手段28、ならびにさらに30および32と、2つの独立した評価ユニット50、52と、2つの独立した同期ユニット58、60を冗長の理由で含む。しかし、基本的に、床位置検出装置はまた、本発明の考え方を損なうことなく、床信号54または56を発生させるために、1つの単一センサユニット18または20と、1つの磁気的手段28、または30および32と、1つの評価ユニット50または52と、1つの同期ユニット58または60で構成されることができる。
【0023】
図2は、5つのホールセンサ40、42、44、46、48を備える図1のセンサユニット18の一方、および評価プロセスの略図を示す。5つのホールセンサ40、42、44、46、48は、センサの中央からセンサの中央までほぼ8mmの一定間隔をおいた配置で直線の垂線に沿って整列させられ、その結果、5つのホールセンサ40、42、44、46、48が、ほぼ5mmの最密の横間隔をおいた配置で、床16を特徴付ける位置22に配置される、図1の磁気的手段28のそばを通過するとき、磁気的手段28により発生させられた磁場34を順々に検知する。
【0024】
5つのホールセンサ40、42、44、46、48は、それらのアナログ信号76を評価ユニット50で順次に評価することにより特徴付けられる。2つのホールセンサ42および46は主センサであり、センサユニット18の第2および第4の位置に配列される。ホールセンサ44はイネーブルセンサ(enable sensor)と呼ばれ、中央に配置される。ホールセンサ40および48は、ホールセンサ40、42、44、46、48の配列の外側の位置に配置され、ホールセンサ44と共に極性センサとして特徴付けられる。
【0025】
図2の中央部分は、ホールセンサ40、42、44、46、48からのアナログ信号76の略図を示し、この信号は、前記ホールセンサが、床16を特徴付ける位置22で図1の磁気的手段28のそばを通過するときに、評価目的のため合成される。5つのホールセンサ40、42、44、46、48からのアナログ信号76は、図3の中央部分による評価ユニット50の電子回路で処理される。図2の右側部分は、5つのホールセンサ40、42、44、46、48からの合成されたアナログ信号76から得られ、かつ同期ユニット58(図3の右側部分に示されている)に供給されるデジタル信号CLK、ENABLE A、ENABLE B、およびPOLを示す。デジタル信号CLK、ENABLE A、ENABLE B、およびPOLがどのように得られるかに関して、本明細書で以下に説明が提供される。
【0026】
図3の評価ユニット50は、ホールセンサ42および46からのアナログ信号の振幅を比較する目的のため、および同一振幅の場合には、デジタルスイッチング状態を変更する目的のために提供される電子回路78を含む。信号CLKは、ホールセンサ46からのアナログ信号76が、演算増幅器80で、ホールセンサ42からのアナログ信号から減算された際に発生させられる。演算増幅器80の回路内の電気抵抗を調節することにより、異なる感度、ならびにホールセンサ42および46とトレーニング運転中に検出された磁気的手段28との間の最小間隔をおいた配置が補償される。その結果、演算増幅器80の入力での同一振幅が、床16を特徴付ける位置22に配列される磁気的手段28からホールセンサ42および46が同一間隔をおいて配置されることに対応する。抵抗を決定するために必要な方法は、当業者に公知である。ホールセンサ42および46からの信号76の差のゼロ交差が、演算増幅器80の出力電圧の変化をもたらす。信号CLKを発生させるために下流で接続される別の演算増幅器82のデジタルスイッチング状態が、基準電圧V_REFを基準として演算増幅器80の出力電圧のレベルと共に変化する。
【0027】
デジタル信号ENABLE AおよびENABLE Bを発生させるために、評価ユニット50は、ホールセンサ44からのアナログ信号76をデジタル化する目的のために提供される電子コンパレータ回路84を含む。演算増幅器の抵抗回路86を用いて、ホールセンサ44からのアナログ信号76が正電圧しきい値+60mVを超えた場合、信号ENABLE A=“1”が発生させられる。別の演算増幅器の抵抗回路88を用いて、ホールセンサ44からのアナログ信号76が負電圧しきい値−60mV以下であった場合、信号ENABLE B=“1”が発生させられる。
【0028】
別の演算増幅器90が、別のコンパレータ回路92を表し、コンパレータ回路92は、固定して設定された基準電圧94を、ホールセンサ40、44、および48からの信号から合成された振幅96と比較し、合成された振幅96が、基準電圧94を超えた、および/または基準電圧94以下であった場合、自分のデジタルスイッチング出力を変更する。演算増幅器90の出力電圧が、デジタル信号POLを表す。
【0029】
同期ユニット58は、ホールセンサ40、42、44、46、48からの、合成されデジタル化された信号の、すなわちデジタル信号CLK、ENABLE A、ENABLE B、およびPOLのタイミング一致を決定するための手段として、電子論理モジュールの論理回路98を含む。この論理回路98の出力100が、ENABLE Aが“1”であり、かつPOLが“0”である場合、またはENABLE Bが“1”であり、かつPOLが“1”である場合、電圧レベル論理=“1”に切り換えられる。このとき、この論理条件は、センサユニット18が、磁気的手段28の近傍に位置する場合だけ、評価ユニット50が反応することを確実にする。論理回路100の出力は、正の立ち上がりに反応し、かつクロック入力がそれぞれの場合に信号CLKおよび/または反転させられたCLK信号により制御される2つのDフリップフロップ102、104のリセット入力に向かう。Dフリップフロップの2つの反転させられたデータ出力が、論理回路のNAND論理素子106で評価される。これは、反転させられないデータ出力に対してOR条件に対応する。ホールセンサ42および46が同一振幅である場合、および信号ENABLE A、ENABLE B、およびPOLに対する論理条件が満たされた場合、NAND論理素子106の出力108が、論理“1”に切り換わり、床信号54を発生させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のホールセンサ(42)を含み、かつ少なくとも1つの床位置特性を検知する目的のために提供される少なくとも第1のセンサユニット(18)を有し、床信号(54)を発生させるために、床位置特性を評価する目的のために提供される少なくとも1つの評価ユニット(50)を有し、センサユニット(18)は少なくとも第2のホールセンサ(46)を含み、評価ユニット(50)は床信号(54)を発生させるために、少なくとも2つの床位置特性を評価する目的のために提供される、エレベータシステム(10)の床位置検出装置であって、
評価ユニット(50)は、少なくとも2つのホールセンサ(42、46)からのアナログ信号(76)の振幅を比較し、同一振幅の場合には、少なくとも1つのデジタルスイッチング状態を変更する目的のために提供される少なくとも1つの電子回路(78)を含むことを特徴とする床位置検出装置。
【請求項2】
絶対位置システム(72)と、床信号(54)を発生させる目的のため、および絶対位置システム(72)の絶対位置データの読出しを床信号(54)と同期させるために提供される同期ユニット(58)とにより特徴付けられる、請求項1に記載の床位置検出装置。
【請求項3】
センサユニット(18)が、少なくとも第3のホールセンサ(44)を含み、評価ユニット(50)が、床信号(54)を発生させるために、少なくとも3つの床位置特性を評価する目的のために提供されることを特徴とする、請求項1から2のいずれか一項に記載の床位置検出装置。
【請求項4】
評価ユニット(50)が、少なくとも3つのホールセンサ(42、44、46)のうちの少なくとも1つからのアナログ信号(76)をデジタル化する目的のために提供される少なくとも1つの電子コンパレータ回路(84、92)を含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の床位置検出装置。
【請求項5】
センサユニット(18)が、少なくとも第4および第5のホールセンサ(40、48)を含み、評価ユニット(50)が、床信号(54)を発生させるために、少なくとも5つの床位置特性を評価する目的のために提供されることを特徴とする、少なくとも請求項3に記載の床位置検出装置。
【請求項6】
同期ユニット(58)が、ホールセンサ(40、42、44、46、48)からの、合成されデジタル化された信号のタイミング一致を決定するための手段を含むことを特徴とする、請求項3または5に記載の床位置検出装置。
【請求項7】
センサユニット(20)が、共通の床(16)に配置される少なくとも2つの磁気的手段(30、32)を含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の床位置検出装置。
【請求項8】
冗長な床信号(56)を発生させるために、第1のセンサユニット(18)と独立して機能する少なくとも第2のセンサユニット(20)により特徴付けられる、請求項1から7のいずれか一項に記載の床位置検出装置。
【請求項9】
少なくとも1つのエレベータキャビン(12)を有し、
少なくとも第1のセンサユニット(18)が、エレベータキャビン(12)上に配列されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の床位置検出装置を有するエレベータシステム(10)。
【請求項10】
床信号(54)を発生させるために、少なくとも2つのホールセンサ(42、46)の床位置特性が評価されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の床位置検出装置を有する、床の位置を検出する方法。
【請求項11】
床信号(54、56)が、絶対位置システム(72)を用いて絶対位置が制御ユニット(74)に提供されることを少なくとも起動することを特徴とする、請求項10に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2013−514953(P2013−514953A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543586(P2012−543586)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068599
【国際公開番号】WO2011/076533
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(390040729)インベンテイオ・アクテイエンゲゼルシヤフト (166)
【氏名又は名称原語表記】INVENTIO AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】