説明

床暖房構造

【課題】床暖房構造に関し、強度の大幅な向上を実現することができる。
【解決手段】ヒータの端末に設けられたヒータ結線部15は裏面板2の裏面側に取着されており、ヒータ結線部15は根太同士の間に配置されており、表面板14の外表面上に釘打ち代パターン5を形成し、裏面板2の収納空間12内に釘打ち代パターン5に対向して釘付け用の突起部分6を形成し、ヒータが突起部分6を避けるようにして収納空間12内に収納されており、床暖房パネル1の外表面上に化粧床材を釘付けにて取付ける際に、当該釘を表面板14の釘打ち代パターン5部分、突起部分6、裏面板2からなる床暖房パネル1を貫通して、根太3に打ち込み、床暖房パネル1を根太3に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は床暖房構造に係り、特には、ヒータ結線部の取着構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、室内暖房を実現するのに適した床暖房パネルのうちには、ヒータを内装してなる複数枚が電気的に接続されながら並列配置されることによって床面を構成する構造とされたものがあり、平面視矩形状を有する床暖房パネルの各々は、室内の床下となる位置に離間して並設済みの根太上に架け渡したうえで載置されることになっている。なお、床暖房パネルは床下地材としても使用されており、この場合における床暖房パネルの外表面上に載置された化粧床材(表面化粧フローリング)は釘付けなどの手法でもって固定される。
【0003】
すなわち、図2で示すように、この際における床暖房パネル11は、ヒータ(図示省略)を収納するための収納空間12が表面側に切り込み形成されたうえで厚みの厚い(9mm程度)裏面板13と、裏面板13の表面側と重ね合わせて一体化される厚みの薄い(3mm程度)表面板14とを具備したものであり、表面板14でもって閉塞される収納空間12の長辺方向に沿う一端側には、ヒータの端末に設けられたコネクタや結線ケースなどのヒータ結線部15を収納するための凹部12aが短辺方向に沿って貫通する状態としたうえで形成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、床暖房パネルにおいては、所定重量の砂袋を平面支持された床暖房パネル上に落下させることを内容とする強度試験が実行されるのであるが、前記従来構成の床暖房パネル11では、必要とされる以下の重量であるにも拘わらず損傷が生じ、要求される強度を満足できないことが起こっていた。
【0005】
そして、この際における損傷は、裏面板13に形成された収納空間12の凹部12aを中心として発生することが多いので、ヒータ結線部15の取着構造を変更して床暖房パネル自体の構造を改善することが求められている。なお、裏面板13そのものの厚みを厚くすることによって床暖房パネル11の強度向上を図ることも考えられるが、このような手立てを採用したのでは、製造コストの上昇を招くというような他の不都合が生じてしまうことになる。
【0006】
本発明は、このような不都合に鑑みて創案されたものであって、強度の大幅な向上を実現することが可能な床暖房構造の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る床暖房構造は、ヒータを収納する収納空間が表面側に形成された裏面板と、この裏面板に重ね合わせて一体化された表面板とからなる床暖房パネルを、離間して並設された根太上に架け渡して載置固定してなる床暖房構造であって、ヒータの端末に設けられたヒータ結線部は前記裏面板の裏面側に取着されており、かつ、このヒータ結線部は根太同士の間に配置されており、前記表面板の外表面上に釘打ち代パターンを形成し、前記裏面板の収納空間内に前記釘打ち代パターンに対向して釘付け用の突起部分を形成し、ヒータが前記突起部分を避けるようにして前記収納空間内に収納されており、前記床暖房パネルの外表面上に化粧床材を釘付けにて取付ける際に、当該釘を前記表面板の前記釘打ち代パターン部分、前記突起部分、前記裏面板からなる前記床暖房パネルを貫通して、前記根太に打ち込み、前記床暖房パネルを前記根太に固定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る床暖房構造によれば、ヒータ結線部を裏面板の裏面側に取着しており、しかも、このヒータ結線部を根太同士間に配置しているので、ヒータ結線部を収納するための凹部を裏面板の収納空間内に形成しておく必要がなくなる結果、床暖房パネルの有する強度が増大することになり、要求される強度を十分に満足することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
図1は本実施の形態に係る床暖房構造を簡略化して示す分解斜視図であり、図中の符号1は床暖房パネル、2は裏面板である。なお、本実施の形態に係る床暖房構造を示す図1において、図2と互いに同一となる部品、部分には同一符号を付しており、ここでの詳しい説明は省略する。
【0011】
本実施の形態に係る床暖房パネル1は、図1で示しているように、ヒータ(図示省略)を収納するための収納空間12が表面側に切り込み形成され、かつ、厚みが9mm程度と厚くなった裏面板2と、厚みが3mm程度と薄くなったうえで裏面板2の表面側に重ね合わせて一体化される表面板14とを具備したものであり、暖房すべき室内の床下となる位置に離間して並設された複数本の所定太さを有する根太3上に架け渡したうえで載置されることになっている。なお、これらの根太3は隣接するもの同士間に300mm程度ずつの離間間隔を確保しながら並設されたものであり、図示省略しているが、根太3同士間にはこれらの根太3を全体として支持する大引上に載置された所定厚みの断熱材が介装されている。
【0012】
そして、裏面板2に形成された収納空間12の長辺方向に沿う一端側には、裏面板2をその厚み方向に沿って貫通する状態、つまり、収納空間12の底面から裏面板2の裏面側へと向かって貫通する状態として形成された一対の貫通孔4が設けられており、表面板14によって閉塞された収納空間12内に収納されたヒータの端末それぞれは貫通孔4の各々を挿通したうえで裏面板2の裏面側へと引き出されている。なお、裏面板2には単一個の貫通孔のみを形成しておくこととし、この貫通孔を挿通して共通に引き出されたヒータの両端末を裏面板2の裏面側で振り分けてもよいことは勿論である。
【0013】
さらに、各貫通孔4を挿通して外部にまで引き出されたヒータの端末それぞれに対してはコネクタや結線ケースなどのようなヒータ結線部15が各別として導通接続されており、これらヒータ結線部15の各々は裏面板2の裏面側に露出したうえ、両面接着テープなどを利用することによって固定的に取着されている。そして、この際におけるヒータ結線部15は、床暖房パネル1が載置されることになる根太3の位置を考慮し、かつ、根太3同士の間にヒータ結線部15が配置されるような位置を予め選択したうえで取着されている。そのため、この床暖房パネル1にあっては、従来の形態における凹部12a、つまり、ヒータ結線部15を収納するための凹部12aを裏面板2の収納空間12内に形成しておく必要がないことになる。
【0014】
ところで、床下地材として使用される際における床暖房パネル1の外表面上、つまり、表面板14上には化粧床材が釘付けなどの手法でもって取り付けられることになっている。したがって、この際における表面板14の外表面上には、化粧床材を釘付けする際の目安となる釘打ち代パターン5を印刷などによって形成しておくことが好ましい。すなわち、床暖房パネル1の外形に比べると、化粧床材の外形の方が小さいから、ヒータを避けるようにしながら予め表面板14の外表面上に釘打ち代パターン5を印刷しておけば、釘(図示省略)の貫通によってヒータが損傷するというような不都合は生じないことになる。
【0015】
さらには、この際における裏面板2の収納空間12内の所定位置ごとに釘付け用の突起部分6を予め形成しておき、これらの突起部分6に対して表面板14を貫通した釘が打ち込まれるような構造を採用してもよく、このような構造を採用した場合には、化粧床材を取り付けるための釘を確実に支持することが可能となる。なお、床暖房パネル1の表面板14上に釘打ち代パターン5を形成しておいた場合には、この釘打ち代パターン5を利用して床暖房パネル1に対する化粧床材の釘付けが実行されるほか、床暖房パネル1自体を根太3に対して釘付けする場合の目安としても釘打ち代パターン5を利用し得ることとなる。また、化粧床材を取り付けるための釘のうちには、化粧床材のみならず床暖房パネル1をも貫通して根太3にまで打ち込まれるものがあってよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施の形態に係る床暖房構造を簡略化して示す分解斜視図である。
【図2】従来の形態に係る床暖房パネルの構造を簡略化して示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0017】
1 床暖房パネル
2 裏面板
3 根太
12 収納空間
14 表面板
15 ヒータ結線部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒータを収納する収納空間が表面側に形成された裏面板と、この裏面板に重ね合わせて一体化された表面板とからなる床暖房パネルを、離間して並設された根太上に架け渡して載置固定してなる床暖房構造であって、
ヒータの端末に設けられたヒータ結線部は前記裏面板の裏面側に取着されており、かつ、このヒータ結線部は根太同士の間に配置されており、
前記表面板の外表面上に釘打ち代パターンを形成し、前記裏面板の収納空間内に前記釘打ち代パターンに対向して釘付け用の突起部分を形成し、ヒータが前記突起部分を避けるようにして前記収納空間内に収納されており、
前記床暖房パネルの外表面上に化粧床材を釘付けにて取付ける際に、当該釘を前記表面板の前記釘打ち代パターン部分、前記突起部分、前記裏面板からなる前記床暖房パネルを貫通して、前記根太に打ち込み、前記床暖房パネルを前記根太に固定することを特徴とする床暖房構造。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−248045(P2007−248045A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−106997(P2007−106997)
【出願日】平成19年4月16日(2007.4.16)
【分割の表示】特願平10−18627の分割
【原出願日】平成10年1月30日(1998.1.30)
【出願人】(000000413)永大産業株式会社 (243)
【Fターム(参考)】