説明

床暖房用コントローラ装置

【課題】本発明は、単一の温度ヒューズで、独立して制御される複数の床暖房用電気ヒータへの通電が断てる床暖房用コントローラ装置を提供する。
【解決手段】本発明は、電源電力を複数の床暖房用電気ヒータ1,2へそれぞれ導く複数のヒータ通電系a,bにそれぞれ常開式のリレー装置17a、17b、18a,18bを設けた床暖房用コントローラ装置5において、単一の温度ヒューズ40を通して各リレー装置へ駆動用の電力を供給する給電系aを採用した。これにより、コントローラ装置が異常な温度になると、温度ヒューズが溶断し、各リレー装置への通電を断ち、全ての床暖房用電気ヒータの通電を止めるから、温度ヒューズ40は、複数個、据付けずにすむ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過熱防止用の温度ヒューズを有する床暖房用コントローラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一戸建てやマンションの住宅において、複数の部屋を床暖房する場合や、床面積の大きい部屋を床暖房する場合においては、それぞれの部屋の床下、あるいは大きい部屋をいくつかのゾーンに分けたうえで、各部屋の床下にそれぞれ床暖房用電気ヒータを設けて、それぞれ床暖房することが行われるようになった。
こうした床暖房に用いられる床暖房用コントローラ装置は、通常、それぞれ部屋毎やゾーン毎に設置されるが、近年では、コストの低減化を図るために、隣接する複数のゾーンの場合、その隣接する床暖房用電気ヒータのレイアウトを活用して、1台の床暖房用コントローラ装置で、複数の床暖房用電気ヒータの運転を独立して制御することが進められている。
【0003】
一般的にこのような床暖房用コントローラ装置には、コントローラ本体に、電源電力を複数の床暖房用電気ヒータへそれぞれ導く複数のヒータ通電系を設け、これらヒータ通電系に、それぞれ床暖房用電気ヒータへの通電を接・断する常開式のリレー装置を設け、これらリレー装置の接・断動作を制御部で制御する構造が用いられる。
ところで、床暖房用コントローラ装置は、高電圧の電力を床暖房用電気ヒータへ通電させるために、部品の劣化や部品の接触不良などを要因とした過熱が発生するおそれがある。
【0004】
そこで、従来から、1チャンネルの床暖房用コントローラ装置、すなわち1つの床暖房用電気ヒータを制御する床暖房用コントローラ装置では、特許文献1に開示されているようにヒータ通電系に温度ヒューズを設けている。つまり、安全性を確保するため、リレー装置など部品の過熱などにより内部が異常な温度に上昇すると、コントローラ装置内の温度ヒューズが溶断し、床暖房用電気ヒータへの通電を断つようにしてある。
【特許文献1】特開平10−38298号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、このようなヒータ通電系毎に温度ヒューズを設ける構造は、複数の床暖房用電気ヒータを1台で制御する複数チャンネルの床暖房用コントローラ装置においては、かなりの負担となる。
すなわち、複数の床暖房用電気ヒータを1台で制御する複数チャンネルの床暖房用コントローラ装置は、コストの低減やコンパクト性の向上を図るために開発されたものである。
【0006】
ところが、特許文献1に示す1チャンネルのコントローラ装置のようにヒータ通電系に温度ヒューズを設けて安全性を得る技術は、複数の床暖房用電気ヒータを1台のコントローラ装置で制御する複数チャンネル式のコントローラ装置へ適用する場合、同装置の複数のヒータ通電系毎にそれぞれ温度ヒューズを設けないと、複数の床暖房用電気ヒータの通電を断つことはできない。つまり、床暖房用電気ヒータの通電を断つためには、温度ヒューズは、床暖房用電気ヒータと同数だけ必要となる。
【0007】
これでは、複数チャンネルのコントローラ装置の場合、複数個の温度ヒューズを取り付けるためにコスト的な負担が強いられる。しかも、複数個の温度ヒューズを据付けるためのスペースも確保することも強いられ、目標となっているコスト低減やコンパクト性の向上が損なわれてしまう。このため、複数チャンネルのコントローラ装置に適した通電切断の技術が求められている。
【0008】
そこで、本発明の目的は、単一の温度ヒューズで、独立して制御される複数の床暖房用電気ヒータへの通電が断てる床暖房用コントローラ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するために、電源電力を複数の床暖房用電気ヒータへそれぞれ導く複数のヒータ通電系にそれぞれ常開式のリレー装置を設けた床暖房用コントローラ装置では、単一の温度ヒューズを通して各リレー装置へ駆動用の電力を供給する給電系を採用した。
同構成により、コントローラ装置内部にて異常な温度への上昇が生じると、温度ヒューズが溶断し、各リレー装置への通電を断ち、各床暖房用電気ヒータへの通電を止める。これにより、温度ヒューズを複数個据付けずにすむ。
【0010】
請求項2に記載の発明は、さらに簡単な構造で温度ヒューズの据付けがすむよう、温度ヒューズは、各リレー装置へ駆動用の電力を供給する給電系のうち、電源電力を入力する電源端子部から電源回路部へ電力を導く経路に組み込む構成を採用した。
請求項3に記載の発明は、同じく、温度ヒューズは、電源回路から各リレー装置へ駆動用の電力を供給する給電系のリレー用通電部のうち、共用通電部に組み込む構成を採用した。
【0011】
請求項4に記載の発明は、同じく、各リレー装置へ駆動用の電力を供給する給電系は、リレー装置へ供給する電源回路部から出力される電力を、制御部用通電部を通して、制御部へ駆動用として導く構造を備えたものとし、このうちの制御部用通電部に温度ヒューズを組み込む構成を採用した。
請求項5に記載の発明は、さらに単一の温度ヒューズが効果的に反応するよう、単一の温度ヒューズは、電源端子部、複数のヒータ端子部および複数のリレー装置のうちのいずれか1つ以上が過熱すると、溶断されるようにした。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、1台で複数の床暖房用電気ヒータを制御するコントローラ装置は、単一の温度ヒューズを設けるだけで、過熱発生時、複数の床暖房用電気ヒータへの通電を断つことができる。
したがって、コントロール装置は、床暖房用電気ヒータと同数の温度ヒューズは必要とせずにすみ、同装置のコストの低減を図ることができる。しかも、当該温度ヒューズを据付けるためのスペースも最小限ですみ、同装置のコンパクト性も図ることができる。
【0013】
請求項2〜4の発明によれば、簡単な温度ヒューズの据付けで、単一の温度ヒューズによる過熱防止が実現できる。
請求項5の発明によれば、さらに単一の温度ヒューズは、過熱するおそれの有る、電源端子部(例えば接触不良が原因で過熱)、複数のヒータ端子部(例えば接触不良が原因で過熱)および複数のリレー装置(例えば劣化が原因で過熱)といった多くの各部品の過熱に対して効果的に作動できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を図1〜図4に示す第1の実施形態にもとづいて説明する。
図1は、一般の住宅で利用される住宅機器、例えば、例えばひと続きのリビングルームαとダイニングルームβ(隣接する2つのゾーン)とを床暖房する複数の電気パネルを用いた床暖房装置を示している。
同床暖房装置は、リビングルームαの床下に設置された床暖房用電気ヒータであるパネルヒータ1と、ダイニングルームβの床下に設置された床暖房用電気ヒータであるパネルヒータ2と、左右のルームα,βの境界の壁部3に据付けた1台の床暖房用のコントローラ装置5(本願の床暖房用コントローラ装置に相当)とから構成されている。
【0015】
コントローラ装置5には、例えば、1台で、リビングルームαとダイニングルームβとの両方(複数)の床暖房制御が行える2チャンネル型が用いられている。図2には、このコントローラ装置5の側断面図が示され、図3には、このコントローラ装置5を分解した斜視図が示され、図4には、このコントローラ装置5の制御ブロック図が示されている。
このコントローラ装置5には、コントローラ本体8に、パネルヒータ1(リビングルームα側)やパネルヒータ2(ダイニングルームβ側)の運転を制御する各種制御機器を組み込んだ構造が用いられている。
【0016】
具体的には、図1〜図3に示されるようにコントローラ本体8は、例えば、壁部3の内部に埋め込まれる箱形のハウジング部6と、壁部3の壁面に沿って配置される表面パネル部7とから構成されている。なお、表面パネル部7は、ハウジング部6の前方端に形成されているフランジ部6aに脱着可能に組み付けられる。
ハウジング部6内の奥側には、図2および図3に示されるように電源ボード11が収められ、開口側には表示ボード30が据付けられている。このうち電源ボード11には、図4に示されるパネルヒータ1用(リビングルームα用)とパネルヒータ2用(ダイニングルームβ用)といった2系統(複数)のヒータ通電系a,bが搭載されている。
【0017】
これらヒータ通電系a,bは、例えば、電源ボード11の背面の上段に設置された2個の電源端子台12a,12b(本願の電源端子部に相当)と、同様に電源ボード11の背面の下段に設置された2個(複数)のヒータ端子台13a,13b(本願のヒータ端子部に相当)との間を接続ライン14a、14bで個別に接続して構成される。このうち電源端子台12a,12bには、図1に示されるように電源となる家庭用の個別のブレーカ(図示しない)から延びる2系統の電源ケーブル15a,15b(市中電源)が接続される。またヒータ端子台13a,13bには、パネルヒータ1(リビングルームα)やパネルヒータ2(ダイニングルームβ)から延びるヒータケーブル16a,16bが接続され、電源端子台12a,12bから入力された電源電力が、ヒータ端子台13a,13bから、それぞれパネルヒータ1,2へ出力されるようにしている。
【0018】
電源ボード11の板面、例えば電源ボード11の前面中央の周りには、図2および図3に示されるように4個(複数)の常開式のリレー装置17a,17b,18a,18bが点在して設置されている。これらリレー装置17a,17b,18a、18bが、2系統のヒータ通電系a,bにそれぞれ2個ずつ組み込まれている。なお、リレー装置17a,17bやリレー装置18a,18bは、いずれも同じ構造なので、図4の制御ブロック図には、分りやすくするために、片側のリレー装置17aやリレー装置18aを主に示した簡略化(リレー装置17b、リレー装置18bを省略)した図が用いてある。
【0019】
具体的にはリレー装置17a,17b,18a,18bは、いずれも図4に示されるようにリレーコイル19、同リレーコイル19を駆動するリレー駆動回路20、常時は開放しリレーコイル19が駆動されると閉じるリレー接点21を組み合わせて構成される。このうちリレー装置17a,17bのリレー接点21は、ヒータ通電系統aの各接続ライン14a中にそれぞれ接続される(片側しか図示せず)。またリレー装置18a,18bのリレー接点21は、ヒータ通電系統bの各接続ライン14b中にそれぞれ接続され(片側しか図示せず)、各リレー接点21の開閉動作により、それぞれヒータパネル1,2への通電がつながったり遮断されたりするようにしてある(接・断)。
【0020】
また電源ボード11には、図2および図3に示されるように各種機器へ駆動用の電力を供給する給電系23が搭載されている。図4に示されるように給電系23は、片側、例えば電源端子台12aから出力される電源電力(交流)を所定電圧の直流電力に変えて出力する電源回路部25や各種通電部を組み合わせて構成されている。具体的には電源回路部25は、図示はしないが変圧器部と整流部とを組み合わせた構造が用いられている。この電源回路部25の出力部からは、図4に示されるようにリレー用通電部26が延びている。このリレー用通電部26は、入力側が共通の共用通電部26aで形成され、出力側が各リレー駆動回路20毎に分岐した分岐通電部26bで形成される。そして、共用通電部26aが電源回路25に至り、分岐通電部26bが各リレー駆動回路20に接続され、電源回路部25と各リレー装置17a,17b,18a,18b間を並列につないでいる。つまり、電源回路部25で出力される電力が、リレー駆動用として各リレー装置17a,17b,18a、18bへ供給される構造にしている。また共用通電部26aからは、分岐通路部26bと共に、制御部用通電部27も分岐されている。
【0021】
一方、図2および図3に示されるように表示ボード30は、例えば前面上部に液晶表示式の表示モジュール部31が搭載され、同表示モジュール部31の下側に、CPUやその周辺回路で形成される制御部32や、室温センサ(図示しない)や、複数のキーオンオフスイッチ部33a〜33jなどが搭載されている。なお、室温センサ(図示しない)や、複数のキーオンオフスイッチ部33a〜33jは制御部32に接続されるものである。また制御部32の電源入力部には、図4に示されるように上記制御部用通電部27の出力側が接続され、電源回路部25から出力される電力が、制御部32の駆動用電力として、制御部32へ供給されるようにしている。なお、表示ボード20の前面側は、図2および図3に示されるように透視カバー35で覆ってある。
【0022】
このうち表示モジュール部31の液晶表示面と向き合う透視カバー部分は、図2および図3に示されるように表面パネル部7の上段部分に形成された表示窓35に臨んでいる。キーオンオフスイッチ部33a〜33jの押ノブ部34は、いずれも透視カバー部分を貫通して、表面パネル部7の前面に形成されているキー操作面7aに導かれ、表示窓35と共に、2チャンネル(リビングルームα,ダイニングルームβ)の床暖房運転に求められる操作部37を形成している。具体的には、床温度を調整する温度設定操作キー部41a,41bや床暖房運転をオンオフする運転操作キー部42a,42bや、タイマー床暖房運転をオンオフするタイマー運転操作キー部43a、43bや、タイマー時刻設定を行うためのタイマー設定操作キー部44や、時刻の調整を行うための時計操作キー部45などを形成している。なお、表示ボード20と電源ボード11との間は、コネクタ部38(図2および図3に図示)で電気的に接続してある。
【0023】
こうした2チャンネル型のコントローラ装置5において、図4に示されるように給電系23には、装置内部で異常温度を感知すると全てのリレー装置17a,17b,18a、18bへの通電を断つように、1個、すなわち単一の温度ヒューズ40が組み込まれている。具体的には、温度ヒューズ40は、給電系23のうち、例えば電源端子台12aから電源回路部25へ至る接続ライン23a中に組み込まれている。このような単一の温度ヒューズ40を通して各リレー装置17a,17b,18a、18bへ駆動用の電力を供給する給電系23により、温度ヒューズ40が溶断すると、全ての常開式リレー装置17a,17b,18a,18bへの通電を断ち、当該全リレー装置17a,17b,18a,18bが一度に開放(開)されるようにしている。
【0024】
また温度ヒューズ40は、コントローラ装置5内部において過熱が迅速に感知できるよう、それぞれ電源端子台12a,12bやヒータ端子台13a,13bやリレー装置17a,17b,18a、18bと接近した位置に据付けられている。具体的には温度ヒューズ40は、例えば図2および図3に示されるような電源端子台12a,12bやヒータ端子台13a,13bやリレー装置17a,17b,18a、18bで取り囲まれる電源ボード11の前面中央部分に設置され、過熱を生じやすい各部品に対してそれぞれ接近するレイアウトで取り付けている。これで、温度ヒューズ40は、電源端子台12a,12bやヒータ端子台13a,13bやリレー装置17a,17b,18a、18bのうちの1つ以上が過熱すると、その熱を受けて溶断するようにしてある。特に温度ヒューズ40は、上側に配置されているリレー装置17a側へ寄せて当該リレー装置17aの近くに配置してあり、上側のリレー装置17aの過熱でも溶断が生じやすい構造にしてある(上側のリレー装置17aの熱は、上方へ向かって逃げるため)。
【0025】
つぎに作用について説明する。
このように構成されたコントローラ装置8は、例えばリビングルームα側に配置されている運転操作キー部42aをオン操作すれば、電源電力が、ヒータ通電系aを通じて、リビングルームαの床下に配置されているパネルヒータ1へ供給される。そして、制御部32の制御により、設定された床暖房温度にしたがい、リレー装置17a,17bが開閉制御される。このパネルヒータ1の通電制御により、リビングルームαが、設定された暖房温度に床暖房される。むろん、ダイニングルームβを床暖房すれば、同様に、制御部32によるパネルヒータ1の通電制御により、リビングルームαが、設定された暖房温度に床暖房される。
【0026】
こうした2チャンネルのコントローラ装置8において、今、例えばリレー装置17a(あるいはリレー装置17b)やリレー装置18a(あるいはリレー装置18b)が劣化により、過熱したり、あるいは電源端子台12a(あるいは電源端子台12b)やヒータ端子台13a(あるいはヒータ端子台13b)がケーブルとの接触不良により過熱したとする。
【0027】
すると、コントローラ装置8の内部は、異常に温度上昇する。
温度ヒューズ40は、この異常温度を感知して溶断を起こす。このとき、給電系23は、温度ヒューズ40を通して各リレー装置17a,17b,18a、18bへ駆動用の電力を導く構造であるから、1個、すなわち単一の温度ヒューズ40が溶断するだけで、全てのリレー装置17,17b、18a,18bへの通電が断たれる。これにより、一度に全てのリレー装置17a,17b,18a、18bが開放(オフ)される(常開式のため)。
【0028】
それ故、全てのパネルヒータ、すなわちリビングルームαを床暖房するパネルヒータ1及びダイニングルームβを床暖房するパネルヒータ2の通電は断たれる。
しかるに、1チャンネルのコントローラ装置をパネルヒータと同数設け、それによりパネルヒータと同数の温度ヒューズを備える手法とは異なり、パネルヒータ1,2と同数の温度ヒューズ40は必要とせずに、1個だけで(単一)、複数のパネルヒータ1,2への通電を断つことができる。つまり、1個の温度ヒューズ40だけで、過熱を原因とした障害(パネルヒータが通電し続けることや、端子台が損なわれることなど)が回避され、安全性が確保できる。
【0029】
したがって、複数チャンネルのコントローラ装置8の温度ヒューズ40は、パネルヒータの数量に関わらず、最少の1個でよく、温度ヒューズ40の据付けに費やすコストの低減を図ることができる。しかも、温度ヒューズ40を据付けるスペースも最小限でよく、コントローラ装置8のコンパクト性も図れ、複数チャンネルのコントローラ装置8に大きく貢献する。
【0030】
特に温度ヒューズ40は、過熱の発生するおそれのある、電源端子台12a,12b、ヒータ端子台13a,13bおよびリレー装置17a、17b、18a,18bのいずれに対しても接近する地点に配置したので、各部品の過熱に対し、すばやく反応でき、電源端子台12a,12b、ヒータ端子台13a,13bおよびリレー装置17a、17b、18a,18bのうちのいずれか1つ以上の過熱でも、単一の温度ヒューズ40で、効果的に過熱防止の対処ができる。しかも、温度ヒューズ40の周りに、電源端子台12a,12b、ヒータ端子台13a,13bおよびリレー装置17a、17b、18a,18bを配置する場合、温度ヒューズ40は、上側に配置されている部品に対して、特に接近するように配置すると、熱の上昇特性に留意した溶断ができ、一層、高い安全性を確保することができる。
【0031】
そのうえ、過熱防止構造は、リレー装置駆動用の電力を供給する給電系23のうち、電源端子台12aから電源回路部25へ至る経路中に温度ヒューズ40を組み込んで、同温度ヒューズ40を通してリレー装置17a、17b、18a,18bへ駆動用の電力を供給すればよく、簡単な温度ヒューズ40の据付けで、コントローラ装置8やパネルヒータ1,2の過熱を防ぐことができる。
【0032】
図5は、本発明の第2の実施形態を示す。
本実施形態は、第1の実施形態のような電源端子台から電源回路へ至る経路に温度ヒューズ40を組み込んだのではなく、給電系23のうち、リレー通電部26を構成する入力側の共用通電部26aに、温度ヒューズ40を組み込んだものである。
こうした簡単な温度ヒューズ40の据付けでも、第1の実施形態と同様、1個の温度ヒューズ40が溶断すると、リレー装置17a,17b,18a、18bへの通電を断つことができる。
【0033】
図6は、本発明の第3の実施形態を示す。
本実施形態は、第2の実施形態の変形例で、給電系23のうち、電源回路部25から駆動用制御部32へ駆動用の電力を導く制御部用通電部27に、温度ヒューズ40を組み込んだものである。
駆動用制御部32は、制御部用通電部27を通して供給される電力により駆動されるものであるから、こうした簡単な温度ヒューズ40の据付けでも、1個の温度ヒューズ40が溶断すると、制御部32への電力供給の遮断から、制御部32自体の機能が停止して、全てのリレー装置17a,17b,18a、18bを開放させることができる。
【0034】
但し、図5および図6において、第1の実施形態と同一部分には、同一符号を付してその説明を省略した。
なお、本発明は上述したいずれの実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施しても構わない。例えば上述した実施形態では、2つのパネルヒータを1台で制御する2チャンネルのコントローラ装置を挙げたが、これに限らず、3つのパネルヒータや3つ以上のパネルヒータを1台で制御するような複数チャンネルのコントローラ装置に本発明を適用しても構わない。
【0035】
また、上述した実施形態では便宜上、コントローラ装置は1チャンネル毎に1台のパネルヒータを制御するものとして記述したが、例えば複数台のパネルヒータを直列または並列に、コントローラ装置における同一のヒータ端子に接続し、1チャンネル分の制御によって複数台のパネルヒータを制御するよう構成してもよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る2チャンネル(複数チャンネル)のコントローラ装置の外観を示す斜視図。
【図2】同コントローラ装置の側断面図。
【図3】同コントローラ装置の分解斜視図。
【図4】同コントローラ装置の制御系を示すブロック図。
【図5】本発明の第2の実施形態の要部となる2チャンネルのコントローラ装置の制御系を示すブロック図。
【図6】本発明の第3の実施形態の要部となる2チャンネルのコントローラ装置の制御系を示すブロック図。
【符号の説明】
【0037】
1,2 パネルヒータ(床暖房用電気ヒータ)
5 コントローラ装置
8 コントローラ本体
11 電源ボード
12a,12b 電源端子台(電源端子部)
13a,13b ヒータ端子台(ヒータ端子部)
17a,17b,18a,18b リレー装置
23 給電系
25 電源回路部
26 リレー用通電部
26a 共用通電部
26b 分岐通路部
27 制御部用通電部
32 制御部
40 温度ヒューズ
a,b ヒータ通電系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源電力を複数の床暖房用電気ヒータへそれぞれ導く複数のヒータ通電系と、
前記ヒータ通電系にそれぞれ設けられ、前記電気ヒータへの通電をそれぞれ接・断する複数の常開式のリレー装置と、
異常温度を感知すると溶断する単一の温度ヒューズと、
前記単一の温度ヒューズを通して各リレー装置へ駆動用の電力を供給する給電系と、
前記各リレー装置の接・断動作を制御する制御部と、
を有することを特徴とする床暖房用コントローラ装置。
【請求項2】
前記ヒータ通電系は、電源電力を入力する電源端子部と、同電源端子部から入力された電力を床暖房用電気ヒータへ出力するヒータ端子部とを有し、
前記給電系は、前記電源端子部から出力される電力を所定の電圧に変えて前記各リレー装置へ供給する電源回路部を有して構成され、
前記単一の温度ヒューズは、前記電源端子部から前記電源回路部へ電力を導く経路に組み込まれる
ことを特徴とする請求項1に記載の床暖房用コントローラ装置。
【請求項3】
前記ヒータ通電系は、電源電力を入力する電源端子部と、同電源端子部から入力された電力を床暖房用電気ヒータへ出力するヒータ端子部とを有し、
前記給電系は、前記電源端子から出力される電力を所定の電圧に変える電源回路部と、前記電源回路部から、共通の共用通電部および各リレー装置毎の分岐通電部を経て、各リレー装置へ駆動用の電力を導くリレー用通電部とを有し、
前記単一の温度ヒューズは、前記リレー用通電部の共用通電部に組み込まれる
ことを特徴とする請求項1に記載の床暖房用コントローラ装置。
【請求項4】
前記ヒータ通電系は、電源電力を入力する電源端子部と、同電源端子部から入力された電力を床暖房用電気ヒータへ出力するヒータ端子部とを有し、
前記給電系は、前記電源端子から出力される電力を所定の電力に変えて前記各リレー装置へ供給する電源回路部と、前記電源回路部から出力される電力を前記制御部へ導く制御部用通電部とを有し、
前記制御部は、前記制御部用通電部を通して供給される電力により駆動されるものであり、
前記単一の温度ヒューズは、前記制御部用通電部に組み込まれる
ことを特徴とする請求項1に記載の床暖房用コントローラ装置。
【請求項5】
前記単一の温度ヒューズは、前記電源端子部、前記複数のヒータ端子部および前記複数のリレー装置のうちのいずれか1つ以上が過熱することにより溶断される
ことを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか一つに記載の床暖房用コントローラ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−186038(P2009−186038A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−23501(P2008−23501)
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】