説明

床材及びその仕上げ方法

【課題】
床材に対して、簡易に且つ経済的に意匠や機能を付与できるとともに、耐久性があって汚れにくい床材の仕上げ方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明が講じた手段は、長手方向に対して連続的に凹部を有する床材としたことであり、上記床材を所定位置に施工した後、上記凹部に意匠又は機能を有する部材を嵌め込み、床材表面を略平滑にする床材の仕上げ方法としたことである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易に且つ経済的に意匠や機能を付与できる床材及びその仕上げ方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、通路において歩行区分の表示、誘導機能の付与などを目的に、床材の長手方向に対してラインが設けられている。一般的に通路にラインを設けるには、塗料を塗工する方法、テープを貼る方法、或いは床材と一体的に構成する方法により行なわれている。塗料を塗工する方法は道路の中央線、路側帯の表示などで実施されている。テープを貼る方法も歩行区分の表示のため、一般的に行なわれ病院、学校などでよく見かけられる。
【0003】
しかしながら、床面に塗料を塗工する方法は直線性を出しにくく、硬化するまでに時間がかかり、その間に汚れてしまうという問題もある。また、テープを貼る方法は簡単に実施できる反面、剥がれ易くて耐久性が悪く、端部が汚れるという問題がある。
【0004】
これらの問題点を解決するために、本願出願人は床材にラインが一体化し、表面に凹凸のない床材を提案している(特許文献1)。特許文献1の床材ではラインは床材表面にはないため、上記問題点は解決するが、製造工程が多くなりコスト的に不利になっている。
【0005】
また、視覚障害者誘導の分野で点字ブロックに代わる誘導方法が検討されおり、案内ラインの色を識別する手段を有する案内装置により視覚障害者を誘導するシステム(特許文献2参照)がある。この特許文献2には、テープを貼る方法は記載されているが床材に付いての記載はない。
【0006】
【特許文献1】実開平05−096274号公報
【特許文献2】特開2005−342218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、床材に対して、簡易に且つ経済的に意匠や機能を付与できるとともに、耐久性があって汚れにくい床材及びその仕上げ方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明が講じた手段は、長手方向に対して連続的に凹部を有する床材としたことであり(請求項1)、上記床材を所定位置に施工した後、上記凹部に意匠又は機能を有する部材を嵌め込み、床材表面を略平滑にする床材の仕上げ方法としたことである(請求項2)。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡易に且つ経済的に意匠や機能を床材に付与できるとともに、耐久性があって汚れにくい床材に仕上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、長手方向に対して連続的に凹部を有する床材であり、さらに上記床材を所定位置に施工した後、上記凹部に意匠又は機能を有する部材を嵌め込み、床材表面を略平滑にする床材の仕上げ方法である。上記凹部を床材に複数設けて、意匠又は機能を有する部材を複数にすることが好ましく、意匠と意匠、機能と機能、意匠と機能とを組合せることが容易となり、高意匠化、高機能化、意匠と機能の複合化自由度の拡大を図ることができるようになる。
【0011】
本発明の床材の材質については特に限定されず、合成樹脂、ゴム、アスファルト、石材、コンクリート、木材、金属などが挙げられ、公知の方法で加工する。加工性、施工性を考慮すると合成樹脂がよく、中でも熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂などが例示でき、耐久性を考慮するとオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂ウレタン系樹脂が好適に使用できる。これらの樹脂はカレンダー法、押出法、塗工法など公知の方法で成形できる。また、熱可塑性樹脂製床材の場合、耐摩耗性、耐傷性を向上させるためにその表面に紫外線硬化塗料、電子線硬化塗料等で表面処理を施すこともできる。
【0012】
本発明の床材の形態は、タイル状、長尺状でも良く、塗り床にも適用できる。タイル状、長尺状での場合には、その厚みは0.5〜5mm、幅は200〜2500mm、長さは200mmから数十mまでの定尺もの又は巻物が使用できる。
【0013】
本発明の凹部に嵌め込む意匠又は機能を有する部材の材質は、上記床材と同様のものが使用でき、同様の方法で加工できる。意匠又は機能を有する部材が熱可塑性樹脂の場合、カレンダー法、押出法、塗工法など公知の成形法で成形することができ、意匠又は機能の付与は成形と同時又は後工程で行なう等の方法を用いることができる。必要に応じて、スリット加工、裁断加工、打ち抜き加工等で所定の幅、形状に加工することができる。部材の厚みについは、仕上げ時に表面が略平滑になるように設定する必要がある。
【0014】
意匠又は機能を有する部材の幅は、意匠性、識別性を考慮すると30〜1000mmが好ましく、50〜1000mmがより好ましい。意匠又は機能を有する部材の床材幅方向に対する位置は、中央あるいは端部よりの部分と自由に設定でき意匠的に好ましい位置、識別し易い位置に設定できる。
【0015】
異なる材質の床材と意匠又は機能を有する部材を組合せてもよい。違和感を与えないという面では、合成樹脂製の床材には合成樹脂製の意匠又は機能を有する部材、木製の床材には木製の意匠又は機能を有する部材というように意匠又は機能を有する部材と床材と同質のものが好ましい。
【0016】
床材に凹部を一箇所形成し、意匠又は機能を有する部材を1つ設けることにより、その1つの部材に意匠或いは機能を複数組み込むことにより、意匠と意匠、機能と機能、意匠と機能の組合せは可能であるが、本発明の床材の凹部を複数とし、意匠又は機能を有する部材を複数設けることが好ましくそのことにより、意匠と意匠、機能と機能、意匠と機能のそれぞれの組合せが広範になり、より高意匠化、より高機能化、意匠と機能の複合化自由度の拡大を図ることができる。
【0017】
本発明の意匠又は機能を有する部材の意匠とは、デザイン効果を有するものであれば特に限定されず、例えば、着色剤による色調、パール顔料などの光輝顔料を混合した色調、木粉,貝殻,ガラスチップ等を混合した模様、マーブル模様、多色のペレットを加圧一体化した所謂インレイド模様、プリント模様、丸,多角形など特定形状のフィルム等をベースシートに貼合した模様などが挙げられる。
これらの中でも、色調、特定形状等に係わる意匠は、後述する誘導機能を兼ねることもできる。
【0018】
本発明の意匠又は機能を有する部材の機能とは、歩行区分の表示、誘導・警告(視覚障害者、災害時など)、滑り止めなどをいう。歩行区分の表示、誘導・警告は、視覚障害者の場合にはセンサーによる識別でも利用できる。センサーによる識別には、色相、赤外線、紫外線、磁気、反射音、コード模様、図形などの特定の物理量や形状(以下、固有要素という)などが応用できる。これら固有要素は単独でも2種以上を複合して適用してもよい。
【0019】
上記固有要素として色相を適用する場合、意匠又は機能を有する部材は、赤、橙、黄色、緑、青、紫等の着色剤、蛍光増白剤、蛍光剤、夜光顔料、蓄光剤、赤外線放射物質、紫外線放射物質、波長変換材料などを含有する材料から形成することができる。赤外線、紫外線は目視では識別できないが、それぞれ検出できるセンサーがあり、センサーを使用する場合に適用可能である。夜光顔料、蓄光剤を使用することにより、夜間や停電時の誘導も可能となる。また、色相はカラーセンサーにより識別できるので視覚障害者の誘導にも有効である。通常、カラーセンサーにはフォトダイオードが用いられ、ノイズを低減するためにフィルターを併用することが多い。
【0020】
上記固有要素として磁気を適用する場合、意匠又は機能を有する部材は磁性材料を含有する材料から形成し、磁化して情報を磁気として記録することにより得られる。センサーとしての磁気リーダーで読み取り識別できる。
【0021】
上記固有要素として反射音を適用する場合、意匠又は機能を有する部材は床材と材質を変えることで可能となるが、誤認をなくすには、意匠又は機能を有する部材は又は床材のどちらか一方に発泡層、制振層を積層することが効果的である。また、床材が熱可塑性樹脂製の場合、意匠又は機能を有する部材は又は床材のどちらか一方にエンボス加工を施すことにより、反射音を識別することができるようになる。
【0022】
上記固有要素としてコード模様を適用する場合、意匠又は機能を有する部材はコード模様を印刷することにより得られ耐久性を考慮すると印刷面の上に透明な保護層を設けることが好ましい。コード模様は目視では識別困難であるが、センサーとしてのCCDカメラ、コードリーダーで読み取り識別が可能である。
【0023】
上記固有要素として図形を適用する場合、意匠又は機能を有する部材はコード模様と同様に印刷により得られ、目視、センサーとしてのCCDカメラなどで識別可能である。
【0024】
誘導用の床材は、目視で識別できる場合は別にして、視覚障害者が使用するときの様にセンサーで識別する場合、誤認を避ける意味で意匠又は機能を有する部材においてのみセンサーで感知し、それ以外の床材表面では感知しないことが必要であり、センサーの感度設定が重要である。検出可能な固有要素がコード模様、図形などの形状の場合、意匠又は機能を有する部材で使用する固有要素をそれ以外で使用しなければよく、検出可能な固有要素が色相、磁気、反射音などの物理量の場合、意匠又は機能を有する部材とそれ以外の部分の差が十分大きくなるようにセンサーの検出する波長、周波数の幅、強度の検出限界を考慮した上で設定すればよい。
【0025】
本発明の床材の凹部は、ライン状に或いは断続的に床材の長手方向に連続的に繋がっていればよく、ライン、破線、丸、多角形、他の形状或いはそれらの組合せで構成することができる。
【0026】
凹部3を形成するには、床材が熱可塑性樹脂製の場合、熱可塑性樹脂製床材ベースに凹部該当部分を残して、表層をカレンダー装置、押出機等でシーティングしながら積層するか、或いはフィルムやシートをラミネータで接着剤、粘着剤や熱などにより積層すればよい。また、エンボス加工により凹部を形成することもできる。
【0027】
床材が塗り床、コンクリートの場合には、予め、意匠又は機能を有する部材の位置に、意匠又は機能を有する部材の厚みでテープなどを用いてマスキングしておき、マスキングした部分以外に塗り床の塗料を塗ったり、コンクリートを流し固めて凹部3を形成してもよく、或いは、床面全面に塗り床、コンクリートを塗工し硬化前に識別単位に見合った寸法の板などで押し付け凹部3を形成してもよい。その他の金属、木材、石材については削り加工等で凹部3を形成することができる。もちろん、樹脂製、塗り床、コンクリートなどの場合でも削り加工で凹部3を形成することはできる。
【0028】
凹部3を形成した床材を施工後に、或いはコンクリートなどのように硬化前に凹部を形成してから、凹部に意匠又は機能を有する部材を接着剤、粘着剤で貼り付けて略平滑に仕上げる。また、凹部を意匠又は機能を有する部材としての塗料で埋めることも可能である。さらに、裏面粘着加工したシート状の意匠又は機能を有する部材を貼り合せることにより、意匠、機能を変更することも容易に実施できるようになる。もちろん、凹部の深さと、裏面粘着加工層を含めたシート状部材の厚みが合うように設定する必要がある。
【0029】
意匠又は機能を有する部材を床材表面と略平滑に設けるには、図1に示すように、床材ベースの表面の所定位置に意匠又は機能を有する部材2に見合った凹部3を形成し、その凹部3に意匠又は機能を有する部材2をはめ込むことによりなし得る。
本発明でいう略平滑とは、段差がほとんどなく概ね平坦という意味で、意匠又は機能を有する部材とそれ以外の床材表面との段差を数値で表すと+200〜−300ミクロン(意匠又は機能を有する部材が高いほうが+側で、低いほうが−側である)であり、好ましくは+100〜−200ミクロンであり、より好ましくは+50〜−100ミクロンである。+200ミクロンを超えると意匠又は機能を有する部材が剥がれ易くなり、段差が300ミクロンを超えると汚れ易くなる。
【0030】
このように、現場で床材を施工してから、意匠又は機能を有する部材を取り付けることができるので、意匠的には、実際の現場合わせで周囲との関係を考慮できるので、最善の意匠を選択できデザイン的に優れたものになる。また、誘導・警告の場合も現場合わせのため、健常者に対して違和感を低減する配慮ができる。
【実施例】
【0031】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるのもではない。
【0032】
<実施例1>
カレンダー装置で幅1800mm、厚さ1.6mmのオレフィン系樹脂製床材ベース4を形成し、該床材ベース4の一方の端から300mmから700mmの部分を除き、図1のように表面にベージュ色で厚さ0.4mmのオレフィン系樹脂製床材表層5をカレンダー装置で積層し凹部を有する床材を得た。得られた凹部を有する床材を廊下に施工し、意匠を有する部材として、裏面に幾何学模様をバックプリントしアクリル系粘着剤で粘着処理した厚さ0.4mm、幅400mmのオレフィン系樹脂製透明シートを凹部3に合わせて、図2のように貼り付けてオレフィン系樹脂製樹脂製床材に仕上げた。
【0033】
<実施例2>
カレンダー装置で幅2000mm、厚さ2.0mmの塩化ビニル系樹脂製の床材ベース4を形成し、該床材ベース4の一方の端から200mmから300mmの部分を除き、実施例1と同様に表面にグレー色で厚さ0.2mmの塩化ビニル系樹脂製床材表層5をカレンダー装置で積層し凹部を有する床材を得た。得られた凹部3を有する床材を廊下に施工し、色相による誘導機能を有する部材として、蓄光剤を添加した黄色のウレタン系塗料を凹部3に合わせて塗布し硬化して誘導用の塩化ビニル系樹脂製床材に仕上げた。
【0034】
<実施例3>
カレンダー装置で幅1800mm、厚さ1.6mmの塩化ビニル系樹脂製の床材ベース4を形成し、該床材ベース4の一方の端から150mmから650mmの部分3(a)及び950mmから1650mmの部分3(b)を除き、表面にグレー色で厚さ0.4mmの塩化ビニル系樹脂製床材表層5をカレンダー装置で積層し凹部を有する床材を得た。得られた凹部3(a)、3(b)を有する床材を廊下に施工し、意匠を有する部材として、アクリル系粘着剤で裏面処理した厚さ0.4mm、幅500mmで黒と白の塩化ビニル系樹脂製マーブルシートを凹部3(a)に合わせて貼り付け、裏面に大理石模様を転写法でプリントしアクリル系粘着剤で粘着処理した厚さ0.4mm、幅700mmの塩化ビニル系樹脂製透明シートを凹部(b)に合わせて貼り付け、塩化ビニル系樹脂製床材に仕上げた。
【0035】
<実施例4>
カレンダー装置で幅1800mm、厚さ1.6mmの塩化ビニル系樹脂製の床材ベース4を形成し、該床材ベース4の一方の端から200mmから300mmの部分3(c)及び1500mmから1600mmの部分3(d)を除き、表面にグレー色で厚さ0.4mmの塩化ビニル系樹脂製床材表層5をカレンダー装置で積層し凹部を有する床材を得た。得られた凹部3(c)、3(d)を有する床材を廊下に施工し、色相による誘導機能を有する部材として、アクリル系粘着剤で裏面処理した黄色の厚さ0.4mm、幅100mmの塩化ビニル系樹脂製シートを凹部3(c)、(d)に合わせて貼り付け、塩化ビニル系樹脂製床材に仕上げた。
【0036】
<実施例5>
カレンダー装置で幅2000mm、厚さ2.0mmの塩化ビニル系樹脂製の床材ベース4を形成し、該床材ベース4の一方の端から200mmから300mmの部分3(e)及び1200mmから1700mmの部分3(f)を除き、3図のように表面にグレー色で厚さ0.4mmの塩化ビニル系樹脂製床材表層5をカレンダー装置で積層し凹部を有する床材を得た。得られた凹部3(e)、3(f)を有する床材を廊下に施工し、色相による誘導機能を有する部材として、アクリル系粘着剤で裏面処理した黄色の厚さ0.4mm、幅100mmの塩化ビニル系樹脂製シートを凹部3(e)に合わせて貼り付け、裏面に大理石模様を転写法でプリントしアクリル系粘着剤で粘着処理した厚さ0.4mm、幅500mmの塩化ビニル系樹脂製透明シートを凹部(f)に合わせて貼り付け、塩化ビニル系樹脂製床材に仕上げた。
【0037】
<実施例6>
カレンダー装置で幅2000mm、厚さ1.6mmの塩化ビニル系樹脂製の床材ベース4を形成し、該床材ベース4の一方の端から200mmから300mmの部分3(g)、500mmから900mmの部分3(h)、1100mmから1500mmの部分3(i)、1700mmから1800mmの部分3(j)、を除き、4図のように表面にグレー色で厚さ0.4mmの塩化ビニル系樹脂製床材表層5をカレンダー装置で積層し凹部を有する床材を得た。得られた凹部3(g)〜3(j)を有する床材を廊下に施工し、色相による誘導機能を有する部材として、アクリル系粘着剤で裏面処理した黄色の厚さ0.4mm、幅100mmの塩化ビニル系樹脂製シートを凹部3(g)及び3(j)に合わせて貼り付け、裏面に大理石模様を転写法でプリントしアクリル系粘着剤で粘着処理した厚さ0.4mm、幅400mmの塩化ビニル系樹脂製透明シートを凹部3(h)に合わせて貼り付け、さらに裏面にアクリル系粘着剤で粘着処理した厚さ0.4mm、幅400mmでグレーと白の塩化ビニル系樹脂製マーブルシートを凹部3(i)に合わせて貼り付け塩化ビニル系樹脂製床材に仕上げた。
【0038】
<比較例1>
カレンダー装置で幅1800mm、厚さ1.6mmの塩化ビニル系樹脂の床材ベースを形成し、該床材ベースの表面全面にベージュ色で厚さ0.4mmの塩化ビニル系樹脂製床材表層をカレンダー装置で積層し床材を得た。得られた床材を廊下に施工し、誘導機能を有する部材として、裏面にアクリル系粘着剤で粘着処理した厚さ0.2mm、幅200mmの塩化ビニル系樹脂製黄色シートをその床材の所定位置に貼り付けて誘導用の塩化ビニル系樹脂製床材に仕上げた。
【0039】
<比較例2>
比較例1と同様に塩化ビニル系樹脂製床材を得て、黄色シートの変わりに黄色ウレタン系塗料をライン状に塗布して誘導機能を有する部材とした。
【0040】
上記で仕上げた床材を使用して以下の評価方法及び評価基準で評価を行い、その結果を表1に示す。
<意匠性>
仕上がった床材を目視で判断した。
◎:見栄えよく意匠的に優れている。
○:意匠的に仕上がりがよい。
×:意匠的に劣っている。
<誘導性>
誘導機能を有する部材とそれ以外の床材部分とをカラーセンサー(黄色のフォトダイオード)で検出しその差を比較した。
◎:2つ以上の誘導機能を有し、それぞれの部材部分で感知し、それ以外では感知しない。
○:1つの誘導機能を有し、誘導機能を有する部材部分で感知し、それ以外では感知しない。
×:誘導機能を有する部材部分で感知しないか、または、誘導機能を有する部材部分とそれ以外の両方ともで感知する。
<耐久性>
床材の意匠又は機能を有する部材付近を実際に人が革靴を履いて繰り返し10000回の歩行テストを行ない、意匠又は機能を有する部材端部の剥がれ、捲れの程度を目視で判定した。
○:剥がれ、捲れが認められない。
×:剥がれまたは捲れが認められた。
<耐汚れ性>
上記耐久性のテストと同様に1000回の歩行テストを行ない、意匠又は機能を有する部材端部の汚れ程度を目視で判定した。
○:汚れが認められない。
△:汚れが認められるが目立つほどではない。
×:汚れが目立つ。
【0041】
【表1】

【0042】
表1から、実施例1、5は意匠性がよく、実施例2、5は誘導機能を有しており、実施例4、6では誘導機能を有する部材をそれぞれ2箇所ずつ有して誘導性に優れ、実施例3、6は異なった意匠を複合しているため床材として見栄えよく仕上がっている。また、実施例1〜6は耐久性と耐汚れ性が共に優れていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
床材の長手方向に連続的に凹部を形成した床材とすることにより、床材に対して、簡易に且つ経済的に意匠や機能を付与できるとともに、耐久性があって汚れにくい床材に仕上げることができるため、本発明の床材及びその仕上げ方法は、店舗、病院、老人保健施設などに広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の凹部を有する床材の1実施態様を示す模式断面図
【図2】本発明の方法で仕上げた床材の模式断面図
【図3】本発明の凹部を有する床材の他の実施態様を示す模式断面図
【図4】本発明の凹部を有する床材の他の実施態様を示す模式断面図
【図5】本発明の凹部を有する床材の他の実施態様を示す模式断面図
【図6】本発明の凹部を有する床材の他の実施態様を示す模式断面図
【符号の説明】
【0045】
1 床材
2 意匠又は機能を有する部材
3 凹部
3(a)〜3(j) 複数ある凹部
4 床材ベース
5 床材の表層



【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に対して連続的に凹部を有することを特徴とする床材。
【請求項2】
上記床材を所定位置に施工した後、上記凹部に意匠又は機能を有する部材を嵌め込み、床材表面を略平滑にすることを特徴とする床材の仕上げ方法。










【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−270567(P2007−270567A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−99723(P2006−99723)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000010010)ロンシール工業株式会社 (84)
【Fターム(参考)】