説明

床材用の印写プロセス

ビニル床材を印写するための方法が提供されている。画像は、熱活性化印写法を用いて、強化された熱機械的特性を有するビニル床材上に形成される。床基板の最小の収縮および最小の画像変形が、本発明によってもたらされることになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願人は、2010年1月22日に出願された米国仮特許出願第61/297484号の利得を主張するものである。
【0002】
[発明の分野]
本発明は、床材の印写に関し、さらに詳細には、新規の画像転写プロセスによる合成床材および樹脂床材の印写に関する。
【背景技術】
【0003】
合成材料および/または樹脂材料は、古くから床材用途に使われてきている。ビニル、例えば、ポリ塩化ビニルからなる床タイルのような床材が用いられている。このような床材は、一般家庭の使用条件下および商業的な使用条件下において、耐水性、低コスト、防黴性、および機械的安定性をもたらしている。
【0004】
ビニル床材の大量生産では、ビニル材料の熱成形が利用されることがある。シート状床タイルのカレンダー成形は、熱および圧力の印加によって行われるが、この熱および圧力は、表面平滑化過程において用いられるようになっている。製造を早めるために、大気温度まで迅速に冷却する方法が使われている。
【0005】
他の成分を含んでいるか否かに関わらず、特にシート形状にあるビニル材料の急速冷却は、ビニル樹脂またはビニル系熱可塑性材料に「熱記憶(thermal memory)」をもたらし、この熱記憶は、時間と共に変化する傾向にある。やがて、この材料は、シート寸法に沿って寸法減少することになる。材料の温度が軟化温度に達すると、仮に大きな圧力が該材料に加えられていなくても、収縮が問題になる。従って、ビニル床材が、大気温度を超える熱が印可されるプロセス、例えば、画像転写プロセスと共に用いられるとき、望ましくない収縮が生じることになる。
【0006】
熱転写式印写は、一般的に、350°F以上の温度で行われる。これらの温度は、ビニル樹脂またはビニル系熱可塑性材料の軟化温度を実質的に超えている。10%を超える収縮が生じることがあり、この収縮が、画像品質を実質的に歪め、床材の物理的寸法を縮小させることになる。
【0007】
ビニル/リノリウム床材料の熱成形を促進するために、フタル酸塩のような可塑剤および他の可塑剤が用いられる場合がある。これらの可塑剤は、純粋な形態またはビニル床組成物との(化学的に結合していない)混合物の形態のいずれにあっても、大気温度では液体の状態にある。これらの可塑剤は、熱安定性を低減させ、着色剤の溶媒になる。時間の経過に伴って、緩慢な蒸発が生じ、床材素地内への移行が生じ、これによって、可塑剤による着色剤の溶解が生じ、画像品質を歪ませることになる。
【0008】
熱機械的な成形に適する線状分子構造をもたらすポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、などのような熱可塑性材料が、床タイルに用いられることが多い。しかし、熱転写式印写に用いられるような後続の加熱過程に必要な3次元的安定性が不十分である。これは、これらの材料が単独で用いられる場合または組合せて用いられる場合のいずれかにおいて、床材の温度および/または圧力が変動した場合でも、当てはまる。家庭用洗浄材料、有機溶剤、漂白用化学薬品、および酵素物質のような化学薬品も、使用中に、熱可塑性材料のポリマー素地を改変させることがある。
【0009】
機械的強度または耐久性を改良するために、AlおよびSiOのような無機充填粒子を含む上塗が、ビニル床材の表面に施されることがある。受容性または浸透性を考慮しない場合、これらの被膜は、主に熱膨張係数の差によって、熱転写印刷プロセスが行われた後、熱結合性が弱くなる。また、この被膜は、転写を妨げることがある。
【発明の概要】
【0010】
床材のための新規の印写法が提供されている。このプロセスは、床材への印刷された画像の熱転写に関する。インクまたはトナー、例えば、昇華染料のような熱転写可能な着色剤を含むインクまたはトナーによって転写媒体上に形成された画像が、ビニル床材上に熱転写されることになる。床材の高められた熱機械的特性によって、熱露出による収縮が抑制されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明による画像をデジタル印刷し、転写する好ましいプロセスを示す図である。
【図2】本発明による熱転写プロセスによって印写された床材のシートまたはタイルを示す図である。
【図3】本発明に有用な床材の実施形態の層を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の目的は、熱転写式印写に適する床材を提供することにある。床材は、該材料の物理的かつ熱的収縮または画像歪を生じることなく、印写中の加熱過程に耐えることができねばならない。
【0013】
本発明の一実施形態では、床材料は、少なくとも2つの層を備えている。第1の層は、ビニル材料から構成された透明または明色の熱転写画像を受容する上層からなっているとよく、熱収縮制御層として機能する第2の下側の層、すなわち、下層が該上層にしっかりと結合されている。
【0014】
本発明による例示的な印写プロセスは、最終的に印写される基板としてビニル床材を用いている。ビニル床材は、ビニル基を含む床材である。一実施形態では、昇華性着色剤を含む液体インクが、中間転写シートにデジタル印刷されるようになっている。この中間転写シートは、紙であるとよい。次いで、着色剤が、それらの熱活性温度に加熱され、この熱活性温度において、着色剤が活性化し、ビニル床材に転写される。昇華着色剤または昇華染料の場合、熱活性によって、昇華着色剤が昇華し、昇華性着色剤が親和性を有するビニル床材に結合することになる。昇華性染料からなる着色剤の熱活性化は、典型的には、160℃から210℃の間、または約325°Fから410°Fの間で行われるようになっている。
【0015】
他の実施形態では、床基板上に形成される画像は、熱拡散性着色剤、例えば、染色着色剤、分散染料、および昇華染料を含むインクまたはトナーを直接印刷または塗布することによって、得られてもよい。この画像は、後続の定着プロセスによって、基板に定着されることになる。定着プロセスは、熱プロセスであってもよいし、および/または放射線プロセスであってもよい。熱定着プロセスに用いられる温度は、典型的には、160℃から210℃の間、または約325°Fから410°Fの間にある。
【0016】
ビニル床材の熱収縮性を低減させ、ビニル床材の画像熱安定性を高めるために、本発明の一実施形態では、キャストビニル材料が用いられている。この実施形態の床材は、シート状のビニル(ポリ塩化ビニルまたはポリ塩化ビニリデン)物品から構成されているとよい。必要な厚みのキャストビニル床材が、直接成形されるようになっているとよい。この場合、ポリマー素地内の分子は、(大気温度を超える)成形温度において、熱平衡段階にあり、これによって、ビニル成分がフィルム成形プロセス中に「熱記憶」を受けることがない。従って、キャストビニル床材は、より安定である。さらに、キャストビニルシート状床材は、良好な適合性および耐光性を有している。対照的に、カレンダー成形ビニルは、熱機械力によって、該ビニル材料をシート寸法に沿って引っ張ることによって成形されている。受容ビニルポリマー層の厚みは、15μmから250μmの間にあるとよい。
【0017】
本発明によれば、熱時効プロセスまたは熱調整プロセスが用いられてもよい。この熱時効プロセスによれば、ビニル組成物は、その下層の有無に関わらず、熱転写式印写プロセスの前に、熱転写式印写温度近くの温度に晒され、これによって、ポリマー素地の全体にわたる熱平衡が達成されることになる。これは、もし非キャスト式のビニル床シートまたはタイルが用いられる場合、特に有用である。さらに、このような熱時効プロセスまたは熱調整プロセスは、受容ビニルポリマー素地における望ましくない可塑剤または可塑剤の残滓を除去するのに役立つことになる。
【0018】
熱時効温度は、熱転写式印写温度に近い温度であるべきである。熱転写温度よりもかなり低い温度、例えば、25°F低い温度は、熱平衡を達成するのに有効でない可能性がある。時効プロセスは、ビニル床シート製造中に、シート成形ステップの後でかつ下層の接合の前に行うことができる。また、時効は、熱転写式印写プロセスの前に行われるとよい。特定のビニル材料によっては、325°Fから400°Fの間の熱時効温度が用いられることもあるが、多くの材料に対して、好ましい温度は、325°Fから375°Fの間であり、時効時間は、30秒から300秒の間である。
【0019】
他の実施形態では、可塑剤材料または超可塑剤材料が受容ビニル層の形成に用いられないようになっているか、または最小限の量しか用いられないようになっている。可塑剤は、シート成形中にビニル材料の可塑性および/または柔軟性を助長する添加剤であるが、人および環境に有害であることがある。これらの材料は、画像安定性にも害を及ぼす。ビニルシート成形に一般的に用いられる可塑剤は、フタル酸塩またはフタル酸エステル、例えば、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DEHP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)、フタル酸ジイソノニル(DINP)、フタル酸ジウンデシル(DUP)、およびフタル酸ベンジルブチル(BBP)である。十分重合されずにリノリウム物品の内側に取り込まれているアマニ油、トール油、なども可塑剤として作用することがあり、画像安定性に有害になる可能性がある。従って、これらの使用は、好ましくは、回避されるとよい。本発明において、好ましくは、1%未満の全非フタル酸塩系可塑剤が用いられるようになっており、最も好ましくは、どのような可塑剤もビニル受容層の形成に用いられないようになっている。非フタル酸塩系可塑剤の例として、制限されるものではないが、BASF社のHexamoll(登録商標)DINCH、Colorite Polymers社のColorite(登録商標)系列、およびEastman Chemicals社のEastmanTM(商標)DBTが挙げられる。
【0020】
外部可塑剤を少量しか用いないかまたは全く用いない場合に、すぐれた適合性および柔軟性を維持するために、1,000から100,000、最も好ましくは、2,000から10,000の平均分子量(Mn)を有するポリ塩化ビニル(PVC)を用いると好ましい。
【0021】
任意選択的に、高昇華印刷受容性を有する熱硬化性ポリマー材料が、受容ビニル組成物の一部として用いられてもよい。これらのポリマーは、熱転写式印写受容性を高めて最終画像の色彩鮮明度を高めるのみならず、ビニルポリマー素地の内側への着色剤の熱転移を防ぐことになる。これは、熱可塑性材料が印刷の後に昇華着色剤の「閉じ込め(locking)」特性を失うのと対照的である。顕微鏡的規模において、これらのポリマーは、三次元構造の改良された安定性をもたらすと共に、ビニル系熱可塑性材料の素地内の昇華着色剤の永続性をもたらすことになる。合成熱硬化性ポリマー、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリブチレンテレフタレート(PBT)のようなポリエステル、ポリウレタン(PU)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)のようなポリエステルグリコール、ポリアミド(PA)、およびポリイミド(PI)は、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマーなどのいずれかの形態で、床ビニル成形プロセス中に、共キャスト成形成分、共押出成形成分、共カレンダー成形成分、または充填剤/添加剤として用いられるとよい。好ましくは、熱硬化性ポリマーは、1重量%から50重量%の範囲内にあるとよい。
【0022】
床物品の所望の熱的特性、機械的特性、視覚的外観、放射線安定性、または耐化学薬品性を達成するために、染料および顔料を含む着色剤、および熱安定化剤または放射線安定化剤、重合触媒、膨張剤、放射線遮断剤、蛍光増白剤、光反射成分、などのような添加剤が、受容ビニル層内に用いられてもよい。負熱膨張(NTE)材料が、ビニルポリマー組成物内に添加剤として用いられてもよい。このような材料の一例として、タングステン酸ジルコニウム(ZrW)が挙げられる。
【0023】
本発明の実施形態では、ビニル床材に対する下層またはバッキングが用いられている。本発明の下層は、シート軸(x−y面)に沿って、繊維ガラス、亜麻またはジュート、竹、金属、合成エンジニアリングポリマースクリム(scrim)、または繊維埋設構造のような熱安定化材料を含んでいる。下層は、ASTMF1303(バッキングを有するシートビニル敷物の標準規格)の要件を満たしていると好ましい。スクリムまたは繊維材料は、比較的小さい熱膨張係数を有している。例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)の線熱膨張係数は、20℃で5.2×10−5/Cであり、ステンレス鋼シートスクリムは、20℃で1.7×10−5/Cであり、竹のような典型的な木質材料は、20℃で0.65×10−5/Cである。低熱膨張係数の繊維状材料を含む繊維またはスクリムを樹脂、プラスチック、またはゴム組成物に埋設することによって、熱転写印刷中に寸法構造を安定にする。本発明では、(20℃における)2.0×10−5/Cの線熱膨張係数を有する繊維が用いられると好ましい。
【0024】
天然または合成ポリマー、例えば、ゴムラテックス、メラミンホルムアルデヒドまたは尿素ホルムアルデヒド(例えば、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヒドロキシメチル(ジメトキシメチル)メラミン、ジメチロール尿素、N,N−ジメチロールエチレン尿素)、反応性および非反応性ポリマーシラン、スチレンアクリロニトリル(SAN)、エポキシ、ポリエステル、ポリウレタン、合成ゴム(例えば、ブラジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ハロゲン化ブチルゴム、ネオプレンゴムまたはクロロプレンゴム)、ポリ塩化ビニルのようなビニル、などが、単独または混合物、または低熱膨張繊維材料との組合せの形態で、主成分として用いられるとよい。得られた下層は、熱的または化学的に受容ビニル層に結合可能である。転写または印写プロセス中の不均一な熱膨張または熱収縮を防ぐために、得られた下層と受容ビニル層との間の熱膨張係数差は、好ましくは、5%を超えるべきではない。これらの層間の大きな熱膨張差は、望ましくない曲げまたは湾曲をもたらすことがあり、または熱転写式印写の後、層分離をもたらすこともある。下層の厚みは、50μmから500μmの間であるとよい。
【0025】
下層内への不必要な着色剤の転移または拡散を防ぐために、光学的遮断層が、下層と受容ビニル層との間に塗布または形成されていてもよい。遮断層は、特に長期にわたる使用中に、画像受容層からの着色剤の浸透または転移を防ぐものである。従って、床材の使用の全体にわたって、画像の鮮明さおよび光学的強度が維持されることになる。遮断層を形成するには、着色剤に対する親和性および/または着色剤の浸透傾向を殆どまたは全く有していない高架橋ポリマー/樹脂材料が好ましい。このような材料の例の例として、高密度ポリエチレンまたは高密度ポリプロピレン、金属化ポリエチレンまたは金属化ポリプロピレン、ポリエーテルアクリレート、エポキシドポリマー、ポリシロキサン、セルロースポリマーまたは変性セルロースポリマー、または有機金属ポリマー材料が挙げられる。
【0026】
一実施形態では、繊維材料は、繊維またはスクリムが下層のシート面に沿って二軸に(z軸ではなくx−y面)に置かれるように配向されており、これによって、十分な熱膨張または熱収縮が最適に制御されることになる。好ましくは、1重量%以上、さらに好ましくは、5重量%以上の低膨張係数繊維が下層内に用いられるとよい。
【0027】
光学的にクリア、すなわち、透明な貫通ポリマー層6が、下層10またはバッキング上に付着された受容ビニル層8の表面に付着されている。図3参照。クリア、すなわち、透明な層は、積層または塗布のいずれによって設けられてもよい。本明細書に用いられる「貫通(pass-through)」という用語は、熱転写ステップ中に、転写媒体上に印刷された熱活性可能な着色剤または昇華着色剤が、ポリマー層内に昇華または拡散し、受容ビニル層上に凝縮および堆積することを意味している。しかし、このような層は、転写プロセスが終了した後、昇華画像の冷間物質拡散を許容しない。このように、貫通ポリマー層の被覆によって、付加的な機械的保護、放射線保護、および化学的保護をもたらすことができる。
【0028】
クリア、すなわち、透明な貫通被膜は、気化または凝縮された昇華染料に対する親和性を殆どまたは全く含んでいない少なくとも1つの透明ポリマーまたは樹脂材料をさらに含んでおり、転写式印刷プロセス中に、貫通層の外側から受容ビニルに向かう昇華画像の貫通が可能になる。次いで、画像は、貫通層の下方の受容ビニル層に永久に結合することになる。貫通層または貫通膜を形成することができる(天然または合成のいずれであってもよい)熱硬化性または熱可塑性ポリマー材料が、被膜の成分として用いられるとよい。米国特許出願第61/260,442号および国際特許出願第PCT/US10/56365号によって示唆されているように、耐光性および機械的安定性を達成するために、架橋反応によって安定した結合をもたらす種々の添加剤を含む熱硬化性ポリマー材料が用いられるかまたは形成されているとよく、該熱硬化性ポリマー材料は、熱転写プロセス中の剥離の問題をなくす非粘着性貫通層をもたらすことになる。
【0029】
空気中の酸素およびオゾンが、貫通層内に浸透し、印刷された画像の耐光度を低下させることがある。酸素遮断特性または酸素捕集特性を有する添加物(酸化防止剤)がポリマー層内に用いられてもよい。非ポリマー系酸素捕集化学薬品の例として、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、カルボヒドラジド、エリソルビン酸塩、メチルエチルケトオキシム、ヒドロキノンおよびジエチルヒドロキシルアミン、不飽和脂肪酸、2,6−ジ(t−ブチル)−4−メチルフェノール(BHT)、2,2’−メチレン−ビス(6−t−ブチル−p−クレゾール)、および亜リン酸トリフェニルが挙げられる。ポリマー系酸素捕集剤および/または酸化防止剤(酸素捕集ポリマーOSP)、例えば、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレンとシクロヘキセニルアクリル酸メチルとのコポリマー(ECHA)、およびエチレンとアクリル酸メチルとシクロヘキセニルアクリル酸メチルとのターポリマー(EMCM)が貫通ポリマー層内に用いられるとよい。
【0030】
【表1】

【0031】
クリア、すなわち、透明な貫通層の乾燥被膜重量は、一般的に、0.5−25g/m、好ましくは、1−3g/mの範囲内にある。
【0032】
画像が、中間ベースシート12上に印刷される。この画像は、コンピュータ駆動インクジェットプリンター24のようなデジタルプリンターによって印刷されるとよい。画像が媒体上に印刷された後、該画像は、媒体からビニル床材に転写されることになる。
【0033】
コンピュータ技術を用いることによって、画像を実質的に瞬間的に印刷することが可能である。例えば、コンピュータ20上のカラ―画像を得るために、ビデオカメラまたはスキャナー30が用いられるとよい。コンピュータ上に生成または記憶された画像は、その使用回数に関わりなく、命令によって印刷可能である。前述したように、コンピュータ上の画像が、適切な印刷手段、例えば、多色印刷することができる手段、機械的な感熱式プリンター、インクジェットプリンター、および電子写真プリンターまたは静電プリンターによって、ビニル床材上に印刷または転移され、定着されてもよい。
【0034】
コンピュータおよびデジタルプリンターは、安価であり、写真およびコンピュータによって生成された画像の転写は、基板16に対して行われることになる。これらの転写は、商業施設におけるエンドユーザのみならず、家庭におけるユーザエンドによっても実施可能である。画像は、前述したように、熱の印加によって転写される。このような転写を行うことを意図した布用アイロンまたは熱プレス26は、熱転写に用いられる装置の例である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床材を印写するためのプロセスにおいて、
熱活性可能な着色剤を含む印刷された画像に熱を印加するステップであって、前記熱は、前記熱活性可能な着色剤を活性化させ、前記床材の画像受容層は、前記熱活性可能な着色剤が熱活性化されたときに、前記着色剤に対する親和性を有しており、前記熱活性可能な着色剤は、前記床材と結合し、画像を形成するようになっている、ステップを含んでおり、
前記床材は、前記画像受容層および収縮制御層を備えており、前記床材の印写中に前記床材に熱が印可される結果として、前記画像受容層は、前記収縮制御層に対して5%以内の寸法収縮を呈するようになっていることを特徴とする、プロセス。
【請求項2】
前記床材の前記画像受容層は、ビニル基を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の床材を印写するためのプロセス。
【請求項3】
前記床材の印写前に、前記画像受容層に熱を印加することによって、前記画像受容層を熱時効処理するステップをさらに含んでいることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の床材を印写するためのプロセス。
【請求項4】
前記床材の印写前に、前記熱活性可能な着色剤の熱活性化温度よりもそれほど低くない温度の熱を前記画像受容層に印加することによって、前記画像受容層を熱時効処理するステップをさらに含んでいることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の床材を印写するためのプロセス。
【請求項5】
前記床材は、キャストビニルを含んでいることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の床材を印写するためのプロセス。
【請求項6】
前記収縮制御層は、繊維材料を含んでいることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の床材を印写するためのプロセス。
【請求項7】
前記収縮性制御層は、(20℃における)2.0×10−5/℃未満の線熱膨張係数を有していることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の床材を印写するためのプロセス。
【請求項8】
前記床材の前記画像受容層は、熱硬化性ポリマーを含んでいることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の床材を印写するためのプロセス。
【請求項9】
前記床材の前記画像受容層は、ビニル基を含んでおり、前記熱活性化された着色剤は、前記ビニル基に対する親和性を有しており、前記ビニル基に結合し、前記画像を形成するようになっていることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の床材を印写するためのプロセス。
【請求項10】
前記熱活性可能な着色剤は、昇華染料を含んでおり、前記床材の前記画像受容層は、ビニル基を含んでおり、前記昇華染料は、熱の印加時に昇華し、前記昇華した昇華染料は、前記ビニル基に対する親和性を有しており、前記ビニル基と結合し、前記画像を形成するようになっていることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の床材を印写するためのプロセス。
【請求項11】
前記床材は、貫通層をさらに備えており、前記貫通層は、前記熱活性可能な着色剤に対する親和性を殆どまたは全く有しておらず、前記熱活性可能な着色剤は、熱活性時に、前記層を貫通して前記貫通層と実質的に結合せず、前記熱活性可能な着色剤は、前記貫通層を貫通し、前記画像受容層に結合するようになっていることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の床材を印写するためのプロセス。
【請求項12】
前記床材は、前記画像受容層と前記収縮制御層との間に位置する遮断層をさらに備えており、前記遮断層は、前記床材の印写の後、前記画像が前記収縮制御層に向かって前記画像受容層を貫通するのを阻止するようになっていることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の床材を印写するためのプロセス。
【請求項13】
前記床材は、透明な貫通層をさらに備えており、前記貫通層は、樹脂材料から構成されており、前記熱活性可能な着色剤に対する親和性を殆どまたは全く有しておらず、前記熱活性可能な着色剤は、熱活性化時に、前記貫通層を貫通して前記貫通層に実質的に結合せず、前記熱活性可能な着色剤は、前記貫通層を貫通し、前記画像受容層に結合するようになっていることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の床材を印写するためのプロセス。
【請求項14】
前記床材は、透明な貫通層をさらに備えており、前記貫通層は、前記熱活性可能な着色剤に対する親和性を殆どまたは全く有しておらず、前記熱活性可能な着色剤は、熱活性化時に、前記貫通層を貫通して前記貫通層に実質的に結合せず、前記熱活性可能な着色剤は、前記貫通層を貫通し、前記画像受容層に結合するようになっていることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の床材を印写するためのプロセス。
【請求項15】
前記床材の前記画像受容層は、ポリウレタンを含んでおり、前記熱活性可能な着色剤は、前記ポリウレタンに対する親和性を有しており、前記熱活性化された着色剤は、前記ポリウレタンと結合し、前記画像を形成するようになっていることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の床材を印写するためのプロセス。
【請求項16】
前記床材の前記画像受容層は、ポリエステルを含んでおり、前記熱活性可能な着色剤は、前記ポリエステルに対する親和性を有しており、前記熱活性化された着色剤は、前記ポリエステルと結合し、前記画像を形成するようになっていることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載の床材を印写するためのプロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−518194(P2013−518194A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550157(P2012−550157)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【国際出願番号】PCT/US2011/022076
【国際公開番号】WO2011/091266
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(512190505)オクティ‐テック・リミテッド,リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (1)
【Fターム(参考)】