説明

床構造

【課題】床パネルを並べる際に、床パネルを簡単に位置決めできる床構造の提供を技術的課題とする。
【解決手段】排水経路に連通し長手方向に勾配を有する大引水路10aを有する大引10と、大引水路10aに連通する根太水路11aを有し、大引10上に並んで載置される複数の根太11と、各根太11の間に架設された複数の床パネル12と、を有している。根太水路11aは床パネル12から滴下する水を大引水路10aに排水する。また、根太11上に設けられ、床パネル12を着脱自在に係止させることにより床パネル12を位置決めして保持するパネル固定具13を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の床構造は、各種のものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1の床構造は、内部に水通路を有する大引上に樋形状をなす根太を複数並べて載置し、さらに端部がこの根太の上方に位置するように根太間に架設・位置決めされた矩形の床パネルを備えている。また、洗浄に伴って床パネル上に散水された水は、床パネルの端部から樋形状をなす根太に滴り落ち、根太内に滴り落ちた水は、根太内の根太水路を通じて大引内部の大引き水路に流れ込み、大引に設けられる排水口を通じて外部に排水される。
【特許文献1】特開2002−227378号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の床構造は、多数の床パネルを並べる際に、床パネル間に水を落下させる隙間を一定寸法で設けるため、いちいち隙間を測定しながら床パネルを並べていたので、作業が面倒で施工工数が増大するという問題があった。
【0004】
本発明は、このような技術的背景に鑑みなされたものであり、多数の床パネルを並べる際に床パネルを簡単に位置決めでき、これにより施工工数の低減を図ることができる床構造を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は前記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
すなわち、本発明は、
根太水路を有する複数の根太と、前記各根太の間に架設された複数の床パネルと、を備え、前記根太水路は前記床パネルから滴下する水を排水する床構造において、
前記根太上に設けられ前記床パネルを着脱自在に係止することにより、前記床パネルを位置決めして保持するパネル固定具を備える。
【0006】
本発明によれば、パネル固定具に床パネルを係止させるだけで床パネルを位置決めして保持できるので、床パネルの取り付け作業が容易になる。これにより、施工工数を低減できる。
【0007】
ここで、前記床パネル又は前記パネル固定具は、係止用突起又は係止用孔の何れか一方を有する構成にできる。この構成によれば、構成を簡略化できる。
【0008】
また、前記パネル固定具は、複数の前記床パネルにおける角部を係止する構成にできる。この構成によれば、一個のパネル固定具で複数の床パネルを係止して位置決めできるので、パネル固定具の数を減らすことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、根太上にパネル固定具を取り付け、このパネル固定具に床パネルを係止させるだけで床パネルを位置決めして保持できるので、床パネルの取り付け作業が容易になり、施工工数を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という)に係る床構造について説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成に限定されない。
【0011】
図1は、本実施形態の床構造1を示す。この床構造1は、排水経路(図示せず)に連通し長手方向に勾配を有する大引水路10aを有する大引10(一個のみ図示)と、大引水路10aに連通する根太水路11aを有し、大引10上に互いに間隔を開けて載置される複数の根太11と、各根太11の間に架設された複数の床パネル12とを有している。根太水路11aは、床パネル12から滴下する水を大引水路10aに排水するように構成されている。
【0012】
また、この床構造1は、根太11上に配置され床パネル12を着脱自在に係止させることにより、床パネル12を位置決めして保持するパネル固定具13を備えている。なお、大引10はなくても良い。この場合は、根太11の根太水路11aを排水経路に連通させればよい。
【0013】
次に、上記各構成要素について説明する。大引10及び根太11は一般的なものを使用できるので、その詳細な説明を省略する。床パネル12は略四角形に形成され、その角部に比較的大きな面取り部12aが設けられている。
【0014】
床パネル12の面取り部12aには、図2に示すように、断面が略L字状の係止片20が設けられている。この係止片20の側方に突出する横辺部21には、略長円形の係止孔22が設けられている。
【0015】
パネル固定具13は、四角形のパネル載置部15と、このパネル載置部15の両側に設けられたL字形の脚部16,16とを有している。パネル載置部15の上面15aには、円柱状の係止部17が複数個、本実施形態では4個設けられている。また、パネル載置部15の中心にはボルト孔18が設けられている。各係止部17はボルト孔18の中心から等距離に配置されている。両側の脚部16,16は、根太11の根太水路11aにおける上部側に設けられた段差部11b,11b間に挿入可能に形成されている。
【0016】
次に、この床構造1の作用を説明する。床パネル12を根太11上に組み付ける場合は、図2に示すように、まず、根太11の段差部11b,11b上にパネル固定具13を配置し、その脚部16をねじ23等で段差部11b,11bに固定する。このとき、パネル固定具13は、図3に示すように、その上に載置される4個の床パネル12における中心にボルト孔18の中心が略一致するように配置する。なお、床パネル12を配置すべき位置は予め定められている。
【0017】
次に、パネル固定具13のパネル載置部15に床パネル12の脚部20を載置すると共に、脚部20の係止孔22をパネル固定具13の係止部17に嵌め込む。このときには、係止孔22が長円状に形成されているので、係止孔22に嵌め込む作業が容易になる。
【0018】
次に、図4に示すように、パネル固定具13のパネル載置部15上における4個の床パネル12間の隙間に、この隙間より僅かに小さなブロック23を挿入し、ボルト24でパネル載置部15に固定する。これにより、ブロック23の上面23aと床パネル12の上面12bとが略面一になる。次に、床パネル12の上面12b及びブロック23の上面23aに床仕上げ材25を設ける。なお、隣接する床仕上げ材25間には、水を排水するための隙間を設ける。
【0019】
本実施形態の床構造1によれば、パネル固定具13の係止部17に床パネル12の係止
孔22を嵌め込むだけで、床パネル12がパネル固定具13に係止される。これにより、床パネル12を簡単に位置決めして保持できる。従って、床パネル12の取り付け施工工数を低減できる。また、構成を簡略化できる。また、一個のパネル固定具13によって複数個、本実施形態では4個の床パネル12を位置決めして保持できるので、パネル固定具13の数を減らすことができる。
【0020】
なお、上記実施形態では、パネル固定具13に係止部17を設け、床パネル12に係止孔22を設けたが、パネル固定具13に係止孔22を設け、床パネル12に係止部17を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施形態に係る床構造を示す斜視図である。
【図2】実施形態に係るパネル固定具の係止部、及び床パネルの係止孔を示す斜視図である。
【図3】実施形態に係る床パネルをパネル固定具に係止した状態を示す上面図であり、図1のA矢視図である。
【図4】実施形態に係るパネル固定具、床パネル及びブロックの取付状態を示す図であり、図3のB−B断面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 床構造
10 大引
10a 大引水路
11 根太
11a 根太水路
11b,11b 段差部
12 床パネル
12a 面取り部
12b 床パネルの上面
13 パネル固定具
15 パネル載置部
15a パネル載置部の上面
16 パネル固定具の脚部
17 係止部
18 ボルト孔
20 係止片
21 横辺部
22 係止孔
23 ブロック
23a ブロックの上面
24 ボルト
25 床仕上げ材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
根太水路を有する複数の根太と、前記各根太の間に架設された複数の床パネルと、を備え、前記根太水路は前記床パネルから滴下する水を排水する床構造において、
前記根太上に設けられ前記床パネルを着脱自在に係止することにより、前記床パネルを位置決めして保持するパネル固定具を備える床構造。
【請求項2】
前記床パネル又は前記パネル固定具は、係止用突起又は係止用孔の何れか一方を有する請求項1に記載の床構造。
【請求項3】
前記パネル固定具は、複数の前記床パネルにおける角部を係止する請求項1または2に記載の床構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−197435(P2009−197435A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−38605(P2008−38605)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【出願人】(000155333)株式会社木村技研 (29)
【Fターム(参考)】