説明

床版構造および鋼床版の補強方法

【課題】主桁や横桁の真上以外でも鋼床版を補強することが可能で、かつ、荷重が作用する位置にかかわらずデッキプレートと縦リブとの溶接部分などに疲労亀裂が発生し難い床版構造を提供することを課題とする。
【解決手段】デッキプレート11の下面に複数条の縦リブ12,12,…を並設してなる鋼床版10と、隣り合う縦リブ12,12間に形成される溝状空間を埋めるように配置された補強部材20と、この補強部材20を下側から支持する支持部材30とを備える床版構造Sであって、支持部材30を、溝状空間を跨ぐように配置し、縦リブ12に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床版構造および鋼床版の補強方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば道路橋の床版は、コンクリート床版と鋼床版とに大別される。このうち、鋼床版については、厚さ12〜16mmのデッキプレート(表面鋼板)と、その下面に配置された複数条の縦リブと、この縦リブと交差するように配置された横リブ(あるいはダイヤフラム)とを溶接により互いに接合してなるものが一般的である。
【0003】
ところで、主として過積載のトラック荷重に起因して、デッキプレートと縦リブとの溶接部分、縦リブと横リブとの溶接部分、縦リブ同士の突合せ溶接部分などに疲労亀裂が発生しそうな場合には、鋼床版を補強して疲労亀裂の発生および進展を防止する必要がある。
【0004】
デッキプレートの下面に複数条の縦リブを並設してなる鋼床版を補強する方法が特許文献1乃至特許文献3に開示されている。
【0005】
特許文献1には、縦リブの内部空間に充填材を充填することで、鋼床版を補強する技術が開示されており、特許文献2および特許文献3には、横桁の上面に設けた補強部材で縦リブを補強する技術が開示されている。なお、鋼床版の補強を目的とするものではないが、特許文献4には、鋼床版と主桁との結合を容易に行うための板材を縦リブ間に設けた床版構造が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2001−248114号公報
【特許文献2】特開2002−173912号公報
【特許文献3】特開2000−73316号公報
【特許文献4】特開2005−97861号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の床版構造および鋼床版の補強方法では、縦リブだけを補強していることから、隣り合う縦リブ間に繰り返し荷重が作用する場合には、依然として疲労亀裂が発生する可能性がある。すなわち、この補強方法により鋼床版を補強すると、縦リブの剛性が向上するので、縦リブの直上に荷重が作用する場合には、デッキプレートに発生する変位・変形を抑制することができるが、縦リブからずれた位置に荷重が作用する場合には、あまり効果がない。
【0008】
また、特許文献2および特許文献3の床版構造および鋼床版の補強方法では、主桁に支持された横桁で補強部材を支持していることから、橋軸方向に連続する鋼床版のうち、横桁の真上に位置する部位だけしか補強することができない。すなわち、特許文献2および特許文献3の技術では、鋼床版の補強位置が限定されてしまうという問題がある。
【0009】
なお、特許文献4に開示された技術は、鋼床版の補強を目的とするものではないが、縦リブ間に設けた板材が橋台に架設された主桁に支持されているので、仮に、前記した板材が補強効果を奏するとしても、鋼床版の補強位置が限定されてしまうことに変わりはない。
【0010】
このような観点から、本発明は、デッキプレートの下面に複数条の縦リブを並設してなる鋼床版を含む床版構造であって、主桁や横桁の真上以外でも鋼床版を補強することが可能で、かつ、荷重が作用する位置にかかわらずデッキプレートと縦リブとの溶接部分などに疲労亀裂が発生し難い床版構造を提供することを課題とし、加えて、主桁や横桁の真上以外でも鋼床版を補強することが可能な鋼床版の補強方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような課題を解決すべく創案された本発明に係る床版構造は、デッキプレートの下面に複数条の縦リブを並設してなる鋼床版と、隣り合う前記縦リブ間に形成される溝状空間を埋めるように配置された補強部材と、前記補強部材を下側から支持する支持部材とを備える床版構造であって、前記支持部材が、前記溝状空間を跨ぐように配置されており、かつ、前記縦リブに固定されていることを特徴とする。なお、鋼床版は、新設のものでも既設のものでもよい。
【0012】
本発明に係る床版構造では、補強部材を支持する支持部材を鋼床版の縦リブに固定することとしたので、主桁や横桁の真上以外でも鋼床版を補強することが可能となる。つまり、この床版構造によれば、主桁や横桁とは無関係に補強部材を配置することが可能となるので、橋軸方向に連続する鋼床版を全長に亘って補強することも可能となる。
【0013】
また、本発明においては、隣り合う縦リブ間に形成される溝状空間を埋めるように補強部材を配置しているので、縦リブの面外方向への変位・変形が拘束されることになる。つまり、デッキプレートに発生する変位・変形も小さくなり、その結果、縦リブからずれた位置に荷重が作用する場合であっても、デッキプレートと縦リブとの溶接部分などに疲労亀裂が発生する可能性が少なくなる。
【0014】
前記補強部材は、隣り合う縦リブ間に嵌合してもよいし、隣り合う縦リブ間に遊嵌し、鋼床版との間に充填材を介在させてもよい。隣り合う縦リブ間に補強部材を遊嵌した場合であっても、鋼床版と補強部材との間に充填材を介在させることで、縦リブの面外方向への変位・変形を確実に拘束することが可能となる。
【0015】
前記補強部材は、溝状空間の全部を埋めるように配置してもよいが、溝状空間の上半部分を埋めるように配置するとよい。このようにすると、溝状空間の全部を埋める場合に比べて、補強部材の容積および重量が小さくなるので、材料費の削減と死荷重の軽量化を図ることが可能となる。なお、溝状空間の上半部分のみに補強部材を配置しても、デッキプレートと縦リブとの溶接部分などにおける疲労亀裂を抑制することができる。
【0016】
なお、補強部材の高さ寸法を縦リブの高さ寸法の4分の1以上確保して、少なくとも溝状空間の上から4分の1の範囲を埋めるように補強部材を配置すれば、デッキプレートと縦リブとの溶接部分などにおける疲労亀裂を抑制することができるが、死荷重の増加を抑えるという観点から、補強部材の高さ寸法は、縦リブ12の高さ寸法の4分の3以下とすることが望ましい。すなわち、前記補強部材の高さ寸法を、前記縦リブの高さ寸法の4分の1から4分の3の範囲に設定し、前記補強部材を、少なくとも前記溝状空間の上から4分の1の範囲を埋めるように配置するとよい。
【0017】
前記補強部材は、内部が密実なもの(すなわち、ブロック状のもの)であっても差し支えないが、死荷重の増加を防止するという観点からすると、内部が中空なもの(溝状・箱状のものを含む)であることが望ましい。例えば、前記デッキプレートの下面に対向する頂板部と、前記頂板部の両端部に形成され一対の側板部とを備えて下向きに開口する溝状に構成された補強部材であれば、補強部材の内部を密実にした場合に比べて、死荷重の増加を抑えることが可能となる。また、補強部材の頂板部と側板部とが、面的な広がりを有する板状を呈しているので、この補強部材で、デッキプレートと縦リブとの接合部分を縦リブの長手方向に沿って連続的(面的)に補強することが可能となる。なお、この補強部材においては、前記各側板部が前記縦リブの側面に対峙する。
【0018】
前記支持部材は、前記縦リブの短手方向に隣り合う複数の溝状空間を跨ぐように配置するとよい。このようにすると、複数の補強部材を一括して支持・固定することが可能となるので、補強部材の取付作業を効率よく行うことが可能となる。
【0019】
前記縦リブが、上面が開口する断面溝形の形材からなる場合には、前記デッキプレートの下面と前記縦リブの内面とで囲まれた空間にセメント系材料を充填するとよい。縦リブ内の閉塞された空間にセメント系材料を充填すれば、硬化したセメント系材料と縦リブとが一体的に結合して剛性が向上するので、デッキプレートに発生する変位・変形をより一層抑制することが可能となる。なお、「溝形」には、例えば、上辺が開口した長方形、逆さ台形、V字形、U字形、半円形などが含まれる。
【0020】
前記縦リブの内部にセメント系材料を充填した場合には、前記セメント系材料に固着されたアンカーを利用して前記支持部材を前記縦リブに固定するとよい。このようにすると、溶接を行えないような状況下であっても、支持部材を簡単且つ確実に縦リブに固定することが可能となる。
【0021】
前記した課題を解決する本発明に係る鋼床版の補強方法は、デッキプレートの下面に断面溝形を呈する縦リブを複数条並設してなる鋼床版を補強する方法であって、隣り合う前記縦リブ間に形成される溝状空間に補強部材を配置する工程と、前記溝状空間を跨ぐように支持部材を配置する工程と、前記支持部材を前記縦リブに固定して前記支持部材を前記補強部材の下側に当接させる工程と、を備えることを特徴とする。
【0022】
本発明に係る鋼床版の補強方法によれば、補強部材を支持する支持部材を鋼床版の縦リブに固定することとしたので、主桁や横桁の真上以外でも鋼床版を補強することが可能となる。つまり、この鋼床版の補強方法によれば、主桁や横桁とは無関係に補強部材を配置することが可能となるので、橋軸方向に連続する鋼床版を全長に亘って補強することも可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る床版構造によれば、主桁や横桁の真上以外でも鋼床版を補強することが可能となり、加えて、荷重が作用する位置にかかわらずデッキプレートと縦リブとの溶接部分などに疲労亀裂が発生し難くなる。
【0024】
また、本発明に係る鋼床版の補強方法によると、主桁や横桁の真上以外でも鋼床版を補強することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明に係る床版構造を実施するための最良の形態を、添付した図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0026】
本実施形態に係る床版構造Sは、図1に示すように、既設の鋼床版10と、この鋼床版10を補強する補強部材20と、この補強部材20を下側から支持する支持部材30とを備えて構成されている。
【0027】
鋼床版10は、橋軸方向に沿って配置された箱桁(主桁)Mと橋軸直角方向に沿って配置された横桁Cとで支持されている。鋼床版10、箱桁Mおよび横桁Cは、溶接により互いに接合されている。
【0028】
鋼床版10は、鋼板からなるデッキプレート11と、このデッキプレート11の下面に並設された複数条の縦リブ12,12,…と、縦リブ12と交差するように並設された複数条の横リブ13,13,…とを備えて構成されている。デッキプレート11、縦リブ12および横リブ13は、鋼製であり、溶接により互いに接合されている。
【0029】
図2の(a)は、補強前の鋼床版10を示す断面図であって、鋼床版10に付加される補強部材20等を点線により示した図であるが、この図に示すように、縦リブ12は、上面が開口する断面溝形の形材からなる。なお、図示した縦リブ12の断面形状は、逆さ台形を呈しているが、これに限定されることはなく、例えば、V字形、U字形、半円形を呈するものであってもよい。
【0030】
図2の(b)は、鋼床版10に付加される部材を示す断面図であって、鋼床版10を点線により示した図であるが、この図に示すように、デッキプレート11の下面と縦リブ12の内面とで囲まれた空間には、セメント系材料12aが充填される。セメント系材料12aの配合等に特に制限はなく、無収縮モルタル、普通コンクリート、軽量コンクリート、繊維補強コンクリートなどを使用することができるが、自己充填性の高いものを使用するのが望ましい。
【0031】
図1に示すように、補強部材20は、縦リブ12の長手方向に沿って配置され(図3の(a)参照)、縦リブ12の長手方向(橋軸方向)に沿って鋼床版10を補強する。本実施形態では、補強対象区間にある溝状空間の全長に亘って複数の補強部材20,20,…を連設することで、補強対象区間の全長に亘って鋼床版10を連続的に補強している。
【0032】
補強部材20の長さ寸法は、横リブ13,13の間隔(あるいは、横桁Cと横リブ13の間隔)の整数分の1(本実施形態では3分の1)程度に設定されている。このようにすると、補強部材20が軽量になるので、人力あるいは簡易な機械での施工が可能となる。なお、図示は省略するが、補強部材20の長さを、横リブ13,13の間隔(あるいは、横桁Cと横リブ13の間隔)と同等にしても差し支えない。
【0033】
図2の(b)に示すように、補強部材20は、その鋼床版10側の面が鋼床版10の下面の形状に沿うように成形されており、隣り合う縦リブ12,12間に形成される溝状空間を埋めるように配置されている。より詳細には、補強部材20は、溝状空間の上半部分(上から2分の1程度)を埋めるように配置されている。すなわち、補強部材20は、縦リブ12の高さ寸法の約半分程度の高さ寸法を有し、かつ、断面台形を呈する溝状空間の上半部分に納まるように正面視台形を呈している。なお、本実施形態においては、鋼床版10と補強部材20との間に充填材40を介在させている。
【0034】
図3の(a)および(b)に示すように、補強部材20は、頂板部21と、この頂板部21の両端部に形成され一対の側板部22,22と、一対の側板部22,22を連結するように配置された仕切板部23と、を備えて構成されている。
【0035】
頂板部21は、デッキプレート11(図2の(b)参照)の下面に対向する部位であって、面的な広がりを有する板状を呈している。
【0036】
側板部22は、縦リブ12の側面に対峙する部位であって、面的な広がりを有する板状を呈している。側板部22は、頂板部21の側端部から縦リブ12の側面に沿って斜め下方に垂れ下がっていて、もう一方の側板部22とハ字状に対峙している(図2の(b)参照)。
【0037】
仕切板部23は、側板部22の面外方向への変形を抑制するものであり、図3の(b)に示すように、頂板部21と側板部22,22とにより形成された下向きに開口する「溝」を仕切るように配置されている。
【0038】
なお、補強部材20は、頂板部21と側板部22,22とを備えることで下向きに開口する溝状を呈することになるが、本実施形態では、「溝」の両端部に仕切板23を備えることで、下向きに開口する箱状を呈することになる。
【0039】
補強部材20は、繊維補強コンクリートからなり、頂板部21、側板部22,22および仕切板部23は、一体的に成形されている。
【0040】
繊維補強コンクリートとしては、その硬化体の圧縮強度が150〜200N/mmの範囲にあり、曲げ引張強度が25〜45N/mmの範囲にあり、かつ、割裂引張強度が10〜25N/mmの範囲にあるものを用いることが望ましい。このような超高強度の繊維補強コンクリートは、通常の繊維補強コンクリートよりも弾性係数が高く(例えばE=50〜55kN/mm程度)、鉄筋を配置しなくとも、混入した繊維により引張力に対する引張抵抗力を期待できるので、補強部材20の板厚を小さくしても、縦リブ12の面外方向(図2においては左右方向)への変位・変形を抑制することができる。
【0041】
なお、前記したような強度を有する繊維補強コンクリートは、例えば、セメントとポゾラン系反応粒子と最大粒径2.5mm以下の骨材とを含む紛体に高性能減水剤と水とを混入して得られるセメント系マトリックスに、直径が0.1〜0.3mmで長さが10〜30mmの形状を有する繊維を1〜4容積%混入することで得ることができる。ここで、ポゾラン系反応粒子とは、例えば、シリカフューム、フライアッシュ、高炉スラグのほか、カオリンの誘導体から選定した化合物、沈降シリカ、火山灰、シリカゾル等からなる粒子のことである。
【0042】
補強部材20は、前記した各種材料を混練してなるフレッシュなコンクリートを所定の寸法形状に成形された型枠に打設し、所定の強度が発現した後に、脱型した状態で熱養生を行うことにより製造される。熱養生を行うと、セメント中の遊離石灰とポゾラン系反応粒子のシリカやアルミナが結合して安定的で硬い物質が早期に形成され、セメント系マトリックスの組織が緻密になるので、乾燥収縮がなく、したがって、乾燥ひび割れ等も発生しない。
【0043】
図3の(a)に示すように、補強部材20には、鋼床版10(図1参照)と対向する面の外縁に沿って、充填材40(図2の(b)参照)の漏出を防止するシール材24が貼着されている。なお、本実施形態においては、頂板部21の上面および側板部22の外側面が「鋼床版10と対向する面」に相当する。シール材24は、天然ゴム、合成ゴム(水膨張性のものを含む)などからなり、接着剤等を用いて補強部材20に接着されている。
【0044】
なお、図2の(b)に示すように、本実施形態においては、箱桁MのウェブM1と縦リブ12との間にある空間を埋めるように補強部材20’が配置されている。補強部材20’は、隣り合う縦リブ12,12間に配置される補強部材20と同様の構成を備えているが、ウェブM1に面する側の側板部22’が頂板部21の側端部からウェブM1に沿って垂直に垂れ下がっている点が異なっている。
【0045】
支持部材30は、縦リブ12,12の間に形成される溝状空間を跨ぐように配置されており、かつ、縦リブ12に固定されている。すなわち、支持部材30は、縦リブ12の長手方向と交差する方向(短手方向)に沿って配置されており、縦リブ12との交差部分において縦リブ12に保持されている。なお、本実施形態に係る支持部材30は、縦リブ12の短手方向に隣り合う複数の補強部材20,20,…を一括して支持するものであって、縦リブ12の短手方向に隣り合う複数の溝状空間を跨ぐように配置されており、かつ、複数の縦リブ12,12,…に固定されている。
【0046】
支持部材30は、図3の(a)にも示すように、縦リブ12の下面に当接する第一当接部31と、補強部材20の下面に当接する第二当接部32とを備えている。すなわち、支持部材30の上面は、縦リブ12と補強部材20とで形成された凹凸に沿うように成形されている。
【0047】
第一当接部31は、縦リブ12の下側に位置している。また、第一当接部31には、上下方向に沿って挿通孔31aが形成されている。挿通孔31aには、後記するアンカー33の突出部33bが挿通される。
【0048】
第二当接部32は、補強部材20の下側に位置していて、本実施形態では、補強部材20よりも下側にある溝状空間に入り込めるように第一当接部31よりも上側に突出している。すなわち、第二当接部32の上面は、第一当接部31よりも高い位置にある。なお、本実施形態においては、第二当接部32は、溝状空間の下半部分と略等しい外面形状に成形されており、溝状空間に嵌め込まれる(図2の(b)参照)。
【0049】
支持部材30は、補強部材20の橋軸方向(奥行方向)の端部に配置される。なお、橋軸方向に隣接する補強部材20,20の境界部分に沿って配置される支持部材30は、橋軸方向に隣接する補強部材20,20を一括して支持する。
【0050】
支持部材30の形状・寸法に特に制限はないが、本実施形態では、その橋軸方向(奥行方向)の長さ寸法dが橋軸直角方向(左右方向)の長さ寸法に比して小さくなっていて、棒状を呈している。また、支持部材30の橋軸方向の長さ寸法dは、補強部材20の橋軸方向の長さ寸法よりも小さくなっている。支持部材30の断面形状にも特に制限はなく、矩形、H形、I形、T形を呈するものを使用することができる。なお、支持部材30の内部は、密実であってもよいし、中空であってもよい。
【0051】
支持部材30の材質にも特に制限はなく、鋼製、アルミニウム合金製などのほか、繊維補強コンクリート製とすることができる。なお、支持部材30を鋼製又はアルミニウム合金製とする場合には、鋼板やアルミニウム合金板を加工して製作するか、鋳造により製作すればよい。
【0052】
支持部材30は、セメント系材料12a(図2の(b)参照)に定着されたアンカー33と、支持部材30の下側に配置される支圧部材34と、この支圧部材34をアンカー33に固定するためのナット35とを利用して、縦リブ12に固定される。
【0053】
アンカー33は、図4の(b)にも示すように、L字状に折り曲げられた異径鉄筋からなり、セメント系材料12aに埋設される埋設部33aと、縦リブ12の下面から突出する突出部33bとを備えている。埋設部33aは、上下方向に伸びる第一定着部331と、縦リブ12の長手方向(図4の(b)において左右方向)に伸びる第二定着部332とを有している。第二定着部332は、アンカー33の引抜耐力を向上させる目的で設けられたものである。なお、突出部33bには、ねじ山が螺刻されている。
【0054】
支圧部材34は、支持部材30を上側に押圧するためのものであり、アンカー33の突出部33bに取り付けられている。支圧部材34は、図3の(a)にも示すように、やや肉厚の平板状を呈していて、その中央部に挿通孔34aが形成されている。なお、支持部材30と支圧部材34をアクリル樹脂系接着剤やエポキシ系樹脂接着剤などの接着剤を介して接着してもよい。
【0055】
支圧部材34は、鋼板を利用して製作してもよいし、繊維補強コンクリートにより製作してもよい。繊維補強コンクリートを用いる場合には、例えば、硬化体の圧縮強度が150〜200N/mmの範囲にあり、曲げ引張強度が25〜45N/mmの範囲にあり、かつ、割裂引張強度が10〜25N/mmの範囲にある繊維補強コンクリートを用いることが望ましい。
【0056】
ナット35は、アンカー33の突出部33bに形成されたねじ山に螺合し、支圧部材34を支持部材30に押し付ける。
【0057】
図2の(b)に示す充填材40は、鋼床版10と補強部材20との間、より詳細には、デッキプレート11と頂板部21との間および縦リブ12の側面と側板部22との間に充填される。充填材40は、補強部材20の材質や現場の状況等に適合するものであって、鋼床版10と補強部材20の間に充填可能な程度の流動性を有するものであれば、その材質等は問わないが、例えば、鋼床版10と補強部材20との隙間が小さい場合には、アクリル系樹脂接着剤やエポキシ系樹脂接着剤などの接着剤が好適であり、隙間が大きい場合には、流動性の高いセメント系グラウト材、セメント系モルタル材、鋼繊維などの繊維が混入されたセメント系モルタル材などが好適である。なお、前記したセメント系材料に膨張性物質を混入するとよい。このようにすると、実質的に無収縮な状態を長期間に亘って維持することが可能となる。また、前記したセメント系材料に、カルシウムアルミネートやシリカ質微粉末を主体とする結合材、凝結促進剤、膨張性物質等を混入するとよい。このようにすると、材齢1〜2時間程度で実用的な強度(30〜50N/mm)を発現させることが可能となる。
【0058】
なお、縦リブ12が補強部材20の幅方向(図2の(b)においては左右方向)の「ずれ止め」として機能するので、充填材40の付着強度は、従来の充填材料が保有する程度でよく、特別に高い付着強度の材料を選定する必要はない。
【0059】
次に、床版構造Sの構築方法(すなわち、鋼床版10の補強方法)を、図5および図6を参照して説明する。
【0060】
図5の(a)に示すように、縦リブ12の下面の幅方向の中央に透孔12bを穿設し、透孔12bにアンカー33の一端側を挿入する。つまり、アンカー33の埋設部33aを縦リブ12の内部に挿入し、適宜な方法により位置決めをする。
【0061】
次に、図5の(b)に示すように、縦リブ12の内部にセメント系材料12aを充填し、セメント系材料12aを所定の強度まで硬化させる。なお、充填作業に先立って、縦リブ12の適所に注入孔となる図示せぬ透孔を穿設しておくとともに、必要に応じて、空気抜き孔となる図示せぬ透孔を穿設しておくとよい。
【0062】
セメント系材料12aが所定の強度に達したら、図6の(a)に示すように、隣り合う縦リブ12,12間に補強部材20を配置する。具体的には、デッキプレート11と隣り合う縦リブ12,12とで形成される溝状空間の上半部分に、補強部材20を挿入し、頂板部21をデッキプレート11の下面に対向させ、各側板部22を縦リブ12の側面に対向させればよい。箱桁MのウェブM1と縦リブ12との間には、補強部材20’を配置する。なお、補強部材20は、図示せぬ支保工で支持しておく。
【0063】
次に、図6の(b)に示すように、補強部材20の下側に支持部材30を配置する。本実施形態においては、補強部材20の橋軸方向の端部において、溝状空間を跨ぐように支持部材30を配置する。より詳細には、支持部材30の挿通孔31aにアンカー33の突出部33bを挿通させつつ、支持部材30の第二当接部32,32,…を縦リブ12の短手方向に隣り合う複数の溝状空間に嵌め込み、第一当接部31,31,…を縦リブ12,12,…の下側に位置させればよい。
【0064】
続いて、縦リブ12,12,…に支持部材30を固定する。具体的には、支圧部材34の挿通孔34aにアンカー33の突出部33bを挿通させつつ、支圧部材34を支持部材30の下面にあてがい、その後、支圧部材34の下側に突出したアンカー33の突出部33bにナット35を螺合して支圧部材34を支持部材30に押し付ければよい。支圧部材34を支持部材30に押し付けると、支持部材30が縦リブ12の下面と補強部材20の下面に押し付けられ、さらに、補強部材20に貼着したシール材24(図3の(a)参照)がデッキプレート11の下面等に密着し、鋼床版10と補強部材20との間に密閉された空間が形成される。
【0065】
その後、鋼床版10と補強部材20との間に形成された空間に充填材40を充填すると、鋼床版10の補強が完了する。本実施形態においては、補強部材20にシール材24が貼着されているので、鋼床版10と補強部材20との間に充填材40が確実に留まることになる。なお、充填材40の充填は、前記した空間の最も低い部分に連通する図示せぬ注入管を介して行えばよいが、より好適には、前記した空間の最も高い部分に連通する図示せぬ空気抜き管から空気を排出しながら行うのがよい。なお、前記した空間が狭小である場合には、前記した空気抜き管を真空ポンプに接続し、当該真空ポンプで前記した空間内の空気を強制的に排出しながら充填材40を充填するとよい。
【0066】
なお、図示は省略するが、支持部材30を縦リブ12に吊設した後に、補強部材20を溝状空間に配置してもよい。このようにすると、補強部材20を仮に支持する支保工が不要となる。
【0067】
以上説明した床版構造Sによれば、以下のような作用・効果を奏する。
補強部材20を支持する支持部材30を鋼床版10の縦リブ12に固定することとしたので、横桁Cや横リブ13の真上以外でも鋼床版10を補強することが可能となる。つまり、この床版構造Sによれば、横桁Cや横リブ13とは無関係に補強部材20を配置することが可能となるので、橋軸方向に連続する鋼床版10を全長に亘って補強することが可能となる。
【0068】
隣り合う縦リブ12,12間に形成される溝状空間を埋めるように補強部材20を配置したので、縦リブ12の面外方向への変位・変形が拘束されることになる。つまり、デッキプレート11に発生する変位・変形も小さくなり、その結果、縦リブ12からずれた位置に荷重が作用する場合であっても、デッキプレート11と縦リブ12との溶接部分などに疲労亀裂が発生する可能性が少なくなる。なお、本実施形態では、補強部材20を縦リブ12,12間に遊嵌しているが、鋼床版10と補強部材20との間に充填材40を介在させているので、縦リブ12の面外方向への変位・変形を確実に拘束することが可能となる。
【0069】
溝状空間の上半部分を埋めるように補強部材20を配置したので、溝状空間の全部を埋める場合に比べて、補強部材20の容積および重量が小さくなり、その結果、材料費の削減と死荷重の軽量化を図ることが可能となる。加えて、下向きに開口する箱状の補強部材20を使用しているので、死荷重の増加を抑えつつ鋼床版10の剛性を向上させることが可能となる。
【0070】
さらに、超高強度の繊維補強コンクリートで形成した補強部材20は、各部の肉厚が通常のコンクリートで形成した場合よりも小さくなるので、通常のコンクリートで形成されたものよりも軽量になる。つまり、補強部材20を繊維補強コンクリート製とすれば、死荷重の増加を抑えつつ鋼床版10の剛性を向上させることが可能となる。
【0071】
補強部材20の頂板部21と側板部22,22とが、面的な広がりを有する板状を呈しているので、この補強部材20で、デッキプレート11と縦リブ12との接合部分を縦リブ12の長手方向に沿って連続的(面的)に補強することが可能となる。
【0072】
縦リブ12内に充填されたセメント系材料12aによって縦リブ12の剛性を向上させたので、デッキプレート11に発生する変位・変形がより一層効果的に抑制されることになる。
【0073】
縦リブ12の短手方向に隣り合う複数の溝状空間を跨ぐように支持部材30を配置しているので、複数の補強部材20,20,…を一括して支持・固定することが可能となり、その結果、補強部材20の取付作業を効率よく行うことが可能となる。
【0074】
支圧部材34を用いて支持部材30を縦リブ12の下面と補強部材20の下面とに押し付けているので、鋼床版10に曲げ変形が発生した場合であっても、補強部材20と支持部材30との間に隙間が発生し難い。特に本実施形態では、支持部材30の第二当接部32を溝状空間に嵌め込んでいるので、支持部材30に横ズレが発生することもない。つまり、鋼床版10に曲げ変形が発生した場合であっても、支持部材30が補強部材20から離間することはなく、その結果、補強部材20が充填材40を介して鋼床版10に密着し、鋼床版10と補強部材20とが一体的に挙動することになる。
【0075】
セメント系材料12aに固着されたアンカー33を利用して支持部材30を縦リブ12に固定しているので、溶接を行えないような状況下であっても、支持部材30を簡単且つ確実に縦リブ12に固定することが可能となる。現場での溶接作業が不要になれば、鋼床版10に施されていた防錆塗装が損なわれることもない。なお、アンカー33の埋設部33aに、縦リブ12の長手方向に伸びる第二定着部332が設けられているので、引抜き抵抗力が非常に高い。
【0076】
また、本実施形態に係る鋼床版10の補強方法によれば、鋼床版10の隣り合う縦リブ12,12間に補強部材20を配置するとともに、補強部材20の下側に支持部材30を配置するだけで鋼床版10を補強することができる。この補強方法によれば、鋼床版10の上面でのコンクリート打設作業等が不要になるとともに、鋼床版10の下側での作業だけで、鋼床版10を補強することが可能となるので、補強工事の工期と工費を削減することが可能となり、道路橋の場合にあっては交通規制を大幅に削減することが可能となる。また、支持部材30で補強部材20を支持することとしたので、補強部材20を縦リブ12に溶接する必要がなくなる。なお、現場での溶接作業が不要になれば、補強部材20の鋼床版10に施されていた防錆塗装が損なわれることもない。
【0077】
床版構造Sの形態は、図示のものに限定されるものではなく、適宜変更しても差し支えない。
【0078】
本実施形態においては、縦リブ12が「閉断面リブ」である場合を例示したが、断面逆T字形やL字形を呈する「開断面リブ」であっても、隣り合う縦リブ間に補強部材を配置すれば、鋼床版を補強することが可能となる。
【0079】
本実施形態では、複数の補強部材20,20,…を、補強対象区間にある溝状空間の全長に亘って実質的に隙間のない状態で連設することで(図1参照)、鋼床版10を補強対象区間の全長に亘って連続的に補強したが、縦リブ12の長手方向に隣り合う補強部材20,20間に隙間を設け、鋼床版10を断続的に補強してもよい。
【0080】
本実施形態においては、補強部材20をコンクリート製としたが、鋼製やアルミニウム合金製としてもよい。この場合には、鋼板やアルミニウム合金板を加工して製作するか、鋳造により製作すればよい。鋼板を加工して製作する場合には、所定寸法の鋼板にプレス加工を施して頂板部21および側板部22,22を一体的に成形した後に、別途形成した仕切板部23を溶接により接合すればよい。
【0081】
本実施形態においては、補強部材20を構成する複数の仕切板部23,23,…を縦リブ12の長手方向(本実施形態においては橋軸方向)に間隔をあけて並設したが、仕切板部23の数は、図示のものに限定されることはなく、増減させても差し支えない。
【0082】
本実施形態では、補強部材20として、内部が中空になっている箱状のものを例示したが、この形態に限定されることはなく、例えば、側板部22の剛性が高い場合などにおいては、仕切板部23を省略して下向きに開口する溝状のものとしてもよいし、図示は省略するが、内部が密実になっているブロック状のものであっても差し支えない。
【0083】
本実施形態においては、鋼床版10と補強部材20との間に隙間を設け、この隙間に充填材40を介在させたが、これに限定されることはなく、図示は省略するが、鋼床版10と補強部材20との間に隙間を設けずに、補強部材20を隣り合う縦リブ12,12間に嵌め込んでもよい。
【0084】
本実施形態では、支持部材30を補強部材20の橋軸方向の端部に配置したが、支持部材30の設置位置を限定する趣旨ではない。例えば、図示は省略するが、支持部材30を補強部材20の中央部に配置しても差し支えない。
【0085】
本実施形態においては、溝状空間の上半部分を埋めるように補強部材20を配置した場合を例示したが、図7の(a)に示すように、溝状空間の全部を埋めるように補強部材20を配置してもよい。すなわち、補強部材20の高さ寸法を縦リブ12の高さ寸法と同一にして、補強部材20の下面と縦リブ12の下面とを面一にしてもよい。このようにすると、支持部材30の第一当接部31の上面と第二当接部32と上面とが面一となるので、材料調達が容易な既製の形材(H形鋼、I形鋼、角パイプなど)を利用して支持部材30を形成することが可能となる。
【0086】
なお、死荷重の増加を抑えるという観点からすると、補強部材20の高さ寸法を小さくすることが望ましいが、縦リブ12の高さ寸法の4分の1を下回ると、補強効果が薄れるので、望ましくは、縦リブ12の高さ寸法の4分の1以上とすることが望ましい。すなわち、少なくとも溝状空間の上から4分の1の範囲を埋めるように補強部材20を配置することが望ましい。また、補強効果を高めるという観点からすると、補強部材20の高さ寸法を大きくすることが望ましいが、縦リブ12の高さ寸法の4分の3を上回ると、死荷重が増加する虞があるので、望ましくは、縦リブ12の高さ寸法の4分の3以下とすることが望ましい。ちなみに、補強部材20の高さ寸法を縦リブ12の高さ寸法の2分の1程度に設定すると(図2の(b)参照)、高い補強効果を得つつも死荷重の増加を抑えることが可能となる。
【0087】
また、本実施形態においては、縦リブ12の内部に一種類のセメント系材料12aを充填したが、図7の(b)に示すように、性質の異なる二種類のセメント系材料12c,12dを積層して充填してもよい。
【0088】
なお、デッキプレート11の下面と縦リブ12の内面とで囲まれた空間の上側の領域に充填されるセメント系材料12cを「第一のセメント系材料12c」と称し、前記した空間の下側の領域に充填されるセメント系材料12dを「第二のセメント系材料12d」と称することとする。
【0089】
第一のセメント系材料12cは、第二のセメント系材料12dよりも弾性係数が大きくなるように配合された無収縮モルタル、普通コンクリート、繊維補強コンクリートなどからなる。
【0090】
第二のセメント系材料12dは、軽量骨材を用いたコンクリートや発泡モルタルなどからなり、第一のセメント系材料12cよりも単位体積重量が小さい。
【0091】
このように第二のセメント系材料12dの単位体積重量を第一のセメント系材料12cの単位体積重量よりも小さくしておけば、死荷重の増加を抑制しつつ鋼床版10の剛性を向上させることが可能となり、その結果、疲労亀裂の発生を抑制することが可能となる。
【0092】
縦リブ12に発生する疲労亀裂は、デッキプレート11に近接した部位に発生しやすいところ、本実施形態においては、当該部位に充填される第一のセメント系材料12cの弾性係数が、下側の領域に充填される第二のセメント系材料12dの弾性係数よりも大きくなっているので、疲労亀裂の発生し易い部位の変位・変形を効果的に抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の実施形態に係る床版構造を示す破断斜視図である。
【図2】(a)は鋼床版を示す断面図、(b)は鋼床版に付加される部材を示す断面図である。
【図3】(a)は補強部材および支持部材を示す分解斜視図、(b)は(a)に示す補強部材を裏返した状態を示す斜視図である。
【図4】(a)は図2の(b)のX−X断面図、(b)は(a)の拡大図である。
【図5】(a)および(b)は、鋼床版の補強方法の各工程を説明するための断面図である。
【図6】(a)および(b)は、図5の工程に続く工程を説明するための断面図である。
【図7】(a)および(b)は本発明の他の実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0094】
S 床版構造
10 鋼床版
11 デッキプレート
12 縦リブ
20 補強部材
21 頂板部
22 側板部
23 仕切板部
30 支持部材
33 アンカー
33a 埋設部
33b 突出部
331 第一定着部
332 第二定着部
34 支圧部材
40 充填材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デッキプレートの下面に複数条の縦リブを並設してなる鋼床版と、
隣り合う前記縦リブ間に形成される溝状空間を埋めるように配置された補強部材と、
前記補強部材を下側から支持する支持部材とを備える床版構造であって、
前記支持部材は、前記溝状空間を跨ぐように配置されており、かつ、前記縦リブに固定されていることを特徴とする床版構造。
【請求項2】
前記補強部材は、前記溝状空間の上半部分を埋めるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の床版構造。
【請求項3】
前記補強部材は、少なくとも前記溝状空間の上から4分の1の範囲を埋めるように配置されており、かつ、前記補強部材の高さ寸法が、前記縦リブの高さ寸法の4分の1から4分の3の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の床版構造。
【請求項4】
前記補強部材は、前記デッキプレートの下面に対向する頂板部と、前記頂板部の両端部に形成された一対の側板部とを備えて下向きに開口する溝状に構成されており、
前記各側板部が、前記縦リブの側面に対峙していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の床版構造。
【請求項5】
前記支持部材が、前記縦リブの短手方向に隣り合う複数の溝状空間を跨ぐように配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の床版構造。
【請求項6】
前記縦リブは、上面が開口する断面溝形の形材からなり、
前記デッキプレートの下面と前記縦リブの内面とで囲まれた空間にセメント系材料が充填されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の床版構造。
【請求項7】
前記支持部材は、前記セメント系材料に固着されたアンカーを利用して前記縦リブに固定されていることを特徴とする請求項6に記載の床版構造。
【請求項8】
デッキプレートの下面に断面溝形を呈する縦リブを複数条並設してなる鋼床版を補強する方法であって、
隣り合う前記縦リブ間に形成される溝状空間に補強部材を配置する工程と、
前記溝状空間を跨ぐように支持部材を配置する工程と、
前記支持部材を前記縦リブに固定して前記支持部材を前記補強部材の下側に当接させる工程と、を備えることを特徴とする鋼床版の補強方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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