説明

床用目地カバー装置

【課題】カバー体の上面と端部カバー板の上面との間に段差が生じないようにした床用目地カバー装置を提供する。
【解決手段】水平受板2と、該水平受板2の上部に対設された端部カバー板3間に形成された摺動空隙29に挿入されるカバー体Cの自由端部の上面高さを、地震のない常態で前記摺動空隙29に挿入されないカバー体Cの非挿入部13の上面高さに比して端部カバー板3の厚み分だけ低く設け、カバー体Cの自由端部を、その上面を端部カバー板3の下面に重ね合わせた状態で摺動空隙29に挿入することにより、カバー体Cの非挿入部13の上面と端部カバー板3の上面とが略同一高さとなるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣接する建造物の床相互間の目地を覆う床用目地カバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
緩衝機能を備えた免震装置によって下部が支持された建物からなる建造物にあっては、地震時における水平方向の揺れが大きくなる傾向がある。このような免震構造の建造物の周囲には、隣接する人工地盤からなる建造物との間に、前記揺れを吸収し得る比較的広幅の目地が形成されており、かかる免震構造の建物の目地に好適に使用し得る床用目地カバー装置が、本願出願人によって先に提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
かかる床用目地カバー装置は、図6(A)に示すように、建造物Aの床f1 と、該床f1 に目地sを介して隣接する建造物Bの床f2 との間に差し渡されて前記目地sを覆うカバー体Cの一端を、前記床f1 の側縁に連結手段aを介して傾動可能に連結し、該カバー体Cの他端部を自由端部として、該自由端部の端縁にその下面から外端上面に向けて傾斜する傾斜端縁bを設けるとともに、該傾斜端縁bの上部からカバー体Cの上面dと略面一となるようにして端部カバー板cを建造物B側に向けて突設する一方、前記建造物Bの床f2 の側縁に、水平受板部eと、該水平受板部eの外端に前記傾斜端縁bと同方向に傾斜する傾斜受板部gとを備えた摺動受枠体hを配設し、該摺動受枠体hの水平受板部e上に、前記カバー体Cの自由端部を乗載するとともに、前記端部カバー板cの外端を建造物Bの床f2 上に乗載し、該端部カバー板cによってカバー体Cの傾斜端縁bと摺動受枠体hの傾斜受板部g間に生じる空隙jの上方を遮蔽するように構成されている。
【0004】
そして、地震時において、建造物Aと、隣接する建造物Bとが近接する方向に比較的小さく相対変位した場合には、カバー体Cの自由端部が摺動受枠体hの水平受板部e上を空隙jの範囲内で水平に摺動してその相対変位に追従し、さらに大きく相対変位すると、図6(B)に示すように、カバー体Cは、一端の連結手段aを支点として、自由端部に形成された傾斜端縁bが摺動受枠体hの傾斜受板部gに沿ってずれ上がることにより、その相対変位から逃げることができるようになっている。
【0005】
ところで、かかる従来構成の床用目地カバー装置にあっては、地震により、建造物Aと、隣接する建造物Bとが近接する方向に大きく相対変位して、カバー体Cの自由端部が建造物Bの床f2 上に乗り上げた場合に、端部カバー板cが中空に突出する状態となるため(図6(B)参照)、避難時の障害となる虞があった。
【0006】
また、従来構成の床用目地カバー装置にあっては、建造物Aと建造物Bとが前後方向(目地sの長手方向)に相対変位した場合に、カバー体Cの自由端部の前後方向の移動幅に相当するスペースを自由端部の前後両側に確保しておく必要があり、カバー体Cの自由端部の前後両側に壁等の立上がり部が形成されていて前記スペースが確保できない場所には適用することができなかった。
【0007】
そこで、このような問題点を解消し得るようにした床用目地カバー装置が本願出願人によって製作されている。これは、図7に示すように、隣接する建造物A,Bの床f1 ,f2 相互間の目地sに差し渡されて該目地sを覆うカバー体Cの一端を、一方の床f1 の側縁に保持手段kを介して少なくとも目地sの幅方向に移動不能に保持し、該カバー体Cの他端部を自由端部とする一方、他方の床f2 の側縁に、水平受板mと、該水平受板mの上部に対設され、かつ該水平受板mの外端に一端縁が連結された端部カバー板nとを備えた摺動受枠体pを配設し、該端部カバー板nと水平受板m間に形成された摺動空隙rにカバー体Cの自由端部を摺動可能に挿入するようにしている。
【0008】
また、前記保持手段kは、カバー体Cの一端に配設されたスライダーtと、一方の建造物Aの床f1 の側縁に配設されて、前記スライダーtを目地sの長手方向に摺動可能に支持するレール部材uとによって構成されており(特許文献2参照)、地震時に、隣接する建造物A,Bの床f1 ,f2 相互が前後方向(目地sの長手方向)に相対変位すると、レール部材uに支持されたスライダーtの摺動作用を介して、カバー体Cの一端が一方の床f1 の側縁に沿って前後方向に摺動して、その相対変位に追従するようになっている。これにより、カバー体Cの自由端部の前後両側に壁等の立上がり部が形成されている場所に適用し得るものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−317516号公報
【特許文献2】特開2004−27638号公報(図10)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上記のように端部カバー板nと水平受板m間に形成された摺動空隙rにカバー体Cの自由端部を摺動可能に挿入するようにした従来の床用目地カバー装置にあっては、カバー体Cの上面が全面に亘って平らに形成されており、該カバー体Cの上面に厚さ9mm程度の比較的厚みのある端部カバー板nの端縁が乗載されているため、カバー体Cの上面と端部カバー板nの上面との間に段差ができてしまい、見た目が悪いという問題点があった。
【0011】
本発明は、かかる従来構成の問題点を解消するためになされたものであって、カバー体の上面と端部カバー板の上面との間に段差が生じないようにした床用目地カバー装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、隣接する建造物の床相互間の目地に差し渡されて該目地を覆うカバー体の一端を、一方の床の側縁に保持手段を介して少なくとも目地幅方向に移動不能に保持し、該カバー体の他端部を自由端部とする一方、他方の床の側縁に、水平受板と、該水平受板の上部に対設されて該水平受板の外端に一端縁が連結された端部カバー板とを備え、該端部カバー板と水平受板間をカバー体の自由端部が摺動可能に挿入される摺動空隙とする摺動受枠体が配設された床用目地カバー装置において、前記摺動空隙に挿入されるカバー体の自由端部の上面高さが、地震のない常態で前記摺動空隙に挿入されないカバー体の非挿入部の上面高さに比して端部カバー板の厚み分だけ低く設けられ、カバー体の自由端部が、その上面を端部カバー板の下面に重ね合わせた状態で摺動空隙に挿入されて、カバー体の非挿入部の上面と端部カバー板の上面とが略同一高さに設けられていることを特徴とする床用目地カバー装置である。
【0013】
上記床用目地カバー装置にあって、端部カバー板の上面に化粧シートが被着されるとともに、該端部カバー板の端縁上面に前記化粧シートの端縁を見切り、かつ先端部がカバー体の非挿入部の上面に乗載される遮蔽板が配設される一方、カバー体の非挿入部の上面に化粧シートが被着されるとともに、該化粧シートの端縁を見切る見切り板が前記遮蔽板に対向させてカバー体の非挿入部の上面に配設され、該見切り板の上方からカバー体に螺合される複数の螺子による固定によって見切り板の配設位置が調節可能に設けられている構成が提案される。
【0014】
ここで、見切り板を固定する螺子には、回転によってカバー体にネジを切りながらねじ込まれるタッピングビスが好適に用いられ得る。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、上述したように、端部カバー板と水平受板間の摺動空隙に挿入されるカバー体の自由端部の上面高さが、地震のない常態で前記摺動空隙に挿入されないカバー体の非挿入部の上面高さに比して端部カバー板の厚み分だけ低く設けられ、カバー体の自由端部が、その上面を端部カバー板の下面に重ね合わせた状態で摺動空隙に挿入されて、カバー体の非挿入部の上面と端部カバー板の上面とが略同一高さに設けられていることにより、カバー体の上面と端部カバー板の上面との間に段差が生じることがなく、これによって外的美観を向上させることができる。
【0016】
また、端部カバー板の上面に化粧シートが被着されるとともに、該端部カバー板の端縁上面に前記化粧シートの端縁を見切り、かつ先端部がカバー体の非挿入部の上面に乗載される遮蔽板が配設される一方、カバー体の非挿入部の上面に化粧シートが被着されるとともに、該化粧シートの端縁を見切る見切り板が前記遮蔽板に対向させてカバー体の非挿入部の上面に配設され、該見切り板の上方からカバー体に螺合される複数の螺子による固定によって見切り板の配設位置が調節可能に設けられている構成にあっては、地震が終わった後に、見切り板と遮蔽板の相互間隔が施工時に設定された間隔に比して変化して、見切り板に遮蔽板が乗り上げた状態となったり、逆に見切り板と遮蔽板の間隔が広がり過ぎた状態となった場合に、螺子を取り外して見切り板を移動させ、再度螺子で見切り板を固定することにより、見切り板と遮蔽板の相互間隔を適正間隔に戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明にかかる床用目地カバー装置の施工状態を示す側断面図である。
【図2】同上の床用目地カバー装置の施工状態を示す平面図である。
【図3】水平受板2の外端と端部カバー板3との連結部分、及びカバー天板8の傾斜部12部分を示す一部切欠拡大側断面図である。
【図4】見切り板15に遮蔽板14が乗り上げた状態となった場合における見切り板15と遮蔽板14の相互間隔を適正間隔に戻す手順を示す説明図である。
【図5】見切り板15と遮蔽板14の間隔が広がり過ぎた状態となった場合における見切り板15と遮蔽板14の相互間隔を適正間隔に戻す手順を示す説明図である。
【図6】(A)は従来構成の概略側断面図、(B)はその作用説明図である。
【図7】他の従来構成の施工状態を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の一実施例を、図1〜図5に基づいて説明する。
図面において、Aは緩衝機能を備えた免震装置(図示省略)によって下部が支持された免震構造の建物からなる建造物、Bは該建造物Aの周囲に形成された人工地盤からなる建造物であって、目地sを介して隣接している。目地sは、建造物Aの周囲に沿って所定幅で形成され、地震時における建造物Aと周囲の建造物Bとの水平方向の相対的な揺れを吸収し得るようになっている。
【0019】
前記建造物Bの床f2 の側縁には、図1〜図3において左右方向(目地sの幅方向)に比較的長い鋼板からなる水平受板2と、該水平受板2の上部を覆う鋼板からなる端部カバー板3とを備えた摺動受枠体1が配設されている。水平受板2と端部カバー板3は、後述するカバー体Cの自由端部の厚みに略一致する間隔で上下に対設されており、該水平受板2と端部カバー板3間に生じる空隙をカバー体Cの自由端部が摺動可能に挿入される摺動空隙29としている。また、端部カバー板3の後端は、図3に示すように、水平受板2の後端に設けられた立ち上がり支持縁2aに螺子4で連結されている。端部カバー板3は、比較的厚みが薄い鋼板(厚さ3.2〜4.5mm程度のもの)が用いられており、後端が螺子4で傾動不能に連結されていても前端側が塑性変形を生じない範囲で弾性変形によって面方向に湾曲し得るものとなっている。また、端部カバー板3は、建造物Bの床f2 と同一高さとなるように配設されており、該端部カバー板3の上面には、建造物Aの床f1 及び建造物Bの床f2 上に貼設される合成樹脂製の化粧シート5aと同じ化粧シート5bが被着されている。また、摺動受枠体1は、図2に示すように、カバー体Cを配置した状態において、目地sの長手方向に沿うカバー体Cの前後幅に対応する所定の幅で形成されている。
【0020】
建造物Aの床f1 と建造物Bの床f2 の間には、カバー体Cが差し渡され、目地sを覆っている。該カバー体Cは、図1に示すように、その一端の下部が建造物Aの床f1 の側縁に保持手段6を介して目地sの幅方向に移動不能に保持され、他端部を自由端部としており、該自由端部が前記摺動受枠体1の摺動空隙29内に挿入された状態で水平受板2上に摺動可能に乗載されている。また、該自由端部には端部カバー板3の前端縁が載置されている(図3参照)。ここで、建造物Bの床f2 の側縁には、図2に示すように、カバー体Cの前後方向(目地sの長手方向)の側傍に建造物Bを構成する壁等の立ち上がり部7,7が形成されており、該立ち上がり部7,7がカバー体Cの側縁に夫々当接することによって、カバー体Cの自由端部が前後方向(目地sの長手方向)に移動不能に位置規制されている。これにより、カバー体Cの自由端部は建造物B側において左右方向(目地sの幅方向)にのみ摺動し得るようになっている。
【0021】
前記保持手段6は、カバー体Cの一端の下部に配設された角パイプからなるスライダー16と、建造物Aの床f1 の側縁に配設されて前記スライダー16を前後方向(目地sの長手方向)に摺動可能に支持する断面略L形のレール部材17とによって構成されており、該レール部材17の前部立ち上がり縁がスライダー16に当接することによって該スライダー16の脱落を防止するようにしている。そして、地震時に、隣接する建造物A,Bの床f1 ,f2 相互が前後方向(目地sの長手方向)に相対変位すると、レール部材17に支持されたスライダー16の摺動作用を介して、カバー体Cの一端が一方の床f1 の側縁に沿って前後方向に摺動して、その相対変位に追従するようになっている。
【0022】
また、摺動受枠体1の摺動空隙29内には伸縮可能に構成された複数の伸縮性支持杆28が配設されており、該伸縮性支持杆28によって端部カバー板3を下方から支持するようにしている。各伸縮性支持杆28の一端はカバー体Cの先端に連結され、他端は水平受板2の立ち上がり支持縁2aに連結されており、これによってカバー体Cの左右方向(目地sの幅方向)の摺動に伴って各伸縮性支持杆28が伸縮するようになっている。
【0023】
カバー体Cの自由端部は、地震のない常態において、図1に示すように、前記水平受板2の長さの目地s側から略半分程度の位置まで水平受板2上に乗載されている。これにより、地震時に、建造物Aと建造物Bとが離近する方向に相対変位すると、カバー体Cの自由端部が水平受板2上を左右方向(目地sの幅方向)に摺動してその相対変位に追従し得るようになっている。
【0024】
次に、本発明の要部について説明する。
前記カバー体Cは、矩形状のカバー天板8と該カバー天板8の下面に接合された複数の補強杆9とによって構成されている。各補強杆9は、図3に示すように、夫々底板部10と該底板部10の幅方向両側縁から上方に立ち上げられた一対の側板部11とによって断面コ字形に形成されており、該側板部11の上端縁がカバー天板8の下面に溶接を介して接合されて、カバー天板8の前後方向(目地sの長手方向)に所定間隔で配設されている。ここで、図3に示すように、摺動受枠体1の水平受板2に乗載されるカバー体Cの自由端部に対応する各補強杆9の側板部11の上端縁は、上述した端部カバー板3の厚み分だけ低くなるように切除されており、該側板部11の上端縁が接合されるカバー天板8には側板部11の上端縁の高位側から低位側へ傾斜する傾斜部12が形成されている。そして、該傾斜部12を介して低くなる低位側のカバー天板8を端部カバー板3の下部に重ね合わせて摺動空隙29に挿入することにより、端部カバー板3の上面とカバー天板8の非重ね合わせ部8aの上面とが同一高さとなるようにしている。これにより、摺動空隙29に挿入されるカバー体Cの自由端部の上面高さが、地震のない常態で前記摺動空隙29に挿入されないカバー体Cの非挿入部13(カバー天板8の非重ね合わせ部8a)の上面高さに比して端部カバー板3の厚み分だけ低く設けられ、カバー体Cの自由端部が、その上面を端部カバー板3の下面に重ね合わせた状態で摺動空隙29に挿入されて、カバー体Cの非挿入部13の上面と端部カバー板3の上面とが略同一高さに設けられている。
【0025】
また、化粧シート5bが被着された端部カバー板3の、その端縁上面には、図3に示すように、化粧シート5bの端縁の見切り材を兼ねた遮蔽板14が配設されている。該遮蔽板14は、化粧シート5bと略同一厚みで帯状に形成された鋼板からなり、その後端が端部カバー板3に溶接を介して接合されている。該遮蔽板14は端部カバー板3からカバー体Cの非挿入部13側に向けて突出され、傾斜部12の上方を遮蔽する状態でその先端部がカバー体Cの非挿入部13の上面に乗載されている。
【0026】
一方、カバー体Cの非挿入部13の上面には、端部カバー板3の上面に被着される化粧シート5bと同じ化粧シート5cが被着されている。該化粧シート5cの、前記遮蔽板14側の端縁には該端縁を見切る見切り板15が前記遮蔽板14に対向させてカバー体Cの非挿入部13の上面に配設されている。該見切り板15は、化粧シート5cと略同一厚みで帯状に形成された鋼板からなり、見切り板15の上方からカバー体Cのカバー天板8に螺合される複数の螺子18による固定によってその配設位置が調節可能に設けられている。ここで、各螺子18は回転によってカバー天板8にネジを切りながらねじ込まれるタッピングビスが用いられており、任意の位置に見切り板15を固定し得るようになっている。
【0027】
また、前記遮蔽板14の先端部の端縁には下面から外端に向けて昇り勾配で傾斜する傾斜面19(図4参照)が形成されており、該遮蔽板14に対向する見切り板15の端縁には遮蔽板14の傾斜面19と同方向に傾斜する傾斜面20(図4参照)が形成されている。そして、この両傾斜面19,20により、地震時に隣接する建造物A,Bが近接する方向に相対変位した場合に、遮蔽板14が見切り板15上に容易に乗り上げることができるようになっている。
【0028】
かかる構成にあって、端部カバー板3と水平受板2間の摺動空隙29に挿入されるカバー体Cの自由端部の上面高さが、地震のない常態で前記摺動空隙29に挿入されないカバー体Cの非挿入部13の上面高さに比して端部カバー板3の厚み分だけ低く設けられ、カバー体Cの自由端部が、その上面を端部カバー板3の下面に重ね合わせた状態で摺動空隙29に挿入されて、カバー体Cの非挿入部13の上面と端部カバー板3の上面とが略同一高さに設けられていることにより、カバー体Cの上面と端部カバー板3の上面との間に段差が生じることがなく、これによって外的美観を向上させることができる。
【0029】
一方、地震発生によって、建造物Aと建造物Bとが離近する方向に相対変位すると、カバー体Cの自由端部が水平受板2上を左右方向(目地sの幅方向)に摺動してその相対変位に追従するが、免震装置(図示省略)によって下部が支持された免震構造の建造物Aにあっては、地震が終わった後に、建造物Aが必ずしも地震発生前の位置に戻るとは限らず、左右方向(目地sの幅方向)に数ミリ乃至十数ミリ程度ずれた状態となることもある。ここで、見切り板15が、上方からカバー体Cに螺合される複数の螺子18による固定によって配設位置が調節可能に設けられていることにより、地震が終わった後に、見切り板15と遮蔽板14の相互間隔が施工時に設定された間隔に比して変化して、図4(A)に示すように、見切り板15に遮蔽板14が乗り上げた状態となった場合には、図4(B)に示すように、各螺子18を外して見切り板15を取り外し、見切り板15を後退させる距離に対応する幅だけ化粧シート5cを切除した後、再度螺子18で見切り板15をカバー体Cの非挿入部13に固定することにより、図4(C)に示すように、見切り板15と遮蔽板14の相互間隔を適正間隔に戻すことができる。また逆に、図5(A)に示すように、見切り板15と遮蔽板14の間隔が広がり過ぎた状態となった場合には、図5(B)に示すように、各螺子18を外して見切り板15を取り外し、該見切り板15を遮蔽板14側へ所定幅に亘って移動させた後、再度螺子18で見切り板15をカバー体Cの非挿入部13に固定することにより、図5(C)に示すように、見切り板15と遮蔽板14の相互間隔を適正間隔に戻すことができる。尚、見切り板15を移動させることにより該見切り板15と化粧シート5cの端縁との間に生じた隙間は、コーキング材や帯状に成形した化粧シートからなる補修材21を用いて補修が施される。
【符号の説明】
【0030】
A 建造物
B 建造物
C カバー体
f1,f2 床
s 目地
1 摺動受枠体
2 水平受板
3 端部カバー板
5b 化粧シート
5c 化粧シート
6 保持手段
13 非挿入部
14 遮蔽板
15 見切り板
18 螺子
29 摺動空隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する建造物の床相互間の目地に差し渡されて該目地を覆うカバー体の一端を、一方の床の側縁に保持手段を介して少なくとも目地幅方向に移動不能に保持し、該カバー体の他端部を自由端部とする一方、他方の床の側縁に、水平受板と、該水平受板の上部に対設されて該水平受板の外端に一端縁が連結された端部カバー板とを備え、該端部カバー板と水平受板間をカバー体の自由端部が摺動可能に挿入される摺動空隙とする摺動受枠体が配設された床用目地カバー装置において、
前記摺動空隙に挿入されるカバー体の自由端部の上面高さが、地震のない常態で前記摺動空隙に挿入されないカバー体の非挿入部の上面高さに比して端部カバー板の厚み分だけ低く設けられ、カバー体の自由端部が、その上面を端部カバー板の下面に重ね合わせた状態で摺動空隙に挿入されて、カバー体の非挿入部の上面と端部カバー板の上面とが略同一高さに設けられていることを特徴とする床用目地カバー装置。
【請求項2】
端部カバー板の上面に化粧シートが被着されるとともに、該端部カバー板の端縁上面に前記化粧シートの端縁を見切り、かつ先端部がカバー体の非挿入部の上面に乗載される遮蔽板が配設される一方、カバー体の非挿入部の上面に化粧シートが被着されるとともに、該化粧シートの端縁を見切る見切り板が前記遮蔽板に対向させてカバー体の非挿入部の上面に配設され、該見切り板の上方からカバー体に螺合される複数の螺子による固定によって見切り板の配設位置が調節可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の床用目地カバー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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