底部から注ぐことができる飲用容器及びそれに飲料を分配する装置
【課題】飲料容器をその底部から注ぐための方法、それに適した飲用容器、及び従来技術の問題を解決する装置を提供する。
【解決手段】底部(２)と壁部(３)を有し、底部と壁部とから飲料を収容する空間(４)を形成した飲料容器(１)に関する。該飲料容器は、飲料で空間を満たすための、底部近傍に備えられた密封可能な開口部(５)を有する。好ましい態様では、開口部は容器の底部に備えられている。一つの態様では、非戻り弁が前記開口部に配備されている。該弁は飲料を開口部を通じて容器に分配するが、飲料が開口部を通じて容器から漏れるのを防止する。本発明はまた飲料を分配するための方法及び装置に関する。
【解決手段】底部(２)と壁部(３)を有し、底部と壁部とから飲料を収容する空間(４)を形成した飲料容器(１)に関する。該飲料容器は、飲料で空間を満たすための、底部近傍に備えられた密封可能な開口部(５)を有する。好ましい態様では、開口部は容器の底部に備えられている。一つの態様では、非戻り弁が前記開口部に配備されている。該弁は飲料を開口部を通じて容器に分配するが、飲料が開口部を通じて容器から漏れるのを防止する。本発明はまた飲料を分配するための方法及び装置に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は飲用容器、特にビール用グラス(glasses for beer)に関する。
【背景技術】
【０００２】
一般的に、飲料は容器の口に飲料を注ぐことにより簡単に飲用容器に分配(dispense)される。生ビールは、例えば、ビール蛇口（beer tap）からビールグラスの口に直接的に分配されるのが一般的である。
【０００３】
殆どのビールは二酸化炭素により炭酸化されている。ビールに溶解している二酸化炭素はビールを発泡性にしている。ビールがビール蛇口から注がれる場合、注ぐことによる撹拌及びビールが蛇口から落ちるときにグラスの底部にあたるビールの流れによって造られる乱流によって、二酸化炭素の一部が溶液を泡立たせ、ビール用グラス上に泡を形成せしめる。しかしながら、ビールを注ぐことに特に熟練していない人が分配する場合、ビールの上部表面に過剰の泡が形成される。このことは、炭酸ガスを含む清涼飲料（soft drinks）を注ぐときにも生ずる。
【０００４】
スタウト（stouts）などの他のビールは、より少ない二酸化炭素しか含んでいないので、炭酸化されたラガービール（lager beers）より低発泡性である。しかしながら、それらのビールは、いったん注いだならば、注いでいる間に造られる乱流を静めてビール上になめらかな泡を形成せしめるための沈静時間（settling time）を必要とする。
【０００５】
そのため、ビールのような飲料は、分配している間の飲料中に造られる乱流及び攪乱を減らし、飲料の適切な分配が容易になされ、そして必要とされる沈静時間を減らせるような方法で分配されることが望まれる。
【０００６】
特許文献１には、ビール用グラス中に差し込まれ、ビールをグラスの底部近くに分配するためのビール分配器用のノズルが開示されている。このノズルは、バネの圧力に抗してグラスの底部を上方向に押すことによってノズルの開口部を開けるように作動する。
【０００７】
特許文献２は、グラスの底部でビールを分配する方法に関するものであり、グラスの底部に達するようにされた分配ノズルが開示されている。
【０００８】
特許文献３は、使用の際に飲料が分配されるグラスの底部に達する長い水路の噴出口を持つ飲料分配器に関するものである。飲料は噴出口の端部がガラスの底部に対して押されたときに分配される。
【０００９】
上記のような装置が有する１つの問題は、ノズルをグラス中に差し込んでノズルをグラスの底部に達するようにしなければならないことである。従って、ノズルはグラスのビールの中に浸される。次のビールグラスに分配するときには、ノズルは、それをおおう気の抜けたビールと一緒に、新たなグラスに差し込まれ、不衛生であるかもしれない。
【００１０】
【特許文献１】英国特許Ｎｏ．ＧＢ２３５３７８５号
【特許文献２】英国特許Ｎｏ．ＧＢ２１７８００３号
【特許文献３】英国特許Ｎｏ．ＧＢ２３２２６９１号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１１】
本発明の目的は、飲料容器を底部で注ぐための新規な方法、及びその使用に適した飲用容器を提供することにある。更なる本発明の目的は、従来技術に関連する問題を解決する装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
本発明によれば、底部と該底部から伸びる少なくとも１つの壁部を有し、上記底部と壁部とから飲料を収容するための空間を形成する飲料容器であって、飲料で上記空間を満たすための密封可能な開口部を上記底部の近傍に備えていることを特徴とする飲料容器が提供される。
【００１３】
密封可能な開口部は容器の底部に設けるのが好ましい。あるいはまた、この開口部は底部近くの容器の壁部に設けてもよい。
【００１４】
本発明の装置の利点は、従来の方法にように容器の口を通じて飲料を注ぐのではなく、底部にある開口部を通じて容器が満たされることにある。この方法によって容器を底部で満たす場合には、飲料を容器に分配する際に飲料中に生ずる乱流を抑える。これは、ビールや発泡性の清涼飲料のような炭酸飲料を分配する場合、飲料の上部で過剰な泡が造られることを防止するので極めて有利である。従って、飲料を従来の装置より速く分配することができる。また、飲料を注ぐ際に飲料中に形成される大量の泡のために容器をオーバーフローする危険性が減らせる。スタウトなどの沈静時間を必要とするビールに用いる場合、本発明の飲用容器は必要とする沈静時間を減らせる。本発明によれば、適切な大きさの飲用容器中に１パイントのスタウトを分配する場合、飲料を用意するのに要する全時間は、沈静時間を含めて約１分に減少される。飲料は通常の方法でユーザーにより容器の口から消費される。
【００１５】
本発明の好ましい態様においては、飲用容器は前記開口部に備えられた非戻り弁又は方向弁(non−return or directional valve)を有するものであり、該弁は飲料を開口部を通じて容器に分配するが、飲料が開口部を通じて容器から漏れるのを防止する。
【００１６】
好ましくは、上記非戻り弁はシリコン薄膜を有するタイプのものである。
【００１７】
上記弁の強度は、容器が満杯であるときに容器の中の液体によって及ぼされる圧力に対して確実に耐えることができる強度でよい。例えば、容器が１パイント用グラスの場合、弁は少なくとも１パイント（0.568リットル）の液体によって及ぼされる圧力に耐えることができるのが理想的である。好ましくは、上記の弁は、容器が満杯である場合に容器中の液体によって及ぼされるよりも大きい圧力に耐えられるのが好ましい。
【００１８】
本発明の装置の１つの利点は、飲料が開口部及び非戻り弁を通じて分配された場合、開口部が自動的に又は自己密封されることである。上記の弁は、一方向のみ、すなわち、容器中への液の流れを許すものであり、それによって飲料が消費されている間に容器からの漏れを防止するものである。
本発明の装置のさらなる利点は、容器中に差し込まれる長い噴出し口又はノズルを必要とする前記した装置の場合に比べて、既に分配された飲料により生じる衛生状態が改良されることにある。ノズルを容器中に飲料を分配するために用いる場合、薄膜が、ノズルを容器の底部に差し込まれる際にノズルを拭う効果を有する。また、本発明は容器に差し込むノズルを必要とすることなしに、飲料を容器に分配できる。飲用噴水(a drinking fountain)の方法により上方向に加圧された飲料の流れが設けられる。この流れの圧力だけで弁を開くようにして、容器に入れる吹出し口又はノズルなしに飲料を容器に分配し得るようにする。
【００１９】
一つの態様において、飲用容器はビール用グラスである。この容器は合成樹脂材料で造ることができる。
【００２０】
本発明の容器の少なくとも１つの壁部は実質的に剛体であるのが好ましい。容器の底部もまた剛体であってよい。これは容器の壁部が両方向から強く押された場合に液が弁を通じて放出されるのを防止する。このことは、底部の弁を通じて容器から液が誤って出てしまう恐れのない通常のグラスと同じように、ユーザーは容器をしっかり握ることができる。
【００２１】
本発明の２番目の側面によれば、加圧された飲料貯槽(beverage supply)に接続可能な入口部；飲料を分配するために配置された少なくとも１つの出口部；及び前記入口部と前記出口部の間に飲料のための流体通路として形成された導管手段(conduit means)；を有する飲料を分配するための装置(apparatus)であって、飲料を前記導管手段を経て前記入口部から前記出口部を圧力下に通過せしめ、飲料を前記出口部で実質的に上方向に分配されるように操作されることを特徴とする装置が提供される。
【００２２】
上記した装置は、本発明の飲用容器と一緒に用いることができる。飲用容器は、飲料が飲用容器の底部の密封可能な開口部を通じて分配されるように、出口部上に置かれる。
【００２３】
一つの態様においては、本装置は幾つかの飲用容器を同時に充填するための複数の出口部を有する。
【００２４】
また、一つの態様においては、一つ又は複数の出口部は、飲用容器の底部に設けられた開口部と係合することができる。本発明の装置は、前記出口部と連結されるノズルを有し、これを飲用容器に挿入して底部の密封可能な開口部を通じて容器に飲料を分配するようにすることができる。各々のノズルは少なくとも１つの分配を行う開口部に備えられてよい。各々のノズルは、飲料がノズルから実質的に上方向で、かつノズルの外方向に分配されるように、その周囲に配列された複数の分配開口部を備えるのが好ましい。
【００２５】
また、飲用噴水と同様に、飲料の上方向に加圧された流れは一つ又は複数の出口部で分配することができる。飲用容器が開口部に配置された非戻り弁を備えている場合、飲料の流れの圧力は弁を開きそして容器に飲料を分配するのに十分な大きさにされる。
【００２６】
飲料が分配される容器が空である場合、本発明の装置は飲料を最初に相対的にゆっくりとした速度で分配するように作動される。本発明の装置はまた、飲料が容器中で予め設定した量に達したならば、分配速度を大きくするように作動することもできる。
【００２７】
本発明の装置は、自動的に飲料を分配するための自動稼動手段(automatic activation means)を有してもよい。自動稼動手段は、磁気カードを読み取り、そして磁気カードに含まれる情報通りに飲料を分配するために配置されたカードリーダーを有してもよい。また、自動稼動手段は、遠隔操作装置(a remote control device)からの信号を受け、そして受けた信号どおりに飲料を分配するために配置された受信機を有してもよい。
【００２８】
本発明はまた、容器の底部に密封可能な開口部を持つ飲用容器を用意するステップ、及び底部にある密封可能な開口部を通じて容器中に飲料を分配するステップを有する、ことを特徴とする飲料を分配するための方法にも関するものである。
【００２９】
一つの態様において、本発明の上記の方法は、容器の底部の開口部を密封するステップを有する。しかしながら、好ましい態様では、飲用容器は上記したように開口部に配置された非戻り弁を有し、そのために、該開口部は飲料が分配された後、該弁によって自動的に密封される
【００３０】
本発明の方法は、さらに、上記した装置の出口部に飲用容器を配置し、そして実質的に容器中に上方向に飲料を分配するように装置を作動するステップを有する。飲料容器を配置するステップは、飲料容器の底部の開口部を、例えば、開口部にノズルを挿入することにより、装置の出口部に係合させることを含んでもよい。
【００３１】
図１〜図３は、底部２と実質的に円筒状の壁部３を有する飲用容器１を図解したものである。底部２と壁部３とが一緒になって飲料を受け入れるための空間４を形成する。容器１はまた、飲料で空間４を満たすために底部２に備えられた密封可能な開口部５を有する。
【００３２】
容器１は、さらに、開口部５に配置された非戻り弁６を有する。弁６は飲料が開口部５を通じて空間４に分配されるが、飲料が開口部を通じて容器から漏れることを防止する。例示された態様では、非戻り弁は、そこに設けられたスリット(slit)を有するシリコン薄膜を有するタイプのものである。使用の際は、飲料が底部２にある密封可能な開口部５を通じて容器に分配される。開口部は飲料が容器に分配された後で弁６によって自動的に密封される。
【００３３】
図４及び図５について述べると、飲料を分配するための装置８は加圧された飲料貯槽１０に接続可能な入口部９を有する。装置８は、また、装置の上面で飲料を分配するために配置された複数の出口部１１を有する。該装置は、装置の上面１５が実質的にバーカウンターの面(the bar surface)と同じ高さのバーカウンター(a bar counter)に組み入れてもよい。
【００３４】
例示された態様において、各出口部１１は、飲用容器の底部に設けられた開口部と係合しうるノズル１4を有する。導管手段１２を入口部９と出口部１１との間に設けてこの両者間における飲料の流路を形成する。該装置は、飲料が圧力下に導管手段１２を通じて入口部９から出口部１１に通るように作動され、それにより、飲料の流れを各ノズル１４から実質的に上方向に分配するようにされる。ノズルは個々に又は同時に操作してもよい。
【００３５】
使用する場合、図１〜図３により上記に説明したように、飲用容器１を装置８の出口部１１の位置に据え、ノズル１４の一つが該容器の底部の密封可能な開口部５を通じて差し込まれるようにせしめる。次いで、該装置は、飲料を実質的に上方向に容器中に分配するように作動される。
【００３６】
別の態様においては、ノズルを備えず、ポンプ手段によって、飲用噴水と同様に、上方向に加圧された飲料の流れを各出口部１１で分配するようにすることができる。飲料の流れ圧力を飲用容器の底部の弁６を開くように大きくし、ノズルを容器に差し込むことなしに容器に飲料を分配できる。
【００３７】
本発明において、「からなる/含む」の用語、及び「有する/備える」の用語は、記載された特徴(features)、インテヂャー(integers)、ステップ(steps)、又は要素(components)の存在を示すために使用されており、１つ又はそれ以上の他の特徴、整数、ステップ、要素、又はそれらの組合わせが存在したり、また追加したりすることを排除するものではない。
【００３８】
また、本発明の複数の特徴は、理解を容易にするために別々の態様において説明されているが、これらの特徴は、一つの態様において組み合わせて設けられていてもよい。逆に、簡潔にするために一つの態様で説明されている本発明の種々の特徴は、別々に又はそれらを適宜組合わせて設けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【００３９】
【図１】本発明の一態様である飲用容器の斜視図である。
【図２】図１の飲用容器の立面図である。
【図３】図１の飲用容器の平面図である。
【図４】本発明の一態様である装置の立面図である。
【図５】図４の装置の平面図である。
【技術分野】
【０００１】
本発明は飲用容器、特にビール用グラス(glasses for beer)に関する。
【背景技術】
【０００２】
一般的に、飲料は容器の口に飲料を注ぐことにより簡単に飲用容器に分配(dispense)される。生ビールは、例えば、ビール蛇口（beer tap）からビールグラスの口に直接的に分配されるのが一般的である。
【０００３】
殆どのビールは二酸化炭素により炭酸化されている。ビールに溶解している二酸化炭素はビールを発泡性にしている。ビールがビール蛇口から注がれる場合、注ぐことによる撹拌及びビールが蛇口から落ちるときにグラスの底部にあたるビールの流れによって造られる乱流によって、二酸化炭素の一部が溶液を泡立たせ、ビール用グラス上に泡を形成せしめる。しかしながら、ビールを注ぐことに特に熟練していない人が分配する場合、ビールの上部表面に過剰の泡が形成される。このことは、炭酸ガスを含む清涼飲料（soft drinks）を注ぐときにも生ずる。
【０００４】
スタウト（stouts）などの他のビールは、より少ない二酸化炭素しか含んでいないので、炭酸化されたラガービール（lager beers）より低発泡性である。しかしながら、それらのビールは、いったん注いだならば、注いでいる間に造られる乱流を静めてビール上になめらかな泡を形成せしめるための沈静時間（settling time）を必要とする。
【０００５】
そのため、ビールのような飲料は、分配している間の飲料中に造られる乱流及び攪乱を減らし、飲料の適切な分配が容易になされ、そして必要とされる沈静時間を減らせるような方法で分配されることが望まれる。
【０００６】
特許文献１には、ビール用グラス中に差し込まれ、ビールをグラスの底部近くに分配するためのビール分配器用のノズルが開示されている。このノズルは、バネの圧力に抗してグラスの底部を上方向に押すことによってノズルの開口部を開けるように作動する。
【０００７】
特許文献２は、グラスの底部でビールを分配する方法に関するものであり、グラスの底部に達するようにされた分配ノズルが開示されている。
【０００８】
特許文献３は、使用の際に飲料が分配されるグラスの底部に達する長い水路の噴出口を持つ飲料分配器に関するものである。飲料は噴出口の端部がガラスの底部に対して押されたときに分配される。
【０００９】
上記のような装置が有する１つの問題は、ノズルをグラス中に差し込んでノズルをグラスの底部に達するようにしなければならないことである。従って、ノズルはグラスのビールの中に浸される。次のビールグラスに分配するときには、ノズルは、それをおおう気の抜けたビールと一緒に、新たなグラスに差し込まれ、不衛生であるかもしれない。
【００１０】
【特許文献１】英国特許Ｎｏ．ＧＢ２３５３７８５号
【特許文献２】英国特許Ｎｏ．ＧＢ２１７８００３号
【特許文献３】英国特許Ｎｏ．ＧＢ２３２２６９１号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１１】
本発明の目的は、飲料容器を底部で注ぐための新規な方法、及びその使用に適した飲用容器を提供することにある。更なる本発明の目的は、従来技術に関連する問題を解決する装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
本発明によれば、底部と該底部から伸びる少なくとも１つの壁部を有し、上記底部と壁部とから飲料を収容するための空間を形成する飲料容器であって、飲料で上記空間を満たすための密封可能な開口部を上記底部の近傍に備えていることを特徴とする飲料容器が提供される。
【００１３】
密封可能な開口部は容器の底部に設けるのが好ましい。あるいはまた、この開口部は底部近くの容器の壁部に設けてもよい。
【００１４】
本発明の装置の利点は、従来の方法にように容器の口を通じて飲料を注ぐのではなく、底部にある開口部を通じて容器が満たされることにある。この方法によって容器を底部で満たす場合には、飲料を容器に分配する際に飲料中に生ずる乱流を抑える。これは、ビールや発泡性の清涼飲料のような炭酸飲料を分配する場合、飲料の上部で過剰な泡が造られることを防止するので極めて有利である。従って、飲料を従来の装置より速く分配することができる。また、飲料を注ぐ際に飲料中に形成される大量の泡のために容器をオーバーフローする危険性が減らせる。スタウトなどの沈静時間を必要とするビールに用いる場合、本発明の飲用容器は必要とする沈静時間を減らせる。本発明によれば、適切な大きさの飲用容器中に１パイントのスタウトを分配する場合、飲料を用意するのに要する全時間は、沈静時間を含めて約１分に減少される。飲料は通常の方法でユーザーにより容器の口から消費される。
【００１５】
本発明の好ましい態様においては、飲用容器は前記開口部に備えられた非戻り弁又は方向弁(non−return or directional valve)を有するものであり、該弁は飲料を開口部を通じて容器に分配するが、飲料が開口部を通じて容器から漏れるのを防止する。
【００１６】
好ましくは、上記非戻り弁はシリコン薄膜を有するタイプのものである。
【００１７】
上記弁の強度は、容器が満杯であるときに容器の中の液体によって及ぼされる圧力に対して確実に耐えることができる強度でよい。例えば、容器が１パイント用グラスの場合、弁は少なくとも１パイント（0.568リットル）の液体によって及ぼされる圧力に耐えることができるのが理想的である。好ましくは、上記の弁は、容器が満杯である場合に容器中の液体によって及ぼされるよりも大きい圧力に耐えられるのが好ましい。
【００１８】
本発明の装置の１つの利点は、飲料が開口部及び非戻り弁を通じて分配された場合、開口部が自動的に又は自己密封されることである。上記の弁は、一方向のみ、すなわち、容器中への液の流れを許すものであり、それによって飲料が消費されている間に容器からの漏れを防止するものである。
本発明の装置のさらなる利点は、容器中に差し込まれる長い噴出し口又はノズルを必要とする前記した装置の場合に比べて、既に分配された飲料により生じる衛生状態が改良されることにある。ノズルを容器中に飲料を分配するために用いる場合、薄膜が、ノズルを容器の底部に差し込まれる際にノズルを拭う効果を有する。また、本発明は容器に差し込むノズルを必要とすることなしに、飲料を容器に分配できる。飲用噴水(a drinking fountain)の方法により上方向に加圧された飲料の流れが設けられる。この流れの圧力だけで弁を開くようにして、容器に入れる吹出し口又はノズルなしに飲料を容器に分配し得るようにする。
【００１９】
一つの態様において、飲用容器はビール用グラスである。この容器は合成樹脂材料で造ることができる。
【００２０】
本発明の容器の少なくとも１つの壁部は実質的に剛体であるのが好ましい。容器の底部もまた剛体であってよい。これは容器の壁部が両方向から強く押された場合に液が弁を通じて放出されるのを防止する。このことは、底部の弁を通じて容器から液が誤って出てしまう恐れのない通常のグラスと同じように、ユーザーは容器をしっかり握ることができる。
【００２１】
本発明の２番目の側面によれば、加圧された飲料貯槽(beverage supply)に接続可能な入口部；飲料を分配するために配置された少なくとも１つの出口部；及び前記入口部と前記出口部の間に飲料のための流体通路として形成された導管手段(conduit means)；を有する飲料を分配するための装置(apparatus)であって、飲料を前記導管手段を経て前記入口部から前記出口部を圧力下に通過せしめ、飲料を前記出口部で実質的に上方向に分配されるように操作されることを特徴とする装置が提供される。
【００２２】
上記した装置は、本発明の飲用容器と一緒に用いることができる。飲用容器は、飲料が飲用容器の底部の密封可能な開口部を通じて分配されるように、出口部上に置かれる。
【００２３】
一つの態様においては、本装置は幾つかの飲用容器を同時に充填するための複数の出口部を有する。
【００２４】
また、一つの態様においては、一つ又は複数の出口部は、飲用容器の底部に設けられた開口部と係合することができる。本発明の装置は、前記出口部と連結されるノズルを有し、これを飲用容器に挿入して底部の密封可能な開口部を通じて容器に飲料を分配するようにすることができる。各々のノズルは少なくとも１つの分配を行う開口部に備えられてよい。各々のノズルは、飲料がノズルから実質的に上方向で、かつノズルの外方向に分配されるように、その周囲に配列された複数の分配開口部を備えるのが好ましい。
【００２５】
また、飲用噴水と同様に、飲料の上方向に加圧された流れは一つ又は複数の出口部で分配することができる。飲用容器が開口部に配置された非戻り弁を備えている場合、飲料の流れの圧力は弁を開きそして容器に飲料を分配するのに十分な大きさにされる。
【００２６】
飲料が分配される容器が空である場合、本発明の装置は飲料を最初に相対的にゆっくりとした速度で分配するように作動される。本発明の装置はまた、飲料が容器中で予め設定した量に達したならば、分配速度を大きくするように作動することもできる。
【００２７】
本発明の装置は、自動的に飲料を分配するための自動稼動手段(automatic activation means)を有してもよい。自動稼動手段は、磁気カードを読み取り、そして磁気カードに含まれる情報通りに飲料を分配するために配置されたカードリーダーを有してもよい。また、自動稼動手段は、遠隔操作装置(a remote control device)からの信号を受け、そして受けた信号どおりに飲料を分配するために配置された受信機を有してもよい。
【００２８】
本発明はまた、容器の底部に密封可能な開口部を持つ飲用容器を用意するステップ、及び底部にある密封可能な開口部を通じて容器中に飲料を分配するステップを有する、ことを特徴とする飲料を分配するための方法にも関するものである。
【００２９】
一つの態様において、本発明の上記の方法は、容器の底部の開口部を密封するステップを有する。しかしながら、好ましい態様では、飲用容器は上記したように開口部に配置された非戻り弁を有し、そのために、該開口部は飲料が分配された後、該弁によって自動的に密封される
【００３０】
本発明の方法は、さらに、上記した装置の出口部に飲用容器を配置し、そして実質的に容器中に上方向に飲料を分配するように装置を作動するステップを有する。飲料容器を配置するステップは、飲料容器の底部の開口部を、例えば、開口部にノズルを挿入することにより、装置の出口部に係合させることを含んでもよい。
【００３１】
図１〜図３は、底部２と実質的に円筒状の壁部３を有する飲用容器１を図解したものである。底部２と壁部３とが一緒になって飲料を受け入れるための空間４を形成する。容器１はまた、飲料で空間４を満たすために底部２に備えられた密封可能な開口部５を有する。
【００３２】
容器１は、さらに、開口部５に配置された非戻り弁６を有する。弁６は飲料が開口部５を通じて空間４に分配されるが、飲料が開口部を通じて容器から漏れることを防止する。例示された態様では、非戻り弁は、そこに設けられたスリット(slit)を有するシリコン薄膜を有するタイプのものである。使用の際は、飲料が底部２にある密封可能な開口部５を通じて容器に分配される。開口部は飲料が容器に分配された後で弁６によって自動的に密封される。
【００３３】
図４及び図５について述べると、飲料を分配するための装置８は加圧された飲料貯槽１０に接続可能な入口部９を有する。装置８は、また、装置の上面で飲料を分配するために配置された複数の出口部１１を有する。該装置は、装置の上面１５が実質的にバーカウンターの面(the bar surface)と同じ高さのバーカウンター(a bar counter)に組み入れてもよい。
【００３４】
例示された態様において、各出口部１１は、飲用容器の底部に設けられた開口部と係合しうるノズル１4を有する。導管手段１２を入口部９と出口部１１との間に設けてこの両者間における飲料の流路を形成する。該装置は、飲料が圧力下に導管手段１２を通じて入口部９から出口部１１に通るように作動され、それにより、飲料の流れを各ノズル１４から実質的に上方向に分配するようにされる。ノズルは個々に又は同時に操作してもよい。
【００３５】
使用する場合、図１〜図３により上記に説明したように、飲用容器１を装置８の出口部１１の位置に据え、ノズル１４の一つが該容器の底部の密封可能な開口部５を通じて差し込まれるようにせしめる。次いで、該装置は、飲料を実質的に上方向に容器中に分配するように作動される。
【００３６】
別の態様においては、ノズルを備えず、ポンプ手段によって、飲用噴水と同様に、上方向に加圧された飲料の流れを各出口部１１で分配するようにすることができる。飲料の流れ圧力を飲用容器の底部の弁６を開くように大きくし、ノズルを容器に差し込むことなしに容器に飲料を分配できる。
【００３７】
本発明において、「からなる/含む」の用語、及び「有する/備える」の用語は、記載された特徴(features)、インテヂャー(integers)、ステップ(steps)、又は要素(components)の存在を示すために使用されており、１つ又はそれ以上の他の特徴、整数、ステップ、要素、又はそれらの組合わせが存在したり、また追加したりすることを排除するものではない。
【００３８】
また、本発明の複数の特徴は、理解を容易にするために別々の態様において説明されているが、これらの特徴は、一つの態様において組み合わせて設けられていてもよい。逆に、簡潔にするために一つの態様で説明されている本発明の種々の特徴は、別々に又はそれらを適宜組合わせて設けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【００３９】
【図１】本発明の一態様である飲用容器の斜視図である。
【図２】図１の飲用容器の立面図である。
【図３】図１の飲用容器の平面図である。
【図４】本発明の一態様である装置の立面図である。
【図５】図４の装置の平面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
底部と該底部から伸びる少なくとも１つの壁部を有し、上記底部と壁部とから飲料を収容するための空間を形成する飲料容器であって、飲料で上記空間を満たすための密封可能な開口部を上記底部の近傍に備えていることを特徴とする飲料容器。
【請求項２】
底部と該底部から伸びる少なくとも１つの壁部を有し、上記底部と壁部とから飲料を収容するための空間を形成する飲料容器であって、飲料で上記空間を満たすための密封可能な開口部を上記底部に備えていることを特徴とする飲料容器。
【請求項３】
さらに、前記開口部に備えられた非戻り弁を有し、該非戻り弁により開口部を通じて容器中に飲料を分配するが、飲料を開口部を通じて容器から流出させないようにした請求項１又は２に記載の飲料容器。
【請求項４】
非戻り弁がシリコン薄膜を備える請求項３に記載の飲料容器。
【請求項５】
前記容器の少なくとも１つの壁部が実質的に剛体である請求項１〜４のいずれかに記載の飲料容器。
【請求項６】
加圧された飲料貯槽に接続可能な入口部；飲料を分配するために配置された少なくとも１つの出口部；及び前記入口部と前記出口部の間に飲料のための流体通路として形成された導管手段；を有する飲料を分配するための装置であって、飲料を前記導管手段を経て前記入口部から前記出口部を圧力下に通過せしめ、飲料が前記出口部で実質的に上方向に分配されるように操作されることを特徴とする装置。
【請求項７】
幾つかの飲用容器に同時に充填するための複数の出口部を有する請求項６に記載の装置。
【請求項８】
出口部を飲用容器の底部又はその近傍に設けられた密封可能な開口部に係合させ、飲料を前記密封可能な開口部を通じて飲用容器に分配するようにした請求項６又は７に記載の装置。
【請求項９】
出口部がノズルを有する請求項６〜８のいずれかに記載の装置。
【請求項１０】
各ノズルが少なくとも１つの分配を行う開口部に備えられている請求項９に記載の装置。
【請求項１１】
各ノズルが、その周囲に配置された複数の分配を行う開口部に備えられ、飲料をノズルから実質的に上方向で、かつ外方向に分配するようにした請求項９又は１０に記載の装置。
【請求項１２】
加圧された飲料の上方向の流れを１つ又は各出口部で分配する請求項６又は７に記載の装置。
【請求項１３】
飲料の流れの圧力を飲料容器の底部に備えられた弁を開くのに十分にせしめ、飲料を弁を通じて飲料容器に分配するようにした請求項１２に記載の装置。
【請求項１４】
底部又はその近傍に密封可能な開口部を持つ飲用容器を用意するステップ、及び底部又はその近傍の密封可能な開口部を通じて容器に飲料を分配するステップを有することを特徴とする飲料を分配するための方法。
【請求項１５】
請求項６〜１３のいずれかに記載された装置の出口部に飲用容器を配置するステップ、及び実質的に上方向に飲用容器中に飲料を分配するために前記装置を操作するステップをさらに含む請求項１４に記載の方法。
【請求項１６】
飲用容器を配置するステップが、飲用容器の底部又はその近傍における開口部を上記装置の出口部に係合させることからなる請求項１５に記載の方法。
【請求項１７】
前記開口部と前記装置の出口部との係合が開口部にノズルを挿入することからなる請求項１６に記載の方法。
【請求項１８】
添付図面の図１〜図３に記載し又は例示した飲料容器。
【請求項１９】
添付図面の図４又は図５に記載し又は例示した飲料を実質的に分配するための装置。
【請求項１】
底部と該底部から伸びる少なくとも１つの壁部を有し、上記底部と壁部とから飲料を収容するための空間を形成する飲料容器であって、飲料で上記空間を満たすための密封可能な開口部を上記底部の近傍に備えていることを特徴とする飲料容器。
【請求項２】
底部と該底部から伸びる少なくとも１つの壁部を有し、上記底部と壁部とから飲料を収容するための空間を形成する飲料容器であって、飲料で上記空間を満たすための密封可能な開口部を上記底部に備えていることを特徴とする飲料容器。
【請求項３】
さらに、前記開口部に備えられた非戻り弁を有し、該非戻り弁により開口部を通じて容器中に飲料を分配するが、飲料を開口部を通じて容器から流出させないようにした請求項１又は２に記載の飲料容器。
【請求項４】
非戻り弁がシリコン薄膜を備える請求項３に記載の飲料容器。
【請求項５】
前記容器の少なくとも１つの壁部が実質的に剛体である請求項１〜４のいずれかに記載の飲料容器。
【請求項６】
加圧された飲料貯槽に接続可能な入口部；飲料を分配するために配置された少なくとも１つの出口部；及び前記入口部と前記出口部の間に飲料のための流体通路として形成された導管手段；を有する飲料を分配するための装置であって、飲料を前記導管手段を経て前記入口部から前記出口部を圧力下に通過せしめ、飲料が前記出口部で実質的に上方向に分配されるように操作されることを特徴とする装置。
【請求項７】
幾つかの飲用容器に同時に充填するための複数の出口部を有する請求項６に記載の装置。
【請求項８】
出口部を飲用容器の底部又はその近傍に設けられた密封可能な開口部に係合させ、飲料を前記密封可能な開口部を通じて飲用容器に分配するようにした請求項６又は７に記載の装置。
【請求項９】
出口部がノズルを有する請求項６〜８のいずれかに記載の装置。
【請求項１０】
各ノズルが少なくとも１つの分配を行う開口部に備えられている請求項９に記載の装置。
【請求項１１】
各ノズルが、その周囲に配置された複数の分配を行う開口部に備えられ、飲料をノズルから実質的に上方向で、かつ外方向に分配するようにした請求項９又は１０に記載の装置。
【請求項１２】
加圧された飲料の上方向の流れを１つ又は各出口部で分配する請求項６又は７に記載の装置。
【請求項１３】
飲料の流れの圧力を飲料容器の底部に備えられた弁を開くのに十分にせしめ、飲料を弁を通じて飲料容器に分配するようにした請求項１２に記載の装置。
【請求項１４】
底部又はその近傍に密封可能な開口部を持つ飲用容器を用意するステップ、及び底部又はその近傍の密封可能な開口部を通じて容器に飲料を分配するステップを有することを特徴とする飲料を分配するための方法。
【請求項１５】
請求項６〜１３のいずれかに記載された装置の出口部に飲用容器を配置するステップ、及び実質的に上方向に飲用容器中に飲料を分配するために前記装置を操作するステップをさらに含む請求項１４に記載の方法。
【請求項１６】
飲用容器を配置するステップが、飲用容器の底部又はその近傍における開口部を上記装置の出口部に係合させることからなる請求項１５に記載の方法。
【請求項１７】
前記開口部と前記装置の出口部との係合が開口部にノズルを挿入することからなる請求項１６に記載の方法。
【請求項１８】
添付図面の図１〜図３に記載し又は例示した飲料容器。
【請求項１９】
添付図面の図４又は図５に記載し又は例示した飲料を実質的に分配するための装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公表番号】特表２００９−５２８９５６（Ｐ２００９−５２８９５６Ａ）
【公表日】平成２１年８月１３日（２００９．８．１３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−５５７８９１（Ｐ２００８−５５７８９１）
【出願日】平成１９年２月２８日（２００７．２．２８）
【国際出願番号】ＰＣＴ／ＩＥ２００７／００００２９
【国際公開番号】ＷＯ２００７／１０２１３９
【国際公開日】平成１９年９月１３日（２００７．９．１３）
【出願人】（５０８２６９６０６）
【Ｆターム（参考）】
【公表日】平成２１年８月１３日（２００９．８．１３）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年２月２８日（２００７．２．２８）
【国際出願番号】ＰＣＴ／ＩＥ２００７／００００２９
【国際公開番号】ＷＯ２００７／１０２１３９
【国際公開日】平成１９年９月１３日（２００７．９．１３）
【出願人】（５０８２６９６０６）
【Ｆターム（参考）】
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