座椅子
【課題】本発明では、姿勢変更を快適、且つ、容易に行うことができ、しかも、安定な構造を備えた座椅子の提供を目的とする。
【解決手段】基台フレーム12と、該基台フレーム12に枢支された可動フレーム13とを具備し、上記可動フレーム13は、座部フレーム18と背凭れフレーム21との各対向端部を枢着して一体に構成し、上記背凭れフレーム21は、背凭れ枢着軸35により上記基台フレーム12に対して枢支され、上記座部フレーム18は、連結リンク34を介して上記基台フレーム12に対して枢支され、上記基台フレーム12の上端部を、腰押圧部42に設定するとともに、該腰押圧部42を、腰部を押圧可能に上記背凭れ枢着軸35より上方位置に構成した座椅子10。
【解決手段】基台フレーム12と、該基台フレーム12に枢支された可動フレーム13とを具備し、上記可動フレーム13は、座部フレーム18と背凭れフレーム21との各対向端部を枢着して一体に構成し、上記背凭れフレーム21は、背凭れ枢着軸35により上記基台フレーム12に対して枢支され、上記座部フレーム18は、連結リンク34を介して上記基台フレーム12に対して枢支され、上記基台フレーム12の上端部を、腰押圧部42に設定するとともに、該腰押圧部42を、腰部を押圧可能に上記背凭れ枢着軸35より上方位置に構成した座椅子10。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、椅子型の姿勢と仰向けの状態で背筋を伸ばした姿勢(以下、「反り返り姿勢」という。)との間で姿勢変更を繰り返し行うことのできる座椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
上述したような座椅子は、様々な構成のものが既に開示されており、例えば、特許文献1において「健康座椅子」が開示されている。
【0003】
上記従来技術における「健康座椅子」は、図11に示したようなフレーム構成をしている。
具体的に、上記「健康座椅子」のフレーム構成は、主に、基台となる座枠(1)、座部を構成する横枠(2)、及び、背凭れ枠(3)から構成される。上記「健康座椅子」は、横枠(2)の中途部(2b)と背凭れ枠(3)の下端部(3a)とが枢着されるとともに、上記座枠(1)の後端部(1b)と背凭れ枠(3)の中間部(3b)とが枢着されている。
【0004】
さらに、横枠(2)の前端と座枠(1)の前端は、リンク(5)を介して連結枢着されている。
【0005】
上記「健康座椅子」は、反り返り姿勢のときには、図11中仮想線で示したように、横枠(2)と背凭れ枠(3)とがへの字形になるよう可動する。
【0006】
ここで、横枠(2)の中途部(2b)と背凭れ枠(3)の下端部(3a)との枢着部を、可動軸Aに設定する。
【0007】
さらに、座枠(1)の後端(1b)と背凭れ枠(3)の中間部(3b)との枢着部を、固定軸Bに設定する。
上記「健康座椅子」が反り返り姿勢のとき、図12(b)に示したように、可動軸Aは、横枠(2)と背凭れ枠(3)とで構成するへの字形の頂点に位置するとともに、仰臥している人の腰部近傍に位置する。このため、この可動軸Aによって、しっかりと仰臥している人の背筋を伸ばすことができる。
【0008】
しかし、上述した「健康座椅子」は、例えば、以下に示す2つの課題を挙げることができる。
(課題1)上記「健康座椅子」が座椅子姿勢においては、図12(a)中に示したように可動軸Aには、臀部近傍に位置している。これに対して、図12(b)中に示したように反り返り姿勢のとき、可動軸Aには、腰部近傍に位置することになる。
【0009】
このように上記「健康座椅子」は、姿勢に応じて可動軸Aの近傍に有する身体部位の位置が異なるため、姿勢変更の度に、身体が背凭れ枠(3)や横枠(2)に対して位置ズレすることになり(図12(b)中矢印参照)、不快感を伴うという課題を有する。
【0010】
仮に、身体が背凭れ枠(3)や横枠(2)に対して位置ズレしない場合は、椅子型姿勢から反り返り姿勢に変換した時点で可動軸Aに腰部がぴたりとフィットしないことになるため、可動軸Aにより腰部をしっかりと伸ばすことができないといった課題を有することになる。
【0011】
(課題2)上記可動軸Aは、反り返り姿勢においてへの字形の頂点に位置するため、積極的に荷重を受けることになる。すなわち、身体から受ける荷重は、床面に設置され、安定性の高い座枠(1)によって直接、支持された構成ではなく、可動し易く不安定な横枠(2)や背凭れ枠(3)を介して間接的に座枠(1)によって支持された構成となる。このため、上記「健康座椅子」は、安定性にも課題を有するといわざるを得ない。
【0012】
【特許文献1】実開昭62−27662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで本発明では、姿勢変更を快適、且つ、スムーズに行うことができ、しかも、安定な構造を備えた座椅子の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の座椅子は、基台フレームと、該基台フレームに枢支された可動フレームとを具備し、上記可動フレームは、座部フレームと背凭れフレームとの各対向端部を枢着して一体に構成した座椅子であって、上記背凭れフレームは、背凭れ枢着軸により上記基台フレームに対して枢支され、上記座部フレームは、連結リンクを介して上記基台フレームに対して枢支され、上記基台フレームの上端部を、腰押圧部に設定するとともに、該腰押圧部を、腰部を押圧可能に上記背凭れ枢着軸より上方位置に構成したことを特徴とする。
【0015】
本発明の座椅子は、上記座部フレームと上記背凭れフレームとの上記各対向端部を可動軸に設定し、上記腰押圧部を、上記可動フレームの全可動範囲内において上記可動軸より高い位置に構成することが好ましい。
【0016】
上記構成により、座椅子姿勢のとき、腰部等の所定の身体部位を押圧していた腰押圧部は、反り返り姿勢のときにおいても可動軸よりも可動フレームに対して上方に突き出して所定の身体部位を押圧することができ、座椅子が採る姿勢に関わらず、常に、腰部にしっかりとフィットした状態で腰部を押圧することができる。
【0017】
従って、さらにしっかりと腰部を押圧することができるため、より効果的にマッサージ効果を得ることができる。
例えば、腰押圧部が柔軟な部材で全体を覆われていても、腰押圧部により腰部をしっかりと押圧することができ、また、座椅子を、過度に返らせた姿勢に変更しなくても、十分なマッサージ効果を得ることができるため、姿勢変更の煩わしさも軽減することができる。
【0018】
本発明の座椅子は、上記連結リンクの一端部を、上記基台フレームの長手方向における脚部側(前方側)先端よりも臀部側(後方側)に枢着させた構成であることが好ましい。
【0019】
上記構成により、姿勢変更の際に、連結リンクが連動して揺動するが、その際、連結リンクと基台フレームとの間に指などが届かないように構成できる。さらに、基台フレームの幅方向の両側に、肘掛け部が設けられた構成の場合、この肘掛け部によって、連結リンクと基台フレームとの間に指などが差し込まれることを阻止することができる。よって、利用者は、けがをすることなく、安全に座椅子を利用することができる。
【0020】
本発明の座椅子は、上記背凭れフレームにおける長手方向における中途部に、上記背凭れフレームを屈曲可能に保持するラチェットなどの屈曲保持手段を具備した構成であることが好ましい。
【0021】
上記構成により、座椅子姿勢の状態から背凭れ部を屈曲させてコンパクトにした姿勢や、反り返り姿勢の状態から背凭れフレームにおける屈曲保持手段よりも先端側を前傾させた姿勢など、より用途に適した姿勢に変更することが可能となる。
【0022】
本発明の座椅子は、上記基台フレームにおける、上記背凭れフレームよりも上方に、上記背凭れフレームが所定角度以上後傾することを規制する規制部を設けた構成であることが好ましい。
【0023】
上記所定角度とは、例えば、座椅子が反り返り姿勢のときに、背凭れフレームが傾いた角度を示す。
【0024】
上記構成により、例えば、反り返り姿勢に変更した時に、規制部は、背凭れフレームに当接し、規制部によって背凭れフレームを規制することができ、それ以上、背凭れフレームが後方へ倒伏しないよう物理的に規制することができる。このため、背凭れフレームの不意の倒伏を防止することができ、利用者の安全性を確保することができる。
【0025】
本発明の座椅子は、床面に設置され、全体を回転可能に支持する回転支持台を、上記基台フレームの下側に設けた構成であることが好ましい。
【0026】
上記構成により、例えば、座椅子姿勢のときには、テレビを観る方向へ回転させ、反り返り姿勢に変更時には、前後のスペースが確保された方向へ回転させるなど、任意の方向へと回転することができる。このため、本発明の座椅子の利便性をさらに向上させることができる。
【0027】
なお、本発明の座椅子には、回転支持台が不用意に回転しないよう、ブレーキなどの回転阻止手段を別途、具備するもよい。
【0028】
本発明の座椅子は、上記座部フレームの長手方向における脚部側と、上記基台フレームの長手方向における臀部側との間に、付勢バネを張架した構成であることを特徴とする。
【0029】
上記構成により、付勢バネの長手方向は、上記連結リンクの回動方向と略一致させることができる。このような方向で付勢することで、例えば、可動軸を強引に降下させる方向に付勢バネを付勢する構成のように、連結リンクが座部フレームと基台フレームとの間で突っ張ってしまうといった事態が生じない。
【0030】
このため、連結リンクをスムーズに回動させることができ、このような連結リンクに連動して可動フレームもスムーズに可動させることができるため、姿勢変更をスムーズに行うことができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の座椅子は、座椅子姿勢のとき、腰押圧部が背凭れ枢着軸よりも上方位置に構成構成しているため、座椅子が採る姿勢に関わらず、常に、腰部等の一定部位にフィットした状態で押圧することができる。
従って、姿勢変更の際に利用者は、位置ずれせず、快適、且つ、スムーズに姿勢変更を行うことができる。
【0032】
しかも、このような腰押圧部は、安定性の高い基台フレームに設けられているため、利用者から集中的に荷重を受けても、座椅子全体の安定性を確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
この発明の一実施形態を、以下図面を用いて説明する。
図1、及び、図2は、それぞれ本実施形態における座椅子10を一般の座椅子姿勢としたときの外観図、中央縦断面図を示す。図3、及び、図4は、それぞれ本実施形態における座椅子10を反り返り姿勢としたときの外観図、中央縦断面図を示す。
【0034】
図1から図4に示したように、本実施形態における座椅子10は、基台フレーム12と、該基台フレーム12に対して可動する可動フレーム13を具備して構成している。
【0035】
上記基台フレーム12は、前後方向に伸びた左右一対の基台主フレーム部14,14を具備し、該左右一対の基台主フレーム部14,14の後端は、反り返った後、前方斜め上方に突き出した形態をしている。
【0036】
さらに、上記基台フレーム12は、左右一対の基台主フレーム部14,14の前後各端部に基台第一横フレーム部15、基台第二横フレーム部16を横架するとともに、前後方向の中央より後側位置に基台第三横フレーム部17を横架して一体に構成している。
【0037】
さらにまた、基台フレーム12の左右各側には、肘掛けフレーム19,19を立設している。
具体的に、左右各肘掛けフレーム19は、基台主フレーム部14の床面との設置部分における前後各側から外側へ突き出した肘掛け取付けフレーム19aを介して立設している(図1、及び、図3参照)。
【0038】
また、本実施形態の座椅子10は、基台フレーム12の下側に回転支持台45を具備している(図2、及び、図4参照)。
なお、上記図1、及び、図3中において、上記回転支持台45の構成は、省略している。
【0039】
上記回転支持台45は、床面に設置される設置部45aと、該設置部45aの上方でベアリングなどを介して回動自在な回動部45bとを具備して構成している。
また、本実施形態の座椅子10は、上記回転支持台45を設けず、基台フレーム12を直接、床面に設置する構成であってもよい。
【0040】
上記可動フレーム13は、基台フレーム12よりも、ひとまわり幅小に構成し、基台フレーム12の幅方向の内側から差し込み可能に構成している。上記可動フレーム13は、座部フレーム18と背凭れフレーム21とを具備し、互いの対向端部を枢着することにより一体に構成している。
【0041】
ここで、この座部フレーム18と背凭れフレーム21とを枢着した部位を可動軸22に設定する。
上記座部フレーム18は、正面視門形(コの字形)に構成した門形フレーム部23を具備し、該門形フレーム部23における上記可動軸22の近傍に座部横フレーム部24が横架され、平面視閉口状に構成している。
【0042】
上記座部フレーム18の幅方向の中間部には、門形フレーム部23の後端と座部横フレーム部24との間に円筒パイプ状の座部補強フレーム部25を前後方向に架設している。
【0043】
さらに、上記座部補強フレーム部25に対して幅方向の各側には、バネ26が上記基台フレーム12と上記座部フレーム18との間に張架されている。具体的に、上記座部フレーム18の門形フレーム部23後端と、基台フレーム12の基台第三横フレーム部17とには、それぞれ係止部材27が突設され、バネ26は、これら係止部材27に係止することで上記各フレーム12,18間に張架させている。
【0044】
一方、上記背凭れフレーム21は、利用者の主に腰部を支持する腰部支持フレーム部31と、主に頭部側を支持する門形に形成した頭部支持フレーム部32とは、長手方向における互いに対向する対向端部に、ラチェット33を介在させて屈曲可能に連設している。
【0045】
なお、上記背凭れフレーム21の長手方向の所定部位には、数本の背凭れ補強フレーム部39が適宜、横架されている。
続いて、上記可動フレーム13は、基台フレーム12に対して、座椅子10の前後各側において枢支されているが、この枢支箇所の構造について説明する。
具体的に、本実施形態の座椅子10の前側においては、座部フレーム18が、基台フレーム12に対して連結リンク34を介して枢支されている。
【0046】
ここで連結リンク34と基台フレーム12との枢着部34aは、基台主フレーム部14の長手方向における前端側(基台第一横フレーム部15が位置する部位)より後方側部位であって、肘掛取付けフレーム19aが突き出している部位の前方側近傍部位に構成している。
【0047】
また、座椅子10の後方側においては、背凭れフレーム21が基台フレーム12に枢支されている。
ここで、上記座椅子10の後方側の左右各側で枢支されている基台フレーム12と、背凭れフレーム21との枢着軸を、固定軸35に設定する。
【0048】
上記固定軸35は、基台フレーム12の上部と、該基台フレーム12に対して揺動する背凭れフレーム21の腰部支持フレーム部31との幅方向の間に、スペーサ部材36を介在させた枢着軸である。このように、基台フレーム12と背凭れフレーム21との間にスペーサ部材36を介在させることにより、該スペーサ部材36の幅分に相当する隙間を確保することができ、背凭れフレーム21を基台フレーム12に対して揺動させたとき、これらフレーム21,12間での指詰めを防止することができる。
【0049】
本実施形態の座椅子10は、上述した構成を採るため、座椅子姿勢と反り返り姿勢との間で姿勢変更することができる。
また、本実施形態の座椅子10が座椅子姿勢、或いは、反り返り姿勢へ姿勢変更したとき、その姿勢に保つことができる一対の係合保持部材37,38を具備している(図2の要部拡大図参照)。
【0050】
具体的に、上記一対の係合保持部材37,38における一方の係合保持部材37は、他方の係合保持部材38に係合可能な2つの係合溝37a,37bが形成された板状の部材であり、可動フレーム13側に具備している。さらに、上記一方の係合保持部材37は、左右両側に有する可動軸22のうち、右側の可動軸22と同軸上に枢着している。
【0051】
これに対して、上記一対の係合保持部材37,38における他方の係合保持部材38は、棒状の部材であり、基台フレーム12の右側において、上記係合溝37a,37bに係合可能に幅方向の外側へ突設している。
【0052】
また、上記一方の係合保持部材37には、本実施形態の座椅子10の利用者が着座、或いは、仰臥している状態においても把持可能な把持棒37cを突設している。上記把持棒37cを操作することにより、すなわち、2つの係合溝37a,37bのいずれか一方の係合溝を他方の係合保持部材38に対して係脱させることにより座椅子姿勢の中でも2段階で姿勢を設定することができる。
【0053】
具体的に、一方の係合溝37aに他方の係合保持部材38を係合させたとき、背凭れフレーム21は、図2中、実線で示したように、可動フレーム13は、座部フレーム18に対して約100°程度、傾倒した状態となる。これに対して他方の係合溝37bに他方の係合保持部材38を係合させたとき、背凭れフレーム21は、図2中、一点鎖線で示したように、座部フレーム18に対して約110度程度傾倒した姿勢に維持することができる。
【0054】
最後に、上記基台フレーム12の上端部の構成について説明する。上記基台フレーム12の左右各側における基台主フレーム部14の上端部は、上記固定軸35から、背凭れフレーム21よりもさらに上方へ突き出した高さに位置する。
【0055】
そして、その上端部の幅間には、腰押圧支持フレーム部41を横架させている。上記腰押圧支持フレーム部41における幅方向の両端側には、背凭れフレーム21に至るまで幅方向に突き出した突起部41aを形成している(図3要部拡大図参照)。
【0056】
さらにまた、腰押圧支持フレーム部41は、その幅方向の両側から立設された支持部42aにより、腰押圧部42が支持されている。上記腰押圧部42は、該腰押圧支持フレーム部41と平行に横架されている。
【0057】
また、本実施形態の座椅子10は、如何なる姿勢においても、上記可動軸22と比較して腰押圧部42の設置面(床面)に対する垂直方向の高さが高くなるよう構成している。
【0058】
例えば、本実施形態における座椅子10は、座椅子姿勢において、図2に示すように、可動軸22よりも座椅子10の設置面からの鉛直方向の高さ(h1)よりも、腰押圧部42が、より高い位置(h2)に有している。また、反り返り姿勢において、図4に示すように、可動軸22よりも座椅子10の設置面からの鉛直方向の高さ(h3)よりも、腰押圧支持フレーム部41が、より高い位置(h4)に有している。
【0059】
さらに、座椅子姿勢と反り返り姿勢との間で姿勢変更する過程における任意の姿勢、例えば、図5に示した姿勢のとき、可動軸22よりも座椅子10の設置面からの鉛直方向の高さ(h5)よりも、腰押圧部42は、さらに高い位置(h6)に有している。
【0060】
また、本実施形態では、本実施形態における座椅子10の構成を明瞭にするために、座椅子の構造をフレームが露出したフレーム構造を用いて説明しているが、座椅子10は、各フレームを、例えば、図6に示したように発泡ウレタンなどの柔軟性部材46で包み込み、カバー47で被覆して用いることができる。
なお、このように、全体を柔軟性部材で包みこんでも、腰押圧部42は、背凭れフレーム18よりも上方に突き出しているため、しっかりと利用者の腰部を押圧することができる。
【0061】
本実施形態の座椅子10は、上述したように構成し、以下では、本実施形態の座椅子10が奏する作用、効果について説明する。
ここで、腰押圧支持フレーム部41は、固定軸35や背凭れフレーム21よりも、さらに上方へ突き出している。
【0062】
しかも、本実施形態の座椅子10が図7に示したように座椅子姿勢のとき、可動軸22は、利用者の臀部近傍に位置し、固定軸35は、利用者の腰部近傍に位置している。
このため、利用者が座椅子10に着座しているとき、利用者の腰部は、腰押圧部42によって適度に押圧された状態になる。
【0063】
続いて、本実施形態の座椅子10を、このような座椅子型姿勢から反り返り姿勢に変換する手順について図8(a),(b)を用いて説明しておく。まず、利用者が着座している状態で、一方の係止保持部材37の把持棒37cを把持しながら他方の係合保持部38に係合している係合溝37a(、或いは、37b)を解除して、可動フレーム13を、基台フレーム12に対して揺動自在な状態にする。
【0064】
そして、利用者は、背凭れフレーム21を付勢バネ26の付勢力に抗して後方側へ倒伏させていくことで図8(b)に示したような反り返り姿勢に変更できる。具体的に、反り返り姿勢、すなわち、背凭れフレーム21は、座部フレーム18に対する相対角度が約205°程度になるまで倒伏したとき、該背凭れフレーム21に、腰押圧支持フレーム部41の上記突出部41aに当接し(図3,図8(b)の要部拡大図)、背凭れフレーム21がそれ以上、倒伏しないよう規制することができる。このため、可動フレーム13が過度に反り返りすぎることを防止でき、安全である。
【0065】
また、座椅子姿勢から反り返り姿勢へ変更する過程において、座部フレーム18と背凭れフレーム21とが直線状の姿勢、すなわち相対角度が180°となる姿勢(図8(a)参照)までは、バネ26は、座椅子10が椅子姿勢に戻る方向へ付勢するが、一旦、その直線状の姿勢よりも背凭れフレーム21を、さらに後方側へ倒伏させると、今度は、座椅子10が反り返り姿勢になる方向へ付勢することがなる。よって、利用者に負担をかけず、スムーズに反り返り姿勢に変更できる。
【0066】
ここで、反り返り姿勢の姿勢変更の過程における座部フレーム18は、連結リンク34が反時計回りに回動していくため、その動作に連動して、徐々に前方へスライドしていく(図8(a)の要部拡大図)。
【0067】
また、本実施形態の座椅子10は、反り返り姿勢においても、座椅子姿勢のときと同様に可動軸22近傍に、利用者の臀部が位置し、腰押圧部42、及び、固定軸35の近傍には、利用者の腰部が位置する(図8(b)参照)。
本実施形態の座椅子10は、座椅子姿勢、或いは、反り返り姿勢に変更する過程において、利用者は、可動フレーム13に対して、位置ずれしていないことが分かる。
【0068】
これに対して、従来の座椅子の場合、例えば、図12(a),(b)に示したように、座椅子姿勢の場合と、反り返り姿勢の場合とで、利用者の身体部位が可動フレーム(2),(3)に対して位置ズレしていることがわかる。具体的に、座椅子姿勢において、可動軸(A)近傍に、着座している利用者の臀部が位置していたが、反り返り姿勢においては、可動軸(A)近傍には、利用者の腰部が位置している。このことからも、利用者の身体が座椅子に対して前方へ位置ずれしていることが分かる。
【0069】
すなわち、従来の座椅子における可動軸(A)は、座椅子姿勢のとき、退避して臀部近傍に位置していたが、反り返り姿勢においては、固定軸(B)を含めて可動フレーム(2),(3)の中で最も突き出して腰部を押圧する腰当てとしての機能を発揮する。このことからも、従来の座椅子は、必然的に臀部から腰部まで位置ズレを伴うことを前提として構成されたものであるといえる。
【0070】
これに対して、本実施形態の座椅子10は、いかなる姿勢においても常に、腰押圧部42が腰部にフィットし、しかも、可動軸22を含めて可動軸22よりも上方に突き出している(図7,図8参照)。
【0071】
このため、本実施形態の座椅子10は、床ずれなどが生じることなく、快適、且つ、スムーズに姿勢変更することができる。
【0072】
また、本実施形態の座椅子10は、以下のような効果も有する。
上記腰押圧部42は、反り返り姿勢において利用者からの荷重を最も受けることになるが、床面に設置されている回転支持台45と一体に構成された基台フレーム12に設けられている。
【0073】
このため、本実施形態の座椅子10は、腰押圧部42にかかる荷重を、このような安定な基台フレーム12により、しっかりと支えることができ、高い安定性を確保することができる。
【0074】
これに対して従来の座椅子は、例えば、図12(b)に示したように、可動フレーム(2),(3)の中でも可動軸(A)が反り返り姿勢において最も上方へ突き出して利用者の腰部を支持する構成であるため、該可動軸(A)が利用者からの荷重を最も受ける箇所となる。このような可動軸(A)は、可動するため不安定であり、また、可動フレーム(2),(3)は、可動軸(A)に作用する荷重を片持ち支持状態で支持する必要があるため、不用意にモーメントが作用するなど、安定性、強度の面で難点がある。
このことからも、上述した効果が本発明の特有の効果であることがわかる。
【0075】
さらに、本実施形態の座椅子10は、以下のような効果も有する。
まず、従来の座椅子の場合、反り返り姿勢において可動フレーム(2),(3)に対して可動軸(A)が上方へ最も突き出した構成であるため、該可動軸22は、利用者が最も荷重を加え易い箇所であるといえるとともに、可動フレーム(2),(3)が可動する際に利用者が力を加えるための力の作用点として機能するといえる。
【0076】
よって、可動軸(A)は、このような従来の座椅子の場合、利用者は、反り返り姿勢の状態に維持するため、この可動軸(A)に不用意に力を作用させないよう利用者の腹筋力を要することになる。
【0077】
このため、従来の座椅子は、反り返り姿勢のとき、可動軸22近傍には、腰部が位置し、
これに対して本実施形態の座椅子10は、最も突き出した腰押圧部42が、作用点となる可動軸22から離れているため、不用意に可動フレーム13が可動せずに安定性を向上させることができる。
【0078】
さらに、本実施形態の座椅子10は、座椅子姿勢に姿勢変更する際には、臀部に体重をかけることでその下方にある可動軸22を容易に押し下げることができ、効率的に姿勢変更することができる。このように、腹筋など比較的体重をかけやすい臀部でよいため、腹筋がない年輩者であっても容易に姿勢変更することができる。
【0079】
本実施形態における座椅子10は、その他にも以下のような作用、効果を奏することができる。
本実施形態における座椅子10は、付勢バネ26を上記座部フレームの前端側と基台第三横フレーム部17との間に張架した構成である。
【0080】
上記構成により、付勢バネ26は、前傾した姿勢で張架されることになるが、このような姿勢のとき、付勢バネ26の長手方向は、座椅子10を座椅子姿勢と反り返り姿勢との間で姿勢変更する際における、上記連結リンク34の回動方向と略一致させることができる。このため、下記理由により、座椅子10を反り返り姿勢から座椅子姿勢へ姿勢変更する際に、連結リンク34を時計回りにスムーズに回動させることができるため、有効であるといえる。
【0081】
例えば、図11,図12に示したように、付勢バネ(6)を、可動フレーム(2),(3)の可動軸(A)と基台フレーム(1)との間に張架させた構成の場合、座椅子10を反り返り姿勢から座椅子姿勢へ姿勢変更する際に可動軸(A)を積極的に降下させる方向に付勢バネ(6)を付勢することができる。
【0082】
しかし、このような構成の場合、付勢バネ(6)は、可動フレーム(2),(3)における可動軸(A)部分を強引に下方へ引張ることとなり、連結リンク(5)が座部フレーム(2)と基台フレーム(1)との間で突っ張ってしまうといった事態が生じてしまう。このため、スムーズに連結リンク(5)を時計回りに回動させることができないおそれがある。
【0083】
これに対して、本実施形態のように付勢バネ26を形成すれば、付勢バネ26は、連結リンク34を時計回りに回動させ易い方向に積極的に引張ることができる。このため、座椅子10を反り返り姿勢から座椅子姿勢へ姿勢変更する際に、連結リンク34は、スムーズに回動し、該連結リンク34に連動して結果的に、可動フレーム13もスムーズに可動させることができる。
【0084】
また、連結リンク34と基台フレーム12との枢着部34aは、上述したように、基台主フレーム部14の長手方向における前端側より後方側部位であって、肘掛取付けフレーム19aが突き出している部位の前方側近傍部位に構成している。
【0085】
このような構成により、連結リンク34と基台フレーム12との間には、座椅子10の例えば、前方側から指などの身体部位が差し込まれても、該身体部位がこの間に届き難い位置に構成することができる。
【0086】
さらに、上述したように、連結リンク34と基台フレーム12との枢着部34aを、肘掛取付けフレーム19a近傍に構成することにより、連結リンク34と基台フレーム12との間に座椅子10の側方から身体部位が差し込まれることを肘掛け部19bの存在によって、阻止することができる。
なお、肘掛け部19bは、肘掛けフレーム19の外周に柔軟性部材等で覆った状態を示す(後述する図9参照)。
【0087】
このため、連結リンク34が回動しても、身体部位が連結リンク34と基台フレーム12との間に挟まれることを回避することができる。
【0088】
また、肘掛け部19bの存在によって、連結リンク34が外観上、視認され難くすることができるため、外観上の見栄えを向上させることもできる。
また、本実施形態における座椅子10は、上述した座椅子姿勢、或いは、反り返り姿勢の他にも、以下に示すように様々な姿勢に変更することができる。
【0089】
本実施形態における座椅子10は、背凭れフレーム21における、頭部支持フレーム部32と腰部支持フレーム部31との間に、上述したようにラチェット33を具備している。このため、本実施形態の座椅子10は、図9に示したように、座椅子姿勢の状態から頭部支持フレーム部32を腰部支持フレーム部31に対して反時計回りに約90度回動させた、いわゆる折り畳み姿勢に変更することもできる。
【0090】
このような折り畳み姿勢に変更すれば、背凭れフレーム21は、座部フレーム18と頭部支持フレーム部32とが対向するまで折り曲げてコンパクトにすることができ、不使用時に場所をとらずに収納することができる。
【0091】
さらに、本実施形態の座椅子10は、図10に示したような姿勢にも変更することもできる。
具体的に、本実施形態の座椅子10が反り返り姿勢の状態から頭部支持フレーム部32を、腰部支持フレーム部31に対して反時計回りに約60度回転させている。
【0092】
本実施形態の座椅子10を、このような背凭れ屈曲型の反り返り姿勢にしたとき、利用者は、仰臥した状態となるが、上述した反り返り姿勢と異なり、利用者の頭部、或いは、背部も含めて、前傾させた頭部支持フレーム部32によって支持された状態となる。
【0093】
すなわち、座椅子10に仰臥している利用者は、完全に反り返った反り返り姿勢の場合と比較して頭部が起こした状態となるため、読書やテレビなどを観賞することができる。さらに、起き上がる際、或いは、座椅子姿勢を反り返り姿勢にする際に、腹筋や臀部に入れる力が少なくてもよく、また、腹筋や臀部に力が入れ易い姿勢であるため、座椅子姿勢へ容易に変更することができる。
また、本実施形態の座椅子10は、上述した姿勢に限らず、例えば、ベッドとして用いることができる水平な姿勢など、他の姿勢に変換可能に構成してもよい。
【0094】
さらにまた、本実施形態の座椅子10は、例えば、腰押圧部42を、螺子軸に螺合可能に構成し、腰押圧部42の高さ(固定軸35に対する突き出し量)を調節可能に構成することもできる。
【0095】
また、上述の実施形態と、この発明の構成との対応において、この実施形態の固定軸35は、この発明の背凭れ枢着軸に対応し、以下同様に、
ラチェット33は、屈曲保持手段に対応し、
突出部41aは、規制部に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、上述したように多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本実施形態の座椅子の座椅子姿勢における外観図。
【図2】本実施形態の座椅子の座椅子姿勢における中央縦断面図。
【図3】本実施形態の座椅子の反り返り姿勢における外観図。
【図4】本実施形態の座椅子の反り返り姿勢における中央縦断面図。
【図5】本実施形態の座椅子の姿勢変更過程における中央縦断面図。
【図6】本実施形態の座椅子の外観図。
【図7】本実施形態の座椅子の作用説明図。
【図8】本実施形態の座椅子の他の作用説明図。
【図9】本実施形態の座椅子の折り畳み姿勢における中央断面図。
【図10】本実施形態の座椅子の背凭れ屈曲型の反り返り姿勢における中央断面図。
【図11】従来の座椅子の構成説明図。
【図12】従来の座椅子の作用説明図。
【符号の説明】
【0097】
10…座椅子
12…基台フレーム
13…可動フレーム
18…座部フレーム
21…背凭れフレーム
22…可動軸
33…ラチェット
34…連結リンク
35…固定軸
42…腰押圧部
【技術分野】
【0001】
この発明は、椅子型の姿勢と仰向けの状態で背筋を伸ばした姿勢(以下、「反り返り姿勢」という。)との間で姿勢変更を繰り返し行うことのできる座椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
上述したような座椅子は、様々な構成のものが既に開示されており、例えば、特許文献1において「健康座椅子」が開示されている。
【0003】
上記従来技術における「健康座椅子」は、図11に示したようなフレーム構成をしている。
具体的に、上記「健康座椅子」のフレーム構成は、主に、基台となる座枠(1)、座部を構成する横枠(2)、及び、背凭れ枠(3)から構成される。上記「健康座椅子」は、横枠(2)の中途部(2b)と背凭れ枠(3)の下端部(3a)とが枢着されるとともに、上記座枠(1)の後端部(1b)と背凭れ枠(3)の中間部(3b)とが枢着されている。
【0004】
さらに、横枠(2)の前端と座枠(1)の前端は、リンク(5)を介して連結枢着されている。
【0005】
上記「健康座椅子」は、反り返り姿勢のときには、図11中仮想線で示したように、横枠(2)と背凭れ枠(3)とがへの字形になるよう可動する。
【0006】
ここで、横枠(2)の中途部(2b)と背凭れ枠(3)の下端部(3a)との枢着部を、可動軸Aに設定する。
【0007】
さらに、座枠(1)の後端(1b)と背凭れ枠(3)の中間部(3b)との枢着部を、固定軸Bに設定する。
上記「健康座椅子」が反り返り姿勢のとき、図12(b)に示したように、可動軸Aは、横枠(2)と背凭れ枠(3)とで構成するへの字形の頂点に位置するとともに、仰臥している人の腰部近傍に位置する。このため、この可動軸Aによって、しっかりと仰臥している人の背筋を伸ばすことができる。
【0008】
しかし、上述した「健康座椅子」は、例えば、以下に示す2つの課題を挙げることができる。
(課題1)上記「健康座椅子」が座椅子姿勢においては、図12(a)中に示したように可動軸Aには、臀部近傍に位置している。これに対して、図12(b)中に示したように反り返り姿勢のとき、可動軸Aには、腰部近傍に位置することになる。
【0009】
このように上記「健康座椅子」は、姿勢に応じて可動軸Aの近傍に有する身体部位の位置が異なるため、姿勢変更の度に、身体が背凭れ枠(3)や横枠(2)に対して位置ズレすることになり(図12(b)中矢印参照)、不快感を伴うという課題を有する。
【0010】
仮に、身体が背凭れ枠(3)や横枠(2)に対して位置ズレしない場合は、椅子型姿勢から反り返り姿勢に変換した時点で可動軸Aに腰部がぴたりとフィットしないことになるため、可動軸Aにより腰部をしっかりと伸ばすことができないといった課題を有することになる。
【0011】
(課題2)上記可動軸Aは、反り返り姿勢においてへの字形の頂点に位置するため、積極的に荷重を受けることになる。すなわち、身体から受ける荷重は、床面に設置され、安定性の高い座枠(1)によって直接、支持された構成ではなく、可動し易く不安定な横枠(2)や背凭れ枠(3)を介して間接的に座枠(1)によって支持された構成となる。このため、上記「健康座椅子」は、安定性にも課題を有するといわざるを得ない。
【0012】
【特許文献1】実開昭62−27662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで本発明では、姿勢変更を快適、且つ、スムーズに行うことができ、しかも、安定な構造を備えた座椅子の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の座椅子は、基台フレームと、該基台フレームに枢支された可動フレームとを具備し、上記可動フレームは、座部フレームと背凭れフレームとの各対向端部を枢着して一体に構成した座椅子であって、上記背凭れフレームは、背凭れ枢着軸により上記基台フレームに対して枢支され、上記座部フレームは、連結リンクを介して上記基台フレームに対して枢支され、上記基台フレームの上端部を、腰押圧部に設定するとともに、該腰押圧部を、腰部を押圧可能に上記背凭れ枢着軸より上方位置に構成したことを特徴とする。
【0015】
本発明の座椅子は、上記座部フレームと上記背凭れフレームとの上記各対向端部を可動軸に設定し、上記腰押圧部を、上記可動フレームの全可動範囲内において上記可動軸より高い位置に構成することが好ましい。
【0016】
上記構成により、座椅子姿勢のとき、腰部等の所定の身体部位を押圧していた腰押圧部は、反り返り姿勢のときにおいても可動軸よりも可動フレームに対して上方に突き出して所定の身体部位を押圧することができ、座椅子が採る姿勢に関わらず、常に、腰部にしっかりとフィットした状態で腰部を押圧することができる。
【0017】
従って、さらにしっかりと腰部を押圧することができるため、より効果的にマッサージ効果を得ることができる。
例えば、腰押圧部が柔軟な部材で全体を覆われていても、腰押圧部により腰部をしっかりと押圧することができ、また、座椅子を、過度に返らせた姿勢に変更しなくても、十分なマッサージ効果を得ることができるため、姿勢変更の煩わしさも軽減することができる。
【0018】
本発明の座椅子は、上記連結リンクの一端部を、上記基台フレームの長手方向における脚部側(前方側)先端よりも臀部側(後方側)に枢着させた構成であることが好ましい。
【0019】
上記構成により、姿勢変更の際に、連結リンクが連動して揺動するが、その際、連結リンクと基台フレームとの間に指などが届かないように構成できる。さらに、基台フレームの幅方向の両側に、肘掛け部が設けられた構成の場合、この肘掛け部によって、連結リンクと基台フレームとの間に指などが差し込まれることを阻止することができる。よって、利用者は、けがをすることなく、安全に座椅子を利用することができる。
【0020】
本発明の座椅子は、上記背凭れフレームにおける長手方向における中途部に、上記背凭れフレームを屈曲可能に保持するラチェットなどの屈曲保持手段を具備した構成であることが好ましい。
【0021】
上記構成により、座椅子姿勢の状態から背凭れ部を屈曲させてコンパクトにした姿勢や、反り返り姿勢の状態から背凭れフレームにおける屈曲保持手段よりも先端側を前傾させた姿勢など、より用途に適した姿勢に変更することが可能となる。
【0022】
本発明の座椅子は、上記基台フレームにおける、上記背凭れフレームよりも上方に、上記背凭れフレームが所定角度以上後傾することを規制する規制部を設けた構成であることが好ましい。
【0023】
上記所定角度とは、例えば、座椅子が反り返り姿勢のときに、背凭れフレームが傾いた角度を示す。
【0024】
上記構成により、例えば、反り返り姿勢に変更した時に、規制部は、背凭れフレームに当接し、規制部によって背凭れフレームを規制することができ、それ以上、背凭れフレームが後方へ倒伏しないよう物理的に規制することができる。このため、背凭れフレームの不意の倒伏を防止することができ、利用者の安全性を確保することができる。
【0025】
本発明の座椅子は、床面に設置され、全体を回転可能に支持する回転支持台を、上記基台フレームの下側に設けた構成であることが好ましい。
【0026】
上記構成により、例えば、座椅子姿勢のときには、テレビを観る方向へ回転させ、反り返り姿勢に変更時には、前後のスペースが確保された方向へ回転させるなど、任意の方向へと回転することができる。このため、本発明の座椅子の利便性をさらに向上させることができる。
【0027】
なお、本発明の座椅子には、回転支持台が不用意に回転しないよう、ブレーキなどの回転阻止手段を別途、具備するもよい。
【0028】
本発明の座椅子は、上記座部フレームの長手方向における脚部側と、上記基台フレームの長手方向における臀部側との間に、付勢バネを張架した構成であることを特徴とする。
【0029】
上記構成により、付勢バネの長手方向は、上記連結リンクの回動方向と略一致させることができる。このような方向で付勢することで、例えば、可動軸を強引に降下させる方向に付勢バネを付勢する構成のように、連結リンクが座部フレームと基台フレームとの間で突っ張ってしまうといった事態が生じない。
【0030】
このため、連結リンクをスムーズに回動させることができ、このような連結リンクに連動して可動フレームもスムーズに可動させることができるため、姿勢変更をスムーズに行うことができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の座椅子は、座椅子姿勢のとき、腰押圧部が背凭れ枢着軸よりも上方位置に構成構成しているため、座椅子が採る姿勢に関わらず、常に、腰部等の一定部位にフィットした状態で押圧することができる。
従って、姿勢変更の際に利用者は、位置ずれせず、快適、且つ、スムーズに姿勢変更を行うことができる。
【0032】
しかも、このような腰押圧部は、安定性の高い基台フレームに設けられているため、利用者から集中的に荷重を受けても、座椅子全体の安定性を確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
この発明の一実施形態を、以下図面を用いて説明する。
図1、及び、図2は、それぞれ本実施形態における座椅子10を一般の座椅子姿勢としたときの外観図、中央縦断面図を示す。図3、及び、図4は、それぞれ本実施形態における座椅子10を反り返り姿勢としたときの外観図、中央縦断面図を示す。
【0034】
図1から図4に示したように、本実施形態における座椅子10は、基台フレーム12と、該基台フレーム12に対して可動する可動フレーム13を具備して構成している。
【0035】
上記基台フレーム12は、前後方向に伸びた左右一対の基台主フレーム部14,14を具備し、該左右一対の基台主フレーム部14,14の後端は、反り返った後、前方斜め上方に突き出した形態をしている。
【0036】
さらに、上記基台フレーム12は、左右一対の基台主フレーム部14,14の前後各端部に基台第一横フレーム部15、基台第二横フレーム部16を横架するとともに、前後方向の中央より後側位置に基台第三横フレーム部17を横架して一体に構成している。
【0037】
さらにまた、基台フレーム12の左右各側には、肘掛けフレーム19,19を立設している。
具体的に、左右各肘掛けフレーム19は、基台主フレーム部14の床面との設置部分における前後各側から外側へ突き出した肘掛け取付けフレーム19aを介して立設している(図1、及び、図3参照)。
【0038】
また、本実施形態の座椅子10は、基台フレーム12の下側に回転支持台45を具備している(図2、及び、図4参照)。
なお、上記図1、及び、図3中において、上記回転支持台45の構成は、省略している。
【0039】
上記回転支持台45は、床面に設置される設置部45aと、該設置部45aの上方でベアリングなどを介して回動自在な回動部45bとを具備して構成している。
また、本実施形態の座椅子10は、上記回転支持台45を設けず、基台フレーム12を直接、床面に設置する構成であってもよい。
【0040】
上記可動フレーム13は、基台フレーム12よりも、ひとまわり幅小に構成し、基台フレーム12の幅方向の内側から差し込み可能に構成している。上記可動フレーム13は、座部フレーム18と背凭れフレーム21とを具備し、互いの対向端部を枢着することにより一体に構成している。
【0041】
ここで、この座部フレーム18と背凭れフレーム21とを枢着した部位を可動軸22に設定する。
上記座部フレーム18は、正面視門形(コの字形)に構成した門形フレーム部23を具備し、該門形フレーム部23における上記可動軸22の近傍に座部横フレーム部24が横架され、平面視閉口状に構成している。
【0042】
上記座部フレーム18の幅方向の中間部には、門形フレーム部23の後端と座部横フレーム部24との間に円筒パイプ状の座部補強フレーム部25を前後方向に架設している。
【0043】
さらに、上記座部補強フレーム部25に対して幅方向の各側には、バネ26が上記基台フレーム12と上記座部フレーム18との間に張架されている。具体的に、上記座部フレーム18の門形フレーム部23後端と、基台フレーム12の基台第三横フレーム部17とには、それぞれ係止部材27が突設され、バネ26は、これら係止部材27に係止することで上記各フレーム12,18間に張架させている。
【0044】
一方、上記背凭れフレーム21は、利用者の主に腰部を支持する腰部支持フレーム部31と、主に頭部側を支持する門形に形成した頭部支持フレーム部32とは、長手方向における互いに対向する対向端部に、ラチェット33を介在させて屈曲可能に連設している。
【0045】
なお、上記背凭れフレーム21の長手方向の所定部位には、数本の背凭れ補強フレーム部39が適宜、横架されている。
続いて、上記可動フレーム13は、基台フレーム12に対して、座椅子10の前後各側において枢支されているが、この枢支箇所の構造について説明する。
具体的に、本実施形態の座椅子10の前側においては、座部フレーム18が、基台フレーム12に対して連結リンク34を介して枢支されている。
【0046】
ここで連結リンク34と基台フレーム12との枢着部34aは、基台主フレーム部14の長手方向における前端側(基台第一横フレーム部15が位置する部位)より後方側部位であって、肘掛取付けフレーム19aが突き出している部位の前方側近傍部位に構成している。
【0047】
また、座椅子10の後方側においては、背凭れフレーム21が基台フレーム12に枢支されている。
ここで、上記座椅子10の後方側の左右各側で枢支されている基台フレーム12と、背凭れフレーム21との枢着軸を、固定軸35に設定する。
【0048】
上記固定軸35は、基台フレーム12の上部と、該基台フレーム12に対して揺動する背凭れフレーム21の腰部支持フレーム部31との幅方向の間に、スペーサ部材36を介在させた枢着軸である。このように、基台フレーム12と背凭れフレーム21との間にスペーサ部材36を介在させることにより、該スペーサ部材36の幅分に相当する隙間を確保することができ、背凭れフレーム21を基台フレーム12に対して揺動させたとき、これらフレーム21,12間での指詰めを防止することができる。
【0049】
本実施形態の座椅子10は、上述した構成を採るため、座椅子姿勢と反り返り姿勢との間で姿勢変更することができる。
また、本実施形態の座椅子10が座椅子姿勢、或いは、反り返り姿勢へ姿勢変更したとき、その姿勢に保つことができる一対の係合保持部材37,38を具備している(図2の要部拡大図参照)。
【0050】
具体的に、上記一対の係合保持部材37,38における一方の係合保持部材37は、他方の係合保持部材38に係合可能な2つの係合溝37a,37bが形成された板状の部材であり、可動フレーム13側に具備している。さらに、上記一方の係合保持部材37は、左右両側に有する可動軸22のうち、右側の可動軸22と同軸上に枢着している。
【0051】
これに対して、上記一対の係合保持部材37,38における他方の係合保持部材38は、棒状の部材であり、基台フレーム12の右側において、上記係合溝37a,37bに係合可能に幅方向の外側へ突設している。
【0052】
また、上記一方の係合保持部材37には、本実施形態の座椅子10の利用者が着座、或いは、仰臥している状態においても把持可能な把持棒37cを突設している。上記把持棒37cを操作することにより、すなわち、2つの係合溝37a,37bのいずれか一方の係合溝を他方の係合保持部材38に対して係脱させることにより座椅子姿勢の中でも2段階で姿勢を設定することができる。
【0053】
具体的に、一方の係合溝37aに他方の係合保持部材38を係合させたとき、背凭れフレーム21は、図2中、実線で示したように、可動フレーム13は、座部フレーム18に対して約100°程度、傾倒した状態となる。これに対して他方の係合溝37bに他方の係合保持部材38を係合させたとき、背凭れフレーム21は、図2中、一点鎖線で示したように、座部フレーム18に対して約110度程度傾倒した姿勢に維持することができる。
【0054】
最後に、上記基台フレーム12の上端部の構成について説明する。上記基台フレーム12の左右各側における基台主フレーム部14の上端部は、上記固定軸35から、背凭れフレーム21よりもさらに上方へ突き出した高さに位置する。
【0055】
そして、その上端部の幅間には、腰押圧支持フレーム部41を横架させている。上記腰押圧支持フレーム部41における幅方向の両端側には、背凭れフレーム21に至るまで幅方向に突き出した突起部41aを形成している(図3要部拡大図参照)。
【0056】
さらにまた、腰押圧支持フレーム部41は、その幅方向の両側から立設された支持部42aにより、腰押圧部42が支持されている。上記腰押圧部42は、該腰押圧支持フレーム部41と平行に横架されている。
【0057】
また、本実施形態の座椅子10は、如何なる姿勢においても、上記可動軸22と比較して腰押圧部42の設置面(床面)に対する垂直方向の高さが高くなるよう構成している。
【0058】
例えば、本実施形態における座椅子10は、座椅子姿勢において、図2に示すように、可動軸22よりも座椅子10の設置面からの鉛直方向の高さ(h1)よりも、腰押圧部42が、より高い位置(h2)に有している。また、反り返り姿勢において、図4に示すように、可動軸22よりも座椅子10の設置面からの鉛直方向の高さ(h3)よりも、腰押圧支持フレーム部41が、より高い位置(h4)に有している。
【0059】
さらに、座椅子姿勢と反り返り姿勢との間で姿勢変更する過程における任意の姿勢、例えば、図5に示した姿勢のとき、可動軸22よりも座椅子10の設置面からの鉛直方向の高さ(h5)よりも、腰押圧部42は、さらに高い位置(h6)に有している。
【0060】
また、本実施形態では、本実施形態における座椅子10の構成を明瞭にするために、座椅子の構造をフレームが露出したフレーム構造を用いて説明しているが、座椅子10は、各フレームを、例えば、図6に示したように発泡ウレタンなどの柔軟性部材46で包み込み、カバー47で被覆して用いることができる。
なお、このように、全体を柔軟性部材で包みこんでも、腰押圧部42は、背凭れフレーム18よりも上方に突き出しているため、しっかりと利用者の腰部を押圧することができる。
【0061】
本実施形態の座椅子10は、上述したように構成し、以下では、本実施形態の座椅子10が奏する作用、効果について説明する。
ここで、腰押圧支持フレーム部41は、固定軸35や背凭れフレーム21よりも、さらに上方へ突き出している。
【0062】
しかも、本実施形態の座椅子10が図7に示したように座椅子姿勢のとき、可動軸22は、利用者の臀部近傍に位置し、固定軸35は、利用者の腰部近傍に位置している。
このため、利用者が座椅子10に着座しているとき、利用者の腰部は、腰押圧部42によって適度に押圧された状態になる。
【0063】
続いて、本実施形態の座椅子10を、このような座椅子型姿勢から反り返り姿勢に変換する手順について図8(a),(b)を用いて説明しておく。まず、利用者が着座している状態で、一方の係止保持部材37の把持棒37cを把持しながら他方の係合保持部38に係合している係合溝37a(、或いは、37b)を解除して、可動フレーム13を、基台フレーム12に対して揺動自在な状態にする。
【0064】
そして、利用者は、背凭れフレーム21を付勢バネ26の付勢力に抗して後方側へ倒伏させていくことで図8(b)に示したような反り返り姿勢に変更できる。具体的に、反り返り姿勢、すなわち、背凭れフレーム21は、座部フレーム18に対する相対角度が約205°程度になるまで倒伏したとき、該背凭れフレーム21に、腰押圧支持フレーム部41の上記突出部41aに当接し(図3,図8(b)の要部拡大図)、背凭れフレーム21がそれ以上、倒伏しないよう規制することができる。このため、可動フレーム13が過度に反り返りすぎることを防止でき、安全である。
【0065】
また、座椅子姿勢から反り返り姿勢へ変更する過程において、座部フレーム18と背凭れフレーム21とが直線状の姿勢、すなわち相対角度が180°となる姿勢(図8(a)参照)までは、バネ26は、座椅子10が椅子姿勢に戻る方向へ付勢するが、一旦、その直線状の姿勢よりも背凭れフレーム21を、さらに後方側へ倒伏させると、今度は、座椅子10が反り返り姿勢になる方向へ付勢することがなる。よって、利用者に負担をかけず、スムーズに反り返り姿勢に変更できる。
【0066】
ここで、反り返り姿勢の姿勢変更の過程における座部フレーム18は、連結リンク34が反時計回りに回動していくため、その動作に連動して、徐々に前方へスライドしていく(図8(a)の要部拡大図)。
【0067】
また、本実施形態の座椅子10は、反り返り姿勢においても、座椅子姿勢のときと同様に可動軸22近傍に、利用者の臀部が位置し、腰押圧部42、及び、固定軸35の近傍には、利用者の腰部が位置する(図8(b)参照)。
本実施形態の座椅子10は、座椅子姿勢、或いは、反り返り姿勢に変更する過程において、利用者は、可動フレーム13に対して、位置ずれしていないことが分かる。
【0068】
これに対して、従来の座椅子の場合、例えば、図12(a),(b)に示したように、座椅子姿勢の場合と、反り返り姿勢の場合とで、利用者の身体部位が可動フレーム(2),(3)に対して位置ズレしていることがわかる。具体的に、座椅子姿勢において、可動軸(A)近傍に、着座している利用者の臀部が位置していたが、反り返り姿勢においては、可動軸(A)近傍には、利用者の腰部が位置している。このことからも、利用者の身体が座椅子に対して前方へ位置ずれしていることが分かる。
【0069】
すなわち、従来の座椅子における可動軸(A)は、座椅子姿勢のとき、退避して臀部近傍に位置していたが、反り返り姿勢においては、固定軸(B)を含めて可動フレーム(2),(3)の中で最も突き出して腰部を押圧する腰当てとしての機能を発揮する。このことからも、従来の座椅子は、必然的に臀部から腰部まで位置ズレを伴うことを前提として構成されたものであるといえる。
【0070】
これに対して、本実施形態の座椅子10は、いかなる姿勢においても常に、腰押圧部42が腰部にフィットし、しかも、可動軸22を含めて可動軸22よりも上方に突き出している(図7,図8参照)。
【0071】
このため、本実施形態の座椅子10は、床ずれなどが生じることなく、快適、且つ、スムーズに姿勢変更することができる。
【0072】
また、本実施形態の座椅子10は、以下のような効果も有する。
上記腰押圧部42は、反り返り姿勢において利用者からの荷重を最も受けることになるが、床面に設置されている回転支持台45と一体に構成された基台フレーム12に設けられている。
【0073】
このため、本実施形態の座椅子10は、腰押圧部42にかかる荷重を、このような安定な基台フレーム12により、しっかりと支えることができ、高い安定性を確保することができる。
【0074】
これに対して従来の座椅子は、例えば、図12(b)に示したように、可動フレーム(2),(3)の中でも可動軸(A)が反り返り姿勢において最も上方へ突き出して利用者の腰部を支持する構成であるため、該可動軸(A)が利用者からの荷重を最も受ける箇所となる。このような可動軸(A)は、可動するため不安定であり、また、可動フレーム(2),(3)は、可動軸(A)に作用する荷重を片持ち支持状態で支持する必要があるため、不用意にモーメントが作用するなど、安定性、強度の面で難点がある。
このことからも、上述した効果が本発明の特有の効果であることがわかる。
【0075】
さらに、本実施形態の座椅子10は、以下のような効果も有する。
まず、従来の座椅子の場合、反り返り姿勢において可動フレーム(2),(3)に対して可動軸(A)が上方へ最も突き出した構成であるため、該可動軸22は、利用者が最も荷重を加え易い箇所であるといえるとともに、可動フレーム(2),(3)が可動する際に利用者が力を加えるための力の作用点として機能するといえる。
【0076】
よって、可動軸(A)は、このような従来の座椅子の場合、利用者は、反り返り姿勢の状態に維持するため、この可動軸(A)に不用意に力を作用させないよう利用者の腹筋力を要することになる。
【0077】
このため、従来の座椅子は、反り返り姿勢のとき、可動軸22近傍には、腰部が位置し、
これに対して本実施形態の座椅子10は、最も突き出した腰押圧部42が、作用点となる可動軸22から離れているため、不用意に可動フレーム13が可動せずに安定性を向上させることができる。
【0078】
さらに、本実施形態の座椅子10は、座椅子姿勢に姿勢変更する際には、臀部に体重をかけることでその下方にある可動軸22を容易に押し下げることができ、効率的に姿勢変更することができる。このように、腹筋など比較的体重をかけやすい臀部でよいため、腹筋がない年輩者であっても容易に姿勢変更することができる。
【0079】
本実施形態における座椅子10は、その他にも以下のような作用、効果を奏することができる。
本実施形態における座椅子10は、付勢バネ26を上記座部フレームの前端側と基台第三横フレーム部17との間に張架した構成である。
【0080】
上記構成により、付勢バネ26は、前傾した姿勢で張架されることになるが、このような姿勢のとき、付勢バネ26の長手方向は、座椅子10を座椅子姿勢と反り返り姿勢との間で姿勢変更する際における、上記連結リンク34の回動方向と略一致させることができる。このため、下記理由により、座椅子10を反り返り姿勢から座椅子姿勢へ姿勢変更する際に、連結リンク34を時計回りにスムーズに回動させることができるため、有効であるといえる。
【0081】
例えば、図11,図12に示したように、付勢バネ(6)を、可動フレーム(2),(3)の可動軸(A)と基台フレーム(1)との間に張架させた構成の場合、座椅子10を反り返り姿勢から座椅子姿勢へ姿勢変更する際に可動軸(A)を積極的に降下させる方向に付勢バネ(6)を付勢することができる。
【0082】
しかし、このような構成の場合、付勢バネ(6)は、可動フレーム(2),(3)における可動軸(A)部分を強引に下方へ引張ることとなり、連結リンク(5)が座部フレーム(2)と基台フレーム(1)との間で突っ張ってしまうといった事態が生じてしまう。このため、スムーズに連結リンク(5)を時計回りに回動させることができないおそれがある。
【0083】
これに対して、本実施形態のように付勢バネ26を形成すれば、付勢バネ26は、連結リンク34を時計回りに回動させ易い方向に積極的に引張ることができる。このため、座椅子10を反り返り姿勢から座椅子姿勢へ姿勢変更する際に、連結リンク34は、スムーズに回動し、該連結リンク34に連動して結果的に、可動フレーム13もスムーズに可動させることができる。
【0084】
また、連結リンク34と基台フレーム12との枢着部34aは、上述したように、基台主フレーム部14の長手方向における前端側より後方側部位であって、肘掛取付けフレーム19aが突き出している部位の前方側近傍部位に構成している。
【0085】
このような構成により、連結リンク34と基台フレーム12との間には、座椅子10の例えば、前方側から指などの身体部位が差し込まれても、該身体部位がこの間に届き難い位置に構成することができる。
【0086】
さらに、上述したように、連結リンク34と基台フレーム12との枢着部34aを、肘掛取付けフレーム19a近傍に構成することにより、連結リンク34と基台フレーム12との間に座椅子10の側方から身体部位が差し込まれることを肘掛け部19bの存在によって、阻止することができる。
なお、肘掛け部19bは、肘掛けフレーム19の外周に柔軟性部材等で覆った状態を示す(後述する図9参照)。
【0087】
このため、連結リンク34が回動しても、身体部位が連結リンク34と基台フレーム12との間に挟まれることを回避することができる。
【0088】
また、肘掛け部19bの存在によって、連結リンク34が外観上、視認され難くすることができるため、外観上の見栄えを向上させることもできる。
また、本実施形態における座椅子10は、上述した座椅子姿勢、或いは、反り返り姿勢の他にも、以下に示すように様々な姿勢に変更することができる。
【0089】
本実施形態における座椅子10は、背凭れフレーム21における、頭部支持フレーム部32と腰部支持フレーム部31との間に、上述したようにラチェット33を具備している。このため、本実施形態の座椅子10は、図9に示したように、座椅子姿勢の状態から頭部支持フレーム部32を腰部支持フレーム部31に対して反時計回りに約90度回動させた、いわゆる折り畳み姿勢に変更することもできる。
【0090】
このような折り畳み姿勢に変更すれば、背凭れフレーム21は、座部フレーム18と頭部支持フレーム部32とが対向するまで折り曲げてコンパクトにすることができ、不使用時に場所をとらずに収納することができる。
【0091】
さらに、本実施形態の座椅子10は、図10に示したような姿勢にも変更することもできる。
具体的に、本実施形態の座椅子10が反り返り姿勢の状態から頭部支持フレーム部32を、腰部支持フレーム部31に対して反時計回りに約60度回転させている。
【0092】
本実施形態の座椅子10を、このような背凭れ屈曲型の反り返り姿勢にしたとき、利用者は、仰臥した状態となるが、上述した反り返り姿勢と異なり、利用者の頭部、或いは、背部も含めて、前傾させた頭部支持フレーム部32によって支持された状態となる。
【0093】
すなわち、座椅子10に仰臥している利用者は、完全に反り返った反り返り姿勢の場合と比較して頭部が起こした状態となるため、読書やテレビなどを観賞することができる。さらに、起き上がる際、或いは、座椅子姿勢を反り返り姿勢にする際に、腹筋や臀部に入れる力が少なくてもよく、また、腹筋や臀部に力が入れ易い姿勢であるため、座椅子姿勢へ容易に変更することができる。
また、本実施形態の座椅子10は、上述した姿勢に限らず、例えば、ベッドとして用いることができる水平な姿勢など、他の姿勢に変換可能に構成してもよい。
【0094】
さらにまた、本実施形態の座椅子10は、例えば、腰押圧部42を、螺子軸に螺合可能に構成し、腰押圧部42の高さ(固定軸35に対する突き出し量)を調節可能に構成することもできる。
【0095】
また、上述の実施形態と、この発明の構成との対応において、この実施形態の固定軸35は、この発明の背凭れ枢着軸に対応し、以下同様に、
ラチェット33は、屈曲保持手段に対応し、
突出部41aは、規制部に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、上述したように多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本実施形態の座椅子の座椅子姿勢における外観図。
【図2】本実施形態の座椅子の座椅子姿勢における中央縦断面図。
【図3】本実施形態の座椅子の反り返り姿勢における外観図。
【図4】本実施形態の座椅子の反り返り姿勢における中央縦断面図。
【図5】本実施形態の座椅子の姿勢変更過程における中央縦断面図。
【図6】本実施形態の座椅子の外観図。
【図7】本実施形態の座椅子の作用説明図。
【図8】本実施形態の座椅子の他の作用説明図。
【図9】本実施形態の座椅子の折り畳み姿勢における中央断面図。
【図10】本実施形態の座椅子の背凭れ屈曲型の反り返り姿勢における中央断面図。
【図11】従来の座椅子の構成説明図。
【図12】従来の座椅子の作用説明図。
【符号の説明】
【0097】
10…座椅子
12…基台フレーム
13…可動フレーム
18…座部フレーム
21…背凭れフレーム
22…可動軸
33…ラチェット
34…連結リンク
35…固定軸
42…腰押圧部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台フレームと、該基台フレームに枢支された可動フレームとを具備し、上記可動フレームは、座部フレームと背凭れフレームとの各対向端部を枢着して一体に構成した座椅子であって、
上記背凭れフレームは、背凭れ枢着軸により上記基台フレームに対して枢支され、
上記座部フレームは、連結リンクを介して上記基台フレームに対して枢支され、
上記基台フレームの上端部を、腰押圧部に設定するとともに、該腰押圧部を、腰部を押圧可能に上記背凭れ枢着軸より上方位置に構成した
座椅子。
【請求項2】
上記座部フレームと上記背凭れフレームとの上記各対向端部を可動軸に設定し、
上記腰押圧部を、上記可動フレームの全可動範囲内において上記可動軸より高い位置に構成した
請求項1に記載の座椅子。
【請求項3】
上記連結リンクの一端部は、上記基台フレームの長手方向における脚部側先端よりも臀部側に枢着されている
請求項1又は請求項2に記載の座椅子。
【請求項4】
上記背凭れフレームにおける長手方向における中途部に、上記背凭れフレームを屈曲可能に保持する屈曲保持手段を具備した
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の座椅子。
【請求項5】
上記基台フレームにおける、上記背凭れフレームよりも上方に、上記背凭れフレームが所定角度以上後傾することを規制する規制部を設けた
請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の座椅子。
【請求項6】
床面に設置され、全体を回転可能に支持する回転支持台を、上記基台フレームの下側に設けた
請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載の座椅子。
【請求項7】
上記座部フレームの長手方向における脚部側と、上記基台フレームの長手方向における臀部側との間に、付勢バネを張架した
請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載の座椅子。
【請求項1】
基台フレームと、該基台フレームに枢支された可動フレームとを具備し、上記可動フレームは、座部フレームと背凭れフレームとの各対向端部を枢着して一体に構成した座椅子であって、
上記背凭れフレームは、背凭れ枢着軸により上記基台フレームに対して枢支され、
上記座部フレームは、連結リンクを介して上記基台フレームに対して枢支され、
上記基台フレームの上端部を、腰押圧部に設定するとともに、該腰押圧部を、腰部を押圧可能に上記背凭れ枢着軸より上方位置に構成した
座椅子。
【請求項2】
上記座部フレームと上記背凭れフレームとの上記各対向端部を可動軸に設定し、
上記腰押圧部を、上記可動フレームの全可動範囲内において上記可動軸より高い位置に構成した
請求項1に記載の座椅子。
【請求項3】
上記連結リンクの一端部は、上記基台フレームの長手方向における脚部側先端よりも臀部側に枢着されている
請求項1又は請求項2に記載の座椅子。
【請求項4】
上記背凭れフレームにおける長手方向における中途部に、上記背凭れフレームを屈曲可能に保持する屈曲保持手段を具備した
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の座椅子。
【請求項5】
上記基台フレームにおける、上記背凭れフレームよりも上方に、上記背凭れフレームが所定角度以上後傾することを規制する規制部を設けた
請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の座椅子。
【請求項6】
床面に設置され、全体を回転可能に支持する回転支持台を、上記基台フレームの下側に設けた
請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載の座椅子。
【請求項7】
上記座部フレームの長手方向における脚部側と、上記基台フレームの長手方向における臀部側との間に、付勢バネを張架した
請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載の座椅子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−67965(P2008−67965A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−250537(P2006−250537)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(507182449)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(507182449)
【Fターム(参考)】
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