座標位置決め装置に補機類を取り付けるための装置
工具セッターの如き座標位置決め装置の補機類を座標位置決め装置の被加工物取り付け面に取り付けるための装置であり、被加工物取り付け面は、そこに形成された溝を有する。この装置は、被加工物取り付け面の溝に挿入するためのインサートと、座標位置決め装置の補機類に装着可能な台座とを具える。インサートは、溝内にインサートを固定するための手段を具え、このインサートがそこに挿入された場合、溝内に実質的に収容される。台座は、溝内に収容された場合にインサートに係合し、それによって台座ならびにこの台座に装着される座標位置決め装置のあらゆる補機類を座標位置決め装置の被加工物取り付け面に固定するための少なくとも1つの突出部材を具える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座標位置決め装置の被加工物取り付け面に補機類を取り付けるための装置に関する。特に、本発明は工作機械の被加工物取り付け面に工作機械の補機類を取り付けるための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
座標位置決め装置は、例えば工作機械および座標測定装置を含む。典型的な工作機械は、被加工物を機械加工するための工具または被加工物を測定するためのプローブを取り付けることができる主軸と、被加工物を機械加工または測定するために支持することができる加工テーブルまたはベッドとを具える。工作機械のベッドはまた、工作機械の主軸に保持される工具の存在および位置を検出するための工具セッターの如き工作機械の補機類を支持することもできる。従来の「竪型工作機械」において、工作機械のベッドは2つの直交方向XおよびYに駆動可能であって、主軸は第3の直交方向Zに駆動され、主軸およびベッドがこの工作機械の加工領域内を移動できるようになっている。
【0003】
工作機械のベッドには、ベッドの長手方向に沿って延在する多数のT溝がしばしば設けられ、各T溝はベッドの両側にて開いた端部を有し、このようなT溝は一般的に相互に平行にベッドの幅を横切る方向に間隔をあけて延在する。さらなるT溝を前記T溝に対して直交状態で延在させることができ、それによってT溝の交差パターンを工作機械のベッドに形成する。工作機械のベッドのT溝の寸法および形状ならびにT溝と共に用いるためのTボルトおよびナットは、BS2485;1987の如き規格によって規定されている。文献1に記述されているように、工作機械の補機類を工作機械のベッドにT溝を介して従来のTボルトおよびナットを用いて固定することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】GB2098106
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の形態によると、座標位置決め装置の補機類を座標位置決め装置の被加工物取り付け面に取り付けるための装置が提供され、被加工物取り付け面はそこ形成された溝を有し、この装置は、インサートであって、溝内にこのインサートを固定するための手段を具え、そこに挿入された場合に前記溝内に実質的に収容されるインサートと、座標位置決め装置の補機類に装着可能な台座であって、前記溝内に収容された場合の前記インサートに係合し、これによって当該台座を座標位置決め装置の被加工物取り付け面に固定するための少なくとも1つの突出部材を具えた台座とを具えている。
【0006】
理解されるように、溝内に実質的に収容された場合のインサートは、座標位置決め装置の被加工物取り付け面から実質的に突出しない。溝内に実質的に収容された場合のインサートは、被加工物取り付け面と同一平面であることができる。都合が良いことに、インサートは、溝内に実質的に収容された場合、被加工物取り付け面に対して下方にある。インサートを溝内に収容した場合、このインサートの一部を溝の開口によって座標位置決め装置の作業領域に露出させることができ、この一部がインサートの露出面であってよい。
【0007】
インサートは第1そして第2の端部を有する棒状インサートであることができる。このインサートを実質的に直方体形状にすることができ、インサートは4つの長手方向の面を有することができる。代わりに、インサートは3つの長手方向の面と1つの開口面とを有することができる。このインサートの第1および第2の端部は、第1および第2の端面を有することができる。これら端面の少なくとも一方には、台座の少なくとも1つの突出部材に設けた係合手段を収容するための収容手段を設けることができる。好ましくは、第1および第2の端面の両方にこのような収容手段が設けられる。インサートは、等しい幅と長さとを代わりに有することができる。
【0008】
この装置は、例えば工作機械の補機類を工作機械の被加工物取り付け面に取り付けるためのものであってよい。代わりに、この装置は座標測定器に座標測定装置の補機類を取り付けるためのものであってよい。
【0009】
インサートを溝内に固定するための手段は、インサートが溝内に摩擦によって保持されるように、拡幅可能な部材を具えることができる。都合が良いことに、インサートを溝内に固定するための手段は1つ以上のねじを具えている。好都合なことに、1つ以上のねじは、インサートを溝内に収容した場合、インサートの露出した部分からアクセス可能な手段によって調整可能である。1つ以上のねじは1つ以上のテーパーねじであってよい。好都合なことに、インサートが棒状インサートの場合、第1のテーパーねじをインサートの第1の端部の方に配することができ、第2のテーパーねじをインサートの第2の端部の方に配することができる。インサート内の1つ以上のねじの位置を調整することができ、これらがインサートの幅を拡げてインサートを摩擦により溝に対して保持できることをもたらすようになっている。
【0010】
代わりに、1つ以上のねじが規格ねじであってよく、これらのねじが例えばテーパー状くさびへとインサート内を通される。この場合、1つ以上のねじの位置の調整はくさびの位置の調整を可能とし、インサートの幅が拡がり、 従ってインサートを溝内に保持するようになっている。テーパー状くさびの代わりとして、例えば円柱状の棒材またはドッグボーン状の丸棒材を用いることができる。
【0011】
1つ以上のねじは、ねじ頭部と、このねじ頭部から延在するねじ軸とをそれぞれ具えることができ、ねじは長手方向軸線を有することができる。1つ以上のねじの締結がインサートを少なくとも1方向に拡げることをもたらすように、インサートを形成することができる。ねじ軸がインサートの第1の側にてインサートに入るように、インサートおよびねじを配することができる。この第1の側にてねじ山とインサートとの間に隙間を与えることができる。ねじ頭部から末端側にあるねじ軸の端部を、インサートの第2の側にてインサートに係合させることができる。ねじの締結は、インサートの第2の側をインサートの第1の側の方に引き寄せ、従ってインサートを拡げることができる。ねじの長手方向軸線に対してほぼ直交方向にインサートを膨出させることができる。
【0012】
インサートを溝内に固定するための手段は、インサートの少なくとも一方の側からインサートが収容される溝の少なくとも1つの壁に向けて延在する少なくとも1つのねじか、または板を具えることができる。これは、インサートの幅を拡幅してインサートを摩擦により溝内に保持する。都合が良いことに、少なくとも1つのねじまたは板は、インサートの露出面からアクセス可能な手段によって調整可能である。
【0013】
インサートを溝内に固定するための手段は、例えば接着剤の如き他の適当な固定手段を具えることができる。
【0014】
インサートを溝内に固定するための手段は、インサートを座標位置決め装置の被加工物取り付け面に形成されたT溝内に固定するための手段を具えることができる。代わりに、インサートを溝内に固定するための手段は、インサートを座標位置決め装置の被加工物取り付け面に形成されたU字状の溝内に固定するための手段を具えることができる。好都合なことに、溝内にインサートを固定するための手段は、インサートを座標位置決め装置の被加工物取り付け面に形成されたT溝や、あるいはU字状の溝の如き種々の異なる形態の溝に固定するための手段を具えることができる。U字状の溝は、例えば、平行な側壁および直交する底面か、あるいは湾曲した底面と側壁とを有することができる。
【0015】
都合が良いことに、台座およびインサートは、インサートに対して台座の位置を実質的に再現できるように配される。台座は複数の突出部材を具えることができる。台座は2つの突出部材を具えることが好都合である。代わりに、台座は、例えば3つまたは4つの突出部材を具えることができる。インサートが棒状インサートの場合、例えば2つの突出部材を配し、一方の突出部材が棒状インサートの第1の端部に係合すると共に他方の突出部材が棒状インサートの第2の端部に係合するようにできる。特に、突出部材は他方の突出部材の方を向く内側面と、他方の突出部材から離れる方を向く外側面との2つの面をそれぞれ有することができる。都合が良いことに、突出部材の内側面の間の間隔は、インサートの長手方向の長さと実質的に等しい。
【0016】
突出部材は、インサートと係合するための係合手段を設けることができる。このような係合手段は、ボールまたはロッドの如き突起を具えることができる。この突起を突出部材の内側面から他方の突出部材に向けて突出するように配することができる。
【0017】
複数の突出部材の少なくとも1つは台座に対して移動可能であってよい。加えて、複数の突出部材の少なくとも1つを台座に対して固定することができる。2つの突出部材がある場合、一方の突出部材が台座に対して移動可能であって、他方の突出部材を台座に対して固定することが有利である。可動突出部材をばねの如き付勢部材によって第1の位置へと付勢することができ、かつこの付勢に対して第2の位置へと移動可能であってよい。代わりに、可動突出部材は、例えばこの可動突出部材を前記底面に装着するねじを調整することによって、第1の位置と第2の位置との間を移動可能であってよい。
【0018】
可動突出部材が第1の位置にある場合、突出部材の間の間隔をインサートの長手方向の長さと実質的に等しくすることができる。可動突出部材が第2の位置にある場合、突出部材の間の間隔をインサートの長手方向の長さよりも大きくすることができる。可動突出部材の移動は、突出部材をインサートに係合させるため、インサートのそれぞれの端部を避けて通ることができるように、突出部材の間の間隔を増大させることを可能にすることができる。
【0019】
台座に対して移動可能な少なくとも1つの突出部材は、手動にて移動可能な部材であってよい。この場合、少なくとも1つの可動突出部材は取手部を具えることができ、取手部に圧力を加えることによる付勢に対して動かされることができるようになっている。
【0020】
インサートは、台座の少なくとも1つの突出部材を収容するための少なくとも1つの収容手段を具えることができる。特に、このインサートは、台座の少なくとも1つの突出部材に設けた係合手段を収容するための少なくとも1つの収容手段を具えることができる。都合が良いことに、インサートは、台座の少なくとも1つの突出部材に設けた係合手段の数と等しい数の収容手段を具えている。係合手段をそれぞれ有する2つの突出部材がある場合、インサートは2つの収容手段を有することができる。インサートが第1および第2の端部を有する棒状インサートの場合、2つの収容手段の第1の収容手段をインサートの第1の端部に設けることができ、2つの収容手段の第2の収容手段をインサートの第2の端部に設けることができる。
【0021】
少なくとも一方の収容手段は、突出部材に接触するための1つの接触点を与えることができる。このような収容手段が例えば突出ボールであってよい。この突出ボールを、他のいかなる点にてインサートと接触することなく、突出部材の係合手段をボールに接触させるための隙間を与えるため、凹部に隣接して配することができる。それぞれ係合手段を有する2つの突出部材がある場合、それぞれの収容手段は、1つの係合手段に対して1つの接触点を与えることができる。この場合、台座とインサートとの係合は、インサートに対する台座の2つの自由度を制限する。
【0022】
台座の少なくとも1つの突出部材をインサートと係合する動作は、台座の少なくとも1つの突出部材をインサートが収容される溝の少なくとも1つの壁に対して付勢することを可能にする。突出部材が2つ以上ある場合、これらの突出部材を同じ壁か、または異なる壁に対して付勢することができる。溝の壁に対してそれぞれ付勢される2つの突出部材がある場合、台座とインサートとの間の2つのさらなる自由度を制限することができる。
【0023】
少なくとも1つの収容手段は、突出部材に接するために2つの接触点を与えることができる。このような収容手段は、例えばV字形状の凹部であってよい。2つの収容手段と係合手段をそれぞれ有する2つの突出部材がある場合、1つの係合手段に対して2つの接触点をそれぞれの収容手段に与えることができる。この場合、台座とインサートとの係合がインサートに対する台座の4つの自由度を制限する。
【0024】
台座がインサートと係合する場合、被加工物取り付け面に接触する台座の表面によって、台座とインサートとの間の1自由度を制限することができ、インサートが固定される。一方の突出部材が台座に対して移動可能な場合、この可動突出部材をインサートと接触するように付勢することにより、台座とインサートとの間の他の自由度を制限することができる。
【0025】
台座とインサートとの間の6つの自由度を制限する場合、台座を運動学的に配することができる。
【0026】
この装置は、台座に装着される座標位置決め装置の補機類をさらに具えることができる。この座標位置決め装置の補機類は測定プローブを具えることができる。好都合なことに、座標位置決め装置の補機類は工作機械の補機類であり、この工作機械の補機類は例えば工具セッターを具えることができる。
【0027】
この装置は、座標位置決め装置の補機類を座標位置決め装置のベッドの被加工物取り付け面や、あるいはパレットの被加工物取り付け面に取り付けるための装置であってよい。記述された装置は、例えば工作機械の補機類を工作機械のベッドや、あるいはパレットの被加工物取り付け面に取り付けるための装置であってよい。
【0028】
本発明の第2の形態によると、インサートがこのインサートを座標位置決め装置の被加工物取り付け面の溝内に固定するための手段と共に与えられ、溝に挿入された場合のインサートは、溝内に実質的に収容される。座標位置決め装置が工作機械であってよい。代わりに、座標位置決め装置が例えば座標測定器であってよい。
【0029】
インサートを座標位置決め装置の被加工物取り付け面の溝内に固定するための手段は、インサートが溝内に摩擦によって固定されるように、拡幅可能な部材を具えることができる。インサートを溝内に固定するための手段は、例えばねじまたは接着剤を具えることができる。
【0030】
本発明の第3の形態によると、座標位置決め装置の補機類に装着可能な台座は、座標位置決め装置の被加工物取り付け面の溝内に実質的に収容されるインサートに係合するための少なくとも1つの突出部材を具え、この少なくとも1つの突出部材は、インサートと係合した場合に台座を被加工物取り付け面に保持する。座標位置決め装置が工作機械であってよい。代わりに、座標位置決め装置が例えば座標測定器であってよい。
【0031】
インサートは、インサートの幅を増大させるための少なくとも1つのスペーサーまたはシムを付加的に具えることができ、いろいろな異なる寸法の溝内に嵌合して固定することができるようになっている。少なくとも1つのシムは、例えばインサートの穴へと少なくとも1つのシムを貫通する1つ以上のばねピンによって、インサート本体(または上述のインサートとして言及)に固定されることができる。シムをインサート本体に固定する他の手段が可能であることを理解されよう。
【0032】
少なくとも1つのシムを用いる場合、好都合なことにシムまたはスペーサーをインサート本体の幅方向両側に与えることができる。好ましくは、前記シムまたはスペーサーの幅が実質的に等しく、インサートの幅を両側に対して実質的に等しく増大させるようになっている。都合が良いことに、少なくとも1つのシムの長さがインサート本体の長さよりも長く、台座をインサートに取り付けた場合、台座の少なくとも1つの突出部材をシムと接触状態にもたらすことができるようになっている。
【0033】
さて、本発明の好ましい実施形態が単なる例示によって添付図面を参照しつつ記述されよう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】T溝を工作機械のベッドに持った一般的な工作機械を示す。
【図2】工作機械の補機類を工作機械のベッドのT溝を介して工作機械のベッドに固定するための周知の装置を貫く断面図を示す。
【図3】本発明によるインサートの第1の側からの立体投影図を示す。
【図4】工作機械のベッドのT溝内に配された本発明によるインサートを示す。
【図5a】本発明による第1のインサートを貫く断面図を示す。
【図5b】本発明による第2のインサートを貫く断面図を示す。
【図5c】本発明による第3のインサートを示す。
【図6】本発明による台座に装着された工具セッターの立体投影図を示す。
【図7】図3に示したインサートの隠れた部分の詳細な立体投影図を示す。
【図8a】図7に示すようにインサート40の一端の収容手段と係合する一方の突出部材のボールを示す。
【図8b】インサートの他の実施形態における収容手段を示す。
【図9】工作機械のベッドのT溝内にある本発明によるインサートと、本発明による台座に装着された工具セッターとを示す。
【図10】インサートの片側にシムを具えたインサートを示し、従ってインサートの幅が増大している。
【図11】インサートの幅を増大させるテーパー状くさびの代わりとして用いることができ、従ってインサートを摩擦によって溝に保持するドッグボーン状丸棒材を示す。
【図12】本発明による台座の内側の単純化した平面図を示す。
【図13】突出部材および図12に示した台座の内部機能の単純化した側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1を参照すると、一般的な工作機械10は、被加工物20や工具セッター22の如きあらゆる工作機械の補機類を取り付けることができるベッド16を具えている。工作機械のベッド16に形成されたT溝18は、ベッド16の幅を横切るように間隔を空けられ、その長さ方向に沿って一端から他端まで延在している。この工作機械10はまた、工具14を取り付けることができる主軸12を支持するフレーム11を具えている。
【0036】
主軸12および工作機械のベッド16は、工作機械の加工領域内の3つの直交方向X,Y,Zに相互に移動可能である。この場合、主軸12および工具14は、Z方向に移動できるのに対し、テーブルはXおよびY方向に移動することができる。このような移動は、コンピュータ,インターフェースまたは工作機械のコントローラーによって制御されるX,Y,およびZ駆動装置によってもたらされる。主軸12のそれぞれの方向における相対移動を測定するため、計測目盛読み取り装置がX,YおよびZ軸のそれぞれに与えられ、従って被加工物を機械加工するため、主軸12およびベッド16を相互に正確に相対移動させることができる。他の工作機械において、主軸12がX,YおよびZ方向に移動可能であって、ベッド16が静止したままであってよい。被加工物20に対する工具14の移動の3つの自由度を結果として生ずるあらゆる組み合わせが可能である。
【0037】
工作機械を被加工物の機械加工および測定の両方で用いることができる。被加工物を機械加工するために用いられる図1に示す工具14を測定プローブに交換して被加工物を測定するために用いることができる。工作機械を上で述べたけれども、この装置を座標測定装置の如き他の種類の座標位置決め装置に対して用いることができる。ある種の座標位置決め装置において、工具が被加工物に側方から接近する。この場合、図1に示すように、被加工物支持面が装置のベッドか、あるいは装置のベッドに対して直交する面(実際にベッドと共に移動してベッドの延在部として見なすことができる)であってよい。
【0038】
図2は、ベッド16に形成されたT溝18を介して工具セッター22を工作機械のベッド16に固定するための周知の装置を貫く断面図を示している。この装置は、工具セッター22に装着される台座22aと、2本のTボルト19と、2個のナット17とを具えている。
【0039】
Tボルト19をT溝の開いた両端の一方から滑り込ませることによって、これをT溝18の内側に位置決めすることができる。Tボルト19はT溝18内で自由であり、T溝18に沿って望ましい工具セッター22の位置へと滑らせることができる。工作機械のベッド16の表面から突出するTボルト19は、台座22aの穴15をそれぞれ貫通し、次いでナット17がそれぞれのTボルト19の端部にねじ込まれ、工具セッターを工作機械のベッドに固定する。台座22aは、これを通る多数の穴15を有し、T溝18のTボルト19とナット17とを用いて工作機械のベッド16にそれぞれ固定されることができる。
【0040】
ナットがボルトに締め付けられると、ボルトは工作機械のベッドのT溝の下側を把持し、工具セッター22を工作機械のベッドに対して固定位置に緊密に保持する。いったん工作機械のベッド16に固定されると、工具セッターの位置がすべての工具設定作業を行う前にしばしば較正される。
【0041】
工具補機類22を取り外すため、ナット17を緩めて台座22aをボルト19から持ち上げる。いったんナット17が取り外されると、工作機械のベッド16に対するボルト19の固定位置が失われ、ボルト19は再びT溝18内に緩められた状態で位置する。ユーザが工具セッター22を工作機械のベッド1に再装着することを希望する場合、ボルト19を再位置決めすると共にナット17をボルト19に再装着しなければならない。工具セッター22を交換する場合、使用者が正確にボルト19を再位置決めし、従って工具セッター22をその前の位置に再位置決めすることはできそうにない。この結果、工具セッターの位置を較正しなければならない可能性があり、毎回これが取り外されて交換され、従って工具設定作業を行うための全体的な時間が増大する。
【0042】
工具セッター22が工作機械のベッド16に対して強固に取り付けられることを確実にするための工具が必要とされ、これは利用可能である関連する工具を必要とし、工具を用いてナットおよびボルトを正しい位置に固定することは、時間の浪費の可能性がある。さらに、Tボルトが使用中でない場合、これは工作機械のベッドの上に突出する可能性があり、従って例えば被加工物の移動を妨げる可能性がある。TボルトをT溝から取り外すため、これがT溝の端部まで通路を全部滑らせる必要があるが、状況によって、これはその通路を邪魔する被加工物の如き物体のために可能ではない。
【0043】
図3は、T溝18を有する工作機械のベッド16およびインサート40の位置をT溝18内に設定するための設定装置64と共に本発明によるインサート40の第1の側面からの立体投影図を示す。この設定装置64は、ボルト60および設定板62を具えている。
【0044】
インサート40は実質的に直方体形状であり、このインサート40は、インサートの長さ方向44に沿って延在する3つの大きな面40a,40b(40cは図示せず)と、インサートの端面を形成する2つの小さな面40e(40fは図示せず)とを有する。インサートは、直方体の開いた第4の大きな面となる中空内部を有する。溝41がインサートの端面を通って設けられ、開いたインサートの第4の面との組み合わせにおいて、前記溝41は、摩擦によってインサート40をT溝内に固定するための力を受けた場合、インサートの幅が拡がることを可能にする。
【0045】
インサートの幅42は、工作機械のベッド16のT溝18内に嵌合するような寸法に作られる。インサート40がT溝18内に配された場合、インサート40の長さ方向44は、T溝18の長さ方向46に沿って延在し、インサート40の2つの反対側を向く側面40a(40cは図示せず)は、T溝18の側壁に対して実質的に平行に配される。第3の大きな面40bはT溝の開口により工作機械の加工領域にさらされた状態で配され、開口面はT溝内に隠された状態で配される。工作機械の環境に存在するあらゆる切屑がインサート内またはその周囲に捕捉されるのを防ぐため、インサート40の各面はできるだけ実質的に平坦である。インサートが溝内の正しい場所に配されていても、台座がこれと係合していない場合、インサートをインサートカバーによって覆い、例えば切屑や冷却液がインサートの係合手段や他の窪んだ領域に侵入するのを阻止することができる。
【0046】
インサート40は2つのテーパーねじ48を有し、これらのねじ頭部はインサート40の露出面40bからアクセス可能である。この同じ露出面40bは、設定装置64のボルト60を収容するための雌ねじ穴50が通る中央部52を有する。インサート40のそれぞれの端面40e(40fは図示せず)には、台座を工作機械の補機類に収容するための凹部56および突出ボール54が設けられている。
【0047】
図4は、工作機械のベッドのT溝内に配された本発明によるインサートを示す。T溝18内にインサート40を位置決めするため、ボルト60が設定板62を貫通してインサート40の雌ねじ穴50へとねじ込まれている。次に、設定板62が工作機械のベッド16に対して同一面に置かれるまで、インサート40がT溝18へと下ろされる。従ってこの位置において、インサートの露出面40bは、工作機械のベッド16と実質的に同じ高さに配されている。設定板62は、これがボルト60によってインサート40に固定される場合、これがねじ48の頭部へのアクセスを阻止しないような寸法に作られている。インサート40がT溝18内に位置する場合、テーパーねじ48が締め付けられ、従ってインサート40がT溝内に固定されるまで、インサートの幅を増大させる。次に、ボルト60および設定板62をインサート40から取り外すことができ、インサート40が工作機械の補機類の台座を収容することができるようになっている。
【0048】
他の実施形態において、インサート40の露出面40bは、せり上がった中央部52を有することができ、上述したようにT溝に対するインサート40の位置を設定する場合、中央部52が工作機械のベッド16と実質的に同じ高さに置かれると共にインサート40の露出面40bの残りの部分が工作機械のベッド16に対して実質的に下方に置かれるようになっている。
【0049】
インサート40の露出面40bが工作機械のベッドと同一面または下方に置かれるという事実は、補機類の台座がT溝にあるインサートと係合した場合、工作機械の補機類のがたつきを阻止する。工作機械の補機類が実質的に平坦なベースを有する場合、これは、従って工作機械のベッドに対してほぼぴったりと着座させることができ、結果としてより安定する。工作機械のベッドに対して同一面または下方に置かれるインサートはまた、工作機械の補機類の台座と係合していない場合、これは邪魔しないか、または容易に位置をずらせるという効果を有する。
【0050】
図5aは、本発明によるインサート40の長さ方向に沿った断面図を示し、インサート40をT溝内に固定するためのテーパーねじ48を確認することができるようになっている。ねじ48が締め付けられると、ねじの最も広い部分がインサートの露出面40bに向けて矢印aの方向に移動し、インサートの逆向きの面40a,40cを離れさせる。インサートの幅42は、図3に示す2つの逆向きの側面40a(および図示しない40c)がT溝18の側壁に接触し、従ってインサート40をT溝18内に摩擦によって固定するように増大する。
【0051】
図5bは、インサート40の第2の実施形態の幅を貫く断面図を示し、この場合、テーパーねじが2本の規格ねじ148(一方のみ示す)と、インサート40の縦の長さ方向に沿って延在するテーパー状くさび150とで置き換えられている。図5aを参照して記述したように、ねじ148を締め付けた場合、くさび150の最も幅の広い部分はインサートの露出面40bに向けて矢印bの方向に移動する。インサートの中空内部の輪郭形状160はテーパー状くさびの形状を補完し、くさびがインサート40bの露出面の方に移動した場合、インサートの逆向きの側面40a,40cが離されるようになっている。インサートの幅42は、側面を対向している図3に示した2つの逆向きの面40a(および図示しない40c)がT溝18の側壁に接触し、従ってインサート40をT溝18内に摩擦により固定するように増大する。インサートの縦の長さ方向に沿って延在するくさびを用いることにより、インサートに沿った幅の拡大が図5aに示したような2つのテーパーねじを用いる場合よりも均一になる。
【0052】
図5cは、第3のインサート240の幅を貫く断面図を示す。このインサート240は、拡幅可能なほぞブロックの形態を取る。インサート240は実質的に長方形の外側輪郭形状を有し、これは例えば工作機械のベッドのTまたはU溝210内に置かれるようになっている。インサート240の内部輪郭形状は、中空領域230がインサート240の長手方向に沿って端部から端部まで延在するようになっている。この中空領域230は、ほぞブロックインサート240に可撓性を与える。このインサート240は、インサート240の露出側の面240bから中空領域230を貫通してインサート240の第2の側の面240cまで、これを通る2つの座ぐり穴215を具えている。これら座ぐり穴215は、ねじ248を収容するようにそれぞれ形成されている。
【0053】
ねじ頭部248aと、ねじ頭部248aから延在してねじが切られたねじ軸248bとをそれぞれ具えた2本の規格ねじ248(一方のみ示す)は、インサート40の第1の側の面からインサート40に入る。ねじ248とインサート240との間のねじ頭部248aに近接するねじ軸248bの端部に隙間が与えられる。インサート240の第2の側の面240cは、ねじ軸248bの末端部において、ねじ軸248bのねじ部に螺合するような形状および寸法に作られている。
【0054】
ねじ248の締め付けは、インサート240の第2の側の面240cがねじ軸に沿ってインサート240の露出側の面240bに向けて矢印C方向に引き寄せられることをもたらす。ほぞブロックインサート240が第1の方向Yに圧縮されると、これは第2の方向Xに拡幅する。この第2の方向Xは、第1の方向Yに対して実質的に直交している。このインサート240の拡幅は、インサート240をまた例えば工作機械の溝210へと摩擦によって固定する。都合が良いことに、図5cに示したインサートの実施形態は一部品のみ有し、従ってこれは他のインサートよりも製造を安価かつ容易にすることができる。図5cの実施形態は、ねじを1つだけまたは例えば2つ以上のねじを代わりに用いることができる。
【0055】
図6は、本発明による台座24に装着された工具セッター22の立体投影図を示している。この場合の工具セッター22は接触工具セッター22である。台座24は、台座ベース26を具え、この台座ベース26は2つの部分26a,26bを有する。台座ベースの第1の部分26aは、使用中に工作機械のベッドに置かれる底面28と、台座ベースの第1の部分26aに対して固定される固定突出部材32と、台座ベースの第1の部分26aに対して移動可能な可動突出部材30とを具えている。代わりに突出部材30,32の両方を移動可能にできることは当業者にとって明白であろう。一実施形態において、台座の底面28は使用中に工作機械のベッドに置かれてその表面から突出する3つのボールを具えることができ、これは台座が工作機械のベッドに3点でのみ接触を与えることよって、より安定になるのに役立つことができる。
【0056】
可動突出部材30は、ばね31によって付勢位置へと付勢され、この付勢位置は使用中に台座が本発明によるインサートに係合することを可能にする。可動突出部材30は、ばね31の付勢力に対して取手30dにより移動可能であり、この移動は、固定突出部材32と可動突出部材30との間の間隔の増大を結果として生じ、使用中に突出部材がインサートの端縁を容易に通過できるようになっている。この場合、取手30dは可動突出部材30の一部として形成される。可動突出部材30は、ベースの第1の部分26aに板ばね30cによって装着されている。板ばね30cは、これが付勢力およびこれに対する揺動運動というよりはむしろ、可動突出部材とベースとの間のあらゆる相対移動を排除するように配される。これは、可動突出部材の位置がその付勢位置にある場合、再現可能であることを確実にする。
【0057】
固定突出部材32および(その付勢位置にある)可動突出部材30は、台座ベース26の第1の部分26aから突出し、底面28に対してほぼ直交する工具セッター22から離れて延在する。固定突出部材32および可動突出部材30は、台座ベースの第1の部分26aの底面28がT溝を覆って工作機械のベッドに配された場合、これら突出部材がT溝へと延在するように配される。突出部材の幅はT溝の幅よりもわずかに狭く、突出部材がインサートを取り囲んでT溝内に配される場合に若干の隙間を可能にする。
【0058】
台座ベースの第2の部分26bは、台座24を工具セッター22に装着するための(図示しない)装着手段を具えている。台座の第1の部分26aおよび第2の部分26bは相対移動可能であり、工具セッター22と台座ベースの第1の部分の底面28との間の相対的な傾斜角が希望に応じて調整できるようになっている。これは台座の一方側にて座金を用いて台座の第1の部分26aと第2の部分26bとの間隔をあけることによって達成され、次いで台座の2つの部分の間の傾斜角を変えるため、台座の2つの部分を相互に保持するねじを台座の反対側にて調整することができる。
【0059】
固定突出部材32および可動突出部材30は内面30a,32aをそれぞれ有し、これら内面は相互に対向している。内面30a,32aにはインサートの収容手段と係合するためのボールがそれぞれ与えられ、ボール33のほぼ半分が突出部材の内面から突出している。ボール33は突出部材の内面30a,32aに配され、突出部材がインサートに係合した場合、ボール33のそれぞれがインサートの収容手段に接触するようになっている。
【0060】
インサートがボールおよび図5aのような凹部を具えた収容手段を有する場合、インサートの端面にボールを収容するため、凹部35がそれぞれのボール33に直接隣接する突出部材に設けられる。この凹部35は、これがインサートのボールに接触するのではなく、単にこれを受け入れるように配される。
【0061】
図7は、図3に示したインサートの隠れた詳細な立体投影図を示し、インサート40の両方の端面40e,40fを見ることができるようになっている。前述したように、凹部56e,56fおよび突出ボール54e,54fが端面40e,40fのそれぞれに設けられ、台座を工作機械の補機類に収容するための収容手段を相互に形成する。ボール54e,54fのほぼ半分が端面40e,40fの表面から突出している。凹部56e,56fがボール54e,54fの一方側に直接隣接して設けられている。図7に見ることができるように、インサートの一端面40eの凹部56eは、この面の一方側に、側面40aの方にオフセットされ、他の端面40fの凹部56fは、他の側面40cの方にオフセットされている。
【0062】
図6を参照して上述したように、突出部材のボールは、インサートの端面のボールと接触するように配され、これらが凹部内に置かれるが、これに接触しないようになっている。突出部材のボールがインサートの収容部材のボールに接触する場合、突出部材のボールは、これがインサートのボールからX,YおよびZにおいて45度の角度でオフセットするまで、インサートのボールに対して相対的に滑動する。この点において、突出部材の端縁が溝の壁と接触状態にもたらされ、ボールのさらなる移動が阻止される。すべての軸における45度のボール間の接触角は、X,YおよびZにおいて等しい固定力を名目上、与える。
【0063】
図8aは、図7に示すようなインサート40の一端のボール54および凹部56を具え、収容手段と係合する突出部材の一方のボール300を示している。突出部材のボール300は、インサートのボール54に1点でのみ接触し、突出部材のボール300は凹部56に接触せず、この凹部は突出部材のボール300のための隙間として単に与えられる。凹部がない場合、ボールがインサートの端面に接触し、従って正確に配されないこととなろう。インサートが固定される溝の側壁に接触する突出部材によって、第2の接触点がインサートのそれぞれの端部に与えられ、これは図7を参照して記述したようにボールの位置を相互に固定する。
【0064】
図8bは、インサートの他の一実施形態を示し、このインサートのそれぞれの端部にて台座の突出部材の係合手段を収容するための収容手段は、逆V字形状の凹部310を具えている。突出部材の係合手段はボール300である。V字形状の凹部310はインサートの表面の中央部に与えられ、突出部材のボール300は突出部材がインサートに係合した場合、凹部310と整列するように配されている。
【0065】
インサートのそれぞれの端部での逆V字形の凹部310は、台座にある突出部材の一方のボール300に接触するための2つの接触点を与え、これは全部で4つの接触点を結果として生じ、従ってインサートに対する台座の4つの自由度を制限する。
【0066】
図8aおよび8bに示す実施形態において、5番目の自由度が一方の可動突出部材の付勢によって制限され、6番目の自由度が工作機械のベッドに対してほぼ同一平面に置かれた工具セッターの台座の底面によって制限されている。この場合、6つの自由度が制限され、台座は運動学的にインサートに配される。
【0067】
図9は、工作機械のベッド16のT溝18内の本発明によるインサート40と、本発明による台座24に装着された工具セッター22とを示している。工具セッターを工作機械のベッドに保持するため、工具セッターの台座24が工作機械のベッド16のT溝18内に固定されたインサート40の収容手段に係合される。可動突出部材30の取手30dは、可動突出部材30を固定突出部材32から離れるように移動させるため、ばね31(図6に示す)の付勢に対して動かされる。工具セッター22および台座24は、工作機械のベッド16に向けて動かされ、突出部材はインサート40の端縁を取り囲むT溝18へと通される。次に、固定突出部材32および可動突出部材30のそれぞれのボールがインサートのそれぞれの端面のボールと接触するように、可動突出部材30の取手30dが取り外される。台座は、インサートの上に容易に留められ、工具セッターを工作機械のベッドに固定する。逆の方法は、工具セッターおよび台座をインサートから取り外すために行われる。
【0068】
インサートの台座の運動学的な位置は、これを取り外した後、これをインサートの再現可能な位置に再び確実に留められることかできることが理解されよう。他の非運動学的再現可能な場所を代わりに用いることができる。
【0069】
インサートのそれぞれの端部において、突出部材のボールは、インサートの端面の凹部内に位置し(しかしながら接していない)、インサートの端面のボールは、突出部材の凹部内に位置する(が接していない)。接触する突出部材のボールがインサートの一方側に向けて押し込まれるようにボールが配され、従って突出部材をインサートが固定される溝の一方の側壁に対して押し付ける。2つの突出部材が反対方向に押し付けられ、突出部材が溝の対向する側壁に接触するようになっている。結果において、台座は溝内のインサートに対して斜めになっている。これは、さらに2つの接触点を与えると共に台座のあらゆる横方向のがた付きを排除することにより、台座をより確実に正しい場所に保持する。
【0070】
図9において、工具設定用プローブスタイラス200は、工具セッター22からT溝の長さ方向に延在している。図7,図8aおよび図8bを参照して記述したインサートの収容手段の実施形態のため、工具設定用スタイラスがT溝の長さ方向に沿って何れの方向にも延在するように、台座をT溝内に固定されたインサートに装着することができる。従って、工具設定用プローブスタイラスの位置を容易かつ迅速に180度反転させることができる。
【0071】
希望するならば、台座を工具セッターから取り外し、工具設定用プローブがT溝と直交して延在するように、その相対位置を例えば90度だけ調整することができる。工具設定用プローブがT溝の長さ方向に対して別々の角度で延在するように、工具セッターおよび台座の相対位置を調整することができる。
【0072】
図10は、インサート本体の片側にシム400を具えたインサート401を示している。従って、インサート401の幅はインサート本体の幅403から、シムを具えたインサートの幅405まで増大する。シム400は、ばねピン408によってインサート401の本体402に装着される。インサートの幅が両側で等しく増大するように、シム400は等しい幅を持っている。インサート401の幅を溝の寸法に適合させて使用者がこれを内側に固定することを望むことができるように、いろいろな幅のシム400を与えることができる。
【0073】
上述したように、インサートの端面のボール404および凹部406は、本発明による台座をインサート401に対して正確に位置決めするのに役立つ。シム400はインサート本体402の長さよりも長く、台座をインサートに位置決めした場合、2つの突出部材が逆方向に押し込まれて突出部材が両側のシム400に接触するようになっている。シム400がインサート本体よりも長くない場合、インサート本体402と共にのみ用いるための台座の突出部材は、T溝の両側に接触するような正しい寸法形状ではなくなる。この場合、T溝の側壁と接触することによって排除される特別な2つの自由度が失われて台座がインサートに運動学的に取り付けることができなくなり、さらに台座がインサートに対して横方向にがた付く可能性がある。
【0074】
図9を参照して記述したように、工具設定用スタイラスがT溝の長さ方向に沿って何れの方向にも延在するように、台座をT溝内に固定されたインサートに取り付けることができる。従って、工具設定用プローブスタイラスの位置を容易かつ迅速に180度反転させることができる。シム400が等しい幅の場合、工具セッターの位置を2つの方位の両方とも正確に認識されよう。
【0075】
図11は、インサートの幅を増大し、従ってインサートを溝に摩擦によって保持するテーパー状くさびの代わりとして用いることができるドッグボーン状の丸棒材410を示す。この棒材410は、両端にある大径の円柱部414と、これら大径部414の間の小径部412とを有する。この形状は、これがその長さ方向に沿って等しい径の丸棒材よりも機械加工が容易であるので、採用される。例えば、ドッグボーン状の丸棒材を用いた場合、シムをインサートに固定するためにばねピンを用いることができる。これは、このような形状の棒材を用いた場合、インサートの本体内にばねピンを突出させることができる空いた空間があるためである。
【0076】
図12は本発明による台座の内側の単純化した平面図を示し、図13は突出部材および図12に示した台座の内部構成の単純化した側面図を示す。台座の可動突出部材が台座の本体の内側のばね(図6に31として示す)による位置へと付勢される代わりに、可動突出部材422は、この可動突出部材422に直交して置かれて貫通する板ばね432による位置へと付勢される。可動突出部材422は、枢軸434を中心に台座本体に対して旋回する。板ばね432は、台座がインサートを越えて留められ、次いで台座がインサートの正しい位置に大ざっぱに保持されることができるように、可動突出部材が動くことを可能にする力を与える。インサートに対して正しい位置になると、レバー426を作動させることによって、台座をインサートにしっかりと装着することができる。レバー426を作動させると、ボール428をローラ430に対して押し付け(レバー本体自体を部分的に窪ませ)、次にばね424を圧縮する。ばねは、可動突出部材422の第1の端部422aを台座本体から離すように押し付け、旋回点434の周りを旋回するように可動突出部材を押し付け、従って可動突出部材の第2の端部422bをさらにインサートの方に押し付ける。次に、台座がインサートにしっかりと保持され、工作機械のベッドに対して正確に位置決めされる。台座をインサートから取り外すため、レバー426が解除位置に戻されてばね424に対する圧縮が減じられる。レバー426は、インサートに対して固定される台座を保持するために実質的に再現可能な力を与えることができ、従ってインサートに対する台座の位置を実質的に再現可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、座標位置決め装置の被加工物取り付け面に補機類を取り付けるための装置に関する。特に、本発明は工作機械の被加工物取り付け面に工作機械の補機類を取り付けるための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
座標位置決め装置は、例えば工作機械および座標測定装置を含む。典型的な工作機械は、被加工物を機械加工するための工具または被加工物を測定するためのプローブを取り付けることができる主軸と、被加工物を機械加工または測定するために支持することができる加工テーブルまたはベッドとを具える。工作機械のベッドはまた、工作機械の主軸に保持される工具の存在および位置を検出するための工具セッターの如き工作機械の補機類を支持することもできる。従来の「竪型工作機械」において、工作機械のベッドは2つの直交方向XおよびYに駆動可能であって、主軸は第3の直交方向Zに駆動され、主軸およびベッドがこの工作機械の加工領域内を移動できるようになっている。
【0003】
工作機械のベッドには、ベッドの長手方向に沿って延在する多数のT溝がしばしば設けられ、各T溝はベッドの両側にて開いた端部を有し、このようなT溝は一般的に相互に平行にベッドの幅を横切る方向に間隔をあけて延在する。さらなるT溝を前記T溝に対して直交状態で延在させることができ、それによってT溝の交差パターンを工作機械のベッドに形成する。工作機械のベッドのT溝の寸法および形状ならびにT溝と共に用いるためのTボルトおよびナットは、BS2485;1987の如き規格によって規定されている。文献1に記述されているように、工作機械の補機類を工作機械のベッドにT溝を介して従来のTボルトおよびナットを用いて固定することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】GB2098106
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の形態によると、座標位置決め装置の補機類を座標位置決め装置の被加工物取り付け面に取り付けるための装置が提供され、被加工物取り付け面はそこ形成された溝を有し、この装置は、インサートであって、溝内にこのインサートを固定するための手段を具え、そこに挿入された場合に前記溝内に実質的に収容されるインサートと、座標位置決め装置の補機類に装着可能な台座であって、前記溝内に収容された場合の前記インサートに係合し、これによって当該台座を座標位置決め装置の被加工物取り付け面に固定するための少なくとも1つの突出部材を具えた台座とを具えている。
【0006】
理解されるように、溝内に実質的に収容された場合のインサートは、座標位置決め装置の被加工物取り付け面から実質的に突出しない。溝内に実質的に収容された場合のインサートは、被加工物取り付け面と同一平面であることができる。都合が良いことに、インサートは、溝内に実質的に収容された場合、被加工物取り付け面に対して下方にある。インサートを溝内に収容した場合、このインサートの一部を溝の開口によって座標位置決め装置の作業領域に露出させることができ、この一部がインサートの露出面であってよい。
【0007】
インサートは第1そして第2の端部を有する棒状インサートであることができる。このインサートを実質的に直方体形状にすることができ、インサートは4つの長手方向の面を有することができる。代わりに、インサートは3つの長手方向の面と1つの開口面とを有することができる。このインサートの第1および第2の端部は、第1および第2の端面を有することができる。これら端面の少なくとも一方には、台座の少なくとも1つの突出部材に設けた係合手段を収容するための収容手段を設けることができる。好ましくは、第1および第2の端面の両方にこのような収容手段が設けられる。インサートは、等しい幅と長さとを代わりに有することができる。
【0008】
この装置は、例えば工作機械の補機類を工作機械の被加工物取り付け面に取り付けるためのものであってよい。代わりに、この装置は座標測定器に座標測定装置の補機類を取り付けるためのものであってよい。
【0009】
インサートを溝内に固定するための手段は、インサートが溝内に摩擦によって保持されるように、拡幅可能な部材を具えることができる。都合が良いことに、インサートを溝内に固定するための手段は1つ以上のねじを具えている。好都合なことに、1つ以上のねじは、インサートを溝内に収容した場合、インサートの露出した部分からアクセス可能な手段によって調整可能である。1つ以上のねじは1つ以上のテーパーねじであってよい。好都合なことに、インサートが棒状インサートの場合、第1のテーパーねじをインサートの第1の端部の方に配することができ、第2のテーパーねじをインサートの第2の端部の方に配することができる。インサート内の1つ以上のねじの位置を調整することができ、これらがインサートの幅を拡げてインサートを摩擦により溝に対して保持できることをもたらすようになっている。
【0010】
代わりに、1つ以上のねじが規格ねじであってよく、これらのねじが例えばテーパー状くさびへとインサート内を通される。この場合、1つ以上のねじの位置の調整はくさびの位置の調整を可能とし、インサートの幅が拡がり、 従ってインサートを溝内に保持するようになっている。テーパー状くさびの代わりとして、例えば円柱状の棒材またはドッグボーン状の丸棒材を用いることができる。
【0011】
1つ以上のねじは、ねじ頭部と、このねじ頭部から延在するねじ軸とをそれぞれ具えることができ、ねじは長手方向軸線を有することができる。1つ以上のねじの締結がインサートを少なくとも1方向に拡げることをもたらすように、インサートを形成することができる。ねじ軸がインサートの第1の側にてインサートに入るように、インサートおよびねじを配することができる。この第1の側にてねじ山とインサートとの間に隙間を与えることができる。ねじ頭部から末端側にあるねじ軸の端部を、インサートの第2の側にてインサートに係合させることができる。ねじの締結は、インサートの第2の側をインサートの第1の側の方に引き寄せ、従ってインサートを拡げることができる。ねじの長手方向軸線に対してほぼ直交方向にインサートを膨出させることができる。
【0012】
インサートを溝内に固定するための手段は、インサートの少なくとも一方の側からインサートが収容される溝の少なくとも1つの壁に向けて延在する少なくとも1つのねじか、または板を具えることができる。これは、インサートの幅を拡幅してインサートを摩擦により溝内に保持する。都合が良いことに、少なくとも1つのねじまたは板は、インサートの露出面からアクセス可能な手段によって調整可能である。
【0013】
インサートを溝内に固定するための手段は、例えば接着剤の如き他の適当な固定手段を具えることができる。
【0014】
インサートを溝内に固定するための手段は、インサートを座標位置決め装置の被加工物取り付け面に形成されたT溝内に固定するための手段を具えることができる。代わりに、インサートを溝内に固定するための手段は、インサートを座標位置決め装置の被加工物取り付け面に形成されたU字状の溝内に固定するための手段を具えることができる。好都合なことに、溝内にインサートを固定するための手段は、インサートを座標位置決め装置の被加工物取り付け面に形成されたT溝や、あるいはU字状の溝の如き種々の異なる形態の溝に固定するための手段を具えることができる。U字状の溝は、例えば、平行な側壁および直交する底面か、あるいは湾曲した底面と側壁とを有することができる。
【0015】
都合が良いことに、台座およびインサートは、インサートに対して台座の位置を実質的に再現できるように配される。台座は複数の突出部材を具えることができる。台座は2つの突出部材を具えることが好都合である。代わりに、台座は、例えば3つまたは4つの突出部材を具えることができる。インサートが棒状インサートの場合、例えば2つの突出部材を配し、一方の突出部材が棒状インサートの第1の端部に係合すると共に他方の突出部材が棒状インサートの第2の端部に係合するようにできる。特に、突出部材は他方の突出部材の方を向く内側面と、他方の突出部材から離れる方を向く外側面との2つの面をそれぞれ有することができる。都合が良いことに、突出部材の内側面の間の間隔は、インサートの長手方向の長さと実質的に等しい。
【0016】
突出部材は、インサートと係合するための係合手段を設けることができる。このような係合手段は、ボールまたはロッドの如き突起を具えることができる。この突起を突出部材の内側面から他方の突出部材に向けて突出するように配することができる。
【0017】
複数の突出部材の少なくとも1つは台座に対して移動可能であってよい。加えて、複数の突出部材の少なくとも1つを台座に対して固定することができる。2つの突出部材がある場合、一方の突出部材が台座に対して移動可能であって、他方の突出部材を台座に対して固定することが有利である。可動突出部材をばねの如き付勢部材によって第1の位置へと付勢することができ、かつこの付勢に対して第2の位置へと移動可能であってよい。代わりに、可動突出部材は、例えばこの可動突出部材を前記底面に装着するねじを調整することによって、第1の位置と第2の位置との間を移動可能であってよい。
【0018】
可動突出部材が第1の位置にある場合、突出部材の間の間隔をインサートの長手方向の長さと実質的に等しくすることができる。可動突出部材が第2の位置にある場合、突出部材の間の間隔をインサートの長手方向の長さよりも大きくすることができる。可動突出部材の移動は、突出部材をインサートに係合させるため、インサートのそれぞれの端部を避けて通ることができるように、突出部材の間の間隔を増大させることを可能にすることができる。
【0019】
台座に対して移動可能な少なくとも1つの突出部材は、手動にて移動可能な部材であってよい。この場合、少なくとも1つの可動突出部材は取手部を具えることができ、取手部に圧力を加えることによる付勢に対して動かされることができるようになっている。
【0020】
インサートは、台座の少なくとも1つの突出部材を収容するための少なくとも1つの収容手段を具えることができる。特に、このインサートは、台座の少なくとも1つの突出部材に設けた係合手段を収容するための少なくとも1つの収容手段を具えることができる。都合が良いことに、インサートは、台座の少なくとも1つの突出部材に設けた係合手段の数と等しい数の収容手段を具えている。係合手段をそれぞれ有する2つの突出部材がある場合、インサートは2つの収容手段を有することができる。インサートが第1および第2の端部を有する棒状インサートの場合、2つの収容手段の第1の収容手段をインサートの第1の端部に設けることができ、2つの収容手段の第2の収容手段をインサートの第2の端部に設けることができる。
【0021】
少なくとも一方の収容手段は、突出部材に接触するための1つの接触点を与えることができる。このような収容手段が例えば突出ボールであってよい。この突出ボールを、他のいかなる点にてインサートと接触することなく、突出部材の係合手段をボールに接触させるための隙間を与えるため、凹部に隣接して配することができる。それぞれ係合手段を有する2つの突出部材がある場合、それぞれの収容手段は、1つの係合手段に対して1つの接触点を与えることができる。この場合、台座とインサートとの係合は、インサートに対する台座の2つの自由度を制限する。
【0022】
台座の少なくとも1つの突出部材をインサートと係合する動作は、台座の少なくとも1つの突出部材をインサートが収容される溝の少なくとも1つの壁に対して付勢することを可能にする。突出部材が2つ以上ある場合、これらの突出部材を同じ壁か、または異なる壁に対して付勢することができる。溝の壁に対してそれぞれ付勢される2つの突出部材がある場合、台座とインサートとの間の2つのさらなる自由度を制限することができる。
【0023】
少なくとも1つの収容手段は、突出部材に接するために2つの接触点を与えることができる。このような収容手段は、例えばV字形状の凹部であってよい。2つの収容手段と係合手段をそれぞれ有する2つの突出部材がある場合、1つの係合手段に対して2つの接触点をそれぞれの収容手段に与えることができる。この場合、台座とインサートとの係合がインサートに対する台座の4つの自由度を制限する。
【0024】
台座がインサートと係合する場合、被加工物取り付け面に接触する台座の表面によって、台座とインサートとの間の1自由度を制限することができ、インサートが固定される。一方の突出部材が台座に対して移動可能な場合、この可動突出部材をインサートと接触するように付勢することにより、台座とインサートとの間の他の自由度を制限することができる。
【0025】
台座とインサートとの間の6つの自由度を制限する場合、台座を運動学的に配することができる。
【0026】
この装置は、台座に装着される座標位置決め装置の補機類をさらに具えることができる。この座標位置決め装置の補機類は測定プローブを具えることができる。好都合なことに、座標位置決め装置の補機類は工作機械の補機類であり、この工作機械の補機類は例えば工具セッターを具えることができる。
【0027】
この装置は、座標位置決め装置の補機類を座標位置決め装置のベッドの被加工物取り付け面や、あるいはパレットの被加工物取り付け面に取り付けるための装置であってよい。記述された装置は、例えば工作機械の補機類を工作機械のベッドや、あるいはパレットの被加工物取り付け面に取り付けるための装置であってよい。
【0028】
本発明の第2の形態によると、インサートがこのインサートを座標位置決め装置の被加工物取り付け面の溝内に固定するための手段と共に与えられ、溝に挿入された場合のインサートは、溝内に実質的に収容される。座標位置決め装置が工作機械であってよい。代わりに、座標位置決め装置が例えば座標測定器であってよい。
【0029】
インサートを座標位置決め装置の被加工物取り付け面の溝内に固定するための手段は、インサートが溝内に摩擦によって固定されるように、拡幅可能な部材を具えることができる。インサートを溝内に固定するための手段は、例えばねじまたは接着剤を具えることができる。
【0030】
本発明の第3の形態によると、座標位置決め装置の補機類に装着可能な台座は、座標位置決め装置の被加工物取り付け面の溝内に実質的に収容されるインサートに係合するための少なくとも1つの突出部材を具え、この少なくとも1つの突出部材は、インサートと係合した場合に台座を被加工物取り付け面に保持する。座標位置決め装置が工作機械であってよい。代わりに、座標位置決め装置が例えば座標測定器であってよい。
【0031】
インサートは、インサートの幅を増大させるための少なくとも1つのスペーサーまたはシムを付加的に具えることができ、いろいろな異なる寸法の溝内に嵌合して固定することができるようになっている。少なくとも1つのシムは、例えばインサートの穴へと少なくとも1つのシムを貫通する1つ以上のばねピンによって、インサート本体(または上述のインサートとして言及)に固定されることができる。シムをインサート本体に固定する他の手段が可能であることを理解されよう。
【0032】
少なくとも1つのシムを用いる場合、好都合なことにシムまたはスペーサーをインサート本体の幅方向両側に与えることができる。好ましくは、前記シムまたはスペーサーの幅が実質的に等しく、インサートの幅を両側に対して実質的に等しく増大させるようになっている。都合が良いことに、少なくとも1つのシムの長さがインサート本体の長さよりも長く、台座をインサートに取り付けた場合、台座の少なくとも1つの突出部材をシムと接触状態にもたらすことができるようになっている。
【0033】
さて、本発明の好ましい実施形態が単なる例示によって添付図面を参照しつつ記述されよう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】T溝を工作機械のベッドに持った一般的な工作機械を示す。
【図2】工作機械の補機類を工作機械のベッドのT溝を介して工作機械のベッドに固定するための周知の装置を貫く断面図を示す。
【図3】本発明によるインサートの第1の側からの立体投影図を示す。
【図4】工作機械のベッドのT溝内に配された本発明によるインサートを示す。
【図5a】本発明による第1のインサートを貫く断面図を示す。
【図5b】本発明による第2のインサートを貫く断面図を示す。
【図5c】本発明による第3のインサートを示す。
【図6】本発明による台座に装着された工具セッターの立体投影図を示す。
【図7】図3に示したインサートの隠れた部分の詳細な立体投影図を示す。
【図8a】図7に示すようにインサート40の一端の収容手段と係合する一方の突出部材のボールを示す。
【図8b】インサートの他の実施形態における収容手段を示す。
【図9】工作機械のベッドのT溝内にある本発明によるインサートと、本発明による台座に装着された工具セッターとを示す。
【図10】インサートの片側にシムを具えたインサートを示し、従ってインサートの幅が増大している。
【図11】インサートの幅を増大させるテーパー状くさびの代わりとして用いることができ、従ってインサートを摩擦によって溝に保持するドッグボーン状丸棒材を示す。
【図12】本発明による台座の内側の単純化した平面図を示す。
【図13】突出部材および図12に示した台座の内部機能の単純化した側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1を参照すると、一般的な工作機械10は、被加工物20や工具セッター22の如きあらゆる工作機械の補機類を取り付けることができるベッド16を具えている。工作機械のベッド16に形成されたT溝18は、ベッド16の幅を横切るように間隔を空けられ、その長さ方向に沿って一端から他端まで延在している。この工作機械10はまた、工具14を取り付けることができる主軸12を支持するフレーム11を具えている。
【0036】
主軸12および工作機械のベッド16は、工作機械の加工領域内の3つの直交方向X,Y,Zに相互に移動可能である。この場合、主軸12および工具14は、Z方向に移動できるのに対し、テーブルはXおよびY方向に移動することができる。このような移動は、コンピュータ,インターフェースまたは工作機械のコントローラーによって制御されるX,Y,およびZ駆動装置によってもたらされる。主軸12のそれぞれの方向における相対移動を測定するため、計測目盛読み取り装置がX,YおよびZ軸のそれぞれに与えられ、従って被加工物を機械加工するため、主軸12およびベッド16を相互に正確に相対移動させることができる。他の工作機械において、主軸12がX,YおよびZ方向に移動可能であって、ベッド16が静止したままであってよい。被加工物20に対する工具14の移動の3つの自由度を結果として生ずるあらゆる組み合わせが可能である。
【0037】
工作機械を被加工物の機械加工および測定の両方で用いることができる。被加工物を機械加工するために用いられる図1に示す工具14を測定プローブに交換して被加工物を測定するために用いることができる。工作機械を上で述べたけれども、この装置を座標測定装置の如き他の種類の座標位置決め装置に対して用いることができる。ある種の座標位置決め装置において、工具が被加工物に側方から接近する。この場合、図1に示すように、被加工物支持面が装置のベッドか、あるいは装置のベッドに対して直交する面(実際にベッドと共に移動してベッドの延在部として見なすことができる)であってよい。
【0038】
図2は、ベッド16に形成されたT溝18を介して工具セッター22を工作機械のベッド16に固定するための周知の装置を貫く断面図を示している。この装置は、工具セッター22に装着される台座22aと、2本のTボルト19と、2個のナット17とを具えている。
【0039】
Tボルト19をT溝の開いた両端の一方から滑り込ませることによって、これをT溝18の内側に位置決めすることができる。Tボルト19はT溝18内で自由であり、T溝18に沿って望ましい工具セッター22の位置へと滑らせることができる。工作機械のベッド16の表面から突出するTボルト19は、台座22aの穴15をそれぞれ貫通し、次いでナット17がそれぞれのTボルト19の端部にねじ込まれ、工具セッターを工作機械のベッドに固定する。台座22aは、これを通る多数の穴15を有し、T溝18のTボルト19とナット17とを用いて工作機械のベッド16にそれぞれ固定されることができる。
【0040】
ナットがボルトに締め付けられると、ボルトは工作機械のベッドのT溝の下側を把持し、工具セッター22を工作機械のベッドに対して固定位置に緊密に保持する。いったん工作機械のベッド16に固定されると、工具セッターの位置がすべての工具設定作業を行う前にしばしば較正される。
【0041】
工具補機類22を取り外すため、ナット17を緩めて台座22aをボルト19から持ち上げる。いったんナット17が取り外されると、工作機械のベッド16に対するボルト19の固定位置が失われ、ボルト19は再びT溝18内に緩められた状態で位置する。ユーザが工具セッター22を工作機械のベッド1に再装着することを希望する場合、ボルト19を再位置決めすると共にナット17をボルト19に再装着しなければならない。工具セッター22を交換する場合、使用者が正確にボルト19を再位置決めし、従って工具セッター22をその前の位置に再位置決めすることはできそうにない。この結果、工具セッターの位置を較正しなければならない可能性があり、毎回これが取り外されて交換され、従って工具設定作業を行うための全体的な時間が増大する。
【0042】
工具セッター22が工作機械のベッド16に対して強固に取り付けられることを確実にするための工具が必要とされ、これは利用可能である関連する工具を必要とし、工具を用いてナットおよびボルトを正しい位置に固定することは、時間の浪費の可能性がある。さらに、Tボルトが使用中でない場合、これは工作機械のベッドの上に突出する可能性があり、従って例えば被加工物の移動を妨げる可能性がある。TボルトをT溝から取り外すため、これがT溝の端部まで通路を全部滑らせる必要があるが、状況によって、これはその通路を邪魔する被加工物の如き物体のために可能ではない。
【0043】
図3は、T溝18を有する工作機械のベッド16およびインサート40の位置をT溝18内に設定するための設定装置64と共に本発明によるインサート40の第1の側面からの立体投影図を示す。この設定装置64は、ボルト60および設定板62を具えている。
【0044】
インサート40は実質的に直方体形状であり、このインサート40は、インサートの長さ方向44に沿って延在する3つの大きな面40a,40b(40cは図示せず)と、インサートの端面を形成する2つの小さな面40e(40fは図示せず)とを有する。インサートは、直方体の開いた第4の大きな面となる中空内部を有する。溝41がインサートの端面を通って設けられ、開いたインサートの第4の面との組み合わせにおいて、前記溝41は、摩擦によってインサート40をT溝内に固定するための力を受けた場合、インサートの幅が拡がることを可能にする。
【0045】
インサートの幅42は、工作機械のベッド16のT溝18内に嵌合するような寸法に作られる。インサート40がT溝18内に配された場合、インサート40の長さ方向44は、T溝18の長さ方向46に沿って延在し、インサート40の2つの反対側を向く側面40a(40cは図示せず)は、T溝18の側壁に対して実質的に平行に配される。第3の大きな面40bはT溝の開口により工作機械の加工領域にさらされた状態で配され、開口面はT溝内に隠された状態で配される。工作機械の環境に存在するあらゆる切屑がインサート内またはその周囲に捕捉されるのを防ぐため、インサート40の各面はできるだけ実質的に平坦である。インサートが溝内の正しい場所に配されていても、台座がこれと係合していない場合、インサートをインサートカバーによって覆い、例えば切屑や冷却液がインサートの係合手段や他の窪んだ領域に侵入するのを阻止することができる。
【0046】
インサート40は2つのテーパーねじ48を有し、これらのねじ頭部はインサート40の露出面40bからアクセス可能である。この同じ露出面40bは、設定装置64のボルト60を収容するための雌ねじ穴50が通る中央部52を有する。インサート40のそれぞれの端面40e(40fは図示せず)には、台座を工作機械の補機類に収容するための凹部56および突出ボール54が設けられている。
【0047】
図4は、工作機械のベッドのT溝内に配された本発明によるインサートを示す。T溝18内にインサート40を位置決めするため、ボルト60が設定板62を貫通してインサート40の雌ねじ穴50へとねじ込まれている。次に、設定板62が工作機械のベッド16に対して同一面に置かれるまで、インサート40がT溝18へと下ろされる。従ってこの位置において、インサートの露出面40bは、工作機械のベッド16と実質的に同じ高さに配されている。設定板62は、これがボルト60によってインサート40に固定される場合、これがねじ48の頭部へのアクセスを阻止しないような寸法に作られている。インサート40がT溝18内に位置する場合、テーパーねじ48が締め付けられ、従ってインサート40がT溝内に固定されるまで、インサートの幅を増大させる。次に、ボルト60および設定板62をインサート40から取り外すことができ、インサート40が工作機械の補機類の台座を収容することができるようになっている。
【0048】
他の実施形態において、インサート40の露出面40bは、せり上がった中央部52を有することができ、上述したようにT溝に対するインサート40の位置を設定する場合、中央部52が工作機械のベッド16と実質的に同じ高さに置かれると共にインサート40の露出面40bの残りの部分が工作機械のベッド16に対して実質的に下方に置かれるようになっている。
【0049】
インサート40の露出面40bが工作機械のベッドと同一面または下方に置かれるという事実は、補機類の台座がT溝にあるインサートと係合した場合、工作機械の補機類のがたつきを阻止する。工作機械の補機類が実質的に平坦なベースを有する場合、これは、従って工作機械のベッドに対してほぼぴったりと着座させることができ、結果としてより安定する。工作機械のベッドに対して同一面または下方に置かれるインサートはまた、工作機械の補機類の台座と係合していない場合、これは邪魔しないか、または容易に位置をずらせるという効果を有する。
【0050】
図5aは、本発明によるインサート40の長さ方向に沿った断面図を示し、インサート40をT溝内に固定するためのテーパーねじ48を確認することができるようになっている。ねじ48が締め付けられると、ねじの最も広い部分がインサートの露出面40bに向けて矢印aの方向に移動し、インサートの逆向きの面40a,40cを離れさせる。インサートの幅42は、図3に示す2つの逆向きの側面40a(および図示しない40c)がT溝18の側壁に接触し、従ってインサート40をT溝18内に摩擦によって固定するように増大する。
【0051】
図5bは、インサート40の第2の実施形態の幅を貫く断面図を示し、この場合、テーパーねじが2本の規格ねじ148(一方のみ示す)と、インサート40の縦の長さ方向に沿って延在するテーパー状くさび150とで置き換えられている。図5aを参照して記述したように、ねじ148を締め付けた場合、くさび150の最も幅の広い部分はインサートの露出面40bに向けて矢印bの方向に移動する。インサートの中空内部の輪郭形状160はテーパー状くさびの形状を補完し、くさびがインサート40bの露出面の方に移動した場合、インサートの逆向きの側面40a,40cが離されるようになっている。インサートの幅42は、側面を対向している図3に示した2つの逆向きの面40a(および図示しない40c)がT溝18の側壁に接触し、従ってインサート40をT溝18内に摩擦により固定するように増大する。インサートの縦の長さ方向に沿って延在するくさびを用いることにより、インサートに沿った幅の拡大が図5aに示したような2つのテーパーねじを用いる場合よりも均一になる。
【0052】
図5cは、第3のインサート240の幅を貫く断面図を示す。このインサート240は、拡幅可能なほぞブロックの形態を取る。インサート240は実質的に長方形の外側輪郭形状を有し、これは例えば工作機械のベッドのTまたはU溝210内に置かれるようになっている。インサート240の内部輪郭形状は、中空領域230がインサート240の長手方向に沿って端部から端部まで延在するようになっている。この中空領域230は、ほぞブロックインサート240に可撓性を与える。このインサート240は、インサート240の露出側の面240bから中空領域230を貫通してインサート240の第2の側の面240cまで、これを通る2つの座ぐり穴215を具えている。これら座ぐり穴215は、ねじ248を収容するようにそれぞれ形成されている。
【0053】
ねじ頭部248aと、ねじ頭部248aから延在してねじが切られたねじ軸248bとをそれぞれ具えた2本の規格ねじ248(一方のみ示す)は、インサート40の第1の側の面からインサート40に入る。ねじ248とインサート240との間のねじ頭部248aに近接するねじ軸248bの端部に隙間が与えられる。インサート240の第2の側の面240cは、ねじ軸248bの末端部において、ねじ軸248bのねじ部に螺合するような形状および寸法に作られている。
【0054】
ねじ248の締め付けは、インサート240の第2の側の面240cがねじ軸に沿ってインサート240の露出側の面240bに向けて矢印C方向に引き寄せられることをもたらす。ほぞブロックインサート240が第1の方向Yに圧縮されると、これは第2の方向Xに拡幅する。この第2の方向Xは、第1の方向Yに対して実質的に直交している。このインサート240の拡幅は、インサート240をまた例えば工作機械の溝210へと摩擦によって固定する。都合が良いことに、図5cに示したインサートの実施形態は一部品のみ有し、従ってこれは他のインサートよりも製造を安価かつ容易にすることができる。図5cの実施形態は、ねじを1つだけまたは例えば2つ以上のねじを代わりに用いることができる。
【0055】
図6は、本発明による台座24に装着された工具セッター22の立体投影図を示している。この場合の工具セッター22は接触工具セッター22である。台座24は、台座ベース26を具え、この台座ベース26は2つの部分26a,26bを有する。台座ベースの第1の部分26aは、使用中に工作機械のベッドに置かれる底面28と、台座ベースの第1の部分26aに対して固定される固定突出部材32と、台座ベースの第1の部分26aに対して移動可能な可動突出部材30とを具えている。代わりに突出部材30,32の両方を移動可能にできることは当業者にとって明白であろう。一実施形態において、台座の底面28は使用中に工作機械のベッドに置かれてその表面から突出する3つのボールを具えることができ、これは台座が工作機械のベッドに3点でのみ接触を与えることよって、より安定になるのに役立つことができる。
【0056】
可動突出部材30は、ばね31によって付勢位置へと付勢され、この付勢位置は使用中に台座が本発明によるインサートに係合することを可能にする。可動突出部材30は、ばね31の付勢力に対して取手30dにより移動可能であり、この移動は、固定突出部材32と可動突出部材30との間の間隔の増大を結果として生じ、使用中に突出部材がインサートの端縁を容易に通過できるようになっている。この場合、取手30dは可動突出部材30の一部として形成される。可動突出部材30は、ベースの第1の部分26aに板ばね30cによって装着されている。板ばね30cは、これが付勢力およびこれに対する揺動運動というよりはむしろ、可動突出部材とベースとの間のあらゆる相対移動を排除するように配される。これは、可動突出部材の位置がその付勢位置にある場合、再現可能であることを確実にする。
【0057】
固定突出部材32および(その付勢位置にある)可動突出部材30は、台座ベース26の第1の部分26aから突出し、底面28に対してほぼ直交する工具セッター22から離れて延在する。固定突出部材32および可動突出部材30は、台座ベースの第1の部分26aの底面28がT溝を覆って工作機械のベッドに配された場合、これら突出部材がT溝へと延在するように配される。突出部材の幅はT溝の幅よりもわずかに狭く、突出部材がインサートを取り囲んでT溝内に配される場合に若干の隙間を可能にする。
【0058】
台座ベースの第2の部分26bは、台座24を工具セッター22に装着するための(図示しない)装着手段を具えている。台座の第1の部分26aおよび第2の部分26bは相対移動可能であり、工具セッター22と台座ベースの第1の部分の底面28との間の相対的な傾斜角が希望に応じて調整できるようになっている。これは台座の一方側にて座金を用いて台座の第1の部分26aと第2の部分26bとの間隔をあけることによって達成され、次いで台座の2つの部分の間の傾斜角を変えるため、台座の2つの部分を相互に保持するねじを台座の反対側にて調整することができる。
【0059】
固定突出部材32および可動突出部材30は内面30a,32aをそれぞれ有し、これら内面は相互に対向している。内面30a,32aにはインサートの収容手段と係合するためのボールがそれぞれ与えられ、ボール33のほぼ半分が突出部材の内面から突出している。ボール33は突出部材の内面30a,32aに配され、突出部材がインサートに係合した場合、ボール33のそれぞれがインサートの収容手段に接触するようになっている。
【0060】
インサートがボールおよび図5aのような凹部を具えた収容手段を有する場合、インサートの端面にボールを収容するため、凹部35がそれぞれのボール33に直接隣接する突出部材に設けられる。この凹部35は、これがインサートのボールに接触するのではなく、単にこれを受け入れるように配される。
【0061】
図7は、図3に示したインサートの隠れた詳細な立体投影図を示し、インサート40の両方の端面40e,40fを見ることができるようになっている。前述したように、凹部56e,56fおよび突出ボール54e,54fが端面40e,40fのそれぞれに設けられ、台座を工作機械の補機類に収容するための収容手段を相互に形成する。ボール54e,54fのほぼ半分が端面40e,40fの表面から突出している。凹部56e,56fがボール54e,54fの一方側に直接隣接して設けられている。図7に見ることができるように、インサートの一端面40eの凹部56eは、この面の一方側に、側面40aの方にオフセットされ、他の端面40fの凹部56fは、他の側面40cの方にオフセットされている。
【0062】
図6を参照して上述したように、突出部材のボールは、インサートの端面のボールと接触するように配され、これらが凹部内に置かれるが、これに接触しないようになっている。突出部材のボールがインサートの収容部材のボールに接触する場合、突出部材のボールは、これがインサートのボールからX,YおよびZにおいて45度の角度でオフセットするまで、インサートのボールに対して相対的に滑動する。この点において、突出部材の端縁が溝の壁と接触状態にもたらされ、ボールのさらなる移動が阻止される。すべての軸における45度のボール間の接触角は、X,YおよびZにおいて等しい固定力を名目上、与える。
【0063】
図8aは、図7に示すようなインサート40の一端のボール54および凹部56を具え、収容手段と係合する突出部材の一方のボール300を示している。突出部材のボール300は、インサートのボール54に1点でのみ接触し、突出部材のボール300は凹部56に接触せず、この凹部は突出部材のボール300のための隙間として単に与えられる。凹部がない場合、ボールがインサートの端面に接触し、従って正確に配されないこととなろう。インサートが固定される溝の側壁に接触する突出部材によって、第2の接触点がインサートのそれぞれの端部に与えられ、これは図7を参照して記述したようにボールの位置を相互に固定する。
【0064】
図8bは、インサートの他の一実施形態を示し、このインサートのそれぞれの端部にて台座の突出部材の係合手段を収容するための収容手段は、逆V字形状の凹部310を具えている。突出部材の係合手段はボール300である。V字形状の凹部310はインサートの表面の中央部に与えられ、突出部材のボール300は突出部材がインサートに係合した場合、凹部310と整列するように配されている。
【0065】
インサートのそれぞれの端部での逆V字形の凹部310は、台座にある突出部材の一方のボール300に接触するための2つの接触点を与え、これは全部で4つの接触点を結果として生じ、従ってインサートに対する台座の4つの自由度を制限する。
【0066】
図8aおよび8bに示す実施形態において、5番目の自由度が一方の可動突出部材の付勢によって制限され、6番目の自由度が工作機械のベッドに対してほぼ同一平面に置かれた工具セッターの台座の底面によって制限されている。この場合、6つの自由度が制限され、台座は運動学的にインサートに配される。
【0067】
図9は、工作機械のベッド16のT溝18内の本発明によるインサート40と、本発明による台座24に装着された工具セッター22とを示している。工具セッターを工作機械のベッドに保持するため、工具セッターの台座24が工作機械のベッド16のT溝18内に固定されたインサート40の収容手段に係合される。可動突出部材30の取手30dは、可動突出部材30を固定突出部材32から離れるように移動させるため、ばね31(図6に示す)の付勢に対して動かされる。工具セッター22および台座24は、工作機械のベッド16に向けて動かされ、突出部材はインサート40の端縁を取り囲むT溝18へと通される。次に、固定突出部材32および可動突出部材30のそれぞれのボールがインサートのそれぞれの端面のボールと接触するように、可動突出部材30の取手30dが取り外される。台座は、インサートの上に容易に留められ、工具セッターを工作機械のベッドに固定する。逆の方法は、工具セッターおよび台座をインサートから取り外すために行われる。
【0068】
インサートの台座の運動学的な位置は、これを取り外した後、これをインサートの再現可能な位置に再び確実に留められることかできることが理解されよう。他の非運動学的再現可能な場所を代わりに用いることができる。
【0069】
インサートのそれぞれの端部において、突出部材のボールは、インサートの端面の凹部内に位置し(しかしながら接していない)、インサートの端面のボールは、突出部材の凹部内に位置する(が接していない)。接触する突出部材のボールがインサートの一方側に向けて押し込まれるようにボールが配され、従って突出部材をインサートが固定される溝の一方の側壁に対して押し付ける。2つの突出部材が反対方向に押し付けられ、突出部材が溝の対向する側壁に接触するようになっている。結果において、台座は溝内のインサートに対して斜めになっている。これは、さらに2つの接触点を与えると共に台座のあらゆる横方向のがた付きを排除することにより、台座をより確実に正しい場所に保持する。
【0070】
図9において、工具設定用プローブスタイラス200は、工具セッター22からT溝の長さ方向に延在している。図7,図8aおよび図8bを参照して記述したインサートの収容手段の実施形態のため、工具設定用スタイラスがT溝の長さ方向に沿って何れの方向にも延在するように、台座をT溝内に固定されたインサートに装着することができる。従って、工具設定用プローブスタイラスの位置を容易かつ迅速に180度反転させることができる。
【0071】
希望するならば、台座を工具セッターから取り外し、工具設定用プローブがT溝と直交して延在するように、その相対位置を例えば90度だけ調整することができる。工具設定用プローブがT溝の長さ方向に対して別々の角度で延在するように、工具セッターおよび台座の相対位置を調整することができる。
【0072】
図10は、インサート本体の片側にシム400を具えたインサート401を示している。従って、インサート401の幅はインサート本体の幅403から、シムを具えたインサートの幅405まで増大する。シム400は、ばねピン408によってインサート401の本体402に装着される。インサートの幅が両側で等しく増大するように、シム400は等しい幅を持っている。インサート401の幅を溝の寸法に適合させて使用者がこれを内側に固定することを望むことができるように、いろいろな幅のシム400を与えることができる。
【0073】
上述したように、インサートの端面のボール404および凹部406は、本発明による台座をインサート401に対して正確に位置決めするのに役立つ。シム400はインサート本体402の長さよりも長く、台座をインサートに位置決めした場合、2つの突出部材が逆方向に押し込まれて突出部材が両側のシム400に接触するようになっている。シム400がインサート本体よりも長くない場合、インサート本体402と共にのみ用いるための台座の突出部材は、T溝の両側に接触するような正しい寸法形状ではなくなる。この場合、T溝の側壁と接触することによって排除される特別な2つの自由度が失われて台座がインサートに運動学的に取り付けることができなくなり、さらに台座がインサートに対して横方向にがた付く可能性がある。
【0074】
図9を参照して記述したように、工具設定用スタイラスがT溝の長さ方向に沿って何れの方向にも延在するように、台座をT溝内に固定されたインサートに取り付けることができる。従って、工具設定用プローブスタイラスの位置を容易かつ迅速に180度反転させることができる。シム400が等しい幅の場合、工具セッターの位置を2つの方位の両方とも正確に認識されよう。
【0075】
図11は、インサートの幅を増大し、従ってインサートを溝に摩擦によって保持するテーパー状くさびの代わりとして用いることができるドッグボーン状の丸棒材410を示す。この棒材410は、両端にある大径の円柱部414と、これら大径部414の間の小径部412とを有する。この形状は、これがその長さ方向に沿って等しい径の丸棒材よりも機械加工が容易であるので、採用される。例えば、ドッグボーン状の丸棒材を用いた場合、シムをインサートに固定するためにばねピンを用いることができる。これは、このような形状の棒材を用いた場合、インサートの本体内にばねピンを突出させることができる空いた空間があるためである。
【0076】
図12は本発明による台座の内側の単純化した平面図を示し、図13は突出部材および図12に示した台座の内部構成の単純化した側面図を示す。台座の可動突出部材が台座の本体の内側のばね(図6に31として示す)による位置へと付勢される代わりに、可動突出部材422は、この可動突出部材422に直交して置かれて貫通する板ばね432による位置へと付勢される。可動突出部材422は、枢軸434を中心に台座本体に対して旋回する。板ばね432は、台座がインサートを越えて留められ、次いで台座がインサートの正しい位置に大ざっぱに保持されることができるように、可動突出部材が動くことを可能にする力を与える。インサートに対して正しい位置になると、レバー426を作動させることによって、台座をインサートにしっかりと装着することができる。レバー426を作動させると、ボール428をローラ430に対して押し付け(レバー本体自体を部分的に窪ませ)、次にばね424を圧縮する。ばねは、可動突出部材422の第1の端部422aを台座本体から離すように押し付け、旋回点434の周りを旋回するように可動突出部材を押し付け、従って可動突出部材の第2の端部422bをさらにインサートの方に押し付ける。次に、台座がインサートにしっかりと保持され、工作機械のベッドに対して正確に位置決めされる。台座をインサートから取り外すため、レバー426が解除位置に戻されてばね424に対する圧縮が減じられる。レバー426は、インサートに対して固定される台座を保持するために実質的に再現可能な力を与えることができ、従ってインサートに対する台座の位置を実質的に再現可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座標位置決め装置の補機類を座標位置決め装置の被加工物取り付け面に取り付けるための装置であって、被加工物取り付け面がそこに形成された溝を有し、
インサートであって、溝内にこのインサートを固定するための手段を具え、そこに挿入された場合に前記溝内に実質的に収容されるインサートと、
座標位置決め装置の補機類に装着可能な台座であって、前記溝内に収容された場合の前記インサートに係合し、これによって当該台座を座標位置決め装置の被加工物取り付け面に固定するための少なくとも1つの突出部材を具えた台座と
を具えたことを特徴とする装置。
【請求項2】
工作機械の補機類を工作機械の被加工物取り付け面に取り付けるための請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記インサートを溝内に固定するための前記手段が拡幅可能な部材を具え、前記インサートは摩擦により前記溝内に保持されるようになっていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記インサートを溝内に固定するための前記手段が1つ以上のねじを具えたことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の装置。
【請求項5】
前記インサートを溝内に固定するための前記手段が接着剤を具えたことを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の装置。
【請求項6】
前記インサートを溝内に固定するための前記手段が前記インサートを工作機械の被加工物取り付け面に形成されたT溝内に固定するための手段を具えたことを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の装置。
【請求項7】
前記インサートを溝内に固定するための前記手段が前記インサートを工作機械の被加工物取り付け面に形成されたU字状の溝内に固定するための手段を具えたことを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の装置。
【請求項8】
前記台座が複数の突出部材を具えたことを特徴とする請求項1から請求項7の何れかに記載の装置。
【請求項9】
前記台座が2つの突出部材を具えたことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記複数の突出部材の少なくとも1つが前記台座に関して移動可能であることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記台座に関して移動可能な前記少なくとも1つの突出部材が手動で移動可能な部材であることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記複数の突出部材の少なくとも1つが前記台座に関して固定されることを特徴とする請求項8から請求項11の何れかに記載の装置。
【請求項13】
前記台座の前記少なくとも1つの突出部材を前記インサートに係合させる動作は、前記台座を前記被加工物取り付け面との接触状態へと付勢することを特徴とする請求項1から請求項12の何れかに記載の装置。
【請求項14】
前記インサートが第1および第2の端部を有する棒状インサートであることを特徴とする請求項1から請求項13の何れかに記載の装置。
【請求項15】
前記インサートは前記台座の前記少なくとも1つの突出部材を受けるための少なくとも1つの収容手段を具えたことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記インサートが2つの収容手段を具え、第1の前記収容手段が前記インサートの第1の端部に設けられると共に前記第2の収容手段が前記インサートの第2の端部に設けられていることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つの収容手段が1つの接触点をもたらすことを特徴とする請求項15または請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記少なくとも1つの収容手段が2つの接触点をもたらすことを特徴とする請求項15または請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記台座の前記少なくとも1つの突出部材を前記インサートに係合させる動作は、前記台座の前記少なくとも1つの突出部材を前記インサートが収容される溝の少なくとも1つの壁に対して付勢することを特徴とする請求項1から請求項18の何れかに記載の装置。
【請求項20】
前記台座に装着される座標位置決め装置の補機類を具え、この座標位置決め装置の補機類が工具セッターを具えたことを特徴とする請求項1から請求項19の何れかに記載の装置。
【請求項21】
前記台座に装着される座標位置決め装置の補機類を具え、この座標位置決め装置の補機類が測定プローブを具えたことを特徴とする請求項1から請求項20の何れかに記載の装置。
【請求項22】
座標位置決め装置の補機類を座標位置決め装置のベッドの被加工物取り付け面に取り付けるためのものであることを特徴とする請求項1から請求項21の何れかに記載の装置。
【請求項23】
座標位置決め装置の補機類をパレットの被加工物取り付け面に取り付けるためのものであることを特徴とする請求項1から請求項21の何れかに記載の装置。
【請求項24】
座標位置決め装置の被加工物取り付け面の溝内に固定するための手段を有するインサートであって、そこに挿入された場合に前記溝内に実質的に収容されることを特徴とするインサート。
【請求項25】
インサートを工作機械の被加工物取り付け面の溝内に固定するための手段を有することを特徴とする請求項24に記載のインサート。
【請求項26】
インサートを座標位置決め装置の被加工物取り付け面の溝内に固定するための前記手段が拡幅可能な部材を具え、インサートが摩擦によって前記溝内に固定されるようになっていることを特徴とする請求項24または請求項25に記載のインサート。
【請求項27】
インサートを溝内に固定するための前記手段がねじを具えたことを特徴とする請求項24から請求項26の何れかに記載のインサート。
【請求項28】
インサートを溝内に固定するための前記手段が接着剤を具えたことを特徴とする請求項24から請求項27の何れかに記載のインサート。
【請求項29】
工作機械の補機類に装着可能な台座であって、この台座は、座標位置決め装置の被加工物取り付け面の溝内に実質的に収容されるインサートを係合するための少なくとも1つの突出部材を具え、この少なくとも1つの突出部材は、インサートと係合した場合に台座を前記被加工物取り付け面に保持することを特徴とする台座。
【請求項30】
工作機械の被加工物取り付け面の溝内に実質的に収容されたインサートに係合するための少なくとも1つの突出部材を具えたことを特徴とする請求項29に記載の台座。
【請求項1】
座標位置決め装置の補機類を座標位置決め装置の被加工物取り付け面に取り付けるための装置であって、被加工物取り付け面がそこに形成された溝を有し、
インサートであって、溝内にこのインサートを固定するための手段を具え、そこに挿入された場合に前記溝内に実質的に収容されるインサートと、
座標位置決め装置の補機類に装着可能な台座であって、前記溝内に収容された場合の前記インサートに係合し、これによって当該台座を座標位置決め装置の被加工物取り付け面に固定するための少なくとも1つの突出部材を具えた台座と
を具えたことを特徴とする装置。
【請求項2】
工作機械の補機類を工作機械の被加工物取り付け面に取り付けるための請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記インサートを溝内に固定するための前記手段が拡幅可能な部材を具え、前記インサートは摩擦により前記溝内に保持されるようになっていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記インサートを溝内に固定するための前記手段が1つ以上のねじを具えたことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の装置。
【請求項5】
前記インサートを溝内に固定するための前記手段が接着剤を具えたことを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の装置。
【請求項6】
前記インサートを溝内に固定するための前記手段が前記インサートを工作機械の被加工物取り付け面に形成されたT溝内に固定するための手段を具えたことを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の装置。
【請求項7】
前記インサートを溝内に固定するための前記手段が前記インサートを工作機械の被加工物取り付け面に形成されたU字状の溝内に固定するための手段を具えたことを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の装置。
【請求項8】
前記台座が複数の突出部材を具えたことを特徴とする請求項1から請求項7の何れかに記載の装置。
【請求項9】
前記台座が2つの突出部材を具えたことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記複数の突出部材の少なくとも1つが前記台座に関して移動可能であることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記台座に関して移動可能な前記少なくとも1つの突出部材が手動で移動可能な部材であることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記複数の突出部材の少なくとも1つが前記台座に関して固定されることを特徴とする請求項8から請求項11の何れかに記載の装置。
【請求項13】
前記台座の前記少なくとも1つの突出部材を前記インサートに係合させる動作は、前記台座を前記被加工物取り付け面との接触状態へと付勢することを特徴とする請求項1から請求項12の何れかに記載の装置。
【請求項14】
前記インサートが第1および第2の端部を有する棒状インサートであることを特徴とする請求項1から請求項13の何れかに記載の装置。
【請求項15】
前記インサートは前記台座の前記少なくとも1つの突出部材を受けるための少なくとも1つの収容手段を具えたことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記インサートが2つの収容手段を具え、第1の前記収容手段が前記インサートの第1の端部に設けられると共に前記第2の収容手段が前記インサートの第2の端部に設けられていることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つの収容手段が1つの接触点をもたらすことを特徴とする請求項15または請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記少なくとも1つの収容手段が2つの接触点をもたらすことを特徴とする請求項15または請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記台座の前記少なくとも1つの突出部材を前記インサートに係合させる動作は、前記台座の前記少なくとも1つの突出部材を前記インサートが収容される溝の少なくとも1つの壁に対して付勢することを特徴とする請求項1から請求項18の何れかに記載の装置。
【請求項20】
前記台座に装着される座標位置決め装置の補機類を具え、この座標位置決め装置の補機類が工具セッターを具えたことを特徴とする請求項1から請求項19の何れかに記載の装置。
【請求項21】
前記台座に装着される座標位置決め装置の補機類を具え、この座標位置決め装置の補機類が測定プローブを具えたことを特徴とする請求項1から請求項20の何れかに記載の装置。
【請求項22】
座標位置決め装置の補機類を座標位置決め装置のベッドの被加工物取り付け面に取り付けるためのものであることを特徴とする請求項1から請求項21の何れかに記載の装置。
【請求項23】
座標位置決め装置の補機類をパレットの被加工物取り付け面に取り付けるためのものであることを特徴とする請求項1から請求項21の何れかに記載の装置。
【請求項24】
座標位置決め装置の被加工物取り付け面の溝内に固定するための手段を有するインサートであって、そこに挿入された場合に前記溝内に実質的に収容されることを特徴とするインサート。
【請求項25】
インサートを工作機械の被加工物取り付け面の溝内に固定するための手段を有することを特徴とする請求項24に記載のインサート。
【請求項26】
インサートを座標位置決め装置の被加工物取り付け面の溝内に固定するための前記手段が拡幅可能な部材を具え、インサートが摩擦によって前記溝内に固定されるようになっていることを特徴とする請求項24または請求項25に記載のインサート。
【請求項27】
インサートを溝内に固定するための前記手段がねじを具えたことを特徴とする請求項24から請求項26の何れかに記載のインサート。
【請求項28】
インサートを溝内に固定するための前記手段が接着剤を具えたことを特徴とする請求項24から請求項27の何れかに記載のインサート。
【請求項29】
工作機械の補機類に装着可能な台座であって、この台座は、座標位置決め装置の被加工物取り付け面の溝内に実質的に収容されるインサートを係合するための少なくとも1つの突出部材を具え、この少なくとも1つの突出部材は、インサートと係合した場合に台座を前記被加工物取り付け面に保持することを特徴とする台座。
【請求項30】
工作機械の被加工物取り付け面の溝内に実質的に収容されたインサートに係合するための少なくとも1つの突出部材を具えたことを特徴とする請求項29に記載の台座。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2012−504759(P2012−504759A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529613(P2011−529613)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【国際出願番号】PCT/GB2009/002302
【国際公開番号】WO2010/038009
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(391002306)レニショウ パブリック リミテッド カンパニー (166)
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【国際出願番号】PCT/GB2009/002302
【国際公開番号】WO2010/038009
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(391002306)レニショウ パブリック リミテッド カンパニー (166)
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】
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