説明

座標入力装置

【課題】 特定の領域に割り当てた機能を簡単な操作で自由に変更できるようにして操作性の高い座標入力装置を提供すること。
【解決手段】 操作面上で、所定の特定領域Cをタップ操作すると、メニュー設定画面20が呼び出される。ユーザーが、カーソル31を移動させてメニュー設定画面20に表示された項目を選択すると、他の特定領域A,Bの機能が初期設定時の第1の機能から変更後の第2の機能に変更される。そして特定領域A,Bをタップ操作することにより、各領域に割り当てられた変更後の第2の機能が実行される。また変更後に特定領域A,B以外の位置でタップ操作やスライド操作などの特定の操作を行うと、第2の機能を初期の第1の機能に戻すことができる。特定領域に対する機能の割当ての変更およびその解除を容易かつ迅速に行うことができるため、操作性を向上させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーソルやウィンドウなどの画面上の操作に用いる座標入力装置に係わり、特に操作性を高めた座標入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパッドなどの座標入力装置においては、操作面上の特定のコーナーに所定の機能を割当て、前記コーナーがタップされた場合に、前記所定の機能が行われるようにしたものがある。
【0003】
例えば、下記の特許文献1では、タッチパッドの操作面上に設けた所定の領域(イージーXモード領域)がタップされると、イージーXモードに移行し、イージーランチャと称されるダイアログボックスに対応する画面が表示部に表示される。ユーザーはダイアログボックス内でカーソルを移動させることにより所定の処理を行うことができる。また2回目のタップ操作がイージーランチャ用領域内で実行されず又は検出されなかった場合において、指を操作面の端に沿ってスライドさせるとウィンドウ内でのイージースクロール処理が行われ、あるいは指を斜めにスライドさせるとウィンドウの大きさを自由に変更可能なイージーサイズ処理が行われる。
【0004】
一方、特定の機能が割り当てられた領域を自由に変更できるようにしたものがある。
例えば、特許文献2の記載の発明は、表示画面上に表示される起動エリア(起動ボタンに相当)を変更できるようにしたものであり、入力画面の範囲外の任意の位置を起動用エリアの変更エリアとしてタップすると、起動エリアを判別するための判別用座標情報がその変更エリアの座標情報に変更され、次回からは選択された変更エリアを新たな起動用エリアとして機能させることが可能とされている。
【特許文献1】特開平10−149254号公報
【特許文献2】特開平8−286819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、タッチパッドを構成する操作面上のコーナーを操作することにより、スイッチと同様に即座に所望の機能を実行させることが可能である。
【0006】
しかしながら、従来のタッチパッドは、ほとんどの場合において四つのコーナー(右上隅、右下隅、左上隅、左下隅)しか有さない構成である。このため、他の機能(例えば、音量用のボリュームの調整機能)を割り当てようとしても、これ以上割り当てることができないという問題がある。
【0007】
この点、特許文献2に記載の発明は、起動を行うための起動エリアの位置を変更するといものであり、デフォルト状態の機能の内容を変更したり、あるいは操作可能なエリアを増やしたりできるというものではない。
【0008】
また動作の内容を変更する場合には、一般的には「コントロールパネル」→「マウス」のプロパティ→「タッチパッド」→「各種設定」の順で変更する必要がある。また元のデフォルト状態に戻す場合にも、改めて同様の手順で変更する必要があり、操作が煩雑であるといった問題がある。
【0009】
本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、タッチパッドの特定の領域に割り当てた機能を簡単な操作で自由に変更できるようにして操作性を高めた座標入力装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、1つ以上の特定領域を有するとともに指示体により操作される操作面と、前記指示体による操作面上の操作状態を検出する検出手段と、前記指示体による操作面上の操作内容を判別する判別部と、前記特定領域に所定の機能を割り当てる制御部とを有し、
前記制御部は、初期設定時に所定の第1の機能を前記特定領域に割り当てるとともに、前記判別部が前記指示体による所定の第1の操作がいずれかの前記特定領域に対して行われたと判定したときに、特定領域に前記第1の機能とは異なる第2の機能を表示するメニュー選択画面を呼び出し、前記特定領域に割り当てた初期設定時の第1の機能を、前記メニュー選択画面に基づいて選択された第2の機能に変更するようにしたことを特徴とするものである。
【0011】
上記第1の発明では、所定の特定領域に対し所定の第1の操作をするだけでメニュー選択画面を呼び出すことができるため、特定領域に対する機能の変更を容易に行うことができる。特に、設定変更用全体画面(コントロールパネル)を呼び出さなくて済むため、機能の割当ての変更作業を迅速に行うことができる。
【0012】
また本発明では、今必要な機能を、今必要としない機能の代わりに特定領域に割り当てることができる。このため、機能の数が多く、あらかじめ特定領域に割り当てることができない場合でも必要に応じて特定領域に割り当てることが可能となる。
【0013】
第2の発明は、1つ以上の特定領域を有するとともに指示体により操作される操作面と、前記指示体による操作面上の操作状態を検出する検出手段と、前記指示体による操作面上の操作内容を判別する判別部と、前記特定領域に所定の機能を割り当てる制御部と、初期設定時の第1の機能と変更後の第2の機能とを予め格納した主記憶装置と、を有し、
前記制御部は、初期設定時に第1の機能を前記特定領域に割り当てるとともに、前記判別部が前記指示体による所定の第1の操作がいずれかの特定領域に対して行われたと判定したときに、前記主記憶装置にアクセスして第2の機能を読み出し、特定領域に割り当てた初期設定時の第1の機能を、前記第2の機能に変更するようにしたこと特徴とするものである。
【0014】
上記第2の発明では、メニュー設定画面を呼び出なくても特定領域に対する機能の変更を行うことができる。このため、より簡単且つ迅速に機能の変更を行うことができる。
【0015】
上記においては、前記第1の機能から第2の機能への変更が、前記第1の操作が行われた特定領域とは異なる他の特定領域に対して行われるものである。
【0016】
上記手段では、複数の特定領域に対する機能の割当ての変更作業を同時に行うことで効率的に行うことができる。
【0017】
あるいは前記第1の機能から第2の機能への変更が、前記第1の操作が行われた特定領域と同じ特定領域に対して行われるものである。
【0018】
上記手段では、機能の割当ての変更のきっかけ(トリガー)を与える特定領域と実際に変更される特定領域とを同じにすることができるため、変更作業を迅速且つ確実に行うことができる。
【0019】
上記において、前記第1の機能および第2の機能は、前記制御部を動作させるOSがサポートしている機能を含み、所定の操作キーを介したユーザーからの要求に応じて実行可能な機能と同じであるものが採用されるのが好ましい。
【0020】
上記手段では、OSがサポートしている機能を利用することができるため、より確実に所定の機能を動作させることができる。
【0021】
さらに上記においては、前記指示体による特定の操作が行われたときに、前記変更後の第2の機能が初期設定時の第1の機能に自動的に戻されるものが好ましい。
【0022】
上記手段では、変更後の機能を初期設定時の機能にリセットするために、いちいち設定変更用の全体画面(コントロールパネル)や専用のメニュー設定画面を呼び出す必要がない。このため、操作性を向上させることができる。
【0023】
例えば、前記特定の操作は、前記操作面上の前記特定領域を除く位置でのタップ操作、前記操作面上のいずれかの位置で指を滑らすことによるトラッキング操作、前記操作面の近傍に設けられた所定のスイッチに対するボタン操作、前記操作面に対する操作を最後に行った時からの経過時間が所定の設定時間を超えか否かの判定によるタイマー制御、またはキーボード上の任意のキーに対する操作、前記キー操作の組み合わせ又はこれら複数のキーの同時押し、若しくは前記キーボードに設けた特定のスイッチに対するボタン操作、またはローターリースイッチに対するエンコーダ操作のいずれかである。
【0024】
上記特定の操作は、通常行われるような一般的な操作であるため、ユーザーはリセット作業を容易に行うことができる。
【0025】
また前記特定領域が前記操作面上のコーナー部、または操作面周辺部であるものが好ましい。
【0026】
ただし、特定領域は、前記コーナー部または操作面周辺部以外の特定の箇所であってもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明の座標入力装置では、タッチパッド上の特定領域(コーナーなど)に、簡単な操作で所望の機能を割り当てることができるため、操作性を向上させることができる。
【0028】
また特定の操作を行うことにより、変更後の機能を初期の機能に自動的に戻されるため、使用後には元の初期設定状態に戻す煩雑な作業を不要とすることができ、この点でも操作性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。図1は本実施形態による座標入力装置の構成を示すブロック図である。同図に示すように、この座標入力装置は大きく分けて座標検出機器PDと座標出力機器PCの2つの機器から構成される。座標検出機器PDは例えば上述したタッチパッドであり、座標出力機器PCは例えばタッチパッドが接続されたパーソナルコンピュータである。
【0030】
まず初めに、座標検出機器PDの各構成要素を説明するが、その前に座標検出機器PDの機械的構成を簡単に説明しておく。図2は座標検出機器PDの外観を示す平面図であって、左ボタンLBおよび右ボタンRBを有している。また、符号SFで示される矩形の領域は、座標指示体(図2では図示を省略)により操作される操作面を表わしている。なお、ここで言う座標指示体は例えばユーザーの手の指、あるいはペンなどであって、以下の説明において座標指示体が指であるとして説明する。
【0031】
さて、図1に示すセンサ基板1は、複数の横配線走査線(図2のX軸方向)と縦配線走査線(図2のY軸方向)がマトリクス状に形成されており、指が操作面SFに接触することで各走査線を流れる電流値が変化するように構成される。さらに詳しく言えば、本実施形態による座標検出機器PDは、静電容量式のタブレットと呼ばれる方式を採用しており、静電フィルムの表面と裏面にそれぞれマトリックス状の電極が設けられ、静電フィルムの一端からパルスを与えて電界を形成させてある。こうすると、指が操作面SFを介して静電フィルムに触れることで接触部分の静電容量が減るので、この静電容量の変化を電流値の変化に変換して指の接触部分の位置が検知される。すなわち、接触部分の座標位置が横方向走査線と縦方向走査線との交点により指定されることになる。また、指が接触された後に離されたことを検出すれば、上述したタップ操作が検出できることになる。さらには、接触部分の位置の変化を算出することで、指を操作面SF上で滑らせる操作も検出することができる。なお、パッドは静電容量式でなくとも良く、例えば感圧式などの方式を採用したものであっても良い。
【0032】
次に、横方向走査部2は、センサ基板1の横方向の走査を行う回路であって、多数の信号出力がセンサ基板1の横方向走査線に接続される。縦方向走査部3は、センサ基板1の縦方向の走査を行う回路であって、多数の信号入力がセンサ基板1の縦方向走査線に接続され、指の走査状態を表すシリアル検出信号を発生させる。このシリアル検出信号は、指をセンサ基板1の操作面SFにタップ操作させた際に生じるタップ成分と、操作面SF上で指を滑らせた際に生じるスライド成分を含む。ここで、タップ成分には操作面SFに指が接触している位置を示すアドレス成分が含まれており、スライド成分には操作面SF上を、指がどの位置からどの位置まで滑ったのかを表すアドレス成分が含まれている。
【0033】
制御駆動部4は、走査駆動信号を横方向走査部2および縦方向走査部3にそれぞれ供給することで、これら横方向走査部2および縦方向走査部3を駆動する。A/D(アナログ/デジタル)変換部5は、縦方向走査部3が生成したシリアル検出信号をデジタル信号に変換する。タップ/スライド成分抽出部6は、デジタル信号に変換されたシリアル検出信号の中から、上述したタップ成分およびスライド成分を抽出したのち、これらを分離して3次元の座標値へ変換し、これをタップ成分およびスライド成分と一緒に出力する。
【0034】
データ処理部7は、タップ/スライド成分抽出部6から送られる3次元の座標値に基づいて、タップ操作が実行されたか否かを判断するとともに、スライド成分からノイズを除去し、X軸/Y軸から構成される操作面SFの2次元座標における指の位置の変化を、滑らかな直線或いは曲線に補正する。インターフェイス部8は、座標出力機器PCとの間の間でデータの授受を行うための回路である。インターフェイス部8は、データ処理部7から送られた情報に基づいて、補正された操作面SFの2次元座標上の絶対座標(X,Y)毎に、タップオン/オフの情報、左ボタンLBおよび右ボタンRBに関するそれぞれのオン/オフ情報を付加して、タップ成分およびスライド成分と一緒に出力ポート9へ送出する。
【0035】
次に、座標出力機器PCの各構成要素を説明する。まず、インターフェイス部10は座標検出機器PDとの間でデータの授受を行うための回路であって、入力ポート11を介して上述したそれぞれの情報を受け取る。なお、座標出力機器PCがパーソナルコンピュータであれば、インターフェイス部10は周知のシリアルポートまたはマウスポートに相当する。
【0036】
判別部12は、座標検出機器PD側から送られる情報をインターフェイス部10から取り込んで解析を行い、所定の特定領域内でタップ操作が行われたか否かを判定するとともに、操作面SF上で指をいずれの方向にどの程度滑らせたのかなどの判別処理を行い、この判別結果を制御部15へ報告する。
【0037】
制御部(CPU)15は、判別部12で解析された特定領域内でのタップの有無の情報や指のスライド操作の判別結果などから、各特定領域に予め割り当てた第1の機能を実行すべきかどうかを判定する。これら予め割り当てた第1の機能としては、メール立ち上げ機能や、ブラウザ起動機能などがあるが、これら第1の機能の詳細は後述する。
【0038】
判別部12は、初期設定時において、制御部15が実行すべきプログラムアプリケーションソフトウェアとして、予め設定されているプログラムを他のプログラムに変更すべき旨の通知(変更通知)を制御部15に対して行う。すなわち、判別部12は、前記判別結果が所定の特定領域(以下の実施の形態では特定領域C)内のタップ操作であると判定された場合には制御部15に対して変更通知を行う。一方、前記判別結果が所定の特定領域内でのタップ操作でない場合や、指のスライド操作である場合には、制御部15に対する変更通知は行わない。
【0039】
制御部15は、インターフェイス部10を除いた座標出力機器PCの各部を統括する回路である。
【0040】
表示部16は、例えばパーソナルコンピュータのディスプレイ装置であって、制御部15の指示に従って、その画面16a上にウィンドウやカーソルなど各種の画像表示を行う。ROM(リードオンリーメモリ)17には制御部15の動作プログラム、上述した絶対座標(X,Y)のフォーマットで規定された操作面SF自体の大きさなどが格納されている。RAM(ランダムアクセスメモリ)18は、制御部15が様々な処理を行う際に、補助記憶装置19からデータやプログラムを読み込んで一時的に蓄えるための主記憶装置である。補助記憶装置19はコンピュータ内でデータやプログラムを記憶するハードディスクなどから構成される。補助記憶装置19には、OS(オペレーティングシステム)やその他の各種のアプリケーション・プログラム、例えば後述するメール用プログラム、ブラウザ用プログラム、変更用プログラムなどの各種のプログラムやデータが格納されている。
【0041】
次に、座標入力装置の動作(第1の実施の形態)について説明する。
第1の実施の形態による座標入力装置では、操作面SF上に複数の特定領域が設定されている。あるいは、予めユーザーが操作面SF上に複数の特定領域を指定するものであっってもよい。各特定領域には後述するような所定の第1の機能が予め割り当てられている。ここで、前記第1の機能とは、例えばメール用プログラムを起動するための機能、インターネットのWebサーバーにアクセスするブラウザを立ち上げるための起動機能、特定領域に割り当てた前記第1の機能を変更するための機能などである。
【0042】
これらの第1の機能を達成するためのメール用プログラムやブラウザ用プログラム、およびこれらのプログラムを特定領域に対してどのように割り当てるかに関する初期設定値などのデータ情報は、補助記憶装置19に格納されている。コンピュータの電源が立ち上がると、これらプログラムやデータ情報は補助記憶装置19からRAM(主記憶装置)18にロードされる。制御部15は、電源投入直後に、前記データ情報に基づいて、初期設定時の第1の機能を各特定領域に対して割り当てる。
【0043】
通常、これらメール用プログラムやブラウザ用プログラムなどは、コンピュータの画面に表示されたアイコンをクリックすることで実行することが可能である。またはキーボード上の特定の操作キーが操作されたことに応じて実行される場合もあり、この場合、特定の操作キーが操作されたことが制御部15に通知されると、制御部15は操作キーに対応するいずれかのプログラムをRAM18から呼び出して実行する。すなわち、所定の第1の機能(第2の機能も同様)は、OSがキーボードイベントなどとしてサポートされている機能であり、所定の操作キーを押すことなどによるユーザーからの要求に応じて実行される機能と同じものである。
【0044】
操作面SF上のいずれかの特定領域内でタップ操作等の所定の操作が行われると、制御部15は特定領域に割り当たられたプログラムをRAM18から読み出し、そのタップ操作が行われた領域に対応する第1の機能を実行する。この特定領域は操作面SF上のどの領域を指定しても良い。一例としては、操作面SFの左上隅、右上隅、右下隅および左下隅の領域などのコーナー部、あるいはコーナー部とコーナー部との中間に位置する操作面SFの周辺部などが考えられる。以下においては、操作面SFの左上隅を特定領域A、右上隅を特定領域B、右下隅を特定領域C、左下隅を特定領域Dとして説明する。
【0045】
第1の実施の形態に示す座標入力装置では、初期設定状態(デフォルト状態)において、特定領域Aにメール用プログラムを起動するための機能が、特定領域Bにはブラウザ用プログラムを立ち上げるための起動機能が、右下隅の特定領域Cには各特定領域に割り当てた第1の機能を変更するためのプログラム(機能割当て変更手段)を実行させる機能がそれぞれ割り当てられている。なお、本実施の形態では、左下隅の特定領域Dは未設定の状態にあるが、あらかじめ何らかの機能を割り当てておいてもよい。またメール用プログラム、ブラウザ用プログラムおよび変更用プログラムは、電源投入とともにRAM18にロードされてもよいし、起動を促すタップ操作などの所定の操作が行われたときに、補助記憶装置19からRAM18にロードされるものであってもよい。
【0046】
座標入力装置では、初期設定状態(デフォルト状態)で、特定領域Aをタップ操作すると、その情報が判別部12から制御部15に伝えられる。制御部15はRAM18にアクセスし、RAM18に読み込まれているメール用プログラムを起動させる。メール用プログラムが起動されると、ユーザーはメールを受信することができ、また作成したメールを送信することなどを行うことが可能となる。同様に、特定領域Bをタップ操作すると、制御部15はRAM18にアクセスし、RAM18に読み込まれているブラウザ用プログラムを起動させる。これにより、ブラウザが立ち上がり、インターネット上のWebサーバーに接続することが可能となる。よって、ユーザーは容易にメールやインターネットを利用することが可能となる。
【0047】
一方、特定領域Cがタップ操作(第1の操作)されると、変更通知が判別部12から制御部15へ送られる。すると、制御部15はRAM18にアクセスして変更用プログラムを起動させる。変更用プログラムが起動されると、例えば図3に示すようなメニュー選択画面20が表示部16に表示される。
【0048】
図3に示すメニュー選択画面20は、変更用プログラムの一例として、特定領域A,Bの第1の機能を、CD、DVD、あるいはファイル形式の音声データや動画データの再生など行うプレーヤ操作機能とした場合を示している。メニュー選択画面20の最上段21にはデータ上の任意のマーク位置から再生を開始する「進む/戻る」の項目が、二段目22には再生スピードや方向を変える「早送り/巻き戻し」の項目が、三段目23には音量を調整するための「ボリューム」の項目がそれぞれ表示されている。なお、メニュー選択画面20は、プレーヤ操作機能以外の機能を実行するためのものであってもよい。
【0049】
これらメニュー選択画面20に表示された項目は、変更後の第2の機能として特定領域Aおよび特定領域Bなどに割り当てることが可能となっている。ユーザーは、所定の選択操作を行うことにより、すなわち操作面SF上で指を滑らせることにより、カーソル31をメニュー選択画面20上の希望する項目の上まで移動させてその位置でタップ操作することにより、希望する第2の機能を選択できるようになっている。例えば、図3に示すものでは、三段目23の項目が選択されており、特定領域Aおよび特定領域Bの機能が、初期設定時に設定された機能(「メール起動機能」および「ブラウザ起動機能」)から新たな第2の機能である「ボリューム」コントロール機能に一時的に変更される。なお、選択操作が完了すると、前記メニュー選択画面20は閉じられる。
【0050】
そして、例えばCD、DVD、あるいはファイル形式の音声データや動画データの再生中に、特定領域Aに対してタップ操作を行うと、タップ操作の回数に比例して徐々に音量(音声出力)を上げることができ、特定領域Bに対してタップ操作を行うとタップ操作の回数に比例して徐々に音量(音声出力)を下げることができるようになっている。
【0051】
またメニュー選択画面20において、二段目22の「早送り/巻き戻し」の項目が選択された場合にあっては、前記特定領域Aに対してタップ操作を行うと音声または動画の再生スピードを順方向に早める再生(早送り)が行われ、また前記特定領域Bに対して1回タップ操作を行うと現在の再生位置から1ステップ分だけ逆方向に戻った位置から再生が開始される(巻き戻し再生)。
【0052】
一方、特定領域AおよびBを初期設定時の第1の機能に戻すには、例えば特定の操作(第2の操作)が行われたことが検出されたときに、変更後の現在の設定が解除される。すなわち、ユーザーが、特定の操作(第2の操作)を行ったことが検出されたときに、当該操作をきっかけ(トリガー)として特定領域AおよびBが初期設定時の第1の機能にリセットされる。
【0053】
ここで、前記特定の操作(第2の操作)とは、例えば操作面SF上の前記特定領域A、Bを除く位置でのタップ操作、操作面SF上のいずれかの位置で指を滑らすことによるトラッキング操作、左ボタンLBまたは右ボタンRBなど操作面SFの近傍に設けられている所定のスイッチに対するクリック操作(ボタン操作)、キーボード上の任意のキーの操作、前記キー操作の組み合わせ又は複数のキーの同時押し、あるいは操作面SFに対する操作を最後に行った時からの経過時間が所定の設定時間を超えか否かの判定によるタイマー制御、さらにはキーボードまたはタッチパッドの近傍などに設けた所定のスイッチに対するボタン操作やローターリースイッチに対するエンコーダ操作などが考えられる。
【0054】
特定領域AおよびBのリセットは、上記した判別部12が、前記特定の操作を検出したときに、制御部15に対して行う変更通知に基づいて行われられる。変更通知を受けた制御部15は、特定領域Aの機能を初期設定時のメール起動機能に変更し、特定領域Bの機能をブラウザ起動機能に変更する。
【0055】
このように、本願発明では、特定領域Cをタップ操作(第1の操作)するだけで、機能変更用の変更プログラムが起動されてメニュー選択画面20が表示され、特定領域A,Bの機能を複数の機能の中からユーザーによって選択される第2の機能に容易に変更することができる。しかも変更後の特定領域A,Bの第2の機能を初期設定時の第1の機能に戻すリセット操作は、上述したような一般的な操作(特定の操作(第2の操作))を行うだけで自動的に行うことができる。このため、いちいちメニュー選択画面20や設定変更用の全体画面(コントロールパネル)を開いて初期設定状態に戻す必要がなく、ユーザーを煩雑な操作から解放することができる。
【0056】
このように本願発明では、特定領域に対する機能の割当ての変更およびその解除(リセット)を容易かつ迅速に行うことができるため、操作性を向上させることができる。
【0057】
また、特定領域に対する第2の機能への変更は、その他以下に示すような第2の実施の形態であってもよい。
【0058】
第2の実施の形態では、補助記憶装置19に、初期設定時の第1の機能と第2の機能に関するプログラムが格納されており、通常の電源投入直後の初期設定状態においては、第1の機能に関するプログラムがRAM18にロードされている。ここで、第1の機能とは、上記の例でいえば特定領域Aに設定されたメール用プログラムの起動機能であり、特定領域Bに設定されたブラウザ起動機能などであるが、これらに限られるものではない。また第2の機能とは、上記の例でいえば例えば「進む/戻る」機能などであるが、これに限られるものではなく、「早送り/巻き戻し」機能または「ボリューム」コントロール機能であってもよいし、あるいはその他の機能であってもよい。
【0059】
そして、特定領域Cがタップ操作(第1の操作)され、変更通知が判別部12から制御部15へ報告されると、制御部15は補助記憶装置19にアクセスして第2の機能に関するプログラムをRAM18にロードする。
【0060】
すると、例えば特定領域A,Bの機能が、初期設定時の第1の機能から第2の機能である「進む/戻る」機能に変更される。すなわち、第2の実施の形態では、メニュー選択画面20を用いることなく直接的に第1の機能に対する割り当てを変更することができる。このようにすると、第1の機能に対する変更を行おうとするたびに、いちいちメニュー選択画面20を表示部16に表示させて、ユーザーに機能の選択を強いる必要がなくなるため、ユーザーは迅速に機能の変更を行うことが可能となる。よって、操作性を向上させることができる。
【0061】
なお、特定領域Cをタップ(第1の操作)するたびに、特定領域A,Bの第2の機能が、「進む/戻る」機能→「早送り/巻き戻し」機能→「ボリューム」コントロール機能の順で切り換わるようにしてもよい。また、表示部16上に特定領域に指定している機能情報を表示してもよい。このようにすると、機能選択の幅を広げることができるとともに、機能の切替えを迅速に行うことが可能となり、さらに操作性を向上させることができる。
【0062】
なお、第2の機能から第1の機能へのリセットは、上記同様に特定のキー操作などによる所定の第2の操作が行われた場合、及び、タイマー制御などをトリガーとして自動的に実行されるものが好ましい。
【0063】
上記各実施の形態では、特定領域Cをタップ操作(第1の操作)すると、特定領域A,Bに対する機能の割当てを変更できる場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば特定領域Dに対してタップ操作(第1の操作)したときに、特定領域Aのみに対する機能の割当てを変更できるものであってもよいし、特定領域A,Bの2つに対する機能の割当てを変更できるものであってもよい。あるいは、特定領域Dに対してタップ操作(第1の操作)したときに、特定領域A,B,Cの3つに対に対する機能の割当てを変更できるものであってもよい。
【0064】
また、機能を変更したい特定領域に指を置いた時間を計測し、この時間が所定の時間を超えた場合に当該特定領域の機能が変更され、または機能変更用のメニュー選択画面20の表示が行われるようにしても良い。したがって、特定領域は少なくとも1つ以上有するものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1は本実施形態による座標入力装置の構成を示すブロック図、
【図2】座標検出機器PDの外観を示す平面図、
【図3】表示部に表示されるメニュー選択画面の一例を示す図、
【符号の説明】
【0066】
1 センサ基板
2 横方向走査部
3 縦方向走査部
4 制御駆動部
5 A/D変換部
6 タップ/スライド成分抽出部
7 データ処理部
8,10 インターフェイス部
9 出力ポート
11 入力ポート
12 判別部
15 制御部
16 表示部
16a 画面
17 ROM
18 RAM
19 補助記憶装置
20 メニュー選択画面
31 カーソル
A,B,C,D 特定領域
LB 左ボタン
PC 座標出力機器
PD 座標検出機器
RB 右ボタン
SF 操作面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の特定領域を有するとともに指示体により操作される操作面と、前記指示体による操作面上の操作状態を検出する検出手段と、前記指示体による操作面上の操作内容を判別する判別部と、前記特定領域に所定の機能を割り当てる制御部とを有し、
前記制御部は、初期設定時に所定の第1の機能を前記特定領域に割り当てるとともに、前記判別部が前記指示体による所定の第1の操作がいずれかの前記特定領域に対して行われたと判定したときに、前記特定領域に前記第1の機能とは異なる第2の機能を表示するメニュー選択画面を呼び出し、特定領域に割り当てた初期設定時の第1の機能を、前記メニュー選択画面に基づいて選択された第2の機能に変更するようにしたことを特徴とする座標入力装置。
【請求項2】
1つ以上の特定領域を有するとともに指示体により操作される操作面と、前記指示体による操作面上の操作状態を検出する検出手段と、前記指示体による操作面上の操作内容を判別する判別部と、前記特定領域に所定の機能を割り当てる制御部と、初期設定時の第1の機能と変更後の第2の機能とを予め格納した主記憶装置と、を有し、
前記制御部は、初期設定時に第1の機能を前記特定領域に割り当てるとともに、前記判別部が前記指示体による所定の第1の操作がいずれかの特定領域に対して行われたと判定したときに、前記主記憶装置にアクセスして第2の機能を読み出し、特定領域に割り当てた初期設定時の第1の機能を、前記第2の機能に変更するようにしたこと特徴とする座標入力装置。
【請求項3】
前記第1の機能から第2の機能への変更が、前記第1の操作が行われた特定領域とは異なる他の特定領域に対して行われる請求項1または2記載の座標入力装置。
【請求項4】
前記第1の機能から第2の機能への変更が、前記第1の操作が行われた特定領域と同じ特定領域に対して行われる請求項1または2記載の座標入力装置。
【請求項5】
前記第1の機能および第2の機能は、前記制御部を動作させるOSがサポートしている機能を含み、所定の操作キーを介したユーザーからの要求に応じて実行可能な機能と同じである請求項1ないし4のいずれかに記載の座標入力装置。
【請求項6】
前記指示体による特定の第2の操作が行われたときに、前記変更後の第2の機能が初期設定時の第1の機能に自動的に戻される請求項1ないし5のいずれかに記載の座標入力装置。
【請求項7】
前記第2の操作は、前記操作面上の前記第2の機能が割り当てられた特定領域を除く位置でのタップ操作、前記操作面上のいずれかの位置で指を滑らすことによるトラッキング操作、前記操作面の近傍に設けられた所定のスイッチに対するボタン操作、前記操作面に対する操作を最後に行った時からの経過時間が所定の設定時間を超えか否かの判定によるタイマー制御、またはキーボード上の任意のキーに対する操作、前記キー操作の組み合わせ又はこれら複数のキーの同時押し、若しくは前記キーボードに設けた特定のスイッチに対するボタン操作、またはローターリースイッチに対するエンコーダ操作のいずれかである請求項6記載の座標入力装置。
【請求項8】
前記特定領域が前記操作面上のコーナー部、または操作面周辺部である請求項1ないし7のいずれかに記載の座標入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−93260(P2009−93260A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−260792(P2007−260792)
【出願日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】