説明

座標補正装置、入力装置、座標補正方法、及びプログラム

【課題】検出位置と実際位置との間の誤差をリアルタイムに低減すること。
【解決手段】タッチセンサからタッチ位置の座標を取得する座標取得部と、前記座標取得部により第(n+1)〜第(n+q)番目に取得されたq個の座標X(n+1)〜X(n+q)の関係を表す第1の回帰直線を算出する第1の直線算出部と、前記座標X(n+q)に最も近い前記第1の回帰直線上の座標X(n+q)’を算出し、前記座標X(n+q)’を用いて前記座標X(n+q)を補正する座標補正部と、を備える、座標補正装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、座標補正装置、入力装置、座標補正方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な方式のタッチセンサが開発され(例えば、下記の特許文献1などを参照)、既に実用化されている方式も多数存在する。その中でも、操作性の良さや耐久性の高さなどの観点から、静電容量式のタッチセンサに大きな注目が集まっている。静電容量式のタッチセンサは、タッチセンサに操作体(例えば、指など)が近づくことによってタッチセンサ内の電極と操作体との間に生じる静電容量の変化を利用して操作体の位置を検出する。電極と操作体との間に生じる静電容量の変化は、操作体がタッチセンサに接触しなくても生じる。そのため、タッチセンサは、その表面に操作体が近づいたり、その表面に操作体が軽く触れたりしただけでも反応する。このような反応の良さから、ユーザは、良好な操作感を得ることができる。また、静電容量式のタッチセンサは、その表面に近接又は接触した複数の操作体の位置をそれぞれ検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−39515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
静電容量式のタッチセンサは、操作性の良さなどを理由に、様々な電子機器に搭載されるようになってきている。例えば、静電容量式のタッチセンサは、携帯電話、携帯情報端末、携帯音楽プレーヤ、携帯ゲーム機など、様々な携帯型の電子機器に搭載されている。また、静電容量式のタッチセンサは、テレビジョン受像機、パーソナルコンピュータ、カーナビゲーションシステム、デジタルサイネージ端末、ATMなど、比較的大きなサイズの電子機器への適用も期待されている。
【0005】
しかし、静電容量式のタッチセンサにより検出されたタッチ位置(以下、検出位置)は、実際にタッチした位置(以下、実際位置)とずれていることがある。検出位置と実際位置との間の誤差が生じる原因としては、例えば、電極パターンなどの影響や、タッチセンサにより検出される静電容量などのアナログ値がふらつく影響などが考えられる。そのため、検出位置と実際位置との間の誤差を減らす様々な研究が各所でなされている。なお、ここでは静電容量式のタッチセンサを例に挙げたが、位置を検出する他の各種センサについても、検出位置と実際位置との間の誤差を減らす方法が研究されている。本件発明者も、検出位置と実際位置との間の誤差を減らす方法について検討した。
【0006】
本技術は、上記のような事情を受けて考案されたものであり、検出位置と実際位置との間の誤差をリアルタイムに低減することが可能な、新規かつ改良された座標補正装置、入力装置、座標補正方法、及びプログラムを提供することを意図している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本技術のある観点によれば、タッチセンサからタッチ位置の座標を取得する座標取得部と、前記座標取得部により第(n+1)〜第(n+q)番目に取得されたq個の座標X(n+1)〜X(n+q)の関係を表す第1の回帰直線を算出する第1の直線算出部と、前記座標X(n+q)に最も近い前記第1の回帰直線上の座標X(n+q)’を算出し、前記座標X(n+q)’を用いて前記座標X(n+q)を補正する座標補正部と、
を備える、座標補正装置が提供される。
【0008】
また、前記座標補正部は、前記座標X(n+q)を前記座標X(n+q)’に補正するように構成されていてもよい。
【0009】
また、前記第1の直線算出部は、m=(n−p)〜nについて、前記座標取得部により第(m+1)〜第(m+q)番目に取得されたq個の座標X(m+1)〜X(m+q)の関係を表す第1の回帰直線fを算出するように構成されていてもよい。さらに、前記座標補正部は、m=(n−p)〜nについて、前記座標X(m+q)に最も近い前記第1の回帰直線f上の座標X(m+q)’を算出するように構成されていてもよい。また、前記座標補正装置は、m=(n−p)〜nについて、前記座標X(m+1)〜X(m+q)の重心W(m+q)を算出する重心算出部と、m=(n−p)〜nについて、前記重心W(m+q)と前記座標X(m+q)’との間の距離d(m+q)を算出する距離算出部と、前記距離算出部により算出された距離d(n−p+q)〜d(n+q)の関係を表す第2の回帰直線を算出する第2の直線算出部と、前記距離d(n+q)に対応する時間における前記第2の回帰直線上の点を抽出し、抽出した点に対応する距離d(n+q)’を算出する補正距離算出部と、をさらに備えていてもよい。そして、前記座標補正部は、前記重心W(n+q)から前記距離d(n+q)’だけ離れた前記第1の回帰直線f上の座標X(n+q)”を算出し、前記座標X(n+q)を前記座標X(n+q)”に補正するように構成されていてもよい。
【0010】
また、前記座標補正部は、m=(n−p)〜nについて、前記座標X(m+q)に最も近い前記第1の回帰直線上の座標X(m+q)’を算出するように構成されていてもよい。
【0011】
また、前記座標補正装置は、m=(n−p)〜nについて、前記X(m+q)’と前記X(m+q−1)’との間の距離d(m+q)を算出する距離算出部と、前記距離算出部により算出された距離d(n−p+q)〜d(n+q)の関係を表す第2の回帰直線を算出する第2の直線算出部と、前記距離d(n+q)に対応する時間における前記第2の回帰直線上の点を抽出し、抽出した点に対応する距離d(n+q)’を算出する補正距離算出部と、をさらに備えていてもよい。さらに、前記座標補正部は、前記座標X(n+q−1)’から前記距離d(n+q)’だけ離れた前記第1の回帰直線上の座標X(n+q)”を算出し、前記座標X(n+q)を前記座標X(n+q)”に補正するように構成されていてもよい。
【0012】
また、前記第1の直線算出部は、m=(n−p)〜nについて、前記座標取得部により第(m+1)〜第(m+q)番目に取得されたq個の座標X(m+1)〜X(m+q)の関係を表す第1の回帰直線fを算出するように構成されていてもよい。さらに、前記座標補正部は、m=(n−p)〜nについて、前記座標X(m+q)に最も近い前記第1の回帰直線f上の座標X(m+q)’を算出するように構成されていてもよい。また、前記座標補正装置は、m=(n−p)〜nについて、前記座標X(m+1)〜X(m+q)の重心W(m+q)を算出する重心算出部と、m=(n−p)〜nについて、前記重心W(m+q)と前記座標X(m+q)’との間の距離d(m+q)を算出する距離算出部と、前記距離算出部により算出された距離d(n−p+q)〜d(n+q)の関係を表す第2の回帰直線を算出する第2の直線算出部と、前記距離d(n+q)に対応する時間から処理遅延に要する所定時間だけ経過した時間に対応する前記第2の回帰直線上の点を抽出して、抽出した点に対応する距離d(n+q)’を算出する補正距離算出部と、をさらに備えていてもよい。そして、前記座標補正部は、前記重心W(n+q)から前記距離d(n+q)’だけ離れた前記第1の回帰直線f上の座標X(n+q)”を算出し、前記座標X(n+q)を前記座標X(n+q)”に補正するように構成されていてもよい。
【0013】
また、前記座標補正部は、m=(n−p)〜nについて、前記座標X(m+q)に最も近い前記第1の回帰直線上の座標X(m+q)’を算出するように構成されていてもよい。さらに、前記座標補正装置は、m=(n−p)〜nについて、前記X(m+q)’と前記X(m+q−1)’との間の距離d(m+q)を算出する距離算出部と、前記距離算出部により算出された距離d(n−p+q)〜d(n+q)の関係を表す第2の回帰直線を算出する第2の直線算出部と、前記距離d(n+q)に対応する時間から処理遅延に要する所定時間だけ経過した時間に対応する前記第2の回帰直線上の点を抽出して、抽出した点に対応する距離d(n+q)’を算出する補正距離算出部と、をさらに備えていてもよい。そして、前記座標補正部は、前記座標X(n+q−1)’から前記距離d(n+q)’だけ離れた前記第1の回帰直線上の座標X(n+q)”を算出し、前記座標X(n+q)を前記座標X(n+q)”に補正するように構成されていてもよい。
【0014】
また、上記の座標補正装置は、前記座標X(n+1)〜X(n+q)に対する前記第1の回帰直線の適合度を算出する適合度算出部をさらに備えていてもよい。さらに、前記補正距離算出部は、前記適合度算出部により算出された適合度が小さい場合に前記処理遅延に要する所定時間を短くするように構成されていてもよい。
【0015】
また、上記の座標補正装置は、前記座標X(n+1)〜X(n+q)に対する前記第1の回帰直線の適合度を算出する適合度算出部をさらに備えていてもよい。さらに、前記補正距離算出部は、前記適合度算出部により算出された適合度が小さい場合に前記処理遅延に要する所定時間を短くするように構成されていてもよい。
【0016】
また、前記座標補正部は、前記座標X(n+q)に最も近い前記第1の回帰直線上の座標X(n+q)’と、前記座標X(n+q−1)に最も近い前記第1の回帰直線上の座標X(n+q−1)’とを算出する補正用座標算出部と、前記座標X(n+q)’と前記X(n+q−1)’との間の距離dに所定の係数k(k>1)を乗算して距離d’を算出する補正用距離算出部と、前記第1の回帰直線上で前記X(n+q−1)’から距離d’だけ離れた座標X(n+q)”を算出し、前記座標X(n+q)を前記座標X(n+q)”に補正する補正部と、を含むように構成されていてもよい。
【0017】
また、上記の座標補正装置は、前記座標X(n+1)〜X(n+q)に対する前記第1の回帰直線の適合度を算出する適合度算出部をさらに備えていてもよい。さらに、前記座標補正部は、前記適合度算出部により算出された適合度が小さい場合に前記所定の係数kを比較的小さな値に設定し、前記適合度算出部により算出された適合度が大きい場合に前記所定の係数kを比較的大きな値に設定するように構成されていてもよい。
【0018】
また、前記第1の直線算出部は、前記座標X(n+1)〜X(n+q)のそれぞれから測定した距離の二乗和が最小となる第1の近似直線を算出するように構成されていてもよい。さらに、前記座標補正部は、前記第1の回帰直線の代わりに前記第1の近似直線を用いて前記座標X(n+q)’を算出し、前記座標X(n+q)’に基づいて前記座標X(n+q)を補正するように構成されていてもよい。
【0019】
また、上記課題を解決するために、本技術の別の観点によれば、位置の座標を取得する座標取得部と、前記座標取得部により第(n+1)〜第(n+q)番目に取得されたq個の座標X(n+1)〜X(n+q)の関係を表す第1の回帰直線を算出する第1の直線算出部と、前記座標X(n+q)に最も近い前記第1の回帰直線上の座標X(n+q)’を算出し、前記座標X(n+q)’を用いて前記座標X(n+q)を補正する座標補正部と、を備える、座標補正装置が提供される。
【0020】
また、上記課題を解決するために、本技術の別の観点によれば、タッチ位置の座標を検出するタッチセンサと、前記タッチセンサからタッチ位置の座標を取得する座標取得部と、前記座標取得部により第(n+1)〜第(n+q)番目に取得されたq個の座標X(n+1)〜X(n+q)の関係を表す第1の回帰直線を算出する第1の直線算出部と、前記座標X(n+q)に最も近い前記第1の回帰直線上の座標X(n+q)’を算出し、前記座標X(n+q)’を用いて前記座標X(n+q)を補正する座標補正部と、を備える、入力装置が提供される。
【0021】
また、上記課題を解決するために、本技術の別の観点によれば、タッチセンサからタッチ位置の座標を取得する座標取得ステップと、第(n+1)〜第(n+q)番目に取得されたq個の座標X(n+1)〜X(n+q)の関係を表す第1の回帰直線を算出する第1の直線算出ステップと、前記座標X(n+q)に最も近い前記第1の回帰直線上の座標X(n+q)’を算出し、前記座標X(n+q)’を用いて前記座標X(n+q)を補正する補正ステップと、を含む、座標補正方法が提供される。
【0022】
また、上記課題を解決するために、本技術の別の観点によれば、タッチセンサからタッチ位置の座標を取得する座標取得機能と、第(n+1)〜第(n+q)番目に取得されたq個の座標X(n+1)〜X(n+q)の関係を表す第1の回帰直線を算出する第1の直線算出機能と、前記座標X(n+q)に最も近い前記第1の回帰直線上の座標X(n+q)’を算出し、前記座標X(n+q)’を用いて前記座標X(n+q)を補正する座標補正機能と、をコンピュータに実現させるためのプログラムが提供される。
【0023】
また、上記課題を解決するために、本技術の別の観点によれば、上記のプログラムが記録された、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体が提供される。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように本技術によれば、検出位置と実際位置との間の誤差をリアルタイムに低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】静電容量式タッチセンサの電極構造を示す説明図である。
【図2】静電容量式タッチセンサによるタッチ位置の検出方法を示す説明図である。
【図3】静電容量式タッチセンサの検出精度について説明するための説明図である。
【図4】移動平均を利用したノイズ低減方法について説明するための説明図である。
【図5】移動平均を利用したノイズ低減方法について説明するための説明図である。
【図6】本技術の第1実施形態に係る情報処理装置の機能構成を示す説明図である。
【図7】同実施形態に係る座標補正部の機能構成を示す説明図である。
【図8】同実施形態に係る近似直線の算出方法について説明するための説明図である。
【図9】同実施形態に係る近似直線の算出方法について説明するための説明図である。
【図10】同実施形態に係る近似直線の算出方法について説明するための説明図である。
【図11】同実施形態に係る補正座標の算出方法について説明するための説明図である。
【図12】同実施形態に係る補正座標の算出方法について説明するための説明図である。
【図13】本技術の第2実施形態に係る座標補正部の機能構成を示す説明図である。
【図14】同実施形態に係る仮補正座標の算出方法について説明するための説明図である。
【図15】同実施形態に係る重心距離の算出方法について説明するための説明図である。
【図16】同実施形態に係る重心距離の補正方法について説明するための説明図である。
【図17】同実施形態に係る補正座標の算出方法について説明するための説明図である。
【図18】同実施形態に係る補正座標の算出方法について説明するための説明図である。
【図19】同実施形態に係る重心距離の補正方法(変形例)について説明するための説明図である。
【図20】本技術の第3実施形態に係る座標補正部の機能構成を示す説明図である。
【図21】同実施形態に係る仮補正座標の算出方法について説明するための説明図である。
【図22】同実施形態に係る補正座標の算出方法について説明するための説明図である。
【図23】同実施形態に係る補正座標の算出方法について説明するための説明図である。
【図24】本技術の第4実施形態に係る座標補正部の機能構成を示す説明図である。
【図25】同実施形態に係る距離の算出方法について説明するための説明図である。
【図26】同実施形態に係る距離の補正方法について説明するための説明図である。
【図27】同実施形態に係る補正座標の算出方法について説明するための説明図である。
【図28】同実施形態に係る補正座標の算出方法について説明するための説明図である。
【図29】本技術の第1〜第4実施形態に係る情報処理装置の一部又は全部の機能を実現することが可能なハードウェア構成例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に添付図面を参照しながら、本技術に係る好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0027】
[説明の流れについて]
ここで、以下に記載する説明の流れについて簡単に述べる。
【0028】
まず、図1〜図3を参照しながら、静電容量式タッチセンサの電極構造及びその性質について簡単に説明する。また、静電容量式タッチセンサ以外のセンサについて述べる。次いで、図4及び図5を参照しながら、移動平均を利用したノイズ低減方法について説明する。
【0029】
次に、図6を参照しながら、本技術の第1実施形態に係る情報処理装置の機能構成について説明する。次いで、図7を参照しながら、同実施形態に係る座標補正部13の機能構成について説明する。また、図8〜図11を参照しながら、座標補正部13の動作について説明する。次いで、図12を参照しながら、同実施形態に係る補正座標の算出方法について説明する。
【0030】
次に、図13を参照しながら、本技術の第2実施形態に係る座標補正部13の機能構成について説明する。また、図14〜図17を参照しながら、同実施形態に係る座標補正部13の動作について説明する。次いで、図18を参照しながら、同実施形態に係る補正座標の算出方法について説明する。次いで、図19を参照しながら、同実施形態の一変形例に係る重心距離の補正方法について説明する。
【0031】
次に、図20を参照しながら、本技術の第3実施形態に係る座標補正部13の機能構成について説明する。また、図21及び図22を参照しながら、同実施形態に係る座標補正部13の動作について説明する。次いで、図23を参照しながら、同実施形態に係る補正座標の算出方法について説明する。
【0032】
次に、図24を参照しながら、本技術の第4実施形態に係る座標補正部13の機能構成について説明する。また、図25〜図27を参照しながら、同実施形態に係る座標補正部13の動作について説明する。次いで、図28を参照しながら、同実施形態に係る補正座標の算出方法について説明する。
【0033】
次に、図29を参照しながら、本技術の第1〜第4実施形態に係る情報処理装置の機能を実現することが可能なハードウェア構成例について説明する。最後に、同実施形態の技術的思想について纏め、当該技術的思想から得られる作用効果について簡単に説明する。
【0034】
(説明項目)
1:はじめに
1−1:静電容量式タッチセンサの構造とタッチ位置の検出方法
1−2:静電容量式タッチセンサの検出精度
1−3:その他のセンサについて
1−4:ノイズ低減方法
2:第1実施形態
2−1:情報処理装置の構成
2−2:座標補正部13の詳細な構成
2−2−1:全体構成
2−2−2:近似直線の算出
2−2−3:補正座標の算出
2−3:補正座標の算出方法
3:第2実施形態
3−1:座標補正部13の詳細な構成
3−1−1:全体構成
3−1−2:仮補正座標の算出
3−1−3:重心距離の算出
3−1−4:重心距離の補正
3−1−5:補正座標の算出
3−2:補正座標の算出方法
3−3:変形例(処理遅延の考慮)
4:第3実施形態
4−1:座標補正部13の詳細な構成
4−1−1:全体構成
4−1−2:仮補正座標の算出
4−1−3:補正座標の算出
4−2:補正座標の算出方法
5:第4実施形態
5−1:座標補正部13の詳細な構成
5−1−1:全体構成
5−1−2:距離の算出
5−1−3:距離の補正
5−1−4:補正座標の算出
5−2:補正座標の算出方法
6:ハードウェア構成
7:まとめ
【0035】
<1:はじめに>
はじめに、静電容量式タッチセンサの構造、静電容量式タッチセンサの検出精度、その他のセンサによる検出精度、及びノイズ低減方法について簡単に説明する。
【0036】
[1−1:静電容量式タッチセンサの構造とタッチ位置の検出方法]
まず、図1を参照しながら、静電容量式タッチセンサの電極構造について説明する。また、図2を参照しながら、静電容量式タッチセンサによるタッチ位置の検出方法について説明する。図1は、静電容量式タッチセンサの電極構造について説明するための説明図である。また、図2は、静電容量式タッチセンサによるタッチ位置の検出方法について説明するための説明図である。なお、ここでは一例として、ダイヤモンドタイプの電極構造を例に挙げて説明する。
【0037】
図1に示すように、静電容量式タッチセンサは、X方向に沿って配線された複数のX電極、及びY方向に沿って配線された複数のY電極を有する。また、X電極とY電極とは、Z方向に見た場合にX電極の矩形部分(電極パッド)とY電極の矩形部分(電極パッド)とが均等に露出するように並べて配線される。なお、ここでは簡単のために数本の電極しか図示しないが、実際には多数の電極が存在する。
【0038】
図2に示すように、指などの誘電体(以下、操作体)がX電極(Y電極)に近づくと、操作体とX電極(Y電極)との間に静電結合が形成され、X電極(Y電極)の静電容量が増加する。そのため、静電容量の変化を検出することにより、操作体の近接を検知することが可能である。また、各X電極及び各Y電極の静電容量を監視することにより、操作体が接触又は近接した位置を検出することができる。
【0039】
[1−2:静電容量式タッチセンサの検出精度]
次に、図3を参照しながら、静電容量式タッチセンサの検出精度について説明する。図3左図に示すように操作体によりタッチ面上を斜め方向に向けて直線的になぞると、図3右図のようなタッチ位置の軌跡が検出される。図3右図から明らかなように、静電容量式タッチセンサにより検出されるタッチ位置の軌跡は周期的に波打っている。つまり、ユーザが操作体で描いた軌跡と、実際に静電容量式タッチセンサで検出される軌跡とが一致していない。言い換えると、操作体がタッチ面に近接又は接触した位置の座標と、実際に検出されたタッチ位置の座標との間に誤差が生じている。
【0040】
このように、操作体が近接又は接触した位置と違う座標が検出されると、ユーザが意図していないコマンドが実行されてしまうことがある。また、ドラッグ操作の際に検出されるタッチ位置の軌跡が波打つと、ドラッグ操作に追従して動くオブジェクトが不自然な動きをしたり、正しくジェスチャーが認識されなかったりすることがある。また、画面のスクロールなどの動きの方向が決まっている動作をユーザが行った際に動作速度に揺らぎが生じることで、ユーザに違和感を与えてしまうことがある。上記のような誤差を減らすには、例えば、X電極及びY電極の間隔を狭めればよい。
【0041】
しかしながら、電極の本数が増えると、タッチ位置の走査に要する時間が延びてしまい、レスポンスが低下してしまう。さらに、端子数が増えることにより製造コストが増大してしまう。こうした理由から、X電極及びY電極で形成される升目(グリッド)の大きさを維持しつつ、上記の誤差を低減させる技術が注目されている。
【0042】
[1−3:その他のセンサについて]
ところで、上述したダイヤモンド型の電極構造を有する静電容量式タッチセンサだけでなく、他の電極構造を有する静電容量式タッチセンサや、静電容量式以外の方式を採用したタッチセンサにおいても、タッチ位置の検出精度を向上させる技術が求められている。また、タッチセンサに限らず、赤外線や可視光などを利用して位置を検出する光センサの分野においても、光源の位置を精度良く検出する技術の実現が求められている。これらのセンサによる検出結果には、様々な要因で生じるノイズの影響が含まれてしまう。そのため、電気的な方法や光学的な方法で位置を検出するセンサの検出結果に含まれるノイズの影響を除去する技術については各所で様々な研究が行われている。
【0043】
[1−4:ノイズ低減方法]
センサによる検出結果に含まれるノイズを低減する方法として、センサにより測定された測定値を平均化して測定値のばらつきを抑制する方法がある。ここで、図4及び図5を参照しながら、移動平均を利用したノイズ低減方法について説明する。図4及び図5は、移動平均を利用したノイズ低減方法について説明するための説明図である。
【0044】
いま、センサにより時刻t〜tにおいて測定値X〜Xが測定されたものとしよう。時刻t及び測定値Xを座標軸とする座標空間に測定値X〜Xをプロットすると、図4のようになる。まず、測定値Xのノイズを低減する処理について考えてみよう。5点の移動平均を考えるものとすると、測定値Xのノイズを低減する処理においては、測定値Xの前後2点ずつが抽出され、測定値Xを含めた5点の平均値X’が算出される。つまり、測定値X〜Xの平均値X’が算出される。この平均値X’に対応する点をP(t)と表記することにしよう。
【0045】
点P(t)が求まると、次に、測定値Xのノイズを低減する処理が実行される。測定値Xのノイズを低減する処理においては、測定値Xの前後ずつが抽出され、測定値Xを含めた5点の平均値X’が算出される。つまり、ノイズ低減処理の対象とする測定値の移動に伴い、図5に示すように、平均値X’の算出に用いる測定値の範囲が移動する(A(t)→A(t))。そして、測定値X〜Xの平均値X’が算出される。このように、測定値の範囲を移動させつつ、その範囲に含まれる平均値が順次算出される。移動平均を用いて算出された平均値X’,X’,…は、それぞれ測定値X,X,…に含まれる低減した値となる。
【0046】
しかしながら、図5に示すように、測定値Xの平均値X’を算出するのに測定値X〜Xを用いるため、少なくとも時刻tまで待たなければ平均値X’を算出することができない。そのため、遅延Δt=t−tが発生してしまう。この遅延Δtは、平均値X’,X’,…を算出する際にも同じように発生する。つまり、移動平均を利用したノイズ低減方法を適用すると、センサにより位置が検出されてから、ノイズ低減後の位置情報が出力されるまでに遅延Δtが発生することになる。このような遅延Δtの発生は、レスポンスの低下を招き、ユーザに違和感を与える。そのため、遅延Δtの発生を抑制しつつ、センサによる検出結果に含まれるノイズを除去する技術が求められている。
【0047】
<2:第1実施形態>
以下、本技術の第1実施形態について説明する。
【0048】
[2−1:情報処理装置の構成]
まず、図6を参照しながら、本実施形態に係る情報処理装置の構成について説明する。図6は、本実施形態に係る情報処理装置の構成について説明するための説明図である。
【0049】
図6に示すように、本実施形態に係る情報処理装置は、主に、入力装置10と、情報処理部20と、表示部30とにより構成される。また、入力装置10は、主に、タッチセンサ11と、座標取得部12と、座標補正部13とにより構成される。なお、タッチセンサ11に代えて、赤外線や可視光などの光を利用してユーザが示す位置を検出するタイプのセンサを用いることも可能である。但し、以下では、一例としてタッチセンサ11からタッチ位置の座標を取得することを念頭において説明を進める。
【0050】
ユーザがタッチセンサ11に指などの操作体を近接又は接触させると、タッチセンサ11は、近接又は接触した操作体の位置(以下、タッチ位置)を検出する。そして、タッチセンサ11により検出されたタッチ位置を示す座標は、座標取得部12に入力される。座標取得部12は、タッチセンサから座標を取得すると、取得した座標を座標補正部13に入力する。座標が入力された座標補正部13は、入力された座標を補正する。なお、座標補正部13により補正された座標を補正座標と呼ぶことにする。この補正座標は、座標補正部13から出力され、情報処理部20に入力される。補正座標が入力されると、情報処理部20は、入力された補正座標に基づいて所定の処理を実行する。そして、情報処理部20は、実行した処理結果を表示部30に表示する。
【0051】
上記のように、入力装置10は、座標補正部13の機能により座標を補正する。そのため、タッチセンサ11のデバイス特性や外来ノイズなどの影響により生じる座標の誤差が低減され、操作体が実際に近接又は接触した位置の座標に基づく正しい処理が実行される。また、後述するように、座標補正部13は、現在入力された座標と過去に入力された座標とを用いて現在入力された座標を補正する。そのため、座標を補正する際に遅延が発生せず、好適なレスポンスを実現することが可能になる。
【0052】
以上、本実施形態に係る情報処理装置の構成について説明した。
【0053】
[2−2:座標補正部13の詳細な構成]
次に、座標補正部13の構成について、より詳細に説明する。
【0054】
(2−2−1:全体構成)
まず、図7を参照しながら、座標補正部13の全体構成について説明する。図7は、座標補正部13の全体構成について説明するための説明図である。
【0055】
図7に示すように、座標補正部13は、主に、座標関係算出部131と、座標保持部132と、補正座標算出部133とにより構成される。
【0056】
まず、座標取得部12により入力された座標は、座標関係算出部131及び座標保持部132に入力される。また、座標保持部132は、入力された座標を保持する。そのため、座標保持部132には、入力された座標が蓄積される。座標関係算出部131は、座標保持部132に蓄積された過去の座標(以下、過去座標)を取得する。そして、座標関係算出部131は、座標取得部12から入力された座標(以下、現在座標)と、座標保持部132から取得した過去座標とに基づいて近似直線を算出する。なお、この近似直線の算出方法については後述する。座標関係算出部131により算出された近似直線は、補正座標算出部133に入力される。近似直線が入力されると、補正座標算出部133は、入力された近似直線を用いて現在座標を補正し、補正座標を算出する。なお、補正座標の算出方法については後述する。
【0057】
以上、座標補正部13の全体構成について説明した。
【0058】
(2−2−2:近似直線の算出)
次に、図8〜図10を参照しながら、座標補正部13による近似直線の算出方法について説明する。図8〜図10は、座標補正部13による近似直線の算出方法について説明するための説明図である。なお、ここで説明する近似直線の算出は、主に座標関係算出部131の機能を用いて実現される。また、ここでは2通りの算出方法について説明するが、座標関係算出部131は、いずれの算出方法を用いてもよい。
【0059】
(近似直線の算出方法#1:最小二乗法)
まず、図8を参照する。図8には、座標取得部12により時刻t〜tに取得された座標P(t)〜P(t)と、近似直線Lとが記載されている。この近似直線Lは、最小二乗法を用いて算出された直線である。つまり、座標関係算出部131は、図8に示すように、座標P(t)(j=1〜5)との間のY方向に沿った距離ΔY(t)の二乗和ΣΔY(tが最小となる近似直線Lを算出する。
【0060】
なお、近似直線Lの傾きが急な場合には、図9に示すようにX軸とY軸とを交換し、座標P(t)(j=1〜5)との間のX方向に沿った距離ΔX(t)の二乗和ΣΔX(tが最小となる近似直線Lを算出する方が精度良く近似直線Lを求めることができる。座標関係算出部131は、近似直線Lの傾きに応じて、このようなX軸とY軸との交換を実施してもよい。
【0061】
(近似直線の算出方法#2:最小距離)
次に、図10を参照する。図10には、座標取得部12により時刻t〜tに取得された座標P(t)〜P(t)と、近似直線Lとが記載されている。この近似直線Lは、座標P(t)〜P(t)との距離の二乗和が最小となる直線である。つまり、座標関係算出部131は、図10に示すように、座標P(t)(j=1〜5)との間の距離δ(t)の二乗和Σδ(tが最小となる近似直線Lを算出する。
【0062】
以上、座標補正部13による近似直線の算出方法について説明した。なお、ここでは5つの座標P(t)〜P(t)から近似直線Lを算出する方法について述べたが、近似直線Lの算出に用いる座標の数は2以上の任意の数に設定可能である。
【0063】
(2−2−3:補正座標の算出)
次に、図11を参照しながら、座標補正部13による補正座標の算出方法について説明する。図11は、座標補正部13による補正座標の算出方法について説明するための説明図である。なお、ここで説明する補正座標の算出は、主に補正座標算出部133の機能を用いて実現される。
【0064】
図11には、座標取得部12により時刻t〜tに取得された座標P(t)〜P(t)と、近似直線Lと、補正座標P’(t)とが記載されている。補正座標P’(t)を算出する際、補正座標算出部133は、座標P(t)〜P(t)の近似直線L上で座標P(t)に最も近い座標P’(t)を算出する。そして、補正座標算出部133は、算出した近似直線L上の座標P’(t)を補正座標に設定する。
【0065】
以上、座標補正部13による補正座標の算出方法について説明した。なお、ここでは一例として座標P(t)に対応する補正座標P’(t)を算出する方法について述べたが、他の座標に対応する補正座標の算出方法も同様である。
【0066】
以上、座標補正部13の構成について、より詳細に説明した。
【0067】
[2−3:補正座標の算出方法]
次に、図12を参照しながら、補正座標の算出方法に関する座標補正部13の動作フローについて説明する。図12は、補正座標の算出方法に関する座標補正部13の動作フローについて説明するための説明図である。
【0068】
図12に示すように、まず、座標補正部13は、最新の座標を取得する(S101)。次いで、座標補正部13は、座標保持部132に蓄積しておいた過去の座標群を取得する(S102)。次いで、座標補正部13は、座標関係算出部131の機能により、ステップS101及びS102で取得した複数の座標を用いて近似直線を算出する(S103)。次いで、座標補正部13は、補正座標算出部133の機能により、ステップS103で算出した近似直線上にあり、ステップS101で取得した最新の座標に最も近い座標を算出する(S104)。次いで、座標補正部13は、ステップS104で算出した座標を補正座標として出力し(S105)、一連の処理を終了する。
【0069】
以上、補正座標の算出方法に関する座標補正部13の動作フローについて説明した。
【0070】
以上説明したように、本技術の第1実施形態に係る座標の補正方法によれば、最新の座標を取得したタイミングで補正座標を生成することが可能になる。
【0071】
<3:第2実施形態>
次に、本技術の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態と上記の第1実施形態との違いは、座標補正部13の構成及び補正座標の算出方法にある。そこで、以下では、主に座標補正部13の構成及び補正座標の算出方法について説明する。
【0072】
[3−1:座標補正部13の詳細な構成]
本実施形態に係る座標補正部13の詳細な構成について説明する。
【0073】
(3−1−1:全体構成)
まず、図13を参照しながら、座標補正部13の全体構成について説明する。図13は、座標補正部13の全体構成について説明するための説明図である。なお、上記の第1実施形態に係る座標補正部13の機能と実質的に同じ機能を有する構成要素については同じ符号を付することにより詳細な説明を省略する。
【0074】
図13に示すように、座標補正部13は、主に、座標関係算出部131と、座標保持部132と、仮補正座標算出部201と、重心算出部202と、重心距離算出部203と、距離関係算出部204と、重心距離補正部205と、補正座標算出部206とにより構成される。
【0075】
まず、座標取得部12により入力された座標は、座標関係算出部131及び座標保持部132に入力される。また、座標保持部132は、入力された座標を保持する。そのため、座標保持部132には、入力された座標が蓄積される。座標関係算出部131は、座標保持部132に蓄積された所定数の座標を取得する。例えば、座標関係算出部131は、座標取得部12により時刻t(k=1〜K、Kは所定値)に取得された座標P(t)を取得する。そして、座標関係算出部131は、座標保持部132から取得した座標P(t)(k=1〜K)に基づいて近似直線Lを算出する。なお、近似直線Lの算出方法は、上記の第1実施形態と実質的に同じである。
【0076】
座標関係算出部131により算出された近似直線Lは、仮補正座標算出部201及び補正座標算出部206に入力される。近似直線Lが入力されると、仮補正座標算出部201は、座標P(t)に最も近い近似直線L上の座標(以下、仮補正座標)P”(t)を算出する。なお、仮補正座標の算出方法については後述する。仮補正座標算出部201により算出された仮補正座標P”(t)は、重心距離算出部203に入力される。重心算出部202は、座標P(t)(k=1〜K)の重心に位置する座標(以下、重心座標)W(t)を算出する。そして、重心算出部202により算出された重心座標W(t)は、重心距離算出部203に入力される。
【0077】
上記のように、重心距離算出部203には、仮補正座標P”(t)と重心座標W(t)とが入力される。仮補正座標P”(t)と重心座標W(t)とが入力されると、重心距離算出部203は、入力された仮補正座標P”(t)と重心座標W(t)との間の距離(以下、重心距離)d(t)を算出する。そして、重心距離算出部203により算出された重心距離d(t)は、距離関係算出部204に入力される。
【0078】
さらに、座標関係算出部131、仮補正座標算出部201、重心算出部202、重心距離算出部203は、m=1〜M(Mは所定数)について以下の処理を実行する。座標関係算出部131は、座標取得部12により時刻t(k−m)(k=1〜K)に取得された座標P(t(k−m))を取得する。そして、座標関係算出部131は、座標保持部132から取得した座標P(t(k−m))(k=1〜K)に基づいて近似直線Lを算出する。なお、近似直線Lの算出方法は、上記の第1実施形態と実質的に同じである。
【0079】
座標関係算出部131により算出された近似直線Lは、仮補正座標算出部201及び補正座標算出部206に入力される。近似直線Lが入力されると、仮補正座標算出部201は、座標P(t(K−m))に最も近い近似直線L上の仮補正座標P”(t(K−m))を算出する。仮補正座標算出部201により算出された仮補正座標P”(t(K−m))は、重心距離算出部203に入力される。また、重心算出部202は、座標P(t(k−m))(k=1〜K)の重心に位置する重心座標W(t(K−m))を算出する。そして、重心算出部202により算出された重心座標W(t(K−m))は、重心距離算出部203に入力される。
【0080】
上記のように、重心距離算出部203には、仮補正座標P”(t(K−m))と重心座標W(t(K−m))とが入力される。仮補正座標P”(t(K−m))と重心座標W(t(K−m))とが入力されると、重心距離算出部203は、入力された仮補正座標P”(t(K−m))と重心座標W(t(K−m))との間の重心距離d(t(K−m))を算出する。そして、重心距離算出部203により算出された重心距離d(t(K−m))は、距離関係算出部204に入力される。
【0081】
上記のように、距離関係算出部204には、重心距離d(t(K−m’))(m’=0〜M)が入力される。重心距離d(t(K−m’))(m’=0〜M)が入力されると、距離関係算出部204は、入力された重心距離d(t(K−m’))(m’=0〜M)を用いて近似直線Lを算出する。なお、近似直線Lの算出方法については後述する。距離関係算出部204により算出された近似直線Lは、重心距離補正部205に入力される。近似直線Lが入力されると、重心距離補正部205は、時刻tに対応する近似直線L上の点を抽出し、その点に対応する重心距離d’(t)を算出する。そして、重心距離補正部205は、重心距離d(t)の補正値(以下、補正重心距離)として、算出した重心距離d’(t)を出力する。
【0082】
なお、補正重心距離d’(t)の算出方法については後述する。また、重心距離補正部205により出力された補正重心距離d’(t)は、補正座標算出部206に入力される。補正重心距離d’(t)が入力されると、補正座標算出部206は、入力された補正重心距離d’(t)を用いて座標P(t)を補正し、補正座標P’(t)を算出する。具体的には、補正座標算出部206は、座標P(t)(k=1〜N)について算出された近似直線L上で、重心座標W(t)から補正重心距離d’(t)だけ離れた座標P’(t)を抽出し、この座標P’(t)を補正座標として出力する。なお、補正座標の算出方法については後述する。
【0083】
以上、座標補正部13の全体構成について説明した。
【0084】
(3−1−2:仮補正座標の算出)
次に、図14を参照しながら、座標補正部13による仮補正座標の算出方法について説明する。図14は、座標補正部13による仮補正座標の算出方法について説明するための説明図である。なお、ここで説明する仮補正座標の算出は、主に仮補正座標算出部201の機能を用いて実現される。
【0085】
図14には、座標取得部12により時刻t〜tに取得された座標P(t)〜P(t)と、近似直線Lと、仮補正座標P”(t)とが記載されている。仮補正座標P”(t)を算出する際、仮補正座標算出部201は、座標P(t)〜P(t)の近似直線L上で座標P(t)に最も近い座標P”(t)を算出する。そして、仮補正座標算出部201は、算出した近似直線L上の座標P”(t)を仮補正座標に設定する。
【0086】
以上、座標補正部13による仮補正座標の算出方法について説明した。なお、ここでは一例として座標P(t)に対応する仮補正座標P”(t)を算出する方法について述べたが、他の座標に対応する仮補正座標の算出方法も同様である。
【0087】
(3−1−3:重心距離の算出)
次に、図15を参照しながら、座標補正部13による重心距離の算出方法について説明する。図15は、座標補正部13による重心距離の算出方法について説明するための説明図である。なお、ここで説明する重心距離の算出は、主に重心算出部202及び重心距離算出部203の機能を用いて実現される。
【0088】
図15には、座標取得部12により時刻t〜tに取得された座標P(t)〜P(t)と、近似直線Lと、仮補正座標P”(t)と、重心座標W(t)と、重心距離d(t)とが記載されている。重心距離d(t)を算出する際、まず、重心算出部202は、座標P(t)〜P(t)の重心座標W(t)を算出する。次いで、重心距離算出部203は、図15に示すように、重心座標W(t)と仮補正座標P”(t)との間の距離d(t)を算出する。そして、重心距離算出部203は、算出した距離d(t)を重心距離に設定する。
【0089】
以上、座標補正部13による重心距離の算出方法について説明した。なお、ここでは一例として座標P(t)に対応する重心距離d(t)を算出する方法について述べたが、他の座標に対応する重心距離の算出方法も同様である。
【0090】
(3−1−4:重心距離の補正)
次に、図16を参照しながら、座標補正部13による重心距離の補正方法について説明する。図16は、座標補正部13による重心距離の補正方法について説明するための説明図である。なお、ここで説明する重心距離の補正は、主に距離関係算出部204及び重心距離補正部205の機能を用いて実現される。
【0091】
図16には、座標取得部12により時刻t〜tに取得された座標P(t)〜P(t)に対応する重心距離d(t)〜d(t)と、近似直線Lと、補正重心距離d’(t)とが記載されている。補正重心距離d’(t)を算出する際、まず、距離関係算出部204は、重心距離d(t)〜d(t)に関する近似直線Lを算出する。近似直線Lは、例えば、近似直線Lの算出方法と同様の方法(最小距離を求める方法や最小二乗法など)を用いて算出することができる。次いで、重心距離補正部205は、時刻tにおける近似直線L上の点を抽出し、その点に対応する重心距離d’(t)を算出する。そして、重心距離補正部205は、算出した重心距離d’(t)を補正重心距離に設定する。
【0092】
以上、座標補正部13による重心距離の補正方法について説明した。なお、ここでは一例として時刻tに対応する補正重心距離d’(t)を算出する方法について述べたが、他の座標に対応する補正重心距離の算出方法も同様である。
【0093】
(3−1−5:補正座標の算出)
次に、図17を参照しながら、座標補正部13による補正座標の算出方法について説明する。図17は、座標補正部13による補正座標の算出方法について説明するための説明図である。なお、ここで説明する補正座標の算出は、主に補正座標算出部206の機能を用いて実現される。
【0094】
図17には、座標取得部12により時刻t〜tに取得された座標P(t)〜P(t)と、近似直線Lと、重心座標W(t)と、補正重心距離d’(t)と、補正座標P’(t)とが記載されている。補正座標P’(t)を算出する際、補正座標算出部206は、座標P(t)〜P(t)の近似直線L上で、重心座標W(t)から補正重心距離d’(t)だけ離れた座標P’(t)を算出する。そして、補正座標算出部206は、算出した近似直線L上の座標P’(t)を補正座標に設定する。
【0095】
以上、座標補正部13による補正座標の算出方法について説明した。なお、ここでは一例として座標P(t)に対応する補正座標P’(t)を算出する方法について述べたが、他の座標に対応する補正座標の算出方法も同様である。
【0096】
以上、座標補正部13の構成について、より詳細に説明した。
【0097】
[3−2:補正座標の算出方法]
次に、図18を参照しながら、補正座標の算出方法に関する座標補正部13の動作フローについて説明する。図18は、補正座標の算出方法に関する座標補正部13の動作フローについて説明するための説明図である。
【0098】
図18に示すように、まず、座標補正部13は、最新の座標を取得する(S201)。次いで、座標補正部13は、座標保持部132に蓄積しておいた過去の座標群を取得する(S202)。次いで、座標補正部13は、座標関係算出部131の機能により、ステップS201及びS202で取得した複数の座標を用いて近似直線Lを算出する(S203)。このとき、座標群の組み合わせを変えながら複数の近似直線Lが算出される。
【0099】
次いで、座標補正部13は、仮補正座標算出部201の機能により、ステップS203で算出した近似直線L上にあり、その近似直線Lの算出に用いた座標群のうちで最新の座標に最も近い座標(仮補正座標)を算出する(S204)。このとき、ステップS203で各近似直線Lの算出に用いた座標群の組み合わせ毎に仮補正座標が算出される。次いで、座標補正部13は、重心算出部202の機能により、ステップS203で各近似直線Lの算出に用いた座標群の重心を示す重心座標を算出する(S205)。
【0100】
次いで、座標補正部13は、重心距離算出部203の機能により、ステップS204で算出した仮補正座標と、ステップS205で算出した重心座標との間の距離(重心距離)を算出する(S206)。このとき、ステップS203で各近似直線Lの算出に用いた座標群の組み合わせ毎に重心距離が算出される。次いで、座標補正部13は、距離関係算出部204の機能により、ステップS206で算出された重心距離に関する近似直線Lを算出する(S207)。
【0101】
次いで、座標補正部13は、重心距離補正部205の機能により、ステップS201で最新の座標を取得した時刻に対応する近似直線L上の点を抽出し、その点に対応する重心距離(補正重心距離)を算出する(S208)。次いで、座標補正部13は、補正座標算出部206の機能により、最新の座標を含む座標群を用いて算出した近似直線L上で、その座標群に対応する重心座標から、ステップS208で算出された補正重心距離だけ離れた座標を算出する(S209)。そして、座標補正部13は、ステップS209で算出した座標を補正座標として出力し(S210)、一連の処理を終了する。
【0102】
以上、補正座標の算出方法に関する座標補正部13の動作フローについて説明した。但し、図18に示した動作フローは、次のように変形してもよい。図18に示した動作フローは、近似直線Lを算出する都度、過去の座標群を用いて、座標群の組み合わせ毎に近似直線L、仮補正座標、重心座標、及び重心距離を算出するように構成されている。しかし、最新の座標を取得する度に最新の座標を含む座標群を用いて算出される近似直線L、仮補正座標、重心座標、及び重心距離を保持しておけば、近似直線Lを算出する都度、これらの値を算出する必要がなくなる。さらに言えば、最新の座標を取得する度に、最新の座標を含む座標群を用いて算出される重心距離を保持しておくことで、近似直線Lを算出する際に要する演算量を大幅に削減することが可能になる。このような変形も本実施形態の技術的範囲に属する。
【0103】
[3−3:変形例(処理遅延の考慮)]
次に、図19を参照しながら、重心距離の補正方法に関する変形例について説明する。図19は、重心距離の補正方法に関する変形例について説明するための説明図である。なお、ここで説明する重心距離の補正は、主に距離関係算出部204及び重心距離補正部205の機能を用いて実現される。
【0104】
図19には、座標取得部12により時刻t〜tに取得された座標P(t)〜P(t)に対応する重心距離d(t)〜d(t)と、近似直線Lと、補正重心距離d’(t)とが記載されている。補正重心距離d’(t)を算出する際、まず、距離関係算出部204は、重心距離d(t)〜d(t)に関する近似直線Lを算出する。近似直線Lは、例えば、近似直線Lの算出方法と同様の方法(最小距離を求める方法や最小二乗法など)を用いて算出することができる。
【0105】
次いで、重心距離補正部205は、処理遅延Δtを考慮し、時刻(t+Δt)における近似直線L上の点を抽出し、その点に対応する重心距離d’(t)を算出する。そして、重心距離補正部205は、算出した重心距離d’(t)を補正重心距離に設定する。なお、処理遅延Δtは、例えば、図18に示した補正座標の算出処理に要する時間、又は座標が取得されてから補正座標に基づく表示が行われるまでに要する時間などに設定される。また、処理遅延Δtは、試験的な計測の結果に基づく固定の値に予め設定されていてもよいし、或いは、図18に示した補正座標の算出処理に要する平均的な時間を計測して、その計測値に所定のタイミングで更新されるようにしてもよい。
【0106】
また、重心距離補正部205は、近似直線Lと座標P(t)〜P(t)との適合度に応じて処理遅延Δtの値を調整してもよい。例えば、重心距離補正部205は、近似直線Lと座標P(t)〜P(t)との誤差の二乗和を算出し、二乗和が大きい場合に処理遅延Δtを小さくし、二乗和が小さい場合に処理遅延Δtを大きくするような調整を行ってもよい。このような調整を行うことにより、曲線的な操作を行っている場合など、近似直線の適合度が低いために補正精度が低くなる状況において、補正による誤差の拡大を低減することが可能になる。なお、二乗和の計算は、重心距離補正部205が実行してもよいし、座標関係算出部131などの他の構成要素が実行してもよい。また、二乗和の範囲と所定の係数との関係を示したテーブルを重心距離補正部205が保持していてもよい。
【0107】
以上、座標補正部13による重心距離の補正方法(変形例)について説明した。なお、ここでは一例として時刻tに対応する補正重心距離d’(t)を算出する方法について述べたが、他の座標に対応する補正重心距離の算出方法も同様である。
【0108】
以上説明したように、本技術の第2実施形態に係る座標の補正方法によれば、最新の座標を取得したタイミングで補正座標を生成することが可能になる。また、移動速度を考慮して座標が補正されることにより、より高い精度で座標が補正される。
【0109】
<4:第3実施形態>
次に、本技術の第3実施形態について説明する。なお、本実施形態と上記の第1実施形態との違いは、座標補正部13の構成及び補正座標の算出方法にある。そこで、以下では、主に座標補正部13の構成及び補正座標の算出方法について説明する。
【0110】
[4−1:座標補正部13の詳細な構成]
本実施形態に係る座標補正部13の詳細な構成について説明する。
【0111】
(4−1−1:全体構成)
まず、図20を参照しながら、座標補正部13の全体構成について説明する。図20は、座標補正部13の全体構成について説明するための説明図である。なお、上記の第1実施形態に係る座標補正部13の機能と実質的に同じ機能を有する構成要素については同じ符号を付することにより詳細な説明を省略する。
【0112】
図20に示すように、座標補正部13は、主に、座標関係算出部131と、座標保持部132と、仮補正座標算出部301と、距離算出部302と、距離補正部303と、補正座標算出部304とにより構成される。
【0113】
まず、座標取得部12により入力された座標は、座標関係算出部131及び座標保持部132に入力される。また、座標保持部132は、入力された座標を保持する。そのため、座標保持部132には、入力された座標が蓄積される。座標関係算出部131は、座標保持部132に蓄積された所定数の座標を取得する。例えば、座標関係算出部131は、座標取得部12により時刻t(k=1〜K、Kは所定値)に取得された座標P(t)を取得する。そして、座標関係算出部131は、座標保持部132から取得した座標P(t)(k=1〜K)に基づいて近似直線Lを算出する。なお、近似直線Lの算出方法は、上記の第1実施形態と実質的に同じである。
【0114】
座標関係算出部131により算出された近似直線Lは、仮補正座標算出部301及び補正座標算出部304に入力される。近似直線Lが入力されると、仮補正座標算出部301は、座標P(t)に最も近い近似直線L上の座標(以下、仮補正座標)P”(t)を算出する。さらに、仮補正座標算出部301は、座標P(t(K−1))に最も近い近似直線L上の座標(仮補正座標)P”(t(K−1))を算出する。なお、仮補正座標の算出方法については後述する。仮補正座標算出部301により算出された仮補正座標P”(t)及びP”(t(K−1))は、距離算出部302に入力される。
【0115】
仮補正座標P”(t)及びP”(t(K−1))が入力されると、距離算出部302は、入力された仮補正座標P”(t)と仮補正座標P”(t(K−1))と間の距離d”(t)を算出する。距離算出部302により算出された距離d(t)は、距離補正部303に入力される。距離d(t)が入力されると、距離補正部303は、入力された距離d(t)に所定の係数を乗算して距離(以下、補正距離)d’(t)を算出する。なお、所定の係数は、予め設定された固定の値であってもよいが、近似直線Lと座標P(t)(k=1〜K)との間の誤差に応じて適応的に調整されることが好ましい。
【0116】
例えば、距離補正部303は、近似直線Lと座標P(t)(k=1〜K)との間の距離の二乗和が大きくなるにつれて値が小さくなるように所定の係数を調整する。このような調整を行うことにより、曲線的な操作を行っている場合など、近似直線の適合度が低いために補正精度が低くなる状況において、補正による誤差の拡大を低減することが可能になる。但し、二乗和の計算は、距離補正部303が実行してもよいし、座標関係算出部131などの他の構成要素が実行してもよい。また、二乗和の範囲と所定の係数との関係を示したテーブルを距離補正部303が保持していてもよい。このようにして算出された距離d’(t)は、補正座標算出部304に入力される。
【0117】
補正距離d’(t)が入力されると、補正座標算出部304は、入力された補正距離d’(t)を用いて座標P(t)を補正し、補正座標P’(t)を算出する。具体的には、補正座標算出部304は、近似直線L上で、仮補正座標P”(t(K−1))から補正距離d’(t)だけ離れた座標P’(t)を抽出し、この座標P’(t)を補正座標として出力する。なお、補正座標の算出方法については後述する。
【0118】
以上、座標補正部13の全体構成について説明した。
【0119】
(4−1−2:仮補正座標の算出)
次に、図21を参照しながら、座標補正部13による仮補正座標の算出方法について説明する。図21は、座標補正部13による仮補正座標の算出方法について説明するための説明図である。なお、ここで説明する仮補正座標の算出は、主に仮補正座標算出部301の機能を用いて実現される。
【0120】
図21には、座標取得部12により時刻t〜tに取得された座標P(t)〜P(t)と、近似直線Lと、仮補正座標P”(t)及びP”(t)とが記載されている。仮補正座標P”(t)を算出する際、仮補正座標算出部301は、座標P(t)〜P(t)の近似直線L上で座標P(t)に最も近い座標P”(t)を算出する。また、仮補正座標P”(t)を算出する際、仮補正座標算出部301は、座標P(t)〜P(t)の近似直線L上で座標P(t)に最も近い座標P”(t)を算出する。そして、仮補正座標算出部301は、算出した近似直線L上の座標P”(t)及びP”(t)を仮補正座標に設定する。
【0121】
以上、座標補正部13による仮補正座標の算出方法について説明した。なお、ここでは一例として座標P(t)及びP(t)に対応する仮補正座標P”(t)及びP”(t)を算出する方法について述べたが、他の座標に対応する仮補正座標の算出方法も同様である。
【0122】
(4−1−3:補正座標の算出)
次に、図22を参照しながら、座標補正部13による補正座標の算出方法について説明する。図22は、座標補正部13による補正座標の算出方法について説明するための説明図である。なお、ここで説明する補正座標の算出は、主に補正座標算出部304の機能を用いて実現される。
【0123】
図22には、座標取得部12により時刻t〜tに取得された座標P(t)〜P(t)と、近似直線Lと、仮補正座標P”(t)及びP”(t)と、距離d(t)と、補正距離d’(t)と、補正座標P’(t)とが記載されている。補正座標P’(t)を算出する際、補正座標算出部304は、座標P(t)〜P(t)の近似直線L上で、仮補正座標P”(t)から補正距離d’(t)だけ離れた座標P’(t)を算出する。そして、補正座標算出部304は、算出した近似直線L上の座標P’(t)を補正座標に設定する。
【0124】
以上、座標補正部13による補正座標の算出方法について説明した。なお、ここでは一例として座標P(t)に対応する補正座標P’(t)を算出する方法について述べたが、他の座標に対応する補正座標の算出方法も同様である。
【0125】
以上、座標補正部13の構成について、より詳細に説明した。
【0126】
[4−2:補正座標の算出方法]
次に、図23を参照しながら、補正座標の算出方法に関する座標補正部13の動作フローについて説明する。図23は、補正座標の算出方法に関する座標補正部13の動作フローについて説明するための説明図である。
【0127】
図23に示すように、まず、座標補正部13は、最新の座標を取得する(S301)。次いで、座標補正部13は、座標保持部132に蓄積しておいた過去の座標群を取得する(S302)。次いで、座標補正部13は、座標関係算出部131の機能により、ステップS301及びS302で取得した複数の座標を用いて近似直線Lを算出する(S303)。次いで、座標補正部13は、仮補正座標算出部201の機能により、ステップS303で算出した近似直線L上にあり、その近似直線Lの算出に用いた座標群のうちで最新の座標に最も近い座標(仮補正座標)及びその次に取得された座標に最も近い座標(仮補正座標)を算出する(S304)。
【0128】
次いで、座標補正部13は、距離算出部302の機能により、ステップS304で算出した仮補正座標間の距離を算出する(S305)。次いで、座標補正部13は、距離補正部303の機能により、ステップS305で算出された仮補正座標間の距離に所定の係数を乗算して補正距離を算出する(S306)。次いで、座標補正部13は、補正座標算出部304の機能により、近似直線L上で、最新の座標の1つ前に取得された座標に対応する仮補正座標から、ステップS306で算出された補正距離だけ離れた座標を算出する(S307)。そして、座標補正部13は、ステップS307で算出した座標を補正座標として出力し(S308)、一連の処理を終了する。
【0129】
以上、補正座標の算出方法に関する座標補正部13の動作フローについて説明した。
【0130】
以上説明したように、本技術の第3実施形態に係る座標の補正方法によれば、最新の座標を取得したタイミングで補正座標を生成することが可能になる。また、移動速度を考慮して座標が補正されることにより、より高い精度で座標が補正される。さらに、上記の第2実施形態に係る座標の補正方法に比べ、重心座標や重心距離を算出しない分だけ演算量が少なくて済む。
【0131】
<5:第4実施形態>
次に、本技術の第4実施形態について説明する。なお、本実施形態と上記の第1実施形態との違いは、座標補正部13の構成及び補正座標の算出方法にある。そこで、以下では、主に座標補正部13の構成及び補正座標の算出方法について説明する。
【0132】
[5−1:座標補正部13の詳細な構成]
本実施形態に係る座標補正部13の詳細な構成について説明する。
【0133】
(5−1−1:全体構成)
まず、図24を参照しながら、座標補正部13の全体構成について説明する。図24は、座標補正部13の全体構成について説明するための説明図である。なお、上記の第1実施形態に係る座標補正部13の機能と実質的に同じ機能を有する構成要素については同じ符号を付することにより詳細な説明を省略する。
【0134】
図24に示すように、座標補正部13は、主に、座標関係算出部131と、座標保持部132と、仮補正座標算出部401と、距離算出部402と、距離関係算出部403と、距離補正部404と、補正座標算出部405とにより構成される。
【0135】
まず、座標取得部12により入力された座標は、座標関係算出部131及び座標保持部132に入力される。また、座標保持部132は、入力された座標を保持する。そのため、座標保持部132には、入力された座標が蓄積される。座標関係算出部131は、座標保持部132に蓄積された所定数の座標を取得する。例えば、座標関係算出部131は、座標取得部12により時刻t(k=1〜K、Kは所定値)に取得された座標P(t)を取得する。そして、座標関係算出部131は、座標保持部132から取得した座標P(t)(k=1〜K)に基づいて近似直線Lを算出する。なお、近似直線Lの算出方法は、上記の第1実施形態と実質的に同じである。
【0136】
座標関係算出部131により算出された近似直線Lは、仮補正座標算出部401及び補正座標算出部405に入力される。近似直線Lが入力されると、仮補正座標算出部401は、座標P(t)に最も近い近似直線L上の座標(以下、仮補正座標)P”(t)を算出する。また、仮補正座標算出部401は、座標P(t(K−1))に最も近い近似直線L上の座標(仮補正座標)P”(t(K−1))を算出する。なお、仮補正座標の算出方法は上記の第3実施形態と実質的に同じである。仮補正座標算出部401により算出された仮補正座標P”(t)及びP”(t(K−1))は、距離算出部402に入力される。
【0137】
仮補正座標P”(t)及びP”(t(K−1))が入力されると、距離算出部402は、入力された仮補正座標P”(t)と仮補正座標P”(t(K−1))との間の距離d(t)を算出する。そして、距離算出部402により算出された距離d(t)は、距離関係算出部403に入力される。
【0138】
さらに、座標関係算出部131、仮補正座標算出部401、距離算出部402は、m=1〜M(Mは所定数)について以下の処理を実行する。座標関係算出部131は、座標取得部12により時刻t(k−m)(k=1〜K)に取得された座標P(t(k−m))を取得する。そして、座標関係算出部131は、座標保持部132から取得した座標P(t(k−m))(k=1〜K)に基づいて近似直線Lを算出する。なお、近似直線Lの算出方法は、上記の第1実施形態と実質的に同じである。
【0139】
座標関係算出部131により算出された近似直線Lは、仮補正座標算出部401及び補正座標算出部405に入力される。近似直線Lが入力されると、仮補正座標算出部401は、座標P(t(K−m))に最も近い近似直線L上の仮補正座標P”(t(K−m))を算出する。さらに、仮補正座標算出部401は、座標P(t(K−m−1))に最も近い近似直線L上の仮補正座標P”(t(K−m−1))を算出する。仮補正座標算出部401により算出された仮補正座標P”(t(K−m))及びP”(t(K−m−1))は、距離算出部402に入力される。
【0140】
仮補正座標P”(t(K−m))と仮補正座標P”(t(K−m−1))とが入力されると、距離算出部402は、入力された仮補正座標P”(t(K−m))と仮補正座標P”(t(K−m−1))との間の距離d(t(K−m))を算出する。そして、距離算出部402により算出された距離d(t(K−m))は、距離関係算出部403に入力される。
【0141】
上記のように、距離関係算出部403には、距離d(t(K−m’))(m’=0〜M)が入力される。距離d(t(K−m’))(m’=0〜M)が入力されると、距離関係算出部403は、入力された距離d(t(K−m’))(m’=0〜M)を用いて近似直線Lを算出する。なお、近似直線Lの算出方法については後述する。距離関係算出部403により算出された近似直線Lは、距離補正部404に入力される。近似直線Lが入力されると、距離補正部404は、時刻tに対応する近似直線L上の点を抽出し、その点に対応する距離d’(t)を算出する。そして、距離補正部404は、距離d(t)の補正値(以下、補正距離)として、算出した距離d’(t)を出力する。
【0142】
なお、補正距離d’(t)の算出方法については後述する。また、距離補正部404により出力された補正距離d’(t)は、補正座標算出部405に入力される。補正距離d’(t)が入力されると、補正座標算出部405は、入力された補正距離d’(t)を用いて座標P(t)を補正し、補正座標P’(t)を算出する。具体的には、補正座標算出部405は、座標P(t)(k=1〜N)について算出された近似直線L上で、仮補正座標P”(t(K−1))から補正距離d’(t)だけ離れた座標P’(t)を抽出し、この座標P’(t)を補正座標として出力する。なお、補正座標の算出方法については後述する。
【0143】
以上、座標補正部13の全体構成について説明した。
【0144】
(5−1−2:距離の算出)
次に、図25を参照しながら、座標補正部13による距離の算出方法について説明する。図25は、座標補正部13による距離の算出方法について説明するための説明図である。なお、ここで説明する距離の算出は、主に距離算出部402の機能を用いて実現される。
【0145】
図25には、座標取得部12により時刻t〜tに取得された座標P(t)〜P(t)と、近似直線Lと、仮補正座標P”(t)及びP”(t)と、距離d(t)とが記載されている。距離d(t)を算出する際、まず、距離算出部402は、図25に示すように、仮補正座標P”(t)と仮補正座標P”(t)との間の距離d(t)を算出する。
【0146】
以上、座標補正部13による重心距離の算出方法について説明した。なお、ここでは一例として座標P(t)に対応する距離d(t)を算出する方法について述べたが、他の座標に対応する距離の算出方法も同様である。
【0147】
(5−1−3:距離の補正)
次に、図26を参照しながら、座標補正部13による距離の補正方法について説明する。図26は、座標補正部13による距離の補正方法について説明するための説明図である。なお、ここで説明する補正距離の算出は、主に距離関係算出部403及び距離補正部404の機能を用いて実現される。
【0148】
図26には、座標取得部12により時刻t〜tに取得された座標P(t)〜P(t)に対応する距離d(t)〜d(t)と、近似直線Lと、補正距離d’(t)とが記載されている。補正距離d’(t)を算出する際、まず、距離関係算出部403は、距離d(t)〜d(t)に関する近似直線Lを算出する。近似直線Lは、例えば、近似直線Lの算出方法と同様の方法(最小距離を求める方法や最小二乗法など)を用いて算出することができる。次いで、距離補正部404は、時刻tにおける近似直線L上の点を抽出し、その点に対応する距離d’(t)を算出する。そして、距離補正部404は、算出した距離d’(t)を補正距離に設定する。
【0149】
以上、座標補正部13による距離の補正方法について説明した。なお、ここでは一例として時刻tに対応する補正距離d’(t)を算出する方法について述べたが、他の座標に対応する補正距離の算出方法も同様である。
【0150】
(5−1−4:補正座標の算出)
次に、図27を参照しながら、座標補正部13による補正座標の算出方法について説明する。図27は、座標補正部13による補正座標の算出方法について説明するための説明図である。なお、ここで説明する補正座標の算出は、主に補正座標算出部405の機能を用いて実現される。
【0151】
図27には、座標取得部12により時刻t〜tに取得された座標P(t)〜P(t)と、近似直線Lと、仮補正座標P”(t)と、補正距離d’(t)と、補正座標P’(t)とが記載されている。補正座標P’(t)を算出する際、補正座標算出部405は、座標P(t)〜P(t)の近似直線L上で、仮補正座標P”(t)から補正距離d’(t)だけ離れた座標P’(t)を算出する。そして、補正座標算出部405は、算出した近似直線L上の座標P’(t)を補正座標に設定する。
【0152】
以上、座標補正部13による補正座標の算出方法について説明した。なお、ここでは一例として座標P(t)に対応する補正座標P’(t)を算出する方法について述べたが、他の座標に対応する補正座標の算出方法も同様である。
【0153】
以上、座標補正部13の構成について、より詳細に説明した。
【0154】
[5−2:補正座標の算出方法]
次に、図28を参照しながら、補正座標の算出方法に関する座標補正部13の動作フローについて説明する。図28は、補正座標の算出方法に関する座標補正部13の動作フローについて説明するための説明図である。
【0155】
図28に示すように、まず、座標補正部13は、最新の座標を取得する(S401)。次いで、座標補正部13は、座標保持部132に蓄積しておいた過去の座標群を取得する(S402)。次いで、座標補正部13は、座標関係算出部131の機能により、ステップS401及びS402で取得した複数の座標を用いて近似直線Lを算出する(S403)。このとき、座標群の組み合わせを変えながら複数の近似直線Lが算出される。
【0156】
次いで、座標補正部13は、仮補正座標算出部401の機能により、ステップS403で算出した近似直線L上にあり、その近似直線Lの算出に用いた座標群のうちで最新の座標に最も近い座標(仮補正座標)、及びその座標の次に取得された座標に最も近い座標(仮補正座標)を算出する(S404)。このとき、ステップS403で各近似直線Lの算出に用いた座標群の組み合わせ毎に仮補正座標の組が算出される。
【0157】
次いで、座標補正部13は、距離算出部402の機能により、ステップS404で算出した2つの仮補正座標の間の距離を算出する(S405)。このとき、ステップS403で各近似直線Lの算出に用いた座標群の組み合わせ毎に距離が算出される。次いで、座標補正部13は、距離関係算出部403の機能により、ステップS405で算出された距離に関する近似直線Lを算出する(S406)。
【0158】
次いで、座標補正部13は、距離補正部404の機能により、ステップS401で最新の座標を取得した時刻に対応する近似直線L上の点を抽出し、その点に対応する距離(補正距離)を算出する(S407)。次いで、座標補正部13は、補正座標算出部405の機能により、最新の座標を含む座標群を用いて算出した近似直線L上で、その座標群の中で2番目に新しい座標に対応する仮補正座標から、ステップS407で算出された補正距離だけ離れた座標を算出する(S408)。そして、座標補正部13は、ステップS408で算出した座標を補正座標として出力し(S409)、一連の処理を終了する。
【0159】
以上、補正座標の算出方法に関する座標補正部13の動作フローについて説明した。
【0160】
以上説明したように、本技術の第4実施形態に係る座標の補正方法によれば、最新の座標を取得したタイミングで補正座標を生成することが可能になる。また、移動速度を考慮して座標が補正されることにより、より高い精度で座標が補正される。さらに、上記の第2実施形態に係る座標の補正方法に比べ、重心座標を算出しない分だけ演算量が少なくて済む。
【0161】
<6:ハードウェア構成>
上記の情報処理装置が有する各構成要素の機能(例えば、座標補正部13の機能)は、例えば、図29に示すハードウェア構成の一部又は全部を用いて実現することが可能である。つまり、当該各構成要素の機能は、コンピュータプログラムを用いて図29に示すハードウェアを制御することにより実現される。なお、このハードウェアの形態は任意であり、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話、PHS、PDA等の携帯情報端末、ゲーム機、又は種々の情報家電がこれに含まれる。但し、上記のPHSは、Personal Handy−phone Systemの略である。また、上記のPDAは、Personal Digital Assistantの略である。
【0162】
図29に示すように、このハードウェアは、主に、CPU902と、ROM904と、RAM906と、ホストバス908と、ブリッジ910と、を有する。さらに、このハードウェアは、外部バス912と、インターフェース914と、入力部916と、出力部918と、記憶部920と、ドライブ922と、接続ポート924と、通信部926と、を有する。但し、上記のCPUは、Central Processing Unitの略である。また、上記のROMは、Read Only Memoryの略である。そして、上記のRAMは、Random Access Memoryの略である。
【0163】
CPU902は、例えば、演算処理装置又は制御装置として機能し、ROM904、RAM906、記憶部920、又はリムーバブル記録媒体928に記録された各種プログラムに基づいて各構成要素の動作全般又はその一部を制御する。ROM904は、CPU902に読み込まれるプログラムや演算に用いるデータ等を格納する手段である。RAM906には、例えば、CPU902に読み込まれるプログラムや、そのプログラムを実行する際に適宜変化する各種パラメータ等が一時的又は永続的に格納される。
【0164】
これらの構成要素は、例えば、高速なデータ伝送が可能なホストバス908を介して相互に接続される。一方、ホストバス908は、例えば、ブリッジ910を介して比較的データ伝送速度が低速な外部バス912に接続される。また、入力部916としては、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ、及びレバー等が用いられる。さらに、入力部916としては、赤外線やその他の電波を利用して制御信号を送信することが可能なリモートコントローラ(以下、リモコン)が用いられることもある。
【0165】
出力部918としては、例えば、CRT、LCD、PDP、又はELD等のディスプレイ装置、スピーカ、ヘッドホン等のオーディオ出力装置、プリンタ、携帯電話、又はファクシミリ等、取得した情報を利用者に対して視覚的又は聴覚的に通知することが可能な装置である。但し、上記のCRTは、Cathode Ray Tubeの略である。また、上記のLCDは、Liquid Crystal Displayの略である。そして、上記のPDPは、Plasma DisplayPanelの略である。さらに、上記のELDは、Electro−Luminescence Displayの略である。
【0166】
記憶部920は、各種のデータを格納するための装置である。記憶部920としては、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)等の磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、又は光磁気記憶デバイス等が用いられる。但し、上記のHDDは、Hard Disk Driveの略である。
【0167】
ドライブ922は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体928に記録された情報を読み出し、又はリムーバブル記録媒体928に情報を書き込む装置である。リムーバブル記録媒体928は、例えば、DVDメディア、Blu−rayメディア、HD DVDメディア、各種の半導体記憶メディア等である。もちろん、リムーバブル記録媒体928は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード、又は電子機器等であってもよい。但し、上記のICは、Integrated Circuitの略である。
【0168】
接続ポート924は、例えば、USBポート、IEEE1394ポート、SCSI、RS−232Cポート、又は光オーディオ端子等のような外部接続機器930を接続するためのポートである。外部接続機器930は、例えば、プリンタ、携帯音楽プレーヤ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、又はICレコーダ等である。但し、上記のUSBは、Universal Serial Busの略である。また、上記のSCSIは、Small Computer System Interfaceの略である。
【0169】
通信部926は、ネットワーク932に接続するための通信デバイスであり、例えば、有線又は無線LAN、Bluetooth(登録商標)、又はWUSB用の通信カード、光通信用のルータ、ADSL用のルータ、又は各種通信用のモデム等である。また、通信部926に接続されるネットワーク932は、有線又は無線により接続されたネットワークにより構成され、例えば、インターネット、家庭内LAN、赤外線通信、可視光通信、放送、又は衛星通信等である。但し、上記のLANは、Local Area Networkの略である。また、上記のWUSBは、Wireless USBの略である。そして、上記のADSLは、Asymmetric Digital Subscriber Lineの略である。
【0170】
<7:まとめ>
最後に、本実施形態の技術的思想について簡単に纏める。以下に記載する技術的思想は、例えば、PC、携帯電話、携帯ゲーム機、携帯情報端末、情報家電、カーナビゲーションシステム等、種々の情報処理装置に対して適用することができる。
【0171】
上記の情報処理装置の機能構成は次のように表現することができる。当該情報処理装置は、下記の座標取得部と、第1の直線算出部と、座標補正部とにより構成される。当該座用補正部は、タッチセンサからタッチ位置の座標を取得する手段である。また、上記の第1の直線算出部は、前記座標取得部により第(n+1)〜第(n+q)番目に取得されたq個の座標X(n+1)〜X(n+q)の関係を表す第1の回帰直線を算出する手段である。さらに、上記の座標補正部は、前記座標X(n+q)に最も近い前記第1の回帰直線上の座標X(n+q)’を算出し、前記座標X(n+q)’を用いて前記座標X(n+q)を補正する手段である。
【0172】
かかる構成によると、座標X(n+q)が取得された時点で座標X(n+q)’の算出を開始することが可能になるため、移動平均を利用したノイズ低減方法とは異なり、図5に示したような遅延Δtが発生しない。つまり、検出位置と実際位置との間の誤差がリアルタイムに低減される。その結果、レスポンスの低下を招くことなく、ユーザが感じる違和感を抑圧することが可能になる。
【0173】
(備考)
上記の座標補正部13は、座標補正装置の一例である。上記の座標関係算出部131は、第1の直線算出部の一例である。上記の補正座標算出部133は、座標補正部の一例である。上記の重心距離算出部203は、距離算出部の一例である。上記の距離関係算出部204、403は、第2の直線算出部の一例である。上記の重心距離補正部205、距離補正部404は、補正距離算出部の一例である。上記の補正座標算出部206は、座標補正部の一例である。上記の重心距離補正部205は、適合度算出部の一例である。上記の仮補正座標算出部301は、補正用座標算出部の一例である。上記の距離算出部302、距離補正部303は、補正用距離算出部の一例である。上記の補正座標算出部304は、補正部の一例である。上記の距離補正部303は、適合度算出部の一例である。
【0174】
以上、添付図面を参照しながら本技術に係る好適な実施形態について説明したが、本技術はここで開示した構成例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本技術の技術的範囲に属するものと了解される。
【0175】
例えば、上記の説明においては、2次元的に取得された位置の座標について近似直線を算出し、その近似直線を利用して座標を補正する方法が示されている。しかし、3次元座標に対しても同様の方法で近似直線を算出することが可能であり、また、上記の実施形態に係る補正座標の算出方法を3次元座標に対して同様に適用することもできる。
【符号の説明】
【0176】
10 入力装置
11 タッチセンサ
12 座標取得部
13 座標補正部
131 座標関係算出部
132 座標保持部
133 補正座標算出部
201 仮補正座標算出部
202 重心算出部
203 重心距離算出部
204 距離関係算出部
205 重心距離補正部
206 補正座標算出部
301 仮補正座標算出部
302 距離算出部
303 距離補正部
304 補正座標算出部
401 仮補正座標算出部
402 距離算出部
403 距離関係算出部
404 距離補正部
405 補正座標算出部
20 情報処理部
30 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチセンサからタッチ位置の座標を取得する座標取得部と、
前記座標取得部により第(n+1)〜第(n+q)番目に取得されたq個の座標X(n+1)〜X(n+q)の関係を表す第1の回帰直線を算出する第1の直線算出部と、
前記座標X(n+q)に最も近い前記第1の回帰直線上の座標X(n+q)’を算出し、前記座標X(n+q)’を用いて前記座標X(n+q)を補正する座標補正部と、
を備える、
座標補正装置。
【請求項2】
前記座標補正部は、前記座標X(n+q)を前記座標X(n+q)’に補正する、
請求項1に記載の座標補正装置。
【請求項3】
前記第1の直線算出部は、m=(n−p)〜nについて、前記座標取得部により第(m+1)〜第(m+q)番目に取得されたq個の座標X(m+1)〜X(m+q)の関係を表す第1の回帰直線fを算出し、
前記座標補正部は、m=(n−p)〜nについて、前記座標X(m+q)に最も近い前記第1の回帰直線f上の座標X(m+q)’を算出し、
前記座標補正装置は、
m=(n−p)〜nについて、前記座標X(m+1)〜X(m+q)の重心W(m+q)を算出する重心算出部と、
m=(n−p)〜nについて、前記重心W(m+q)と前記座標X(m+q)’との間の距離d(m+q)を算出する距離算出部と、
前記距離算出部により算出された距離d(n−p+q)〜d(n+q)の関係を表す第2の回帰直線を算出する第2の直線算出部と、
前記距離d(n+q)に対応する時間における前記第2の回帰直線上の点を抽出し、抽出した点に対応する距離d(n+q)’を算出する補正距離算出部と、
をさらに備え、
前記座標補正部は、前記重心W(n+q)から前記距離d(n+q)’だけ離れた前記第1の回帰直線f上の座標X(n+q)”を算出し、前記座標X(n+q)を前記座標X(n+q)”に補正する、
請求項1に記載の座標補正装置。
【請求項4】
前記座標補正部は、m=(n−p)〜nについて、前記座標X(m+q)に最も近い前記第1の回帰直線上の座標X(m+q)’を算出し、
前記座標補正装置は、
m=(n−p)〜nについて、前記X(m+q)’と前記X(m+q−1)’との間の距離d(m+q)を算出する距離算出部と、
前記距離算出部により算出された距離d(n−p+q)〜d(n+q)の関係を表す第2の回帰直線を算出する第2の直線算出部と、
前記距離d(n+q)に対応する時間における前記第2の回帰直線上の点を抽出し、抽出した点に対応する距離d(n+q)’を算出する補正距離算出部と、
をさらに備え、
前記座標補正部は、前記座標X(n+q−1)’から前記距離d(n+q)’だけ離れた前記第1の回帰直線上の座標X(n+q)”を算出し、前記座標X(n+q)を前記座標X(n+q)”に補正する、
請求項1に記載の座標補正装置。
【請求項5】
前記第1の直線算出部は、m=(n−p)〜nについて、前記座標取得部により第(m+1)〜第(m+q)番目に取得されたq個の座標X(m+1)〜X(m+q)の関係を表す第1の回帰直線fを算出し、
前記座標補正部は、m=(n−p)〜nについて、前記座標X(m+q)に最も近い前記第1の回帰直線f上の座標X(m+q)’を算出し、
前記座標補正装置は、
m=(n−p)〜nについて、前記座標X(m+1)〜X(m+q)の重心W(m+q)を算出する重心算出部と、
m=(n−p)〜nについて、前記重心W(m+q)と前記座標X(m+q)’との間の距離d(m+q)を算出する距離算出部と、
前記距離算出部により算出された距離d(n−p+q)〜d(n+q)の関係を表す第2の回帰直線を算出する第2の直線算出部と、
前記距離d(n+q)に対応する時間から処理遅延に要する所定時間だけ経過した時間に対応する前記第2の回帰直線上の点を抽出して、抽出した点に対応する距離d(n+q)’を算出する補正距離算出部と、
をさらに備え、
前記座標補正部は、前記重心W(n+q)から前記距離d(n+q)’だけ離れた前記第1の回帰直線f上の座標X(n+q)”を算出し、前記座標X(n+q)を前記座標X(n+q)”に補正する、
請求項1に記載の座標補正装置。
【請求項6】
前記座標補正部は、m=(n−p)〜nについて、前記座標X(m+q)に最も近い前記第1の回帰直線上の座標X(m+q)’を算出し、
前記座標補正装置は、
m=(n−p)〜nについて、前記X(m+q)’と前記X(m+q−1)’との間の距離d(m+q)を算出する距離算出部と、
前記距離算出部により算出された距離d(n−p+q)〜d(n+q)の関係を表す第2の回帰直線を算出する第2の直線算出部と、
前記距離d(n+q)に対応する時間から処理遅延に要する所定時間だけ経過した時間に対応する前記第2の回帰直線上の点を抽出して、抽出した点に対応する距離d(n+q)’を算出する補正距離算出部と、
をさらに備え、
前記座標補正部は、前記座標X(n+q−1)’から前記距離d(n+q)’だけ離れた前記第1の回帰直線上の座標X(n+q)”を算出し、前記座標X(n+q)を前記座標X(n+q)”に補正する、
請求項1に記載の座標補正装置。
【請求項7】
前記座標X(n+1)〜X(n+q)に対する前記第1の回帰直線の適合度を算出する適合度算出部をさらに備え、
前記補正距離算出部は、前記適合度算出部により算出された適合度が小さい場合に前記処理遅延に要する所定時間を短くする、
請求項5に記載の座標補正装置。
【請求項8】
前記座標X(n+1)〜X(n+q)に対する前記第1の回帰直線の適合度を算出する適合度算出部をさらに備え、
前記補正距離算出部は、前記適合度算出部により算出された適合度が小さい場合に前記処理遅延に要する所定時間を短くする、
請求項6に記載の座標補正装置。
【請求項9】
前記座標補正部は、
前記座標X(n+q)に最も近い前記第1の回帰直線上の座標X(n+q)’と、前記座標X(n+q−1)に最も近い前記第1の回帰直線上の座標X(n+q−1)’とを算出する補正用座標算出部と、
前記座標X(n+q)’と前記X(n+q−1)’との間の距離dに所定の係数k(k>1)を乗算して距離d’を算出する補正用距離算出部と、
前記第1の回帰直線上で前記X(n+q−1)’から距離d’だけ離れた座標X(n+q)”を算出し、前記座標X(n+q)を前記座標X(n+q)”に補正する補正部と、
を含む、
請求項1に記載の座標補正装置。
【請求項10】
前記座標X(n+1)〜X(n+q)に対する前記第1の回帰直線の適合度を算出する適合度算出部をさらに備え、
前記座標補正部は、前記適合度算出部により算出された適合度が小さい場合に前記所定の係数kを比較的小さな値に設定し、前記適合度算出部により算出された適合度が大きい場合に前記所定の係数kを比較的大きな値に設定する、
請求項9に記載の座標補正装置。
【請求項11】
前記第1の直線算出部は、前記座標X(n+1)〜X(n+q)のそれぞれから測定した距離の二乗和が最小となる第1の近似直線を算出し、
前記座標補正部は、前記第1の回帰直線の代わりに前記第1の近似直線を用いて前記座標X(n+q)’を算出し、前記座標X(n+q)’に基づいて前記座標X(n+q)を補正する、
請求項1に記載の座標補正装置。
【請求項12】
位置の座標を取得する座標取得部と、
前記座標取得部により第(n+1)〜第(n+q)番目に取得されたq個の座標X(n+1)〜X(n+q)の関係を表す第1の回帰直線を算出する第1の直線算出部と、
前記座標X(n+q)に最も近い前記第1の回帰直線上の座標X(n+q)’を算出し、前記座標X(n+q)’を用いて前記座標X(n+q)を補正する座標補正部と、
を備える、
座標補正装置。
【請求項13】
タッチ位置の座標を検出するタッチセンサと、
前記タッチセンサからタッチ位置の座標を取得する座標取得部と、
前記座標取得部により第(n+1)〜第(n+q)番目に取得されたq個の座標X(n+1)〜X(n+q)の関係を表す第1の回帰直線を算出する第1の直線算出部と、
前記座標X(n+q)に最も近い前記第1の回帰直線上の座標X(n+q)’を算出し、前記座標X(n+q)’を用いて前記座標X(n+q)を補正する座標補正部と、
を備える、
入力装置。
【請求項14】
タッチセンサからタッチ位置の座標を取得する座標取得ステップと、
第(n+1)〜第(n+q)番目に取得されたq個の座標X(n+1)〜X(n+q)の関係を表す第1の回帰直線を算出する第1の直線算出ステップと、
前記座標X(n+q)に最も近い前記第1の回帰直線上の座標X(n+q)’を算出し、前記座標X(n+q)’を用いて前記座標X(n+q)を補正する補正ステップと、
を含む、
座標補正方法。
【請求項15】
タッチセンサからタッチ位置の座標を取得する座標取得機能と、
第(n+1)〜第(n+q)番目に取得されたq個の座標X(n+1)〜X(n+q)の関係を表す第1の回帰直線を算出する第1の直線算出機能と、
前記座標X(n+q)に最も近い前記第1の回帰直線上の座標X(n+q)’を算出し、前記座標X(n+q)’を用いて前記座標X(n+q)を補正する座標補正機能と、
をコンピュータに実現させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2012−194841(P2012−194841A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58986(P2011−58986)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】