座部敷具差替えベッド等
【課題】所定の分割敷具を使用できるベッド等であって、且つ、臥床者をベッド等上から降ろさずに、分割敷具内の座部敷具を簡単に取替えることができる、座部敷具差替えベッド等を提供する。
【解決手段】座部敷具差替えベッド等は、上体部の支持板である上体板1kと、坐部の支持板である坐部板1mと、下脚部の支持板である下脚板1nとを別個に形成し、これら各支持板に所定の条件を備えたそれぞれの敷具1p、1q、1rを装着して使用するベッド等であって、第1運動・第2運動・第3運動・第4運動・第5運動と称する五つの支持板運動を、各運動所定の支持板等に行わせる手段と、臥床者の身体の下で座部敷具1qの脱着ができる敷具脱着手段と、臥床者の身体の下から座部敷具1qを取出しまた戻入れることができる開口部が確保される構造と、を具備する。
【解決手段】座部敷具差替えベッド等は、上体部の支持板である上体板1kと、坐部の支持板である坐部板1mと、下脚部の支持板である下脚板1nとを別個に形成し、これら各支持板に所定の条件を備えたそれぞれの敷具1p、1q、1rを装着して使用するベッド等であって、第1運動・第2運動・第3運動・第4運動・第5運動と称する五つの支持板運動を、各運動所定の支持板等に行わせる手段と、臥床者の身体の下で座部敷具1qの脱着ができる敷具脱着手段と、臥床者の身体の下から座部敷具1qを取出しまた戻入れることができる開口部が確保される構造と、を具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臥床者をベッド上から降ろさずに、敷具の取替えができるベッド及びベッド兼用具に関する。
【背景技術】
【0002】
運動機能や認知機能に障害が生じた臥床者の、排泄処理や床ずれ防止といった生活上の諸問題に対する、直接的な支援機構を持つベッドとしては、特許文献1、特許文献2、特許文献3等で開示されるものが既に知られている。
【0003】
特許文献1で開示されるベッドは、分割したマットレスを取付けた背部レスト、座部レスト、下腿部レスト及び足部レストを有し、椅子状に変換するものであって、臥床者は座部レストに腰掛けて中央に設けた開口部から下の便器に排泄することができ、またその開口部は前後方向にスライドする蓋によって開閉可能となっているものである。特許文献2で開示されるベッドは、長手方向にベッドを上部ベッドと下部ベッドに分割してそれぞれを任意方向に移動できるようにするとともに、上部ベッド足側に左右一対の膝上げ台を上下動可能に設け、これによって臥床者の脚部を上げることにより下腹部清掃等を行い易くしたものである。特許文献3で開示されるものは、ベッド床面を覆うように広げたシートの両側方縁部を、ベッド長手方向中心線に対し左右対称に設けた二組の駆動機構により左右交互にまたは左右同時に上下動させるものであって、シートの身体支持面を水平にしたり傾斜させたり上方に開いたU字形にしたりすることにより、臥床者の体位変換を行い、床ずれを防止しようとするベッドである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−125279号公報
【特許文献2】特開2008−136780号公報
【特許文献3】特開2002−17792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらのベッドはそれぞれ有用なものではあるが、いずれも同じような弱点を持つ。その弱点とは、第一に、それぞれのベッドが、いずれも、臥床者が必要とする多様な支援の中のごく限られた一部の支援しか提供することができないということである。第二に、それぞれが持つ支援のための装置が、他の問題の解決を難しくしたり、基本的にベッドに求められる寝具としての性能を損なったりする可能性を伴っていることである。
【0006】
特許文献1のベッドは、臥床者の障害が重度に至る以前であれば、排泄処理に対して有効な支援ができる。しかし、失禁が常態化した状況になると対応が困難になり、逆に問題を生む原因になる可能性がある。即ち、構造上座部回りの汚れを除去することが難しいために衛生状態の悪化を招き、また座部周辺の構造は腰部床ずれを誘発する恐れがある。特許文献2のベッドは、膝上げ台の収納場所が長手方向中心線に向かって左右両側から突出すように設けられているため、基本的にベッドに求められる寝具としての性能を損なう可能性が高い。また、この構造によって臥床者の体位変換が制約されるために、床ずれの発生が危惧される。特許文献3のベッドは、身体の圧迫箇所の固定化を体位変換によって防ぎ、長期化した重度障害者の床ずれを防止しようとするものであり、前記二つと同様にそれなりの有効性が認められる。しかし、床ずれ防止には、圧迫箇所の固定化を防ぐだけではなく、汗・尿・便による汚れや過度の湿り気から皮膚を守ることも重要である。したがって、臥床者の体位変換以外に有効な支援策を持たないことは、床ずれ防止策としても不十分である。
【0007】
背起こし・起立等の動作を助けるための「動作支援」に対するものとして、排泄処理や床ずれ防止といった、動作以外の生活上の諸問題を解決するために行う直接的な支援を、ここでは「動作外支援」と呼ぶことにする。社会の高齢化が急速に進む今後においては、動作支援機構とともに実用性の高い動作外支援機構を備えたベッドが、より一層求められるようになると思われる。
【0008】
障害が生じた臥床者にとって、生活上の問題の中で特に重要項目というべきものは、敷き寝具の清掃整備・身体状況の各段階における排泄処理・床ずれ防止の三つである。敷き寝具の清掃整備は、臥床者の健康と周囲の衛生状態とを左右する基本要因であり、排泄処理は、常に臥床者の悩みの種であり、床ずれは、臥床者の健康に深刻な影響を及ぼす。したがって、実用に耐える動作外支援機構を持つベッドであるためには、少なくとも、前記重要項目すべてに対して、有効な支援を行うことができなければならない。
【0009】
障害を抱える臥床者が必要とする動作外支援は、種類も多く、その性質もさまざまである。更に、臥床者の身体状況が変化するとともに、求められる支援の中身が変化する。例えば、重度障害期において非常に重要である、床ずれ防止支援は、軽度障害期には不用である。また、排泄処理支援は、身体状況の各段階ごとに、求められる支援の種類がそれぞれ異なり、現在求められている種類の支援は、別の段階では不用になる。したがって、提供できる動作外支援があまりに限定されているベッドは、たとえ支援の質が高いものであったとしても、実用上はそれほど役に立たない。実用性のある動作外支援機構を持つベッドであるためには、ベッドが本来備えるべき寝具機能を損なうことなく、臥床者が必要とする多様な動作外支援を広範囲に提供できるものでなければならない。
【0010】
各種支援機能を組込むために必要な所定のサイズ・形状・質を備えた敷具を、簡単に差替えることができるベッドは、実用性の高い動作外支援機構を持つベッドの一つである。なぜなら、敷具を簡単に差替えられるベッドであれば、機能の異なる各種の敷具を状況に応じて手軽に使い分けることが可能であり、それによって、前記重要項目に対する支援も含め、臥床者が必要とする多様な動作外支援を、広範囲に提供できるからである。ここで「敷具」とは、臥床者が身体に敷いて使うために支持板上に設置する物全般をいい、各種の敷き寝具ばかりでなく、支持板上に置いて使う排泄用具・マッサージ具・床ずれ治療具等々も含めたものである。また、「敷具を差替える」とは、臥床者をベッド上から降ろさずに敷具を取替えることである。
【0011】
若干の例外はあるものの、前記重要項目に対する支援も含めて、動作外支援の多くは、通常の敷きマットとほぼ同じようなサイズ・形状を持つ構造体に組込んだ専用機能によって、十分に提供することができるものである。また、こうした支援機能を組込んだ各種敷具の開発は、一般的にいって、既存技術を使用するだけで、いずれも比較的容易に且つ安価に実現することができる。したがって、所定の各種支援機能を組込むために必要なサイズ・形状・質を備えた敷具を簡単に差替えることができるベッドであれば、状況に応じて色々な敷具を手軽に使い分けることが可能であり、それによって、前記重要項目に対する支援も含め、臥床者が必要とする多様な動作外支援を、ベッドが本来備えるべき寝具機能を損なうことなく、広範囲に提供することが可能となるのである。
【0012】
敷具を長手方向に分割して、少なくとも上体部用の部分と座部用の部分と下脚部用の部分とをそれぞれ別個に形成し、これらにより敷具全体を構成するようにしたものを、「分割敷具」と呼ぶことにする。分割敷具を使用すると、差替えが困難なのは、座部に使用する敷具である座部敷具だけであって、上体部に使う上体部敷具と下脚部に使う下脚部敷具とは簡単に差替えることができる。上体部敷具は、臥床者の上半身を起こせば取替えが可能であり、下脚部敷具は、臥床者の脚を動かすだけで取替えることができるからである。したがって、分割敷具を使用するベッドにおいて、座部敷具の差替えを可能にすれば、敷具全体を差替えることができるようになる。
【0013】
所定のサイズ・形状・質を備えた分割敷具を使用できるベッドであって、且つ、分割敷具内の座部敷具を簡単に差替えることができるベッドを、「座部敷具差替えベッド」と呼ぶことにする。各種支援機能を組込むために必要な所定のサイズ・形状・質を備えた分割敷具を使用できる、座部敷具差替えベッドを開発すれば、そのベッドは、敷具全体の差替えが可能であるから、前記したように、実用性の高い動作外支援機構を備えたベッドとなる。いいかえれば、各種支援機能を組込むために必要である所定のサイズ・形状・質を備えた分割敷具を使用できる、座部敷具差替えベッドを開発すれば、実用性の高い動作外支援機構を持つベッドを提供することができるのである。
【0014】
夜間用便のためにベッドを離れることは、高齢者にとって、たとえ健康な時であっても好ましいことではない。心臓病等の一部疾患を引き起こす原因となる場合が多いからであり、寒い時期には特に危険性が高くなる。便器をベッドに組合わせたものである便器付きベッドは、用便のためにベッドを離れる必要をなくするので、前記のような重大疾患から身を守るのに有効であり、したがって、高齢化社会においては、障害の有無に拘わらず、本来有用性の高いベッドといえる。しかし、現状では、障害を持たずに暮らしている高齢者が、病気予防を目的として便器付きベッドを使うことは、ほとんどない。それは、健康な時にも抵抗なく使えるような便器付きベッドが、まだ開発されていない、という理由によるところが大である。
【0015】
健康な者が抵抗なく使うことができる便器付きベッドであるためには、第一に、便器の使用によって寝具が汚れる心配がないこと、第二に、臥床者が、ベッドから降りずに、自分の操作で簡単に便器を使用できること、第三に、安定した楽な体位で便器を使用できること、第四に、使用便器が、通常製品のような水洗式便器であること、の四条件が満たされる必要がある。
【0016】
座部敷具差替えベッドでは、専用便座への変換作業、即ち使用している座部敷具を抜取って専用の便座敷具に差替えるという作業を、ベッド上の臥床者が自分で行うことが可能であり、更に若干の対策を施すことによって、その変換作業をより簡単にすることができる。したがって、座部敷具差替えベッドは、座部下に水洗式便器を設置できるようにし、且つこの便器を楽な姿勢でベッド上から臥床者が使用できるようにすれば、前記の四条件がすべて満たされることになり、健康な時であっても抵抗なく使える便器付きベッドとして使用できるものとなる。即ち、座部下に水洗式便器を設置できるようにするとともに、この便器を支持板上から安定した楽な体位で使用することができる座部敷具差替えベッドを開発すれば、それは、健康な者でも抵抗なく使える便器付きベッドとして、危険な重大疾患から高齢者を守り、高齢者の健康維持に貢献できるものとなる。
【0017】
本発明が解決しようとする課題は、所定の分割敷具を使用できるベッド等であって、且つ、臥床者をベッド等上から降ろさずに、前記分割敷具内の座部敷具を簡単に取替えることができるベッド等である、座部敷具差替えベッド等を開発することである。なお、ベッド等とは、ベッド及びベッド兼用保健具・ベッド兼用運動具等のベッド兼用具をいう。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1記載の座部敷具差替えベッド等は、上体部即ち座部よりも上の部分を支える支持板である上体板と、坐部即ち脊柱下部から大腿部所定位置までの部分を支える支持板である坐部板と、下脚部即ち坐部より下の部分を支える支持板である下脚板と、を別個に形成し、上体部・坐部・下脚部それぞれの敷具としてそれぞれ所定のサイズ・形状・質を備えた敷具である、上体部敷具と坐部敷具と下脚部敷具とを前記各支持板に装着して使用するベッド等であって、
第1運動、第2運動、第3運動、第4運動、第5運動と称する五つの支持板運動を、各運動所定の支持板等に行わせる運動手段と、
臥床者の身体の下で、坐部敷具をベッド等から取外し、またベッド等に取付けることを、少なくとも前記第3運動が終了した段階において行うことができる、坐部敷具取外し取付け手段と、
臥床者の身体の下から、左方、右方または前方のうち少なくともいずれか一方へ、座部敷具を取出しまた逆に戻入れることを可能にする開口部が、少なくとも前記第3運動が終了した段階において確保される構造と、
を具備するものである。
【0019】
ここでは、ベッド等が通常のベッドとして使用されるときの形態を、そのベッド等の基本形態といい、支持板・敷具等の各部材がベッド等の基本形態において占める位置を、それぞれその部材の基本位置という。また、左右方向とは、ベッド等が基本形態をとっているときのそのベッド等の幅方向であり、前後方向とは、ベッド等が基本形態をとっているときのそのベッド等の長手方向であり、上下方向とは、左右方向の直線と前後方向の直線の両方に対して直角である直線が示す方向である。なお、前方とは前後方向の足側を、後方とは前後方向の頭側を指すが、単に「前方」というとき、それは「真直ぐ前方または斜め前方」を意味する。同様に、後方は「真直ぐ後方または斜め後方」を、上方は「真直ぐ上方または斜め上方」を、下方は「真直ぐ下方または斜め下方」を意味する。
【0020】
前記五つの運動の詳細は次の通りである。第1運動は、ベッド等が基本形態をとっている状態から、次の条件を満たしつつ、少なくとも下脚板後端が基本位置にある座部敷具の上方に位置するまで、下脚板が移動する運動である。前記条件のうちの第一は、坐部敷具の差替えを阻害する新たな要因を発生させることなく、下脚板が移動することである。坐部敷具の差替えとは、臥床者をベッド等上から降ろすことなく座部敷具を取替えることをいう。前記条件の第二は、ベッド等上に仰臥した臥床者が下脚部敷具に無理なく安全に脚を載せることができる状態を維持しつつ、下脚板が移動することである。第2運動は、次の二条件を満たしながら、前記下脚板の後部が基本位置にある前記坐部敷具の上方に間隔をあけて重なるように、前記下脚板が後方に移動する、前記第1運動に続く運動である。前記二条件の第一は、坐部敷具の差替えを阻害する新たな要因を発生させることなく、下脚板が移動することである。前記二条件の第二は、ベッド等上に仰臥した臥床者が下脚部敷具に無理なく安全に脚を載せることができる状態を維持しながら、下脚板が移動することである。なお、第1運動に続く運動とは、第1運動がもたらした作用のうち、本発明の課題解決にとって重要な部分が保持されている状態において開始される運動を意味する。第3運動は、坐部敷具の差替えを阻害する新たな要因を発生させることなく、前記坐部板がその基本位置から下方に移動する、前記第2運動に続く運動である。第2運動に続く運動とは、第1運動から第2運動に至る一連の運動がもたらした作用うち、本発明の課題解決にとって重要な部分が保持されている状態において開始される運動のことであり、以下における同種文言は、いずれもこれに準ずる意味を持つ。第4運動は、座部敷具を装着した状態を維持しながら、前記座部板がその基本位置に移動する、前記第3運動に続く運動である。第5運動は、ベッド等上に仰臥した臥床者が下脚部敷具に無理なく安全に脚を載せることができる状態を維持しながら、前記下脚板がその基本位置に移動するとともに、ベッド等が基本形態に復帰する、前記第4運動に続く運動である。
【0021】
ベッド等上にいる臥床者の身体の下で坐部敷具をベッド等から取外す方法は、座部敷具だけを座部板から取外す方法でもよいし、座部敷具を座部板ごとベッド等から取外す方法でもよい。しかし、前記二つには、それぞれ長所短所がある。例えば、座部板ごと取外す方法には、敷具の取出しをやり難くする一方で、座部敷具と座部板両方の差替えを可能にするため、敷具開発の自由度を高めるという利点がある。したがって、前記いずれの方法によっても取外せるようにして、状況に応じ使い分けられるようにするのがより望ましいと思われる。なお、座部敷具を座部板ごとベッド等から取外す場合には、座部敷具を座部板ごと取出せる大きさを持つ開口部が、少なくとも前記第3運動が終了した段階において確保される必要がある。
【0022】
ベッド等上に臥床者が仰臥している時、坐部敷具は、臥床者の体重によって下に押しつけられ、いわば上下二面を臥床者の坐部と坐部敷具取付部によって強く挟扼された状態にある。上下二面が挟扼される状態は、敷具という用具の性格上必然的に発生するものであるから、当然、上体部敷具や下脚部敷具にも生じている。しかし、坐部敷具の場合には、それが置かれる位置の特性から、脚を動かしたり上体を起したりする臥床者の体位変換によって、その被挟扼状態を軽減または解消することが難しい。そのために、坐部敷具については、臥床者をベッド等上から降ろさずに、その取替えを行うことが困難なのである。また、坐部敷具は、前後二面をそれぞれ密接した下脚部敷具と上体部敷具によって挟扼されており、これも坐部敷具の差替えを妨げる要因となっている。
【0023】
請求項1記載の座部敷具差替えベッド等は、第1運動から第5運動に至る五つの運動を各運動所定の支持板等に行わせることにより、前記の上下二面と前後二面の被挟扼状態を解消し、ベッド等上から臥床者を降ろさずに、簡単に坐部敷具を取替えることができるようにしたものである。即ち先ず、第1運動により、坐部敷具前面に密接した下脚部敷具を上方に離隔して、前後二面の被挟扼状態を解消する。次に、第2運動により、臥床者の脚部を屈曲させつつ大腿部に向かって下脚板を押し進め、下脚部敷具を介して臥床者の下半身が下がらないように支え、その後で第3運動により、坐部板を下方に移動させて上下二面の被挟扼状態を解消し、坐部敷具の差替えを可能にするのである。また、第4運動は、座部板と座部敷具をそれぞれの基本位置に移動させ、第5運動は、下脚板と下脚部敷具をそれぞれの基本位置に移動させるとともに、ベッド等を基本形態に復帰させる。なお、第1運動は、前後二面の被挟扼状態を解消する働きと同時に、仰臥した臥床者の脚を上に押上げて、第2運動に対応し易い体位へ臥床者を誘導する働きを行うものである。
【0024】
請求項2記載の座部敷具差替えベッド等は、上体部即ち座部よりも上の部分を支える支持板である上体板と、坐部即ち脊柱下部から大腿部所定位置までの部分を支える支持板である坐部板と、下脚部即ち坐部より下の部分を支える支持板である下脚板と、を別個に形成し、上体部・坐部・下脚部それぞれの敷具としてそれぞれ所定のサイズ・形状・質を備えた敷具である、上体部敷具と坐部敷具と下脚部敷具とを前記各支持板に装着して使用するベッド等であって、
第1運動、第2運動、第3運動、第4運動、第5運動と称する五つの支持板運動を、各運動所定の支持板等に行わせる運動手段と、
臥床者の身体の下で、坐部敷具をベッド等から取外し、またベッド等に取付けることを、少なくとも前記第3運動が終了した段階において行うことができる、坐部敷具取外し取付け手段と、
臥床者の身体の下から、左方、右方または前方のうち少なくともいずれか一方へ、座部敷具を取出しまた逆に戻入れることを可能にする開口部が、少なくとも前記第3運動が終了した段階において確保される構造と、
を具備するものである。
【0025】
ここでは、ベッド等が通常のベッドとして使用されるときの形態を、そのベッド等の基本形態といい、支持板・敷具等の各部材がベッド等の基本形態において占める位置を、それぞれその部材の基本位置という。また、ベッド等の中心とは、ベッド等が基本形態をとっているときのそのベッド等の中心であり、左右方向とは、ベッド等が基本形態をとっているときのそのベッド等の幅方向であり、前後方向とは、ベッド等が基本形態をとっているときのそのベッド等の長手方向であり、上下方向とは、左右方向の直線と前後方向の直線の両方に対して直角である直線が示す方向である。なお、前方とは前後方向の足側を、後方とは前後方向の頭側を指すが、単に「前方」というとき、それは「真直ぐ前方または斜め前方」を意味する。同様に、後方は「真直ぐ後方または斜め後方」を、上方は「真直ぐ上方または斜め上方」を、下方は「真直ぐ下方または斜め下方」を意味する。
【0026】
また、基本位置にある下脚板と下脚部敷具とをそれぞれ左右方向に投影してなる投影部を一つに合せた形状を甲1、基本位置にある坐部板と坐部敷具とをそれぞれ左右方向に投影してなる投影部を一つに合せた形状を甲2、基本位置にある前記坐部板と前記坐部敷具とをそれぞれ上下方向に投影してなる投影部を重ね合せた形状を乙2と呼ぶ。
【0027】
前記五つの運動のうち、第1運動と第2運動と第5運動では下脚板が移動を行なうが、下脚板は臥床者の下脚部を載せて移動することになるので、移動中に臥床者が無理な姿勢を強いられたり、足が落ちる等の危険があったりしてはならない。そこで、下脚板が移動するこれらの運動では、二つの直方体からなる特定の立体内部を下脚板移動域として、その移動域内を通って下脚板が移動するようにする。
【0028】
下脚板移動域を構成する直方体の一つは、下面と上面がそれぞれ次のような条件を満たす直方体である。下面が満たすべき条件の第一は、ベッド等の中心を通り左右方向に対し直角な平面である、基準平面の上に中心を持つとともに、一辺が左右方向を示し他の一辺が前後方向を示す長方形であり、左右長が下脚板の最大左右長より50ミリ長く前後長が前記下脚板の最大前後長より300ミリ長い長方形であること、である。条件の第二は、前記乙2との間に30ミリの上下方向投影距離がある長方形であること、である。上下方向投影距離とは、上下方向に投影してなる投影部と投影部の間の距離を意味する。条件の第三は、基本位置にある前記座部板の前方に在って、その坐部板の上面より150ミリ下方に位置する長方形であること、である。また、上面の満たすべき条件は、基本位置にある前記座部敷具の上面より250ミリ上方に位置する長方形であること、である。
下脚板移動域を構成するもう一つの直方体は、前面と下面と上面がそれぞれ次のような条件を満たす直方体である。前面の満たすべき条件は、前記基準平面の上に中心を持ち前記直方体の後面に接するとともに、一辺が左右方向を示し、前記直方体の左右長と等しい左右長を持つ長方形であること、である。下面の満たすべき条件は、基本位置にある前記坐部敷具の上面より上方に位置し、300ミリの前後長を持つ長方形であること、である。上面が満たすべき条件は、基本位置にある前記座部敷具の上面よりも150ミリ上方に位置する長方形であること、である。
【0029】
前記五つの運動の詳細は次の通りである。第1運動は、ベッド等が基本形態をとっている状態から、特定の条件を満たしながら、前記下脚板が、先ず前記下脚板移動域内に移動し、次に、少なくとも前記下脚板の後端が前記座部敷具の上方に位置するまで前記下脚板移動域内を通って移動する運動である。ここで、下脚板移動域内を通って前記下脚板が移動するとは、前記下脚板のすべての部分が下脚板移動域内に入っている状態を保ちながら前記下脚板が移動することである。第1運動が満たすべき前記特定の条件の第一は、坐部敷具の差替えを阻害する新たな要因を発生させることなく、前記下脚板が移動することである。ここで座部敷具の差替えとは、臥床者をベッド等上から降ろさずに座部敷具を取替えることである。条件の第二は、基本位置にあるときの前記下脚板の上面において左右方向に並ぶ二つの点を結ぶ線分が左右方向を示す状態を保ちながら、前記下脚板が移動することである。条件の第三は、下脚板が下脚板移動域内に移動する過程では、前記甲1の前記甲2との接触部を前記甲2から前方へ離隔するようにして、前記下脚板が前記下脚板移動域内に移動することである。ここで、甲1の接触部を甲2から前方へ離隔するとは、甲1の接触部が甲2と重なり合うことを避けながら、甲1の接触部を前方へ動かして甲2から離すことを意味する。条件の第四は、少なくとも下脚板後端が座部敷具の上方に位置するまで下脚板移動域内を通って下脚板が移動する過程では、前記甲1が前記甲2から離れた状態を保ちながら、前記下脚板が移動することである。なお、基本位置にある下脚板がはじめから下脚板移動域内に入っている場合の第1運動は、下脚板移動域内に下脚板を移動させる過程を省いたものとなる。即ち、ベッド等が基本形態をとっている状態から、前記条件の第一、第二及び第四を満たしつつ、少なくとも下脚板の後端が座部敷具の上方に位置するまで下脚板が移動する運動となる。
第2運動は、坐部敷具の差替えを阻害する新たな要因を発生させることなく、且つ基本位置にあるときの下脚板上面において左右に並ぶ前記二点を結ぶ線分が左右方向を示す状態を保ちながら、前記下脚板の後部が前記坐部敷具の上方に重なるように、前記下脚板移動域内を通って前記下脚板が後方に移動する、前記第1運動に続く運動である。ここで、第1運動に続く運動とは、第1運動がもたらした作用のうち、本発明の課題解決にとって重要な部分が保持されている状態において開始される運動のことである。
第3運動は、坐部敷具の差替えを阻害する新たな要因を発生させることなく、前記坐部板がその基本位置から下方に移動する、前記第2運動に続く運動である。第2運動に続く運動とは、第1運動から第2運動に至る一連の運動がもたらした作用うち、本発明の課題解決にとって重要な部分が保持されている状態において開始される運動のことであり、以下における同種文言はいずれもこれに準ずる意味を持つ。
第4運動は、座部敷具を装着した状態を維持しながら、前記座部板がその基本位置に移動する、前記第3運動に続く運動である。
第5運動は、基本位置にあるときの下脚板上面において左右に並ぶ前記二点を結ぶ線分が左右方向を示す状態を保ちつつ、前記下脚板移動域内を通って前記下脚板がその基本位置に移動するとともに、ベッド等が基本形態に復帰する、前記第4運動に続く運動である。
【0030】
ベッド等上にいる臥床者の身体の下で坐部敷具をベッド等から取外す方法は、座部敷具だけを座部板から取外す方法でもよいし、座部敷具を座部板ごとベッド等から取外す方法でもよい。しかし、前記二つには、それぞれ長所短所がある。例えば、座部板ごと取外す方法には、敷具の取出しをやり難くする一方で、座部敷具と座部板両方の差替えを可能にするため、敷具開発の自由度を高めるという利点がある。したがって、前記いずれの方法によっても取外せるようにして、状況に応じ使い分けられるようにするのがより望ましいと思われる。なお、座部敷具を座部板ごとベッド等から取外す場合には、座部敷具を座部板ごと取出せる大きさを持つ開口部が、少なくとも前記第3運動が終了した段階において確保される必要がある。
【0031】
ベッド等上に臥床者が仰臥している時、坐部敷具は、臥床者の体重によって下に押しつけられ、いわば上下二面を臥床者の坐部と坐部敷具取付部によって強く挟扼された状態にある。上下二面が挟扼される状態は、敷具という用具の性格上必然的に発生するものであるから、当然、上体部敷具や下脚部敷具にも生じている。しかし、坐部敷具の場合には、それが置かれる位置の特性から、脚を動かしたり上体を起したりする臥床者の体位変換によって、その被挟扼状態を軽減または解消することが難しい。そのために、坐部敷具については、臥床者をベッド等上から降ろさずに、その取替えを行うことが困難なのである。また、坐部敷具は、前後二面をそれぞれ密接した下脚部敷具と上体部敷具によって挟扼されており、これも坐部敷具の差替えを妨げる要因となっている。
【0032】
請求項2記載の座部敷具差替えベッド等は、第1運動から第5運動に至る五つの運動を各運動所定の支持板等に行わせることにより、前記の上下二面と前後二面の被挟扼状態を解消し、ベッド等上から臥床者を降ろさずに、簡単に坐部敷具を取替えることができるようにしたものである。即ち先ず、第1運動により、坐部敷具前面に密接した下脚部敷具を上方に離隔して、前後二面の被挟扼状態を解消する。次に、第2運動により、臥床者の脚部を屈曲させつつ大腿部に向かって下脚板を押し進め、下脚部敷具を介して臥床者の下半身が下がらないように支え、その後で第3運動により、坐部板を下方に移動させて上下二面の被挟扼状態を解消し、坐部敷具の差替えを可能にするのである。また、第4運動は、座部板と座部敷具をそれぞれの基本位置に移動させ、第5運動は、下脚板と下脚部敷具をそれぞれの基本位置に移動させるとともに、ベッド等を基本形態に復帰させる。なお、第1運動は、前後二面の被挟扼状態を解消する働きと同時に、仰臥した臥床者の脚を上に押上げて、第2運動に対応し易い体位へ臥床者を誘導する働きを行うものである。
【0033】
請求項3記載の座部敷具差替えベッド等は、請求項1記載の座部板の上面における前後左右4端部それぞれの示す方向が、前記座部板が基本位置にあるときと同じになるようにして、且つ前記座部板の上面が臥床者座部に直接接触する位置を上限として、請求項1記載の座部板が臥床者座部の方に所望の距離だけ移動する、付加第1運動と、
ベッド等上に仰臥した臥床者が請求項1記載の下脚部敷具に無理なく安全に脚を載せることができる状態を維持しつつ、請求項1記載の下脚板が所望の距離だけ前方に移動する、前記付加第1運動に続く付加第2運動と、
ベッド等上に仰臥した臥床者が前記下脚部敷具に無理なく安全に脚を載せることができる状態を維持しながら、前記下脚板が前記付加第2運動開始時点の位置に復帰する、前記付加第2運動に続く付加第2運動始点復帰運動と、
前記付加第1運動開始時点の状態に復帰する前記座部板等の運動である、前記付加第2運動始点復帰運動に続く付加第1運動始点復帰運動と、を、
請求項1記載の第3運動の終了後であり、且つ請求項1記載の第4運動の開始前である段階において、各運動所定の支持板等に行わせる運動手段を具備した、請求項1記載の坐部敷具差替えベッド等である。
【0034】
請求項4記載の座部敷具差替えベッド等は、請求項2記載の座部板の上面における前後左右4端部それぞれの示す方向が、前記座部板が基本位置にあるときと同じになるようにして、且つ前記座部板の上面が臥床者座部に直接接触する位置を上限として、請求項2記載の座部板が臥床者座部の方に所望の距離だけ移動する、付加第1運動と、
基本位置にあるときの下脚板の上面において左右に並ぶ、請求項2記載の二点を結ぶ線分が左右方向を示す状態を保ちつつ、請求項2記載の下脚板移動域内を通って、請求項2記載の下脚板が所望の距離だけ前方に移動する、前記付加第1運動に続く付加第2運動と、下脚板上面で左右に並ぶ前記二点を結ぶ線分が左右方向を示す状態を保ちながら、前記下脚板移動域内を通って、前記下脚板が前記付加第2運動開始時点の位置に復帰する、前記付加第2運動に続く付加第2運動始点復帰運動と、
前記付加第1運動開始時点の状態に復帰する前記座部板等の運動である、前記付加第2運動始点復帰運動に続く付加第1運動始点復帰運動と、を、
請求項2記載の第3運動の終了後であり、且つ請求項2記載の第4運動の開始前である段階において、各運動所定の支持板等に行わせる運動手段を具備した、請求項2記載の坐部敷具差替えベッド等である。
【0035】
請求項5記載の座部敷具差替えベッド等は、所定の衛生機器・医療機器等を設置するための場所を、請求項1、請求項2、請求項3または請求項4記載の座部板の下方に設けた構造と、前記座部板を取替えることができる構造と、を具備した、請求項1、請求項2、請求項3または請求項4記載の坐部敷具差替えベッド等である。
【0036】
請求項6記載の座部敷具差替えベッド等は、請求項1記載の座部板の上面における前後左右4端部それぞれの示す方向が、前記座部板が基本位置にあるときと同じになるようにして、且つ前記座部板の上面が臥床者座部に直接接触する位置を上限として、請求項1記載の座部板が臥床者座部の方に所望の距離だけ移動する、付加第1運動と、
ベッド等上に仰臥した臥床者が請求項1記載の下脚部敷具に無理なく安全に脚を載せることができる状態を維持しながら、請求項1記載の下脚板の後端と前記座部板の前端との間から臥床者が足を下ろすことができるようになる前方の位置に、請求項1記載の下脚板が移動する、前記付加第1運動に続く付加第2運動と、
前記座部板の上面における前後左右4端部それぞれが示す方向をいずれも変えることなく保ちながら、前記座部板が、所定の位置を下限として所望の距離だけほぼ真直ぐ下方に移動する、前記付加第2運動に続く付加第3運動と、
前記座部板の上面における前後左右4端部それぞれが示す方向をいずれも変えることなく保ちながら、前記座部板がほぼ真直ぐ上方に移動して前記付加第3運動開始時点の位置に復帰する、前記付加第3運動に続く付加第3運動始点復帰運動と、
ベッド等上に仰臥した臥床者が前記下脚部敷具に無理なく安全に脚を載せることができる状態を維持しながら、前記下脚板が前記付加第2運動開始時点の位置に復帰する、前記付加第3運動始点復帰運動に続く付加第2運動始点復帰運動と、
前記付加第1運動開始時点の状態に復帰する前記座部板等の運動である、前記付加第2運動始点復帰運動に続く付加第1運動始点復帰運動と、を、
請求項1記載の第3運動の終了後であり、且つ請求項1記載の第4運動の開始前である段階において、各運動所定の支持板等に行わせる運動手段と、
所定の衛生器機・医療機器等を設置するための場所を前記座部板の下方に設けた構造と、前記座部板を取替えることができる構造と、
前記坐部板の前端下方に、臥床者の足置き場を設けた構造と、
を具備した、請求項1記載の坐部敷具差替えベッド等である。
【0037】
請求項7記載の座部敷具差替えベッド等は、請求項2記載の座部板の上面における前後左右4端部それぞれの示す方向が、前記座部板が基本位置にあるときと同じになるようにして、且つ前記座部板の上面が臥床者座部に直接接触する位置を上限として、請求項2記載の座部板が臥床者座部の方に所望の距離だけ移動する、付加第1運動と、
基本位置にあるときの下脚板の上面において左右に並ぶ、請求項2記載の二点を結ぶ線分が左右方向を示す状態を保ちながら、請求項2記載の下脚板の後端と前記坐部板の前端との間から臥床者が足を下ろすことができるようになる前方の位置に、請求項2記載の下脚板移動域内を通って、請求項2記載の下脚板が移動する、前記付加第1運動に続く付加第2運動と、
前記座部板の上面における前後左右4端部それぞれが示す方向をいずれも変えることなく保ちながら、前記座部板が、所定の位置を下限として所望の距離だけほぼ真直ぐ下方に移動する、前記付加第2運動に続く付加第3運動と、
前記座部板の上面における前後左右4端部それぞれの示す方向をいずれも変えることなく保ちながら、前記座部板がほぼ真直ぐ上方に移動して前記付加第3運動開始時点の位置に復帰する、前記付加第3運動に続く付加第3運動始点復帰運動と、
下脚板上面で左右に並ぶ前記二点を結ぶ線分が左右方向を示す状態を保ちながら、前記下脚板移動域内を通って、前記下脚板が前記付加第2運動開始時点の位置に復帰する、前記付加第3運動始点復帰運動に続く付加第2運動始点復帰運動と、
前記付加第1運動開始時点の状態に復帰する前記座部板等の運動である、前記付加第2運動始点復帰運動に続く付加第1運動始点復帰運動と、を、
請求項2記載の第3運動の終了後であり、且つ請求項2記載の第4運動の開始前である段階において、各運動所定の支持板等に行わせる運動手段と、
所定の衛生器機・医療機器等を設置するための場所を前記座部板の下方に設けた構造と、前記座部板を取替えることができる構造と、
前記坐部板の前端下方に、臥床者の足置き場を設けた構造と、
を具備した、請求項2記載の坐部敷具差替えベッド等である。
【発明の効果】
【0038】
障害を抱える臥床者が必要とする、動作外支援、即ち敷き寝具の清掃や排泄処理といった動作以外の生活上の問題に対する直接的な支援は、種類が多く且つ臥床者の身体状況とともに変化する多様なものである。社会の高齢化が進む中で、動作外支援機構を持つベッドの必要性が高まっているが、従来のベッドは、臥床者が必要とする多様な動作外支援の中のごく限られた一部の支援しか行うことができず、そのために、いずれも実用性に欠けるという弱点を持っている。
【0039】
本発明の座部敷具差替えベッド等では、座部敷具を含むすべての敷具を差替える、即ち臥床者をベッド等上から降ろさずに取替える、ことができる。したがって、動作外支援に必要な機能を持つ各種の敷具を状況に応じ手軽に差替えて使い分けることが可能であり、これによって、臥床者が必要とする多様な動作外支援を広範囲に行うことができる。
【0040】
本発明の座部敷具差替えベッド等は、動作外支援機能を持つ各種の敷具を手軽に差替えて使い分けることを可能にし、これによって、ベッドが本来備えるべき寝具機能を損なうことなく、障害を抱える臥床者が必要とする多様な動作外支援を広範囲に行うことができる、実用性の高い動作外支援機構を持つベッド等を提供するものである。
【0041】
動作外支援は、座部に関係するものが最も多い。したがって座部敷具については、特に色々な種類のものを使用できることが望ましい。請求項3及び請求項4記載の座部敷具差替えベッド等では、第一に、敷具厚が所定より薄い敷具であっても、支障なく使用することができる。また、敷具厚が所定より厚い敷具であっても、前記各請求項に係る第3運動の敷具下降深度による制約の範囲内であれば使用できる。更に、座部板の直使用、即ち敷具を装着していない座部板を敷具の代わりにそのまま使用すること、も可能である。
【0042】
座部板の下方に衛生機器等を設置し、差替えた専用敷具によってその衛生機器等を使用できるようにすると、より効果的な動作外支援を行えるようになる。請求項5記載の座部敷具差替えベッド等は、所定の座部下機器、即ち座部下に設置した所定の衛生機器・医療機器等、を専用敷具によってベッド等上から使用することができるものである。
【0043】
請求項6及び請求項7記載の座部敷具差替えベッド等は、以下に挙げる三つの特性を持つ座部敷具差替えベッド等であって、優れた動作外支援を広範囲に提供できるとともに、健康な時であっても抵抗なく使える便器付きベッド等として、高齢者の健康維持に役立つものである。
【0044】
前記三つの特性の第一は、座部板の直使用、即ち敷具を装着していない座部板を敷具の代わりにそのまま使用すること、ができることである。使用中の座部敷具を他の座部敷具に差替える座部敷具同士の差替え作業と、使用中の座部敷具を座部板の直使用に切替える作業とを比べると、後者の方がはるかに作業が簡単である。前者の場合は、使用中の敷具を抜取ってから他の敷具を差入れなければならないのに対して、後者の場合は、使用中の敷具を完全に抜取る必要はなく、敷具の端部を残した状態のままで、座部板を上げ使用できるからである。特に、ベッド等上に居る臥床者が自分で差替えを行う場合を考えると、両者の作業性の差は、より顕著になる。したがって、座部板の直使用ができるベッド等では、座部下機器使用のための適当な加工を施した座部板を使用することによって、ベッド等上の臥床者が、自分自身の操作で簡単に座部下機器を使うことができる。
前記特性の第二は、臥床者が座部板に腰掛けることができることである。これによって、臥床者は、座部板に腰掛けた姿勢で座部下機器を使用することができる。
前記特性の第三は、所定の範囲内で座部板を下げることができることである。座部下に設置した衛生機器等を使用するための最適位置は、通常、座部板を基本位置から若干下げた所にある。したがって第三の特性により、臥床者は、座部板の高さを調整して座部下の衛生機器等を最適位置で使用することができる。
【0045】
障害が生じた臥床者にとって、生活上の問題の中で特に重要項目というべきものは、敷き寝具の清掃整備・身体状況の各段階における排泄処理・床ずれ防止の三つである。請求項1または請求項2記載の座部敷具差替えベッド等が、前記項目それぞれに対し、具体的にどのような支援を行えるかについて説明する。
【0046】
先ず、敷き寝具の清掃整備に対しては、使用中の汚れた敷具を予め整備しておいた予備敷具と差替える方法によって迅速に対処できる。敷具を整備済みのものと差替えれば、敷具は即座に更新されるので、この支援は非常に効果的である。
【0047】
次に、排泄処理に対する支援であるが、ここでは便宜上、臥床者の身体状況を、失禁の心配がない軽症期と、失禁が常態化した重症期と、両方の中間的状態である中間期の三段階に単純化して説明する。軽症期の排泄処理で問題となるのは、主として排便である。この段階の排尿は、適当な採尿具を使えば、臥床者が寝たままの姿勢で支障なく処理できるのに対して、排便は、ふとんの上で簡易便器を使うような場合、極めて不自然不安定な姿勢を強いられるとともに、便器との接触部が痛い等の問題もあって、臥床者の大きな悩みとなることが多いからである。前記座部敷具差替えベッド等では、例えば図56に示したような敷具を排便時に使用することができる。この敷具は、木製基台Aの上に座席マットBを取付けた本体と、これに着脱自由に組合わせた便器Cからなっており、構造は極めて単純である。しかし、座席部が広く、座部板上に直接設置するため安定度も十分であるから、従来のようにふとんの上で簡易便器を使う場合に比べれば、格段に良好な使用感を臥床者に与えることができる。また、臥床者が敷具上に座った後で基台を高くできるような敷具を使えば、更に使用感を高めることができる。
通常おむつが使用される、重症期の排泄処理では、おむつ交換と下腹部清掃の作業性が実際上の問題になる。前記座部敷具差替えベッド等では、座部敷具差替え時におけるベッド等の動きとそれに伴う臥床者の体位変動(図19、図35等)を利用することによって、おむつ交換を容易に行うことができる。また、この時に、適当な受け皿を座部下に置くようにすれば、下腹部清掃も容易に処理できる。
中間期は、失禁の可能性が出てくるとともに、排尿処理も、軽症期のような方法では、失敗する場合が多くなる段階である。従来型のベッドでは、寝具、中でも敷具の、排泄汚れを避けるために、おむつ使用を早くから始める傾向がある。しかし、おむつの着用は、臥床者にかなりの精神的苦痛を与えるものであるから、その着用は、最小限度の期間に止めることが望ましい。前記座部敷具差替えベッド等では、敷具の清掃整備が基本的に簡単であり、また、例えば図57に示したような敷具を使うこともできるので、おむつよりも軽装備の、簡単な失禁用下着を着用するだけで済ますことが可能である。図57に示した敷具は、防水対策を施した基台マットDと、その上に取付けた5枚の上敷きEと、基台マットの切込み部に組合わせるように配置した中マットFからなるものであって、上敷きと中マットはともに着脱自由である。この敷具では、中マットを取除き、そこに図56に示すような便器を置いて使用することもできる。また、基台マット切込み部周辺の上敷きと中マットに、吸水力のある使い捨てシートを取付ければ、多くの場合、失禁等による敷具の汚れをシートの取替えだけで処理することができ、敷具自体の取替えが不要になる。
なお、図56や図57の敷具は、説明の便宜上示した、ごく単純素朴な参考モデルに過ぎないのであって、実際には、より利便性の高い敷具を選択使用することができる。
【0048】
最後は、床ずれ予防に対する支援についてである。床ずれを予防するには、身体の圧迫箇所が固定化しないようにすること、汗・尿・便による汚れや過度の湿り気から皮膚を守ること等の対策を総合的に行うことが必要である。前記座部敷具差替えベッド等では、既存する各種の床ずれ防止マットを適宜使い分けることによって、圧迫箇所の固定化を防ぐことができる。また、座部敷具差替え時におけるベッドの動きを利用して、圧迫箇所が固定化しないように、臥床者の体位変換を図ることも可能である。また、汗・尿・便による汚れや過度の湿り気が最も生じ易いのは、座部周辺であるが、前記座部敷具差替えベッド等では、座部敷具差替え時におけるベッド等の動きとそれに伴う臥床者の体位変動を利用することによって、臥床者の座部周辺を清潔に保つよう処置することが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】第一実施形態の全体斜視図
【図2】第一実施形態における各脚体の不動部分を示す斜視図
【図3】第一実施形態における各脚体の作動部分と原動体を示す斜視図
【図4】第一実施形態における座部・下脚部駆動装置を示す斜視図
【図5】第一実施形態における各支持板を示す斜視図
【図6】第一実施形態における下脚部脚体を示す側面図
【図7】第一実施形態における下脚部脚体の作動部分を示す正面図
【図8】第一実施形態における座部脚体を示す側面図
【図9】第一実施形態における下脚部脚体の回動板を示す斜視図。左右回動板の間隔は便宜上変更している。
【図10】前記脚体の動脚を示す斜視図。左右動脚の間隔は便宜上変更している。
【図11】前記脚体の回動アームを示す斜視図。左右回動アームの間隔は便宜上変更している。
【図12】下脚板固定装置を取除いた第一実施形態の下脚板側端部を示す斜視図
【図13】前記下脚板固定装置を示す斜視図
【図14】前記下脚板固定装置を示す別視点からの斜視図
【図15】〜
【図23】第一実施形態における各支持板の動きを示す説明図。説明に不要な部分は省略している。
【図24】第二実施形態の全体斜視図
【図25】第二実施形態における各脚体の不動部分を示す斜視図
【図26】第二実施形態における各脚体の作動部分と原動体を示す斜視図
【図27】第二実施形態における各支持板を示す斜視図
【図28】第二実施形態における下脚部脚体を示す斜視図
【図29】第二実施形態における下脚部脚体を示す側面図
【図30】第二実施形態における座部脚体を示す側面図
【図31】第二実施形態における下脚板下面と下脚板ストッパーを示す斜視図。下脚板ストッパー関係は、4倍に拡大して表示している。
【図32】〜
【図39】第二実施形態における各支持板の動きを示す説明図。説明に不要な部分は省略している。
【図40】第三実施形態の敷具装着前における全体斜視図
【図41】第三実施形態における各脚体の不動部分を示す斜視図
【図42】第三実施形態における下脚部脚体の作動部分と駆動装置を示す斜視図
【図43】第三実施形態における座部脚体の作動部分と主脚板を示す斜視図
【図44】前記座部脚体の作動部分を示す下方からの斜視図。
【図45】座部板を引下げた時の前記座部脚体作動部分と主脚板を示す斜視図
【図46】〜
【図50】第三実施形態における各支持板の動きを示す説明図。説明に不要な部分は省略している。
【図51】第四実施形態の敷具装着前における全体斜視図
【図52】第四実施形態における各脚体の作動部分と原動体を示す斜視図
【図53】第四実施形態における下脚板の側面図
【図54】〜
【図55】第四実施形態における各支持板の動きを示す説明図。説明に不要な部分は省略している。
【図56】敷具参考モデルの斜視図
【図57】もう一つの敷具参考モデルの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0050】
第一実施形態について、図1〜図14により説明する。第一実施形態は、基板1aと、基板1aの上に設けた上体部脚体1cと座部脚体1dと下脚部脚体1gと、前記各脚体の上端部に取付けた上体板1kと座部板1mと下脚板1nと、前記各支持板の上に取付けた上体部敷具1pと座部敷具1qと下脚部敷具1rと、座部脚体1d及び下脚部脚体1gを動かす駆動装置1tと、からなる。各脚体は、各一対の基脚とそれに取付けた部材とで構成されるが、各基脚は、いずれも基板1aの左右両側部から上方に向けて直角方向に接続し、基板に固着している。上体部脚体1cは、上体部基脚110と、上体部基脚110の上部に固着した上体板受け120とからなり、座部脚体1dは、座部基脚130と、昇降自由に前記座部基脚に取付けた昇降板140と、からなる。昇降板140は、外面下部に従動子141を備えている。下脚部脚体1gは、下脚部基脚150と、回動板160と、動脚170と、回動アーム180と、連結体190と、からなる。回動板160は、図9に示す通り従動子161と動脚操作子162とを備え、軸151により下脚部基脚150の内方面に枢着している。動脚170は、図10の通り、動脚材171と172と173とで構成され、動脚材173は、軸174と175により動脚材171と172の上端部に枢着している。また、動脚材171と172の下端部は軸152と153により下脚部基脚150の外方面に枢着している。動脚材173の下脚板支持面は基板1aに平行であり、4つの軸152、153、174及び175は、一辺が基板1aに平行な平行四辺形をなす。回動アーム180は、図11の通り、アーム前部車輪184と、下脚板つなぎ手受け部182と、下脚板固定子穴183を備える。回動アーム180は、軸181により動脚材173に枢着し、一対の連結体脚191を備えた連結体190によって左右アームが結合し一体化している。上体板1k及び下脚板1nは、それぞれ支持板本体と敷具当て板とによって構成される。上体板1kと座部板1mは、その支持面に対して平行方向には動かないが直角方向に持上げれば簡単に外れるような取付手段によって、それぞれの脚体に取付けている。下脚板1nは、左右一対のつなぎ手231をつなぎ手受け部182にそれぞれ通すようにして、回動アーム180に取付けている。下脚板1nは、左右側端部に車輪232と下脚板固定装置を備える。前記下脚板固定装置は、図13及び図14に示す通り、下脚板固定子234と、引手235と、引手支持体236と、支持体236を後方に付勢するバネ237と、で構成されている。装置収納部の側壁に枢着した固定子234の爪部が回動アームの固定子穴183に落ちているときは、引手支持体236の後端が固定子234を上から押さえるので、下脚板1nは動かない。一方、この固定状態から引手235を前方に動かすと、引手支持体236が前方に移動して固定子234の上部を解放するので、固定子234は回動可能となり、下脚板1nは前方に動くようになる。したがって、引手235を前方に引けば下脚板1nは前方に移動し、引手235を後方に引いて下脚板1nを所定位置に戻せば下脚板1nは固定する。引手235の操作は、例えば左右引手に掛け渡した引き紐等で行う。引手に掛け渡した引き紐は、座部敷具差替え時の掛具処理手段として使うこともできる。上体部敷具1p、座部敷具1q及び下脚部敷具1rの取付け手段は、通常、面ファスナーである。もし、敷具が特殊であって面ファスナーの使用が適さない場合は、座部板や当て板を交換する等の方法により対応する。座部板1m、当て板210及び当て板240は、いずれも簡単に差替えを行うことができる。なお、座部敷具1qは臥床者の座部下で取付け取外しを行う必要があるので、座部敷具取付け手段は敷具差替え側だけに設ける。座部敷具は前後を他の敷具に挟まれておりもともと動き難い状態にあるため、こうした取付け方法で問題を生じることはない。駆動装置1tは、図3及び図4に示す通り、280を動力源とする左右一対のネジ軸270それぞれに、螺合した走行子260を介して原動体250を取付け、ネジ軸の回転による原動体250の前進後進によって従動子161と従動子141を駆動させるものである。原動体250は内側の面に従動子141用のカム溝251を備え、底面には車輪を備えている。
【0051】
第一実施形態における支持板の動きを図15〜図23により説明する。図15は基本形態を示す。原動体250を図15の位置より前進させると、従動子161が原動体前端面に押されて回動板160が回り、回動板上面が連結体脚191を押上げる。これによって回動アーム180は軸181を中心として後部を上げるように回動し、下脚板1nも同様の動きを行い、図16に示す位置に至る。これが第一実施形態における第1運動である。原動体250を更に前進させると、動脚操作子162により動脚170が作動して、動脚材173が後側斜上方に移動するとともに、回動アーム180は軸181を中心として後部を下げるように回動する。アームの回動は図17の状態で停止するが、動脚材173は移動を続け、図18の位置に至る。この一連の動きによって、下脚板1nも図17の位置を経て図18の位置に至る。これが第2運動である。原動体250を図18の位置より前進させると、下脚板1nは動かず、従動子141がカム溝に沿って動き昇降板140が下降する。これによって、座部板1mは下方に移動して図19に示す位置に至る。これが第3運動であり、座部敷具の差替えはこの状態において行う。図19に示す位置から原動体250を後進させると、座部板1mは前記第3運動の動きを逆に辿って図18の位置に至る。これが第4運動である。更に原動体250を後進させ図15の位置まで戻すと、下脚板1nは、第2運動と第1運動の動きを逆に辿って図15に示す位置まで戻る。これが第5運動である。
一方、図19に示す位置より原動体250を前進させると、昇降板140は上昇して座部板1mも上方に移動する。これが付加第1運動である。昇降板の上昇限度は、座部板1mの上面が直接臥床者座部に接触する図20の位置であり、この位置まで昇降板を上げることによって座部板の直使用が可能になる。付加第1運動を終了した段階で引手235を前方に引くと、下脚板1nは前方に移動する。これが付加第2運動である。下脚板1nが前方に移動し図21で示す位置に達すると、重心が軸181の前方に移って、下脚板1nは後端部を上げながら回動し図22の状態に至る。但し、下脚板の後部を押さえる等の操作をすれば、下脚板を回動させず図21の状態にとどめることも可能である。図22の段階では、臥床者が座部板1mに腰掛けることが可能になる。図22の状態において、原動体250を図19の位置までを限度として後進させると、座部板1mは下方に移動する。これが付加第3運動である。図23は、座部板が最低位置まで移動した状態を示す。付加第3運動が終了した段階で原動体250を付加第3運動開始時の位置まで前進させると、座部板1mは付加第3運動の動きを逆に辿り付加第3運動開始時の位置に戻る。これが付加第3運動始点復帰運動である。前記復帰運動が終了した段階で手動により下脚板1nを図21の状態に戻し、続いて引手235を後方に引くと、下脚板1nは付加第2運動開始時の位置に戻って固定する。これが、付加第2運動始点復帰運動である。原動体250を付加第2運動開始時の位置から付加第1運動開始時の位置まで後進させると、座部板1mは下方に移動して図19の位置に戻る。これが付加第1運動始点復帰運動である。
【0052】
第二実施形態について図24〜図31により説明する。第二実施形態は、基板2aと、基板2aの上に設けた上体部脚体2cと座部脚体2dと下脚部脚体2gと、前記各脚体の上端部に取付けた上体板2kと座部板2mと下脚板2nと、前記各支持板の上に取付けた上体部敷具2pと座部敷具2qと下脚部敷具2rと、座部脚体2d及び下脚部脚体2gを動かす駆動装置2tと、からなる。各脚体は、各一対の基脚とそれに取付けた部材とで構成されるが、各基脚は、いずれも基板2aの左右両側部から上方に向けて直角方向に接続し、基板に固着している。上体部脚体2cは、上体部基脚300と、上体部基脚300の上部に固着した上体板受け310とからなり、座部脚体2dは、座部基脚320と、昇降自由に前記座部基脚に取付けた昇降板330と、からなる。昇降板330は、外面下部に従動子331を備えている。下脚部脚体2gは、左右各一対の外脚341と内脚342で構成される下脚部基脚340と、回動板360と、動脚370と、連結体380と、からなる。回動板360は、軸361により内脚342に枢着し、従動子362と動脚操作子363を備えている。動脚370は、動脚材371と372と373とで構成され、動脚材373は、軸374と375により動脚材371と372の上端部に枢着している。また、動脚材371と372の下端部は、軸343と344により外脚341に枢着している。動脚材373の下脚板支持面は、基板2aに平行であり、4つの軸343、344、374及び375は、一辺が基板2aに平行な平行四辺形をなす。動脚材373は、連結体380によって左右が結合し一体化しており、その左右いずれか一方に下脚板ストッパー390を備えている。上体板2k及び下脚板2nは、それぞれ支持板本体と敷具当て板とによって構成される。上体板2kと座部板2mは、その支持面に対して平行方向には動かないが直角方向に持上げれば簡単に外れるような取付手段によって、それぞれの脚体に取付けている。下脚板2nは、動脚材373の下脚板受け部376に左右側端部を通すようにして取付けている。下脚板2nは、連結体380上の下部支持車381と下脚板受け部376の上部支持車378とによって、上下を挟まれるように支持されており、円滑に前後方向に移動できる。下脚板ストッパー390は、下脚板固定子391と、操作子支持体393と、支持体393に枢着し内面の突片を介してバネにより固定子391を上方に付勢する操作子392と、により構成され、固定子391の頭部を固定子受け431に挿入して下脚板2nを所定の位置で固定する一方、操作子392によって固定子391を引下げれば固定状態を解除する。固定子391を引下げるには、操作子392の前端部を下げるように手動で操作する。上体部敷具2p、座部敷具2q及び下脚部敷具2rの取付け手段は、通常、面ファスナーである。もし、敷具が特殊であって面ファスナーの使用が適さない場合には、座部板や当て板を交換する等の方法により対応する。座部板2m、当て板410及び440は、いずれも簡単に差替えることができる。なお、座部敷具2qは臥床者の座部下で取付け取外しを行う必要があるので、座部敷具取付け手段は敷具差替え側だけに設ける。座部敷具は前後を他の敷具に挟まれており、もともと動き難い状態にあるため、こうした取付け方法でも問題を生じることはない。駆動装置2tは、480を動力源とする一対のネジ軸470それぞれに、螺合した走行子460を介して原動体450を取付け、ネジ軸470の回転による原動体450の前進後進によって従動子362及び従動子331を駆動させるものである。なお、原動体450は、内側の面に従動子331用のカム溝451を備え、底面には車輪を備えている。
【0053】
第二実施形態における支持板の動きを図32〜図39により説明する。図32は基本形態を示す。原動体450を図32の位置より前進させると、従動子362が原動体前端面に押されて回動板360が回り、その結果、動脚操作子363が動脚材371を押上げるようにして動脚370を作動させる。動脚370の作動とともに、動脚材373は前側斜上方に移動し、下脚板2nも同様に動いて図33の位置に至る。これが、第二実施形態における第1運動である。第1運動終了後に、下脚板ストッパー390の手動操作により下脚板2nの固定状態を解除して下脚板の引手433を後方に引くと、下脚板2nは後方に移動して図34の位置に至る。これが第2運動である。引手433の操作は、例えば、左右引手に掛け渡した引き紐等で行う。引手に掛け渡した引き紐は、座部敷具差替え時の掛具処理手段として使うこともできる。第2運動終了後に、原動体450を図34の位置より前進させると、下脚板2nは動かず、従動子331がカム溝に沿って動き昇降板330が下降する。これによって、座部板2mは下方に移動して図35に示す位置に至る。これが第3運動であり、座部敷具の差替えはこの状態において行う。第3運動終了後に、原動体450を図35の位置から図34に示す位置まで後進させると、座部板2mは前記第3運動の動きを逆に辿って図34の位置に至る。これが第4運動である。第4運動の終了後に、引手433を前方に引くと、下脚板2nは第2運動の動きを逆に辿って図33の位置に戻り、そこで固定する。その後、原動体450を後進させて図32の位置まで戻すと、下脚板2nは、図32の位置に復帰する。これが第5運動である。
一方、図35に示す位置より原動体450を前進させると、昇降板330は上昇し、座部板2mも上方に移動する。これが付加第1運動である。昇降板の上昇限度は、座部板2mの上面が直接臥床者座部に接触する図36の位置であり、この位置まで昇降板を上げることによって座部板の直使用が可能になる。付加第1運動を終了した段階で引手433を前方に引くと、下脚板2nは前方に移動する。これが付加第2運動である。下脚板2nは、前方に移動する途中、図37の位置で一旦固定するが、ストッパー390の操作により固定状態を解除し更に前方に移動すれば図38の位置に至る。図38の段階では、臥床者が座部板2mに腰掛けることが可能になる。図38の状態において、原動体450を図35に示す位置までを限度として後進させると、座部板2mは下方に移動する。これが付加第3運動である。図39は、座部板が最低位置まで移動した状態を示す。付加第3運動が終了した段階で、原動体450を付加第3運動開始時の位置まで前進させると、座部板2mは付加第3運動の動きを逆に辿り付加第3運動開始時の位置に戻る。これが付加第3運動始点復帰運動である。前記復帰運動終了後に、引手433を後方に引き、途中でストッパー390を操作し更に引けば、下脚板2nは、後方に移動して付加第2運動開始時の位置に戻る。これが、付加第2運動始点復帰運動である。原動体450を付加第2運動開始時の位置から付加第1運動開始時の位置まで後進させると、座部板2mは下方に移動して図35の位置に戻る。これが付加第1運動始点復帰運動である。
【0054】
第三実施形態について図40〜図45により説明する。第三実施形態は、基板3aと、基板3aの上に設けた上体部脚体3cと座部脚体3dと下脚部脚体3gと、前記各脚体の上端部に取付けた上体板3kと座部板3mと下脚板3nと、前記各支持板の上に取付けた上体部敷具3pと座部敷具3qと下脚部敷具3rと、下脚部脚体3gの駆動装置3vと、からなる。各脚体は、各一対の基脚とそれに取付けた部材とで構成されるが、各基脚は、いずれも基板3aの左右両側部から上方に向け直角方向に接続し、基板に固着している。上体部脚体3cは、上体部基脚500と、上体部基脚500の上部に固着した上体板受け510とからなる。座部脚体3dは左右で構造が異なっている。一方の連結側は、座部基脚520と、連結側主脚板530と、連結脚532と、連結側座部板受け535とからなる。主脚板530は、外側の面に連結脚支持枠531を備える。前後一対の連結脚532は、下端部が軸533により支持枠531の内側に枢着し、上端部が軸534により座部板受け535に枢着している。座部板受け535ははボルトで座部板3mの下面に固着しているため、連結側では、座部板3mと脚体が繋がる構造となっている。また連結側脚体は、支持枠531の左右方向側板に連結脚532の上部を当接させ且つ座部板受け535の上面を基板3aに対して平行にすると、座部板3mをちょうどそれの基本位置において支持できるように構成されている。もう一方の引下げ側脚体は、座部基脚520と、板止め受け542を持つ操作板支持体541を備えた引下げ側主脚板540と、操作板支持体541を介して主脚板540に上下移動自由に取付けた操作板550と、からなる。引下げ側脚体は座部板3mと分離している。また、引下げ側脚体は、板止め553を板止め受け542の上に乗せ、且つ座部板下面の固定足621を操作板550の内面に当接させると、操作板上端が座部板3mをちょうどその基本位置で支持するように構成されている。なお、前後一対の板止め553は板止め支持体552に固着し、板止め支持体552は操作板550に枢着している。また、主脚板530及び540は、それぞれ座部基脚520に取外し可能に取付けられている。下脚部脚体3gは、下脚部基脚560と、動脚570と、連結体580と、からなる。動脚570は、動脚材571と572と573で構成され、動脚材573の下脚板支持面は基板3aに平行である。動脚材571の下端は、下脚部基脚560に設けた横長の透孔部を通る部材562によって原動体650に枢着し、原動体650の動きに従い前後方向に移動自由である。一方、571上端は部材574により動脚材573に枢着する。動脚材572の下端は、部材563により基脚560に枢着し、572上端は、動脚材573の透孔部569に部材575により前後動・回動自由に取付けられている。動脚材571と572とは、部材576によって互いに回動できるように中央で拘束され、また、4つの部材562、563、574及び575は、一辺が基板3aに平行であり且つ内角すべてが直角である四辺形をなす。動脚材573は、連結体580によって左右が結合し一体化しており、その左右いずれか一方に下脚板ストッパー590を備えている。上体板3k及び下脚板3nは、それぞれ支持板本体と敷具当て板とによって構成される。上体板3kは、その支持面に対して平行方向には動かないが直角方向に持上げれば簡単に外れるように脚体に取付けている。座部板3mは、連結側では脚体と離れないように連結する一方、引下げ側では固定足621を当接させて操作板上端に乗っているだけである。下脚板3nは、動脚材573の下脚板受け部577に左右側端部を通すようにして取付けている。下脚板3nは、連結体580上の下部支持車581と下脚板受け部577の上部支持車579とによって、上下を挟まれるように支持されており、円滑に前後方向に移動する。下脚板ストッパー590は、下脚板固定子591と、操作子支持体593と、支持体593に枢着し内面の突片を介してバネにより固定子591を上方に付勢する操作子592と、により構成され、固定子591の頭部を固定子受け631に挿入して下脚板3nを所定の位置で固定する一方、操作子592により固定子591を引下げれば固定状態を解除する。固定子591を引下げるには、操作子592の前端部を下げるように手動で操作する。上体部敷具3p、座部敷具3q及び下脚部敷具3rの取付け手段は、通常、面ファスナーである。もし敷具が特殊であって面ファスナーの使用が適さない場合は、座部板や当て板を交換する等の方法で対応する。なお、座部敷具3qは臥床者の座部下で取付け取外しを行う必要があるので、座部敷具取付け手段は敷具差替え側だけに設ける。座部敷具は前後を他の敷具に挟まれて動き難い状態にあるため、こうした取付け方法であっても問題を生じることはない。駆動装置3vは、670を動力源としたネジ輪660の回転による原動体650の前進後進によって、動脚570を駆動させるものである。原動体650は、動脚材571が枢着する左右一対の動脚連結部652と、前記左右連結部を結合して一体化する中央部651とで構成され、中央部にはネジ軸用ネジが形成されている。
【0055】
第三実施形態における支持板の動きを図46〜図50により説明する。図46は基本形態を示す。操作子592の操作により下脚板3nの固定状態を解除した後で引手633を前方に引くと、下脚板3nは前方に移動する。下脚板3nが図47の位置まで移動した段階で原動体650を前進させると、動脚570が動いて動脚材573が上昇する。動脚材573の上昇とともに、下脚板3nも上方に移動して図48の位置に至る。図47の位置を経て図48の位置に至る下脚板3nの動きが、第三実施形態における第1運動である。第1運動終了後に引手633を後方に引き、途中で操作子592を操作して更に引けば、下脚板3nは後方に移動して図49の位置に至る。これが第2運動である。第2運動の終了後に、座部の引下げ側操作板550を下に下げてから座部板を引下げ側の方に引くと、座部板3mは、引下げ側に突出るようにしながら斜下方に移動して図50の位置に至る。これが第3運動であり、座部敷具の差替えはこの状態において行う。なお、操作板550を下げるには、板止め支持体552を手動で回動させ板止め553を板止め受け542から外せばよい。第3運動の終了後に、座部板を連結側の方に押して連結脚支持枠531の側板に連結脚532の上部を当接させた上で、操作板550を引き上げ板止め553を板止め受け542に乗せると、座部板3mは図49の位置に戻る。これが第4運動である。第4運動の終了後に、先ず引手633を前方に引いて下脚板を図48の位置に移動させ、次に原動体650を図46の位置まで後進させ、最後に引手633により下脚板を引き戻すと、下脚板3nは第2運動と第1運動の動きを逆に辿って図46の位置に復帰する。これが第5運動である。
【0056】
第四実施形態について図51〜図53により説明する。第四実施形態は、基板4aと、基板4aの上に設けた上体部脚体4cと座部脚体4dと下脚部脚体4gと、前記各脚体の上端部に取付けた上体板4kと座部板4mと下脚板4nと、前記各支持板の上に取付けた上体部敷具4pと座部敷具4qと下脚部敷具4rと、座部脚体4dを動かす駆動装置4wと下脚部脚体4gを動かす駆動装置4vと、からなる。各脚体は、各一対の基脚とそれに取付けた部材とで構成されるが、各基脚は、いずれも基板4aの左右両側部から上方に向けて直角方向に接続し、基板に固着している。上体部脚体4cは、上体部基脚700と、上体部基脚700の上部に固着した上体板受け710とからなり、座部脚体4dは、座部基脚720と、昇降自由に座部基脚に取付けた昇降板730とからなる。昇降板730は外面下部に従動子731を備える。下脚部脚体4gは、下脚部基脚740と、動脚750と、連結体760と、からなる。動脚750は、動脚材751と752と753で構成され、動脚材753の下脚板支持面は基板4aに平行である。動脚材751の下端は、下脚部基脚740に設けた横長の透孔部を通る部材742によって原動体820に枢着し、前記原動体の動きに従い前後方向に移動自由である。一方、751上端は部材754により動脚材753に枢着している。動脚材752の下端は部材743により基脚740に枢着し、752上端は動脚材753の透孔部749に部材755により前後動・回動自由に取付けられている。動脚材751と752とは、部材756によって互いに回動できるように中央で拘束され、また、4つの部材742、743、754及び755は、一辺が基板4aに平行であり且つ内角すべてが直角である四辺形をなす。動脚材753は、後部車輪758と、下脚板つなぎ手受け部757を備え、連結体760により左右が結合し一体化している。上体板4k及び下脚板4nは、それぞれ支持板本体と敷具当て板とによって構成される。上体板4kと座部板4mは、その支持面に対して平行方向には動かないが直角方向に持上げれば簡単に外れるような取付手段によって、各脚体に取付けている。下脚板4nは、左右一対のつなぎ手801をつなぎ手受け部757にそれぞれ通すようにして動脚材753に取付けている。下脚板4nは左右側端部に、車輪802と、引手803と、下脚板固定装置と、を備えている。前記下脚板固定装置は、下脚板固定子805と、固定子操作体807と、固定子805を下方に付勢するバネ806と、操作体807を後方に付勢するバネ808と、からなる。下脚板4nと座部板4mがともに基本位置にあるときには、図53のように固定子805を下げることにより下脚板4nを固定することができる。なお、固定子を上げるときは固定子を手で直接押上げ、下げるときは操作体807を前方に動かす。上体部敷具4p、座部敷具4q及び下脚部敷具4rの取付け手段は、通常面ファスナーである。もし、敷具が特殊であって面ファスナーの使用が適さない場合は、座部板や当て板を交換する等の方法で対応する。座部板4m、当て板780及び810はいずれも簡単に差替えることができる。なお、座部敷具4qは臥床者の座部下で取付け取外しを行う必要があるので、座部敷具取付け手段は敷具差替え側だけに設ける。座部敷具は前後を他の敷具に挟まれて動き難い状態にあるため、こうした取付け方法であっても問題を生じることはない。駆動装置4wは、880を動力源とする一対のネジ軸870それぞれに、螺合した走行子860を介して原動体850を取付け、ネジ軸870の回転による原動体850の前進後進によって従動子731を駆動させるものである。原動体850は、内側の面に従動子731用のカム溝851を備え、底面には車輪を備えている。駆動装置4vは、ネジ軸の回転による原動体820の前進後進によって動脚750を駆動させるものである。原動体820は、動脚材751が枢着する左右一対の動脚連結部と、前記左右連結部を結合して一体化する中央部とで構成され、中央部にはネジ軸用ネジが形成されている。なお、駆動装置4vは、第三実施形態の駆動装置3vと同じ構造である。
【0057】
第四実施形態の第1運動、第2運動及び第5運動は、前記運動それぞれに対応する第三実施形態の運動とほぼ同じである。図54は、第四実施形態の基本形態を示している。第2運動の終了後に原動体850を図54が示す位置から後進させると、座部板4mは下方に移動して図55の位置に至る。これが第四実施形態における第3運動である。また、第3運動の終了後に原動体850を元の位置まで前進させると、座部板4mは第3運動の動きを逆に辿って基本位置に戻る。これが第4運動である。
なお説明を省くが、第四実施形態は、下脚板4nの前後動機構と駆動装置4wによって、第一実施形態や第二実施形態と同様に、付加第1運動から付加第3運動を経て付加第1運動始点復帰運動に至る一連の六つの付加運動を行うことができる。
【符号の説明】
【0058】
1a,2a,3a,4a 基板
1c,2c,3c,4c 上体部脚体
1d,2d,3d,4d 座部脚体
1g,2g,3g,4g 下脚部脚体
1k,2k,3k,4k 上体板
1m,2m,3m,4m 座部板
1n,2n,3n,4n 下脚板
1p,2p,3p,4p 上体部敷具
1q,2q,3q,4q 座部敷具
1r,2r,3r,4r 下脚部敷具
1t,2t 座部・下脚部駆動装置
3v,4v 下脚部駆動装置
4w 座部駆動装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、臥床者をベッド上から降ろさずに、敷具の取替えができるベッド及びベッド兼用具に関する。
【背景技術】
【0002】
運動機能や認知機能に障害が生じた臥床者の、排泄処理や床ずれ防止といった生活上の諸問題に対する、直接的な支援機構を持つベッドとしては、特許文献1、特許文献2、特許文献3等で開示されるものが既に知られている。
【0003】
特許文献1で開示されるベッドは、分割したマットレスを取付けた背部レスト、座部レスト、下腿部レスト及び足部レストを有し、椅子状に変換するものであって、臥床者は座部レストに腰掛けて中央に設けた開口部から下の便器に排泄することができ、またその開口部は前後方向にスライドする蓋によって開閉可能となっているものである。特許文献2で開示されるベッドは、長手方向にベッドを上部ベッドと下部ベッドに分割してそれぞれを任意方向に移動できるようにするとともに、上部ベッド足側に左右一対の膝上げ台を上下動可能に設け、これによって臥床者の脚部を上げることにより下腹部清掃等を行い易くしたものである。特許文献3で開示されるものは、ベッド床面を覆うように広げたシートの両側方縁部を、ベッド長手方向中心線に対し左右対称に設けた二組の駆動機構により左右交互にまたは左右同時に上下動させるものであって、シートの身体支持面を水平にしたり傾斜させたり上方に開いたU字形にしたりすることにより、臥床者の体位変換を行い、床ずれを防止しようとするベッドである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−125279号公報
【特許文献2】特開2008−136780号公報
【特許文献3】特開2002−17792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらのベッドはそれぞれ有用なものではあるが、いずれも同じような弱点を持つ。その弱点とは、第一に、それぞれのベッドが、いずれも、臥床者が必要とする多様な支援の中のごく限られた一部の支援しか提供することができないということである。第二に、それぞれが持つ支援のための装置が、他の問題の解決を難しくしたり、基本的にベッドに求められる寝具としての性能を損なったりする可能性を伴っていることである。
【0006】
特許文献1のベッドは、臥床者の障害が重度に至る以前であれば、排泄処理に対して有効な支援ができる。しかし、失禁が常態化した状況になると対応が困難になり、逆に問題を生む原因になる可能性がある。即ち、構造上座部回りの汚れを除去することが難しいために衛生状態の悪化を招き、また座部周辺の構造は腰部床ずれを誘発する恐れがある。特許文献2のベッドは、膝上げ台の収納場所が長手方向中心線に向かって左右両側から突出すように設けられているため、基本的にベッドに求められる寝具としての性能を損なう可能性が高い。また、この構造によって臥床者の体位変換が制約されるために、床ずれの発生が危惧される。特許文献3のベッドは、身体の圧迫箇所の固定化を体位変換によって防ぎ、長期化した重度障害者の床ずれを防止しようとするものであり、前記二つと同様にそれなりの有効性が認められる。しかし、床ずれ防止には、圧迫箇所の固定化を防ぐだけではなく、汗・尿・便による汚れや過度の湿り気から皮膚を守ることも重要である。したがって、臥床者の体位変換以外に有効な支援策を持たないことは、床ずれ防止策としても不十分である。
【0007】
背起こし・起立等の動作を助けるための「動作支援」に対するものとして、排泄処理や床ずれ防止といった、動作以外の生活上の諸問題を解決するために行う直接的な支援を、ここでは「動作外支援」と呼ぶことにする。社会の高齢化が急速に進む今後においては、動作支援機構とともに実用性の高い動作外支援機構を備えたベッドが、より一層求められるようになると思われる。
【0008】
障害が生じた臥床者にとって、生活上の問題の中で特に重要項目というべきものは、敷き寝具の清掃整備・身体状況の各段階における排泄処理・床ずれ防止の三つである。敷き寝具の清掃整備は、臥床者の健康と周囲の衛生状態とを左右する基本要因であり、排泄処理は、常に臥床者の悩みの種であり、床ずれは、臥床者の健康に深刻な影響を及ぼす。したがって、実用に耐える動作外支援機構を持つベッドであるためには、少なくとも、前記重要項目すべてに対して、有効な支援を行うことができなければならない。
【0009】
障害を抱える臥床者が必要とする動作外支援は、種類も多く、その性質もさまざまである。更に、臥床者の身体状況が変化するとともに、求められる支援の中身が変化する。例えば、重度障害期において非常に重要である、床ずれ防止支援は、軽度障害期には不用である。また、排泄処理支援は、身体状況の各段階ごとに、求められる支援の種類がそれぞれ異なり、現在求められている種類の支援は、別の段階では不用になる。したがって、提供できる動作外支援があまりに限定されているベッドは、たとえ支援の質が高いものであったとしても、実用上はそれほど役に立たない。実用性のある動作外支援機構を持つベッドであるためには、ベッドが本来備えるべき寝具機能を損なうことなく、臥床者が必要とする多様な動作外支援を広範囲に提供できるものでなければならない。
【0010】
各種支援機能を組込むために必要な所定のサイズ・形状・質を備えた敷具を、簡単に差替えることができるベッドは、実用性の高い動作外支援機構を持つベッドの一つである。なぜなら、敷具を簡単に差替えられるベッドであれば、機能の異なる各種の敷具を状況に応じて手軽に使い分けることが可能であり、それによって、前記重要項目に対する支援も含め、臥床者が必要とする多様な動作外支援を、広範囲に提供できるからである。ここで「敷具」とは、臥床者が身体に敷いて使うために支持板上に設置する物全般をいい、各種の敷き寝具ばかりでなく、支持板上に置いて使う排泄用具・マッサージ具・床ずれ治療具等々も含めたものである。また、「敷具を差替える」とは、臥床者をベッド上から降ろさずに敷具を取替えることである。
【0011】
若干の例外はあるものの、前記重要項目に対する支援も含めて、動作外支援の多くは、通常の敷きマットとほぼ同じようなサイズ・形状を持つ構造体に組込んだ専用機能によって、十分に提供することができるものである。また、こうした支援機能を組込んだ各種敷具の開発は、一般的にいって、既存技術を使用するだけで、いずれも比較的容易に且つ安価に実現することができる。したがって、所定の各種支援機能を組込むために必要なサイズ・形状・質を備えた敷具を簡単に差替えることができるベッドであれば、状況に応じて色々な敷具を手軽に使い分けることが可能であり、それによって、前記重要項目に対する支援も含め、臥床者が必要とする多様な動作外支援を、ベッドが本来備えるべき寝具機能を損なうことなく、広範囲に提供することが可能となるのである。
【0012】
敷具を長手方向に分割して、少なくとも上体部用の部分と座部用の部分と下脚部用の部分とをそれぞれ別個に形成し、これらにより敷具全体を構成するようにしたものを、「分割敷具」と呼ぶことにする。分割敷具を使用すると、差替えが困難なのは、座部に使用する敷具である座部敷具だけであって、上体部に使う上体部敷具と下脚部に使う下脚部敷具とは簡単に差替えることができる。上体部敷具は、臥床者の上半身を起こせば取替えが可能であり、下脚部敷具は、臥床者の脚を動かすだけで取替えることができるからである。したがって、分割敷具を使用するベッドにおいて、座部敷具の差替えを可能にすれば、敷具全体を差替えることができるようになる。
【0013】
所定のサイズ・形状・質を備えた分割敷具を使用できるベッドであって、且つ、分割敷具内の座部敷具を簡単に差替えることができるベッドを、「座部敷具差替えベッド」と呼ぶことにする。各種支援機能を組込むために必要な所定のサイズ・形状・質を備えた分割敷具を使用できる、座部敷具差替えベッドを開発すれば、そのベッドは、敷具全体の差替えが可能であるから、前記したように、実用性の高い動作外支援機構を備えたベッドとなる。いいかえれば、各種支援機能を組込むために必要である所定のサイズ・形状・質を備えた分割敷具を使用できる、座部敷具差替えベッドを開発すれば、実用性の高い動作外支援機構を持つベッドを提供することができるのである。
【0014】
夜間用便のためにベッドを離れることは、高齢者にとって、たとえ健康な時であっても好ましいことではない。心臓病等の一部疾患を引き起こす原因となる場合が多いからであり、寒い時期には特に危険性が高くなる。便器をベッドに組合わせたものである便器付きベッドは、用便のためにベッドを離れる必要をなくするので、前記のような重大疾患から身を守るのに有効であり、したがって、高齢化社会においては、障害の有無に拘わらず、本来有用性の高いベッドといえる。しかし、現状では、障害を持たずに暮らしている高齢者が、病気予防を目的として便器付きベッドを使うことは、ほとんどない。それは、健康な時にも抵抗なく使えるような便器付きベッドが、まだ開発されていない、という理由によるところが大である。
【0015】
健康な者が抵抗なく使うことができる便器付きベッドであるためには、第一に、便器の使用によって寝具が汚れる心配がないこと、第二に、臥床者が、ベッドから降りずに、自分の操作で簡単に便器を使用できること、第三に、安定した楽な体位で便器を使用できること、第四に、使用便器が、通常製品のような水洗式便器であること、の四条件が満たされる必要がある。
【0016】
座部敷具差替えベッドでは、専用便座への変換作業、即ち使用している座部敷具を抜取って専用の便座敷具に差替えるという作業を、ベッド上の臥床者が自分で行うことが可能であり、更に若干の対策を施すことによって、その変換作業をより簡単にすることができる。したがって、座部敷具差替えベッドは、座部下に水洗式便器を設置できるようにし、且つこの便器を楽な姿勢でベッド上から臥床者が使用できるようにすれば、前記の四条件がすべて満たされることになり、健康な時であっても抵抗なく使える便器付きベッドとして使用できるものとなる。即ち、座部下に水洗式便器を設置できるようにするとともに、この便器を支持板上から安定した楽な体位で使用することができる座部敷具差替えベッドを開発すれば、それは、健康な者でも抵抗なく使える便器付きベッドとして、危険な重大疾患から高齢者を守り、高齢者の健康維持に貢献できるものとなる。
【0017】
本発明が解決しようとする課題は、所定の分割敷具を使用できるベッド等であって、且つ、臥床者をベッド等上から降ろさずに、前記分割敷具内の座部敷具を簡単に取替えることができるベッド等である、座部敷具差替えベッド等を開発することである。なお、ベッド等とは、ベッド及びベッド兼用保健具・ベッド兼用運動具等のベッド兼用具をいう。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1記載の座部敷具差替えベッド等は、上体部即ち座部よりも上の部分を支える支持板である上体板と、坐部即ち脊柱下部から大腿部所定位置までの部分を支える支持板である坐部板と、下脚部即ち坐部より下の部分を支える支持板である下脚板と、を別個に形成し、上体部・坐部・下脚部それぞれの敷具としてそれぞれ所定のサイズ・形状・質を備えた敷具である、上体部敷具と坐部敷具と下脚部敷具とを前記各支持板に装着して使用するベッド等であって、
第1運動、第2運動、第3運動、第4運動、第5運動と称する五つの支持板運動を、各運動所定の支持板等に行わせる運動手段と、
臥床者の身体の下で、坐部敷具をベッド等から取外し、またベッド等に取付けることを、少なくとも前記第3運動が終了した段階において行うことができる、坐部敷具取外し取付け手段と、
臥床者の身体の下から、左方、右方または前方のうち少なくともいずれか一方へ、座部敷具を取出しまた逆に戻入れることを可能にする開口部が、少なくとも前記第3運動が終了した段階において確保される構造と、
を具備するものである。
【0019】
ここでは、ベッド等が通常のベッドとして使用されるときの形態を、そのベッド等の基本形態といい、支持板・敷具等の各部材がベッド等の基本形態において占める位置を、それぞれその部材の基本位置という。また、左右方向とは、ベッド等が基本形態をとっているときのそのベッド等の幅方向であり、前後方向とは、ベッド等が基本形態をとっているときのそのベッド等の長手方向であり、上下方向とは、左右方向の直線と前後方向の直線の両方に対して直角である直線が示す方向である。なお、前方とは前後方向の足側を、後方とは前後方向の頭側を指すが、単に「前方」というとき、それは「真直ぐ前方または斜め前方」を意味する。同様に、後方は「真直ぐ後方または斜め後方」を、上方は「真直ぐ上方または斜め上方」を、下方は「真直ぐ下方または斜め下方」を意味する。
【0020】
前記五つの運動の詳細は次の通りである。第1運動は、ベッド等が基本形態をとっている状態から、次の条件を満たしつつ、少なくとも下脚板後端が基本位置にある座部敷具の上方に位置するまで、下脚板が移動する運動である。前記条件のうちの第一は、坐部敷具の差替えを阻害する新たな要因を発生させることなく、下脚板が移動することである。坐部敷具の差替えとは、臥床者をベッド等上から降ろすことなく座部敷具を取替えることをいう。前記条件の第二は、ベッド等上に仰臥した臥床者が下脚部敷具に無理なく安全に脚を載せることができる状態を維持しつつ、下脚板が移動することである。第2運動は、次の二条件を満たしながら、前記下脚板の後部が基本位置にある前記坐部敷具の上方に間隔をあけて重なるように、前記下脚板が後方に移動する、前記第1運動に続く運動である。前記二条件の第一は、坐部敷具の差替えを阻害する新たな要因を発生させることなく、下脚板が移動することである。前記二条件の第二は、ベッド等上に仰臥した臥床者が下脚部敷具に無理なく安全に脚を載せることができる状態を維持しながら、下脚板が移動することである。なお、第1運動に続く運動とは、第1運動がもたらした作用のうち、本発明の課題解決にとって重要な部分が保持されている状態において開始される運動を意味する。第3運動は、坐部敷具の差替えを阻害する新たな要因を発生させることなく、前記坐部板がその基本位置から下方に移動する、前記第2運動に続く運動である。第2運動に続く運動とは、第1運動から第2運動に至る一連の運動がもたらした作用うち、本発明の課題解決にとって重要な部分が保持されている状態において開始される運動のことであり、以下における同種文言は、いずれもこれに準ずる意味を持つ。第4運動は、座部敷具を装着した状態を維持しながら、前記座部板がその基本位置に移動する、前記第3運動に続く運動である。第5運動は、ベッド等上に仰臥した臥床者が下脚部敷具に無理なく安全に脚を載せることができる状態を維持しながら、前記下脚板がその基本位置に移動するとともに、ベッド等が基本形態に復帰する、前記第4運動に続く運動である。
【0021】
ベッド等上にいる臥床者の身体の下で坐部敷具をベッド等から取外す方法は、座部敷具だけを座部板から取外す方法でもよいし、座部敷具を座部板ごとベッド等から取外す方法でもよい。しかし、前記二つには、それぞれ長所短所がある。例えば、座部板ごと取外す方法には、敷具の取出しをやり難くする一方で、座部敷具と座部板両方の差替えを可能にするため、敷具開発の自由度を高めるという利点がある。したがって、前記いずれの方法によっても取外せるようにして、状況に応じ使い分けられるようにするのがより望ましいと思われる。なお、座部敷具を座部板ごとベッド等から取外す場合には、座部敷具を座部板ごと取出せる大きさを持つ開口部が、少なくとも前記第3運動が終了した段階において確保される必要がある。
【0022】
ベッド等上に臥床者が仰臥している時、坐部敷具は、臥床者の体重によって下に押しつけられ、いわば上下二面を臥床者の坐部と坐部敷具取付部によって強く挟扼された状態にある。上下二面が挟扼される状態は、敷具という用具の性格上必然的に発生するものであるから、当然、上体部敷具や下脚部敷具にも生じている。しかし、坐部敷具の場合には、それが置かれる位置の特性から、脚を動かしたり上体を起したりする臥床者の体位変換によって、その被挟扼状態を軽減または解消することが難しい。そのために、坐部敷具については、臥床者をベッド等上から降ろさずに、その取替えを行うことが困難なのである。また、坐部敷具は、前後二面をそれぞれ密接した下脚部敷具と上体部敷具によって挟扼されており、これも坐部敷具の差替えを妨げる要因となっている。
【0023】
請求項1記載の座部敷具差替えベッド等は、第1運動から第5運動に至る五つの運動を各運動所定の支持板等に行わせることにより、前記の上下二面と前後二面の被挟扼状態を解消し、ベッド等上から臥床者を降ろさずに、簡単に坐部敷具を取替えることができるようにしたものである。即ち先ず、第1運動により、坐部敷具前面に密接した下脚部敷具を上方に離隔して、前後二面の被挟扼状態を解消する。次に、第2運動により、臥床者の脚部を屈曲させつつ大腿部に向かって下脚板を押し進め、下脚部敷具を介して臥床者の下半身が下がらないように支え、その後で第3運動により、坐部板を下方に移動させて上下二面の被挟扼状態を解消し、坐部敷具の差替えを可能にするのである。また、第4運動は、座部板と座部敷具をそれぞれの基本位置に移動させ、第5運動は、下脚板と下脚部敷具をそれぞれの基本位置に移動させるとともに、ベッド等を基本形態に復帰させる。なお、第1運動は、前後二面の被挟扼状態を解消する働きと同時に、仰臥した臥床者の脚を上に押上げて、第2運動に対応し易い体位へ臥床者を誘導する働きを行うものである。
【0024】
請求項2記載の座部敷具差替えベッド等は、上体部即ち座部よりも上の部分を支える支持板である上体板と、坐部即ち脊柱下部から大腿部所定位置までの部分を支える支持板である坐部板と、下脚部即ち坐部より下の部分を支える支持板である下脚板と、を別個に形成し、上体部・坐部・下脚部それぞれの敷具としてそれぞれ所定のサイズ・形状・質を備えた敷具である、上体部敷具と坐部敷具と下脚部敷具とを前記各支持板に装着して使用するベッド等であって、
第1運動、第2運動、第3運動、第4運動、第5運動と称する五つの支持板運動を、各運動所定の支持板等に行わせる運動手段と、
臥床者の身体の下で、坐部敷具をベッド等から取外し、またベッド等に取付けることを、少なくとも前記第3運動が終了した段階において行うことができる、坐部敷具取外し取付け手段と、
臥床者の身体の下から、左方、右方または前方のうち少なくともいずれか一方へ、座部敷具を取出しまた逆に戻入れることを可能にする開口部が、少なくとも前記第3運動が終了した段階において確保される構造と、
を具備するものである。
【0025】
ここでは、ベッド等が通常のベッドとして使用されるときの形態を、そのベッド等の基本形態といい、支持板・敷具等の各部材がベッド等の基本形態において占める位置を、それぞれその部材の基本位置という。また、ベッド等の中心とは、ベッド等が基本形態をとっているときのそのベッド等の中心であり、左右方向とは、ベッド等が基本形態をとっているときのそのベッド等の幅方向であり、前後方向とは、ベッド等が基本形態をとっているときのそのベッド等の長手方向であり、上下方向とは、左右方向の直線と前後方向の直線の両方に対して直角である直線が示す方向である。なお、前方とは前後方向の足側を、後方とは前後方向の頭側を指すが、単に「前方」というとき、それは「真直ぐ前方または斜め前方」を意味する。同様に、後方は「真直ぐ後方または斜め後方」を、上方は「真直ぐ上方または斜め上方」を、下方は「真直ぐ下方または斜め下方」を意味する。
【0026】
また、基本位置にある下脚板と下脚部敷具とをそれぞれ左右方向に投影してなる投影部を一つに合せた形状を甲1、基本位置にある坐部板と坐部敷具とをそれぞれ左右方向に投影してなる投影部を一つに合せた形状を甲2、基本位置にある前記坐部板と前記坐部敷具とをそれぞれ上下方向に投影してなる投影部を重ね合せた形状を乙2と呼ぶ。
【0027】
前記五つの運動のうち、第1運動と第2運動と第5運動では下脚板が移動を行なうが、下脚板は臥床者の下脚部を載せて移動することになるので、移動中に臥床者が無理な姿勢を強いられたり、足が落ちる等の危険があったりしてはならない。そこで、下脚板が移動するこれらの運動では、二つの直方体からなる特定の立体内部を下脚板移動域として、その移動域内を通って下脚板が移動するようにする。
【0028】
下脚板移動域を構成する直方体の一つは、下面と上面がそれぞれ次のような条件を満たす直方体である。下面が満たすべき条件の第一は、ベッド等の中心を通り左右方向に対し直角な平面である、基準平面の上に中心を持つとともに、一辺が左右方向を示し他の一辺が前後方向を示す長方形であり、左右長が下脚板の最大左右長より50ミリ長く前後長が前記下脚板の最大前後長より300ミリ長い長方形であること、である。条件の第二は、前記乙2との間に30ミリの上下方向投影距離がある長方形であること、である。上下方向投影距離とは、上下方向に投影してなる投影部と投影部の間の距離を意味する。条件の第三は、基本位置にある前記座部板の前方に在って、その坐部板の上面より150ミリ下方に位置する長方形であること、である。また、上面の満たすべき条件は、基本位置にある前記座部敷具の上面より250ミリ上方に位置する長方形であること、である。
下脚板移動域を構成するもう一つの直方体は、前面と下面と上面がそれぞれ次のような条件を満たす直方体である。前面の満たすべき条件は、前記基準平面の上に中心を持ち前記直方体の後面に接するとともに、一辺が左右方向を示し、前記直方体の左右長と等しい左右長を持つ長方形であること、である。下面の満たすべき条件は、基本位置にある前記坐部敷具の上面より上方に位置し、300ミリの前後長を持つ長方形であること、である。上面が満たすべき条件は、基本位置にある前記座部敷具の上面よりも150ミリ上方に位置する長方形であること、である。
【0029】
前記五つの運動の詳細は次の通りである。第1運動は、ベッド等が基本形態をとっている状態から、特定の条件を満たしながら、前記下脚板が、先ず前記下脚板移動域内に移動し、次に、少なくとも前記下脚板の後端が前記座部敷具の上方に位置するまで前記下脚板移動域内を通って移動する運動である。ここで、下脚板移動域内を通って前記下脚板が移動するとは、前記下脚板のすべての部分が下脚板移動域内に入っている状態を保ちながら前記下脚板が移動することである。第1運動が満たすべき前記特定の条件の第一は、坐部敷具の差替えを阻害する新たな要因を発生させることなく、前記下脚板が移動することである。ここで座部敷具の差替えとは、臥床者をベッド等上から降ろさずに座部敷具を取替えることである。条件の第二は、基本位置にあるときの前記下脚板の上面において左右方向に並ぶ二つの点を結ぶ線分が左右方向を示す状態を保ちながら、前記下脚板が移動することである。条件の第三は、下脚板が下脚板移動域内に移動する過程では、前記甲1の前記甲2との接触部を前記甲2から前方へ離隔するようにして、前記下脚板が前記下脚板移動域内に移動することである。ここで、甲1の接触部を甲2から前方へ離隔するとは、甲1の接触部が甲2と重なり合うことを避けながら、甲1の接触部を前方へ動かして甲2から離すことを意味する。条件の第四は、少なくとも下脚板後端が座部敷具の上方に位置するまで下脚板移動域内を通って下脚板が移動する過程では、前記甲1が前記甲2から離れた状態を保ちながら、前記下脚板が移動することである。なお、基本位置にある下脚板がはじめから下脚板移動域内に入っている場合の第1運動は、下脚板移動域内に下脚板を移動させる過程を省いたものとなる。即ち、ベッド等が基本形態をとっている状態から、前記条件の第一、第二及び第四を満たしつつ、少なくとも下脚板の後端が座部敷具の上方に位置するまで下脚板が移動する運動となる。
第2運動は、坐部敷具の差替えを阻害する新たな要因を発生させることなく、且つ基本位置にあるときの下脚板上面において左右に並ぶ前記二点を結ぶ線分が左右方向を示す状態を保ちながら、前記下脚板の後部が前記坐部敷具の上方に重なるように、前記下脚板移動域内を通って前記下脚板が後方に移動する、前記第1運動に続く運動である。ここで、第1運動に続く運動とは、第1運動がもたらした作用のうち、本発明の課題解決にとって重要な部分が保持されている状態において開始される運動のことである。
第3運動は、坐部敷具の差替えを阻害する新たな要因を発生させることなく、前記坐部板がその基本位置から下方に移動する、前記第2運動に続く運動である。第2運動に続く運動とは、第1運動から第2運動に至る一連の運動がもたらした作用うち、本発明の課題解決にとって重要な部分が保持されている状態において開始される運動のことであり、以下における同種文言はいずれもこれに準ずる意味を持つ。
第4運動は、座部敷具を装着した状態を維持しながら、前記座部板がその基本位置に移動する、前記第3運動に続く運動である。
第5運動は、基本位置にあるときの下脚板上面において左右に並ぶ前記二点を結ぶ線分が左右方向を示す状態を保ちつつ、前記下脚板移動域内を通って前記下脚板がその基本位置に移動するとともに、ベッド等が基本形態に復帰する、前記第4運動に続く運動である。
【0030】
ベッド等上にいる臥床者の身体の下で坐部敷具をベッド等から取外す方法は、座部敷具だけを座部板から取外す方法でもよいし、座部敷具を座部板ごとベッド等から取外す方法でもよい。しかし、前記二つには、それぞれ長所短所がある。例えば、座部板ごと取外す方法には、敷具の取出しをやり難くする一方で、座部敷具と座部板両方の差替えを可能にするため、敷具開発の自由度を高めるという利点がある。したがって、前記いずれの方法によっても取外せるようにして、状況に応じ使い分けられるようにするのがより望ましいと思われる。なお、座部敷具を座部板ごとベッド等から取外す場合には、座部敷具を座部板ごと取出せる大きさを持つ開口部が、少なくとも前記第3運動が終了した段階において確保される必要がある。
【0031】
ベッド等上に臥床者が仰臥している時、坐部敷具は、臥床者の体重によって下に押しつけられ、いわば上下二面を臥床者の坐部と坐部敷具取付部によって強く挟扼された状態にある。上下二面が挟扼される状態は、敷具という用具の性格上必然的に発生するものであるから、当然、上体部敷具や下脚部敷具にも生じている。しかし、坐部敷具の場合には、それが置かれる位置の特性から、脚を動かしたり上体を起したりする臥床者の体位変換によって、その被挟扼状態を軽減または解消することが難しい。そのために、坐部敷具については、臥床者をベッド等上から降ろさずに、その取替えを行うことが困難なのである。また、坐部敷具は、前後二面をそれぞれ密接した下脚部敷具と上体部敷具によって挟扼されており、これも坐部敷具の差替えを妨げる要因となっている。
【0032】
請求項2記載の座部敷具差替えベッド等は、第1運動から第5運動に至る五つの運動を各運動所定の支持板等に行わせることにより、前記の上下二面と前後二面の被挟扼状態を解消し、ベッド等上から臥床者を降ろさずに、簡単に坐部敷具を取替えることができるようにしたものである。即ち先ず、第1運動により、坐部敷具前面に密接した下脚部敷具を上方に離隔して、前後二面の被挟扼状態を解消する。次に、第2運動により、臥床者の脚部を屈曲させつつ大腿部に向かって下脚板を押し進め、下脚部敷具を介して臥床者の下半身が下がらないように支え、その後で第3運動により、坐部板を下方に移動させて上下二面の被挟扼状態を解消し、坐部敷具の差替えを可能にするのである。また、第4運動は、座部板と座部敷具をそれぞれの基本位置に移動させ、第5運動は、下脚板と下脚部敷具をそれぞれの基本位置に移動させるとともに、ベッド等を基本形態に復帰させる。なお、第1運動は、前後二面の被挟扼状態を解消する働きと同時に、仰臥した臥床者の脚を上に押上げて、第2運動に対応し易い体位へ臥床者を誘導する働きを行うものである。
【0033】
請求項3記載の座部敷具差替えベッド等は、請求項1記載の座部板の上面における前後左右4端部それぞれの示す方向が、前記座部板が基本位置にあるときと同じになるようにして、且つ前記座部板の上面が臥床者座部に直接接触する位置を上限として、請求項1記載の座部板が臥床者座部の方に所望の距離だけ移動する、付加第1運動と、
ベッド等上に仰臥した臥床者が請求項1記載の下脚部敷具に無理なく安全に脚を載せることができる状態を維持しつつ、請求項1記載の下脚板が所望の距離だけ前方に移動する、前記付加第1運動に続く付加第2運動と、
ベッド等上に仰臥した臥床者が前記下脚部敷具に無理なく安全に脚を載せることができる状態を維持しながら、前記下脚板が前記付加第2運動開始時点の位置に復帰する、前記付加第2運動に続く付加第2運動始点復帰運動と、
前記付加第1運動開始時点の状態に復帰する前記座部板等の運動である、前記付加第2運動始点復帰運動に続く付加第1運動始点復帰運動と、を、
請求項1記載の第3運動の終了後であり、且つ請求項1記載の第4運動の開始前である段階において、各運動所定の支持板等に行わせる運動手段を具備した、請求項1記載の坐部敷具差替えベッド等である。
【0034】
請求項4記載の座部敷具差替えベッド等は、請求項2記載の座部板の上面における前後左右4端部それぞれの示す方向が、前記座部板が基本位置にあるときと同じになるようにして、且つ前記座部板の上面が臥床者座部に直接接触する位置を上限として、請求項2記載の座部板が臥床者座部の方に所望の距離だけ移動する、付加第1運動と、
基本位置にあるときの下脚板の上面において左右に並ぶ、請求項2記載の二点を結ぶ線分が左右方向を示す状態を保ちつつ、請求項2記載の下脚板移動域内を通って、請求項2記載の下脚板が所望の距離だけ前方に移動する、前記付加第1運動に続く付加第2運動と、下脚板上面で左右に並ぶ前記二点を結ぶ線分が左右方向を示す状態を保ちながら、前記下脚板移動域内を通って、前記下脚板が前記付加第2運動開始時点の位置に復帰する、前記付加第2運動に続く付加第2運動始点復帰運動と、
前記付加第1運動開始時点の状態に復帰する前記座部板等の運動である、前記付加第2運動始点復帰運動に続く付加第1運動始点復帰運動と、を、
請求項2記載の第3運動の終了後であり、且つ請求項2記載の第4運動の開始前である段階において、各運動所定の支持板等に行わせる運動手段を具備した、請求項2記載の坐部敷具差替えベッド等である。
【0035】
請求項5記載の座部敷具差替えベッド等は、所定の衛生機器・医療機器等を設置するための場所を、請求項1、請求項2、請求項3または請求項4記載の座部板の下方に設けた構造と、前記座部板を取替えることができる構造と、を具備した、請求項1、請求項2、請求項3または請求項4記載の坐部敷具差替えベッド等である。
【0036】
請求項6記載の座部敷具差替えベッド等は、請求項1記載の座部板の上面における前後左右4端部それぞれの示す方向が、前記座部板が基本位置にあるときと同じになるようにして、且つ前記座部板の上面が臥床者座部に直接接触する位置を上限として、請求項1記載の座部板が臥床者座部の方に所望の距離だけ移動する、付加第1運動と、
ベッド等上に仰臥した臥床者が請求項1記載の下脚部敷具に無理なく安全に脚を載せることができる状態を維持しながら、請求項1記載の下脚板の後端と前記座部板の前端との間から臥床者が足を下ろすことができるようになる前方の位置に、請求項1記載の下脚板が移動する、前記付加第1運動に続く付加第2運動と、
前記座部板の上面における前後左右4端部それぞれが示す方向をいずれも変えることなく保ちながら、前記座部板が、所定の位置を下限として所望の距離だけほぼ真直ぐ下方に移動する、前記付加第2運動に続く付加第3運動と、
前記座部板の上面における前後左右4端部それぞれが示す方向をいずれも変えることなく保ちながら、前記座部板がほぼ真直ぐ上方に移動して前記付加第3運動開始時点の位置に復帰する、前記付加第3運動に続く付加第3運動始点復帰運動と、
ベッド等上に仰臥した臥床者が前記下脚部敷具に無理なく安全に脚を載せることができる状態を維持しながら、前記下脚板が前記付加第2運動開始時点の位置に復帰する、前記付加第3運動始点復帰運動に続く付加第2運動始点復帰運動と、
前記付加第1運動開始時点の状態に復帰する前記座部板等の運動である、前記付加第2運動始点復帰運動に続く付加第1運動始点復帰運動と、を、
請求項1記載の第3運動の終了後であり、且つ請求項1記載の第4運動の開始前である段階において、各運動所定の支持板等に行わせる運動手段と、
所定の衛生器機・医療機器等を設置するための場所を前記座部板の下方に設けた構造と、前記座部板を取替えることができる構造と、
前記坐部板の前端下方に、臥床者の足置き場を設けた構造と、
を具備した、請求項1記載の坐部敷具差替えベッド等である。
【0037】
請求項7記載の座部敷具差替えベッド等は、請求項2記載の座部板の上面における前後左右4端部それぞれの示す方向が、前記座部板が基本位置にあるときと同じになるようにして、且つ前記座部板の上面が臥床者座部に直接接触する位置を上限として、請求項2記載の座部板が臥床者座部の方に所望の距離だけ移動する、付加第1運動と、
基本位置にあるときの下脚板の上面において左右に並ぶ、請求項2記載の二点を結ぶ線分が左右方向を示す状態を保ちながら、請求項2記載の下脚板の後端と前記坐部板の前端との間から臥床者が足を下ろすことができるようになる前方の位置に、請求項2記載の下脚板移動域内を通って、請求項2記載の下脚板が移動する、前記付加第1運動に続く付加第2運動と、
前記座部板の上面における前後左右4端部それぞれが示す方向をいずれも変えることなく保ちながら、前記座部板が、所定の位置を下限として所望の距離だけほぼ真直ぐ下方に移動する、前記付加第2運動に続く付加第3運動と、
前記座部板の上面における前後左右4端部それぞれの示す方向をいずれも変えることなく保ちながら、前記座部板がほぼ真直ぐ上方に移動して前記付加第3運動開始時点の位置に復帰する、前記付加第3運動に続く付加第3運動始点復帰運動と、
下脚板上面で左右に並ぶ前記二点を結ぶ線分が左右方向を示す状態を保ちながら、前記下脚板移動域内を通って、前記下脚板が前記付加第2運動開始時点の位置に復帰する、前記付加第3運動始点復帰運動に続く付加第2運動始点復帰運動と、
前記付加第1運動開始時点の状態に復帰する前記座部板等の運動である、前記付加第2運動始点復帰運動に続く付加第1運動始点復帰運動と、を、
請求項2記載の第3運動の終了後であり、且つ請求項2記載の第4運動の開始前である段階において、各運動所定の支持板等に行わせる運動手段と、
所定の衛生器機・医療機器等を設置するための場所を前記座部板の下方に設けた構造と、前記座部板を取替えることができる構造と、
前記坐部板の前端下方に、臥床者の足置き場を設けた構造と、
を具備した、請求項2記載の坐部敷具差替えベッド等である。
【発明の効果】
【0038】
障害を抱える臥床者が必要とする、動作外支援、即ち敷き寝具の清掃や排泄処理といった動作以外の生活上の問題に対する直接的な支援は、種類が多く且つ臥床者の身体状況とともに変化する多様なものである。社会の高齢化が進む中で、動作外支援機構を持つベッドの必要性が高まっているが、従来のベッドは、臥床者が必要とする多様な動作外支援の中のごく限られた一部の支援しか行うことができず、そのために、いずれも実用性に欠けるという弱点を持っている。
【0039】
本発明の座部敷具差替えベッド等では、座部敷具を含むすべての敷具を差替える、即ち臥床者をベッド等上から降ろさずに取替える、ことができる。したがって、動作外支援に必要な機能を持つ各種の敷具を状況に応じ手軽に差替えて使い分けることが可能であり、これによって、臥床者が必要とする多様な動作外支援を広範囲に行うことができる。
【0040】
本発明の座部敷具差替えベッド等は、動作外支援機能を持つ各種の敷具を手軽に差替えて使い分けることを可能にし、これによって、ベッドが本来備えるべき寝具機能を損なうことなく、障害を抱える臥床者が必要とする多様な動作外支援を広範囲に行うことができる、実用性の高い動作外支援機構を持つベッド等を提供するものである。
【0041】
動作外支援は、座部に関係するものが最も多い。したがって座部敷具については、特に色々な種類のものを使用できることが望ましい。請求項3及び請求項4記載の座部敷具差替えベッド等では、第一に、敷具厚が所定より薄い敷具であっても、支障なく使用することができる。また、敷具厚が所定より厚い敷具であっても、前記各請求項に係る第3運動の敷具下降深度による制約の範囲内であれば使用できる。更に、座部板の直使用、即ち敷具を装着していない座部板を敷具の代わりにそのまま使用すること、も可能である。
【0042】
座部板の下方に衛生機器等を設置し、差替えた専用敷具によってその衛生機器等を使用できるようにすると、より効果的な動作外支援を行えるようになる。請求項5記載の座部敷具差替えベッド等は、所定の座部下機器、即ち座部下に設置した所定の衛生機器・医療機器等、を専用敷具によってベッド等上から使用することができるものである。
【0043】
請求項6及び請求項7記載の座部敷具差替えベッド等は、以下に挙げる三つの特性を持つ座部敷具差替えベッド等であって、優れた動作外支援を広範囲に提供できるとともに、健康な時であっても抵抗なく使える便器付きベッド等として、高齢者の健康維持に役立つものである。
【0044】
前記三つの特性の第一は、座部板の直使用、即ち敷具を装着していない座部板を敷具の代わりにそのまま使用すること、ができることである。使用中の座部敷具を他の座部敷具に差替える座部敷具同士の差替え作業と、使用中の座部敷具を座部板の直使用に切替える作業とを比べると、後者の方がはるかに作業が簡単である。前者の場合は、使用中の敷具を抜取ってから他の敷具を差入れなければならないのに対して、後者の場合は、使用中の敷具を完全に抜取る必要はなく、敷具の端部を残した状態のままで、座部板を上げ使用できるからである。特に、ベッド等上に居る臥床者が自分で差替えを行う場合を考えると、両者の作業性の差は、より顕著になる。したがって、座部板の直使用ができるベッド等では、座部下機器使用のための適当な加工を施した座部板を使用することによって、ベッド等上の臥床者が、自分自身の操作で簡単に座部下機器を使うことができる。
前記特性の第二は、臥床者が座部板に腰掛けることができることである。これによって、臥床者は、座部板に腰掛けた姿勢で座部下機器を使用することができる。
前記特性の第三は、所定の範囲内で座部板を下げることができることである。座部下に設置した衛生機器等を使用するための最適位置は、通常、座部板を基本位置から若干下げた所にある。したがって第三の特性により、臥床者は、座部板の高さを調整して座部下の衛生機器等を最適位置で使用することができる。
【0045】
障害が生じた臥床者にとって、生活上の問題の中で特に重要項目というべきものは、敷き寝具の清掃整備・身体状況の各段階における排泄処理・床ずれ防止の三つである。請求項1または請求項2記載の座部敷具差替えベッド等が、前記項目それぞれに対し、具体的にどのような支援を行えるかについて説明する。
【0046】
先ず、敷き寝具の清掃整備に対しては、使用中の汚れた敷具を予め整備しておいた予備敷具と差替える方法によって迅速に対処できる。敷具を整備済みのものと差替えれば、敷具は即座に更新されるので、この支援は非常に効果的である。
【0047】
次に、排泄処理に対する支援であるが、ここでは便宜上、臥床者の身体状況を、失禁の心配がない軽症期と、失禁が常態化した重症期と、両方の中間的状態である中間期の三段階に単純化して説明する。軽症期の排泄処理で問題となるのは、主として排便である。この段階の排尿は、適当な採尿具を使えば、臥床者が寝たままの姿勢で支障なく処理できるのに対して、排便は、ふとんの上で簡易便器を使うような場合、極めて不自然不安定な姿勢を強いられるとともに、便器との接触部が痛い等の問題もあって、臥床者の大きな悩みとなることが多いからである。前記座部敷具差替えベッド等では、例えば図56に示したような敷具を排便時に使用することができる。この敷具は、木製基台Aの上に座席マットBを取付けた本体と、これに着脱自由に組合わせた便器Cからなっており、構造は極めて単純である。しかし、座席部が広く、座部板上に直接設置するため安定度も十分であるから、従来のようにふとんの上で簡易便器を使う場合に比べれば、格段に良好な使用感を臥床者に与えることができる。また、臥床者が敷具上に座った後で基台を高くできるような敷具を使えば、更に使用感を高めることができる。
通常おむつが使用される、重症期の排泄処理では、おむつ交換と下腹部清掃の作業性が実際上の問題になる。前記座部敷具差替えベッド等では、座部敷具差替え時におけるベッド等の動きとそれに伴う臥床者の体位変動(図19、図35等)を利用することによって、おむつ交換を容易に行うことができる。また、この時に、適当な受け皿を座部下に置くようにすれば、下腹部清掃も容易に処理できる。
中間期は、失禁の可能性が出てくるとともに、排尿処理も、軽症期のような方法では、失敗する場合が多くなる段階である。従来型のベッドでは、寝具、中でも敷具の、排泄汚れを避けるために、おむつ使用を早くから始める傾向がある。しかし、おむつの着用は、臥床者にかなりの精神的苦痛を与えるものであるから、その着用は、最小限度の期間に止めることが望ましい。前記座部敷具差替えベッド等では、敷具の清掃整備が基本的に簡単であり、また、例えば図57に示したような敷具を使うこともできるので、おむつよりも軽装備の、簡単な失禁用下着を着用するだけで済ますことが可能である。図57に示した敷具は、防水対策を施した基台マットDと、その上に取付けた5枚の上敷きEと、基台マットの切込み部に組合わせるように配置した中マットFからなるものであって、上敷きと中マットはともに着脱自由である。この敷具では、中マットを取除き、そこに図56に示すような便器を置いて使用することもできる。また、基台マット切込み部周辺の上敷きと中マットに、吸水力のある使い捨てシートを取付ければ、多くの場合、失禁等による敷具の汚れをシートの取替えだけで処理することができ、敷具自体の取替えが不要になる。
なお、図56や図57の敷具は、説明の便宜上示した、ごく単純素朴な参考モデルに過ぎないのであって、実際には、より利便性の高い敷具を選択使用することができる。
【0048】
最後は、床ずれ予防に対する支援についてである。床ずれを予防するには、身体の圧迫箇所が固定化しないようにすること、汗・尿・便による汚れや過度の湿り気から皮膚を守ること等の対策を総合的に行うことが必要である。前記座部敷具差替えベッド等では、既存する各種の床ずれ防止マットを適宜使い分けることによって、圧迫箇所の固定化を防ぐことができる。また、座部敷具差替え時におけるベッドの動きを利用して、圧迫箇所が固定化しないように、臥床者の体位変換を図ることも可能である。また、汗・尿・便による汚れや過度の湿り気が最も生じ易いのは、座部周辺であるが、前記座部敷具差替えベッド等では、座部敷具差替え時におけるベッド等の動きとそれに伴う臥床者の体位変動を利用することによって、臥床者の座部周辺を清潔に保つよう処置することが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】第一実施形態の全体斜視図
【図2】第一実施形態における各脚体の不動部分を示す斜視図
【図3】第一実施形態における各脚体の作動部分と原動体を示す斜視図
【図4】第一実施形態における座部・下脚部駆動装置を示す斜視図
【図5】第一実施形態における各支持板を示す斜視図
【図6】第一実施形態における下脚部脚体を示す側面図
【図7】第一実施形態における下脚部脚体の作動部分を示す正面図
【図8】第一実施形態における座部脚体を示す側面図
【図9】第一実施形態における下脚部脚体の回動板を示す斜視図。左右回動板の間隔は便宜上変更している。
【図10】前記脚体の動脚を示す斜視図。左右動脚の間隔は便宜上変更している。
【図11】前記脚体の回動アームを示す斜視図。左右回動アームの間隔は便宜上変更している。
【図12】下脚板固定装置を取除いた第一実施形態の下脚板側端部を示す斜視図
【図13】前記下脚板固定装置を示す斜視図
【図14】前記下脚板固定装置を示す別視点からの斜視図
【図15】〜
【図23】第一実施形態における各支持板の動きを示す説明図。説明に不要な部分は省略している。
【図24】第二実施形態の全体斜視図
【図25】第二実施形態における各脚体の不動部分を示す斜視図
【図26】第二実施形態における各脚体の作動部分と原動体を示す斜視図
【図27】第二実施形態における各支持板を示す斜視図
【図28】第二実施形態における下脚部脚体を示す斜視図
【図29】第二実施形態における下脚部脚体を示す側面図
【図30】第二実施形態における座部脚体を示す側面図
【図31】第二実施形態における下脚板下面と下脚板ストッパーを示す斜視図。下脚板ストッパー関係は、4倍に拡大して表示している。
【図32】〜
【図39】第二実施形態における各支持板の動きを示す説明図。説明に不要な部分は省略している。
【図40】第三実施形態の敷具装着前における全体斜視図
【図41】第三実施形態における各脚体の不動部分を示す斜視図
【図42】第三実施形態における下脚部脚体の作動部分と駆動装置を示す斜視図
【図43】第三実施形態における座部脚体の作動部分と主脚板を示す斜視図
【図44】前記座部脚体の作動部分を示す下方からの斜視図。
【図45】座部板を引下げた時の前記座部脚体作動部分と主脚板を示す斜視図
【図46】〜
【図50】第三実施形態における各支持板の動きを示す説明図。説明に不要な部分は省略している。
【図51】第四実施形態の敷具装着前における全体斜視図
【図52】第四実施形態における各脚体の作動部分と原動体を示す斜視図
【図53】第四実施形態における下脚板の側面図
【図54】〜
【図55】第四実施形態における各支持板の動きを示す説明図。説明に不要な部分は省略している。
【図56】敷具参考モデルの斜視図
【図57】もう一つの敷具参考モデルの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0050】
第一実施形態について、図1〜図14により説明する。第一実施形態は、基板1aと、基板1aの上に設けた上体部脚体1cと座部脚体1dと下脚部脚体1gと、前記各脚体の上端部に取付けた上体板1kと座部板1mと下脚板1nと、前記各支持板の上に取付けた上体部敷具1pと座部敷具1qと下脚部敷具1rと、座部脚体1d及び下脚部脚体1gを動かす駆動装置1tと、からなる。各脚体は、各一対の基脚とそれに取付けた部材とで構成されるが、各基脚は、いずれも基板1aの左右両側部から上方に向けて直角方向に接続し、基板に固着している。上体部脚体1cは、上体部基脚110と、上体部基脚110の上部に固着した上体板受け120とからなり、座部脚体1dは、座部基脚130と、昇降自由に前記座部基脚に取付けた昇降板140と、からなる。昇降板140は、外面下部に従動子141を備えている。下脚部脚体1gは、下脚部基脚150と、回動板160と、動脚170と、回動アーム180と、連結体190と、からなる。回動板160は、図9に示す通り従動子161と動脚操作子162とを備え、軸151により下脚部基脚150の内方面に枢着している。動脚170は、図10の通り、動脚材171と172と173とで構成され、動脚材173は、軸174と175により動脚材171と172の上端部に枢着している。また、動脚材171と172の下端部は軸152と153により下脚部基脚150の外方面に枢着している。動脚材173の下脚板支持面は基板1aに平行であり、4つの軸152、153、174及び175は、一辺が基板1aに平行な平行四辺形をなす。回動アーム180は、図11の通り、アーム前部車輪184と、下脚板つなぎ手受け部182と、下脚板固定子穴183を備える。回動アーム180は、軸181により動脚材173に枢着し、一対の連結体脚191を備えた連結体190によって左右アームが結合し一体化している。上体板1k及び下脚板1nは、それぞれ支持板本体と敷具当て板とによって構成される。上体板1kと座部板1mは、その支持面に対して平行方向には動かないが直角方向に持上げれば簡単に外れるような取付手段によって、それぞれの脚体に取付けている。下脚板1nは、左右一対のつなぎ手231をつなぎ手受け部182にそれぞれ通すようにして、回動アーム180に取付けている。下脚板1nは、左右側端部に車輪232と下脚板固定装置を備える。前記下脚板固定装置は、図13及び図14に示す通り、下脚板固定子234と、引手235と、引手支持体236と、支持体236を後方に付勢するバネ237と、で構成されている。装置収納部の側壁に枢着した固定子234の爪部が回動アームの固定子穴183に落ちているときは、引手支持体236の後端が固定子234を上から押さえるので、下脚板1nは動かない。一方、この固定状態から引手235を前方に動かすと、引手支持体236が前方に移動して固定子234の上部を解放するので、固定子234は回動可能となり、下脚板1nは前方に動くようになる。したがって、引手235を前方に引けば下脚板1nは前方に移動し、引手235を後方に引いて下脚板1nを所定位置に戻せば下脚板1nは固定する。引手235の操作は、例えば左右引手に掛け渡した引き紐等で行う。引手に掛け渡した引き紐は、座部敷具差替え時の掛具処理手段として使うこともできる。上体部敷具1p、座部敷具1q及び下脚部敷具1rの取付け手段は、通常、面ファスナーである。もし、敷具が特殊であって面ファスナーの使用が適さない場合は、座部板や当て板を交換する等の方法により対応する。座部板1m、当て板210及び当て板240は、いずれも簡単に差替えを行うことができる。なお、座部敷具1qは臥床者の座部下で取付け取外しを行う必要があるので、座部敷具取付け手段は敷具差替え側だけに設ける。座部敷具は前後を他の敷具に挟まれておりもともと動き難い状態にあるため、こうした取付け方法で問題を生じることはない。駆動装置1tは、図3及び図4に示す通り、280を動力源とする左右一対のネジ軸270それぞれに、螺合した走行子260を介して原動体250を取付け、ネジ軸の回転による原動体250の前進後進によって従動子161と従動子141を駆動させるものである。原動体250は内側の面に従動子141用のカム溝251を備え、底面には車輪を備えている。
【0051】
第一実施形態における支持板の動きを図15〜図23により説明する。図15は基本形態を示す。原動体250を図15の位置より前進させると、従動子161が原動体前端面に押されて回動板160が回り、回動板上面が連結体脚191を押上げる。これによって回動アーム180は軸181を中心として後部を上げるように回動し、下脚板1nも同様の動きを行い、図16に示す位置に至る。これが第一実施形態における第1運動である。原動体250を更に前進させると、動脚操作子162により動脚170が作動して、動脚材173が後側斜上方に移動するとともに、回動アーム180は軸181を中心として後部を下げるように回動する。アームの回動は図17の状態で停止するが、動脚材173は移動を続け、図18の位置に至る。この一連の動きによって、下脚板1nも図17の位置を経て図18の位置に至る。これが第2運動である。原動体250を図18の位置より前進させると、下脚板1nは動かず、従動子141がカム溝に沿って動き昇降板140が下降する。これによって、座部板1mは下方に移動して図19に示す位置に至る。これが第3運動であり、座部敷具の差替えはこの状態において行う。図19に示す位置から原動体250を後進させると、座部板1mは前記第3運動の動きを逆に辿って図18の位置に至る。これが第4運動である。更に原動体250を後進させ図15の位置まで戻すと、下脚板1nは、第2運動と第1運動の動きを逆に辿って図15に示す位置まで戻る。これが第5運動である。
一方、図19に示す位置より原動体250を前進させると、昇降板140は上昇して座部板1mも上方に移動する。これが付加第1運動である。昇降板の上昇限度は、座部板1mの上面が直接臥床者座部に接触する図20の位置であり、この位置まで昇降板を上げることによって座部板の直使用が可能になる。付加第1運動を終了した段階で引手235を前方に引くと、下脚板1nは前方に移動する。これが付加第2運動である。下脚板1nが前方に移動し図21で示す位置に達すると、重心が軸181の前方に移って、下脚板1nは後端部を上げながら回動し図22の状態に至る。但し、下脚板の後部を押さえる等の操作をすれば、下脚板を回動させず図21の状態にとどめることも可能である。図22の段階では、臥床者が座部板1mに腰掛けることが可能になる。図22の状態において、原動体250を図19の位置までを限度として後進させると、座部板1mは下方に移動する。これが付加第3運動である。図23は、座部板が最低位置まで移動した状態を示す。付加第3運動が終了した段階で原動体250を付加第3運動開始時の位置まで前進させると、座部板1mは付加第3運動の動きを逆に辿り付加第3運動開始時の位置に戻る。これが付加第3運動始点復帰運動である。前記復帰運動が終了した段階で手動により下脚板1nを図21の状態に戻し、続いて引手235を後方に引くと、下脚板1nは付加第2運動開始時の位置に戻って固定する。これが、付加第2運動始点復帰運動である。原動体250を付加第2運動開始時の位置から付加第1運動開始時の位置まで後進させると、座部板1mは下方に移動して図19の位置に戻る。これが付加第1運動始点復帰運動である。
【0052】
第二実施形態について図24〜図31により説明する。第二実施形態は、基板2aと、基板2aの上に設けた上体部脚体2cと座部脚体2dと下脚部脚体2gと、前記各脚体の上端部に取付けた上体板2kと座部板2mと下脚板2nと、前記各支持板の上に取付けた上体部敷具2pと座部敷具2qと下脚部敷具2rと、座部脚体2d及び下脚部脚体2gを動かす駆動装置2tと、からなる。各脚体は、各一対の基脚とそれに取付けた部材とで構成されるが、各基脚は、いずれも基板2aの左右両側部から上方に向けて直角方向に接続し、基板に固着している。上体部脚体2cは、上体部基脚300と、上体部基脚300の上部に固着した上体板受け310とからなり、座部脚体2dは、座部基脚320と、昇降自由に前記座部基脚に取付けた昇降板330と、からなる。昇降板330は、外面下部に従動子331を備えている。下脚部脚体2gは、左右各一対の外脚341と内脚342で構成される下脚部基脚340と、回動板360と、動脚370と、連結体380と、からなる。回動板360は、軸361により内脚342に枢着し、従動子362と動脚操作子363を備えている。動脚370は、動脚材371と372と373とで構成され、動脚材373は、軸374と375により動脚材371と372の上端部に枢着している。また、動脚材371と372の下端部は、軸343と344により外脚341に枢着している。動脚材373の下脚板支持面は、基板2aに平行であり、4つの軸343、344、374及び375は、一辺が基板2aに平行な平行四辺形をなす。動脚材373は、連結体380によって左右が結合し一体化しており、その左右いずれか一方に下脚板ストッパー390を備えている。上体板2k及び下脚板2nは、それぞれ支持板本体と敷具当て板とによって構成される。上体板2kと座部板2mは、その支持面に対して平行方向には動かないが直角方向に持上げれば簡単に外れるような取付手段によって、それぞれの脚体に取付けている。下脚板2nは、動脚材373の下脚板受け部376に左右側端部を通すようにして取付けている。下脚板2nは、連結体380上の下部支持車381と下脚板受け部376の上部支持車378とによって、上下を挟まれるように支持されており、円滑に前後方向に移動できる。下脚板ストッパー390は、下脚板固定子391と、操作子支持体393と、支持体393に枢着し内面の突片を介してバネにより固定子391を上方に付勢する操作子392と、により構成され、固定子391の頭部を固定子受け431に挿入して下脚板2nを所定の位置で固定する一方、操作子392によって固定子391を引下げれば固定状態を解除する。固定子391を引下げるには、操作子392の前端部を下げるように手動で操作する。上体部敷具2p、座部敷具2q及び下脚部敷具2rの取付け手段は、通常、面ファスナーである。もし、敷具が特殊であって面ファスナーの使用が適さない場合には、座部板や当て板を交換する等の方法により対応する。座部板2m、当て板410及び440は、いずれも簡単に差替えることができる。なお、座部敷具2qは臥床者の座部下で取付け取外しを行う必要があるので、座部敷具取付け手段は敷具差替え側だけに設ける。座部敷具は前後を他の敷具に挟まれており、もともと動き難い状態にあるため、こうした取付け方法でも問題を生じることはない。駆動装置2tは、480を動力源とする一対のネジ軸470それぞれに、螺合した走行子460を介して原動体450を取付け、ネジ軸470の回転による原動体450の前進後進によって従動子362及び従動子331を駆動させるものである。なお、原動体450は、内側の面に従動子331用のカム溝451を備え、底面には車輪を備えている。
【0053】
第二実施形態における支持板の動きを図32〜図39により説明する。図32は基本形態を示す。原動体450を図32の位置より前進させると、従動子362が原動体前端面に押されて回動板360が回り、その結果、動脚操作子363が動脚材371を押上げるようにして動脚370を作動させる。動脚370の作動とともに、動脚材373は前側斜上方に移動し、下脚板2nも同様に動いて図33の位置に至る。これが、第二実施形態における第1運動である。第1運動終了後に、下脚板ストッパー390の手動操作により下脚板2nの固定状態を解除して下脚板の引手433を後方に引くと、下脚板2nは後方に移動して図34の位置に至る。これが第2運動である。引手433の操作は、例えば、左右引手に掛け渡した引き紐等で行う。引手に掛け渡した引き紐は、座部敷具差替え時の掛具処理手段として使うこともできる。第2運動終了後に、原動体450を図34の位置より前進させると、下脚板2nは動かず、従動子331がカム溝に沿って動き昇降板330が下降する。これによって、座部板2mは下方に移動して図35に示す位置に至る。これが第3運動であり、座部敷具の差替えはこの状態において行う。第3運動終了後に、原動体450を図35の位置から図34に示す位置まで後進させると、座部板2mは前記第3運動の動きを逆に辿って図34の位置に至る。これが第4運動である。第4運動の終了後に、引手433を前方に引くと、下脚板2nは第2運動の動きを逆に辿って図33の位置に戻り、そこで固定する。その後、原動体450を後進させて図32の位置まで戻すと、下脚板2nは、図32の位置に復帰する。これが第5運動である。
一方、図35に示す位置より原動体450を前進させると、昇降板330は上昇し、座部板2mも上方に移動する。これが付加第1運動である。昇降板の上昇限度は、座部板2mの上面が直接臥床者座部に接触する図36の位置であり、この位置まで昇降板を上げることによって座部板の直使用が可能になる。付加第1運動を終了した段階で引手433を前方に引くと、下脚板2nは前方に移動する。これが付加第2運動である。下脚板2nは、前方に移動する途中、図37の位置で一旦固定するが、ストッパー390の操作により固定状態を解除し更に前方に移動すれば図38の位置に至る。図38の段階では、臥床者が座部板2mに腰掛けることが可能になる。図38の状態において、原動体450を図35に示す位置までを限度として後進させると、座部板2mは下方に移動する。これが付加第3運動である。図39は、座部板が最低位置まで移動した状態を示す。付加第3運動が終了した段階で、原動体450を付加第3運動開始時の位置まで前進させると、座部板2mは付加第3運動の動きを逆に辿り付加第3運動開始時の位置に戻る。これが付加第3運動始点復帰運動である。前記復帰運動終了後に、引手433を後方に引き、途中でストッパー390を操作し更に引けば、下脚板2nは、後方に移動して付加第2運動開始時の位置に戻る。これが、付加第2運動始点復帰運動である。原動体450を付加第2運動開始時の位置から付加第1運動開始時の位置まで後進させると、座部板2mは下方に移動して図35の位置に戻る。これが付加第1運動始点復帰運動である。
【0054】
第三実施形態について図40〜図45により説明する。第三実施形態は、基板3aと、基板3aの上に設けた上体部脚体3cと座部脚体3dと下脚部脚体3gと、前記各脚体の上端部に取付けた上体板3kと座部板3mと下脚板3nと、前記各支持板の上に取付けた上体部敷具3pと座部敷具3qと下脚部敷具3rと、下脚部脚体3gの駆動装置3vと、からなる。各脚体は、各一対の基脚とそれに取付けた部材とで構成されるが、各基脚は、いずれも基板3aの左右両側部から上方に向け直角方向に接続し、基板に固着している。上体部脚体3cは、上体部基脚500と、上体部基脚500の上部に固着した上体板受け510とからなる。座部脚体3dは左右で構造が異なっている。一方の連結側は、座部基脚520と、連結側主脚板530と、連結脚532と、連結側座部板受け535とからなる。主脚板530は、外側の面に連結脚支持枠531を備える。前後一対の連結脚532は、下端部が軸533により支持枠531の内側に枢着し、上端部が軸534により座部板受け535に枢着している。座部板受け535ははボルトで座部板3mの下面に固着しているため、連結側では、座部板3mと脚体が繋がる構造となっている。また連結側脚体は、支持枠531の左右方向側板に連結脚532の上部を当接させ且つ座部板受け535の上面を基板3aに対して平行にすると、座部板3mをちょうどそれの基本位置において支持できるように構成されている。もう一方の引下げ側脚体は、座部基脚520と、板止め受け542を持つ操作板支持体541を備えた引下げ側主脚板540と、操作板支持体541を介して主脚板540に上下移動自由に取付けた操作板550と、からなる。引下げ側脚体は座部板3mと分離している。また、引下げ側脚体は、板止め553を板止め受け542の上に乗せ、且つ座部板下面の固定足621を操作板550の内面に当接させると、操作板上端が座部板3mをちょうどその基本位置で支持するように構成されている。なお、前後一対の板止め553は板止め支持体552に固着し、板止め支持体552は操作板550に枢着している。また、主脚板530及び540は、それぞれ座部基脚520に取外し可能に取付けられている。下脚部脚体3gは、下脚部基脚560と、動脚570と、連結体580と、からなる。動脚570は、動脚材571と572と573で構成され、動脚材573の下脚板支持面は基板3aに平行である。動脚材571の下端は、下脚部基脚560に設けた横長の透孔部を通る部材562によって原動体650に枢着し、原動体650の動きに従い前後方向に移動自由である。一方、571上端は部材574により動脚材573に枢着する。動脚材572の下端は、部材563により基脚560に枢着し、572上端は、動脚材573の透孔部569に部材575により前後動・回動自由に取付けられている。動脚材571と572とは、部材576によって互いに回動できるように中央で拘束され、また、4つの部材562、563、574及び575は、一辺が基板3aに平行であり且つ内角すべてが直角である四辺形をなす。動脚材573は、連結体580によって左右が結合し一体化しており、その左右いずれか一方に下脚板ストッパー590を備えている。上体板3k及び下脚板3nは、それぞれ支持板本体と敷具当て板とによって構成される。上体板3kは、その支持面に対して平行方向には動かないが直角方向に持上げれば簡単に外れるように脚体に取付けている。座部板3mは、連結側では脚体と離れないように連結する一方、引下げ側では固定足621を当接させて操作板上端に乗っているだけである。下脚板3nは、動脚材573の下脚板受け部577に左右側端部を通すようにして取付けている。下脚板3nは、連結体580上の下部支持車581と下脚板受け部577の上部支持車579とによって、上下を挟まれるように支持されており、円滑に前後方向に移動する。下脚板ストッパー590は、下脚板固定子591と、操作子支持体593と、支持体593に枢着し内面の突片を介してバネにより固定子591を上方に付勢する操作子592と、により構成され、固定子591の頭部を固定子受け631に挿入して下脚板3nを所定の位置で固定する一方、操作子592により固定子591を引下げれば固定状態を解除する。固定子591を引下げるには、操作子592の前端部を下げるように手動で操作する。上体部敷具3p、座部敷具3q及び下脚部敷具3rの取付け手段は、通常、面ファスナーである。もし敷具が特殊であって面ファスナーの使用が適さない場合は、座部板や当て板を交換する等の方法で対応する。なお、座部敷具3qは臥床者の座部下で取付け取外しを行う必要があるので、座部敷具取付け手段は敷具差替え側だけに設ける。座部敷具は前後を他の敷具に挟まれて動き難い状態にあるため、こうした取付け方法であっても問題を生じることはない。駆動装置3vは、670を動力源としたネジ輪660の回転による原動体650の前進後進によって、動脚570を駆動させるものである。原動体650は、動脚材571が枢着する左右一対の動脚連結部652と、前記左右連結部を結合して一体化する中央部651とで構成され、中央部にはネジ軸用ネジが形成されている。
【0055】
第三実施形態における支持板の動きを図46〜図50により説明する。図46は基本形態を示す。操作子592の操作により下脚板3nの固定状態を解除した後で引手633を前方に引くと、下脚板3nは前方に移動する。下脚板3nが図47の位置まで移動した段階で原動体650を前進させると、動脚570が動いて動脚材573が上昇する。動脚材573の上昇とともに、下脚板3nも上方に移動して図48の位置に至る。図47の位置を経て図48の位置に至る下脚板3nの動きが、第三実施形態における第1運動である。第1運動終了後に引手633を後方に引き、途中で操作子592を操作して更に引けば、下脚板3nは後方に移動して図49の位置に至る。これが第2運動である。第2運動の終了後に、座部の引下げ側操作板550を下に下げてから座部板を引下げ側の方に引くと、座部板3mは、引下げ側に突出るようにしながら斜下方に移動して図50の位置に至る。これが第3運動であり、座部敷具の差替えはこの状態において行う。なお、操作板550を下げるには、板止め支持体552を手動で回動させ板止め553を板止め受け542から外せばよい。第3運動の終了後に、座部板を連結側の方に押して連結脚支持枠531の側板に連結脚532の上部を当接させた上で、操作板550を引き上げ板止め553を板止め受け542に乗せると、座部板3mは図49の位置に戻る。これが第4運動である。第4運動の終了後に、先ず引手633を前方に引いて下脚板を図48の位置に移動させ、次に原動体650を図46の位置まで後進させ、最後に引手633により下脚板を引き戻すと、下脚板3nは第2運動と第1運動の動きを逆に辿って図46の位置に復帰する。これが第5運動である。
【0056】
第四実施形態について図51〜図53により説明する。第四実施形態は、基板4aと、基板4aの上に設けた上体部脚体4cと座部脚体4dと下脚部脚体4gと、前記各脚体の上端部に取付けた上体板4kと座部板4mと下脚板4nと、前記各支持板の上に取付けた上体部敷具4pと座部敷具4qと下脚部敷具4rと、座部脚体4dを動かす駆動装置4wと下脚部脚体4gを動かす駆動装置4vと、からなる。各脚体は、各一対の基脚とそれに取付けた部材とで構成されるが、各基脚は、いずれも基板4aの左右両側部から上方に向けて直角方向に接続し、基板に固着している。上体部脚体4cは、上体部基脚700と、上体部基脚700の上部に固着した上体板受け710とからなり、座部脚体4dは、座部基脚720と、昇降自由に座部基脚に取付けた昇降板730とからなる。昇降板730は外面下部に従動子731を備える。下脚部脚体4gは、下脚部基脚740と、動脚750と、連結体760と、からなる。動脚750は、動脚材751と752と753で構成され、動脚材753の下脚板支持面は基板4aに平行である。動脚材751の下端は、下脚部基脚740に設けた横長の透孔部を通る部材742によって原動体820に枢着し、前記原動体の動きに従い前後方向に移動自由である。一方、751上端は部材754により動脚材753に枢着している。動脚材752の下端は部材743により基脚740に枢着し、752上端は動脚材753の透孔部749に部材755により前後動・回動自由に取付けられている。動脚材751と752とは、部材756によって互いに回動できるように中央で拘束され、また、4つの部材742、743、754及び755は、一辺が基板4aに平行であり且つ内角すべてが直角である四辺形をなす。動脚材753は、後部車輪758と、下脚板つなぎ手受け部757を備え、連結体760により左右が結合し一体化している。上体板4k及び下脚板4nは、それぞれ支持板本体と敷具当て板とによって構成される。上体板4kと座部板4mは、その支持面に対して平行方向には動かないが直角方向に持上げれば簡単に外れるような取付手段によって、各脚体に取付けている。下脚板4nは、左右一対のつなぎ手801をつなぎ手受け部757にそれぞれ通すようにして動脚材753に取付けている。下脚板4nは左右側端部に、車輪802と、引手803と、下脚板固定装置と、を備えている。前記下脚板固定装置は、下脚板固定子805と、固定子操作体807と、固定子805を下方に付勢するバネ806と、操作体807を後方に付勢するバネ808と、からなる。下脚板4nと座部板4mがともに基本位置にあるときには、図53のように固定子805を下げることにより下脚板4nを固定することができる。なお、固定子を上げるときは固定子を手で直接押上げ、下げるときは操作体807を前方に動かす。上体部敷具4p、座部敷具4q及び下脚部敷具4rの取付け手段は、通常面ファスナーである。もし、敷具が特殊であって面ファスナーの使用が適さない場合は、座部板や当て板を交換する等の方法で対応する。座部板4m、当て板780及び810はいずれも簡単に差替えることができる。なお、座部敷具4qは臥床者の座部下で取付け取外しを行う必要があるので、座部敷具取付け手段は敷具差替え側だけに設ける。座部敷具は前後を他の敷具に挟まれて動き難い状態にあるため、こうした取付け方法であっても問題を生じることはない。駆動装置4wは、880を動力源とする一対のネジ軸870それぞれに、螺合した走行子860を介して原動体850を取付け、ネジ軸870の回転による原動体850の前進後進によって従動子731を駆動させるものである。原動体850は、内側の面に従動子731用のカム溝851を備え、底面には車輪を備えている。駆動装置4vは、ネジ軸の回転による原動体820の前進後進によって動脚750を駆動させるものである。原動体820は、動脚材751が枢着する左右一対の動脚連結部と、前記左右連結部を結合して一体化する中央部とで構成され、中央部にはネジ軸用ネジが形成されている。なお、駆動装置4vは、第三実施形態の駆動装置3vと同じ構造である。
【0057】
第四実施形態の第1運動、第2運動及び第5運動は、前記運動それぞれに対応する第三実施形態の運動とほぼ同じである。図54は、第四実施形態の基本形態を示している。第2運動の終了後に原動体850を図54が示す位置から後進させると、座部板4mは下方に移動して図55の位置に至る。これが第四実施形態における第3運動である。また、第3運動の終了後に原動体850を元の位置まで前進させると、座部板4mは第3運動の動きを逆に辿って基本位置に戻る。これが第4運動である。
なお説明を省くが、第四実施形態は、下脚板4nの前後動機構と駆動装置4wによって、第一実施形態や第二実施形態と同様に、付加第1運動から付加第3運動を経て付加第1運動始点復帰運動に至る一連の六つの付加運動を行うことができる。
【符号の説明】
【0058】
1a,2a,3a,4a 基板
1c,2c,3c,4c 上体部脚体
1d,2d,3d,4d 座部脚体
1g,2g,3g,4g 下脚部脚体
1k,2k,3k,4k 上体板
1m,2m,3m,4m 座部板
1n,2n,3n,4n 下脚板
1p,2p,3p,4p 上体部敷具
1q,2q,3q,4q 座部敷具
1r,2r,3r,4r 下脚部敷具
1t,2t 座部・下脚部駆動装置
3v,4v 下脚部駆動装置
4w 座部駆動装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上体部の支持板である上体板と坐部の支持板である坐部板と下脚部の支持板である下脚板とを別個に形成し、上体部・坐部・下脚部それぞれの敷具としてそれぞれ所定のサイズ・形状・質を備えた敷具である、上体部敷具と坐部敷具と下脚部敷具とを前記各支持板に装着して使用するベッド等であって、
ベッド等が基本形態をとっている状態から、坐部敷具の差替えを阻害する新たな要因を発生させることなく、且つベッド等上に仰臥した臥床者が下脚部敷具に脚を載せることができる状態を維持しながら、少なくとも下脚板の後端が基本位置にある座部敷具の上方に位置するようになるまで、前記下脚板が移動する、第1運動と、
前記坐部敷具の差替えを阻害する新たな要因を発生させることなく、且つベッド等上に仰臥した臥床者が前記下脚部敷具に脚を載せることができる状態を維持しながら、前記下脚板の後部が基本位置にある前記坐部敷具の上方に間隔をあけて重なるように、前記下脚板が後方に移動する、前記第1運動に続く第2運動と、
前記坐部敷具の差替えを阻害する新たな要因を発生させることなく、坐部板がその基本位置から下方に移動する、前記第2運動に続く第3運動と、
座部敷具を装着した状態で前記座部板がその基本位置に移動する、前記第3運動に続く第4運動と、
ベッド等上に仰臥した臥床者が前記下脚部敷具に脚を載せることができる状態を維持しながら、前記下脚板がその基本位置に移動するとともに、ベッド等が基本形態に復帰する、前記第4運動に続く第5運動と、を各運動所定の支持板等に行わせる運動手段と、
臥床者の身体の下で、坐部敷具をベッド等から取外し、またベッド等に取付けることを、少なくとも前記第3運動が終了した段階において行うことができる、坐部敷具取外し取付け手段と、
臥床者の身体の下から、左方、右方または前方のうち少なくともいずれか一方へ、座部敷具を取出しまた逆に戻入れることを可能にする開口部が、少なくとも前記第3運動が終了した段階において確保される構造と、
を具備し、
前記運動手段による前記第1運動は、ベッド等上に臥床者が仰臥した状態において、坐部敷具前面に密接する下脚部敷具を臥床者の脚を押上げつつ上方に離隔することによって、坐部敷具の前後二面が下脚部敷具と上体部敷具とにより挟扼されている状態を解消するとともに、第2運動に対応し易い体位へ臥床者を誘導し、前記第2運動は、臥床者の脚部を屈曲させながら大腿部に向かって下脚板を押し進め、下脚部敷具を介して臥床者の下半身を下から支え、前記第3運動は、坐部板を下方に移動させることによって、坐部敷具の上下二面が臥床者座部と坐部敷具取付け部とにより挟扼されている状態を解消して座部敷具の差替えを可能とし、前記第4運動は、座部板と座部敷具とをそれぞれの基本位置に移動させ、前記第5運動は、下脚板と下脚部敷具とをそれぞれの基本位置に移動させるとともに、ベッド等を基本形態に復帰させる、坐部敷具差替えベッド等。
【請求項2】
上体部の支持板である上体板と坐部の支持板である坐部板と下脚部の支持板である下脚板とを別個に形成し、上体部・坐部・下脚部それぞれの敷具としてそれぞれ所定のサイズ・形状・質を備えた敷具である、上体部敷具と坐部敷具と下脚部敷具とを前記各支持板に装着して使用するベッド等であって、
基本位置にある下脚板と下脚部敷具とをそれぞれ左右方向に投影してなる投影部を一つに合せた形状を甲1とし、基本位置にある座部板と座部敷具とをそれぞれ左右方向に投影してなる投影部を一つに合せた形状を甲2とし、基本位置にある前記座部板と前記座部敷具とをそれぞれ上下方向に投影してなる投影部を重ね合せた形状を乙2とし、
更に、基準平面、即ちベッド等の中心を通り左右方向に対し直角である平面の上に中心を持つとともに一辺が左右方向を示し他の一辺が前後方向を示す長方形であり、左右長が前記下脚板の最大左右長より50ミリ長く前後長が前記下脚板の最大前後長より300ミリ長い長方形であり、前記乙2との間に30ミリの上下方向投影距離がある長方形であり、且つ基本位置にある前記座部板の前方にあってその坐部板の上面より150ミリ下方に位置する長方形である、という条件を備えた長方形を下面とし、基本位置にある前記座部敷具の上面より250ミリ上方に位置する長方形を上面とする、直方体と、
前記基準平面上に中心を持ち前記直方体の後面に接するとともに一辺が左右方向を示し、前記直方体の左右長と等しい左右長を持つ長方形を前面とし、基本位置にある前記坐部敷具の上面よりも上方に位置するとともに300ミリの前後長を持つ長方形を下面とし、且つ基本位置にある前記座部敷具の上面よりも150ミリ上方に位置する長方形を上面とする、直方体と、によって構成される立体の内部を下脚板移動域として、
ベッド等が基本形態をとっている状態から、坐部敷具の差替えを阻害する新たな要因を発生させることなく、且つ基本位置にあるときの前記下脚板の上面において左右方向に並ぶ二つの点を結ぶ線分が左右方向を示す状態を保ちながら、前記下脚板が、先ず、前記甲1の前記甲2との接触部を前記甲2から真直ぐ前へまたは斜め前へ離隔するようにして前記下脚板移動域内に移動し、次いで、前記甲1が前記甲2から離れた状態を保ちながら、少なくとも前記下脚板の後端が基本位置にある前記座部敷具の上方に位置するようになるまで、前記下脚板移動域内を通って移動する、第1運動と、
前記坐部敷具の差替えを阻害する新たな要因を発生させることなく、且つ基本位置にあるときの下脚板上面で左右に並ぶ前記二点を結ぶ線分が左右方向を示す状態を保ちながら、前記下脚板の後部が基本位置にある前記坐部敷具の上方に重なるように、前記下脚板移動域内を通って前記下脚板が後方に移動する、前記第1運動に続く第2運動と、
前記坐部敷具の差替えを阻害する新たな要因を発生させることなく、前記坐部板がその基本位置から下方に移動する、前記第2運動に続く第3運動と、
座部敷具を装着した状態で前記座部板がその基本位置に移動する、前記第3運動に続く第4運動と、
基本位置にあるときの下脚板上面で左右に並ぶ前記二点を結ぶ線分が左右方向を示す状態を保ちながら、前記下脚板移動域内を通って前記下脚板がその基本位置に移動するとともに、ベッド等が基本形態に復帰する、前記第4運動に続く第5運動と、を各運動所定の支持板等に行わせる運動手段と、
臥床者の身体の下で、坐部敷具をベッド等から取外し、またベッド等に取付けることを、少なくとも前記第3運動が終了した段階において行うことができる、坐部敷具取外し取付け手段と、
臥床者の身体の下から、左方、右方または前方のうち少なくともいずれか一方へ、座部敷具を取出しまた逆に戻入れることを可能にする開口部が、少なくとも前記第3運動が終了した段階において確保される構造と、
を具備し、
前記運動手段による前記第1運動は、ベッド等上に臥床者が仰臥した状態において、坐部敷具前面に密接する下脚部敷具を臥床者の脚を押上げつつ上方に離隔することによって、坐部敷具の前後二面が下脚部敷具と上体部敷具とにより挟扼されている状態を解消するとともに、第2運動に対応し易い体位へ臥床者を誘導し、前記第2運動は、臥床者の脚部を屈曲させながら大腿部に向かって下脚板を押し進め、下脚部敷具を介して臥床者の下半身を下から支え、前記第3運動は、坐部板を下方に移動させることによって、坐部敷具の上下二面が臥床者座部と坐部敷具取付け部とにより挟扼されている状態を解消して座部敷具の差替えを可能とし、前記第4運動は、座部板と座部敷具とをそれぞれの基本位置に移動させ、前記第5運動は、下脚板と下脚部敷具とをそれぞれの基本位置に移動させるとともに、ベッド等を基本形態に復帰させる、坐部敷具差替えベッド等。
【請求項3】
請求項1記載の座部板の上面における前後左右4端部それぞれの示す方向が、前記座部板が基本位置にあるときと同じになるようにして、且つ前記座部板の上面が臥床者座部に直接接触する位置を上限として、請求項1記載の座部板が臥床者座部の方に所望の距離だけ移動する、付加第1運動と、
ベッド等上に仰臥した臥床者が請求項1記載の下脚部敷具に脚を載せることができる状態を維持しながら、請求項1記載の下脚板が所望の距離だけ前方に移動する、前記付加第1運動に続く付加第2運動と、
ベッド等上に仰臥した臥床者が前記下脚部敷具に脚を載せることができる状態を維持しながら、前記下脚板が前記付加第2運動開始時の位置に復帰する、前記付加第2運動に続く付加第2運動始点復帰運動と、
前記付加第1運動開始時の状態に復帰する前記座部板等の運動である、前記付加第2運動始点復帰運動に続く付加第1運動始点復帰運動と、を、
請求項1記載の第3運動の終了後であり、且つ請求項1記載の第4運動の開始前である段階において、各運動所定の支持板等に行わせる運動手段を具備した、請求項1記載の坐部敷具差替えベッド等。
【請求項4】
請求項2記載の座部板の上面における前後左右4端部それぞれの示す方向が、前記座部板が基本位置にあるときと同じになるようにして、且つ前記座部板の上面が臥床者座部に直接接触する位置を上限として、請求項2記載の座部板が臥床者座部の方に所望の距離だけ移動する、付加第1運動と、
基本位置にあるときの下脚板の上面で左右に並ぶ、請求項2記載の二点を結ぶ線分が左右方向を示す状態を保ちながら、請求項2記載の下脚板移動域内を通って、請求項2記載の下脚板が所望の距離だけ前方に移動する、前記付加第1運動に続く付加第2運動と、
下脚板上面で左右に並ぶ前記二点を結ぶ線分が左右方向を示す状態を保ちながら、前記下脚板移動域内を通って、前記下脚板が前記付加第2運動開始時の位置に復帰する、前記付加第2運動に続く付加第2運動始点復帰運動と、
前記付加第1運動開始時の状態に復帰する前記座部板等の運動である、前記付加第2運動始点復帰運動に続く付加第1運動始点復帰運動と、を、
請求項2記載の第3運動の終了後であり、且つ請求項2記載の第4運動の開始前である段階において、各運動所定の支持板等に行わせる運動手段を具備した、請求項2記載の坐部敷具差替えベッド等。
【請求項5】
請求項1、請求項2、請求項3または請求項4記載の座部板の下方に、所定の衛生機器・医療機器等を設置するための場所を設けた構造と、前記座部板を取替えることができる構造と、を具備した、請求項1、請求項2、請求項3または請求項4記載の坐部敷具差替えベッド等。
【請求項6】
請求項1記載の座部板の上面における前後左右4端部それぞれの示す方向が、前記座部板が基本位置にあるときと同じになるようにして、且つ前記座部板の上面が臥床者座部に直接接触する位置を上限として、請求項1記載の座部板が臥床者座部の方に所望の距離だけ移動する、付加第1運動と、
ベッド等上に仰臥した臥床者が請求項1記載の下脚部敷具に脚を載せることができる状態を維持しながら、請求項1記載の下脚板の後端と前記座部板の前端との間から臥床者が足を下ろすことができるようになる前方の位置に、請求項1記載の下脚板が移動する、前記付加第1運動に続く付加第2運動と、
前記座部板の上面における前後左右4端部それぞれが示す方向をいずれも変えることなく保ちながら、前記座部板が、所定の位置を下限として所望の距離だけほぼ真直ぐ下方に移動する、前記付加第2運動に続く付加第3運動と、
前記座部板の上面における前後左右4端部それぞれが示す方向をいずれも変えることなく保ちながら、前記座部板がほぼ真直ぐ上方に移動して前記付加第3運動開始時の位置に復帰する、前記付加第3運動に続く付加第3運動始点復帰運動と、
ベッド等上に仰臥した臥床者が前記下脚部敷具に脚を載せることができる状態を維持しながら、前記下脚板が前記付加第2運動開始時の位置に復帰する、前記付加第3運動始点復帰運動に続く付加第2運動始点復帰運動と、
前記付加第1運動開始時の状態に復帰する前記座部板等の運動である、前記付加第2運動始点復帰運動に続く付加第1運動始点復帰運動と、を、
請求項1記載の第3運動の終了後であり、且つ請求項1記載の第4運動の開始前である段階において、各運動所定の支持板等に行わせる運動手段と、
所定の衛生器機・医療機器等を設置するための場所を前記座部板の下方に設けた構造と、前記座部板を取替えることができる構造と、
前記坐部板の前端下方に、臥床者の足置き場を設けた構造と、
を具備した、請求項1記載の坐部敷具差替えベッド等。
【請求項7】
請求項2記載の座部板の上面における前後左右4端部それぞれの示す方向が、前記座部板が基本位置にあるときと同じになるようにして、且つ前記座部板の上面が臥床者座部に直接接触する位置を上限として、請求項2記載の座部板が臥床者座部の方に所望の距離だけ移動する、付加第1運動と、
基本位置にあるときの下脚板の上面において左右に並ぶ、請求項2記載の二点を結ぶ線分が左右方向を示す状態を保ちながら、請求項2記載の下脚板の後端と前記坐部板の前端との間から臥床者が足を下ろすことができるようになる前方の位置に、請求項2記載の下脚板移動域内を通って、請求項2記載の下脚板が移動する、前記付加第1運動に続く付加第2運動と、
前記座部板の上面における前後左右4端部それぞれの示す方向をいずれも変えることなく保ちながら、前記座部板が、所定の位置を下限として所望の距離だけほぼ真直ぐ下方に移動する、前記付加第2運動に続く付加第3運動と、
前記座部板の上面における前後左右4端部それぞれの示す方向をいずれも変えることなく保ちながら、前記座部板がほぼ真直ぐ上方に移動して前記付加第3運動開始時の位置に復帰する、前記付加第3運動に続く付加第3運動始点復帰運動と、
下脚板上面で左右に並ぶ前記二点を結ぶ線分が左右方向を示す状態を保ちながら、前記下脚板移動域内を通って、前記下脚板が前記付加第2運動開始時の位置に復帰する、前記付加第3運動始点復帰運動に続く付加第2運動始点復帰運動と、
前記付加第1運動開始時の状態に復帰する前記座部板等の運動である、前記付加第2運動始点復帰運動に続く付加第1運動始点復帰運動と、を、
請求項2記載の第3運動の終了後であり、且つ請求項2記載の第4運動の開始前である段階において、各運動所定の支持板等に行わせる運動手段と、
所定の衛生器機・医療機器等を設置するための場所を前記座部板の下方に設けた構造と、前記座部板を取替えることができる構造と、
前記坐部板の前端下方に、臥床者の足置き場を設けた構造と、
を具備した、請求項2記載の坐部敷具差替えベッド等。
【請求項1】
上体部の支持板である上体板と坐部の支持板である坐部板と下脚部の支持板である下脚板とを別個に形成し、上体部・坐部・下脚部それぞれの敷具としてそれぞれ所定のサイズ・形状・質を備えた敷具である、上体部敷具と坐部敷具と下脚部敷具とを前記各支持板に装着して使用するベッド等であって、
ベッド等が基本形態をとっている状態から、坐部敷具の差替えを阻害する新たな要因を発生させることなく、且つベッド等上に仰臥した臥床者が下脚部敷具に脚を載せることができる状態を維持しながら、少なくとも下脚板の後端が基本位置にある座部敷具の上方に位置するようになるまで、前記下脚板が移動する、第1運動と、
前記坐部敷具の差替えを阻害する新たな要因を発生させることなく、且つベッド等上に仰臥した臥床者が前記下脚部敷具に脚を載せることができる状態を維持しながら、前記下脚板の後部が基本位置にある前記坐部敷具の上方に間隔をあけて重なるように、前記下脚板が後方に移動する、前記第1運動に続く第2運動と、
前記坐部敷具の差替えを阻害する新たな要因を発生させることなく、坐部板がその基本位置から下方に移動する、前記第2運動に続く第3運動と、
座部敷具を装着した状態で前記座部板がその基本位置に移動する、前記第3運動に続く第4運動と、
ベッド等上に仰臥した臥床者が前記下脚部敷具に脚を載せることができる状態を維持しながら、前記下脚板がその基本位置に移動するとともに、ベッド等が基本形態に復帰する、前記第4運動に続く第5運動と、を各運動所定の支持板等に行わせる運動手段と、
臥床者の身体の下で、坐部敷具をベッド等から取外し、またベッド等に取付けることを、少なくとも前記第3運動が終了した段階において行うことができる、坐部敷具取外し取付け手段と、
臥床者の身体の下から、左方、右方または前方のうち少なくともいずれか一方へ、座部敷具を取出しまた逆に戻入れることを可能にする開口部が、少なくとも前記第3運動が終了した段階において確保される構造と、
を具備し、
前記運動手段による前記第1運動は、ベッド等上に臥床者が仰臥した状態において、坐部敷具前面に密接する下脚部敷具を臥床者の脚を押上げつつ上方に離隔することによって、坐部敷具の前後二面が下脚部敷具と上体部敷具とにより挟扼されている状態を解消するとともに、第2運動に対応し易い体位へ臥床者を誘導し、前記第2運動は、臥床者の脚部を屈曲させながら大腿部に向かって下脚板を押し進め、下脚部敷具を介して臥床者の下半身を下から支え、前記第3運動は、坐部板を下方に移動させることによって、坐部敷具の上下二面が臥床者座部と坐部敷具取付け部とにより挟扼されている状態を解消して座部敷具の差替えを可能とし、前記第4運動は、座部板と座部敷具とをそれぞれの基本位置に移動させ、前記第5運動は、下脚板と下脚部敷具とをそれぞれの基本位置に移動させるとともに、ベッド等を基本形態に復帰させる、坐部敷具差替えベッド等。
【請求項2】
上体部の支持板である上体板と坐部の支持板である坐部板と下脚部の支持板である下脚板とを別個に形成し、上体部・坐部・下脚部それぞれの敷具としてそれぞれ所定のサイズ・形状・質を備えた敷具である、上体部敷具と坐部敷具と下脚部敷具とを前記各支持板に装着して使用するベッド等であって、
基本位置にある下脚板と下脚部敷具とをそれぞれ左右方向に投影してなる投影部を一つに合せた形状を甲1とし、基本位置にある座部板と座部敷具とをそれぞれ左右方向に投影してなる投影部を一つに合せた形状を甲2とし、基本位置にある前記座部板と前記座部敷具とをそれぞれ上下方向に投影してなる投影部を重ね合せた形状を乙2とし、
更に、基準平面、即ちベッド等の中心を通り左右方向に対し直角である平面の上に中心を持つとともに一辺が左右方向を示し他の一辺が前後方向を示す長方形であり、左右長が前記下脚板の最大左右長より50ミリ長く前後長が前記下脚板の最大前後長より300ミリ長い長方形であり、前記乙2との間に30ミリの上下方向投影距離がある長方形であり、且つ基本位置にある前記座部板の前方にあってその坐部板の上面より150ミリ下方に位置する長方形である、という条件を備えた長方形を下面とし、基本位置にある前記座部敷具の上面より250ミリ上方に位置する長方形を上面とする、直方体と、
前記基準平面上に中心を持ち前記直方体の後面に接するとともに一辺が左右方向を示し、前記直方体の左右長と等しい左右長を持つ長方形を前面とし、基本位置にある前記坐部敷具の上面よりも上方に位置するとともに300ミリの前後長を持つ長方形を下面とし、且つ基本位置にある前記座部敷具の上面よりも150ミリ上方に位置する長方形を上面とする、直方体と、によって構成される立体の内部を下脚板移動域として、
ベッド等が基本形態をとっている状態から、坐部敷具の差替えを阻害する新たな要因を発生させることなく、且つ基本位置にあるときの前記下脚板の上面において左右方向に並ぶ二つの点を結ぶ線分が左右方向を示す状態を保ちながら、前記下脚板が、先ず、前記甲1の前記甲2との接触部を前記甲2から真直ぐ前へまたは斜め前へ離隔するようにして前記下脚板移動域内に移動し、次いで、前記甲1が前記甲2から離れた状態を保ちながら、少なくとも前記下脚板の後端が基本位置にある前記座部敷具の上方に位置するようになるまで、前記下脚板移動域内を通って移動する、第1運動と、
前記坐部敷具の差替えを阻害する新たな要因を発生させることなく、且つ基本位置にあるときの下脚板上面で左右に並ぶ前記二点を結ぶ線分が左右方向を示す状態を保ちながら、前記下脚板の後部が基本位置にある前記坐部敷具の上方に重なるように、前記下脚板移動域内を通って前記下脚板が後方に移動する、前記第1運動に続く第2運動と、
前記坐部敷具の差替えを阻害する新たな要因を発生させることなく、前記坐部板がその基本位置から下方に移動する、前記第2運動に続く第3運動と、
座部敷具を装着した状態で前記座部板がその基本位置に移動する、前記第3運動に続く第4運動と、
基本位置にあるときの下脚板上面で左右に並ぶ前記二点を結ぶ線分が左右方向を示す状態を保ちながら、前記下脚板移動域内を通って前記下脚板がその基本位置に移動するとともに、ベッド等が基本形態に復帰する、前記第4運動に続く第5運動と、を各運動所定の支持板等に行わせる運動手段と、
臥床者の身体の下で、坐部敷具をベッド等から取外し、またベッド等に取付けることを、少なくとも前記第3運動が終了した段階において行うことができる、坐部敷具取外し取付け手段と、
臥床者の身体の下から、左方、右方または前方のうち少なくともいずれか一方へ、座部敷具を取出しまた逆に戻入れることを可能にする開口部が、少なくとも前記第3運動が終了した段階において確保される構造と、
を具備し、
前記運動手段による前記第1運動は、ベッド等上に臥床者が仰臥した状態において、坐部敷具前面に密接する下脚部敷具を臥床者の脚を押上げつつ上方に離隔することによって、坐部敷具の前後二面が下脚部敷具と上体部敷具とにより挟扼されている状態を解消するとともに、第2運動に対応し易い体位へ臥床者を誘導し、前記第2運動は、臥床者の脚部を屈曲させながら大腿部に向かって下脚板を押し進め、下脚部敷具を介して臥床者の下半身を下から支え、前記第3運動は、坐部板を下方に移動させることによって、坐部敷具の上下二面が臥床者座部と坐部敷具取付け部とにより挟扼されている状態を解消して座部敷具の差替えを可能とし、前記第4運動は、座部板と座部敷具とをそれぞれの基本位置に移動させ、前記第5運動は、下脚板と下脚部敷具とをそれぞれの基本位置に移動させるとともに、ベッド等を基本形態に復帰させる、坐部敷具差替えベッド等。
【請求項3】
請求項1記載の座部板の上面における前後左右4端部それぞれの示す方向が、前記座部板が基本位置にあるときと同じになるようにして、且つ前記座部板の上面が臥床者座部に直接接触する位置を上限として、請求項1記載の座部板が臥床者座部の方に所望の距離だけ移動する、付加第1運動と、
ベッド等上に仰臥した臥床者が請求項1記載の下脚部敷具に脚を載せることができる状態を維持しながら、請求項1記載の下脚板が所望の距離だけ前方に移動する、前記付加第1運動に続く付加第2運動と、
ベッド等上に仰臥した臥床者が前記下脚部敷具に脚を載せることができる状態を維持しながら、前記下脚板が前記付加第2運動開始時の位置に復帰する、前記付加第2運動に続く付加第2運動始点復帰運動と、
前記付加第1運動開始時の状態に復帰する前記座部板等の運動である、前記付加第2運動始点復帰運動に続く付加第1運動始点復帰運動と、を、
請求項1記載の第3運動の終了後であり、且つ請求項1記載の第4運動の開始前である段階において、各運動所定の支持板等に行わせる運動手段を具備した、請求項1記載の坐部敷具差替えベッド等。
【請求項4】
請求項2記載の座部板の上面における前後左右4端部それぞれの示す方向が、前記座部板が基本位置にあるときと同じになるようにして、且つ前記座部板の上面が臥床者座部に直接接触する位置を上限として、請求項2記載の座部板が臥床者座部の方に所望の距離だけ移動する、付加第1運動と、
基本位置にあるときの下脚板の上面で左右に並ぶ、請求項2記載の二点を結ぶ線分が左右方向を示す状態を保ちながら、請求項2記載の下脚板移動域内を通って、請求項2記載の下脚板が所望の距離だけ前方に移動する、前記付加第1運動に続く付加第2運動と、
下脚板上面で左右に並ぶ前記二点を結ぶ線分が左右方向を示す状態を保ちながら、前記下脚板移動域内を通って、前記下脚板が前記付加第2運動開始時の位置に復帰する、前記付加第2運動に続く付加第2運動始点復帰運動と、
前記付加第1運動開始時の状態に復帰する前記座部板等の運動である、前記付加第2運動始点復帰運動に続く付加第1運動始点復帰運動と、を、
請求項2記載の第3運動の終了後であり、且つ請求項2記載の第4運動の開始前である段階において、各運動所定の支持板等に行わせる運動手段を具備した、請求項2記載の坐部敷具差替えベッド等。
【請求項5】
請求項1、請求項2、請求項3または請求項4記載の座部板の下方に、所定の衛生機器・医療機器等を設置するための場所を設けた構造と、前記座部板を取替えることができる構造と、を具備した、請求項1、請求項2、請求項3または請求項4記載の坐部敷具差替えベッド等。
【請求項6】
請求項1記載の座部板の上面における前後左右4端部それぞれの示す方向が、前記座部板が基本位置にあるときと同じになるようにして、且つ前記座部板の上面が臥床者座部に直接接触する位置を上限として、請求項1記載の座部板が臥床者座部の方に所望の距離だけ移動する、付加第1運動と、
ベッド等上に仰臥した臥床者が請求項1記載の下脚部敷具に脚を載せることができる状態を維持しながら、請求項1記載の下脚板の後端と前記座部板の前端との間から臥床者が足を下ろすことができるようになる前方の位置に、請求項1記載の下脚板が移動する、前記付加第1運動に続く付加第2運動と、
前記座部板の上面における前後左右4端部それぞれが示す方向をいずれも変えることなく保ちながら、前記座部板が、所定の位置を下限として所望の距離だけほぼ真直ぐ下方に移動する、前記付加第2運動に続く付加第3運動と、
前記座部板の上面における前後左右4端部それぞれが示す方向をいずれも変えることなく保ちながら、前記座部板がほぼ真直ぐ上方に移動して前記付加第3運動開始時の位置に復帰する、前記付加第3運動に続く付加第3運動始点復帰運動と、
ベッド等上に仰臥した臥床者が前記下脚部敷具に脚を載せることができる状態を維持しながら、前記下脚板が前記付加第2運動開始時の位置に復帰する、前記付加第3運動始点復帰運動に続く付加第2運動始点復帰運動と、
前記付加第1運動開始時の状態に復帰する前記座部板等の運動である、前記付加第2運動始点復帰運動に続く付加第1運動始点復帰運動と、を、
請求項1記載の第3運動の終了後であり、且つ請求項1記載の第4運動の開始前である段階において、各運動所定の支持板等に行わせる運動手段と、
所定の衛生器機・医療機器等を設置するための場所を前記座部板の下方に設けた構造と、前記座部板を取替えることができる構造と、
前記坐部板の前端下方に、臥床者の足置き場を設けた構造と、
を具備した、請求項1記載の坐部敷具差替えベッド等。
【請求項7】
請求項2記載の座部板の上面における前後左右4端部それぞれの示す方向が、前記座部板が基本位置にあるときと同じになるようにして、且つ前記座部板の上面が臥床者座部に直接接触する位置を上限として、請求項2記載の座部板が臥床者座部の方に所望の距離だけ移動する、付加第1運動と、
基本位置にあるときの下脚板の上面において左右に並ぶ、請求項2記載の二点を結ぶ線分が左右方向を示す状態を保ちながら、請求項2記載の下脚板の後端と前記坐部板の前端との間から臥床者が足を下ろすことができるようになる前方の位置に、請求項2記載の下脚板移動域内を通って、請求項2記載の下脚板が移動する、前記付加第1運動に続く付加第2運動と、
前記座部板の上面における前後左右4端部それぞれの示す方向をいずれも変えることなく保ちながら、前記座部板が、所定の位置を下限として所望の距離だけほぼ真直ぐ下方に移動する、前記付加第2運動に続く付加第3運動と、
前記座部板の上面における前後左右4端部それぞれの示す方向をいずれも変えることなく保ちながら、前記座部板がほぼ真直ぐ上方に移動して前記付加第3運動開始時の位置に復帰する、前記付加第3運動に続く付加第3運動始点復帰運動と、
下脚板上面で左右に並ぶ前記二点を結ぶ線分が左右方向を示す状態を保ちながら、前記下脚板移動域内を通って、前記下脚板が前記付加第2運動開始時の位置に復帰する、前記付加第3運動始点復帰運動に続く付加第2運動始点復帰運動と、
前記付加第1運動開始時の状態に復帰する前記座部板等の運動である、前記付加第2運動始点復帰運動に続く付加第1運動始点復帰運動と、を、
請求項2記載の第3運動の終了後であり、且つ請求項2記載の第4運動の開始前である段階において、各運動所定の支持板等に行わせる運動手段と、
所定の衛生器機・医療機器等を設置するための場所を前記座部板の下方に設けた構造と、前記座部板を取替えることができる構造と、
前記坐部板の前端下方に、臥床者の足置き場を設けた構造と、
を具備した、請求項2記載の坐部敷具差替えベッド等。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
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【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図2】
【図3】
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【図25】
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【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【公開番号】特開2011−235075(P2011−235075A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123496(P2010−123496)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(510149873)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(510149873)
【Fターム(参考)】
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