説明

廃コンクリートミキサの活用法及びコンクリートミキサを利用した汎用ミキサの製造方法

【課題】 廃棄処分されるコンクリートミキサを減らすために、廃棄処分されるコンクリートミキサの主要部をそのまま利用し、新たな汎用ミキサを製造する。
【解決手段】 材料投入用のホッパーが配設されている半球状のドラムベースと排出口が形成されている截頭円錐台形状のドラムネックと、これらの接続部に配されたドラム回転用のドラムギヤ及びドラムギヤ駆動用の駆動装置より構成されていて、廃棄処分されるコンクリートミキサを利用し、截頭円錐台形状のドラムネックをドラムギヤ近傍より切断し、その切断箇所に同径で内周の所望箇所に攪拌翼が配設してある所望長さの円筒ドラムを固着し、ドラムベースと一体となってドラム駆動用駆動装置により回転するようにし、汎用ミキサとして利用できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は廃棄処分されるコンクリートミキサを減らすために、稼働可能にもかかわらず廃棄処分される予定のコンクリートミキサの主要部をそのまま利用し、新たな混合機として活用する方法及び製造方法に関するものであり、特に小容量の可搬式のコンクリートミキサを利用して連続式の汎用ミキサとして活用できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
建設現場で使用されている可搬式の小容量のバッチ式コンクリートミキサは、小容量が故に利用範囲が限られ、結果として有効に活用されないまま耐用年数前に廃棄処分されているものが多々ある。このバッチ式で容量が小さく連続稼働ができないという欠点を解消できれば、新たな用途が開ける可能性もある。
【0003】
しかし、近年の高まってきている環境保護や省資源化のためには使用可能な産業機械類を廃棄処分してしまうのは望ましいことではない。また再利用可能なものをそのまま廃棄処分してしまうのと再利用するのでは経済面でも大きな差がある。したがって、再利用できるものは多少の手を加えて新たな価値や機能を付加して再活用できるようにすれば産業政策的にも非常に望ましいことになる。
【0004】
ところで現在の所、廃コンクリートミキサについては有効な最利用法は提唱されていないのが実情である。特許文献1や特許文献2に示すようにコンクリートミキサをそのままの状態で他の混合装置として利用するような方法は提案されているが、コンクリートミキサの主要部を利用してそれを再活用するような方法についての提案はない。
【特許文献1】特開平6−157180号公報
【特許文献2】特開2001−48309号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、この発明にかかる廃コンクリートミキサの活用法(請求項1)は前記課題を解決するために、材料投入用のホッパーが配設されている半球状のドラムベースと排出口が形成されている截頭円錐台形状のドラムネックと、これらの接続部または接続部近傍に配されたドラム回転用のドラムギヤ及びドラムギヤ駆動用の駆動装置より構成されていて、廃棄処分されるコンクリートミキサを利用し、截頭円錐台形状のドラムネックをドラムギヤ近傍より切断し、その切断箇所に同径で内周の所望箇所に攪拌翼が配設してある所望長さの円筒ドラムを固着し、ドラムベースと一体となってドラム駆動用駆動装置により回転するようにし、汎用ミキサとして利用できるようにしたものである。
【0006】
また、この発明にかかるコンクリートミキサを利用した汎用ミキサの製造方法(請求項2)は、半球状のドラムベースと截頭円錐台形状のドラムネックと、これらの接続部または接続部近傍に配されたドラム回転用のドラムギヤ及びドラムギヤ駆動用の駆動装置より構成されたコンクリートミキサの、截頭円錐台形状のドラムネックをドラムギヤ近傍より切断し、その切断箇所に同径で内周の所望箇所に攪拌翼が配設してある所望長さの円筒ドラムを固着し、ドラムベースと一体となってドラム駆動用駆動装置により回転するようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
廃棄処分されるコンクリートミキサの主要部をそのまま利用し、バッチ式で連続稼働ができずコンクリートミキサとしては有効性を失ったものを、連続稼働可能な汎用ミキサとして活用することができ、産業的には廃棄物を減らすことが可能となる。また、新たに製造する場合に比べ必要とする原材料も少なくて済み、製造する手間も簡単であり価格的にも低廉なものとすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
略半球状をしており半球の頂部に材料投入用のホッパーが配設されているドラムベースと、截頭部が排出口となっている截頭円錐台形状のドラムネックと、これらの接続部に配されたドラム回転用のドラムギヤ及びドラムギヤ駆動用の駆動装置より構成されているコンクリートミキサを基本的には利用する。そして、截頭円錐台形状のドラムネックをドラムギヤ近傍より適当な方法により切断する。そして、その切断箇所に同径で所望長さの円筒ドラムを溶接し、ドラムベースと一体となってもともとのドラム駆動用駆動装置により回転するようにする。また、円筒ドラムの内周には所望箇所に所望形状の攪拌翼を配設する。
【実施例】
【0009】
次に、本発明にかかる廃コンクリートミキサの活用法及びコンクリートミキサを利用した汎用ミキサの製造方法を図面に基づいて説明する。
【0010】
まず、再利用することとなる公知のコンクリートミキサの一例を図1及び図2に基づいて説明する。1は略半球状をしており半球の頂部に材料投入用のホッパー2が配設されているドラムベースである。ホッパー2はドラムベース1の半球の頂部開口部に臨むように設けてあり、ドラムベース1が回転してもホッパー2は回転しないようになっている。3は截頭部が排出孔4となっている截頭円錐台形状のドラムネックである。
【0011】
ドラムベース1とドラムネック3は両者の大径部において接続されている。そして、この接続部近傍にはドラム回転用のドラムギヤ5が取り付けてある。また、ドラムギヤ5近傍のドラム外周にはガイドレール6が配してあり、架台7に設けたガイドローラー8によりガイドレール6がガイドローラー8に支承されながら移動することによりドラムが回転可能となっている。
【0012】
9はモータ10とギヤ装置等により構成されたドラムギヤ5駆動用の駆動装置である。これらは前記ガイドローラー8と共に架台7に配設してある。そして、モータ10を回転させるとその回転が駆動装置9によりドラムギヤ5に伝わり、ドラムベース1とドラムネック3により構成されたドラムが回転するようになっている。
【0013】
次に、上記コンクリートミキサを利用した本発明に係る汎用ミキサの製造方法を図3及び図4に基づいて説明する。まず、截頭円錐台形状のドラムネック3をドラムギヤ5近傍より切断する。この切断面はこの後溶接面となるのでできるだけきれいに切断しておくことが望ましい。そして、このドラムネック3を切断したコンクリートミキサの架台7をフレーム枠11に固定する。ついで、その切断箇所に同径で所望長さの円筒ドラム12を溶接して接続する。なお、切断箇所への円筒ドラム12の固着方法としては溶接のほか、両者にフランジを設けてボルト締めしてもよいし、あるいは円筒ドラム12の先端の径を小さくしてソケット状に切断箇所に差し込むようにして両者をボルト等により固着するようにしてもよい。
【0014】
円筒ドラム12の切断箇所への溶接部の反対側となる排出口13近傍のドラム外周には円筒ガイドレール14を配する。一方、フレーム枠11には円筒ガイドローラー15を配し、円筒ガイドレール14が円筒ガイドローラー15に支承されながら移動することにより円筒ドラム12が回転することとなるようにする。
【0015】
結果として、もともとのコンクリートミキサのドラムベース1とこれに固着した円筒ドラム12は、ガイドレール6がガイドローラー8により、また円筒ガイドレール14が円筒ガイドローラー15によりそれぞれ回転可能に支承されることとなり、駆動装置9によりこれらが一体的に回転するようになる。
【0016】
16は円筒ドラム12の内周の所望箇所に取り付けた攪拌翼である。攪拌翼の大きさや形状等は混合対象により適当に選択可能である。なお、攪拌翼16の円筒ドラム12への取り付け方法や取り付け時期は任意に選択可能である。また、17はドラムベース1内にもともと配されている攪拌羽根である。
【0017】
しかして、上記方法により製造した汎用ミキサにより材料を混合するに際しては、投入した材料が円筒ドラム12内を移動するようにするためにフレーム枠11を傾斜させた基台に設置し、円筒ドラム12が排出口13に向かって下向きに傾斜するようにする。そして、ホッパー2より材料を投入し駆動装置9により円筒ドラム12を回転させる。すると、投入された材料は円筒ドラム12内で攪拌されながら排出口13側に移動することになる。そして、混合が完了したものは排出口13から外部に排出されることになる。
【0018】
円筒ドラム12の長さや攪拌翼16の形状などを適当に選択することにより、各種材料の混合機として利用することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
以上述べたように、本発明によれば廃棄処分されるコンクリートミキサの主要部をそのまま利用して汎用ミキサとしてよみがえらせることができ、環境負荷面や経済面から非常に有用なものとなる。そして、新たに接続する回転ドラムを工夫することにより各種ミキサとして再活用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明で利用するコンクリートミキサの正面図である。
【図2】本発明で利用するコンクリートミキサの側面図である。
【図3】本発明の方法により製造した汎用ミキサの正面図である。
【図4】本発明の方法により製造した汎用ミキサの側面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 ドラムベース
2 ホッパー
3 ドラムネック
4 排出孔
5 ドラムギヤ
6 ガイドレール
7 架台
8 ガイドローラー
9 駆動装置
10 モータ
11 フレーム枠
12 円筒ドラム
13 排出口
14 円筒ガイドレール
15 円筒ガイドローラー
16 攪拌翼
17 攪拌羽根

【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料投入用のホッパーが配設されている半球状のドラムベースと排出口が形成されている截頭円錐台形状のドラムネックと、これらの接続部または接続部近傍に配されたドラム回転用のドラムギヤ及びドラムギヤ駆動用の駆動装置より構成されていて、廃棄処分されるコンクリートミキサを利用し、截頭円錐台形状のドラムネックをドラムギヤ近傍より切断し、その切断箇所に同径で内周の所望箇所に攪拌翼が配設してある所望長さの円筒ドラムを固着し、ドラムベースと一体となってドラム駆動用駆動装置により回転するようにし、汎用ミキサとして利用できるようにしたことを特徴とする廃コンクリートミキサの活用法。
【請求項2】
半球状のドラムベースと截頭円錐台形状のドラムネックと、これらの接続部または接続部近傍に配されたドラム回転用のドラムギヤ及びドラムギヤ駆動用の駆動装置より構成されたコンクリートミキサの、截頭円錐台形状のドラムネックをドラムギヤ近傍より切断し、その切断箇所に同径で内周の所望箇所に攪拌翼が配設してある所望長さの円筒ドラムを固着し、ドラムベースと一体となってドラム駆動用駆動装置により回転するようにしたことを特徴とするコンクリートミキサを利用した汎用ミキサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−167800(P2007−167800A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−371256(P2005−371256)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(598139678)株式会社エフイ石灰技術研究所 (1)
【出願人】(501399049)株式会社ニッシン (1)
【Fターム(参考)】