説明

廃トナーの利用方法

【課題】回収した廃トナーを安全に処理するとともに、有益な用途にリサイクルすることができる廃トナーの利用方法を提供すること。
【解決手段】廃トナーAを110〜140℃の蒸気で加熱して固化した後、所要大きさに破砕し、破砕した廃トナーAを製鋼用電気炉1に投入し、製鋼用電気炉1内の溶融金属の還元剤として用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃トナーの利用方法に関し、特に、回収した廃トナーを安全に処理するとともに、有益な用途にリサイクルすることができる廃トナーの利用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、印刷技術が進むにつれて、トナーやトナー粉(本明細書において、トナーという)が多量に生産されてきている。
トナーは、粒子径が数〜十数μmの微粒子からなる粉体状のインクであり、一般に熱可塑性樹脂を基材とし、これにバインダや着色剤が添加されている。
また、トナーは加熱により溶融して用紙に接着し、冷却されることで固化する。
【0003】
ところで、多量に生産されたトナーの一部は廃トナーとなって廃棄処分されるが、トナーはその性質上、非常に飛散しやすく、かつ静電気を帯電し、粉塵爆発が起きやすいため、回収した廃トナーを安全に処理する必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来の廃トナーの処理方法が有する問題点に鑑み、回収した廃トナーを安全に処理するとともに、有益な用途にリサイクルすることができる廃トナーの利用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の廃トナーの利用方法は、廃トナーを110〜140℃の蒸気で加熱して固化した後、所要大きさに破砕し、該破砕した廃トナーを製鋼用電気炉に投入し、該製鋼用電気炉内の溶融金属の還元剤として用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の廃トナーの利用方法によれば、廃トナーを110〜140℃の蒸気で加熱して固化した後、所要大きさに破砕し、該破砕した廃トナーを製鋼用電気炉に投入し、該製鋼用電気炉内の溶融金属の還元剤として用いることから、回収した廃トナーを安全に処理するとともに、有益な用途にリサイクルすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の廃トナーの利用方法の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0008】
図1〜図2に、本発明の廃トナーの利用方法の一実施例を示す。
この廃トナーの利用方法は、廃トナーAを110〜140℃の蒸気で加熱して固化した後、所要大きさに破砕し、該破砕した廃トナーAを製鋼用電気炉1に投入し、該製鋼用電気炉1内の溶融金属の還元剤として用いるようにする。
【0009】
廃トナーAは、フレコンバッグ等(図示省略)に入って回収されるが、トナーの個袋やボトルをそのまま大型トレイ状のトナー固化用容器2に移し替えることにより、静電気の発生を極力抑えた取り扱いをすることができる。
トナーの個袋やボトルは、蒸気で加熱されてもそのままであるが、内部のトナーは、加熱により溶融し、冷却されることで固化するので問題はなく、後工程の破砕機3により個袋やボトルごと破砕される。
【0010】
廃トナーAが充填されたトナー固化用容器2は、コンテナ等を利用した加熱用ボックス(図示省略)の棚に入れられ、蒸気ボイラー(図示省略)から送り込まれる加熱蒸気により、例えば、約120℃で加熱される。
蒸気ボイラーは、加熱する蒸気温度を自在に調整することができ、廃トナーAの荷姿や材質により自在にコントロールをすることができる。
【0011】
廃トナーAは、焼却が目的ではなく、製鋼用電気炉1でリサイクルする目的として固化されるので、焼却しやすい硬度より硬くするほうがよく、このため、加熱温度は110℃以上に設定するようにする。
固化時間も高温であればある程短縮され、また、高温であればあるほど減容率も大きくなり省スペースになる。
また、トナー固化用容器2には加熱水蒸気が吹き込まれるため、トナー固化用容器2内は加湿され静電気の発生が少なくなる。
さらに、水蒸気がトナー固化用容器2内に充満することにより、相対的にトナー固化用容器2内の酸素濃度が減少して行き、高温にもかかわらず安全な固化処理となる。
固化したトナーは、その構成元素である炭素(C)を必要とする、製鋼用電気炉1内で酸化された鉄(Fe,FeO)を還元し、鉄(Fe)にする有益な用途に使用される。
【0012】
かくして、本実施例の廃トナーの利用方法は、廃トナーAを110〜140℃の蒸気で加熱して固化した後、所要大きさに破砕し、該破砕した廃トナーAを製鋼用電気炉1に投入し、該製鋼用電気炉1内の溶融金属の還元剤として用いることから、回収した廃トナーAを安全に処理するとともに、有益な用途にリサイクルすることができる。
また、トナーが入ったままの荷姿で固化することができ、固化温度が調整できることからトナーの種類毎に固化時間を短縮することができる。
そして、固化用容器2内を湿潤化して静電気の発生を抑えるとともに、固化用容器2内の空気を水蒸気で置換し、相対的に酸素比を低減して発火防止を図ることができる。
さらに、110〜140℃で加熱することから、トナーの減容率を大きくすることができ、固化されたトナーは製鋼用電気炉1でケミカルリサイクルされる。
【0013】
以上、本発明の廃トナーの利用方法について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明の廃トナーの利用方法は、回収した廃トナーを安全に処理するとともに、有益な用途にリサイクルすることができるという特性を有していることから、廃トナーの廃棄リサイクルの用途に広く好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の廃トナーの利用方法の一実施例を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0016】
1 製鋼用電気炉
2 トナー固化用容器
3 破砕機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃トナーを110〜140℃の蒸気で加熱して固化した後、所要大きさに破砕し、該破砕した廃トナーを製鋼用電気炉に投入し、該製鋼用電気炉内の溶融金属の還元剤として用いることを特徴とする廃トナーの利用方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−57600(P2009−57600A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−225974(P2007−225974)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(391016602)共英製鋼株式会社 (7)
【Fターム(参考)】