説明

廃棄時に減容化可能な紙箱

【課題】 四角筒状胴部の上端に被せ蓋状に形成された蓋部を一体に構成した紙箱において、使用前の蓋部は未開封性を維持しながら開封が容易に行え、再閉鎖時には安定的な閉蓋状態を保持できると共に、商品訴求効果に優れた蓋部形状とすることが可能で、かつ廃棄するときには簡便な操作で減容化することが可能な紙箱を提供する。
【解決手段】 四角筒状胴部の上端に被せ蓋状に形成された蓋部を一体に構成した紙箱において、天板と底板に、それぞれ4つの角から内側に隣接する辺の折線に対して略45度の角度で形成されV字状に交差する廃棄用斜め折線と、それぞれ天板と底板内で斜め折線がそれぞれV字状に交差する2点を結んで形成された廃棄用横折線と、天板でV字状に交差する2点をそれぞれ起点とし後板を縦断して底板でV字状に交差する2点をそれぞれ終点とする廃棄用縦折線を設けたことを特徴とする廃棄時に減容化可能な紙箱。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スナック菓子や食品を収納する紙箱に係り、詳しくは一枚のブランク板から直方体状に形成され、一方の端縁から形成される蓋部によって簡便に開口が行えると共に、内容物の消費後には容易に折り畳むことが出来、容積を少なくして廃棄することが可能なラップラウンド型紙箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の紙箱として、一枚のブランク板をサック貼りして胴部を構成し、それを組み立てて形成される、一般にフリップトップと呼ばれる形式で、被せ蓋状に形成される蓋部が、天板後辺をヒンジとなる折線として開放並びに再閉鎖される紙箱が実施されている。さらに、胴部前板と胴部側板の上辺を、胴部後板の上辺より低い位置に設け、前板同志の繋ぎ片の中段に設けられた第一の弱め線と側板同志の繋ぎ片と胴部側板上端の水平部分との間に設けられた第二の弱め線を切断することによって被せ蓋部分を開封して、胴部前板並びに胴部側板の上部を大きく露出させると共に、再閉鎖時には、従来と同様に、被せ蓋内面に糊着された折り返し片と、胴部前板上端の折り返し片が相互に係合して、再閉鎖状態を維持するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−230970号公報
【0003】
さらに、前述の構造の紙箱が、製造上において、胴部前板及び胴部側板のそれぞれ上部延長上に延設される折り返し片及び繋ぎ片、さらに延設される蓋部前板および蓋部側板を、予めZ字状に折り畳み、蓋部前板下端延長上側の折り返し片および両側の繋ぎ片を前記蓋部前板及び蓋部側板に貼着した後に、前記胴部をサック貼りして筒状に形成するため、扁平に折り畳まれた状態にあっても上下端での厚みに大きな差異を生じ、例えば集積状態での取り扱いでは荷崩れし易いため製函工程においても給紙部の改変を必要としたり、製函状態で紙箱の変形を生じやすい等の欠点があった。また、前述のように蓋部前板および蓋部側板の下端は折り返しのために直線状の折線を用いざるを得ず、角ばった蓋部形状で画一的となり易く、特に菓子や食品のパッケージに必要とされる消費者への訴求効果の点で、独自性のある表現を行い難いという欠点があったものに対し、出願人は、四角筒状胴部の上端に被せ蓋状に形成された蓋部を構成した紙箱において、使用前の蓋部は未開封性を維持しながら開封が容易に行え、再閉鎖時には安定的な閉蓋状態を保持できると共に、商品訴求効果に優れた蓋部形状とすることが可能で、かつ製函工程において特殊な設備改変を必要としない紙箱を提案している(特許文献2参照)。
【特許文献2】特開2007−254028号公報
【0004】
一方、近年、環境問題から廃棄物の処理に関し、上記したスナック菓子等の小型カートンについても、使用後、空き箱状態では廃棄物として嵩高くなることを避けるため、例えば、潰す或いは固着部分を剥したり、切り破って分解する等により、容積を小さくして廃棄しており、減容化のための折り畳み折線をカートンの構成面に設けた提案がなされている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献3】特開平11−321848号公報
【0005】
上記特許文献3に示した減容化カートンは、貼り合せのあるカートン側面や主要な意匠構成面である正面を避け、カートンの背面および底面に罫線を設けるようにしているが、連続する天面に関しては予め開口状態とすることにより、一体に構成される連続部分を少なくするなど特定の構成が必要であり、前述したような、蓋部を一体に有する紙箱は、廃棄の為の減容化が難しいものであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記問題を解決するためになしたものであって、四角筒状胴部の上端に被せ蓋状に形成された蓋部を一体に構成した紙箱において、使用前の蓋部は未開封性を維持しながら開封が容易に行え、再閉鎖時には安定的な閉蓋状態を保持できると共に、商品訴求効果に優れた蓋部形状とすることが可能で、かつ廃棄するときには簡便な操作で減容化することが可能な紙箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、横折線を介して順設される蓋部前板、天板、後板、底板、前板と、前記蓋部前板の左右両側端に左右蓋部側板が延設され、前記後板の左右両側端には両端に折線を介してそれぞれ耳片を設けた左右重合側板が縦折線を介して延設され、同じく前記前板の左右両側端に縦折線を介して左右側板が延設され、また前記前板の他方の端部に少なくとも一箇所の折返横折線を介して連設される折返係止片と、前記蓋板の他方の端部に横折線を介して前記蓋板の内面に貼着される蓋部折返板が連設され、さらに前記後板上端で該後板を蓋部後板とに分設する仰開用横折線と、該仰開用横折線の両端からそれぞれ前記左右重合側板の上端を左右重合側板貼着部とに分設する側面傾斜破断線が穿設されたブランクにおいて、前記天板と前記底板には、それぞれ4つの角から内側に隣接する辺の折線に対して略45度の角度で形成されV字状に交差する廃棄用斜め折線と、それぞれ前記天板と前記底板内で前記斜め折線がそれぞれV字状に交差する2点を結んで形成された廃棄用横折線と、前記天板でそれぞれV字状に交差する2点をそれぞれ起点とし前記後板を縦断して前記底板でそれぞれV字状に交差する2点をそれぞれ終点とする廃棄用縦折線を設けてなり、前記ブランクを折り曲げ前記左右重合側板および左右側板をそれぞれ貼着し、前記蓋部重合貼着板を逆折りして前記蓋板内側に貼着するとともに、前記左右蓋部側板をそれぞれ前記左右重合側板貼着部に貼着して組み立て構成されることを特徴とする廃棄時に減容化可能な紙箱である。
【0008】
請求項2の発明は、前記蓋部折返板の中央近傍が前記前板の上端中央近傍に仮接着して組み立て構成されることを特徴とする請求項1記載の廃棄時に減容化可能な紙箱である。
【0009】
請求項3の発明は、前記折返係止片の端縁が再閉鎖時に当接する前記蓋部折返板の端縁近傍面にエンボス加工部分を設けてなることを特徴とする請求項1記載の廃棄時に減容化可能な紙箱である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の廃棄時に減容化可能な紙箱は、ブランクからラップラウンド形式で折り曲げ貼着して組み立てられ、四角筒状胴部の上端が被せ蓋状に形成された蓋部を構成した紙箱において、胴部を構成する前板上端から折り返された蓋部重合貼着板に蓋部前板が貼着され、かつ左右蓋部側板がそれぞれ左右側面貼着部に貼着されるので、使用前の蓋部の未開封性を維持することが出来る。しかも、前記蓋部前板の下端部および前記左右蓋部側板のそれぞれ側端部は露出しているので、開封に際しての手掛かりとなり易く、開封操作を容易なものとすることが出来る。
【0011】
また、本発明の廃棄時に減容化可能な紙箱は、ブランクからラップラウンド形式で折り曲げ貼着して組み立てられ、四角筒状胴部の上端が被せ蓋状に形成された蓋部を一体に構成した紙箱であるが、使用後は、重合部分や重合貼着部分ではない部分で、天板および底板に設けられた廃棄用斜め折線と該廃棄用斜め折線の交差する2点を結ぶ廃棄用横折線と、前記廃棄用斜め折線の交差する2点をそれぞれ起点および終点として前記天板と前記底板との間の後板をそれぞれ横断して設けられる廃棄用縦折線を用いて簡便に折り畳むことができ、略偏平な折り畳み状態とすることにより、減容化して廃棄することが可能であるという効果とともに、無用なスペースを占有しないので、廃棄時のゴミ容量を減らすことができ、ゴミ保管スペースを減少させ、ゴミ輸送の効率化を図ることができるという効果がある。さらに、前記廃棄用の折線は、蓋部前板や前板及び左右蓋部側板や左右側板という意匠性に影響を与える構成面に設けられていないので、紙箱の組立状態において全体の意匠性を損なうことがない。
【0012】
図6の再閉鎖完了状態を示す説明用部分断面図に表すように、前記蓋部前板内面に貼着され開封操作によって破断された前記蓋部重合貼着板の上端破断部は、胴部を構成する前板上端から折り返された折返板の下端破断部に係止されて、不用意に開くことの無い安定した閉蓋状態を維持することが出来る。前述のように蓋部前板の下端部および左右蓋部側板のそれぞれ側端部は露出した状態であるので、例えば実施例のごとく蓋部前板の下端部を湾曲形状としたようにデザイン的にカットするなど、商品訴求効果に優れた蓋部形状とすることが可能である。
【0013】
本発明の廃棄時に減容化可能な紙箱は、折り畳み貼り合せ状態において、特許文献1に示した構造すなわちZ字状折り畳みのような状態を構成することを必要としないので折り畳み貼り合せの工程を簡略化することが出来る。しかも、Z字状折り畳みによって貼り合せ後の上下端厚みの大きな差異を生じることが無いので、集積状態での取り扱いも容易であり、製函工程において機械給紙部等の改変を必要とせず、また製函状態での紙箱の変形等を生じる可能性を抑えることが出来る。
【0014】
本発明に係る廃棄時に減容化可能な紙箱は、再閉鎖時において、折返係止片が蓋部前板内側面に貼着された蓋部重合貼着板の開封切断後の端面に係止する際、撥音が発生することによって、閉鎖操作を確認することができるが、さらに図1の展開平面図に示すように、折返係止片の端縁が再閉鎖時に当接する蓋部重合貼着板の端縁近傍面にそれぞれエンボス加工部分を設けることにより、撥音の発生が大きくなり、より閉鎖操作を確認しやすいという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
上記本発明について、図面等を用いて以下に詳述する。図1は本発明に係る紙箱の実施例のブランク状態を示す展開平面図。図2は同じく実施例の組立途中状態を示す説明用斜視図。図3は同じく実施例の組立貼着途中状態を示す説明用斜視図。図4は同じく実施例の組立完了状態を示す説明用斜視図。図5は同じく実施例の開封完了状態を示す説明用斜視図。図6は同じく実施例の再閉鎖完了状態を示す説明用部分断面図。図7(a)(b)は同じく実施例の廃棄時の折り畳み途中状態を示す説明用斜視図。(c)は同じく実施例の廃棄時の折り畳み状態を示す説明用斜視図。(c’)は同じく実施例の他の折り畳み状態を示す説明用斜視図である。
【0016】
図1は本発明に係る紙箱の実施例のブランク状態を示す展開平面図で、ブランクAは横折線L1、L2、L3、L4を介して上から蓋部前板1、天板2、後板3、底板4、前板5を順に連設し、前記蓋部前板1の両側端には縦折線L9、L10を介して左蓋部側板10、右蓋部側板11がそれぞれ延設され、前記天板2の両側端には縦折線L13、L14を介してそれぞれ中間部分に内向き突起部を有する内向きコ字状の繋止切込mを穿設した天部係止片14、15が延設され、前記後板3の両側端には縦折線L7、L8を介してそれぞれ天地方向両端近傍に対向する先端鉤状の繋止溝nを穿設した左重合側板8および右重合側板9が延設され、前記底板4の両側端には縦折線L15、L16を介してそれぞれ中間部分に内向き突起部を有する内向きコ字状の繋止切込mを穿設した底部係止片16、17が延設され、前記前板5の両側端には縦折線L5、L6を介してそれぞれ左側板6、右側板7が延設され、また前記前板5の下端延長上に折返横折線L11を介して両端にそれぞれ折返係止片12、12を前面破断線Xで分設した蓋部重合貼着板13が連設されると共に前記前面破断線Xにより前記前板5の下端中央に開口貼着片18が分設されている。さらに、前記折返係止片12、12の端縁が再閉鎖時に当接する前記蓋部重合貼着板13のそれぞれの端縁近傍面にエンボス加工部V、Vが刻設されている。前記後板3の上端は横断する仰開用横折線L12によって蓋部後板3’に分設され、また前記仰開用横折線L12を二分する交差破断線Tと該交差破断線Tを対角線とする正方形状の緩衝破断線Uが穿設されている。前記左右重合側板8および9の上端はそれぞれ前記仰開用横折線L12の両端から発する側面傾斜破断線YおよびZによって左右重合側板貼着部8’および9’に分設され、同じく前記左右重合側板8および9の天地両側端近傍所定位置に穿設した鉤状の繋止溝nはそれぞれ縦折線L7およびL8に接している。さらに、前記天板2と前記底板4には、それぞれ4つの角から内側に隣接する辺の折線、すなわち前記天板にあっては折線L1、L2、L13、L14、前記底板にあっては折線L3、L4、L15、L16に対して略45度の角度を有して形成されV字状に交差する廃棄用斜め折線L17、L18、L19、L20、L21、L22、L23、L24が形成され、それぞれ前記天板2と前記底板4内で前記斜め折線L17〜L24がそれぞれV字状に交差する2点を結んで廃棄用横折線が、前記天板にあってはL25、前記底板にあってはL26が形成され、さらに、前記天板2で前記斜め折線L17〜L20がそれぞれV字状に交差する2点をそれぞれ起点とし、前記後板3を縦断して、前記底板4で前記斜め折線21〜L24がそれぞれV字状に交差する2点をそれぞれ終点とする廃棄用縦折線L27、L28が設けられている。
【0017】
図2は同じく実施例の組立途中状態を示す説明用斜視図、図3は同じく実施例の組立貼着途中状態を示す説明用斜視図で、予め或いは組み立て前に、両端にそれぞれ分設された折返係止片12、12と蓋部重合貼着板13を、折返横折線L11を用いて折り返し、前板5の下端に分設された開口貼着片18と前記蓋部重合貼着板13とを重合貼着し、次に、後板3から縦折線L7およびL8を用いて左重合側板8および右重合側板9を起立させ、横折線L2およびL3を用いて天板2および底板4を起立させると共に、前記天板2の両側端の天部係止片14および15を縦折線L13およびL14を用いて折り曲げると共に前記左重合側板8および右重合側板9の天板側の繋止溝nにそれぞれ挿入して繋止し、前記底板4の両側端の底部係止片16および17を縦折線L15およびL16を用いて折り曲げると共に前記左重合側板8および右重合側板9の底板側の繋止溝nにそれぞれ挿入して繋止して、図2に示すように、後板3から起立された左重合側板8および右重合側板9と天板2および底板4からなるトレー状を形成した組立途中状態となる。次に、前述のトレー状形成部分への内容物の充填或いは収納後、横折線L4を用いて前板5を前記トレー状形成部上面に折り曲げると共に、縦折線L5およびL6を用いて左側板6および右側板7を折り曲げて前記左重合側板8および右重合側板9にそれぞれ重合貼着して、図3に示す組立貼着途中の状態となる。
【0018】
図4は同じく実施例の組立完了状態を示す説明用斜視図で、前項説明の組立貼着途中の状態から、横折線L1を用いて蓋部前板1を折り曲げて前板5に重合すると共に、蓋部重合貼着板13を前記蓋部前板1の内面に貼着し、次いで、縦折線L9およびL10を用いて左蓋部側板10および右蓋部側板11を折り曲げると共に左重合側板貼着部8’および右重合側板貼着部9’にそれぞれ重合貼着して、組立完了状態となる。
【0019】
図5は同じく実施例の開封完了状態を示す説明用斜視図で、実施例の紙箱Bの使用にあたり、蓋部前板1を前板5から引き上げて剥がす操作により、前記蓋部前板1の内面に貼着された蓋部重合貼着板13と折返係止片12との間の前面破断線Xが破断すると同時に前記前板5上方中央の開口貼着片18部分が開口すると共に、左右重合側板8および9の上端に穿設された側面傾斜破断線YおよびZが破断して、前記蓋部前板1と左右の蓋部側板10および11が貼着された左右重合側板貼着部8’および9’と天板2ならびに蓋部後板3’とで構成される被せ蓋状に形成された蓋部が後板3の上端に設けられた仰開用横折線L12をヒンジ部分として仰開型に開放される。収納或いは充填されている内容物の使用後は、前記被せ蓋状に形成された蓋部を元の位置に戻すことにより再閉鎖することが出来、図6の再閉鎖完了状態を示す説明用部分断面図に表すように、前記蓋部前板1の内面に貼着され開封操作によって前記前面破断線Xが破断され、破断された前記蓋部重合貼着板13両端の折返係止片12部分の上端破断部端面が、胴部を構成する前板5の上端の両端から折り返された折返係止片12、12の下端破断部端面に係止されて安定した再閉鎖が保持される。尚、前記折返係止片12、12の端縁が再閉鎖時に当接する前記蓋部重合貼着板13のそれぞれの端縁近傍面にエンボス加工部V、Vが刻設されることにより、前記蓋部重合貼着板13のそれぞれの端縁近傍面が前記蓋部前板1の内面から空隙を有して位置されることとなり、再閉鎖操作すなわち被せ蓋状に形成された蓋部の元の位置への戻し操作で、前記折返係止片12、12が係止される際に跳ね返りによる前記蓋部前板1の内面への打撃が強くなって、生じる撥音が大きくなるものである。
【0020】
図7(a)及び(b)は同じく実施例の廃棄時の折り畳み途中状態(後板3側から見た状態)を示す説明用斜視図で、収納された内容物の使用後、紙箱Bの廃棄にあたって、先ず紙箱Bを、ほぼ図4の組み立て完了状態と同様に再閉鎖状態とした後、図7(a)に示すように、天板2の廃棄用斜め折線L17〜L20をそれぞれ山折りすると共に廃棄用縦折線L27及びL28の上端部付近を谷折りしつつ廃棄用横折線L25を山折りして紙箱Bの上端部を圧潰し、次いで図7(b)に示すように、底板4の廃棄用斜め折線L21〜L24をそれぞれ山折りすると共に前記廃棄用縦折線L27及びL28の下端部付近を谷折りしつつ廃棄用横折線L26を山折りして紙箱Bの下端部を圧潰した後、廃棄用縦折線L27及びL28をそれぞれ谷折りし紙箱Bの側面を構成する重合貼着された左右蓋部側板10及び11、左右側板6及び7を縦折線L9及びL10、L5及びL6を用いてそれぞれ後板3の方向に折り畳むことにより、図7(c)に示すように紙箱Bを略偏平な折り畳み状態とすることができる。
【0021】
図7(c’)は同じく実施例の他の折り畳み状態を示す説明用斜視図で、折り畳みの経過の図示は省略したが、収納された内容物の使用後、空箱となった紙箱Bの廃棄にあたり、紙箱Bを、ほぼ図4の組み立て完了状態と同様な再閉鎖状態とした後、天板2の廃棄用斜め折線L17〜L20をそれぞれ谷折りすると共に廃棄用縦折線L27及びL28の上端部付近を谷折りしつつ廃棄用横折線L25を谷折りし前記天板2を箱体内に折り込むようにして紙箱Bの上端部を圧潰し、次いで、底板4の廃棄用斜め折線L21〜L24をそれぞれ谷折りすると共に前記廃棄用縦折線L27及びL28の下端部付近を谷折りしつつ廃棄用横折線L26を谷折りし前記底板4を箱体内に折り込むようにして紙箱Bの下端部を圧潰した後、廃棄用縦折線L27及びL28をそれぞれ谷折りし紙箱Bの側面を構成する重合貼着された左右蓋部側板10、11、左右側板6、7を縦折線L9及びL10、L5及びL6を用いてそれぞれ後板3の方向に折り畳むことにより、折り畳みが完了する。
図7(c)に示した減容化の折り畳み状態で、紙箱Bの幅方向では、縦折線L9及びL10、L5及びL6それぞれの間の寸法、すなわち、蓋部前板1及び前板5の幅寸法で折り畳まれ、天地方向では、天板2と底板4とが紙箱Bの奥行き寸法の半分で山折りされるので、紙箱Bの天地寸法よりそれぞれ外向きに奥行き寸法の半分飛び出して折り畳まれるが、図7(c’)に示した折り畳み状態で、紙箱Bの幅方向では図7(c)と同様に、蓋部前板1及び前板5の幅寸法で折り畳まれ、天地方向では、天板2と底板4とが紙箱Bの箱体内に谷折りされて折り込まれるので、紙箱Bの天地方向の寸法、すなわち、重合された状態での蓋部前板1上端の横折線L1と前板5下端の横折線L4間の寸法内に折り畳まれるので、占有する面積的には、より減容化されることになるが、折り込みによって重層枚数が増加し厚さが増すので、いずれの折り畳み方法により廃棄するかを選択できる。
【0022】
上記、いずれの折り畳み状態としても、略偏平な折り畳み状態とすることにより空箱状態は減容化され、無駄なスペースを占有しないので、廃棄時のゴミ容量を減らすことができ、ゴミ保管スペースを減少させ、ゴミ輸送の効率化にも寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る紙箱の実施例のブランク状態を示す展開平面図。
【図2】同じく実施例の組立途中状態を示す説明用斜視図。
【図3】同じく実施例の組立貼着途中状態を示す説明用斜視図。
【図4】同じく実施例の組立完了状態を示す説明用斜視図。
【図5】同じく実施例の開封完了状態を示す説明用斜視図。
【図6】同じく実施例の再閉鎖完了状態を示す説明用部分断面図。
【図7】(a)(b)同じく実施例の廃棄時の折り畳み途中状態を示す説明用斜視図。(c)同じく実施例の廃棄時の折り畳み状態を示す説明用斜視図。(c’)は同じく実施例の他の折り畳み状態を示す説明用斜視図。
【符号の説明】
【0024】
A ブランク
B 紙箱
1 蓋部前板
2 天板
3 後板
3’ 蓋部後板
4 底板
5 前板
6 左側板
7 右側板
8 左重合側板
8’ 左重合側板貼着部
9 右重合側板
9’ 右重合側板貼着部
10 左蓋部側板
11 右蓋部側板
12 折返係止片
13 蓋部重合貼着板
14、15 天部係合片
16、17 底部係合片
18 開口貼着片
L1〜L4、L13〜L16 横折線
L5〜L10 縦折線
L11 折返横折線
L12 仰開用横折線
L17〜L24 廃棄用斜め折線
L25、L26 廃棄用横折線
L27、L28 廃棄用縦折線
T 交差破断線
U 緩衝破断線
V エンボス加工部
X 前面破断線
Y、Z 側面傾斜破断線
m 繋止切込
n 繋止溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横折線を介して順設される蓋部前板、天板、後板、底板、前板と、前記蓋部前板の左右両側端に左右蓋部側板が延設され、前記後板の左右両側端には両端に折線を介してそれぞれ耳片を設けた左右重合側板が縦折線を介して延設され、同じく前記前板の左右両側端に縦折線を介して左右側板が延設され、また前記前板の他方の端部に少なくとも一箇所の折返横折線を介して連設される折返係止片と、前記蓋板の他方の端部に横折線を介して前記蓋板の内面に貼着される蓋部折返板が連設され、さらに前記後板上端で該後板を蓋部後板とに分設する仰開用横折線と、該仰開用横折線の両端からそれぞれ前記左右重合側板の上端を左右重合側板貼着部とに分設する側面傾斜破断線が穿設されたブランクにおいて、前記天板と前記底板には、それぞれ4つの角から内側に隣接する辺の折線に対して略45度の角度で形成されV字状に交差する廃棄用斜め折線と、それぞれ前記天板と前記底板内で前記斜め折線がそれぞれV字状に交差する2点を結んで形成された廃棄用横折線と、前記天板でそれぞれV字状に交差する2点をそれぞれ起点とし前記後板を縦断して前記底板でそれぞれV字状に交差する2点をそれぞれ終点とする廃棄用縦折線を設けてなり、前記ブランクを折り曲げ前記左右重合側板および左右側板をそれぞれ貼着し、前記蓋部重合貼着板を逆折りして前記蓋板内側に貼着するとともに、前記左右蓋部側板をそれぞれ前記左右重合側板貼着部に貼着して組み立て構成されることを特徴とする廃棄時に減容化可能な紙箱。
【請求項2】
前記蓋部折返板の中央近傍が前記前板の上端中央近傍に仮接着して組み立て構成されることを特徴とする請求項1記載の廃棄時に減容化可能な紙箱。
【請求項3】
前記折返係止片の端縁が再閉鎖時に当接する前記蓋部折返板の端縁近傍面にエンボス加工部分を設けてなることを特徴とする請求項1記載の廃棄時に減容化可能な紙箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−126158(P2010−126158A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−298912(P2008−298912)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】