説明

廃棄物再生機能を有する自走車輌

【課題】集めた容器廃棄物の迅速な分断処理を確保した上で容器廃棄物の表面に巻き付けられているラベルの剥離回収を効率的に行い得るようにする。
【解決手段】再生使用し得る材料であるPETからなるペットボトルPを回収しながら当該ペットボトルPをチップP3にするまで分解処理する廃棄物再生機能を有する自走車輌としてのファクトリートラック10に関するものであり、投入部20を介して順次送り込まれたペットボトルPを整列させる整列部30と、整列部30で整列されたペットボトルPを裁断してチップ化するチップ化処理部40と、チップ化処理部40で製造されたチップを貯留するチップ貯留部80とが荷台12に装備されている。ペットボトルPは、圧縮装置56で圧縮処理が行われるに先だって、分断装置51において分断処理が実効される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行しながら回収した容器廃棄物に再生のための処理を所定の段階まで施し得るように構成された、廃棄物再生機能を有する自走車輌に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、使用済みのペットボトルなどの容器廃棄物は、廃棄物回収車により集められて一旦中間処理場に荷下ろしされ、ここで圧縮処理やチップ化処理等の減容処理が実行される。この減容処理が施された容器廃棄物は、中間処理場から最終処分場としてのリサイクル工場に搬送され、ここで減容された容器廃棄物に再生のための最終処分が施されるのが一般的である。
【0003】
しかしながら、このような容器廃棄物のリサイクルシステムでは、中間処理場を建設するべく莫大な投資が必要になるという不都合が存在する。かかる不都合を解消するべく、特許文献1〜3においては、自走車輌である廃棄物回収車で集めた容器廃棄物に車上で減容処理を施すことが提案されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1のものは、ペットボトルを単に圧縮して減容するだけのものであるため、最終工場でチップ化しなければならなくなる場合があるなど容器廃棄物の中間処理としては不十分であるという問題点を有している。
【0005】
これに対し特許文献2および3のものは、荷台の最後尾に設けられた裁断装置によってペットボトルを裁断処理し得るようになされている。しかしながら、作業者がペットボトルを一々1本ずつ手作業で裁断処理に差し入れて裁断処理しなければならず、作業性が劣るという問題点を有している。
【0006】
このような従来の問題点を解消するべく、本発明の発明者は、先に特許文献4に記載されているような廃棄物再生機能を有する自走車両を発明した。この自走車両の荷台には、容器廃棄物が整列される整列部が設けられ、整列状態の容器廃棄物に順番にチップ化処理が施されるようになされている。従って、従来のように作業者が回収した容器廃棄物を1つずつ手作業で裁断装置に供給してチップ化するという面倒な作業を行う必要がなくなり、自走車輌を用いた容器廃棄物のチップ化処理の作業効率を大幅に向上させることができ、結果として容器廃棄物の効率的な再生処理に貢献することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−291603号公報
【特許文献2】特開平10−249857号公報
【特許文献3】特開平10−250802号公報
【特許文献4】特開2009−62172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献4に記載の自走車両にあっては、容器廃棄物をチップ化処理するに当たって、まず、最初に容器廃棄物に圧縮処理を施し、扁平になった容器廃棄物を鋸刃によって縦に分断した後に当該分断片に対しチップ化処理を施すことが行われている。
【0009】
しかしながら、最初に容器廃棄物に圧縮処理を施すと、容器廃棄物の表面に巻き付けられているラベルがさらに強固に容器本体に押し付けられて剥がれ難くなり、結果として分断処理時に副次的に機能するラベルの剥離作用が良好に行われなくなるという問題点が存在することが判明した。
【0010】
また、容器廃棄物を鋸刃によって切断するとなると、多大の時間を要し、効率的な切断処理を行うことができないという問題点も存在する。
【0011】
本発明は、従来のこのような状況に鑑みなされたものであって、集めた合成樹脂製の使用済みボトルの迅速な分断処理を確保した上で、当該使用済みボトルの表面に巻き付けられているラベルを確実に剥がすことが可能であり、これにより裁断されてチップ化された回収物中へのラベルの混入を確実に防止することができる廃棄物再生機能を有する自走車輌を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1記載の発明は、積み込まれた合成樹脂製の使用済みボトルを所定の段階まで分解処理する廃棄物再生機能を有する自走車輌であって、順次投入された使用済みボトルを整列させる整列部と、前記整列部で整列された使用済みボトルを裁断してチップ化するチップ化処理部と、前記チップ化処理部で製造されたチップを貯留するチップ貯留部とが荷台に装備され、前記チップ化処理部は、前記整列部で整列された使用済みボトルを分断して回収対象物と付属物とに分別する分別部と、前記分別部で分別された回収対象物を裁断処理してチップ化する裁断部と、前記分別部で分別された付属物を貯留する付属物貯留部とを備え、前記分別部は、前記使用済みボトルを少なくとも2つに分断する分断装置と、この分断装置によって使用済みボトルが分断されるに際し分離された付属物を回収する付属物回収部と、前記分断装置により分断されて得られた前記回収対象物を圧縮する圧縮装置とを備えていることを特徴とする廃棄物再生機能を有する自走車輌である。
【0013】
かかる構成によれば、自走車両の荷台に積み込まれた合成樹脂製の使用済みボトルは、まず、整列部で処理し易いように整列された後、分別部の分断装置によって、圧縮処理が程こされる前に少なくとも2つに分断される。分断によって得られた回収対象物は、分離部の圧縮装置によって圧縮された後、裁断部で裁断されてチップ化され、チップ貯留部に貯留される。
【0014】
一方、使用済みボトルが分断装置によって分断されるに際し切断されたラベル等の付属物は、ボトルの本体である回収対象物から外されて付属物回収部に回収される。
【0015】
そして、使用済みボトルは、まず、圧縮処理される前の、ラベルやキャップ等の付属物を分離しやすい状態のときに少なくとも2つに分断されるため、圧縮処理が先に行われると、キャップやラベルなどの付属物が回収対象物に強固に張り付いてしまって分離し難くなるような不具合の発生が有効に防止され、使用済みボトルから付属物を容易に取り除くことができる。
【0016】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記分断装置は、前記使用済みボトルをプレス処理により分断するプレス分断機を有していることを特徴とするものである。かかる構成によれば、使用済みボトルは、プレス分断機によって極めて迅速に分断されるため、分断処理がネックになって使用済みボトルを対象としたチップ化処理の処理効率が低下するような不都合が生じない。
【0017】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記分別部の一部を振動させる振動機構が設けられていることを特徴とするものである。
【0018】
かかる構成によれば、使用済みボトルに対し分別処理が施されつつあるときに、振動機構を駆動させて分別部の一部を振動させることにより、使用済みボトルも振動するため、この振動に誘発されて切断されたキャップやラベル等の付属物を使用済みボトルから容易に分離させることができる。
【0019】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、前記付属物回収部は、前記使用済みボトルに巻き付けられていたラベル類を吸引除去する吸引装置を有していることを特徴とするものである。
【0020】
かかる構成によれば、ボトルにラベル類が巻き付けられている場合、ボトルの分断処理によりラベル類も切断されてボトルから分離される。そして、この分離され易くなったラベル類は、吸引装置による気流に誘引されて引き剥がされて吸引除去される。このように、ラベル類を吸引し得るように吸引装置を設けることで、たとえボトル本体にラベル類が巻き付けられていても、このラベル類がボトル本体側から取り除かれるため、回収対象物側に材質の異なるラベル類が混入するような不都合の発生を有効に防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る廃棄物再生機能を有する自走車輌によれば、集められた合成樹脂製の使用済みボトルは、整列部に順次投入されることにより整列されて直列に並び、この状態でチップ化処理部に送り込まれて裁断処理されてチップ化されるため、従来のように作業者が回収した容器廃棄物を一々1つずつ手作業で裁断装置に供給してチップ化するという面倒な作業を行う必要がなくなり、結果として自走車輌を用いた容器廃棄物のチップ化処理の作業性を大幅に向上することができるとともに、チップ化処理の効率的を達成することができる。
【0022】
そして、このような使用済みボトルのチップ化処理において、使用済みボトルは、圧縮処理に先だってラベルやキャップ等の付属物が分離しやすい状態で分断処理が行われるため、キャップやラベルなどの付属物が回収対象物に強固に張り付いてしまって分離し難くなるような不具合の発生を有効に防止することができ、使用済みボトルから付属物をより効果的に取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る第1実施形態のファクトリートラックを説明するための側面視の説明図である。
【図2】図1に示すファクトリートラックの平面視の説明図である。
【図3】整列部の一実施形態を示す斜視図である。
【図4】分断装置および圧縮装置の双方にペットボトルが存在しない無負荷の状態の分別部を示す一部切り欠き斜視図である。
【図5】図4に示す分別部の分断装置にペットボトルが供給された状態を示す一部切り欠き斜視図である。
【図6】図4に示す分別部の分断装置に供給されたペットボトルにプレス分断機による分断処理が施された状態を示す一部切り欠き斜視図である。
【図7】図4に示す分別部の圧縮装置で2つに分断されたボトル本体に圧縮処理が施されつつある状態を示す一部切り欠き斜視図である。
【図8】裁断部の一実施形態を示す斜視図である。
【図9】容器廃棄物のチップ化処理を効率的に実行するためのファクトリートラックの運行方法を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明に係るファクトリートラック10の一実施形態を説明するための側面視の説明図であり、図2は、その平面視の説明図である。なお、図1および図2においてX−X方向を左右方向、Y−Y方向を前後方向といい、特に−X方向を左方、+X方向を右方、−Y方向を前方、+Y方向を後方という。
【0025】
ファクトリィトラック(廃棄物再生機能を有する自走車輌)10は、回収されるべき容器廃棄物として合成樹脂製のボトルの一種であるペットボトル(PET(Polyethylene terephthalate)bottle、使用済みボトル)Pの使用済みのものを対象としてチップ化処理を施すものである。
【0026】
図1および図2に示すように、ファクトリートラック10は、エンジンや運転席等を有するキャビン部11と、このキャビン部11の後部に連設された荷台12とを備えている。かかるファクトリートラック10は、荷台12に空のペットボトルPを投入して貯留する、荷台12の後部位置に設定された投入部20と、この投入部20から引き出されたペットボトルPを処理し易いように整列させる整列部30と、この整列部30で直列に整列されたペットボトルPに対し順次チップ化処理を施すチップ化処理部40と、このチップ化処理部40でチップ化されることにより得られたチップP3を貯留するチップ貯留部80とが装備されることによって構成されている。
【0027】
そして、これら投入部20、整列部30およびチップ貯留部80は、全体的に外観視で直方体状を呈するカバー体13によって覆われている。カバー体13の内面側には、例えば発泡性合成樹脂などからなる防音材131が施工され、これによってカバー体13の内部で発生した騒音の外部への漏洩を防止している。
【0028】
カバー体13の後面には、その略全面に亘ってペットボトルPを投入するための投入開口132が設けられているとともに、この投入開口132を閉止することができる開閉可能なリヤドアー133が設けられている。このリヤドアー133は、普段は閉止されているが、ペットボトルPを投入部20に投入するに際し図1に示すように開放される。
【0029】
前記投入部20は、荷台12の後端部に据え付けられた投入ホッパー21と、この投入ホッパー21に付設されたベルトコンベヤ22とを備えている。前記投入ホッパー21は、図2に示すように、平面視で矩形状を呈し、上下寸法がカバー体13の上下寸法の略1/2に設定されているとともに、投入ホッパー21の構成要素である前方の板が、図1に示すように、先上がりに傾斜した(本実施形態では略60°に傾斜した)傾斜板211とされている。
【0030】
前記ベルトコンベヤ22は、投入ホッパー21内における傾斜板211の直後方で軸心が左右方向に延びるように配設された駆動ローラ221と、この駆動ローラ221の若干前方の上部で、かつ、カバー体13の天板と干渉しないように当該駆動ローラ221と対向配置された従動ローラ222と、これら駆動ローラ221および従動ローラ222間に張設された無端ベルト223とを備えている。
【0031】
前記駆動ローラ221は、第1駆動モータ224の駆動で反時計方向に向けて駆動回転する。従って、第1駆動モータ224が駆動されることによる駆動ローラ221の駆動によって駆動ローラ221および従動ローラ222間に張設されている無端ベルト223が両ローラ221,222間で反時計方向に向けて周回することになる。
【0032】
そして、前記無端ベルト223の表面側には、その長手方向に向けて所定ピッチで複数枚の引っ掛け突片223aが設けられている。従って、無端ベルト223が反時計方向に向けて周回すると、投入ホッパー21内に貯留されているペットボトルPは、この引っ掛け突片223aに引っ掛けられた状態で上方に向かって搬送され、無端ベルト223が従動ローラ222の位置で折り返されるときに整列部30へ供給される。
【0033】
前記整列部30は、投入ホッパー21から無端ベルト223の周回によって送り込まれたペットボトルPを直列に整列させて以後の処理の容易化を図るためのものである。以下、整列部30について図3を基に必要に応じて図1および図2を参照しながら説明する。図3は、整列部30の一実施形態を示す斜視図である。なお、図3におけるXおよびYによる方向表示は、図2の場合と同様(−X:左方、+X:右方、−Y:前方、+Y:後方)である。
【0034】
図3に示すように、整列部30は、投入部20からのペットボトルPを受け入れる整列ホッパー31と、この整列ホッパー31の底部に前後方向へ延びるように前方に向けて先下がりで敷設された複数本の整列ローラ32と、これら複数本の整列ローラ32を同時に軸心回りに同一方向に向けて回転させる第2駆動モータ33と、この第2駆動モータ33の駆動力を各整列ローラ32に伝達する駆動力伝達機構34とを備えている。
【0035】
前記整列ホッパー31は、左右方向一対の側板311と、これら一対の側板311の前縁部間に架設された前板312と、各側板311の後縁部間に架設された後板313と、各側板311の前後方向の略中央位置から前方に向かって漸次互いに接近し合うように延設された左右方向一対のガイド板314とを備えている。
【0036】
前記後板313は、上縁部が側板311の上縁部より若干低めに設定されている。この低めに設定された部分に前記無端ベルト223の上端部が嵌め込まれ、これによって無端ベルト223により運び込まれたペットボトルPが整列ホッパー31へ確実に受け渡されるようになっている。
【0037】
前記前板312は、上縁部が側板311の上縁部と面一に設定されているのに対し、下縁部が整列ローラ32の上面よりペットボトルPが通過し得る分だけ離間して設けられている。前記ガイド板314は、上縁部が側板311の上縁部と面一とされているとともに、下縁部が整列ローラ32の上面と略摺接されている。かかる各ガイド板314の前端縁は、前後方向に向いたペットボトルPが通過し得る距離だけ互いに離間している。従って、各ガイド板314間の前端位置には、前後方向に向いたペットボトルPを1つだけ通過させ得るボトル通過開口315が形成された状態になっている。
【0038】
前記整列ローラ32は、前記一対の側板311間に前方に向かって先下がりになるように複数本が傾斜して並設されている。かかる各整列ローラ32は、それぞれ中心位置に同心で一体回転可能に貫通されたローラ軸321を有している。各ローラ軸321は、その前後が図略のフレームに摺接状態で貫通され、これによって各整列ローラ32はローラ軸321回りに一体回転することができる。
【0039】
前記第2駆動モータ33は、整列ホッパー31の前端における左右方向の一方の側部より若干外方に寄った位置に前後方向に延びた状態で横置きで据え付けられ、その駆動力が駆動力伝達機構34を介して各整列ローラ32に伝達される。
【0040】
前記駆動力伝達機構34は、第2駆動モータ33の駆動軸に同心で一体回転可能に外嵌された駆動スプロケット341と、各ローラ軸321に同心で一体回転可能に外嵌された複数の従動スプロケット342と、これら各従動スプロケット342および前記駆動スプロケット341に掛け回された無端チェーン343とを備えている。
【0041】
前記駆動スプロケット341は、整列ホッパー31の前板312の下端左方の外側において、駆動軸が整列ローラ32と平行で、かつ、そのローラ軸321と左右方向で重なり合うように傾斜して据え付けられている。前記駆動スプロケット341は、このような第2駆動モータ33の駆動軸に同心で一体回転可能に外嵌されている。また、前記各従動スプロケット342は、前記駆動スプロケット341と同一高さ位置で各ローラ軸321にそれぞれ同心で一体回転可能に取り付けられている。
【0042】
かかる駆動力伝達機構34によれば、第2駆動モータ33を駆動させることにより、この駆動力は、駆動スプロケット341および無端チェーン343を介して各従動スプロケット342伝達され、これによって各整列ローラ32は、ローラ軸321回りに同一方向に向けて一斉に回転する。
【0043】
従って、第1駆動モータ224の駆動による無端ベルト223の周回で投入部20から整列部30へ搬入されたペットボトルPは、これら各整列ローラ32の同一方向に向かう回転に誘導されて逆方向に回転され、これによって前後方向に向くように姿勢設定される。そして、前後方向に向いたペットボトルPは、整列ローラ32の前方へ向かう先下がりの傾斜を滑り降り、一対のガイド板314によって左右方向の中央部へ誘導され、1本ずつがボトル通過開口315を通ってチップ化処理部40へ供給される。
【0044】
前記チップ化処理部40は、図1および図2に示すように、前記整列部30から供給された1本ずつのペットボトルPを、ボトル本体(回収対象物)P1とキャップやラベル等の付属物P2とに分別する分別部50と、この分別部50で分別されたボトル本体P1に対し裁断処理を施してチップP3にする裁断部60とを備えている。前記付属物P2としては、ボトル本体P1に付設されている口金やキャップ、さらには胴部に巻き付けられていた環状ラベル等を挙げることができる。
【0045】
そして、これらの付属物P2の内のキャップ等は、通常、PET(Polyethylene terephthalate)製のボトル本体P1とは異なる合成樹脂材料で形成されている場合が多く、またラベルは紙製であるため、かかる付属物P2がPETからなるチップP3に混入すると、当該材料がチップP3の再生処理時に不純物となって当該再生処理の障害になる。かかる障害を除くべく、分別部50において付属物P2が分別されるのである。
【0046】
以下、図4〜図7を基に必要に応じて図1〜図3を参照しながら分別部50について説明する。図4〜図7は、分別部50の一実施形態を説明するための一部切り欠き斜視図であり、図4は、分別部50の構成要素である分断装置51および圧縮装置56の双方にペットボトルPが存在しない無負荷の状態、図5は、分断装置51にペットボトルPが供給された状態、図6は、分断装置51においてペットボトルPが2つに分断された状態、図7は、2つに分断されたボトル本体P1に圧縮装置で圧縮処理が施されつつある状態をそれぞれ示している。なお、図4〜図7におけるXおよびYによる方向表示は、図3の場合と同様(−X:左方、+X:右方、−Y:前方、+Y:後方)である。
【0047】
図4に示すように、分別部50は、ペットボトルPを縦に2つに分断する分断装置51と、この分断装置51によって縦に2つ割れにされたボトル本体P1に圧縮処理を施す圧縮装置56の破断片と付属物P2の破断片とを篩い分ける篩分装置(付属物回収部)58とを備えている。
【0048】
分断装置51によって分断されることによりボトル本体P1から分離されたラベルや、分断装置51では分離されなかったが圧縮装置56において分離されたラベルは、後述の吸引装置(付属物回収部)70によって吸引除去される。
【0049】
前記分断装置51は、整列部30からのペットボトルPを受けて分別部50へ引き継ぐ樋部材52と、この樋部材52によって送り込まれたペットボトルPを受ける受け台座53と、この受け台座53によって受けられたペットボトルPに分断処理を施すプレス分断機54と、前記受け台座53に供給されたペットボトルPがオーバーランしないように当該受け台座53の下流端に設けられたストッパ部材55とを備えている。
【0050】
前記樋部材52は、整列ホッパー31の下流端においてボトル通過開口315に対向して設けられ、前方に向かって整列ローラ32と同一の傾斜角度で先下がりに設定されている。かかる樋部材52の端面視の曲率径寸法は、ペットボトルPの外径寸法と略同一に設定されている。これによって整列ホッパー31からボトル通過開口315を介して排出されたペットボトルPは、安定した状態で当該樋部材52上を滑落し、受け台座53へ供給される。
【0051】
前記受け台座53は、前後方向に延びる中心線を境にして外観形状が左右対称で形成された左右一対の受けブロック531と、これら一対の受けブロック531の対向位置にそれぞれ設けられた各複数の搬送ローラ532と、これら各複数の搬送ローラ532を軸心回りに駆動回転させる駆動機構533とを備えている。
【0052】
前記一対の受けブロック531は、後述の分断刃541を通し得る隙間531aを介して互いに対向されている。かかる各受けブロック531の対向面の上部には、上方の角部が端面視で円弧状に切り欠かれることによって形成した前後方向の全長に亘る円弧面部531bがそれぞれ形成されている。これらの円弧面部531bは、曲率径寸法がペットボトルPの径寸法と略等しく設定され、それぞれ1/4円状とされている。従って、左右の円弧面部531bを合わせると、端面視で半円状になっている。
【0053】
このような各円弧面部531bには、互いに対向した上角部に、前記搬送ローラ532を装着するための装着凹部531cが複数凹設されている。これらの装着凹部531cは、搬送ローラ532が嵌め込まれた状態で、当該搬送ローラ532の上面のみが外部に露出するように凹設位置が設定されている。また、左右で対向した各搬送ローラ532の対向面間の隙間寸法は、前記一対の受けブロック531間の隙間531aの寸法と同一に設定されている。
【0054】
左右で対向した各搬送ローラ532には、それぞれ対向面から同心で反対方向へ向けて延びたローラ軸532aが設けられている。一方、各受けブロック531には、ローラ軸532aを左右方向へ向けて貫通させるための貫通孔531dが貫設されている。搬送ローラ532は、長さ寸法が貫通孔531dのそれより若干長めに設定されている。従って、装着凹部531c側からローラ軸532aを差し込むことにより、当該ローラ軸532aの先端が外部へ突出する。
【0055】
前記駆動機構533は、各搬送ローラ532を駆動回転させるためのものであり、左右の搬送ローラ532を対象として左右一対で設けられている。但し、図4〜図6では、図示の都合上、右側のもののみが示されている。
【0056】
かかる駆動機構533は、各受けブロック531の後端側の近傍にそれぞれ左右方向に向けて横置きで据え付けられた左右一対の第2駆動モータ534と、各第2駆動モータ534の駆動軸534aに同心で一体回転可能に外嵌された駆動ギヤ535と、前記各ローラ軸532aの先端に同心で一体回転可能にそれぞれ外嵌された複数の従動ギヤ536と、これら複数の従動ギヤ536および前記駆動ギヤ535に掛け回された無端チェーン537とを備えている。
【0057】
かかる駆動機構533によれば、受け台座53を反時計方向に向けて駆動させると、この駆動力は、駆動軸534a、駆動ギヤ535、無端チェーン537、従動ギヤ536およびローラ軸532aを介して搬送ローラ532に伝達され、これによって各搬送ローラ532は、それぞれローラ軸532a回りに反時計方向に向けて回転する。従って、搬送ローラ532が回転した状態でペットボトルPが受け台座53上に供給されると、ペットボトルPは、搬送ローラ532の回転に誘導されて受け台座53の円弧面部531b上をストッパ部材55に到達するまで前方に向かって移動し、図5に示すように、ストッパ部材55に当止して受け台座53上にセットされる。この状態でペットボトルPは、図6に示すように、プレス分断機54により縦に2つに分断される。
【0058】
前記プレス分断機54は、前記左右の受けブロック531間の隙間531aに上方で対向するように配設される分断刃541と、この分断刃541を保持する刃保持ケーシング542とを備えている。前記分断刃541は、長さ寸法が前記隙間531aの長さ寸法と同一に設定されているとともに、厚み寸法が隙間531aの寸法よりも薄く設定されている。
【0059】
前記刃保持ケーシング542内には、油圧あるいは電力等で動作する図略の昇降機構が設けられている。この昇降機構の駆動で分断刃541は昇降する。従って、分断刃541が上方位置に位置設定された状態でペットボトルPが受け台座53の円弧面部531b上へ運び込まれると、当該ペットボトルPは、図5に示すように、その上面が分断刃541の刃先に対向した状態になる。
【0060】
この状態で、刃保持ケーシング542内の昇降機構を駆動させて分断刃541を下降させると、ペットボトルPは、図6に示す容易に、当該分断刃541によって縦方向に2つに分断される。この分断によって、ペットボトルPに装着されていたキャップや巻き付けられていた環状ラベル等の付属物P2がボトル本体P1から外され、これによってペットボトルPはボトル本体P1と付属物P2とに分離された状態になる。
【0061】
そして、ラベルは、吸引装置70によって吸引除去されるとともに、キャップは、ボトル本体P1が圧縮装置56によって圧縮処理されるときに分離されて回収される。
【0062】
前記ストッパ部材55は、図4に示すように、油圧または空気圧でピストンロッド552を上下動させる縦置きのシリンダ551と、前記ピストンロッド552の上端部に固定されたストッパ板553とを備えて構成されている。シリンダ551は、受け台座53の前端における左右方向の中央部の下方位置において、ピストンロッド552が上昇したときストッパ板553が左右の受けブロック531の各円弧面部531bの前端を閉じるとともに、ピストンロッド552が下降したとき、円弧面部531bの前端を開放し得るように設置位置が設定されている。
【0063】
また、受けブロック531の前方寄りの位置の適所には、円弧面部531bにペットボトルPが存在することを検出するボトル検出センサ538が設けられている。そして、このボトル検出センサ538がペットボトルPを検出したとき、この検出信号に基づきプレス分断機54が駆動されて刃保持ケーシング542から分断刃541が下降し、これによってペットボトルPが縦に2つに分断される。分断された後、ストッパ部材55のシリンダ551の駆動によるピストンロッド552の下降でストッパ板553も下降され、これによって受け台座53上の2つに分断されたボトル本体P1は、搬送ローラ532の駆動回転で圧縮装置56へ向けて送り出される。
【0064】
前記圧縮装置56は、図4に示すように、ペットボトルPを圧縮するための圧縮ローラ装置57と、この圧縮ローラ装置57による圧縮処理を受け台座として補佐するとともに、ボトル本体P1を篩い上産物とし付属物P2を篩い下産物として篩い分ける篩分装置58とを備えて構成されている。
【0065】
前記圧縮ローラ装置57は、分断装置51の下流端に設けられたストッパ板553の直前方位置に配設されている。かかる圧縮ローラ装置57は、前後方向に延びた圧縮ローラ571と、この圧縮ローラ571をローラ軸571a回りに回転させる回転機構572とを備えている。
【0066】
前記回転機構572は、圧縮ローラ571の左方の外方位置において横置きで据え付けられた第3駆動モータ573と、この第3駆動モータ573の駆動軸と前記圧縮ローラ571のローラ軸571aとの間に介設された減速ギヤ機構574とを備えている。そして、第3駆動モータ573の駆動力が減速ギヤ機構574を介してローラ軸571aに伝達され、これによる圧縮ローラ571のローラ軸571a回りに時計方向へ向かう回転によって、分断装置51から送り込まれた2つ割れ状態のボトル本体P1が篩分装置58との間で圧縮処理される。
【0067】
前記篩分装置58は、圧縮ローラ571によるボトル本体P1の圧縮処理時に台座として使用されるとともに、圧縮状態のボトル本体P1とキャップなどの付属物P2とを分離するためのものであり、前方に向かって先下がりに傾斜して設けられている。かかる篩分装置58は、矩形状を呈する枠体581と、この枠体581の内部に縦横に架設された格子体582と、この格子体582に振動を与える振動機構583とを備えている。
【0068】
前記枠体581における前記圧縮ローラ571と対向した位置には、その上縁から左右へ向けて突出した支持軸581aが設けられている。これらの支持軸581aは、軸心回りに回動可能に図略のフレームに支持されている。従って、枠体581は、圧縮ローラ571との干渉が回避された状態で支持軸581a回りに揺動することができる。
【0069】
前記格子体582は、破断された格子目が口金やキャップ等の付属物P2を篩下として通過させることができるが、破断されたボトル本体P1を篩上として篩い分けることができるように格子目の寸法が設定されている。
【0070】
前記振動機構583は、後方側で枠体581の下面を摺接状態で左右方向に横断したカム軸584と、このカム軸584に一体回転可能に外嵌された左右方向一対の偏心カム585と、前記カム軸584を軸心回りに回転させるための第4駆動モータ586とを備えている。第4駆動モータ586の駆動軸は、同心でカム軸584に一体回転可能に連結されている。
【0071】
前記各偏心カム585は、偏心状態の同一位相でカム軸584に固定されているとともに、各周面が枠体581の前後方向に延びる左右一対の各縦杆の前方位置の裏面側に当接されている。従って、第4駆動モータ586の駆動でカム軸584を軸心回りに回転させることにより、各偏心カム585が偏心回転し、これによって格子体582が支持軸581a回りに振動的に正逆回動する。かかる格子体582の揺動によって篩分装置58に供給された破断後の付属物P2は、格子体582の格子目を通って確実に篩い分けられる。
【0072】
一方、前記整列部30の下方位置には、篩分装置58で篩下として篩い分けられた口金やキャップ等の付属物P2を貯留するための付属物貯留部59(図1)が設けられている。この付属物貯留部59には、上面を全面に亘って開放した状態で付属物回収用のフレコンバッグ591が装着されている。そして、篩分装置58で篩い分けられた付属物P2は、このフレコンバッグ591に回収される。フレコンバッグ591が満杯になると、上面開口が閉止された状態で付属物貯留部59から荷下ろしされる。
【0073】
また、本実施形態においては、篩分装置58で分離されたラベルなどの軽量付属物を回収するための吸引装置70が設けられている。この吸引装置70は、分断装置51の左右の各受けブロック531にそれぞれ対向配置された第1吸引フード71と、篩分装置58の枠体581の左右両側部にそれぞれ対向配置された第2吸引フード71′と、各吸引フード71,71′に接続された吸引ダクト72と、この吸引ダクト72の下流端に接続された軽量付属物を回収するための回収部73と、この回収部73の下流端に接続された吸引ブロワ74とを備えている。
【0074】
前記回収部73は、直方体状を呈する内部が空洞のケーシング731と、このケーシング731に着脱自在に装着されるバッグフィルタ732とを有している。
【0075】
かかる吸引装置70によれば、ボトル本体P1に巻き付けられていたシート状の軽量付属物は、ペットボトルPが分断装置51で縦断されることによってボトル本体P1からバラバラ状態で分離される。このバラバラにされたシート状の軽量付属物は、吸引ブロワ74の駆動による気流によって第1吸引フード71に吸引され、吸引ダクト72を介してバッグフィルタ732に捕捉回収されることになる。
【0076】
また、たとえ第1吸引フード71によって吸引されなかったシート状の付属物P2が存在しても、この付属物P2は、下流側の篩分装置58において第2吸引フード71′により吸引されるため、結果としてボトル本体P1から分離された付属物P2は、ボトル本体P1から確実に取り除かれる。
【0077】
図1および図2に戻り、前記裁断部60は、篩分装置58から送り込まれた篩上としての2つ割れのボトル本体P1に、さらに裁断処理を施してチップP3を形成させるためのものである。かかる裁断部60は、篩分装置58の直下流側に設けられている。
【0078】
以下、裁断部60について図5を基に必要に応じて図1〜図4を参照しながら詳細に説明する。図8は、裁断部60の一実施形態を示す斜視図である。なお、図8におけるXおよびYによる方向表示は、図2の場合と同様(−X:左方、+X:右方、−Y:前方、+Y:後方)である。
【0079】
図8に示すように、裁断部60は、互いに噛合した上下一対の裁断用ギヤ61と、これら一対の裁断用ギヤ61を回転させるための第5駆動モータ62と、この第5駆動モータ62と前記裁断用ギヤ61との間に介設された減速ギヤ63とを備えている。
【0080】
前記各裁断用ギヤ61は、前記篩分装置58より左右方向に長尺に設定されている。かかる裁断用ギヤ61は、それぞれギヤ軸611と、各ギヤ軸611に同心で一体回転可能に外嵌されたギヤ本体612とを備えている。ギヤ本体612には、周面に周方向に等ピッチで複数のギヤ刃613が形成されている。これらのギヤ刃613の先端は先鋭に形成されている。従って、これら上下の裁断用ギヤ61の噛合位置に供給された破断処理後のボトル本体P1は、ギヤ刃613の噛合位置において各ギヤ刃613により裁断されてチップP3が形成される。
【0081】
前記第5駆動モータ62は、駆動軸621が左右方向に延びるように横置きで一方の裁断用ギヤ61(図8に示す例では上方の裁断用ギヤ61)の左方位置に据え付けられている。前記減速ギヤ63は、駆動軸621に同心で一体回転可能に外嵌された小径ギヤ631と、一方(図8の例では上方)のギヤ軸611に同心で一体回転可能に外嵌された、小径ギヤ631に噛合する大径ギヤ632とからなっている。
【0082】
従って、第5駆動モータ62の駆動は、駆動軸621、小径ギヤ631および大径ギヤ632を介して上方のギヤ軸611に伝達され、これによる上方の裁断用ギヤ61の回転により、当該裁断用ギヤ61に噛合している下方の裁断用ギヤ61も回転する。これら一対の裁断用ギヤ61の回転により、これらの噛合位置に供給された破断処理済みのボトル本体P1は裁断され、チップP3が形成される。
【0083】
前記チップ貯留部80は、裁断部60の直下流側(前方位置)に設けられている。かかるチップ貯留部80は、上面全面が開放された直方体状のチップ貯留容器81と、上面が開放状態でこのチップ貯留容器81に装着されるチップP3用のフレコンバッグ82とを備えている。そして、ボトル本体P1が前記裁断部60で裁断されることによって形成されたチップP3は、フレコンバッグ82内に回収される。
【0084】
以上詳述したように、上記の実施形態に係るファクトリートラック10は、再生使用し得る材料であるPETからなるペットボトルPを回収しながら当該ペットボトルPをチップP3にするまで分解処理する廃棄物再生機能を有する自走車輌としてのファクトリートラック10に関するものであり、投入部20を介して順次送り込まれたペットボトルPを整列させる整列部30と、整列部30で整列されたペットボトルPを裁断してチップ化するチップ化処理部40と、チップ化処理部40で製造されたチップを貯留するチップ貯留部80とが荷台12に装備されている。
【0085】
かかる構成によれば、回収されたペットボトルPは、整列部30に順次投入されることにより整列されて直列に並び、これによって以後の処理が容易な状態になってチップ化処理部40に送り込まれ、ここで裁断処理されてチップ化される。そして、得られたチップは、チップ貯留部80に貯留される。
【0086】
このように、自走車輌の荷台12には、ペットボトルPが整列される整列部30が設けられ、整列状態のペットボトルPに順番にチップ化処理が施されるようになされているため、従来のように作業者が回収したペットボトルPを一々1つずつ手作業で裁断装置に供給してチップ化するという面倒な作業を行う必要がなくなり、結果として自走車輌を用いたペットボトルPのチップ化処理の作業性を大幅に向上されることができ、ペットボトルPのチップ化処理の大幅な効率アップを図ることができる。
【0087】
そして、特に本実施形態においては、ペットボトルPは、圧縮装置56で圧縮処理が行われるに先だって、ラベルやキャップ等の付属物P2を分離しやすい状態のときに分断装置51において分断処理が実効されるため、圧縮処理が先に行われると、キャップやラベルなどの付属物が回収対象物に強固に張り付いてしまって分離し難くなるような不具合の発生が有効に防止され、ペットボトルPからラベル等の付属物P2を効果的に取り除くことができるという格別の作用効果を奏することができる。
【0088】
また、篩分装置58には、枠体581を振動させる振動機構583が設けられているため、当該振動機構583を駆動させて枠体581を振動させることにより、ペットボトルPも同時に振動させることができ、この振動に誘発されて切断されたキャップやラベル等の付属物P2をボトル本体P1から容易に分離させることができる。
【0089】
また、篩分装置58は、ボトル本体P1を篩上として回収する一方、キャップ等を篩下として回収するように構成されているため、分断装置51により縦断された状態のペットボトルPを篩分装置に供給することにより、分断処理で得られた2つ割れ状態のペットボトルPは、篩上として回収される一方、容量の小さいキャップや口金等の付属物P2は、篩下として篩い分けられる。このように、分離装置として篩分装置58を採用することにより、分離装置を簡単な構造のものにした上で、ボトル本体P1と付属物P2とを確実に分離処理することができる。
【0090】
さらに、付属物回収部としてペットボトルPに巻き付けられていたラベル類を吸引除去する吸引装置70を有しているため、ペットボトルPの分断処理により同時に切断されたラベル類は、吸引装置70による気流に誘引されて引き剥がされ、吸引装置70に吸引されて除去される。従って、ラベル類がチップP3に混入するような不都合の発生を有効に防止することができる。
【0091】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
【0092】
(1)上記の実施形態においては、ペットボトルPがファクトリートラック10の投入部20へ一旦投入されるようになされているが、投入部20をもうけることなく、ペットボトルPを整列部30へ直接投入するようにしてもよい。
【0093】
(2)上記の実施形態のファクトリートラック10においては、整列部30から下流側の分断装置51にペットボトルPを1本ずつ送り込んで截断処理を行うようになされているが、こうする代わりに樋部材52を複数設け、各樋部材52に入り込んだ複数のペットボトルPに同時に破断処理を施すようにしてもよい。
【0094】
(3)上記の実施形態においては、チップ化処理の対象となる容器廃棄物としてペットボトルPを例として挙げて説明したが、本発明は、容器廃棄物がペットボトルPであることに限定されるものではなく、チップ化処理の対象となるものが他の種類の合成樹脂製の容器廃棄物であってもよい。
【0095】
(4)上記の実施形態においては、ペットボトルPを分断するための部材として上下動する分断刃541を備えたプレス分断機54が採用されているが、本発明は、ペットボトルPの分断処理にプレス分断機54を採用することに限定されるものではなく、鋸刃の往復道でペットボトルPを切断したり、回転している円盤状のカッターにペットボトルPを押し当てることによって当該ペットボトルPを截断したりするような各種の方式の切断機を採用してもよい。
【0096】
(5)上記の実施形態のファクトリートラック10を用いて容器廃棄物のチップ化処理を効率的に実行するためには、図9に示すように、ファクトリートラック10に、チップP3を貯留することが専門のシャトルトラック15を伴走させることが好ましい。その理由は、ファクトリートラック10のチップ貯留部80の容量をそれほど大きくすることができないため、チップ貯留部80が満杯になる都度、ファクトリートラック10をリサイクル工場Fまで戻るのは非常に非効率であるためである。
【0097】
そこで、ファクトリートラック10にシャトルトラック15を伴走させると、ファクトリートラック10のチップ貯留部80が満杯になった都度、現地でファクトリートラック10のチップ貯留部80からチップP3を取り出してシャトルトラック15の荷台に移載することができるため、ファクトリートラック10が一々リサイクル工場Fまで戻る必要がなくなり、その分ファクトリートラック10のチップ化処理効率を向上させることができる。
【0098】
そして、シャトルトラック15は、チップP3で満杯になった時点で当該チップP3をリサイクル工場Fへ搬送するようにすればよい。すなわち、シャトルトラック15は、荷台がチップP3で満杯になる都度、ファクトリートラック10とリサイクル工場Fとの間を往復することになる。
【符号の説明】
【0099】
10 ファクトリートラック(廃棄物再生機能を有する自走車輌)
11 キャビン部 12 荷台
13 カバー体 131 防音材
132 投入開口 133 リヤドアー
15 シャトルトラック 20 投入部
21 投入ホッパー 211 傾斜板
22 ベルトコンベヤ 221 駆動ローラ
222 従動ローラ 223 無端ベルト
223a 突片 224 第1駆動モータ
30 整列部 31 整列ホッパー
311 側板 312 前板
313 後板 314 ガイド板
315 ボトル通過開口 32 整列ローラ
321 ローラ軸 33 第2駆動モータ
34 駆動力伝達機構 341 駆動スプロケット
342 従動スプロケット 343 無端チェーン
40 チップ化処理部 50 分別部
51 分断装置 52 樋部材
53 受け台座 531 受けブロック
531a 隙間 531b 円弧面部
531c 装着凹部 531d 貫通孔
532 搬送ローラ 532a ローラ軸
533 駆動機構 534 第2駆動モータ
534a 駆動軸 535 駆動ギヤ
536 従動ギヤ 537 無端チェーン
538 ボトル検出センサ 54 プレス分断機
541 分断刃 542 刃保持ケーシング
55 ストッパ部材 551 シリンダ
552 ピストンロッド 553 ストッパ板
56 圧縮装置 57 圧縮ローラ装置
571 圧縮ローラ 571a ローラ軸
572 回転機構 573 第3駆動モータ
58 篩分装置(付属物回収部) 581 枠体
581a 支持軸 582 格子体
583 振動機構 584 カム軸
585 偏心カム 586 第4駆動モータ
59 付属物貯留部 591 フレコンバッグ
60 裁断部 61 裁断用ギヤ
611 ギヤ軸 612 ギヤ本体
613 ギヤ刃 62 第5駆動モータ
621 駆動軸 63 減速ギヤ
631 小径ギヤ 632 大径ギヤ
70 吸引装置(付属物回収部) 71 第1吸引フード
71′ 第2吸引フード 72 吸引ダクト
73 回収部 731 ケーシング
732 バッグフィルタ 74 吸引ブロワ
80 チップ貯留部 81 チップ貯留容器
82 フレコンバッグ F リサイクル工場
P ペットボトル(使用済みボトル)
P1 ボトル本体(回収対象物) P2 付属物
P3 チップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積み込まれた合成樹脂製の使用済みボトルを所定の段階まで分解処理する廃棄物再生機能を有する自走車輌であって、
順次投入された使用済みボトルを整列させる整列部と、
前記整列部で整列された使用済みボトルを裁断してチップ化するチップ化処理部と、
前記チップ化処理部で製造されたチップを貯留するチップ貯留部とが荷台に装備され、
前記チップ化処理部は、前記整列部で整列された使用済みボトルを分断して回収対象物と付属物とに分別する分別部と、
前記分別部で分別された回収対象物を裁断処理してチップ化する裁断部と、
前記分別部で分別された付属物を貯留する付属物貯留部とを備え、
前記分別部は、前記使用済みボトルを少なくとも2つに分断する分断装置と、この分断装置によって使用済みボトルが分断されるに際し分離された付属物を回収する付属物回収部と、前記分断装置により分断されて得られた前記回収対象物を圧縮する圧縮装置とを備えていることを特徴とする廃棄物再生機能を有する自走車輌。
【請求項2】
前記分断装置は、前記使用済みボトルをプレス処理により分断するプレス分断機を有していることを特徴とする請求項1記載の廃棄物再生機能を有する自走車輌。
【請求項3】
前記分別部の一部を振動させる振動機構が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の廃棄物再生機能を有する自走車輌。
【請求項4】
前記付属物回収部は、前記使用済みボトルに巻き付けられていたラベル類を吸引除去する吸引装置を有していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の廃棄物再生
機能を有する自走車輌。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−253417(P2010−253417A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−108072(P2009−108072)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【特許番号】特許第4446016号(P4446016)
【特許公報発行日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(596171878)
【Fターム(参考)】