説明

廃棄物処理槽用水分計

【課題】直流電源で動作し、陽極側電極に生じる電解腐蝕を極少に抑制しつつ低価格化と省スペース化に対応する。
【解決手段】バイオトイレの便槽12の側壁1の内面側に相互に離間させて配置する二つの電極2a、2bと、二つの電極2a、2b間に電圧を印可するための直流定電圧電源3、その電極2a、2bへの電圧の印可をオンオフするスイッチ部4及び直流低電圧電源3の電圧を電極2a、2b間の被処理物とで分圧する分圧抵抗器5を備えた電源部6と、二つの電極2a、2b間にかかる電圧を測定する電圧計7a及びその出力をA/D変換するA/D変換部7bとからなる測定部7と、電源部6のスイッチ部4を間欠的にオンとなるように制御し、かつスイッチ部4がオンの時に電圧の値を受け取るべく測定部7を制御する制御部8とで構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオトイレの便槽等を含めた廃棄物処理槽内の被処理物の水分状態を測定するための廃棄物処理槽用水分計に関する。
【背景技術】
【0002】
微生物による主たる分解処理対象が排泄物であるバイオトイレや生ゴミである生ゴミ処理機等の廃棄物処理槽において、微生物による分解活動を良好に維持するためには槽内の被処理物の水分率を常時又は定期的に測定し、容積比で15%〜40%程度に制御することが必要であることはよく知られた事実であり、水分率を制御する手段については多くの提案がなされている。他方、被処理物の水分率を制御するためには、当然、その水分率を測定する手段が必要であるが、これに関してはその具体的な提案が殆どなされていない。
【0003】
特許文献1は、バイオトイレである仮設トイレに関する提案であり、この仮設トイレでは、排泄物が導入される消化槽に微生物が棲息する糞尿処理用木質チップが収容されており、その木質チップの水分率が、除湿手段及び加熱手段で制御されるようになっている。しかし水分率の測定手段に関しては説明がない。
【0004】
特許文献2は、特許文献1と同様に、バイオトイレである仮設トイレに関する提案であり、この仮設トイレでは、排泄物が導入される消化槽に微生物が棲息する糞尿処理用木質チップが収容されており、その木質チップの水分率が、除湿手段、該消化槽内を加熱する加熱手段及び該消化槽内の空気を排出する排気手段で制御されるようになっている。該除湿手段は、前記木質チップの含水率を30〜70%にするように制御されることになっている。しかしこの水分率を測定する測定手段に関しては説明がない。
【0005】
特許文献3は、バイオトイレである移動体内のトイレ用排泄物処理装置に関するものであり、これは、処理槽内の被処理物の水分状態を検出する被処理物水分測定センサを備え、これによってその水分状態を検出し、該水分測定センサの出力に応じて、制御手段により、該処理槽に配してある回転撹拌手段及び排気手段の動作を制御し、該処理槽内の被処理物の水分状態を水分率で40〜70%の範囲に保持して微生物による分解処理が好適に行われるように制御するようになっている。この特許文献3では、前記のように、水分測定センサに関する記述はあるが、市販の水分率測定センサを採用したという以上の説明はなされておらず、具体的な構成は不明である。
【0006】
特許文献4は、土壌に突き刺しうる棒状の構成の土壌水分計である。その先端と長さ方向途中の周側に電極が構成してあり、土壌に突き刺し、両電極間の電気抵抗を測定することで土壌中の水分を測定しようとするものである。その名称のとおり、土壌中に突き刺して簡易に水分を測定するのに適する水分計であり、バイオトイレの便槽や生ゴミ処理機の処理槽中に配して長期間にわたって使用するのには適切ではない。
【0007】
特許文献5は、電気抵抗式水分計に関するものであり、試料皿に穀類試料を載せ、該穀類試料を上部電極及び下部電極で挟んで、該電極間の電気抵抗を測定することにより、該穀類試料の含水率を測定するものである。この特許文献5を含めて穀類の含水率を測定する電気抵抗式水分計は非常に多数の提案があるが、やはり穀類の含水率の測定用であり、それらの電気抵抗測定用の電極は、いずれもバイオトイレの便槽や生ゴミ処理機の処理槽中に配してその被処理物の水分測定用に用いるには適さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4243406号公報
【特許文献2】特許第4243407号公報
【特許文献3】特開2009−233609号公報
【特許文献4】実開昭63−118557号公報
【特許文献5】特開平05−126775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記特許文献4及び5は、基本構成は、電気抵抗式の水分計であり、バイオトイレの便槽や生ゴミ処理機の処理槽中の被処理物である排泄物等の廃棄物の水分率の測定には、以上のような電気抵抗式の水分計を採用するのが適当である。しかしこれらの電気抵抗式の水分計では、測定対象である被処理物中に二つの電極を配し、この間に電流を流し、両電極間にかかる電圧を測定し又は両電極間を流れる電流を測定することによってその間の電気抵抗を得、これに基づいて水分率を得るものであり、この種の水分計は構成が簡単ではあるが、直流電源を用いた場合には、二つの電極のうち、陽極側に電解腐蝕による錆を発生し、比較的短期間の内に破損してしまうという問題がある。
【0010】
このような問題は、直流電源に代えて交流電源を用いれば低減されるが、バイオトイレや生ゴミ処理機の処理槽では、槽中の被処理物の処理のために撹拌手段、排気手段、加温手段及び給水手段等の種々の処理手段を備えており、それらの動作を制御するために制御手段を備えているが、この制御手段は、云うまでもなく、直流定電圧電源を用いており、水分計に交流電源を用いるのは、制御手段とは異なる別個の電源を要するほか、相互の整合性を確保するために回路が複雑になり、かつ回路基板の大型化をもたらす等の問題が生じ、これによって低価格化及び省スペース化の要請に応じることができなくなる等の問題がある。
【0011】
本発明は、以上の問題点を解消し、前記制御手段と同様の直流電源で動作する水分計であって、陽極側電極に生じる電解腐蝕を極少に抑制しつつ低価格化と省スペース化に対応できる廃棄物処理槽用水分計を提供することを解決の課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の1は、廃棄物処理槽の被処理物中に離間させて配置する二つの電極と、
前記二つの電極間に電圧を印可し又は電流を流すための直流電源を備えた電源部と、
前記二つの電極間にかかる電圧又は該二つの電極間を流れる電流を測定する電圧計又は電流計を備えた測定部と、
前記二つの電極間に間欠的に電圧を印加し又は電流を流すべく前記電源部を制御し、かつ該二つの電極間に間欠的に電圧を印加し又は電流を流す際に前記測定部で測定される前記二つの電極間にかかる電圧又は前記二つの電極間を流れる電流の値を水分値として受け取るべく制御する制御部と、
で構成した廃棄物処理槽用水分計である。
【0013】
本発明の2は、本発明の1の廃棄物処理槽用水分計において、
前記電源部に、その直流電源から前記二つの電極に印可する電圧又は流す電流の断続及び該二つの電極間に印可する電圧又は流す電流の極性の切り換えを行いうるスイッチ部を構成し、
前記制御部を、該二つの電極に間欠的に電圧を印加し又は電流を流す毎にその極性を反転させるべく該スイッチ部を制御するように構成したものである。
【0014】
本発明の3は、本発明の2の廃棄物処理槽用水分計において、
前記制御部を、前記二つの電極間に間欠的に電圧を印加し又は電流を流す動作を1〜4時間毎に1回ずつ行うべく、かつ該二つの電極間への各回の電圧を印加する時間又は電流を流す時間を0.3〜0.5秒間とすべく、前記電源部のスイッチ部を制御するように構成したものである。
【0015】
本発明の4は、本発明の請求項3の廃棄物処理槽用水分計において、
前記制御部を、新たな被処理物が導入され、かつ前記廃棄物処理槽中の撹拌手段が動作した場合には、その直後に、前記二つの電極間に、更に0.3〜0.5秒間、電圧を印加し又は電流を流す動作を行うべく、前記電源部のスイッチ部を制御するように構成したものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の1の廃棄物処理槽用水分計によれば、廃棄物処理槽に配されている電極は、常時、被処理物中に配されているものであるが、両電極間を電流が流れる時間は、実際に被処理物中の水分状態を検出する必要のあるその瞬間のみの極めて短時間であるため、その陽極側に生じる腐蝕は容易に進行せず、長期にわたって正常な状態での使用を継続することができる。
【0017】
バイオトイレや生ゴミ処理機においては、その廃棄物処理槽中の被処理物の良好な処理を実現するために、水分状態を検出し、水分率が容積比で15%〜40%の範囲から外れ、この範囲より水分率が高ければ、これを下げてその範囲に入るように、この範囲に入っていればその状態が維持できるように、低ければ、これを上げてその範囲に入るように、この廃棄物処理槽に配してある加温手段、撹拌手段、排気手段手段及び給水手段等の処理手段の各々の動作を制御する。バイオトイレや生ゴミ処理機においては、このような場合のそれらの処理槽中の被処理物の水分率を測定するために廃棄物処理槽用水分計を用いている。
【0018】
廃棄物処理槽用水分計においては、例えば、その出力電圧値が低ければ(出力電流値が高ければ)、抵抗値が低く、被処理物中の水分率が高いことを示しており、この場合には、その程度に応じて、加温手段、撹拌手段及び排気手段を動作させ、給水手段の動作を停止させて水分の割合が低下するように制御する。また逆に廃棄物処理槽用水分計の出力電圧値が高ければ(出力電流値が低ければ)、抵抗値が大きく、被処理物中の水分率が低いことを示しており、この場合には、その程度に応じて、加温手段、撹拌手段及び排気手段の動作を停止させ、給水手段を給水動作させ、水分の割合を上昇させるように制御する。出力電圧値が中間程度であれば(出力電流値が中間程度であれば)、この場合には、水分率が15%〜40%(容積比)の範囲内であり、その程度の水分率を維持すべく、加温手段、撹拌手段及び排気手段を対応するレベルで動作させ、給水手段の動作を適度に制御する。
【0019】
廃棄物処理槽用水分計は、このように、加温手段、撹拌手段、排気手段及び給水手段等の各種の処理手段を動作させて、被処理物中の水分状態を適切な状態に保持するために、その前提として、その水分状態を測定する手段として使用するものであり、廃棄物処理槽の被処理物中に二つの電極を配し、該二つの電極間の被処理物の電気抵抗を測定して、水分状態を推測している。そして、廃棄物処理槽用水分計では、両電極間に電圧をかけ、その間を流れる電流によって生じる電圧降下を測定し、又は両電極間に電流を流し、その間を流れる電流値を測定して、その間の電気抵抗を得るものであるが、そのための電源としては、回路の簡易性等を考慮し、かつ以上の加温手段や撹拌手段等の動作を制御する制御装置と整合性の取り易い直流電源を用いている。
【0020】
廃棄物処理槽用水分計においては、以上の二つの電極は、被処理物から抜き差しするものではなく、常時、被処理物中に配しておくものであり、既存の廃棄物処理槽用水分計においては、常時、その抵抗値を測定すべく、その間に電圧をかけ、電流を流している。前記のように、そのため、その陽極側に電解腐蝕が生じ、短期間の内に、陽極側電極に損傷が生じて使用不能になっているのが実情である。これに対して、本発明の1の廃棄物処理槽用水分計においては、実際に、被処理物の処理を適切に行うために水分状態を知る必要のある最少時間においてのみ二つの電極間に電圧をかけ又は電流を流してその間の抵抗を測定し、水分率を得ることとしたものであり、それ故、前記のように、その陽極側の腐蝕が殆ど進まなくなり、電極を取り替えることなく長期にわたる測定が可能になったものである。
【0021】
本発明の2の廃棄物処理槽用水分計によれば、二つの電極間に電圧を印加し又は電流を流すための電源として直流のそれを用いているにも拘わらず、該二つの電極間に間欠的に電圧を印加し又は電流を流す毎にその極性を反転させるようにしたため、二つの電極には殆ど腐蝕が生じることがなくなるものである。
【0022】
本発明の3の廃棄物処理槽用水分計によれば、各回の二つの電極間への電圧の印加時間又は該二つの電極間に電流を流す時間を、該二つの電極間の抵抗値を測定するほぼ最少限度の時間に限り、かつ該二つの電極間に電圧を印加し又は電流を流す時間間隔を、便槽中の被処理物の処理のために必要なその水分値の測定に支障のないできるだけ長い時間間隔をあけてすることとしたため、該二つの電極の電解腐蝕の発生をより一層生じ難くしたものである。
【0023】
本発明の4の廃棄物処理槽用水分計によれば、定期的に水分率の測定を行うほかに、被処理物の水分率の変化する事情が生じた場合には、その都度、被処理物の均一化の処理を施した上で、その直後に水分率の測定を行うこととしたため、定期的な測定時以外に、被処理物の水分率に変化が生じてもこれが放置されることなく、適切に処理され、常時、良好な水分状態に維持されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】バイオトイレの便槽の側壁に取り付けた実施例1の廃棄物処理槽用水分計の説明図。
【図2】実施例1のバイオトイレ用水分計で行われる被処理物の水分率の定時的な測定動作を示すタイミングチャート図。
【図3】バイオトイレの便槽の側壁に取り付けた実施例2の廃棄物処理槽用水分計の説明図。
【図4】実施例2のバイオトイレ用水分計で行われる被処理物の水分率の定時的な測定動作を示すタイミングチャート図。
【図5】実施例1、2及び比較例が適用する廃棄物処理槽用の概要及び廃棄物処理槽用水分計の取り付け状態を示す断面説明図。
【図6】生ゴミ処理機の処理槽の側壁に取り付けた実施例3の廃棄物処理槽用水分計の説明図。
【図7】バイオトイレの便槽の側壁に取り付けた比較例の廃棄物処理槽用水分計の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
発明を実施するための形態を実施例に基づき図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
<実施例1>
この実施例1の廃棄物処理槽用水分計は、図1に示すように、バイオトイレの便槽12の側壁1に相互に離間させて配置する二つの電極2a、2bと、該二つの電極2a、2b間に電圧を印可するための直流定電圧電源3、スイッチ部4及び分圧抵抗器5を備えた電源部6と、該二つの電極2a、2b間にかかる電圧を測定する電圧計7a及びその出力をA/D変換するA/D変換部7bとからなる測定部7と、前記電源部6のスイッチ部4及び測定部7を制御する制御部8とで構成したものである。
【0027】
前記電極2a、2bは、図1に示すように、それぞれ半球状本体2a1、2b1と、その円形平面状の裏面中央から延びるボルト状連結部2a2、2b2とからなり、ステンレススチールで一体に構成したものである。これらの電極2a、2bは、同図に示すように、絶縁板9を介して前記便槽12の側壁1に取り付ける。該絶縁板9は、該電極2a、2bの設置間隔でその一面から他面に貫通する二つの取付孔9aが開口してあり、該絶縁板9の一面側には、該取付孔9a、9aと同軸状態に筒部9b、9bが突出させてあるものである。
【0028】
該絶縁板9は、図1に示すように、前記便槽12の側壁1の内面側の所定の位置にその一面を当接状態に配し、その筒部9b、9bを、該側壁1に該電極2a、2bの設置間隔で開口してある貫通孔に挿入する。該電極2a、2bは、座金を介して便槽12の内側からそのボルト状連結部2a2、2b2をそれぞれ該絶縁板9の取付孔9a、9aに挿入し、該便槽12の外側に突出させ、更に該ボルト状連結部2a2、2b2に外側から座金及び端子片10、10の基部側を係止した上で、それぞれナットを螺合して、該電極2a、2bを該絶縁板9とともにその状態に固定する。
【0029】
この実施例1では、電極2a、2bは、前記のように構成し、かつ以上のような絶縁板9を介して便槽12の側壁1に取り付けたものであるが、電極及びその取付方はいずれもこれに限定される訳ではない。電極2a、2bは、錆の発生し難い導電性金属で種々の形状に構成することが可能であり、かつ他の部材と絶縁性を保持しつつ水密状態に取り付けうるものであれば、その便槽12の側壁1への取付態様も自由である。
【0030】
前記電源部6は、前記のように、この実施例1では、直流定電圧電源3とスイッチ部4と分圧抵抗器5とからなるものであるが、該直流定電圧電源3は、バイオトイレの制御装置用のそれと共用する。図面上はバイオトイレのそれから独立した如くに描いてあり、説明もそのように行うが、これは説明の都合上、便宜的にそうしているに過ぎない。また前記スイッチ部4は、この実施例1では、機械式のそれを用いているが、それに限らず、半導体スイッチを用いることも自由である。また分圧抵抗器5は、前記直流定電圧電源3の出力電圧を、これと、前記二つの電極2a、2b間の被処理物11の有する抵抗とで分圧するものである。
【0031】
以上において、詳細には、図1に示すように、直流定電圧電源3は、その陽極側をスイッチ部4を介して前記電極2aの端子片10に接続し、その陰極側を分圧抵抗器5を介して前記電極2bの端子片10に接続する。
【0032】
前記測定部7の電圧計7aは、前記のように、前記電極2a、2b間にかかる電圧を測定する手段であり、この実施例1では、アナログ式の電圧計を採用している。電圧計7aで測定されたアナログ信号である電圧値はこの測定部7中に備えられたA/D変換部7bでディジル信号に変換して出力されるようになっている。なお、この電圧計7aとしては、当然、ディジタル式のそれを採用することも可能であり、その場合は、電圧計にA/D変換部が内蔵されているので直接その出力を制御部8に受け渡すことができる。以上の測定部7の電圧計7aは、当然、その陽極側を電極2aの端子片10に、陰極側を電極2bの端子片10に接続する。
【0033】
前記制御部8は、これも、バイオトイレの制御装置を共用する。図面上は、バイオトイレのそれとは独立したように描かれているが、それは説明のための便宜上そうしているに過ぎない。
【0034】
該制御部8は、この廃棄物処理槽用水分計のための機能としては、前記二つの電極2a、2b間に間欠的に電圧を印加すべく前記電源部6のスイッチ部4をオンオフ制御し、そのオンの時間中に前記測定部7の電圧計7aで測定されている該二つの電極2a、2b間にかかる電圧の値を所定のタイミングでサンプリングし、A/D変換部7bでA/D変換させ、これを水分値として受け取るべく制御する。具体的には、この実施例1では、該スイッチ部4を、図2(a)に示すように、4時間毎に(24時間で6回)0.5秒間ずつオンとなるように制御し、図2(b)に示すように、その間の更に50msの間に電圧計7aで測定している電圧の値(アナログ信号)をA/D変換部7bでサンプリングし、これをA/D変換し、得られたディジタル信号である電圧値を水分値として受け取るべく該測定部7を制御する。
【0035】
また、これに加えて、バイオトイレ側の図示しないセンサでトイレを使用したことが検出された場合には、その後、後記撹拌手段13の一サイクルの動作(一定時間の正転→一定時間の停止→一定時間の逆転→一定時間の停止)の終了後、前記スイッチ部4を、同様に、0.5秒間だけオンとなるように制御し、その間に電圧計7aで測定している電圧の値を、更にその間の50msの間にA/D変換部7bでサンプリングし、かつA/D変換し、得られたディジタル電圧信号を水分値信号として受け取るべく該測定部7を制御する。該制御部8は、受け取った電圧の値に基づいて、後述するように、被処理物11の水分率を15%〜40%(容積比)の範囲に維持すべくバイオトイレの撹拌手段13、排気手段、加温手段14及び給水手段等の動作を制御する。
【0036】
次に、この実施例の廃棄物処理槽用水分計を適用したバイオトイレについてその概要を簡単に説明する。
これは、図5に示すように、便器から導入される排泄物である被処理物11を収容し微生物処理する便槽12と、該便槽12に配された処理手段とその制御装置と直流定電圧電源とからなる。処理手段としては、同図に示すように、便槽12の長さ方向に沿って配した回転軸及びこれに配した回転羽根で構成した撹拌手段13と、該便槽12の側壁1の外面に配した加温手段14と、浄水を便槽12中に供給する給水手段と、排気手段とからなる。該給水手段は、同図中ではその一部である給水管15のみを示してあり、排気手段は、排気口16a及び吸気口16bのみが示してある。吸気口16bは、便槽12の上部空間の空気を排気手段を動作させてその排気口16aから排出した場合に、減圧された便槽12内の上部に大気を導入するための導入口である。なお、同図中、Dは、廃棄物処理槽用水分計であり、Cは、電源及び測定部の回路である。
【0037】
前記制御装置は、廃棄物処理槽用水分計の測定部7から受け取った測定値(抵抗値から導き出した水分値(水分率))を参照し、季節に応じて適当に設定可能な基準値に基づいて、以上の撹拌手段13、加温手段14、給水手段及び排気手段の動作を制御する。基準値の例を示すと、次の通りである。
レベル0=被処理物11の水分率5%未満
レベル1=被処理物11の水分率5%以上15%未満
レベル2=被処理物11の水分率15%以上40%未満
レベル3=被処理物11の水分率40%以上50%未満
レベル4=被処理物11の水分率50%以上
(以上の水分率は容積比)
なお、レベル4になると、撹拌手段13等の処理手段の動作によって微生物の正常な活動を回復することができる範囲を越えている。従ってこの場合は、制御装置は管理者に警報を発するようになっている。
【0038】
前記制御装置は、以上の基準値に基づいて、前記処理手段の動作を、例えば、以下のように制御し、被処理物11の水分率を15〜40%程度の範囲に維持させるようにする。
【0039】
レベル0の場合は、前記排気手段はその排気口16aからの排気風量を1m/minに、前記撹拌手段13はその動作を停止状態に、前記加温手段14はその動作を停止状態に、前記給水手段はその給水管15から浄水を給水するように、それぞれ制御する。
【0040】
レベル1の場合は、前記排気手段はその排気口16aからの排気風量を3m/minに、前記撹拌手段13はこれを正転3分→停止1分→逆転3分→停止1分の動作を繰り返すように、前記加温手段14はその温度が60℃になるように、前記給水手段はその給水管15からの浄水の導入を停止するように、それぞれ制御する。
レベル2の場合は、前記排気手段はその排気口16aからの排気風量を4.5m/minに、前記撹拌手段13はこれを正転4分→停止1分→逆転4分→停止1分の動作を繰り返すように、前記加温手段14はその温度が120℃になるように、前記給水手段はその給水管15からの浄水の導入を停止するように、それぞれ制御する。
【0041】
レベル3の場合は、前記排気手段はその排気口16aからの排気風量を5.0m/minに、前記撹拌手段13はこれを正転5分→停止1分→逆転5分→停止1分の動作を繰り返すように、前記加温手段14はその温度が150℃になるように、前記給水手段はその給水管15からの浄水の導入を停止するように、それぞれ制御する。
レベル4の場合は、前記したように、制御装置は別に用意してある報知手段を動作させて管理者に警報を発する。管理者による被処理物11の手動による処理に委ねるためである。
【0042】
従ってこの実施例1の廃棄物処理槽用水分計によれば、基本的には、制御部8で、図2(a)に示すように、前記電源部6のスイッチ部4が4時間毎に0.5秒ずつオンになるように制御され、そのとき電極2a、2b間にその間に位置する被処理物11の水分状態によって定まる抵抗値に応じた電流が流れ、電圧降下が生じる。他方、上記0.5秒間のスイッチ部4のオンの時間中に前記測定部7の電圧計7aで前記電極2a、2b間に生じている電圧の測定が行われており、図2(b)に示すように、その間の50msの間に、そのアナログ値がA/D変換部7bでサンプリングされ、かつA/D変換されてディジタル電圧値信号となり、これが水分値信号として前記制御部8に送られるように、該制御部8で制御される。
【0043】
またこの実施例1の廃棄物処理槽用水分計によれば、制御部8により、このほかに、バイオトイレ側の図示しないセンサでトイレを使用したことが検出された場合には、その後の撹拌手段13の一サイクルの動作(そのときの水分率レベルに応じた、一定時間の正転→一定時間の停止→一定時間の逆転→一定時間の停止)の終了後に、前記スイッチ部4を0.5秒間だけオンとなるように制御し、前記したのと同様に、電極2a、2b間にその間に位置する被処理物11の水分状態によって定まる抵抗値に応じた電流が流れるようにする。他方、前記測定部7の電圧計7aがその間に測定している電圧の値を、その間の更に50msの間にA/D変換部7bでサンプリングし、かつA/D変換し、得られたディジタル電圧値信号を制御部8に送るように、測定部7も制御する。
【0044】
この制御部8を兼ねるバイオトイレの制御装置では、受け取った水分値信号(水分率信号)を基準値と比較し、該当するレベルに応じて、前記排気手段、前記撹拌手段13、前記加温手段14及び前記給水手段を前記したように動作するように制御し、便槽12中の被処理物11の水分率を15%〜40%(容積比)の間に維持するようにする。
【0045】
また、以上のように、基本的に、4時間毎に被処理物11の水分率を測定して撹拌手段13及び排気手段等の処理手段をその時点の被処理物11の水分率に適合するように動作させ、トイレの使用が行われた場合には、引き続く撹拌手段13による被処理物11の均一化処理動作が行われた後にすぐに水分率を測定し、その時点の被処理物11の水分率に適合する撹拌手段13等の処理手段の動作をさせることとしたものであるため、被処理物11の水分率の測定が間欠的にかつ比較的少ない回数だけしか行われないとしても、該被処理物11の水分率は常時良好な状態を保持できるものである。
【0046】
更に被処理物11の水分率の測定回数は、この実施例1では、最少では1日6回であるが、頻繁にトイレの使用が行われ、例えば、午前8時から午後10時までの14時間の間に5回/時間で70回使用されたとすると、その都度、被処理物11の水分率の測定が行われるので、電極2a、2b間に電流が流れる1日の総時間は、
電流の流れる総時間=(70+6)(回)×0.5(秒)
=38(秒)
であり、1年間でも13870秒(3時間51分10秒)である。この条件、及び直流定電圧電源3の電圧5V、かつ分圧抵抗器5の抵抗値20kΩで試験をしてみたところ、直流定電圧電源3の陽極にスイッチ部4を介して接続している電極2aを含めて両電極2a、2bともに、その表面は僅かに光沢が失われたが、明らかな錆の発生は認められなかった。
【0047】
<実施例2>
この実施例2の廃棄物処理槽用水分計は、図3に示すように、バイオトイレの便槽12の側壁1の内面側に相互に離間させて配置する二つの電極2a、2bと、該二つの電極2a、2b間に電圧を印可するための直流定電圧電源23、二回路3接点の切換スイッチ部24及び分圧抵抗器25を備えた電源部26と、該二つの電極2a、2b間にかかる電圧を測定する電圧計27a及びその出力をA/D変換するA/D変換部27bとからなる測定部27と、電源部26の切換スイッチ部24及び測定部27を制御する制御部28とで構成したものである。
【0048】
前記電極2a、2bは、実施例1の電極2a、2bと全く同一の構成であり、実施例1で用いた絶縁板9で同様に側壁1に取り付けられる。
【0049】
前記電源部26は、前記のように、この実施例2では、直流定電圧電源23と切換スイッチ部24と分圧抵抗器25とからなるものであるが、該直流定電圧電源23は、実施例1のそれと同様に、バイオトイレの制御装置用のそれと共用する。図面上はバイオトイレのそれから独立した如くに描いてあり、説明もそのように行うが、これは説明の都合上便宜的にそうしているに過ぎない。また前記切換スイッチ部24は、二回路3接点のスイッチであり、支分スイッチ24a、24bからなり、それぞれ基部側の端子dと、連動して切り換え可能な3個の接点a、b、cとを備えたものである。この実施例2では、実施例1と同様に、機械式のそれを用いているが、それに限らず、半導体スイッチを用いることも自由である。また分圧抵抗器25は、実施例1の分圧抵抗器5と同様に、前記直流定電圧電源23の出力電圧を、これと、前記二つの電極2a、2b間の被処理物11の有する抵抗とで分圧するものである。
【0050】
相互の接続は、具体的には、前記電極2aの端子片10を前記切換スイッチ部24の支分スイッチ24aにおける基部側の端子dに接続し、前記電極2bの端子片10を前記切換スイッチ部24の他方の支分スイッチ24bにおける基部側の端子dに接続する。前記支分スイッチ24aの接点a、b、cの内の接点a及び前記支分スイッチ24bの接点a、b、cの内の接点cには、それぞれ直流定電圧電源23の陽極側を分圧抵抗器25を介して接続する。また前記支分スイッチ24aの接点a、b、cの内の接点c及び前記支分スイッチ24bの接点a、b、cの内の接点aには、それぞれ直流定電圧電源23の陰極側を接続する。支分スイッチ24a、24bの各々の接点bには、いずれも何も接続しない。
【0051】
前記測定部27の電圧計27aは、前記のように、前記電極2a、2b間にかかる電圧を測定する手段であり、この実施例2では、実施例1と同様に、アナログ式の電圧計を採用している。電圧計27aで測定されたアナログ信号である電圧値はこの測定部27中に備えられたA/D変換部27bでディジル信号に変換されて出力されるようになっている。なお、この電圧計27aとしては、当然、ディジタル式のそれを採用することも可能であり、その場合は、電圧計にA/D変換部が内蔵されているので直接その出力を制御部28に受け渡すことができる。以上の測定部27の電圧計27aは、その陽極側を前記切換スイッチ部24の支分スイッチ24aの接点a及び支分スイッチ24bの接点cと前記分圧抵抗器25との間に接続し、陰極側を直流定電圧電源23の陰極側に接続する。前記電極2a、2b間の電圧を測定する趣旨である。
【0052】
前記制御部28は、これも、バイオトイレの制御装置を共用する。図面上は、バイオトイレのそれとは独立したように描かれているが、それは説明のための便宜上そうしているに過ぎない。
【0053】
該制御部28は、この廃棄物処理槽用水分計のための機能としては、まず前記二つの電極2a、2b間に間欠的に電圧を印加すべく前記電源部26の切換スイッチ部24の支分スイッチ24a、24bを連動してオンオフ及び切換制御し、そのオンの時間中に前記測定部27の電圧計27aで測定されている該二つの電極2a、2b間にかかる電圧の値を所定のタイミングでサンプリングし、A/D変換部27bでA/D変換させ、この電圧の値を水分値として受け取るべく制御する。具体的には、この実施例2では、該切換スイッチ部24を、図4(a)に示すように、2時間毎に(24時間で12回)0.3秒間ずつオンとなるように、かつ一回のオン毎に極性を切り換えるように、すなわち、大部分のオフ時には、支分スイッチ24a、24bは各々接点bに切り換え、2時間毎のオン時には、支分スイッチ24a、24bの各接点aの閉成又は各接点cの閉成を交互に繰り返し、オン時に電極2a、2b間にかかる電圧の極性は一回ごとに反転させるべく制御する。そして、各オンの時間内(0.3秒)に電圧計27aで測定している電圧の値(アナログ信号)を、図4(b)に示すように、更に50msの間にA/D変換部27bでサンプリングし、かつA/D変換し、得られたディジタル信号である電圧値を水分値として受け取るべく該測定部27を制御する。
【0054】
また、これに加えて、バイオトイレ側のセンサでトイレを使用したことが検出された場合には、その後、前記撹拌手段13の一サイクルの動作(一定時間の正転→一定時間の停止→一定時間の逆転→一定時間の停止)の完了後、前記切換スイッチ部24を、同様に、前記のように切り換えつつ0.3秒間だけオンとなるように制御し、その間に電圧計27aで測定している電圧の値を、更にその間の50msの間にA/D変換部27bでサンプリングし、かつA/D変換し、得られたディジタル電圧信号を水分値信号として受け取るべく該測定部27を制御する。該制御部28は、受け取った電圧の値に基づいて、実施例1に関して説明したのと同様に、被処理物11の水分率を15%〜40%(容積比)の範囲に維持すべくバイオトイレの撹拌手段13、排気手段、加温手段14及び給水手段等の動作を制御する。
【0055】
バイオトイレの構成及び動作は実施例1について説明したのと全く同様である。
【0056】
従ってこの実施例2の廃棄物処理槽用水分計によれば、基本的には、制御部28で、前記電源部26の切換スイッチ部24が2時間毎に0.3秒ずつ電極2a、2bに加わる電圧の極性を切り換えつつオンになるように制御され、そのとき電極2a、2b間にその間に位置する被処理物11の水分状態によって定まる抵抗値に応じた電流が流れ、電圧降下が生じる。他方、上記0.3秒間の切換スイッチ部24のオンの時間中に前記測定部27の電圧計27aで前記電極2a、2b間に生じている電圧の測定が行われており、その間の更に50msの間に、そのアナログ値がA/D変換部27bでサンプリングされ、かつA/D変換されてディジタル電圧値信号となり、これが水分値信号として前記制御部28に送られるように、該制御部28で制御される。
【0057】
またこの実施例2の廃棄物処理槽用水分計によれば、制御部28により、このほかに、バイオトイレ側の図示しないセンサでトイレを使用したことが検出された場合には、引き続く前記撹拌手段13の一サイクルの動作(そのときの水分率レベルに応じた、一定時間の正転→一定時間の停止→一定時間の逆転→一定時間の停止)の終了後、前記スイッチ部24をその直前のオン時と極性を反転させて0.3秒間だけオンとなるように制御し、前記したのと同様に、電極2a、2b間にその間に位置する被処理物11の水分状態によって定まる抵抗値に応じた電流が流れるようにする。他方、前記測定部27の電圧計27aがその間に測定している電圧の値を、その間の更に50msの間にA/D変換部27bでサンプリングし、かつA/D変換して、得られたディジタル電圧値信号を制御部28に送るように、測定部27も制御する。
【0058】
この制御部28を兼ねるバイオトイレの制御装置では、受け取った水分値信号(水分率信号)を前記基準値と比較し、該当するレベルに応じて、実施例1と同様に、便槽12に配してある排気手段、撹拌手段13、加温手段14及び給水手段を適切に動作するように制御し、便槽12中の被処理物11の水分率を15%〜40%の間に維持させるようにする。
【0059】
また、以上のように、基本的に、2時間毎に被処理物11の水分率を測定して撹拌手段13及び排気手段等の処理手段をその時点の被処理物11の水分率に適合するように動作させ、トイレの使用が行われた場合には、撹拌手段13による被処理物11の均一化動作が行われた後にすぐ水分率を測定し、その時点の被処理物11の水分率に適合する処理手段の動作をさせることとしたものであり、被処理物11の水分率の測定が間欠的にかつ比較的少ない回数だけしか行われないとしても、被処理物11の水分率は常時良好な状態を保持できる。
【0060】
更に被処理物11の測定回数は、最少で1日12回であるが、頻繁にトイレの使用が行われ、例えば、午前8時から午後10時までの14時間の間に5回/時間で70回使用されたとすると、その都度、被処理物の測定が行われ、電極2a、2b間には、いずれにしても交互に極性を反転させた電流が流れる。
従って電極2a、2b間に電流が流れる総時間は、
電流の流れる総時間=(70+12)(回)×0.3(秒)
=24.6(秒)
であり、1年間でも、8979秒(2時間29分39秒)である。この条件、及び直流定電圧電源23の電圧5Vかつ分圧抵抗器25の抵抗値20kΩで試験をしてみたところ、電極2a、2bのいずれも、その表面は光沢が失われることもなく、かつ錆の発生も全く認められなかった。電極2a、2b間に流れる電流は、一回ごとに極性を反転させているため、電解腐食が一層進まないものとなっている。
【0061】
<実施例3>
この実施例3の廃棄物処理槽用水分計は、図6に示すように、生ゴミ処理機の処理槽32の側壁31の内面側に相互に離間させて配置する二つの電極2a、2bと、該二つの電極2a、2b間に電流を流すための直流定電圧電源33、スイッチ部34及び電流制限抵抗器35を備えた電源部36と、該二つの電極2a、2b間を流れる電流を測定する電流計37a及びその出力をA/D変換するA/D変換部37bとからなる測定部37と、該電源部36のスイッチ部34及び測定部37を制御する制御部38とで構成したものである。
【0062】
前記電極2a、2bは、実施例1のそれらと全く同様の構成であり、実施例1で用いた絶縁板9で同様に生ゴミ処理機の処理槽32の側壁31に取り付けられる。
【0063】
前記電源部36は、前記のように、この実施例3では、直流定電圧電源33とスイッチ部34と電流制限抵抗器35とからなるものであるが、該直流定電圧電源33は、生ゴミ処理機の制御装置用のそれと共用する。図面上は生ゴミ処理機のそれから独立した如くに描いてあり、説明もそのように行うが、これは説明の都合上便宜的にそうしているに過ぎない。また前記スイッチ部34は、この実施例3では、実施例1と同様に、機械式のそれを用いているが、それに限らず、半導体スイッチを用いることも自由である。また電流制限抵抗器35は、被処理物11の水分状態や成分状態により過剰の電流が流れることがないように制限するものである。
【0064】
前記直流定電圧電源33は、この実施例3では、その陽極側をスイッチ部34を介して、前記電極2aの端子片10に接続し、その陰極側を電流制限抵抗器35及び電流計37aを介して前記電極2bの端子片10に接続する。
【0065】
前記測定部37の電流計37aは、前記のように、前記電極2a、2b間を流れる電流を測定する手段であり、この実施例3では、アナログ式の電流計を採用している。電流計37aで測定されたアナログ信号である電流値はこの測定部37中に備えられたA/D変換部37bでディジル信号に変換されて出力されるようになっている。なお、この電流計37aとしては、当然、ディジタル式のそれを採用することも可能であり、その場合は、電流計にA/D変換部が内蔵されているので直接その出力を制御部38に送ることができる。以上の測定部37の電流計37aは、云うまでもなく、その陽極側を電極2bの端子片10に、陰極側を前記電流制限抵抗器35を介して前記直流定電圧電源33の陰極側に接続する。
【0066】
前記制御部38は、これも、生ゴミ処理機の制御装置を共用する。図面上は、生ゴミ処理機のそれとは独立したように描かれているが、それは説明のための便宜上そうしているに過ぎない。
【0067】
該制御部38は、この廃棄物処理槽用水分計のための機能としては、前記二つの電極2a、2b間に間欠的に電流を流すべく前記電源部36のスイッチ部34をオンオフ制御し、そのオンの時間中に前記測定部37の電流計37aで測定されている該二つの電極2a、2b間を流れる電流の値を所定のタイミングでサンプリングし、A/D変換部37bでA/D変換させ、これを水分値として受け取るべく制御する。具体的には、この実施例3では、該スイッチ部34を、2時間毎に(24時間で12回)0.3秒間ずつオンとなるように制御し、その間の更に50msの間に電流計37aで測定している電流の値(アナログ信号)をA/D変換部37bでサンプリングし、かつこれをA/D変換し、得られたディジタル信号である電流値を水分値として受け取るべく該測定部37を制御するものである。
【0068】
また、これに加えて、生ゴミ処理機側の図示しないセンサで新たな生ゴミを投入したことが検出された場合には、その後、実施例1と同様に、撹拌手段13の一サイクルの動作(一定時間の正転→一定時間の停止→一定時間の逆転→一定時間の停止)の終了後、前記スイッチ部34を、同様に、0.3秒間だけオンとなるように制御し、その間に電流計37aで測定している電流の値を、更にその間の50msの間にA/D変換部37bでサンプリングし、かつこれをA/D変換し、得られたディジタル電流信号を水分値信号として受け取るべく該測定部37を制御する。
【0069】
該制御部38は、受け取った電流の値に基づいて、被処理物11の水分率を15%〜35%(容積比)の範囲に維持すべく処理槽32中の撹拌手段、排気手段、加温手段及び給水手段等の動作を制御する。この廃棄物処理槽用水分計を適用する生ゴミ処理機の構成は、実施例1で説明したバイオトイレと同様である。
【0070】
従ってこの実施例3の廃棄物処理槽用水分計によれば、基本的には、制御部38で、前記電源部36のスイッチ部34が2時間毎に0.3秒ずつオンになるように制御され、そのとき電極2a、2b間にその間に位置する被処理物11の水分状態によって定まる抵抗値に応じた電流が流れる。他方、上記0.3秒間のスイッチ部34のオンの時間中に前記測定部37の電流計37aで前記電極2a、2b間を流れている電流の測定が行われており、その間の50msの間に、そのアナログ値がA/D変換部37bでサンプリングされ、かつA/D変換されてディジタル電流値信号となり、これが水分値信号として前記制御部38に送られるように、該制御部38で制御される。
【0071】
またこの実施例3の廃棄物処理槽用水分計によれば、制御部38により、このほかに、生ゴミ処理機側の図示しないセンサで新たな生ゴミが投入されたことが検出された場合には、引き続く撹拌手段の一サイクルの動作(そのときの水分率レベルに応じた、一定時間の正転→一定時間の停止→一定時間の逆転→一定時間の停止)の終了後に、前記スイッチ部34を0.3秒間だけオンとなるように制御し、前記したのと同様に、電極2a、2b間にその間に位置する被処理物11の水分状態によって定まる抵抗値に応じた電流が流れるようにする。他方、前記測定部37の電流計37aがその間に測定している電流の値を、その間の更に50msの間にA/D変換部37bでサンプリングし、かつA/D変換し、ディジタル電流値信号を制御部38に送るように、測定部37も制御する。
【0072】
この制御部38を兼ねる生ゴミ処理機の制御装置では、受け取った水分値信号(水分率信号)を予め設定した基準値と比較し、該当するレベルに応じて、前記排気手段、前記撹拌手段、前記加温手段及び前記給水手段を適切に動作するように制御し、処理槽32中の被処理物11の水分率を15%〜35%(容積比)の間に維持させるようにする。
【0073】
また、以上のように、基本的に、2時間毎に被処理物11の水分率を測定して撹拌手段及び排気手段等の処理手段にその時点の被処理物11の水分率に適合する動作をさせ、新たな生ゴミの投入が行われた場合には、撹拌手段による被処理物11の均一化が行われた後にすぐ水分率を測定し、その時点の被処理物11の水分率に適合する処理手段の動作をさせることとしたものであるため、被処理物11の水分率の測定が間欠的にかつ比較的少ない回数だけしか行われないとしても、被処理物11の水分率は常時良好な状態を保持できるものである。
【0074】
更に被処理物11の水分率の測定回数は、この実施例3では、最少で1日12回であるが、頻繁にトイレの使用が行われ、例えば、午前8時から午後10時までの14時間の間に5回/時間で70回使用されたとすると、その都度、被処理物の水分率の測定も行われるので、電極2a、2b間に電流が流れる1日の総時間は、
電流の流れる総時間=(70+12)(回)×0.3(秒)
=24.6(秒)
であり、1年間でも、8979秒(2時間29分39秒)である。この条件、及び直流定電圧電源33の電圧5V、かつ電流制限抵抗器35の抵抗値20kΩで試験をしてみたところ、直流定電圧電源33の陽極にスイッチ部34を介して接続している電極2aを含めて両電極2a、2bともに、その表面は特に光沢が失われることもなく、かつ錆の発生が認められることもなかった。
【0075】
<比較例>
この比較例の廃棄物処理槽用水分計は、図7に示すように、バイオトイレの便槽12の側壁1に相互に離間させて配置する二つの電極2a、2bと、該二つの電極2a、2b間に電圧を印可するための直流定電圧電源43及び分圧抵抗器45を備えた電源部46と、前記二つの電極2a、2b間にかかる電圧を測定する電圧計47a及びその出力をA/D変換するA/D変換部47bとからなる測定部47とで構成される従来のそれである。
【0076】
前記直流定電圧電源43の出力電圧は5Vであり、常時、前記電極2a、2b間には、これと前記分圧抵抗器45とで分圧される電圧が印可され、電流が流れるようになっている。前記分圧抵抗器45の抵抗値は20kΩである。
【0077】
この条件で試験をしてみたところ、直流定電圧電源43の陽極に接続している電極2aは1年間で完全に錆びて破損し、使用不能になった。
【符号の説明】
【0078】
1 側壁
2a、2b 電極
2a1、2b1 半球状本体
2a2、2b2 ボルト状連結部
3 直流定電圧電源
4 スイッチ部
5 分圧抵抗器
6 電源部
7 測定部
7a 電圧計
7b A/D変換部
8 制御部
9 絶縁板
9a 取付孔
9b 筒部
10 端子片
11 被処理物
12 便槽
13 撹拌手段
14 加温手段
15 給水管
16a 排気口
16b 吸気口
23 直流定電圧電源
24 切換スイッチ部
24a、24b 支分スイッチ
d 基部側の端子
a、b、c 接点
25 分圧抵抗器
26 電源部
27 測定部
27a 電圧計
27b A/D変換部
28 制御部
31 側壁
32 処理槽
33 直流定電圧電源
34 スイッチ部
35 電流制限抵抗器
36 電源部
37 測定部
37a 電流計
37b A/D変換部
38 制御部
43 直流定電圧電源
45 分圧抵抗器
46 電源部
47 測定部
47a 電圧計
47b A/D変換部
C 電源及び測定部の回路
D 廃棄物処理槽用水分計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物処理槽の被処理物中に離間させて配置する二つの電極と、
前記二つの電極間に電圧を印可し又は電流を流すための直流電源を備えた電源部と、
前記二つの電極間にかかる電圧又は該二つの電極間を流れる電流を測定する電圧計又は電流計を備えた測定部と、
前記二つの電極間に間欠的に電圧を印加し又は電流を流すべく前記電源部を制御し、かつ該二つの電極間に間欠的に電圧を印加し又は電流を流す際に前記測定部で測定される前記二つの電極間にかかる電圧又は前記二つの電極間を流れる電流の値を水分値として受け取るべく制御する制御部と、
で構成した廃棄物処理槽用水分計。
【請求項2】
前記電源部に、その直流電源から前記二つの電極に印可する電圧又は流す電流の断続及び該二つの電極間に印可する電圧又は流す電流の極性の切り換えを行いうるスイッチ部を構成し、
前記制御部を、該二つの電極に間欠的に電圧を印加し又は電流を流す毎にその極性を反転させるべく該スイッチ部を制御するように構成した請求項1の廃棄物処理槽用水分計。
【請求項3】
前記制御部を、前記二つの電極間に間欠的に電圧を印加し又は電流を流す動作を1〜4時間毎に1回ずつ行うべく、かつ該二つの電極間への各回の電圧を印加する時間又は電流を流す時間を0.3〜0.5秒間とすべく、前記電源部のスイッチ部を制御するように構成した請求項2の廃棄物処理槽用水分計。
【請求項4】
前記制御部を、新たな被処理物が導入され、かつ前記廃棄物処理槽中の撹拌手段が動作した場合には、その直後に、前記二つの電極間に、更に0.3〜0.5秒間、電圧を印加し又は電流を流す動作を行うべく、前記電源部のスイッチ部を制御するように構成した請求項3の廃棄物処理槽用水分計。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−154864(P2012−154864A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15946(P2011−15946)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(594133858)スターエンジニアリング株式会社 (20)
【出願人】(510153700)日野興業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】