説明

廃棄物処理装置

【課題】筐体の外部から焼却炉内に導入される空気の経路中に、磁気付与手段とマイナスイオン付与手段とを別々に設けることにより、燃焼空気に十分な磁気およびマイナスイオンを付与して、燃焼効率の向上を図った小型の廃棄物処理装置を提供する。
【解決手段】廃棄物を焼却処理する焼却室を形成する筐体と、該筐体の壁部外側から焼却室内に空気を導入する空気導入管を備えた廃棄物処理装置において、空気導入管に、焼却室内に導入される外部空気に磁気を及ぼす磁石と、外部空気にマイナスイオンを及ぼす鉱石とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物を滅却処理する廃棄物処理装置に関し、より詳細には、ダイオキシン類や悪臭の発生を抑制しつつ、効率よく廃棄物を滅却処理することができる小型の廃棄物処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、一般廃棄物や産業廃棄物などは、ゴミ収集車等により収集された後に、焼却処理されるのが、一般的に主流である。また、一般家庭や学校で廃棄物であるゴミを焼却処理する場合もある。
【0003】
ところが、これらの焼却処理は、焼却炉内で廃棄物を燃焼させるため、ダイオキシンや炭化水素などの有害物質や燃焼にともなう悪臭を生じてしまい、これが大きな環境問題になっている。また、化石燃料等を用いて高温で焼却処理する場合には、多大なランニングコストを要するとともに、多量の燃焼残留灰が発生し、その処理の問題などがあった。
【0004】
そこで、このような問題に対応するために、誘導過熱手段を用いて焼却炉内を高温にして廃棄物を燃焼させることにより、ダイオキシン類の発生を抑制しようとしたものが、例えば、特許文献1および特許文献2に開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−141914号公報
【特許文献2】特開2005−127680号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1や特許文献2のように、廃棄物を高温で燃焼させる場合には、耐熱性に優れた焼却炉が必要であるため、製造コストが嵩んでしまうという問題があった。さらに、特許文献1や特許文献2では、誘導過熱手段であるコイルに電流を供給する必要があり、設備のために多大なコストがかかるという問題があった。
【0007】
また、近年、一般家庭や一般企業などの規模で使用することができるように小型でコスト性に優れた構造を有し、かつ、ダイオキシン類の発生を抑制しつつ廃棄物を処理することができる装置が求められていた。そこで、本出願人は、特願2005−352081において、処理装置本体内に導入する管および焼却室の底面に配合岩石を配することにより、焼却室内の空気に磁気およびマイナスイオンを付与して、加熱効果の促進、およびダイオキシン類の発生の抑制を図った家庭用の処理装置を提案している。
【0008】
しかしながら、上記廃棄物処理装置では、配合岩石が、磁気およびマイナスイオンを生じる素材に限定され、また、そのような配合岩石では、焼却室内で大量の廃棄物を処理する必要がある場合に、燃焼空気のマイナスイオン濃度を、それらの大量の廃棄物を効率よく燃焼し得るだけの十分な濃度にするのは困難であった。
【0009】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、筐体の外部から焼却炉内に導入される空気の経路中に、磁気付与手段とマイナスイオン付与手段とを別々に設けることにより、燃焼空気に十分な磁気およびマイナスイオンを付与して、燃焼効率の向上を図った小型の廃棄物処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は廃棄物処理装置に関するもので、本発明の上記目的は、廃棄物を焼却処理する焼却室を形成する筐体と、該筐体の壁部外側から前記焼却室内に空気を導入する空気導入管を備えた廃棄物処理装置であって、前記空気導入管が、前記焼却室内に導入される外部空気に磁気を及ぼす磁石と、前記外部空気にマイナスイオンを及ぼす鉱石とを備えていることにより、達成される。
【0011】
また、本発明の上記目的は、前記マイナスイオンを生じる鉱石は、水晶、トルマリン鉱石、麦飯石、蛍石、石英、ネオジューム、磁鋼鉱石より成る群から選ばれた1種または2種以上であることにより、効果的に達成される。
【0012】
また、本発明の上記目的は、前記磁石が、前記筐体の外側に配された前記空気導入管の基部に配されていることにより、効果的に達成される。
【0013】
さらに、本発明の上記目的は、前記空気導入管が、前記基部から1つの管出口に直接連通する第1空気導入管と、前記基部から前記筐体の外側壁面に亘って設けられた中空の矩形管部を介して複数の管出口に枝分かれして連通する第2空気導入管とからなり、かつ、前記鉱石が、前記第2空気導入管の前記矩形管部に配されていることにより、効果的に達成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る廃棄物処理装置によると、焼却室内に導入される外部空気に磁気を及ぼす磁石と、外部空気にマイナスイオンとを空気導入管に別々に設けたことにより、空気に磁気を付与するのに特化した最適な磁気付与手段と、空気にマイナスイオンを付与するのに特化した最適なマイナスイオン付与手段とを任意に選択可能となり、焼却室内に導入される空気に対して、より十分な磁気およびマイナスイオンを付与することができる。これにより、焼却室内にマイナスイオンおよび磁気を充足させることができるので、燃焼効率を向上させるとともに、ダイオキシン類の発生を抑制することができる。この結果、高い処理能力および低コスト性を有するコンパクトな廃棄物処理装置が可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、廃棄物の燃焼処理の効率を向上するための空気導入管を設けた廃棄物処理装置に関する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る廃棄物処理装置の外観を概略的に示す斜視図である。同図において、廃棄物処理装置1は、焼却室を形成する筐体2と、該筐体2の上部に立設された排気管3とを備え、生ゴミ、紙、繊維、合成樹脂などの可燃性の廃棄物を筐体2内で燃焼し、燃焼ガスを排気管3を介して外部へ送出するようになっている。
【0017】
筐体2は、耐熱性に優れたステンレス鋼等の鉄系金属からなり、一定の厚さを有する複数の金属板を溶接等によって接合することにより、中空の略直方体形状の焼却室が形成される。筐体2の上面には、可燃性の廃棄物を筐体2内の焼却室に投入するための投入部5が配設されている。この投入部5は、図1中の矢印X−X´方向に回動可能に取り付けられた蓋部材5a、および該蓋部材5aより内側に設けられたシャッター部材(図示せず)によって入口が閉鎖される、2重扉構造になっている。
【0018】
また、筐体2の両側壁部には、外部空気を筐体2内の焼却室に導入するための複数の空気導入管6が筐体2の板厚方向に嵌合されている。
【0019】
図2は、廃棄物処理装置1の焼却室4を示す要部断面図である。同図に示すように、筐体2の左右両側の壁部には、廃棄物を燃焼するための燃焼空気を筐体2内の焼却室4に導入するための複数の空気導入管6,6が、筐体2の板厚方向に嵌合され、その基部6a,6aが筐体2の外側に設けられている。この複数の空気導入管6,6は、筐体2の壁部に嵌合固定され、各空気導入管6,6の管出口6c,6cは、先端の縦断面形状が略45°になるように形成され、筐体2内の焼却室4の側面4aから突出するように配設されている。
【0020】
なお、本実施形態では、空気導入管6が2段になるように設けられているが、これに限定されるものではない。大量の廃棄物を処理するためには、空気導入管6から導入される空気を焼却室4内に満遍なく行き渡らせる必要があるので、必要に応じて適宜空気導入管5の段の数を変更することができる。また、各段の管数も焼却室4の大きさに応じて適宜変更することができる。
【0021】
図3は、図2中のIII−III線に沿った断面矢視図である。本実施形態に係る空気導入管6は、筐体2の外側に設けられた基部6aから1つの管出口6cに直接連通している第1空気導入管6A、および、筐体2の外側に設けられた基部6aから筐体2の外側壁面に全周に亘って設けられた中空の矩形管部6B´を介して複数の管出口6cに枝分かれして連通している第2空気導入管6Bの2種類からなる。第1空気導入管6Aおよび第2空気導入管6Bは、ともに燃焼空気を焼却室4内に導入するためのものであるが、第2空気導入管6Bは、焼却室4内の空気を循環させる機能を更に有する。第2空気導入管6Bの矩形管部6B´の内周面には、マイナスイオンを生じる粉状の鉱石が均一に配設され、これにより、矩形管部6B´を介して焼却室4に導入される外部空気には、マイナスイオンが付与される。このマイナスイオンには、化学種の発生を促がすとともに、酸素分子のファンデルワールス力を断ち切って、酸素のクラスターを微細化する効果があり、これにより、廃棄物の燃焼効率を向上させることができる。
【0022】
なお、マイナスイオンを生じる鉱石には、水晶、トルマリン鉱石、麦飯石、蛍石、石英、ネオジューム、磁鋼鉱石から選ばれた1種または2種以上を用いることが好ましい。
【0023】
図4は、空気導入管6の要部断面図である。外部から基部6aを通って焼却室6に導入される空気量は、バルブ6bによって調節する。基部6aの内周面には、永久磁石7が取り付けられている。この永久磁石7は、その磁極が対向するように配され、その磁場が基部6aから導入される外部空気の流れに対して直交するように形成される。これにより、この磁場を通過して導入される外部空気に対して磁気が及ぼされ、この磁気が及ぼされた外部空気は、バルブ6bを通過した後に、空気導入管6を介して筐体2内の焼却室4に導入される。この磁気が及ぼされた外部空気には、加熱を促進させる効果があり、消火することなく廃棄物の燃焼を進行することができる。また、永久磁石7の代わりに電磁石を用いても良い。
【0024】
次に廃棄物処理装置1による廃棄物の処理方法について説明する。まず、筐体2の蓋部材5aおよびシャッターを開けて、投入部5から焼却室4内に廃棄物を投入する。そして、投入部5から着火物(加熱物)を投入して廃棄物に着火した後に、蓋部材5aおよびシャッターを閉めて焼却室4を密閉し、バルブ6bによって焼却室4に導入される外部空気量を調整する。この外部空気には永久磁石7による磁気(磁界)の効果と、マイナスイオンを生じさせる鉱石によるマイナスイオンの効果によって、投入された廃棄物は焼却室4で消火することなく燃焼を継続する。この燃焼は、通常の燃焼とは異なり、炎をほとんど生じないため、燃焼ガスの排出量も少量であり、また、その燃焼温度は、200℃〜1200℃まで調節可能である。これにより、廃棄物を燃焼する際に生じるダイオキシン類の濃度が低減され、かつ、燃焼残留灰が少量化される。
【0025】
また、空気導入管6にはバルブ6bを設けており、焼却室4への外部空気の導入量を個別に制御することができるので、廃棄物の量や種類に応じた最適な外部空気の導入量を容易に設定することができる。
【0026】
以上、本発明の実施形態について具体的に説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る廃棄物処理装置の外観を概略的に示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る廃棄物処理装置の焼却室を示す一部破断側面図である。
【図3】図2中のIII−III線に沿った断面矢視図である。
【図4】本実施形態に係る空気導入管の要部断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 廃棄物処理装置
2 筐体
3 排気管
4 焼却室
5 投入部
5a 蓋部材
6 空気導入管
6a 基部
6b バルブ
6c 管出口
6A 第1空気導入管
6B 第2空気導入管
6B´ 矩形管部
7 永久磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を焼却処理する焼却室を形成する筐体と、該筐体の壁部外側から前記焼却室内に空気を導入する空気導入管を備えた廃棄物処理装置であって、
前記空気導入管は、前記焼却室内に導入される外部空気に磁気を及ぼす磁石と、前記外部空気にマイナスイオンを及ぼす鉱石とを備えていることを特徴とする廃棄物処理装置。
【請求項2】
前記マイナスイオンを生じる鉱石は、水晶、トルマリン鉱石、麦飯石、蛍石、石英、ネオジューム、磁鋼鉱石より成る群から選ばれた1種または2種以上である請求項1に記載の廃棄物処理装置。
【請求項3】
前記磁石は、前記筐体の外側に配された前記空気導入管の基部に配されている請求項1または2に記載の廃棄物処理装置。
【請求項4】
前記空気導入管は、前記基部から1つの管出口に直接連通する第1空気導入管と、前記基部から前記筐体の外側壁面に亘って設けられた中空の矩形管部を介して複数の管出口に枝分かれして連通する第2空気導入管とからなり、かつ、
前記鉱石は、前記第2空気導入管の前記矩形管部に配されている請求項3に記載の廃棄物処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−64325(P2008−64325A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−239224(P2006−239224)
【出願日】平成18年9月4日(2006.9.4)
【出願人】(505451774)
【Fターム(参考)】